(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの記憶媒体に動作可能に関連付けられた少なくとも1つのプロセッサと、パワー半導体デバイスにプラグ接続することができる一組のプラグとを備える診断装置であって、前記パワー半導体デバイスにプラグ接続されると、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法を実施するために構成される、診断装置。
非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、かつ、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法を実施する命令を含む少なくとも1つのソフトウェアモジュールを含むソフトウェアエージェントの形態でプロセッサによって実行可能なプログラム製品を備える、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこの状況を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は、パワー半導体デバイスにおいて電気的接続の劣化状態を確立する方法を提案する。本方法は、
a)上記パワー半導体デバイスが第1の状態にあって、第1の電流値(I
on_1)及び第1の温度値を受けているとき、上記パワー半導体デバイスの少なくとも第1の電圧降下値を測定することと、
b)上記パワー半導体デバイスが第2の状態にあって、第2の電流値及び第2の温度値を受けているとき、上記パワー半導体デバイスの少なくとも第2の電圧降下値を測定することであって、第2の温度値は、±5℃以内で第1の温度値に等しく、2つの以下の条件、すなわち、
−第1の電流値が第1の閾値に等しく、第2の電流値(I
on_2)が第2の閾値に等しく、第2の閾値が第1の閾値より厳密に上位であることと、
−第1の状態及び第2の状態が、少なくとも、パワー半導体デバイスの1つのトランジスタ又は一組のトランジスタのゲートレベルに関して、互いに異なることと、
のうちの少なくとも一方が満たされる条件において測定することと、
c)少なくとも2つの値を較正データとして保存することと、
d)動作条件で、電流と、上記パワー半導体デバイスの動作状態を表す少なくとも1つのパラメータとをモニタリングすることと、
e)上記パワー半導体デバイスの少なくとも第3の電圧降下値を、
−パワー半導体デバイスの公称電流の±5%以内で第1の電流値に等しい電流下で、かつ、
−少なくとも1つのモニタリングされるパラメータが、上記パワー半導体デバイスの動作状態に関連する基準の第1の事前定義された組と、パワー半導体デバイスの第3の温度値とに対応する瞬間に、
測定することと、
f)上記パワー半導体デバイスの少なくとも第4の電圧降下値を、
−パワー半導体デバイスの公称電流の±5%以内で第2の電流値に等しい電流下で、かつ、
−少なくとも1つのモニタリングされるパラメータが、上記パワー半導体デバイスの動作状態に関連する基準の第2の事前定義された組と、±5℃以内で第3の温度値に等しいパワー半導体デバイスの第4の温度値とに対応する瞬間に、
測定することと、
g)少なくとも2つの値を動作データとして保存することと、
h)較正データ及び動作データの関数として、上記パワー半導体デバイス1の劣化状態を推定するように、数値指標を計算することと、
を含む。
【0009】
このような方法により、パワー半導体デバイスの健全性の状態及び残存寿命を推定するために、数値的な健全性指標、例えば電気抵抗の増大ΔRをモニタリングすることができる。このような方法の結果は、動作温度とは無関係である。このような方法は、単一の電圧センサを使用することによって実施することができる。このような方法は低コストである。このような方法は、オフライン較正を必要としない。結果として、旧式のパワー半導体デバイスに本発明によるシステムを装備して上記方法を実施することができる。本方法は、特に、使用される高電流と、測定電圧に対する動作温度のような動作パラメータの高い影響とにより、ダイオード、IGBT及び/又はMOSFETを含むパワー半導体デバイスにおいて実施されるように適合される。
【0010】
本発明の第2の態様では、本出願人は、少なくとも1つの記憶媒体に動作可能に関連付けられた少なくとも1つのプロセッサと、パワー半導体デバイスにプラグ接続することができる一組のプラグとを備える診断装置を提案する。本診断装置は、上記パワー半導体デバイスにプラグ接続されると、上記に記載の方法を実施するために構成される。
【0011】
本発明の別の態様では、本出願人は、上記に記載の方法を実施する命令を含む少なくとも1つのソフトウェアモジュールを含むソフトウェアエージェントの形態でプロセッサによって実行可能なプログラム製品と、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、かつ、上記に記載の方法を実施する命令を含む少なくとも1つのソフトウェアモジュールを含むソフトウェアエージェントの形態でプロセッサによって実行可能なプログラム製品を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを提案する。
【0012】
本方法及び/又は本装置は、以下の特徴を、別個に又は他の特徴と組み合わせて含むことができる。
【0013】
−パワー半導体デバイスは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、ダイオードアセンブリ又はこのような素子の組合せを含む。本方法は、このようなデバイスに対して特に優れた結果を与える。
【0014】
−上記パワー半導体デバイスの電圧降下値を測定することは、少なくとも1つのモニタリングされるパラメータが上記パワー半導体デバイスの事前定義された動作状態に対応する瞬間のみでなく、連続的に又は所定頻度で実施される。これにより、健全性の漸進的変化の連続的なモニタリングを確実にし、あらゆる異常な状況を迅速に検出することができる。
【0015】
−第2の閾値は、第1の閾値の2倍以上である。2つの非常に異なる電流値で電圧降下を測定することにより、より現実的なモデルを構築することができる。指標計算の精度が向上する。
【0016】
−数値指標は、較正データの両方が、数値指標が上記パワー半導体デバイスの電気的接続の劣化の完全な不在に対応する値を有する状況に対応するという仮定から外挿によって計算される。結果として、較正データ測定は、デバイスの寿命の初期時に行うことができ、一方、動作データは、デバイスの実際の動作条件において後に測定される。
【0017】
−モニタリングするステップは、少なくとも上記電流の周波数のモニタリングを含む。これを行うことにより、温度自体を直接測定することができない場合であっても、2つの電圧降下測定に対して温度が実質的に同じであるとすることができる。
【0018】
−基準の第1の事前定義された組及び基準の第2の事前定義された組は、20Hz以上の周波数を含む。また、少なくとも第3の電圧降下値及び第4の電圧降下値の測定は、電流の共通の期間の2つのそれぞれの瞬間に行われる。これにより、デバイスの熱慣性のために、温度自体を直接測定することができない場合であっても、2つの電圧降下測定に対して温度が実質的に同じであるとすることができる。
【0019】
−モニタリングされるパラメータは、上記パワー半導体デバイスの1つのトランジスタ又は一組のトランジスタのゲートレベルに関するパワー半導体デバイスの状態に対応し、基準の第1の事前定義された組及び基準の第2の事前定義された組は、上記ゲートレベルに関してパワー半導体デバイスの状態に関する互いに異なる基準を含む。これにより、デバイスの2つの状態が、2つの電圧降下測定に対して異なるとすることができる。さらに、2回の測定が、ゲートレベルに関する状態の変化の直前及び直後に行われる場合、温度自体を直接測定することができないときであっても、温度が2つの電圧降下測定に対して実質的に同じであるとすることができる。
【0020】
−本方法において、
−上記第1の電圧降下値及び上記第2の電圧降下値を測定するステップa)及びb)は、最大50ミリ秒の互いに分離した2つのそれぞれの瞬間に行われ、及び/又は、
−上記第3の電圧降下値及び第4の電圧降下値を測定するステップe)及びf)は、最大50ミリ秒の互いに分離した2つのそれぞれの瞬間に行われる。これにより、デバイスの熱慣性のために、温度自体を直接測定することができない場合であっても、温度が2つの電圧降下測定に対して実質的に同じであるとすることができる。
【0021】
−本方法において、
−少なくとも第1の電圧降下値を測定するステップは、第1の温度値を測定することを更に含み、及び/又は、
−少なくとも第2の電圧降下値を測定するステップは、第2の温度値を測定することを更に含み、
−保存するステップは、較正データとして、それぞれの電圧降下値に関連する上記温度値各々を保存することを更に含み、
−数値指標を計算するステップは、較正データ及びそれぞれの動作データの関数として温度を計算することを更に含む。温度を直接測定することができる状況では、モデルの構築及び/又は指標計算がより正確なものとなる。
【0022】
−モニタリングするステップ中にモニタリングされる上記パワー半導体デバイスの動作状態を表す上記少なくとも1つのパラメータは、測定された温度から導かれる。また、動作データは、上記数値指標を計算するステップに対して測定された温度値から導かれる。他の利用可能なパラメータ、例えば、電流周波数、及び/又はゲートレベルに関するパワー半導体デバイスの状態を使用することができる。結果として、デバイスの動作寿命中に温度測定が困難であるか又は不可能である場合であっても、本方法を改善することができる。
【0023】
−本方法は、数値指標がゼロに等しいとき、電流値の関数として少なくとも2つの電圧降下の間の関係のモデルを構築するステップを更に含み、このモデルは、その後、較正データ及び動作データの関数としてこの数値指標を計算するために使用される。このようなモデルを構築することにより、温度のいかなる直接的な測定も回避することができる。この方法及びその結果は、温度測定がデバイスの動作寿命中に困難であるか又は不可能である場合であっても、達成可能に維持される。
【0024】
−本方法は、
i)パワー半導体デバイスの寿命の終わりを推定する方法で、数値指標の漸進的変化の外挿により、上記パワー半導体デバイスの劣化モデルを構築するステップ、
を更に含む。このような補足的なステップにより、デバイス、又は類似するデバイスの隊全体の保守スケジューリングを容易にすることができる。
【0025】
他の特徴、詳細及び利点について、以下の詳細な説明においてかつ図に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図及び以下の詳細な説明は、本質的に、いくつかの厳密な要素を含む。それらは、本発明の理解を促進するために、また、必要な場合は本発明を定義するために使用することができる。デバイスの3次元構造のいくつかの詳細は、図による以外に網羅的に記述することは困難であることが理解されるべきである。
【0028】
以下、「[2つの値]は実質的に等しい」という言葉は、技術的文脈に従って解釈されなければならない。2つの電流値の場合、許容誤差は、デバイスとその電力環境とによって決まる。例えば、「[2つの電流値]は実質的に等しい」は、使用中のパワー半導体デバイスの基準電流又は公称電流I
nomの±5%、±4%、±3%、±2%又は±1%以内で等しい2つの電流値として理解することができる。2つの温度値の場合、許容誤差は、所望の測定精度によって決まる。例えば、[「2つの温度値]は実質的に等しい」は、±5℃、±4℃、±3℃、±2℃又は±1℃以内で等しい2つの温度値として理解することができる。
【0029】
以下に記載する方法は、特にパワー半導体デバイスに対して、健全性の状態及び/又は残存耐用年数の推定のために、パワー半導体デバイスの条件及び健全性モニタリングの論題に対処する。例えば、本方法は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、ダイオード、又はこのような素子の組合せを含むデバイスに対して実施することができる。非限定的な例として、本出願人によって商品化されている以下のモジュール、すなわち、「CM150TX−24S1−大電力スイッチング用絶縁タイプ」が使用されてきた。このモジュールの詳細な特徴を含む技術的情報は、自由にかつ公にアクセス可能である。
【0030】
以下、V
onと参照する「電圧降下値」は、パワースイッチングデバイス/モジュール(ダイオードアセンブリ、MOSFET及び/又はIGBT)において試験される電子部材の性質に応じて、「オン状態電圧降下」(IGBTの場合はコレクタ−エミッタ電圧V
ce、ダイオードの場合はアノード−カソード電圧V
ak、順方向モードのMOSFETの場合はドレイン−ソース電圧V
ds、又は逆方向モードのMOSFETの場合はドレイン−ソース電圧V
sdと等価である)、又は「ワイヤボンド部電圧降下」(IGBTの場合はケルビンとパワーエミッタとの間V
ke及びケルビンとパワーソースとの間V
ks)に対応する。「電圧降下」は、パワー半導体デバイスの所定入力V
inにおける電圧測定値とパワー半導体デバイスの所定出力V
outにおける電圧測定値との差として理解されなければならない。この文脈で、入力及び出力は、必ずしも、パワー半導体デバイス全体の全体的な入力及び出力ではなく、パワー半導体デバイスに含まれる電子部材の中間的な入力/出力とすることができる。好ましくは、デバイスの全体的な入力及び出力は、特に、パワー半導体デバイスがパッケージ化デバイスである場合に使用される。各実施形態に対して、入力及び出力は、測定された値の間のいかなる差も測定の位置に起因する可能性がないように、方法の各部に対して同じである。以下、「電圧降下」は「V
on」と参照し、V
outとV
inとの差(V
on=V
out−V
in)として理解されなければならない。
【0031】
図1は、パワー半導体デバイスにおけるワイヤボンド不良及びはんだ不良に関連する正帰還ループである。
図1によれば、ワイヤボンド不良は、コンバータの動作中に電気抵抗の漸進的変化ΔRをモニタリングすることによって検出することができる。電圧降下V
onをモニタリングすることによって、電気抵抗の漸進的変化ΔRはモニタリングすることができる。しかしながら、電圧降下V
onは、ボンド不良のみに依存するのではなく、温度T
j及び電流I
on等の他のパラメータにも依存する。結果として、電圧降下V
onを知ることにより、正確な電気抵抗を直接導出することはできない。したがって、電圧降下V
onを知ることにより、パワー半導体デバイスに関する正確なワイヤボンド劣化及び関連する健全性情報を直接導出することはできない。
【0032】
以下、パワー半導体デバイス1において電気的接続の劣化状態を確立する方法について説明する。このような方法は、
図10に表すような診断装置100を使用することによって実施することができる。診断装置100は、少なくとも1つの記憶媒体に動作可能に関連付けられた少なくとも1つのプロセッサと、パワー半導体デバイス1をモニタリングするためにパワー半導体デバイスの入力及び出力にプラグ接続することができる一組のプラグとを備える。診断装置100は、パワー半導体デバイス1の入力及び出力にプラグ接続されると、以下に記載する方法を実施するための構成となる。
【0033】
本方法は、以下のステップ、すなわち、
a)パワー半導体デバイスが第1の状態にあって、第1の電流値(I
on_1)及び第1の温度値(T
1_calibration)を受けているとき、パワー半導体デバイスの少なくとも第1の電圧降下値(V
on_1_calibration)を測定するステップと、
b)パワー半導体デバイスが第2の状態にあって、第2の電流値(I
on_2)及び第2の温度値(T
2_calibration)を受けているとき、パワー半導体デバイスの少なくとも第2の電圧降下値(V
on_2_calibration)を測定するステップであって、第2の温度値(T
2_calibration)は、第1の温度値(T
1_calibration)に実質的に等しく、2つの以下の条件、すなわち、
−第1の電流値(I
on_1)が第1の閾値(X%×I
nom)に等しく、第2の電流値(I
on_2)が第2の閾値(Y%×I
nom)に等しく、第2の閾値(Y%×I
nom)が第1の閾値(X%×I
nom)より厳密に上位であることと、
−第1の状態及び第2の状態が、少なくとも、パワー半導体デバイスの1つのトランジスタ又は一組のトランジスタのゲートレベルに関して、互いに異なることと、
のうちの少なくとも一方が満たされる条件において、測定するステップと、
c)少なくとも2つの値(V
on_1_calibration、V
on_2_calibration)を較正データとして保存するステップと、
d)動作条件で、電流(I)と、パワー半導体デバイスの動作状態を表す少なくとも1つのパラメータ(T、F
mod、G)とをモニタリングするステップと、
e)パワー半導体デバイスの少なくとも第3の電圧降下値(V
on_1_test)を、
−第1の電流値(I
on_1)に実質的に等しい電流(I
1_test)下で、かつ、
−少なくとも1つのモニタリングされるパラメータ(T、F
mod、G)が、パワー半導体デバイスの動作状態に関連する基準の第1の事前定義された組と、パワー半導体デバイスの第3の温度値(T
1_test)とに対応する瞬間に、
測定するステップと、
f)パワー半導体デバイスの少なくとも第4の電圧降下値(V
on_2_test)を、
−第2の電流値(I
on_2)に等しい電流(I
2_test)下で、かつ、
−少なくとも1つのモニタリングされるパラメータ(T、F
mod、G)が、パワー半導体デバイスの動作状態に関連する基準の第2の事前定義された組と、第3の温度値(T
1_test)に実質的に等しいパワー半導体デバイス1の第4の温度値(T
2_test)とに対応する瞬間に、
測定するステップと、
g)少なくとも2つの値(V
on_1_test、V
on_2_test)を動作データとして保存するステップと、
h)較正データ(V
on_1_calibration、V
on_2_calibration)及び動作データ(V
on_1_test;V
on_2_test)の関数として、パワー半導体デバイスの劣化状態を推定するように、数値指標(ΔR)を計算するステップと、
を含む。
【0034】
任意選択的に、本方法は、
i)パワー半導体デバイスの寿命の終わりを推定する方法で、数値指標(ΔR)の漸進的変化の外挿により、上記パワー半導体デバイス1の劣化モデルを構築するステップを更に含む。
【0035】
ステップa)〜c)は、パワー半導体デバイス1に適用される方法の較正段階として見ることができ、ステップe)〜h)は、診断の能動的な段階として見ることができる。ステップa)〜c)は、例えば、パワー半導体デバイス1の動作寿命の開始時に、又は更にはその動作寿命の前であってもテストベンチにおいて、各パワー半導体デバイス1に対して単一回実施することができる。
【0036】
較正データが保存されたステップc)後、ステップa)〜c)を繰り返す必要なしに、ステップd)〜h)を連続的に又は繰返し実施することができる。例えば、モニタリングするステップd)は、パワー半導体デバイス1の寿命全体の間に連続的に実施することができる。このような場合、測定するステップe)及びf)は、パワー半導体デバイス1の事前定義された動作状態が検出される瞬間の間のみでなく、連続的に又は繰返し実施することができる。このような場合、関連する値を動作データとして保存するステップg)は、動作データとして関連データのみを記録するための利用可能な測定データ全体の間の選択を含むステップとして見ることができる。ステップa)及びb)の測定は、連続的に又は繰返し実施することもできる。このような場合では、較正データとして関連する値を保存するステップc)は、較正データとして関連データのみを記録するための利用可能な測定データ全体の間の選択を含むステップとして見ることができる。
【0037】
較正データを保存するステップc)は、温度がおよそ同じである間の、パワー半導体デバイス1の2つの別個の機能モードに対応する少なくとも2つの電圧降下値の選択として見ることができる。動作データを保存するステップg)は、パワー半導体デバイス1の動作機能中にデータを取得するための最適な瞬間(複数の場合もある)の選択として見ることができ、上記動作条件は、較正データが測定された条件に可能な限り対応する。
【0038】
ステップa)及びb)により、少なくとも2つの値、例えば、I
on_1におけるV
on_1_calibration及びI
on_2におけるV
on_2_calibrationを得ることができる。いくつかの例では、I
on_1は低電流であり、I
on_2は高電流である。この文脈における「低い」及び「高い」は、パワー半導体デバイス1の2つの別個の機能モードに対応するものとして理解されなければならない。2つの別個の機能モードを有することを確実にするように、複数の基準を選択することができる。
−第1の電流値I
on_1は第1の閾値に等しく、第2の電流値I
on_2は第2の閾値に等しい。第2の閾値は、第1の閾値に対して厳密に上位である(I
on_2>I
on_1)。
−より正確な実施形態では、第1の閾値は、基準電流、例えば、公称電流値I
nomのX%に等しく、第2の閾値は、上記基準のY%に等しく、YはXより厳密に大きい(Y>X)。例えば、X=20%及びY=80%、又はX=30%及びY=60%、又はX=20%及びY=60%である。
−第2の電流値I
on_2は、第1の電流値の2倍以上である(I
on_2/I
on_1≧2)。
【0039】
当業者であれば、パワー半導体デバイス1の2つの別個の機能モードに対応するために応用に応じて閾値電流に関する基準をいかに適合させるかは既知である。可能な限り異なる2つの電流値を有することが好ましい。
【0040】
他の例では、較正データは、少なくとも、パワー半導体デバイス1の1つのトランジスタ又は一組のトランジスタのゲートレベルGに関して、2つの異なる状態において得られる。このような例では、較正データV
on_1_calibration及びV
on_2_calibrationが取得される電流値I
on_1及びI
on_2は、互いに等しい場合もあれば異なる場合もある。例えば、電子素子の通過/遮断状態(又は挙動)は、ゲートレベルGに関して容易に定義することができる。言い換えれば、少なくとも2つの較正データV
on_1_calibration及びV
on_2_calibrationは、パワー半導体デバイス1の素子の制御電流がゲートレベルGに対してそれぞれ上位であるとき及び下位であるときに得ることができる。
【0041】
較正値は、パワー半導体デバイス1が動作可能になる前に、例えば、製造の後の適合性試験中に得ることができる。このような場合、パワー半導体デバイス1は、入力において、電流の2つの別個の選択された値I
on_1及びI
on_2を自発的に受けることができる。
【0042】
電圧降下値V
on_1_calibration及びV
on_2_calibrationはそれぞれ、V
in及びV
outを測定することによって求められる。一対の電圧降下値V
on_1_calibration、V
on_2_calibrationの測定を繰り返すことができる。このような場合、複数の対の電圧降下値V
on_1_calibration_i、V
on_2_calibration_iが得られ、「i」は反復指数である。複数の対が測定される場合、測定は、好ましくは、高周波数F
modで、ただし他の異なる動作条件、例えば、異なるヒートシンク(又はケース)温度、異なる負荷電流I
load(ただし、I
load≧max(I
on_1,I
on_2))、異なるスイッチング周波数及び/又は異なる変調周波数で行われる。温度は、好ましくは、同じ対の2つの電圧降下値V
on_1_calibration_i、V
on_2_calibration_iの間では可能な限り一定であるが、好ましくは、i≠jである場合、2つの対V
on_1_calibration_i、V
on_2_calibration_i;V
on_1_calibration_j、V
on_2_calibration_jの間では可能な限り異なる。
【0043】
試験段階(ステップd)〜h))は、較正段階(ステップa)〜c))から時間が経ってから、異なる機器により、及び/又は異なる人により、行うことができる。言い換えれば、2つの段階は、2つの別個の方法として見ることができる。このような場合、較正データは、試験段階を実施するために別のソースから提供することができる。
【0044】
本方法の別の実施形態では、ステップa)及び/又はb)は、パワー半導体デバイス1が動作可能であるとき、例えば、パワー半導体デバイス1がオンラインとなるとすぐに実施することができる。
【0045】
必要な較正データの量がわずかである本方法の一実施形態では、2つの値のみを測定することができる。以下、2つの電圧降下値V
on_1_calibration、V
on_2_calibrationの間の関係は、曲線の形態を有する。曲線V
on_2=f(V
on_1,ΔR=0)は、これらの2つの値を使用して実施される。複数の対が異なる温度で測定された場合、測定された対と同程度の数の曲線を構築することができる。高電流及び低電流で取得された較正データに対応する例では、低電流I
on_1での電圧降下V
on_1_calibrationと高電流I
on_2での電圧降下V
on_2_calibrationとの間の理論的関係を得ることができる。
【0046】
較正の正確な、容易なかつ迅速な確立を可能にする本方法の好ましい実施形態では、V
on_2=f(V
on_1,ΔR=0,変数T)を確立するために、いくつかの点が測定されフィルタリングされる。例えば、測定の回数及び測定が実施される期間は、固定された持続時間、又は、十分なデータを得るために十分に長い持続時間とすることができる。測定の回数が多いほど、パワー半導体デバイス1の公称動作を特徴付けるように上記関係がより正確に定義される。
【0047】
そして、測定された値は登録される(ステップc))。それは、測定された値の対を直接保存することとすることができる。他の実施形態では、測定された値は、保存する前に処理/分析することができる。したがって、処理/分析から得られる較正曲線V
on_2=f(V
on_1,ΔR=0,変数T)が保存され、したがって、較正データメモリが節約される。
【0048】
いくつかの実施形態では、測定するステップa)及び/又はb)は、温度T
1_calibration及びT
2_calibrationをそれぞれ測定又は推論して、温度が有効に実質的に等しい(T
1_calibration≒T
2_calibration)ことを検査することを更に含む。好ましくは、T
1_calibrationの方が、低電流で温度を測定することがより容易であるため、測定される。このような場合、温度値T
1_calibration及び/又はT
2_calibrationは、較正データの一部として保存される。言い換えれば、較正データは、例えば以下の形式を有することができる。
−V
on_1_calibration_i(1つ又はいくつかの測定された値)、I
on_1(1つの事前定義された値);V
on_2_calibration_i(1つ又はいくつかの測定された値)、I
on_2(1つの事前定義された値);
−V
on_1_calibration、I
on_1、T
1_calibration;V
on_2_calibration、I
on_2、T
2_calibration;
−モデルV
on_2_calibration=f(V
on_1_calibration,ΔR=0,T変数)
−モデルV
on_2_calibration=f(V
on_1_calibration,ΔR=0,T変数)及びモデルV
on_1_calibration=f(T,ΔR=0)
【0049】
結果として、数値指標を計算するステップ(ステップh))は、電気抵抗ΔRの計算を含み、任意選択的に、以下に記載するように、温度Tの計算を含むことができる。
【0050】
最初に、パワー半導体デバイス1が新しい(使用されていない)とき、接続部及びワイヤボンド部は、無傷であるとみなすことができる。接続部の電気抵抗は、基準として定義し、実質的に、ΔR=0として設定することができる。例えば、以下の形式、すなわち、V
on_2_calibration=f(V
on_1_calibration)において、低電流I
on_1における電圧降下V
on_1_calibrationと高電流I
on_2における電圧降下V
on_2_calibrationとの間の理論的関係を確立することが可能である。任意のΔR≧0に対するこのような関係は、以下の単純な解析式、
【数1】
を解くことによって得ることができる。
【0051】
そして、以下の関係、ΔR=f(V
on_1,V
on_2)を確立することができる。
【0052】
これらの関係は、曲線の形態を有することができる(例えば、
図4及び
図5を参照されたい)。較正段階により、ルックアップテーブルの形式で、又は解析(物理又は経験)式(
図4〜
図7における破線)として、この関係を求めることができる。
図4は、例えば、IGBTの低電流I
on_1下での電圧降下V
on_1及び高電流I
on_2下での電圧降下V
on_2をそれぞれ示す。
図5は、ダイオードアセンブリに対する同じものを示す。
【0053】
較正データを形成する測定された値は、直接及び/又は確立された関係の形式で保存することができる(ステップc))。
【0054】
ダイオード、IGBT及びMOSFETのオン条件電圧、並びにワイヤボンド接続部の両端の電圧降下は、通常、電流I及び温度Tによって決まる。ワイヤボンド劣化の場合、電気抵抗の増大によってもまた、総電圧降下V
onの増大がモータらされる。
図2(ダイオードアセンブリ)及び
図3(IGBT)は、パワー半導体デバイスの挙動を特徴付ける例である。この例において、
図2は、例えば、IGBTパワーモジュールにおけるダイオードに対する、複数の温度T
jに対するアノード−カソード飽和電圧V
AC(ボルト)の関数としてのアノード電流I
A(アンペア)を示す。
図2は、本出願人の「CM150TX−24S1」と参照されるデバイスにおけるダイオード配置の負温度係数(NTC)挙動を示す。
図3は、例えば、複数の温度T
jに対するコレクタ電流I
C(アンペア)の関数としてのコレクタ−エミッタ飽和電圧V
ECsat(ボルト)を示し、ゲートーエミッタ電圧V
GEは15ボルトで一定である。この例において、
図3は、40A未満の電流I
c(「低電流」)に対する負温度係数(NTC)と、40Aを超える電流I
c(「高電流」)に対する正温度係数(PTC)とを示す。これは、本出願人の「CM150TX−24S1」と参照するデバイスにおけるIGBTの挙動に対応する。
【0055】
R
wbと参照するワイヤボンド部の電気抵抗の増大が生じると、T
wbと参照するワイヤボンド部の温度の局所的上昇をモータらす可能性がある。ワイヤボンド部の材料(例えば、アルミニウム)の正味抵抗率は、わずかに増大し、明白なより高い抵抗の増大の観察をモータらす可能性がある。このような電気抵抗の増大ΔRの自己増幅効果は、一般に、デバイス全体に分散されず比較的十分に局所化されるため、無視することができる。以下の関係を公式化することができる。
【数2】
【0056】
パワー半導体デバイス1に応じて、オン条件電流I
onは、
−IGBTの場合は、コレクタ(若しくはエミッタ)電流、
−ダイオードアセンブリの場合は、アノード(若しくはカソード)電流、又は、
−MOSFETの場合は、ドレイン(若しくはソース)電流、
とすることができる。
【0057】
測定データは、センサ、例えば、ホール効果センサ又はシャントセンサから得ることができる。測定データは、パワー半導体デバイスのコントローラ、例えば、コントローラの基準電流から得ることができる。いくつかの既存のパワー半導体デバイスでは、センサは、制御の目的でコンバータに存在する。測定データは、任意選択的に処理を改善することにより、例えば、利得又はオフセット除去を適用することにより、入手可能なデータから推論/推定することができる。
【0058】
較正データが、温度データ、又はΔR=0に対して電圧降下V
on_1_calibrationを温度Tと相関させるデータを含む場合、温度Tを同様に推定することができる。温度に対して特定のセンサがない場合、このような較正は、オンラインで実施することは困難である。特定のセンサがない場合、このような較正は、パワー半導体デバイスの組立前に、オフラインで実施することができる。電気抵抗ΔRは、随時推定することができる。これは、好ましくは、変調周波数F
modが高い場合(IGBT及びダイオードアセンブリの場合)に行われる。この状況では、温度Tは、熱慣性のために、交流電流(AC)の期間の1/4(T
mod/4)の間の定数としてみなすことができる。
図6、
図7及び
図8は、温度Tと電圧降下V
onとの間の曲線の形態での相関データの例を示す。
図6及び
図7は、例えば、ダイオードアセンブリ及びIGBTのそれぞれの高電流I
on_2下での電圧降下V
onを示す。
図8は、例えば、ダイオードアセンブリ及びIGBTの低電流I
on_1下での電圧降下V
onを示す。
【0059】
パワー半導体デバイスがパッケージ化デバイスであるいくつかの実施形態では、オン電圧降下V
onは、パッケージ化デバイスのそのオン状態における両端の電圧降下である。例えば、オン状態電圧降下V
onは、電圧クランプ、信号調整器及びアナログデジタル変換器(ADC)から構成される回路を使用することによって測定される。
【0060】
ステップd)に関して、パワー半導体デバイス1の動作状態を表すモニタリングされる値は、例えば、負荷電流I
load及び/又は変調周波数F
modを含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、変調周波数F
modは、電圧降下V
onを受け取る又は推定するために有用なパラメータである。パワー半導体デバイスの動作応用に応じて、上記デバイスのうちのいくつかは、例えばモータと組み合わせて、交流電流(AC)で使用される。このような場合、負荷電流I
loadは、周期的形状、例えば、正弦波挙動を有する。変調周波数F
modは、可変であり、例えば、1Hz〜1kHzにある。例えば、同期モータに接続されたコンバータとして使用されるデバイスの場合、変調周波数は、モータの回転速度に対して比例する。1つの例は電気自動車である。このような応用では、変調周波数F
modは、自動車を低速で運転しているときは低く、自動車を高速で運転しているときは高い。変調周波数F
modは、電流値及び電圧値から導出することができる。変調周波数F
modはまた、外部コントローラによっても提供することができる。
【0061】
ステップa)、b)、c)、e)、f)及びg)は、少なくとも一対の2つの関連する電圧降下(V
on_1_calibration及びV
on_2_calibration)並びに(V
on_1_test及びV
on_2_test)の関連する測定値を得るために最良の瞬間に実施されるように構成される。それに従って、測定するステップe)及びf)の基準の第1の事前定義された組及び第2の事前定義された組が選択される。好ましくは、基準の第1の事前設定された組及び第2の事前設定された組は、互いに一貫して選択される。
【0062】
例えば、最良の瞬間は、2つの電圧降下V
on_1及びV
on_2が測定される時に温度Tが実質的に同じであることが好ましい。例えば、2つの電圧降下V
on_1及びV
on_2は、連続した瞬間に測定される。例えば、最大5ミリ秒の分離された2つの瞬間において2つの測定を改善するように基準の第1の組及び第2の組を選択することができる。例えば、2つの電圧降下V
on_1及びV
on_2は、AC電流の期間の同じ1/4(T
mod/4)において、かつ高い変調周波数F
mod、例えば、Zより上位の変調周波数(Zは、20Hz、30Hz又は50Hzに等しい)に対して測定される。
図11は、期間Tの1/4未満の互いに分離された2つの連続した瞬間での2つの別個の電流値I
on_1及びI
on_2における別個の電圧降下値V
on_1及びV
on_2を測定する一例を示す。
【0063】
パワー半導体デバイス1の動作状態を表す少なくとも1つのモニタリングされる値は、パワー半導体デバイス1が受ける電流I
on自体を含むことができる。このような場合、基準の組は、上記電流I
on自体に関する基準を含むことができる。これにより、例えば低電流及び高電流下での電流I
onに関する2つの別個の状況における測定を改善することができる。例えば、基準の第1の事前定義された組は、第1の閾値より下位のモニタリングされる電流値Iを含む。基準の第2の事前定義された組は、第2の閾値より上位のモニタリングされる電流値Iを含む。第2の閾値は、例えば、第1の閾値より上位であるように選択される。例えば、閾値は、公称電流値I
nomの一部として定義され、第1の閾値は、公称電流値I
nomのX%であり、第2の閾値は、公称電流値I
nomのY%である。例えば、Xは、20%、30%又は40%である。例えば、Yは、60%、70%又は80%である。これらの値は、パワー半導体デバイス1の公称電流値I
nomの関数として、応用のタイプに応じて、かつ電流センサの特徴(精度及び正確さ)に応じて、定義することができる。第1の電流値I
on_1及び第2の電流値I
on_2に関する条件が満たされる(一方が他方に対して厳密に上位である)実施形態では、ステップe)、ステップf)それぞれの基準の組は、ステップa)、ステップb)それぞれの条件と同じとすることができる。
【0064】
パワー半導体デバイス1の動作状態を表す少なくとも1つのモニタリングされる値は、パワー半導体デバイス1が受ける電流I
on自体と、パワー半導体デバイス1の1つのトランジスタ又は一組のトランジスタのゲートレベルGとを含むことができる。このような場合、基準の組は、以下のようにすることができる。
−基準の第1の事前定義された組は、低レベルのゲートレベルを含み、かつ、
−基準の第2の事前定義された組は、高レベルのゲートレベルを含む。
【0065】
同じ実施形態において、2つのステップa)及びb)の間の異なる電流値I
on_1及びI
on_2に関する条件を、ゲートレベルに関して定義される動作状態に関連するステップe)及びf)に対する基準の2つの組と組み合わせることができ、その逆も可能である。
【0066】
条件(ステップa)及びb))及び/又はゲートレベルに関する基準(ステップe)及びf))を含む実施形態は、外部逆平行ダイオードのないMOSFETに対して特に好適である。MOSFETがオン(高ゲートレベル)であるとき、電流I
on_1に対して電圧(V
on_1_calibration及び/又はV
on_1_test)が測定される。MOSFETがオフ(低ゲートレベル)でありかつ内部ボディダイオードが導通しているとき、電流I
on_2に対して電圧(V
on_2_calibration及び/又はV
on_2_test)が測定される。電流値I
on_1及びI
on_2は、等しくかつ負(ソースからドレインに流れる)とすることができる。
【0067】
健全性の状態を非常に頻繁に推定することは必要ではない可能性があるため、少なくともいくつかの実施形態に対して或る特定の動作時間に対して健全性推定を非アクティベートするように決定することができる。
【0068】
他の実施形態では、パワー半導体デバイス1の電圧降下値V
on_1及びV
on_2の測定と、パワー半導体デバイス1が受ける電流値I
on_1及びI
on_2の測定とは、少なくとも1つのモニタリングされる値(例えば、F
mod及び/又はI
load)が(基準の組が守られる場合)パワー半導体デバイス1の第1の事前定義された動作状態又は第2の事前定義された動作状態に対応する瞬間のみではなく、連続的に又は所定頻度で実施される。言い換えれば、電圧降下V
on及び電流I
onは、連続的にモニタリングすることができ、動作データV
on_1_test、I
on_1、V
on_2_test、I
on_2は、後処理によって定義することができる、又は、モニタリングは、電流がI
on_1及びI
on_2に等しいときにトリガーされる。
【0069】
電流がI
on_1及びI
on_2に等しいときにのみのトリガーすることを含む実施形態は、ボディダイオードMOSFETを含む、IGBT及びダイオードのようなバイポーラデバイスに対して特に好適である。このような実施形態は、低電流I
on_1及び高電流I
on_2下での測定と組み合わせると特に有利である(上記例を参照されたい)。
【0070】
基準の上記例は、互いに組み合わせることができる。
【0071】
数値指標を計算するステップh)において、測定電圧V
on_1_test及びV
on_2_testを含む動作データは、較正データ、V
on_1_calibration、I
on_1及び/又はT
1_calibration、V
on_2_calibration、I
on_2及び/又はT
2_calibrationと合わせて使用されて、電気抵抗の増大ΔR、及び、任意選択的に、較正データが電圧降下V
onの関数として温度を推定するデータを含む場合は温度Tが、推定される。
【0072】
別の観点では、本方法は、以下のように分解することができる。
1)較正データを受け取るか又は生成し、
2)動作条件に関する情報を受け取るか又は測定し、
3)健全性の状態の推定及び/又は温度の推定に対する瞬間を決定し、
4)電流I
on_1において第1の電圧降下測定値V
on_1を受け取るか又は測定し、
5)電流I
on_2において第2の電圧降下測定値V
on_2を受け取るか又は測定し、
6)以下を含む、データの処理を行う。
a.先行して推定されたΔRを使用して接合部温度を推定し、及び/又は、
b.電気抵抗の増大ΔRを推定する。
【0073】
本出願人が試験した一例において、温度Tに対する較正後にモデルが確立された。収束により以下の関係に至る。
【0074】
【数3】
このような式では、第1部は接続抵抗(ワイヤボンド)であり、第2部はダイ電圧降下である。
【0075】
以下、この関係を使用してΔR及びTを推定する。
【0076】
1.目的:T推定
モジュールは新しい(使用されていない)ため、ΔR=0とみなす。
F
modは高い必要はなく、従ってT
1≠T
2である。
上記式及び測定されたV
on_1_test及びV
on_2_testを使用して、T
1及びT
2を推定することができる。
実際の温度T
1real=80℃及びT
2real=90℃と想定し、上記式が正しい場合、V
on_1_test及びV
on_2_testの測定値により、T
1及びT
2を正確に推定することができる。
a.低電流(I
on_1=2A)、測定されたV
on_1_test=0.712Vにより、推定温度は80℃になる。
b.高電流(I
on_2=100A)、測定されたV
on_2_test=2.24Vにより、推定温度は90℃になる。
したがって、式は正確である。
【0077】
2.目的:T推定
劣化による5mΩの抵抗増大、ただしそれは未知である(ΔR=0mΩと想定される)。
ΔRの不適切な推定による誤りが、T
2の推定に影響を与える。
ΔR
real=5mΩ、T推定(現実=80℃及び90℃)
a.低電流(I
on_1=2A)、測定されたV
on=0.713Vにより、推定温度は80℃の代わりに79.75℃になる。
b.高電流(I
on_2=100A)、測定されたV
on=2.29Vにより、推定温度は90℃の代わりに77.5℃になる。
したがって、ΔRの値は更新されなければならない。
【0078】
3.目的:高いF
modでのΔR推定
ΔR
real=5mΩ、ΔR推定(現実=80℃)
a.低電流(I
on_1=2A)、測定されたV
on=0.713Vにより、推定温度は80℃の代わりに79.75℃になる。ここでは、温度のみを推定する。
b.高電流(I
on_2=100A)、(高いF
modのため実際は80℃での)測定されたV
on=2.33Vにより、推定されたΔRは(モデルに従って79.75℃で)4.9mΩになる。ここで、ΔRが推定される。
【0079】
ΔR推定の後、それを再度用いて、温度及び損傷が推定され、T及びΔR測定の収束に至る。
【0080】
以下、パワー半導体デバイスの様々なタイプ/構成に応じて、実施形態のいくつかの例について説明する。
【0081】
第1の例では、パワー半導体デバイス1は、ハーフブリッジ構成を有する。
図9は、例えば、2つのハーフブリッジレッグからなるフルブリッジ構成を示す。ダイオードが、IGBTに対して逆平行に接続されている。電圧は、組合せの両端で検知される。負荷における電流が検知される。負荷電流に応じて、測定される電圧降下は、IGBTの両端(正の電圧)又はダイオードの両端(負の電圧)である。各デバイスのモニタリングは、例えば、続く半変調期間中に実施される。
【0082】
第2の例では、パワー半導体デバイス1は、ゲート電圧感度として使用される。いくつかのIGBT及びMOSFETに対して、V
on(I
on)曲線の温度感度は、ゲート電圧によって決まる。これにより、
図4〜
図8に示すように、曲線V
on_2(V
on_1)及びV
on(T
j)が変更される。したがって、ゲート電圧は、ΔRのみを推定する方法と、ΔR及びT
jを推定する方法との両方に対して感度を増大させるように制御することができる。これには、ゲート電圧を制御する特別な手段が必要である。このような場合、適切なゲート電圧により、V
on_1をV
on_2にかつ(ΔR又はV
on)を(T
j、I
on及びΔR)に相関させるモデルを確立することが必要である。
【0083】
第3の例では、本方法を使用して、パワー半導体デバイス1の健全性の状態が推定される。電気抵抗の増大ΔRを直接使用して、健全性の状態を推定することができる。例えば、1mΩの増大は、50%の損傷レベルを示すことができる。
【0084】
第4の例では、本方法を使用して、応力カウントを使用することによりパワー半導体デバイス1の健全性の状態が推定される。オンラインで推定される接合部温度は、「レインフロー」アルゴリズム等、温度サイクルカウントアルゴリズムへの入力として使用することができる。コフィン−マンソンモデル又は結合されたコフィン−マンソン及びアレニウスモデル等のいわゆる損傷モデルを使用して、各サイクルによってモータらされる損傷を推定することができる。そして、線形累積則等の損傷累積則を使用して、全体的な損傷を推定することができる。
【0085】
第5の例では、本方法を使用して、熱抵抗パラメータを使用することによりパワー半導体デバイス1の健全性の状態が推定される。ダイにおける電力損失P
lossは、入力I
on、V
onを用いる損失モデルによって推定することができる。ダイとベースプレートとの間の温度差ΔTは、T
j推定値及びケース温度T
cを使用して推定することができる。温度抵抗R
thは、P
loss及びΔT=T
j−T
cを使用して推定することができる。
【0086】
任意選択的なステップi)を含む第6の例では、本方法を使用して、パワー半導体デバイス1の寿命の終わり(すなわち、残存耐用年数、RUL)が推定される。これには、パラメータの時間での外挿が必要である。このパラメータは、健全性の状態、及び/又は電気抵抗の増大ΔR、及び/又は熱抵抗の増大とすることができる。外挿を実施するために、これらのパラメータの漸進的変化のモデルが必要である可能性がある。モデルの1つの物理的に的確な例は以下の通りである。
【数4】
【0087】
それは、メタライゼーション部の抵抗の線形増大とワイヤボンド部における線形亀裂進展とを想定する簡易モデルである。このようなモデルは、特定し/当てはめ、その後、外挿することができる。閾値との交差点が寿命の終わりを与える。
【0088】
上述した例は、互いに、かつ上述した実施形態と組み合わせることができる。パワー半導体デバイス1における電気的接続及びパワー半導体デバイス1の健全性の劣化状態を確立する方法は、様々な技術分野において、特に牽引機器、風力エネルギー、ファクトリーオートメーション又は自動車において、様々なパワーモジュールに適用することができる。
【0089】
本発明を方法として説明した。別の態様ではまた、本発明は、少なくとも1つの記憶媒体に動作可能に関連付けられた少なくとも1つのプロセッサと、パワー半導体デバイス1にプラグ接続することができる一組のプラグとを備える診断装置100(
図10に示す)として見ることができる。このような診断装置100は、パワー半導体デバイス1にプラグ接続されると、上記に記載の方法を実施するために構成される。本発明はまた、例えば、動作アセンブリを形成するように互いに動作可能に結合することができるパワー半導体デバイス1及び診断装置100を備えるキットの形態も有することができる。
【0090】
本発明は、単に例である、本明細書に記載したデバイス、アセンブリ、キット及びプロセスに限定されない。本発明は、当業者が添付の請求項の範囲内で構想するであろう全ての代替形態を包含する。