(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多孔性拡散層は、アクリレート、メタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)、乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル、非結晶性ナイロン、配向ポリエステル、テレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、または、ポリスチレンを含む、請求項1に記載の活性分子送達システム。
前記複数のマイクロセルは、第1の活性製剤を含有する第1のマイクロセルと、第2の活性製剤を含有する第2のマイクロセルとを含む、請求項1に記載の活性分子送達システム。
前記複数のマイクロセルは、第1の濃度の前記活性製剤を含有する第1のマイクロセルと、第2の濃度の前記活性製剤を含有する第2のマイクロセルとを含む、請求項1に記載の活性分子送達システム。
前記活性分子送達システムは、第2の電極をさらに備え、前記第2の電極は、前記第1の電極に隣接し、かつ、前記複数のマイクロセルの、前記第1の電極と同一の側に配置されている、請求項1に記載の活性分子送達システム。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、異なる活性分子が異なるマイクロセルの中に含まれる、多孔性伝導層を含む複数のマイクロセルを含む、活性分子送達システムのある実施形態を図示する。
図1の実施形態では、荷電電気泳動粒子が、マイクロセル内で移動され、活性分子の流動を調整することができる。
【0010】
【
図2】
図2Aおよび2Bは、伝導性グリッド電極と、多孔性拡散層とを含む、複数のマイクロセルを含む、活性分子送達システムのある実施形態を図示する。
図2Aおよび2Bの実施形態では、異なるマイクロセルは、異なる製剤を有し、したがって、活性分子の混合物が、駆動極性が切り替わると、送達される。
【0011】
【
図3-1】
図3Aおよび3Bは、伝導性グリッド電極と、多孔性拡散層とを含む、複数のマイクロセルと、荷電薬物分子を含む、シール層とを含む、活性分子送達システムのある実施形態を図示する。
図3Aおよび3Bの実施形態では、荷電薬物分子は、シール層から皮膚に送達される。
【0012】
【
図3-2】
図3Cおよび3Dは、伝導性グリッド電極と、多孔性拡散層と、シール層とを含む、複数のマイクロセルを含む、活性分子送達システムのある実施形態を図示する。多孔性拡散層は、荷電薬物分子を含む。
図3Cおよび3Dの実施形態では、荷電薬物分子は、多孔性拡散層から皮膚に送達される。
【0013】
【
図3-3】
図3Eおよび3Fは、伝導性グリッド電極と、多孔性拡散層と、シール層と、別個の薬物装填層とを含む、複数のマイクロセルを含む、活性分子送達システムのある実施形態を図示する。多孔性拡散層は、荷電薬物分子を含む。
図3Eおよび3Fの実施形態では、荷電薬物分子は、薬物装填層から皮膚に送達される。
【0014】
【
図4】
図4は、ロールツーロールプロセスを使用して本発明のマイクロセルを作製するための方法を示す。
【0015】
【
図5-1】
図5Aおよび5Bは、熱硬化性前駆体でコーティングされた導体膜のフォトマスクを通したフォトリソグラフィ露光を使用した、活性分子送達システムのためのマイクロセルの生産を詳述する。
【0016】
【
図5-2】
図5Cおよび5Dは、活性分子送達システムのためのマイクロセルがフォトリソグラフィを使用して加工される、代替実施形態を詳述する。
図5Cおよび5Dでは、上部露光ならびに底部露光の組み合わせが、使用され、不透過性のベース導体膜を通して、1つの横方向の壁が上部フォトマスク露光によって硬化され、別の横方向壁が底部露光によって硬化されることを可能にする。
【0017】
【
図6】
図6A−6Dは、活性分子送達システム内で使用されるべきマイクロセルのアレイを充填かつシールするステップを図示する。
【0018】
【
図7】
図7A、7B、および7Cは、多孔性伝導層の代替実施形態を図示する。
図7Aは、マイクロセルの開口部に隣接する、伝導性グリッドを示す。
図7Bは、マイクロセルの開口部に隣接する、伝導性フィラメントのマットを示す。
図7Cは、マイクロセルの開口部に隣接する、伝導性の多孔性膜を示す。
【0019】
【
図8】
図8Aは、活性製剤でマイクロセルを充填するステップを図示する。
図8Bは、加えてアジュバントを含むシール層でマイクロセルをシールするステップを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
説明
本発明は、活性分子送達システムであって、それによって、活性分子が要求に応じて放出され得、および/または種々の異なる活性分子が同一のシステムから送達され得、ならびに/もしくは異なる濃度の活性分子が同一のシステムから送達され得る、活性分子送達システムを提供する。本発明は、患者に医薬品を経皮的に送達することに非常に好適であるが、しかしながら、本発明は、概して、活性成分を送達するために使用されてもよい。例えば、本発明は、輸送の間、ウマに鎮静薬を送達することができる。活性分子送達システムは、第1の電極と、複数のマイクロセルと、多孔性伝導層とを含む。マイクロセルは、活性分子を含む媒体で充填される。マイクロセルは、開口部を含み、開口部は、多孔性伝導層によって跨架される。マイクロセルアレイは、異なる活性成分が装填され、それによって、要求に応じて、異なるまたは相補的な活性成分を送達するための機構を提供し得る。
【0021】
医薬化合物の経皮送達等のさらなる従来の用途に加えて、活性分子送達システムは、農産用栄養剤を送達するための基礎となり得る。活性分子送達システムはまた、スマートパッケージの構造的な壁の中に組み込まれることができる。そのような送達システムは、新鮮な野菜を含有するパッケージの中への抗酸化剤の長時間放出を行うことを可能にする。本「スマート」パッケージングは、ある食品の貯蔵寿命を劇的に改善し、これは、パッケージが開放されるまで、鮮度を維持するために必要な量の抗酸化剤のみを要求する。したがって、同一のパッケージングが、地域で、国を横断して、または全世界に流通される食品に関して使用されることができる。
【0022】
本発明はまた、要求に応じた、活性分子の「カクテル」の単純かつ低コストの送達のためのシステムを提供する。そのような送達システムは、例えば、アレルギー反応を経験している人のための緊急送達システムとして使用されてもよい。本システムは、エピネフリンならびに抗ヒスタミン剤を含んでもよい。本デバイスは、適用され、次いで、活性分子を皮膚を迅速に通過させるように誘起されることができる。本システムは、特に、遠足等に行く際、命に関わるアレルゲンに暴露され得る幼児のための予備システムとして効果的であり得る。例えば、蜂刺傷の場合には、保護者が、取扱説明書を用いて、送達システムを子供に添着し、本デバイスをアクティブ化させることができる。本デバイスは、比較的に単純であるため、適切な送達プロトコルへの準拠は、例えば、エピペンを上回る。
【0023】
活性分子送達システムの概要が、
図1に示される。本システムは、複数のマイクロセルを含み、各マイクロセルは、例えば、活性分子、例えば、医薬品、例えば、薬物を含む、活性製剤を含む。各マイクロセルは、ポリマー母材から形成される、アレイの一部であり、その構成が、下記により詳細に説明される。マイクロセルは、典型的には、プライマでコーティングされ、これは、マイクロセル表面と活性製剤との間の相互作用を低減させる。活性分子送達システムはまた、典型的には、保護層を含み、湿気の進入および物理的な相互作用に対する構造的支持ならびに保護を提供する。マイクロセルは、少なくとも1μmの高さである壁によって画定されるが、それらは、マイクロセルの所望される深度に応じてはるかにより高くあり得る。マイクロセルは、正方形、ハニカム、円形等であるように配列されてもよい。マイクロセルは、伝導性フィラメントのグリッド、メッシュ、マット、または伝導性の多孔性膜等の任意の生体適合性の多孔性導体を含み得る、多孔性伝導層によって跨架される、開口部を有する。本システムはまた、アクリレート、メタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)、乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル、非結晶性ナイロン、配向ポリエステル、テレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、またはポリスチレン等の種々の天然もしくは非天然ポリマーから構成され得る、多孔性拡散層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、多孔性伝導層および多孔性拡散層は、同一の層に統合される。多くの場合、本システムは、加えて、また、活性分子に対して多孔性である接着層を含む。接着層は、活性分子送達システムを表面に隣接させて保つことを補助する。開口部に隣接する層のいずれか(例えば、多孔性拡散層または接着層)は、物質の組み合わせが皮膚を通して同時に送達されることを可能にする、アジュバント等および浸透促進剤等の付加的活性分子を含んでもよい。
【0024】
図1に示されるように、異なるマイクロセルが、異なる時間に、異なる独立電極を用いてアドレス指定され、同一の送達システム内に異なる放出プロファイルを生じさせてもよい。電位が、独立電極を用いて制御されるため、マイクロセルアレイ全体にわたる、単一の多孔性伝導層を使用することが、可能として考えらえれる。加えて、電場が、多孔性層に向かってまたはそれに隣接するように移動することによって、薬物送達を調整し得る、電気泳動粒子を駆動させるために使用されてもよい。他の実施形態では、マイクロセルは、電気泳動粒子の複数の異なるタイプを含んでもよい。
【0025】
図2Aおよび2Bは、本発明が1つを上回る活性分子を送達するために使用され得る様子、ならびにその活性分子が、荷電状態または中性のいずれかであり得る様子を図示する。活性分子は、マイクロセル層および/またはシール層ならびに/もしくは接着層内に、および/またはシール層と接着層との間の別個の薬物装填層(もしくは複数の層)内に装填されることができる。マイクロセルの内側の荷電粒子は、1つの極性のみの電荷(「+」または「−」)である、もしくは正および負荷電の粒子の両方を含有し得る。マイクロセルはまた、同一の電荷極性であるが、異なる電荷の大きさの異なる荷電粒子を含むことができる。多孔性伝導電極は、接着層および/または内側シール層の内側、ならびに/もしくはシール層と接着層との間の層(または複数の層)内に設置されることができる。多孔性電極はまた、付加的層が、接着層とシール層との間に導入されると、シール層と接着層との間の界面、および/または接着剤と皮膚層との間の界面、ならびに/もしくは任意の界面に存在することができる。
【0026】
図2Aに示されるように、荷電活性分子が、マイクロセルの第1の部分内にあってもよく、中性活性分子が、マイクロセルの第2の部分内にあってもよい。一方で、マイクロセルの両方の部分が、上部電極と多孔性伝導層との間の正しい電位の付勢を用いて半多孔性シール層に対して移動される、荷電粒子を含むことができる。
図2Bに示されるように、極性が逆にされると、荷電粒子は、逆に荷電した上部電極に向かって移動し、それによって、半多孔性シール層、多孔性伝導層、および多孔性拡散層を通した、正に荷電したまたは中性の薬物の通過に対する制限を減少させる。
図2Bに示されるように、正に荷電した薬物が、多孔性伝導層の極性に向かって誘引されるため、それらは、中性粒子より急速に、シール/伝導性/拡散層を通して移動する。(中性粒子の運動は、主に、濃度勾配の関数である。)
【0027】
付加的機能が、付加的荷電活性分子を用いてマイクロセル層の外側の1つまたはそれを上回る層に予負荷をかけることによって、活性分子送達システムに導入されることができる。付加的荷電活性分子は、同一の活性分子または異なる活性分子であり、それによって、基本的薬物送達もしくは薬物組み合わせの送達を可能にし得る。例えば、本システムは、
図3Aおよび3Bに示されるような、シール層中の荷電活性分子、または
図3Cならびに3Dに示されるような、多孔性拡散層中の荷電活性分子、もしくは
図3Eおよび3Fに示されるような、別個の薬物装填層中の荷電活性分子を含んでもよい。さらに、2つの反対に荷電した粒子が、光透過性の上部電極とともに含まれるとき、送達システムは、加えて、デバイスの状態を視覚的に示す電気泳動ディスプレイとして、機能することができる。
【0028】
当然ながら、種々の組み合わせもまた、可能性として考えられ、種々のマイクロセルが、医薬品、栄養補助食品、アジュバント、ビタミン、浸透剤、またはワクチンを含む場合がある。さらに、マイクロセルの配列は、分散されない場合がある。むしろ、マイクロセルは、まとめて充填されてもよく、これは、充填およびシールをより容易にする。他の実施形態では、より小さいマイクロセルアレイが、同一の媒体、すなわち、同一の濃度の同一の活性分子を有するもので充填され得、次いで、より小さいアレイは、より大きいアレイにまとめられ、本発明の送達システムを作製し得る。これらの組み合わせは全て、さらに、付加的な医薬品、栄養補助食品、アジュバント、ビタミン、浸透剤、またはワクチンを含む、1つまたはそれを上回る層の追加を伴って増加され得る。
【0029】
マイクロセルを構成するための技法。マイクロセルは、米国特許第6,933,098号に開示されているようなバッチ式プロセスまたは連続的ロールツーロールプロセスのいずれか一方で形成され得る。後者は、活性分子送達および電気泳動ディスプレイを含む種々の用途における使用のためのコンパートメントの生産のための、連続的、低コスト、高処理能力の製造技術を提供する。本発明との併用に好適であるマイクロセルアレイは、
図4に図示されるように、マイクロエンボスを用いて作成されることができる。雄金型20が、
図4に示されるように、ウェブ24の上方か、またはウェブ24の下方(図示せず)のいずれか一方に設置され得るが、しかしながら、代替の配列もまた、可能性として考えられる。米国特許第7,715,088号(参照することによって全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。伝導性基質が、デバイスのための基材となるポリマー基質上に導体膜21を形成することによって、構成され得る。熱可塑性物質、熱硬化性物質、またはその前駆体を含む組成物22が、次いで、導体膜上にコーティングされる。熱可塑性または熱硬化性前駆体層が、ローラ、プレート、もしくはベルトの形態の雄金型によって、熱可塑性または熱硬化性前駆体層のガラス遷移温度より高温でエンボス処理される。
【0030】
マイクロセルの調製のための熱可塑性または熱硬化性前駆体は、多官能アクリレートもしくはメタクリレート、ビニルエーテル、エポキシド、およびそのオリゴマーまたはポリマー、ならびに同等物であってもよい。多官能性エポキシドおよび多官能アクリレートの組み合わせはまた、望ましい物理的機械的性質を達成するために非常に有用である。ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレート等の可撓性を付与する架橋性オリゴマーが、エンボス処理されたマイクロセルの撓曲抵抗を改善するために追加されてもよい。組成物は、ポリマーと、オリゴマーと、モノマーと、添加剤と、またはオリゴマーと、モノマーと、添加剤とのみを含有してもよい。本クラスの材料に関するガラス遷移温度(すなわち、T
g)は、通常、約−70℃〜約150℃、好ましくは、約−20℃〜約50℃の範囲に及ぶ。マイクロエンボスプロセスは、典型的には、T
gより高温で実行される。それに対して金型が圧接される加熱された雄金型または加熱された筐体基質が、マイクロエンボスの温度および圧力を制御するために使用されてもよい。
【0031】
図4に示されるように、前駆体層が硬化され、マイクロセルのアレイ23を露見させる間またはその後、金型が、取り外される。前駆体層の硬化は、冷却、溶媒蒸発、放射線による架橋結合、加熱、または加湿によって遂行され得る。熱硬化性前駆体の硬化がUV照射によって遂行される場合、UVは、2つの図に示されるように、ウェブの底部または上部から透過性の導体膜上に放射されてもよい。代替として、UVランプが、金型の内側に設置されてもよい。本場合では、金型は、UV光が、事前にパターン化された雄金型を通して熱硬化性前駆体層上に放射することを可能にするように透過性でなければならない。雄金型は、後にエッチングまたは電気鍍着のいずれか一方が続く、ダイヤモンド旋削プロセスもしくはフォトレジストプロセス等の任意の適切な方法によって調製されてもよい。雄金型のためのマスタテンプレートが、電気鍍着等の任意の適切な方法によって製造されてもよい。電気鍍着を用いて、ガラス基部が、クロムインコネル等のシード金属の薄層(典型的には、3,000Å)でスパッタリング処理される。金型は、次いで、フォトレジスト層でコーティングされ、UVに露光される。マスクが、UVとフォトレジスト層との間に設置される。フォトレジストの露光面積が、硬化される。非露光面積が、次いで、適切な溶媒を用いてそれらを洗浄することによって除去される。残りの硬化フォトレジストが、乾燥され、再び、シード金属の薄層でスパッタリング処理される。マスタテンプレートは、次いで、電鋳できる状態になる。電鋳のために使用される典型的材料は、ニッケルコバルトである。代替として、マスタテンプレートは、電鋳または無電解ニッケル析出によって、ニッケルから作製されることができる。金型の床は、典型的には、約50〜400ミクロンである。マスタテンプレートはまた、「Replication techniques for micro−optics」SPIE Proc. Vol. 3099, pp. 76−82 (1997)に説明されるような、電子ビーム描画、乾式エッチング、化学エッチング、レーザ描画、またはレーザ干渉を含む他のマイクロエンジニアリング技法を使用して作製されることができる。代替として、金型は、プラスチック、セラミック、または金属を使用して、光機械加工によって作製されることができる。
【0032】
UV硬化性樹脂組成物を適用することに先立って、金型は、離型プロセスを補助するための離型剤を用いて処置されてもよい。UV硬化性樹脂は、分与されることに先立って、脱気されてもよく、随意に、溶媒を含有してもよい。溶媒は、存在する場合、容易に蒸発する。UV硬化性樹脂は、コーティング、浸漬、傾注、または同等物等の任意の適切な手段によって分与される。ディスペンサは、移動式または固定式であってもよい。導体膜が、UV硬化性樹脂上に置かれる。必要である場合、圧力が、樹脂とプラスチックとの間の適切な接合を確実にするように、かつマイクロセルの床の厚さを制御するように印加されてもよい。圧力は、ラミネートローラ、真空成型、プレス加工デバイス、または任意の他の同様の手段を使用して印加されてもよい。雄金型が、金属であり、不透過性である場合、プラスチック基質は、典型的には、樹脂を硬化させるために使用される化学線に対して透過性である。逆に、雄金型が、透過性であり得る場合、プラスチック基質は、化学線に対して不透過性であり得る。成型された特徴の移送シート上への良好な転写を得るために、導体膜は、金型表面に対する良好な離型性質を有するべきUV硬化性樹脂への良好な粘着力を有する必要がある。
【0033】
フォトリソグラフィ。マイクロセルはまた、フォトリソグラフィを使用しても生産されることができる。マイクロセルアレイを加工するためのフォトリソグラフィプロセスが、
図5Aおよび5Bに図示される。
図5Aおよび5Bに示されるように、マイクロセルアレイ40が、公知の方法によって導体電極フィルム42上にコーティングされた放射線硬化性材料41aを、マスク46を通してUV光(または代替として、他の形態の放射線、電子ビーム、ならびに同等物)に露光し、マスク46を通して投影された画像に対応する壁41bを形成することによって、調製されてもよい。ベース導体膜42が、好ましくは、塑性材料を含み得る支持基質ベースウェブ43上に搭載される。
【0034】
図5Aのフォトマスク46では、暗色の正方形部44が、不透過性面積を表し、暗色の正方形部の間の空間が、マスク46の透過性面積45を表す。UVは、透過性面積45を通して放射線硬化性材料41a上に照射する。露光が、好ましくは、直接、放射線硬化性材料41a上に実施される、すなわち、UVは、基質43またはベース導体42を通過しない(上部露光)。本理由のために、基質43または導体42のいずれも、UVもしくは他の採用される放射線波長に対して透過性である必要はない。
【0035】
図5Bに示されるように、露光面積41bが、硬化し、非露光面積(マスク46の不透過性面積44によって保護される)が、次いで、適切な溶媒または現像液によって除去され、マイクロセル47を形成する。溶媒または現像液は、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、アセトン、イソプロパノール、もしくは同等物等の放射線硬化性材料を分解またはその粘性を低減させるために一般的に使用されるものから選択される。マイクロセルの調製は、導体膜/基質支持ウェブの真下にフォトマスクを設置することによって同様に遂行され得、本場合では、UV光は、フォトマスクを通して底部から放射し、基質は、放射線に対して透過性である必要がある。
【0036】
画像様露光。画像様露光による、本発明のマイクロセルアレイの調製のためのさらに別の代替方法が、
図5Cおよび5Dに図示される。不透過性の導体ラインが使用されるとき、導体ラインは、底部からの露光のためのフォトマスクとして使用されることができる。耐久性マイクロセル壁が、導体ラインに対して垂直である不透過性ラインを有する第2のフォトマスクを通した、上部からの付加的な露光によって形成される。
図5Cは、本発明のマイクロセルアレイ50を生産するための、上部および底部露光原理の両方の使用を図示する。ベース導体膜52は、不透過性であり、線状にパターン化されている。ベース導体52および基質53上にコーティングされた放射線硬化性材料51aが、第1のフォトマスクとしての役割を果たす導体の線状パターン52を通して、底部から露光される。第2の露光が、導体ライン52に対して垂直である線状パターンを有する第2のフォトマスク56を通して、「上」面から実施される。ライン54の間の空間55は、UV光に対して実質的に透過性である。本プロセスでは、壁材料51bが、底部から上に、1つの横配向に硬化され、かつ上部から下に、垂直方向に硬化され、継合し、一体型のマイクロセル57を形成する。
図5Dに示されるように、非露光面積が、次いで、上記に説明されるように、溶媒または現像液によって除去され、マイクロセル57を露見させる。
図5Cおよび5Dに説明される技法は、したがって、異なる壁が、
図3に図示される実施形態に関して必要に応じて、異なる多孔性を伴うように構成されることを可能にする。
【0037】
マイクロセルは、マイクロセルとの良好な親和性を有し、かつ電気泳動媒体と相互作用しない、熱可塑性エラストマから構成されてもよい。有用である熱可塑性エラストマの実施例は、ABAおよび(AB)n型のジブロック、トリブロック、ならびにマルチブロック共重合体である(式中、Aは、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、またはノルボルネンであり、Bは、ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ジメチルシロキサン、もしくはプロピレンスルフィドであり、AおよびBは、化学式において同一であることはできない。数nは、≧1であり、好ましくは1〜10である)。特に有用であるものは、SB(ポリ(スチレン−b−ブタジエン))、SBS(ポリ(スチレン−b−ブタジエン−b−スチレン))、SIS(ポリ(スチレン−b−イソプレン−b−スチレン))、SEBS(ポリ(スチレン−b−エチレン/ブチレン−b−スチレン))ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン−b−スチレン)、ポリ(α−メチルスチレン−b−イソプレン)、ポリ(α−メチルスチレン−b−イソプレン−b−α−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン−b−プロピレンスルフィド−b−α−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン−b−ジメチルシロキサン−b−α−メチルスチレン)等の、スチレンまたはox−メチルスチレンのジブロックもしくはトリブロック共重合体である。Kraton D and G series(Kraton Polymer(Houston,Tex.)製)等の商業的に利用可能なスチレンブロック共重合体は、特に、有用である。ポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−5−メチレン−2−ノルボルネン)等の結晶性ゴムまたはVistalon 6505(Exxon Mobil(Houston,Tex..)製)等のEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー)ゴム、およびそれらのグラフト共重合体もまた、非常に有用であることが見出されている。
【0038】
熱可塑性エラストマは、マイクロセル中のディスプレイ流体と非混和性であり、かつディスプレイ流体のものを下回る比重を示す、溶媒または溶媒混合物の中に溶解され得る。低表面張力溶媒は、マイクロセル壁および電気泳動流体に優るそれらのより良好な濡れ性のため、オーバーコーティング組成物として好ましい。35ダイン/cmより低い表面張力を有する溶媒または溶媒混合物が、好ましい。30ダイン/cmより低い表面張力が、より好ましい。好適な溶媒は、アルカン(好ましくは、ヘプタン、オクタン、またはExxon Chemical Company製Isopar溶媒、ノナン、デカン等のC
6−12シクロアルカン、およびそれらの異性体)、シクロアルカン(好ましくは、シクロヘキサンならびにデカリン等のC
6−12シクロアルカンおよび同等物)、アルキルベンゼン(好ましくは、トルエン、キシレン等のモノ−もしくはジ−C
1−6アルキルベンゼンならびに同等物)、アルキルエステル(好ましくは、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のC
2−5アルキルエステルおよび同等物)ならびにC
3−5アルキルアルコール(イソプロパノールおよび同等物ならびにそれらの異性体等)を含む。アルキルベンゼンと、アルカンとの混合物は、特に、有用である。
【0039】
ポリマー添加剤に加えて、ポリマー混合物はまた、湿潤剤(界面活性剤)を含んでもよい。湿潤剤(3M Company製FC界面活性剤、DuPont製Zonylフッ素系界面活性剤、フルオロアクリレート、フルオロメタクリレート、フルオロ置換長鎖アルコール、ペルフルオロ置換長鎖カルボン酸、およびそれらの誘導体、ならびにOsi(Greenwich,Conn.)製Silwetシリコーン界面活性剤等)もまた、マイクロセルへのシーラントの粘着力を改善し、より柔軟なコーティングプロセスを提供するために、組成物中に含まれてもよい。架橋剤(例えば、4,4′−ジアジドジフェニルメタンおよび2,6−ジ(4′−アジドベンザール)−4−メチルシクロヘキサノン等のビスアジド)、加硫剤(例えば、2−ベンゾチアゾリルジスルフィドならびにテトラメチルチウラムジスルフィド)、多官能性モノマーまたはオリゴマー(例えば、ヘキサンジオール、ジアクリレート、トリメチロールプロパン、トリアクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート)、熱開始剤(例えば、過酸化ジラウロイル、過酸化ベンゾイル)、および光開始剤(例えば、Ciba−Geigy製イソプロピルチオキサントン(ITX)、Irgacure 651、ならびにIrgacure 369)を含む他の材料もまた、オーバーコーティングプロセスの間もしくはその後の架橋結合または重合反応によって、シール層の物理的機械的性質を改善するために非常に有用である。
【0040】
マイクロセルは、生産された後、適切な活性分子の混合物で充填される。マイクロセルアレイ60は、上記に説明されるような方法のうちの任意のものによって調製されてもよい。
図6A−6Dの断面図に示されるように、マイクロセル壁61が、基材63から上向きに延在し、開放したセルを形成する。マイクロセルは、混合物を不動態化させ、かつマイクロセル材料が活性分子65を含有する混合物と相互作用しないように保つためのプライマ層62を含んでもよい。充填するステップに先立って、マイクロセルアレイ60は、使用に先立って活性分子が損なわれないことを確実にするために、清掃かつ殺菌されてもよい。
【0041】
マイクロセルは、次いで、活性分子65を含む混合物64で充填される。
図6Bに示されるように、異なるマイクロセルが、異なる活性分子を含んでもよい。マイクロセル60は、好ましくは、越流および活性成分との意図しない混合を防止するために、部分的に充填される。疎水性活性分子を送達するためのシステムでは、混合物は、生体適合性油またはある他の生体適合性疎水性キャリアをベースとしたものであってもよい。例えば、混合物は、植物油、果実湯、または堅果油から成ってもよい。他の実施形態では、シリコーン油が、使用されてもよい。親水性活性分子を送達するためのシステムでは、混合物は、水またはリン酸緩衝液等の別の水性媒体をベースとしたものであってもよい。混合物は、液体である必要はないが、しかしながら、ヒドロゲルおよび他の基質が、活性分子65を送達するために好適であり得る。
【0042】
マイクロセルは、種々の技法を使用して充填されてもよい。多数の隣接したマイクロセルが同じ混合物で充填されることになる、いくつかの実施形態では、マイクロセルをマイクロセル壁61の深度まで充填するために、ブレードコーティングが、使用されてもよい。種々の異なる混合物が種々の近傍のマイクロセルの中に充填されることになる、他の実施形態では、マイクロセルを充填するために、インクジェットタイプの微量注入法が、使用されることができる。さらに他の実施形態では、マイクロセルのアレイを正しい混合物で充填するために、マイクロニードルアレイが、使用されてもよい。充填は、一段階プロセスまたは多段階プロセスで行われてもよい。例えば、セル全てが、ある量の溶媒で部分的に充填されてもよい。部分的に充填されたマイクロセルは、次いで、送達されるべき1つまたはそれを上回る活性分子を含む、第2の混合物で充填される。
【0043】
図6Cに示されるように、充填の後、マイクロセルは、多孔性拡散層になるポリマー66を適用することによって、シールされる。いくつかの実施形態では、シールプロセスは、熱、乾燥した高温の空気、または紫外線への暴露を伴ってもよい。大部分の実施形態では、ポリマー66は、混合物64と親和性であるが、混合物64の溶媒によって溶解されない。ポリマー66はまた、生体適合性であり、マイクロセル壁61の側面または上部に接着されるように選択される。多孔性拡散層のための好適な生体適合性接着剤は、「Method for Sealing Microcell Containers with Phenethylamine Mixtures」と題された2016年10月30日に出願された米国特許出願第15/336,841号(参照することによって全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるもの等のフェネチルアミン混合物である。故に、最終マイクロセル構造は、大部分は、漏出に対して不浸透性であり、かつ多孔性拡散層の層間剥離なく撓曲に耐えることができる。
【0044】
代替実施形態では、種々の個々のマイクロセルが、反復的フォトリソグラフィを使用することによって、所望される混合物で充填されてもよい。本プロセスは、典型的には、空のマイクロセルのアレイをポジ型フォトレジストの層でコーティングするステップと、ポジ型フォトレジストを画像様露光することによって、ある数のマイクロセルを選択的に開放させるステップとを含み、後に、フォトレジストを現像するステップと、開放されたマイクロセルを所望される混合物で充填するステップと、充填されたマイクロセルをシールプロセスによってシールするステップとが、続く。これらのステップが、繰り返され、他の混合物で充填された、シールされたマイクロセルを作成してもよい。本手技は、所望の比率または濃度の混合物を有するマイクロセルの大きいシートの形成を可能にする。
【0045】
マイクロセル60が充填された後、シールされたアレイは、また、活性分子に対して多孔性である仕上層68で、好ましくは、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、または熱、湿気、もしくは放射線硬化性接着剤であり得る接着層で仕上層68を事前コーティングすることによって、積層されてもよい。ラミネート接着剤は、上部導体膜が放射線に対して透過性である場合、それを通したUV等の放射線によって後硬化されてもよい。いくつかの実施形態では、生体適合性接着剤67が、次いで、アセンブリに積層される。生体適合性接着剤67は、本デバイスをユーザ上に移動可能な状態に保ちながら、活性分子が通過することを可能にする。好適な生体適合性接着剤は、3M(Minneapolis,MN)から入手可能である。
【0046】
多孔性伝導層がマイクロセルの内側の荷電粒子全てを駆動させるために、シール層は、EPD要件より低い電気抵抗、好ましくは、10
9オ−ム・cm未満のものを有することが好ましい。シール層の抵抗率がより高い場合、マイクロセル内の局所場の強度が、荷電粒子を多孔性拡散層等から離れるように移動させるために十分ではない場合がある。シール抵抗が低いとき、フリンジング場は、電極を伴わない面積を網羅するために十分に広く、したがって、マイクロセルの内側の荷電粒子の全てが、駆動される。
【0047】
送達システムは、いったん構成されると、物理的衝撃に対する保護を提供するために、カプセル化バッキングで被覆されてもよい。カプセル化バッキングはまた、活性分子送達システムが、例えば、患者の背中に添着された状態であることを確実にするために、接着剤を含んでもよい。カプセル化基材はまた、子供向けの審美的着色または楽しい設計を含んでもよい。シール層は、大部分の用途において半多孔性であり、すなわち、活性分子が、通過することを可能にされる間、マイクロセル内に含有されるいかなる流体も逃散しないように防止する障壁を形成する、シール層である。シール層78は、多孔性拡散層に関して上記に列挙される材料のうちの任意のものから構成されてもよい。加えて、シール層は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールから構成されることができる。
【0048】
多孔性伝導層。種々の構成が、多孔性伝導層として好適である。例えば、多孔性電極は、
図7Aに示されるような導性金属メッシュまたはグリッドであることができる。代替として、布帛またはナイロン包帯が、銅、銀、もしくは伝導性ポリマー等の生体適合性伝導性材料でコーティング/浸漬され、それによって、デバイスが撓曲することを可能にすることができる。多孔性電極はまた、
図7Bに示されるように、伝導性フィラメント、繊維、および/またはプレートレットのマットから作製されることができる。伝導性ネットワークは、金属メッシュまたはポリマー布帛ネットワークと比較すると不規則形状を示すが、しかしながら、マットが、伝導構成要素の十分な密度を有する場合、付勢力全体が、維持されるべきである。マットは、例えば、銀ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、ニッケルナノワイヤ、金ナノワイヤ、金糸、グラフェンプレートレット、またはそれらの組み合わせから構成されることができる。いくつかの実施形態では、伝導性フィラメントが、ポリマー溶液、分散体、またはスラリー中に取り込まれ、コーティングを作製し、次いで、乾燥され、多孔性伝導層を作成する。伝導性ネットワークは、乾燥するステップの後に形成されるが、金属メッシュまたはポリマー布帛は、通常、所定のパターンを有する。不規則な伝導性ネットワークの一実施例は、大きいアスペクト比を有する、銀ナノワイヤまたはカーボンナノチューブを使用することである。他の実施形態では、多孔性伝導層は、伝導性ポリマー等の伝導性材料から加工される、多孔性材料の連続膜を含んでもよい、または膜は、金属、もしくは伝導性ポリマー、または黒鉛等の伝導性材料でコーティングされる。一実施形態では、多孔性伝導膜は、黒鉛でコーティングされるポリエチレンテレフタレートまたはカーボンブラックでコーティングされるセルロースである。
【0049】
多孔性伝導材料の連続膜を使用する付加的利点は、活性分子送達デバイスが、
図8Aおよび8Bに示されるようなロールツーロールプロセスで製造され得ることである。マイクロセルアセンブリが、上記に説明されるように構成された後、マイクロセルは、
図8Aに示されるように、マイクロセル上に製剤を分与し、例えば、ブレードを用いて余剰分を除去することによって、活性製剤で充填される。本プロセスは、マイクロセル層が、製剤ディスペンサに対して移動されるにつれて、継続的に行われることができる。
図8Bに示される第2のステップにおいて、製剤は、随意に、別の活性分子(すなわち、
図8Bに示されるアジュバント)を含み得る、シール層でシールされる。シール層は、UV硬化されてもよい、またはこれは、温度で硬化されてもよい。シール層が追加されるのと同時に、伝導性の多孔性膜が、充填されたマイクロセルの上でロールされ、活性分子送達システムのロールをもたらす。一実施形態では、上部電極はまた、可撓性であり、より早期の段階においてマイクロセル層に付与されてもよい。より一般的には、上部電極が、後のステップにおいて、充填およびシールされた層を、例えば、区画化された電極のアレイ、または薄膜トランジスタを用いて制御されるアクティブマトリクス等の、独立してアドレス指定可能な電極であり得る、上部電極に接着することによって、追加される。
【0050】
したがって、本発明は、複数のマイクロセルを含む、活性分子送達システムを提供する。マイクロセルは、異なる活性分子または異なる濃度の活性分子を含んでもよい。マイクロセルは、多孔性拡散層に加えて、孔性伝導層によって跨架される、開口部を含む。本開示は、限定するものではなく、説明されてはいないが、当業者に自明である本発明への他の修正も、本発明の範囲内に含まれるものとする。