(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のフィンのそれぞれの重心を通り前記複数のフィンのぞれぞれの前記長手方向に平行な重心軸は、前記板面に垂直な方向から見た時に、前記第1の間隔保持部から前記第2の間隔保持部までを結ぶ仮想線と交差する、請求項1〜6の何れか1項に記載の熱交換器。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、熱交換器、熱交換器ユニット、及び冷凍サイクル装置の実施の形態について説明する。以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。各図において、同一の符号を付した機器等については、同一の又はこれに相当する機器を表すものであって、これは明細書の全文において共通している。また、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であって、本発明は明細書内の記載のみに限定されるものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。さらに、添字で区別等している複数の同種の機器等について、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字を省略して記載する場合がある。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。なお、各図に示されるx、y、zの各方向は、各図において共通の方向を示している。
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による熱交換器100を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る熱交換器100が適用された冷凍サイクル装置1の説明図である。
図1に示された熱交換器100は、空気調和装置又は冷蔵庫等の冷凍サイクル装置1に搭載されるものである。実施の形態1においては、空気調和装置の冷凍サイクル装置1を例示している。冷凍サイクル装置1は、圧縮機3、四方弁4、室外熱交換器5、膨張装置6、及び室内熱交換器7を冷媒配管90により接続し、冷媒回路を構成したものである。冷凍サイクル装置1は、冷媒配管90内には冷媒が流動し、四方弁4により冷媒の流れを切り換えることにより、暖房運転、冷凍運転、及び除霜運転を切り換えることができる。
【0016】
室外機8に搭載された室外熱交換器5及び室内機9に搭載された室内熱交換器7は、近傍に送風機2を備える。室外機8において送風機2は、室外熱交換器5に外気を送り込み、外気と冷媒との間で熱交換を行う。また、室内機9において送風機2は、室内熱交換器7に室内の空気を送り込み、室内の空気と冷媒との間で熱交換を行い、室内の空気の温度を調和する。また、熱交換器100は、冷凍サイクル装置1において室外機8に搭載された室外熱交換器5及び室内機9に搭載された室内熱交換器7として用いることができ、凝縮器又は蒸発器として機能する。なお、ここでは熱交換器100が搭載された室外機8及び室内機9などの機器を、特に熱交換器ユニットと呼ぶ。
【0017】
図1に示される熱交換器100は、2つの熱交換部10、20を備える。熱交換部10、20は、
図1に示されるx方向に沿って直列に配置されている。x方向は、熱交換部10の扁平管30の並列方向及び扁平管30の管軸に対し垂直な方向であり、実施の形態1において、熱交換器100に流入する空気は、x方向に沿って流入する。よって、熱交換部10、20は、熱交換器100の通風方向に沿って直列に配置されており、第1の熱交換部10が風上側に配置され、第2の熱交換部20が風下側に配置されている。熱交換部10の両端にはヘッダ70、71が配置されており、ヘッダ70とヘッダ71との間を扁平管30が接続している。熱交換部20の両端にはヘッダ70、72が配置されており、ヘッダ70とヘッダ72との間を扁平管30が接続している。冷媒配管91からヘッダ71に流入した冷媒は、熱交換部10を通過し、ヘッダ70を経て熱交換部20に流入し、ヘッダ72から冷媒配管92へ流出する。なお、熱交換部10と熱交換部20とは、同じ構造であっても良いし、異なる構造であっても良い。
【0018】
図3は、
図1の熱交換器100の断面構造の説明図である。
図3は、
図1の熱交換器100の熱交換部10のy軸に垂直な断面Aをy方向から見た図を示している。熱交換部10は、y方向に管軸を向けた複数の扁平管30をz方向に並列に並べて構成されている。扁平管30は、内部に冷媒が流通し、熱交換器100に送り込まれた空気と内部の冷媒との間で熱交換を行う。また、板状体であるフィン40の板面48を扁平管30の管軸に交差させるようにして、フィン40が扁平管30に取り付けられている。フィン40は、扁平管30が並列されている方向に長手方向を向けた矩形である。つまり、フィン40は、z方向に沿って長手方向を向けて延設されている。フィン40は、扁平管30が挿入される挿入部44が設けられている。実施の形態1においては、挿入部44は、フィン40の板面48に開口された長穴である。この挿入部44に扁平管30が挿入されている。
【0019】
フィン40の幅方向とは、フィン40の長手方向に対し直角方向を意味し、
図3のx方向に沿った方向である。実施の形態1においては、
図3のx方向に熱交換器100に送り込まれた空気が流れ、空気の流れは矢印Cで表されている。フィン40は、空気の流れの上流側にフィン40の幅方向の一方の端縁である第1の端縁41を有し、下流側にフィン40の幅方向の他方の端縁である第2の端縁42を有する。挿入部44は、板面48に開口された長穴であり、その長穴の長手方向をフィン40の幅方向に対し平行にして配置されている。また、扁平管30も、フィン40の幅方向に管軸に垂直な断面の長軸を平行にして設けられている。
【0020】
フィン40は扁平管30の管軸方向に沿って複数配置されている。隣合うフィン40同士は、板面48間に所定の隙間を空けて配置されており、フィン40の板面48間を空気が通過する様に構成されている。隣合うフィン40同士の間隔を確保するために、フィン40には第1の間隔保持部50及び第2の間隔保持部60が形成されている。以下、第1の間隔保持部50と第2の間隔保持部60とを総称して、間隔保持部と表現する場合がある。間隔保持部は、板状体であるフィン40の一部を折り曲げて形成されており、板面48に対し交差する方向に立設されている。
【0021】
図4は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン40に設けられた第1の間隔保持部50の断面拡大図である。
図4は、
図3に示されるフィン40のA−A断面に相当する部分であり、隣合うフィン40も表示している。また、
図4は、扁平管30を省略して表示している。第1の間隔保持部50は、第1の端縁41側に位置する挿入部44の端部46aにおいて、隣合うフィン40に向かって立設されており、先端が隣合うフィン40の板面48bに当接している。第1の間隔保持部50の先端は、曲げられており、当接部52を形成している。実施の形態1において、第1の間隔保持部50の立ち上がり面53は、円弧状に形成されているが、この形状に限定されるものではない。例えば、立ち上がり面53は、板面48aに対して略垂直に立ち上げられ、直線状に形成されていても良い。
【0022】
図4に示される様に、挿入部44の周縁のうち長辺47aには、起立片45が形成されている。起立片45は、第1の間隔保持部50に対して高さが低くなっている。起立片45は、扁平管30の断面の長軸に沿った側面に接触し、フィン40と扁平管30との間で熱を伝達する。起立片45と扁平管30とは、例えばロウ付けにより接合される。なお、
図3に示される長辺47bも、長辺47aと同様に起立片45が形成されている。長辺47bは、挿入部44の長手方向に沿った中心線について、長辺47aと対称形状になっている。
【0023】
図5は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン40に設けられる挿入部44を形成する前の状態を示す平面図である。挿入部44は、板状体であるフィン40に切り込みを入れて形成された舌状片を板面48aの法線方向に立ち上げることにより形成される。第1の間隔保持部50は、第1の端縁41側から第2の端縁42側に向かって延びる舌状片150を立ち上げて形成される。舌状片150の長さL1は、熱交換器100のフィン40同士の間の距離に応じて設定される。舌状片150は、挿入部44の長手方向に向かって延びる形状であるため、例えば挿入部44に嵌る扁平管30の短軸寸法が小さい場合であっても挿入部44の長辺47a、47b沿って長く形成することができる。従って、扁平管30が薄くてもフィン40同士の間隔を大きくすることができる。また、舌状片150の幅W1は、挿入部44の短辺の幅であり、扁平管30が嵌合できるように設定される。
【0024】
挿入部44の長辺47a、47bに沿って形成される起立片45は、舌状片150以外の部分に形成される舌状片145a、145bを板面48から立ち上げて形成される。舌状片145a、145bは、フィン40の長手方向に延び、フィン40の幅方向に広く幅W2の寸法で形成されている。舌状片145a、145bは、
図5においては、挿入部44の短辺寸法の半分の長さW1/2で形成されている。舌状片145a、145bの長さL2は、最大でも挿入部44の短辺側の幅寸法W1までしか寸法をとることができないため、実施の形態1に係る熱交換器100においては、長さL1を大きくとれる舌状片150の寸法L1を調整し、第1の間隔保持部50を隣合うフィン40に当接させるようにして、フィン40同士の間隔を適正に確保している。
【0025】
図6は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン40に設けられた第2の間隔保持部60の拡大図である。
図6(b)は、
図3の矢印C方向から見た図であり、フィン40の板面48に平行かつ第2の間隔保持部60の立ち上がり面63に平行な方向から見た図である。
図6(b)は、
図6(a)の、B−Bにおける断面の垂直方向から見た第2の間隔保持部60の構造の説明図である。第2の間隔保持部60は、板状体であるフィン40の一部を折り曲げて形成されており、板面48に対し交差する方向に立設されている。第2の間隔保持部60は、隣合うフィン40に向かって立設されており、先端が隣合うフィン40の板面48bに当接している。つまり、第2の間隔保持部60の板面48aから先端までの高さは第1の間隔保持部50と同等に形成されている。第2の間隔保持部60の先端は、曲げられており、当接部62を形成している。実施の形態1において、第2の間隔保持部60の立ち上がり面63は、フィン40の板面48に対して略垂直に形成されている。第2の間隔保持部60は、フィン40の一部を板面48に交差する方向に折り曲げて形成されている。第2の間隔保持部60のz方向逆側には、第2の間隔保持部60に隣接して開口部61が形成されている。
【0026】
図7は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン40に形成された第2の間隔保持部60の比較例としての第2の間隔保持部160cの説明図である。
図7は、
図6(b)と同じ方向から見た図である。比較例の第2の間隔保持部160cは、フィン140の一部を
図7のz方向逆側に向かって折り曲げて形成されている。つまり、
図7のz方向逆側を重力方向に合わせて熱交換器100を設置した場合に、第2の間隔保持部160cは、フィン140の一部を重力方向に折り曲げて形成されている。そして立ち上がり面163cは、板面48に略垂直に形成されている。この場合、第2の間隔保持部160cの上に開口部161cが形成されている。第2の間隔保持部160cに結露水又は霜の融解水が流下してきた場合、立ち上がり面163cに水が溜まるだけでなく、毛管現象により開口部161cの縁にも水が付着する。さらに、第2の間隔保持部160cの下側にも水滴が垂下するように付着するため、第2の間隔保持部160c及び開口部161cは、
図7の点線180で囲まれる領域に水を保持する。一方、実施の形態1に係る第2の間隔保持部60及び開口部61には、
図6(b)の点線80に示されるように、第2の間隔保持部60の下側に垂下するように水滴が付着するだけであるため、比較例の第2の間隔保持部160及び開口部161と比較して保持される水の量が少ない。つまり、比較例の第2の間隔保持部160及び開口部161に対し、実施の形態1に係る第2の間隔保持部60及び開口部61は、水を保持しにくく、排水性が高い。
【0027】
図3に示される様に、実施の形態1においては、第2の間隔保持部60は2本の扁平管30の間の中間領域43に設けられている。フィン40の幅方向において、第2の間隔保持部60は、第2の端縁42寄りに位置し、第1の間隔保持部50は、第1の端縁41寄りに位置している。また、第1の間隔保持部50と第2の間隔保持部60とは、直線lを跨いで配置されている。直線lは、フィン40をy方向から見た時のフィン40の重心を通りフィン40の長手方向に平行な直線である。ここでは、直線lを重心軸と呼ぶ。換言すると、重心軸と第1の間隔保持部50から第2の間隔保持部60を結ぶ仮想線とは、交差している。このように配置されていることにより、フィン40は、安定した状態で複数枚積み重ねることが可能となり、熱交換器100の組立時に組立作業性が向上するという利点がある。また、第1の間隔保持部50と第2の間隔保持部60とが、フィン40の幅方向に間隔を持って配置されていることにより、隣合うフィン40同士の間隔が安定して確保できる。
【0028】
なお、第2の間隔保持部60は、
図3において隣合う扁平管30の間の中間領域43に1つ配置されているが、全ての中間領域43に配置されていなくとも良い。第2の間隔保持部60は、第1の間隔保持部50よりも設置する数量を少なくすることにより、熱交換器100の通風性を向上させつつ、隣合うフィン40同士の間隔が安定して確保できる。
【0029】
第1の間隔保持部50は、第2の間隔保持部60よりも、x方向に向かって流入する空気の流れの上流側に位置している。フィン40は、空気の流れの上流側に位置する第1の端縁41側の領域が、下流側に位置する第2の端縁42側の領域よりも、熱交換器100を通過する空気との温度差が大きく、フィン40と空気との間で熱交換がされやすい。フィン40の熱交換がされやすい箇所である第1の端縁41側の領域以外に第2の間隔保持部60が配置されているため、熱交換器100は、第2の間隔保持部60が設けられても熱交換性能の低下が抑制される。さらには、熱交換器100は、低温外気条件下において蒸発器として運転される場合に、空気との温度差の大きい上流側に着霜が生じ易い。従って、第2の間隔保持部60は、第1の間隔保持部50よりも下流側に配置されることにより、第2の間隔保持部60を起点とした霜の成長を抑制し、かつフィン40の間隔も適正に確保することができる。そのため、熱交換器100は、通風性の低下が抑制され、適正に熱交換性能を維持することができる。
【0030】
第2の間隔保持部60の立ち上がり面63は、フィン40をy方向から見た時、つまり板面48に垂直な方向から見た時にフィン40の幅方向と平行になっている。ただし、この形態のみに限定されるものではなく、第2の間隔保持部60の立ち上がり面63は、傾斜していても良い。この場合、フィン40の上方から流下してくる結露水又は霜の融解水が、立ち上がり面63から重力方向に流れるため、立ち上がり面63上に滞留するのが抑制されるため、熱交換器100の排水性が高くなるという利点がある。
【0031】
また、第2の間隔保持部60の幅寸法W3は、第1の間隔保持部50の幅寸法W1よりも小さくしても良い。第2の間隔保持部60の立ち上がり面63の幅が小さくなることにより、熱交換器100は、フィン40の間の風路抵抗が低下するため通風しやすくなる。また、フィン40の板面48の開口部61も小さくなるため、熱交換性能の低下を抑えることができる。
【0032】
第2の間隔保持部60は、フィン40の幅方向において、扁平管30の風下側の第2の端部32とフィン40の第2の端縁42との間の領域に配置されていても良い。第2の間隔保持部60を扁平管30よりも下流側に配置することにより、熱交換器100は、第2の間隔保持部60が設けられたことによる熱交換性能の低下が抑制される。
【0033】
<第2の間隔保持部60の変形例>
図8は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン40に形成された第2の間隔保持部60の変形例である第2の間隔保持部160aの説明図である。
図8(a)は、
図6(a)に対応し、
図8(b)は、
図6(b)に対応している。実施の形態1に係る熱交換器100のフィン40に設けられた第2の間隔保持部60は、例えば、
図8に示される様な第2の間隔保持部160aのような構造であっても良い。第2の間隔保持部160aは、フィン140の板面148aに2つのスリットを入れ、そのスリットの間の部分を板面148aから突出させて形成されている。従って、第2の間隔保持部160aは、板面148aと2箇所で接続されている。
図8において、第2の間隔保持部160aの上側に位置する面が、立ち上がり面163aである。立ち上がり面163aは、y方向から見た時に、第2の間隔保持部60の立ち上がり面63と同様にフィン140の幅方向に平行に形成されている。
【0034】
図9は、実施の形態1に係る熱交換器100のフィン40に形成された第2の間隔保持部60の変形例である第2の間隔保持部160bの説明図である。
図9(a)は、
図6(a)に対応し、
図9(b)は、
図6(b)に対応している。第2の間隔保持部160bは、フィン140の板面148bを矩形に突出させて形成されている。
図9において、第2の間隔保持部160bの上側に位置する面が、立ち上がり面163bである。立ち上がり面163bは、y方向から見た時に、第2の間隔保持部60の立ち上がり面53と同様にフィン140の幅方向に平行に形成されている。
【0035】
<実施の形態1の効果>
実施の形態1に係る熱交換器100は、フィン40に設けられた挿入部44の周縁のうち長手方向の端部46aに第1の間隔保持部50が設けられているため、第1の間隔保持部50の板面48から先端までの高さを適宜設定することができる。例えば、扁平管30の短軸寸法が小さい場合であっても、第1の間隔保持部50の高さを確保することができるため、隣合うフィン40との間隔を適正に確保することができる。地球温暖化抑制のため、冷凍サイクル装置1の冷媒充填量の削減が求められるが、熱交換器100は、扁平管30の短軸寸法を低減させることができるため、冷媒充填量の削減に対し有効である。
【0036】
第1の間隔保持部50は、扁平管30の第1の端部31の風上側に配置されるため、フィン40の間に形成される風路の通風性に影響を与えることがない。従って、熱交換器100は、フィン40の間の通風抵抗を増加させることなく、第1の間隔保持部50によりフィン40間の隙間を適正に確保することができる。
【0037】
第1の間隔保持部50は、挿入部44の長手方向の一方の端部46aのみに形成されているため、端部46aの近傍以外の部分に起立片45を設けることができる。そのため、挿入部44の長手方向の両端部に第1の間隔保持部50を設けた場合と比較して、扁平管30と起立片45との接触面積を大きくとることができるため、扁平管30とフィン40との伝熱が促進され、熱交換器100は、熱交換性能が向上する。
【0038】
図10は、実施の形態1に係る熱交換器100の変形例の熱交換器100aの断面構造の説明図である。実施の形態1に係る熱交換器100の扁平管30の長軸は、フィン40の幅方向に対し傾けて配置されていても良い。
図10に示される様に、熱交換器100aのフィン140の第1の端縁41側に位置する扁平管30の第1の端部31が、第2の端縁42側に位置する第2の端部32よりも下方に位置するようにしても良い。この場合、フィン140に設けられた挿入部144も、フィン140の幅方向に対して傾斜角度θだけ傾いて設けられている。また、第2の間隔保持部160も傾斜角度αだけ傾けて配置されていても良い。このように構成されることにより、熱交換器100aは、フィン140の上方から流下してくる水が扁平管30の上面及び第2の間隔保持部160の上面から排出されやすく、排水性が高まる。また、挿入部144と第2の間隔保持部160とは、同じ方向に傾斜している。このように構成されることにより、隣合う扁平管30の間の風路の通風抵抗を増加させることなく、第2の間隔保持部60を配置することができる。
【0039】
なお、上記においては、熱交換器100aのフィン140の第1の端縁41に対し直角方向から空気が流入する状態を説明したが、例えば熱交換器100aを重力方向に対して傾斜させて配置する場合もある。実施の形態1においては、重力方向は、z軸に沿って下向きである。しかし、熱交換器100、100aは、z軸を重力方向に対し傾斜させるように配置されていても良い。扁平管30及び第2の間隔保持部60のそれぞれの傾斜角度は、熱交換器100、100aが配置される環境に応じて適宜設定すればよい。
【0040】
第2の間隔保持部60は、遮蔽領域145に配置されていても良い。遮蔽領域145とは、熱交換器100aにおいて2つの挿入部144の間の領域である中間領域143のうち、扁平管30の第1の端部31の下端からフィン140の幅方向と平行に引いた仮想線pと、扁平管30の下面との間の領域である。熱交換器100aに対しフィン140の第1の端縁41側からx方向に空気が流入したときに、遮蔽領域145は、傾斜して配置された扁平管30に遮蔽された領域となる。
図10に示されるような扁平管30の配置の場合、
図10に示された矢印rのように、扁平管30の上面側を流れる空気は、扁平管30の上面に沿って流れる。しかし、扁平管30の下面側を流れる空気は、
図10に示された矢印qのように流れの方向が変更されにくく、遮蔽領域145は空気の流れが澱む領域となる。従って、第2の間隔保持部160は、遮蔽領域145に配置されることにより、フィン140の間の風路の通風性への影響を少なく出来る。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態2に係る熱交換器200は、実施の形態1に係る熱交換器100に対し、挿入部44の構造を変更したものである。実施の形態2に係る熱交換器200においては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。実施の形態2に係る熱交換器200の各部については、各図面において同一の機能を有するものは実施の形態1の説明で使用した図面と同一の符号を付して表示するものとする。
【0042】
図11は、実施の形態2に係る熱交換器200の断面構造の説明図である。
図11は、
図1の熱交換器200の熱交換部10のy軸に垂直な断面Aをy方向から見た図を示している。実施の形態2においては、熱交換部10を構成する板状のフィン240に挿入部244が設けられている。挿入部244は、フィン240の第2の端縁242に形成された切り欠きであり、その切り欠きに扁平管30が嵌合している。挿入部244は、その長手方向をフィン240の幅方向に対し平行にして配置されている。また、扁平管30も、管軸に垂直な断面の長軸をフィン240の幅方向に平行にして設けられている。
【0043】
実施の形態2に係る熱交換器200のフィン240に設けられた第1の間隔保持部50は、
図4に示される実施の熱交換器100の構造と同様である。
図4は、
図11のA−A断面に相当する部分である。挿入部244の周縁のうち長辺部247a、247bには、実施の形態1と同様に起立片245が形成されている。起立片245は、第1の間隔保持部50に対して高さが低くなっている。起立片245は、扁平管30の断面の長軸に沿った側面に接触し、フィン240と扁平管30との間で熱を伝達する。起立片245と扁平管30とは、例えばロウ付けにより接合される。
【0044】
図12は、実施の形態2に係る熱交換器200のフィン240に設けられる挿入部244を形成する前の状態を示す平面図である。挿入部244は、板状体であるフィン240に切り込みを入れて形成された舌状片を板面48の法線方向に立ち上げることにより形成される。第1の間隔保持部50は、第1の端縁41側から第2の端縁242側に向かって延びる舌状片150を立ち上げて形成される。
【0045】
挿入部244の長辺部247a、247bに沿って形成される起立片245は、舌状片150以外の部分に形成される舌状片245a、245bである。舌状片245a、245bは、フィン240の長手方向に延び、フィン240の幅方向に広く幅W2の寸法で形成されている。舌状片245a、245bは、
図12においては、挿入部244の短辺寸法の半分の長さW1/2で形成されている。舌状片245a、245bの長さL2は、最大でも挿入部244の短辺側の幅寸法W1までしか寸法をとることができないため、実施の形態2に係る熱交換器200においては、長さL1を大きくとれる舌状片150の寸法L1を調整し、第1の間隔保持部50を隣合うフィン240に当接させるようにして、フィン240同士の間隔を適正に確保している。
【0046】
<実施の形態2の効果>
実施の形態2に係る熱交換器200は、フィン240に設けられた挿入部244の周縁のうち長手方向の端部46aに第1の間隔保持部50が設けられているため、第1の間隔保持部50の板面48から先端までの高さを適宜設定することができ、隣合うフィン40との間隔を適正に確保することができる。また、挿入部244が第2の端縁242に形成された切り欠きであるため、フィン240の挿入部244に対し扁平管30を第2の端縁242側から挿入することができる。よって、熱交換器200の製造時にフィン240と扁平管30との組立が容易に行える。さらに、実施の形態1に係るフィン40と実施の形態2に係るフィン240が同じ幅である場合、フィン240は、フィン40よりも、扁平管30の第1の端部31と第1の端縁41との距離を大きくとることができる。そのため、フィン240の第1の端縁41側を風上に向けて熱交換器200を配置し、冷凍サイクル装置1を低温外気条件下で運転した場合に、フィン240の第1の端縁41側の領域に生じる着霜を低減させることができる。
【0047】
なお、実施の形態1と同様に実施の形態2に係る熱交換器200においても、扁平管30をフィン240の幅方向に対し傾斜させて配置しても良い。その時、第2の間隔保持部60もフィン240の幅方向に対し傾斜させても良い。このように構成されることにより、熱交換器200は、フィン240の上方から流下してくる水が扁平管30の上面及び第2の間隔保持部60の上面から排出されやすく、排水性が高まる。
【0048】
図13は、実施の形態2に係る熱交換器200の変形例の熱交換器200aの断面構造の説明図である。変形例の熱交換器200aは、フィン40を扁平管の第2の端部32よりも風下側に延ばしたものである。フィン40が風下側に延長されているのに合わせて、挿入部44も風下側に長く形成されており、挿入部44のうち第2の端縁42側の領域は、何も配置されていない。実施の形態2に係る熱交換器200は、第2の端縁242と扁平管30の第2の端部32とがx方向においてほぼ同じ位置にある。一方、変形例の熱交換器200aは、フィン40の第2の端縁242が扁平管30の第2の端部32からx方向に離れて位置している。そして、第2の間隔保持部60は、フィン40の幅方向において、扁平管30の風下側の端部である第2の端部32とフィン40の第2の端縁42との間の領域に配置されている。第2の間隔保持部60を扁平管30よりも下流側に配置することにより、熱交換器200aは、第2の間隔保持部60が設けられたことによる熱交換性能の低下が抑制される。