(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明者は、従来の試料分析用基板を用いた分析において、測定精度が低下する原因を詳細に検討し、反応チャンバーにおける課題を見出した。
【0010】
試料分析用基板用いた分析では、検出感度を高めるために、反応チャンバーにおいて、検体を含む溶液を計量し、磁気ビーズを含む標識物質と検体中の抗原とを結合させ、その後、測定チャンバーにおいて、標識物質と結合した抗原を磁石によって吸引した状態で洗浄する。このために、反応チャンバーは、検体を含む一定量の液体を測りとるために毛細管空間を備えている。しかし、毛細管空間では、液体の移動が制限され、磁気ビーズを含む標識物質との混合が十分に行えない。その結果、検体中の特定物質と、磁気ビーズを含む標識物質とが結合できず、測定精度が低下してしまう。
【0011】
この課題に鑑み、本願発明者は、反応チャンバーにおいて検体を含む液体と磁気ビーズを含む標識物質とが十分に混合し得る新規な構造を備えた試料分析用基板を想到した。本願の一態様に係る試料分析用基板および試料分析システムは、以下の通りである。
[項目1]
回転によって検体を含む液体の移送を行い、前記検体中の特定物質を分析する試料分析用基板であって、
回転軸を有する基板と、
基板内に位置し、前記検体を含む液体を保持する空間と、前記空間に接続された入口および出口を有する反応チャンバーと、
前記反応チャンバーの空間に配置されたドライ化試薬と、
を備え、
前記空間は、円周方向に離間している第1端および第2端を有し、
前記入口および前記出口は、それぞれ前記第1端および前記第2端に位置しており、
前記空間は、毛細管部分と、前記毛細管部分と接続され、前記第2端に位置し、開口を有しており、半径方向に伸びる第1非毛細管部分とを有し、前記第1非毛細管部分の外周側に前記出口が接続されている、試料分析用基板。
[項目2]
前記空間は、前記毛細管部分と接続され、内周側に位置し、開口を有し、前記円周方向に伸びる第2非毛細管部分を有する、項目1に記載の試料分析用基板。
[項目3]
前記第2非毛細管部分は、前記第1非毛細管部分と接続されている、項目2に記載の試料分析用基板。
[項目4]
前記第2非毛細管部分は、前記入口と接続されている、項目2または3に記載の試料分析用基板。
[項目5]
前記第2非毛細管部分は、前記入口および前記第1非毛細管部分と接続されていない、項目2に記載の試料分析用基板。
[項目6]
前記反応チャンバーは、前記空間を規定する上面および下面を有し、
前記空間の前記毛細管部分の前記円周方向において、前記上面と前記下面との間の高さは実質的に等しい項目1または2に記載の試料分析用基板。
[項目7]
前記反応チャンバーは、前記空間を規定する上面および下面を有し、
前記空間の前記毛細管部分は、前記円周方向における位置によって、前記上面と前記下面との間の高さが異なる部分を有する、項目1または2に記載の試料分析用基板。
[項目8]
前記毛細管部分は、前記第1端側において、前記上面と前記下面との間の高さが小さい部分を有する、項目7に記載の試料分析用基板。
[項目9]
前記毛細管部分は、前記第2端側において、前記上面と前記下面との間の高さが小さい部分を有する、項目7に記載の試料分析用基板。
[項目10]
前記毛細管部分は、前記第1端側および前記第2端側において、前記上面と前記下面との間の高さが小さい部分を有する、項目7に記載の試料分析用基板。
[項目11]
項目1から10のいずれかに記載の試料分析用基板と、
前記試料分析用基板を前記回転軸周りに回転させるモータ、
前記モータの回転軸の回転角度を検出する回転角度検出回路、
前記回転角度検出回路の検出結果に基づき、前記モータの回転および停止時の回転角度を制御する駆動回路、および
演算器、メモリおよびメモリに記憶され、前記演算器に実行可能なように構成されたプログラムを含み、前記プログラムに基づき、前記モータ、前記回転角度検出回路および前記駆動回路の動作を制御する制御回路
を有する試料分析装置と、
を備えた試料分析システムであって、
前記プログラムは、
前記反応チャンバーに前記検体を含む液体が導入された試料分析用基板が前記試料分析装置に装填された場合において、
前記試料分析用基板を揺動させることによって、前記ドライ化試薬を前記液体中に放出させ、分散させる、
試料分析システム。
【0012】
以下、図面を参照しながら本実施形態の試料分析用基板、試料分析装置、試料分析システムおよび試料分析システム用プラグラムを詳細に説明する。まず、磁性粒子を用いた分析方法(磁性粒子を用いたサンドイッチイムノアッセイ法)を説明し、続いて、試料分析装置および試料分析用基板の構成(試料分析装置200の構成、試料分析用基板100の構成)および試料分析システムの動作(試料分析システム501の動作)を説明する。最後に、特に上述した課題の解決に好適である反応チャンバーの構造(反応チャンバの他の例)を説明する。なお、本開示の図面において、分かり易さのため、構成要素の一部を省略したり、参照符号を省略している場合がある。
【0013】
(磁性粒子を用いたサンドイッチイムノアッセイ法)
尿や血液等の検体の成分の分析法には、分析対象物であるアナライトと、アナライトと特異的に結合するリガンドとの結合反応が用いられる場合がある。このような分析法には、例えば、免疫測定法や遺伝子診断法が挙げられる。
【0014】
免疫測定法の一例として、競合法と非競合法(サンドイッチイムノアッセイ法)が挙げられる。また、遺伝子診断法の一例として、ハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法が挙げられる。これら免疫測定法や遺伝子検出法には、例えば、磁性粒子(「磁性ビーズ」、「磁気粒子」または「磁気ビーズ」等と称することもある。)が用いられる。これら分析法の一例として、磁性粒子を用いたサンドイッチイムノアッセイ法を具体的に説明する。
【0015】
図1に示すように、まず、磁性粒子302の表面に固定化された一次抗体304(以下、「磁性粒子固定化抗体305」と称する。)と測定対象物である抗原306とを抗原抗体反応により結合させる。次に標識物質307が結合された2次抗体(以下、「標識抗体308」と称する。)と抗原306とを抗原抗体反応により結合させる。これにより、抗原306に対して磁性粒子固定化抗体305及び標識抗体308が結合した複合体310が得られる。
【0016】
この複合体310に結合した標識抗体308の標識物質307に基づくシグナルを検出し、検出したシグナルの量に応じて抗原濃度を測定する。標識物質307には、例えば、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、ルシフェラーゼ等がある。)、化学発光物質、電気化学発光物質、蛍光物質等が挙げられ、それぞれの標識物質307に応じた色素、発光、蛍光等のシグナルを検出する。
【0017】
この一連の反応において、反応物である複合体310を得る上で、検体中の未反応物、磁性粒子等に非特異的に吸着した物質、複合体310の形成に関与しなかった標識抗体308等である未反応物を分離する必要がある。この分離をB/F分離(Bound/Free Separation)と呼ぶ。競合法による免疫測定法やハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法においても、同様に、B/F分離の工程が必要である。
【0018】
前述で、磁性粒子を用いたサンドイッチイムノアッセイ法を例に挙げて説明したが、B/F分離は、磁性粒子の使用の有無にかかわらず、競合法や非競合法による免疫測定法やハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法を行う場合に必要となる。磁性粒子を用いない場合は、例えば、ポリスチレンやポリカーボネートといった素材で構成された固相へ物理吸着により固定化されたリガンド、化学結合により固相に固定化されたリガンド、金等で構成された金属基板表面へ固定化(例えば、自己組織化単分子膜(SAM:self−Assembled Monolayer)を用いた固定化)されたリガンドを用いる場合等が挙げられる。
【0019】
B/F分離を十分に行うには、洗浄液で複合体310を含む磁性粒子を複数回洗浄することが好ましい。具体的には、まず、複合体310と、未反応の抗原306、標識抗体308等とを含む反応溶液において、磁石によって磁性粒子を含む複合体310を捕捉した状態で、反応溶液のみを除去する。その後、洗浄液を加えて複合体310を洗浄し、洗浄液を除去する。この洗浄を複数回繰り返し行うことによって、未反応物や非特異吸着物質が十分に除去されたB/F分離が達成され得る。本開示の試料分析用基板では、B/F分離のため、1回以上の洗浄を行うことが可能である。
【0020】
図2Aは、試料分析システム501の全体の構成を示す模式図である。試料分析システム501は、試料分析用基板100と試料分析装置200とを含む。
【0021】
(試料分析装置200の構成)
試料分析装置200は、モータ201と、原点検出器203と、回転角度検出回路204と、制御回路205と、駆動回路206と、光学測定ユニット207とを備える。
【0022】
モータ201は、ターンテーブル201aおよび重力方向に対して0°より大きく90°以下の角度θで重力(鉛直)方向Gから傾いた回転軸Aを有し、ターンテーブル201aに載置された試料分析用基板100を回転軸A周りに回転させる。回転軸Aが傾いていることにより、試料分析用基板100における液体の移送に、回転による遠心力に加え、重力による移動を利用することができる。回転軸Aの重力方向Gに対する傾斜角度は、5°以上であることが好ましく、10°以上45°以下であることがより好ましく、20°以上30°以下であることがさらに好ましい。モータ201は例えば、直流モータ、ブラシレスモータ、超音波モータ等であってよい。
【0023】
原点検出器203は、モータ201に取り付けられた試料分析用基板100の原点を検出する。例えば、
図2Aに示すように、原点検出器203は、光源203a、受光素子203bおよび原点検出回路203cを含み、光源203aと受光素子203bとの間に試料分析用基板100が位置するように配置される。例えば、光源203aは発光ダイオードであり、受光素子203bはフォトダイオードである。
図2Bに示すように、試料分析用基板100は特定の位置に設けられたマーカ210を有する。マーカ210は例えば、光源203aから出射する光の少なくとも一部を遮光する遮光性を有する。試料分析用基板100において、マーカ210の領域は透過率が小さく(例えば10%以下)、マーカ210以外の領域では透過率が大きい(例えば60%以上)。
【0024】
試料分析用基板100がモータ201によって回転すると、受光素子203bは、入射する光の光量に応じた検出信号を原点検出回路203cへ出力する。回転方向に応じて、マーカ210のエッジ210aおよびエッジ210bにおいて検出信号は増大または低下する。原点検出回路203cは、例えば、矢印で示すように、試料分析用基板100が時計回りに回転している場合において、検出光量の低下を検出し、原点信号として出力する。本明細書では、マーカ210のエッジ210aの位置を、試料分析用基板100の原点位置(試料分析用基板100の基準となる角度位置)として取り扱う。ただし、マーカ210のエッジ210aの位置から任意に定められる特定の角度の位置を原点として定めてもよい。また、マーカ210が扇形であり、その中心角が、試料分析に必要な角度の検出精度よりも小さい場合には、マーカ210自体を原点位置として定めてもよい。
【0025】
原点位置は、試料分析装置200が試料分析用基板100の回転角度の情報を取得するために利用される。原点検出器203は、他の構成を備えていてもよい。例えば、試料分析用基板100に原点検出用の磁石を備え、原点検出器203はこの磁石の磁気を検出する磁気検出素子であってもよい。また、後述する磁性粒子を捕捉するための磁石を原点検出に用いてもよい。また、試料分析用基板100がターンテーブル201aに特定の角度でのみ取り付け可能である場合には、原点検出器203はなくてもよい。
【0026】
回転角度検出回路204は、モータ201の回転軸Aの角度を検出する。例えば、回転角度検出回路204は回転軸Aに取り付けられたロータリーエンコーダであってもよい。モータ201がブラシレスモータである場合には、回転角度検出回路204は、ブラシレスモータに備えられているホール素子およびホール素子の出力信号を受け取り、回転軸Aの角度を出力する検出回路を備えていてもよい。
【0027】
駆動回路206はモータ201を回転させる。具体的には、制御回路205からの指令に基づき、試料分析用基板100を時計方向または反時計方向に回転させる。また、回転角度検出回路204および原点検出器203の検出結果および試料分析用基板100を制御回路205からの指令に基づき、揺動および回転の停止を行う。
【0028】
光学測定ユニット207は、試料分析用基板100に保持された複合体310(
図1)に結合した標識抗体308の標識物質307に応じたシグナル(例えば、色素、発光、蛍光等)を検出する。
【0029】
制御回路205は、たとえば試料分析装置200に設けられたCPUを含む。制御回路205は、RAM(Random Access Memory;図示せず)に読み込まれたコンピュータプログラムを実行することにより、当該コンピュータプログラムの手順にしたがって他の回路に命令を送る。その命令を受けた各回路は、本明細書において説明されるように動作して、各回路の機能を実現する。制御回路205からの命令は、たとえば
図2Aに示されるように、駆動回路206、回転角度検出回路204、光学測定ユニット207等に送られる。コンピュータプログラムの手順は、添付の図面におけるフローチャートによって示されている。
【0030】
なお、コンピュータプログラムが読み込まれたRAM、換言すると、コンピュータプログラムを格納するRAMは、揮発性であってもよいし、不揮発性であってもよい。揮発性RAMは、電力を供給しなければ記憶している情報を保持できないRAMである。たとえば、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)は、典型的な揮発性RAMである。不揮発性RAMは、電力を供給しなくても情報を保持できるRAMである。たとえば、磁気抵抗RAM(MRAM)、抵抗変化型メモリ(ReRAM)、強誘電体メモリ(FeRAM)は、不揮発性RAMの例である。本実施の形態においては、不揮発性RAMが採用されることが好ましい。
【0031】
揮発性RAMおよび不揮発性RAMはいずれも、一時的でない(non-transitory)、コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例である。また、ハードディスクのような磁気記録媒体や、光ディスクのような光学的記録媒体も一時的でない、コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例である。すなわち本開示にかかるコンピュータプログラムは、コンピュータプログラムを電波信号として伝搬させる、大気などの媒体(一時的な媒体)以外の、一時的でない種々のコンピュータ読み取り可能な媒体に記録され得る。
【0032】
本明細書では、制御回路205は回転角度検出回路204および原点検出器203の原点検出回路203cと別個の構成要素として説明している。しかしながら、これらは共通のハードウェアによって実現されていてもよい。たとえば、試料分析装置200に設けられたCPU(コンピュータ)が、制御回路205として機能するコンピュータプログラム、回転角度検出回路204として機能するコンピュータプログラムおよび原点検出器203の原点検出回路203cとして機能するコンピュータプログラムを直列的、または並列的に実行してもよい。これにより、そのCPUを見かけ上、異なる構成要素として動作させることができる。
【0033】
(試料分析用基板100)
[1.全体の構成]
図3Aは、試料分析用基板100の分解斜視図である。試料分析用基板100は、回転軸110および回転軸110に平行な方向に所定の厚さを有する板形状の基板100’を備える。試料分析用基板100の基板100’は、ベース基板100aとカバー基板100bによって構成されている。本実施形態では、試料分析用基板100の基板100’は円形形状を有しているが、例えば、多角形形状、楕円形状、扇形形状等を有していてもよい。基板100’は、2つの主面100c、100dを有している。本実施形態では、主面100cおよび主面100dは互いに平行であり、主面100cおよび主面100dの間隔で規定される基板100’の厚さ(2つの主面の間の距離)は、基板100’のどの位置でも同じである。しかし、主面100c、100dは、平行でなくてもよい。例えば、2つの主面の一部分が非平行または平行であってもよいし、全体的に非平行であってもよい。また、基板100’の主面100cおよび100dの少なくも一方に凹部ないし凸部を有する構成を備えていてもよい。
【0034】
図3Bは、ベース基板100aの平面図である。
図3Bに示すように、試料分析用基板100は、それぞれ基板100’内に位置する第1保持チャンバー101、第2保持チャンバー102、第3保持チャンバー103、第1貯蔵チャンバー104、第2貯蔵チャンバー105、反応チャンバー106、メインチャンバー107および回収チャンバー108を有する。各チャンバーの形状は、以下において特に言及しない限り、制限はなく、任意の形状を有していてもよい。各チャンバーは、概ね、基板100’の2つの主面100c、100d(
図3A)に平行な上面及び下面と、これらの間に位置する3以上の側面とによって規定された空間を有する。上面、下面および側面のうちの隣接する2つの面は、明瞭な稜線によって分けられていなくてもよい。例えば、各チャンバーの形状は扁平な球あるいは、回転楕円体であってもよい。
【0035】
試料分析用基板100は、更に、それぞれ基板100’内に位置する第1流路111、第2流路112、第3流路113、第4流路114、第5流路115、第6流路116および第7流路117を有する。第1流路111は、第1保持チャンバー101と反応チャンバー106とを接続している。第2流路112は、反応チャンバー106とメインチャンバー107とを接続している。第3流路113は、メインチャンバー107と回収チャンバー108とを接続している。第4流路114は、第1貯蔵チャンバー104と第1保持チャンバー101とを接続している。第5流路115は、第2貯蔵チャンバー105と第2保持チャンバー102とを接続している。第6流路116は、第2保持チャンバー102と第3保持チャンバー103とを接続している。第7流路117は、第3保持チャンバー103とメインチャンバー107とを接続している。このように、第4流路114を介して第1貯蔵チャンバー104に接続された第1保持チャンバー101は、第1流路111によって、メインチャンバー107ではなく、反応チャンバー106に接続されている。
【0036】
流路を介したチャンバー間の液体の移送は、種々の方法で実現することが可能である。たとえば、重力による移送、および、毛細管力と回転による遠心力とによる移送を利用することができる。以下、この2つの移送方法を概括的に説明する。
【0037】
重力による移送が可能な流路である場合、液体は流路内を重力によって移動することができる。たとえば、
図2Aに示すように、試料分析用基板100を回転軸110が重力方向Gに対して0度より大きく90度以下の範囲で傾けて支持する。試料分析用基板100の回転角度を変更することにより、液体が存在する移送元のチャンバーを、移送先のチャンバーよりも高い位置に配置させる。「高い」とは重力方向Gでより上にあることを言う。これにより、移送元のチャンバー内の液体は、重力によって流路内を移動し、移送先のチャンバーへ移送される。重力による移送が可能な流路は、以下に説明する毛細管路ではない。重力による移送が可能な流路は、例えば1mm以上の厚さを有している。
【0038】
また、流路は毛細管路であってもよい。「毛細管路」は、毛細管現象による毛細管力により内部の少なくとも一部に液体を満たすことができる狭い断面を有する流路を指す。毛細管路による液体の移送を、毛細管空間ではないチャンバーAおよびチャンバーBと、チャンバーAとチャンバーBを接続する毛細管路の流路を有する構成を例に挙げて説明する。チャンバーAに保持された液体は、チャンバーAに設けられた毛細管路の開口に接触すると、毛細管力により流路内に吸引され、流路の一部または全部が液体で満たされる。流路を満たす液体の位置及び量は、流路内の液体に働く毛細管力および重力の均衡によって決定する。
【0039】
毛細管路の流路を毛細管力により液体で満たすには、液体の移動による圧力差が生じないよう、チャンバーAとチャンバーBに空気孔を設け、2つのチャンバー内の圧力を外部環境との圧力と一致させる。
【0040】
流路が毛細管力により液体で満されている状態では、流路内の液体は、毛細管力、大気圧および重力のバランスによって静止しており、チャンバーAからチャンバーBへは、液体は移送されない。また、試料分析用基板を回転させることよって、流路内の液体に毛細管力以下の遠心力が働く場合にも液体の移送は生じない。
【0041】
一方、チャンバーBが、回転軸に対してチャンバーAよりも遠い位置に配置されており、毛細管路の流路中の液体に毛細管力よりも大きい遠心力が働くように、試料分析用基板を回転させると、遠心力によって、チャンバーA中の液体をチャンバーBに移送することができる。
【0042】
流路による移送に毛細管現象を利用する場合、流路は、例えば、50μm〜300μmの厚さを有している。厚さの異なるチャンバーの領域や流路を形成する場合、例えば、ベース基板100aに設ける空間の深さを異ならせることによって、異なる厚さを実現することができる。あるいは、ベース基板100aに設ける空間の深さは一定にし、カバー基板100bの各チャンバーや流路に対応する位置に高さの異なる凸部を設けることにより、各流路およびチャンバーの厚さを異ならせてもよい。
【0043】
以下において説明するように、チャンバーの一部または全部が保持した液体で確実に満たされるように、流路の一部または全部が毛細管空間を構成していてもよい。この場合、毛細管空間となる領域の厚さは、前述したように50μm〜300μmである。
【0044】
液体を毛細管力および回転による遠心力によって移送する場合、例えば、直径60mmの試料分析用基板100を100rpmから8000rpmの範囲で回転させることができる。回転速度は各チャンバーおよび流路の形状、液体の物性、液体の移送や処理のタイミング等に応じて決定される。
【0045】
毛細管力が働く流路あるいはチャンバーの内面、ならびに、流路が接続しているチャンバーの接続部分近傍の内面は、親水処理が施されていてもよい。親水処理によって毛細管力が大きく働く。親水処理は、例えば、前述した内面に、非イオン系、カチオン系、アニオン系または両イオン系の界面活性剤を塗布したり、コロナ放電処理を行ったり、物理的な微細凹凸を設けるなどによって行うことができる(例えば、特開2007−3361号公報を参照。)。第1流路111から第7流路117が、毛細管現象により内部液体を満たすことができる空間である場合、これら流路にも同様に親水性処理を施してもよい。
【0046】
第1保持チャンバー101、第2保持チャンバー102、第3保持チャンバー103、第1貯蔵チャンバー104、第2貯蔵チャンバー105、反応チャンバー106、メインチャンバー107および回収チャンバー108のそれぞれには少なくとも1つの空気孔122が設けられている。これにより、各チャンバー内が環境下の気圧に保たれ、毛細管現象およびサイフォンの原理によって各流路を移動し得る。また、第1貯蔵チャンバー104、第2貯蔵チャンバー105および反応チャンバー106には、洗浄溶液および基質溶液を注入するための開口123が設けられていてもよい。空気孔122は開口123を兼ねていてもよい。
【0047】
第1保持チャンバー101、第2保持チャンバー102、第3保持チャンバー103、第1貯蔵チャンバー104、第2貯蔵チャンバー105、反応チャンバー106、メインチャンバー107および回収チャンバー108のそれぞれの空間は、ベース基板100a内に形成され、カバー基板100bでベース基板100aを覆うことにより、それぞれの空間の上部および下部が形成される。つまり、これらの空間は基板100’の内面によって規定されている。第1流路111、第2流路112、第3流路113、第4流路114、第5流路115、第6流路116および第7流路117もベース基板100aに形成されており、カバー基板100bでベース基板100aを覆うことにより、これらの流路の空間の上部および下部が形成される。本実施形態では、ベース基板100aおよびカバー基板100bがそれぞれ上面および下面を規定する。基板100’は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン等の樹脂によって生成され得る。
【0048】
表1は、本実施形態の試料分析用基板100において、試料分析開始時に導入される物質または液体と、最初に導入されるチャンバー、および、導入された物質または液体がメインチャンバーへ導入する順序の組み合わせを示している。表1に示す組み合わせは、例示する1つの組み合わせに過ぎず、チャンバーに導入する物質や液体およびメインチャンバー107への導入順序は表1に示される物質や順序に限られない。
【0049】
表1に示すように、磁性粒子固定化抗体305、抗原306を含む検体および標識抗体308が反応チャンバー106に導入され、複合体310が反応チャンバー106で生成する。本実施形態では、このうち、磁性粒子固定化抗体305および標識抗体308はドライ化試薬125としてあらかじめ反応チャンバー106内に配置されている。また、第2貯蔵チャンバー105には基質溶液が導入される。第1貯蔵チャンバー104には洗浄液が導入される。以下において詳細に説明するように、第1貯蔵チャンバー104に保持される洗浄液は、反応チャンバー106を経由してメインチャンバー107へ導入される。
【0051】
以下、主として
図3Cから
図3Hを参照しながら、前述した表に示すメインチャンバー107への導入順に従い、複合体310、洗浄溶液および基質溶液に関するチャンバーおよび流路を説明する。
図3Cから
図3Hにおいては、分かり易さのため、試料分析用基板100の関連しないあるいは言及しない構造は図示していない。
【0052】
[反応チャンバー106]
図3Cに示すように、反応チャンバー106が試料分析用基板100に設けられている。反応チャンバー106は、
図1を参照して説明したように、磁性粒子固定化抗体305と、抗原306を含む検体と、標識抗体308とを反応させて、複合体310を形成させる反応場である。
【0053】
本実施の形態では、反応チャンバー106は、第1部分106qと、第2部分106rとを含む。
【0054】
本実施形態では、第1部分106qと第2部分106rとは、概ね、回転軸11を中心とする円周方向に配置されている。第1部分106qと第2部分106rとの間に、基板100’の内面によって構成される壁部分126が位置している。壁部分126は、回転軸110側に凸形状を有しており、第1部分106qと、第2部分106rとを区切る。第1部分106qと第2部分106rとは壁部分126の最も回転軸110に近接する点126pと回転軸110とを結ぶ半径上の位置において、互いに接続している。
【0055】
第1部分106qは、非毛細管空間である第1領域106qfと、毛細管空間である第2領域106qeとを含む。第1領域106qfと第2領域106qeとは隣接して接続しており、互いの空間は連通している。第2領域106qeは第1部分106qにおいて、壁部分126に沿う狭い幅の領域である。第2領域106qeは、第1部分106qの側面のうち、最も回転軸110から遠くに位置する最外周側面106qaに接している。一方、第1領域106qfは、検体を保持し得る十分な大きさの空間である。第1部分において、第1領域106qfは第2領域106qeよりも回転軸110に近接して位置している。
【0056】
第2部分106rは、非毛細管空間である第1領域106rfと、毛細管空間である第2領域106reとを含む。第1領域106rfと第2領域106reとは隣接して接続しており、互いの空間は連通している。第1領域106rfは、第2部分106rを規定する側面のうち、回転軸110から最も遠くに位置する最外周側面106raと対向した側面に沿って位置している。つまり、第1領域106rfは第2領域106reよりも回転軸110に近接して位置している。
【0057】
第1部分106qの第1領域106qfは第2部分106rの第1領域106rfと接続しており、第2部分106rの第2領域106reは第2部分106rの第2領域106reと接続している。
【0058】
図3Cにおいて、破線で示すように、第1部分106qおよび第2部分106rは、壁部分126の回転軸から最も近い点126pと、回転軸110とを結ぶ線分を半径とする円弧126arよりも遠い側に位置する部分それぞれ有する。具体的には、第1部分106qの第1領域106qfの一部および第2部分106rの第2領域106reの一部は円弧126arよりも外側に位置している。
【0059】
前述したように、反応チャンバー106において、非毛細管空間と毛細管空間とでは、それぞれの厚さが異なっている。
【0060】
本実施形態では、乾燥させた磁性粒子固定化抗体305および標識抗体308を含むドライ化試薬125が第2部分106rの第2領域106reにあらかじめ保持されている。抗原306を含む検体溶液を含む液体は、試料分析開始時に、反応チャンバー106の第1部分106qの第1領域106qfに導入される。導入した液体が、第1部分106qにおいて、第2領域106qeと接触すると、毛細管力によって、第2領域106qeを満たし、更に第2部分の第2領域106reを満たす。これにより、液体とドライ化試薬125が接触し、ドライ化試薬125の磁性粒子固定化抗体305および標識抗体308が液体へ溶出または分散する。その結果、液体中で、抗原306、磁性粒子固定化抗体305および標識抗体308が混合され、複合体310が形成される。
【0061】
試料分析用基板100がドライ化試薬125を備える場合には、ドライ化試薬125は、反応チャンバー106の毛細管空間(第2領域106re)に保持されることが好ましい。反応チャンバー内における非毛細管空間中の液体は毛細管力により毛細管空間へ移動するがこの時液体に働く力は、試料分析用基板100の回転による遠心力に比べて小さい。このため、ドライ化試薬125が非毛細管空間(第1領域106qf)に保持されると、ドライ化試薬125中の磁性粒子固定化抗体305のすべてが毛細管空間へ移動せず、非毛細管空間に留まる可能性があるからである。
【0062】
反応チャンバー106への抗原306を含む検体溶液、磁性粒子固定化抗体305および標識抗体308の導入はこれに限らない。試料分析用基板100は、ドライ化試薬125を備えておらず、試料分析開始時に、磁性粒子固定化抗体305、抗原306を含む検体および標識抗体308を反応チャンバーの第1部分106qの第1領域106qfに導入してもよい。あるいは、試料分析用基板100は、例えば、磁性粒子固定化抗体305、抗原306を含む検体および標識抗体308のそれぞれを保持するチャンバーと、それぞれのチャンバーと反応チャンバー106とが連結する流路(例えば、毛細管路)を備えていてもよい。抗原306を含む検体および標識抗体308をそれぞれのチャンバーに量りとり、各チャンバーに注入された磁性粒子固定化抗体305、抗原306を含む検体および標識抗体308を反応チャンバー106に移送して反応チャンバー106中で混合し、複合体310を形成させてもよい。
【0063】
[第2流路112]
反応チャンバー106内の複合体310を含む溶液は、第2流路112を介して、メインチャンバー107へ移送される。第2流路112は、開口112gおよび開口112hを有する。第2流路112の開口112gは、反応チャンバー106の第2部分106rの第2領域106reを規定する側面のうち、回転軸110から最も遠い側に位置する最外周側面106ra、または、最外周側面106raに隣接する隣接側面であって、最外周側面106aとの接続部分を含む位置に設けられることが好ましい。反応チャンバー106中の液体をメインチャンバー107へ移送させるにあたり、反応チャンバー106中に液残りが生じることを抑制できるからである。
図3Cは、開口112gが最外周側面106aの一部に設けられた例を示している。
【0064】
第2流路112の開口112hは、開口112gよりも回転軸110に対して遠くに位置している。開口112hは、以下において説明するように、メインチャンバー107の側面に接続されている。開口112hが開口112gよりも回転軸110に対して遠い側に位置していることにより、試料分析用基板100を回転させると、反応チャンバー106内の複合体310を含む溶液は、遠心力によって、第2流路112を介してメインチャンバー107へ移送される。第2流路112は、毛細管路であってもよいし、重力に移送が可能な流路であってもよい。
【0065】
[メインチャンバー107]
図3Dに示すように、メインチャンバー107は、複合体310を含む溶液のB/F分離を行う場である。B/F分離のために、試料分析用基板100は、基板100’内に位置する磁石収納室120と磁石収納室120内に配置された磁石121を含む。
【0066】
磁石収納室120は、試料分析用基板100内において、メインチャンバー107の空間に近接して位置している。より具体的には、磁石収納室120は、メインチャンバー107の複数の側面のうち、回転軸110から最も遠くに位置する最外周側面107aに近接して配置されている。ただし、試料分析用基板100における磁石収納室120は、メインチャンバー107の最外周側面107a以外の上面や下面に近接する位置に配置してもよい。すなわち、磁石収納室120に配置された磁石121によって、メインチャンバー107の壁面に磁性粒子を捕捉できれば、その位置は特に限定されない。磁石121はB/F分離に応じて取外しできるように構成されていてもよいし、基板100’に磁石収納室120から着脱不能に取り付けられていてもよいし、試料分析装置200側に設けるように構成されていてもよい。
【0067】
磁石121を着脱可能に構成した場合には、例えば、
図3Eに示すように、基板100’は、主面100cに開口120aを有する凹状の磁石収納室120を備えていてもよい。磁石収納室120は磁石121を収納可能な空間を有する。開口120aから磁石収納室120に磁石121を挿入することにより、磁石121を基板100’に装填することができる。磁石収納室120の開口120aは、主面100dに設けてもよいし、2つの主面100c、100dの間に位置する側面に設けてもよい。
【0068】
磁石121を試料分析装置200側に設ける場合には、例えば、試料分析装置200のターンテーブル201aに磁石121を備えた磁石ユニットを備えていてもよい。この場合、使用者が試料分析用基板100をターンテーブル201a(磁石ユニット)の所定の位置に配置すると、メインチャンバー107の壁面に磁性粒子を捕捉できる位置に磁石121が配置される。磁石121を試料分析装置200に設ける他の例として、例えば、試料分析装置200は、磁石121および磁石121を移動させる駆動機構を備えていてもよい。この場合、試料分析用基板100は磁石121を保持する収納室を備え、B/F分離に応じて、駆動機構が試料分析用基板100の収納室に磁石121を挿入し、収納室内の磁石121を取り出してもよい。
【0069】
反応液が第2流路112を介して、メインチャンバー107へ移送されると、反応液中の複合体310および未反応の磁性粒子固定化抗体305(以下、これら両方を指す場合には、単に磁性粒子311と呼ぶ)は、最外周側面107aに近接して配置された磁石121の磁力によって、最外周側面107a側に集まって捕捉される。
【0070】
メインチャンバー107の空間は第1領域107fおよび第1領域107fに隣接し、接続されている第2領域107eを含んでいてもよい。第1領域107fは重力によって液体が移動可能な非毛細管空間であり、第2領域107eは、毛細管力が働く毛細管空間である。このため、第1領域107fの厚さは、第2領域107eの厚さよりも大きく、第1領域107fは第2領域107eよりも大きな空間を有する。第1領域107fおよび第2領域107eの厚さは、具体的には流路の厚さとして説明した前述の範囲内の値である。
【0071】
第2領域107eは最外周側面107aに接しており、第1領域107fの少なくとも一部は第2領域107eよりも回転軸110に近接していることが好ましい。また、第2流路112の開口117hは、第1領域107fに接している側面の1つに設けられている。
【0072】
メインチャンバー107内の液体は、第3流路113を介して回収チャンバー108へ移送される。以下において説明するように、第3流路113の開口113gは第2領域102eの空間と接続するように第2領域102eに接する側面に設けられる。
【0073】
メインチャンバー107において、第1領域107fは重力によって液体が移動可能な空間であるため、必要に応じた大きさの空間を確保することが可能である。また、第2領域107eは毛細管空間であるため、メインチャンバー107に保持される液体の一部で必ず第2領域107eが満たされる。このため、第3流路113が第2領域107eと接することにより、メインチャンバー107内の液体を余すことなく第3流路113を介して回収チャンバー108へ移送することができる。メインチャンバー107には、反応液の他洗浄液および基質溶液が導入されるため、メインチャンバー107がこれらの液体を保持する十分な空間を有すること、および、保持した液体を必要に応じて、回収チャンバー108へ確実に移送できることは、重要な特徴である。
【0074】
[第3流路113]
第3流路113は開口113gおよび開口113hを有し、開口113gがメインチャンバー107に接続され、開口113hが回収チャンバー108に接続されている。
【0075】
第3流路113の開口113gは、メインチャンバー107の側面のうち、回転軸110から最も遠い側に位置する最外周側面107a、または、最外周側面107aに隣接する隣接側面であって、最外周側面107aとの接続部分を含む位置に設けられることが好ましい。
図3Dには、開口113gが最外周側面107aに隣接する隣接側面に設けられた例を示している。前述したように開口113gはメインチャンバー107の第2領域107eに接続している。
【0076】
第3流路113の開口113hは、開口113gよりも回転軸110に対して遠い側に位置している。また、開口113hは、回収チャンバー108の側面のうち、回転軸110に最も近い側に位置する最内周側面108b、または、最内周側面108bに隣接する隣接側面であって、最内周側面108bに近接する位置に設けられることが好ましい。
図3Cでは、開口113hは、最内周側面103bの一部に設けられている例を示している。
【0077】
第3流路113も毛細管現象によってメインチャンバー107に保持された液体を吸引することが可能である。第3流路113の厚さは、メインチャンバー107の第2領域107eの厚さよりも小さい。これにより、メインチャンバー107の第2領域107eよりも強い毛細管力を第3流路113に働かせることが可能であり、メインチャンバー107の第2領域107eの液体の一部は第3流路113へ吸引される。
【0078】
第3流路113は、更にサイフォンの原理によって、液体の移動を制御し得る。このために、サイフォン構造として、第3流路113は第1屈曲部113nおよび第2屈曲部113mを有している。第1屈曲部113nは回転軸110と反対側に凸形状を有し、第2屈曲部113mは回転軸110側に凸形状を有する。第1屈曲部113nは、第3流路113が接続するメインチャンバー107と回収チャンバー108のうち、回転軸110に近い側に位置するメインチャンバー107と、第2屈曲部113mとの間に位置している。
【0079】
ここでいうサイフォンの原理は、試料分析用基板100の回転により液体にかかる遠心力と流路の毛細管力とのバランスによる送液制御を言う。
【0080】
例えば、第3流路113がサイフォン構造を有しない毛細管路である場合、試料分析用基板100の回転による遠心力で、反応チャンバー106から第2流路112を介してメインチャンバー107へ移送される過程において、メインチャンバー107へ移送された液体は、第3流路113の毛細管力により第3流路113内に満たされる。この状態で、試料分析用基板100の回転が継続していると、液体は、メインチャンバー107中に保持されず、第3流路113を介して回収チャンバー108に移送されてしまう。この時、試料分析用基板100は、第3流路113の毛細管力よりも強い遠心力をかけることができる回転速度で回転している。
【0081】
一方、第3流路113がサイフォン構造を有していれば、反応チャンバー106からメインチャンバー107へ移送された液体は、第3流路113の毛細管力により、第3流路113中に液体が引き込まれる。しかし、試料分析用基板100が継続して回転し、第3流路113の毛細管力よりも強い遠心力をかけることができる回転速度で回転していれば、液体にかかる毛細管力よりも遠心力の方が強いため、第3流路113内全てを液体で満たされることはない。すなわち、第3流路113は、回転軸110に対してメインチャンバー107に存在する液体の液面の距離と同じ高さまでしか液体で満たされない。
【0082】
また、試料分析用基板100が、第3流路113の毛細管力よりも弱い遠心力をかける回転速度で回転している場合には、毛細管力によって第3流路113が液体で満たされ、毛細管力によってそれ以上液体が移動することはない。
【0083】
メインチャンバー107中の液体を回収チャンバー108へ移送したい場合には、試料分析用基板100を、第3流路113の毛細管力以下の遠心力をかけることができる回転速度(回転停止も含む)で回転させることで、毛細管力により第3流路113の全てが液体で満たされる。その後、第3流路113の毛細管力よりも強い遠心力をかけることができる回転速度で試料分析用基板100を回転させると、メインチャンバー107内の液体を、回収チャンバー108へ移送させることができる。
【0084】
したがって、第3流路113をサイフォン構造で構成することにより、反応液、洗浄液および基質溶液をいったんメインチャンバー107で保持することができ、メインチャンバー107において、B/F分離、磁性粒子の洗浄および基質溶液との反応を適切に行うことが可能となる。
【0085】
図3Dに示すように、第3流路113がサイフォン構造を備えるために、回転軸110と、回転軸110から遠くに位置する回収チャンバー108の最も回転軸110に近い最内周側面108bとの距離をR1とし、回転軸110から、第1屈曲部113nの最も回転軸110から遠い側に位置する点までの距離をR2とした場合、R1>R2(条件1)を満たすことが好ましい。
【0086】
また、回転軸110と、回転軸110に近くに位置するメインチャンバー107に保持された液体が、遠心力によって、側面に偏って保持されている場合において、回転軸110から液体の液面までの距離をR4とし、回転軸110から、第2屈曲部113mの最も回転軸110に近い側に位置する点までの距離をR3とした場合、R4>R3(条件2)を満たすことが好ましい。
【0087】
第3流路113が条件1、2を満たしていることによって、反応チャンバー106から反応液をメインチャンバー107へ移送させる場合に、試料分析用基板100を第3流路113中の液体にかかる毛細管力よりも強い遠心力が働く回転速度で回転させると、メインチャンバー107へ移送された反応液または洗浄液がそのまま回収チャンバー108へ移送されるのを防止し得る。
【0088】
[回収チャンバー108]
回収チャンバー108は、第3流路113を介してメインチャンバー107から移送される磁性粒子311以外の反応液および使用済みの洗浄液を貯蔵する。回収チャンバー108は、前述の反応液と洗浄回数に応じた合計の使用済み洗浄液との合計量よりも大きな容量の空間を有する。回収チャンバー108は液体を保持する主要な部分が、メインチャンバー107よりも回転軸110に対して遠くに位置していることが好ましい。
【0089】
[第1貯蔵チャンバー104]
図3Fを参照する。第1貯蔵チャンバー104は、B/F分離の際の洗浄に用いる洗浄液を貯蔵する。以下において詳細に説明するように、本実施形態の試料分析システムでは、B/F分離の際、複合体310を複数回洗浄することができる。このため、第1貯蔵チャンバー104は、洗浄回数に応じた合計容量の洗浄液を保持し得る空間を有している。
【0090】
[第4流路114]
第1貯蔵チャンバー104の洗浄液は、第4流路114を介して、第1保持チャンバー101へ移送される。第4流路114は、開口114gおよび開口114hを有する。第4流路114の開口114gは、第1貯蔵チャンバー104の側面のうち、回転軸110から最も遠い側に位置する最外周側面104a、または、最外周側面104aに隣接する隣接側面であって、最外周側面104aとの接続部分を含む位置に設けられることが好ましい。
図3Fは、開口114gが最外周側面104aと隣接側面との接続部分に設けられた例を示している。
【0091】
第4流路114の開口114hは、開口114gよりも回転軸110に対して遠い側に位置している。開口114hは、以下において説明するように、第1保持チャンバー101の側面に接続されている。開口114hが開口114gよりも回転軸110に対して遠い側に位置していることにより、試料分析用基板100を回転させると、第1貯蔵チャンバー104内の洗浄液は、遠心力によって、第4流路114を介して第1保持チャンバー101へ移送される。第4流路114は、毛細管路であってもよいし、重力に移送が可能な流路であってもよい。
【0092】
[第1保持チャンバー101]
第1保持チャンバー101は、第1貯蔵チャンバー104に貯蔵されていた全洗浄液を保持する。その後、メインチャンバー107で複合体310を洗浄するために、洗浄液の一部を反応チャンバー106へ移送させ、残りを保持する。一回の洗浄に用いる洗浄液の量は以下において説明するように、第1流路111によって秤量される。このため、第1保持チャンバー101は、第1流路111以上の容積を有しており、洗浄回数分の合計の洗浄液量以上の容積(例えば、2回の洗浄であれば第1流路111の2倍以上の容積、3回の洗浄であれば第1流路111の3倍以上の容積)を有している。
【0093】
第4流路114の開口114hは、第1保持チャンバー101の最外周側面103aに対して、液体を保持する空間を挟んで対向する1つの内周側面に設けられている。
【0094】
[第1流路111]
前述したように、第1流路111は、第1保持チャンバー101と反応チャンバー106とを接続している。このため、第1貯蔵チャンバー104に洗浄液が導入される場合、洗浄液は、いったん、反応チャンバー106へ移送され、その後、メインチャンバー107へ移送される。
【0095】
第1流路111は、第1部分111qおよび第1部分111qに接続された第2部分111rを含む。第2部分111rは毛細管路である。第1部分111qは開口111gを含み、第1保持チャンバー101と接続されている。第1保持チャンバー101の一部と第1流路111の一部とは、開口111gを挟んで概ね回転軸110を中心とする半径方向に位置している。第2部分111rは、第2開口111hを有し、反応チャンバー106の第1部分106qの第1領域106qfと接続されている。第2開口111hは、第2流路112の開口112gよりも回転軸110に近接している。
【0096】
第1流路111の第1部分111qは、第1領域111qeおよび第2領域111qfを含む。第1部分111qは、本実施形態では、試料分析用基板100の半径方向に対して斜めの方向に伸びる形状を有している。第2領域111qfは、第1部分111qにおいて第1領域111qeよりも回転軸110に近接して位置している。第1領域111qeは毛細管空間であり、第2領域111qfは毛細管現象により液体を満たすことができる毛細管空間ではない。例えば、第2領域111qfの厚さは、第1領域111qeの厚さよりも大きい。このため、第2領域11qfも液体で満たすことにより、量り取る洗浄液の量を大きくすることができる。
【0097】
第2領域111qfには空気孔122が設けられており、第2領域111qfは空気の移動を確保する気道としても機能する。具体的には、第2領域111qfが設けられることによって、何等かの理由によって第1領域111qeに保持された液体中に気泡が生じている場合に、気泡が第2領域111qfへ移動し、液体中の気泡が排除されやすくなる。これによって、試料分析用基板100を回転させた場合に、特に、第2部分111rに気泡が入り込み、液体の移動が妨げられるのを抑制することができる。
【0098】
以下において詳細に説明するように、第1保持チャンバー101に洗浄液が保持された状態で試料分析用基板100の回転角度を洗浄液が開口116gに接触する位置に変更すると、第2領域116qfを除く第1流路111中に毛細管現象により洗浄液で満たされる。この状態で第1流路111内の洗浄液にかかる毛細管力よりも強い遠心力がかかる回転速度で試料分析用基板100を回転させる。この場合、
図3Gに示すように、回転軸110に垂直な平面上において、回転軸110と位置zとを結ぶ直線dbを基準として、第1保持チャンバー101へ移送される洗浄液と、第1流路111へ戻る洗浄液とに分かれる。基準位置zは、
図3Gに示すように、第1保持チャンバー101の空間または第1流路111の空間よりも回転軸110に対して遠くに位置している2つの側面s1、s2であって、回転軸110を中心とする円弧arの接線方向dtよりも第1保持チャンバー101側に傾斜している側面s1と第2保持チャンバー側に傾斜している側面s2との境界位置によって定義される。これにより、1回分の洗浄液が秤量され、メインチャンバー107へ洗浄液が移送される。メインチャンバー107に移送された洗浄液は前述したように、第3流路113を介して回収チャンバー108へ移送される。
【0099】
[第2貯蔵チャンバー105]
図3Hを参照する。第2貯蔵チャンバー105は、試料分析システムを用いた分析の開始時に基質溶液を貯蔵する。第2貯蔵チャンバー105の形状に特に制限はなく、任意の形状を有していてもよい。
【0100】
[第5流路115]
第5流路115は、第2貯蔵チャンバー105と、第2保持チャンバー102とを接続している。第5流路115は、例えば、回転軸110を中心とする半径方向に伸びており、毛細管路によって構成されている。第5流路115は、開口115gおよび開口115hを有する。開口115gは、第2貯蔵チャンバー105の側面のうち、回転軸110から最も離れた最外周側面105a、または、最外周側面105aに隣接する隣接側面であって、最外周側面105aに近接する位置に設けられることが好ましい。本実施形態では、最外周側面105aに開口115gが設けられている。開口115hは、第2保持チャンバー102に接続されている。
【0101】
[第2保持チャンバー102]
第2保持チャンバー102は、試料分析システムを用いた分析の開始後、洗浄を含むB/F分離の間、第2貯蔵チャンバー105から移送された基質溶液を保持する。第2保持チャンバー102は、第2貯蔵チャンバー105より回転軸110から遠くに位置している。第2保持チャンバー102は、基質溶液を保持する空間を挟む、第1外周側面102a1および第2外周側面102a2と、第1内周側面102b1および第2内周側面102b2とを有する。第1外周側面102a1と第2外周側面102a2とは、半径方向に重なっておらず、また、第1外周側面102a1は第2外周側面102a2よりも回転軸110から遠くに位置している。第1内周側面102b1と第2内周側面102b2とは半径方向に重なっておらず、また、第1内周側面102b1は第2内周側面102b2よりも回転軸110から遠くに位置している。
【0102】
第2保持チャンバー102は、第1外周側面102a1および第1内周側面102b1に隣接する隣接側面102cと、第2外周側面102a2および第2内周側面102b2に隣接する隣接側面102dとをさらに有する。第2保持チャンバー102の空間は、隣接側面102cおよび隣接側面102dによって挟まれ、円周方向に伸びる形状を有している。
【0103】
以下において説明するように、本実施形態では、第6流路116の開口116gは、第1内周側面102b1に設けられている。また、以下において詳述する第6流路116の開口116gは、隣接側面102dの第2内周側面102b2との接続位置に隣接して位置している。つまり、第6流路116は隣接側面102dの回転軸110に近い側に設けられている。この構造により、第2保持チャンバー102の空間の大部分は、第6流路116の開口116hよりも回転軸110から離れて位置している。このため、試料分析用基板100が種々の回転角度で保持される場合でも第2保持チャンバー102に保持された基質溶液が、第6流路116を介して第3保持チャンバー103へ移送されるのを抑制することができる。
【0104】
また、第1外周側面102a1が回転軸110から遠くに位置しており、第2保持チャンバー102の空間は、第1外周側面102a1に接して外周側に突出した凸形状部分102tを含む。よって、第2保持チャンバー102の空間の凸形状部分102tに基質溶液が保持されることにより、第2保持チャンバー102に保持された基質溶液の液面を第6流路116の開口111gから離間させることができ、より確実に第6流路116を介して第3保持チャンバー103へ移送されるのを抑制することができる。
【0105】
[第6流路116]
第6流路116は、第2保持チャンバー102と第3保持チャンバー103とを接続している。第6流路116は、開口116gおよび開口116hを有し、開口116gは第2保持チャンバー102の隣接側面102dに設けられている。また、開口116hは、第3保持チャンバー103の側面の1つに設けられている。第6流路116は重力によって液体の移動が可能な流路である。
【0106】
[第3保持チャンバー103]
第3保持チャンバー103は、第6流路116を介して第2保持チャンバー102から移送される基質溶液を保持する。第3保持チャンバー103は第2保持チャンバー102と周方向において隣接する第1部分103qおよび第7流路117と周方向に隣接する第2部分103rを含む。第1部分103qと第2部分103rとは半径方向に配置されている。また、第3保持チャンバー103は、第2保持チャンバー102の隣接側面101dに近接している。
【0107】
第3保持チャンバー103は、回転軸110から最も離れた最外周側面103aと最外周側面103aに隣接する第2隣接側面103c2を有する。また、回転軸110に最も近接する最内周側面103bと最内周側面103bに隣接する第1隣接側面103c1を有する。第3保持チャンバー103の空間に対して、第1隣接側面103c1および第2隣接側面103c2は同じ側、つまり、第2保持チャンバー102および第7流路117に面する側に配置されている。第1隣接側面103c1および第2隣接側面103c2の間には、凹部103sが形成されており、凹部103sによって、第1隣接側面103c1および第2隣接側面103c2は分離している。
【0108】
第3保持チャンバー103の第1部分103qは、最内周側面103bおよび第1隣接側面103c1を含み、第2部分103rは、と最外周側面103aおよび第2隣接側面103c2を含む。
【0109】
第3保持チャンバー103の第1部分103qにおいて、第1隣接側面103c1の、最内周側面103bに近接する位置に第6流路116の開口116hが設けられている。
【0110】
また、第2部分103rにおいて、第2隣接側面103c2の、最外周側面103aから離間した位置、より具体的には、回転軸110に最も近接する位置において、第7流路117の開口117gが設けられている。以下において説明するように、第7流路117が毛細管路である場合には、第2部分103rは、最外周側面103aと第7流路117の開口117gが位置する部分とを接続する毛細管空間103reを備えていてもよい。この場合には、毛細管空間103reは、第2隣接側面103c2に沿って位置していることが好ましい。
【0111】
[第7流路117]
第7流路117は、第1部分117qおよび第2部分117rと、開口117gおよび開口117hとを有する。第1部分117qの一端と第2部分117rの一端とは互いに接続されている。第1部分117qの他端に開口117gが位置しており、前述したように、第3保持チャンバー103の第2隣接側面103c2に接続されている。第2部分117rの他端に開口117hが位置しており、メインチャンバー107に接続されている。第2部分117rは毛細管路である。
【0112】
第1部分117qは、第1領域117qeおよび第2領域117qfを含む。第1部分117qは、本実施形態では、周方向に伸びる形状を有している。第2領域117qfは、第1領域117qeよりも回転軸110に近接して位置している。第1領域117qeは毛細管空間であり、第2領域117qfは毛細管現象により液体を満たすことができる毛細管空間ではない。例えば、第2領域117qfの厚さは、第1領域117qeの厚さよりも大きく、毛細管現象によって、第1領域117qeが液体で満たされるとき、第2領域117qfは液体で満たされない。第2領域117qfには空気孔122が設けられている。また、第1領域117qeの厚さは、第3保持チャンバー103の毛細管空間103reの厚さよりも小さいことが好ましい。これにより、第3保持チャンバー103の毛細管空間103reに保持された基質溶液を第7流路117は引き込むことができる。
【0113】
開口117gは、開口117hよりも回転軸110に近い側に位置している。第7流路117中の液体を実質的に全量、第3保持チャンバー103に移送させるには、第7流路117の各部は、回転軸110から開口117gと同じ位置または、回転軸110から開口117gよりも遠くに位置していることが好ましい。これにより、第7流路117に基質溶液が満たされた状態で基質溶液に第7流路117中の基質溶液にかかる毛細管力よりも強い遠心力が働くと、第7流路117内のすべての基質溶液がメインチャンバー107へ移送される。
【0114】
第1部分117qの第1領域117qeと第2部分117rとの合計容量が分析に用いる基質溶液の量に相当し、毛細管力によってこれらの部分が基質溶液で満たされることにより、基質溶液の秤量が行われる。
【0115】
第1流路111と同様、第1部分117qの第2領域117qfは、気道として機能する。何等かの理由によって、第1部分117qの第1領域117qeに保持された基質溶液中に気泡が生じている場合に、気泡が第2領域117qfへ移動し、基質溶液中の気泡が排除されやすくなる。これによって、試料分析用基板100を回転させた場合に、特に、第2部分117rに気泡が入り込み、基質溶液の移動が妨げられるのを抑制することができる。
【0116】
第7流路117において第1部分117qの第1領域117qeおよび第2部分117rは、毛細管空間および毛細管路である例を説明したが、これらの空間は、重力によって液体が移動する空間および流路であってもよい。
【0117】
(試料分析システム501の動作)
試料分析システム501の動作を説明する。
図4は、試料分析システム501の動作を示すフローチャートである。試料分析システム501を動作させるための、試料分析システム501の各部を制御する手順を規定したプログラムが、例えば制御回路205のメモリに記憶されており、演算器によるプログラムの実行により、以下の動作が実現する。以下の工程に先立ち、試料分析用基板100を試料分析装置200に装填し、試料分析用基板100の原点を検出する。また、反応チャンバー106の第2部分106rの第2領域106reには、磁性粒子固定化抗体305および標識抗体308を含むドライ化試薬125があらかじめ保持されている。以下の手順において、試料分析用基板は、例えば、すべて時計回りで回転させる。ただし、試料分析用基板の回転方向は、時計回りに限られず、半時計回りであってもよい。
【0118】
[ステップS11]
まず、
図5に示すように、洗浄液および基質溶液を第1貯蔵チャンバー104および第2貯蔵チャンバー105にそれぞれ導入する。基質溶液は、標識物質307との反応または標識物質307による触媒作用によって、発光、蛍光、あるいは、吸収波長の変化を生じる基質を含む。また、反応チャンバー106の第1部分106qに検体溶液を導入する。検体は、シリンジなどによって反応チャンバー106の第1部分106qに注入してもよい。
【0119】
反応チャンバー106の第1部分106qに検体溶液が導入されると、検体溶液は、第1部分106qの非毛細管空間である第1領域106qfおよび毛細管空間である第2領域106qeを満たす。第2領域106qeは、第2部分106rの毛細管空間である第2領域106reと接続されているため、
図6に示すように、毛細管力によって、検体溶液はこれらの毛細管空間に吸引される。その結果、第1部分106qの第1領域106qfに位置していた検体溶液は、第2部分106rの第2領域106reへ移動する。
【0120】
これにより、ドライ化試薬125と検体溶液とが接触し、検体溶液中に磁性粒子固定化抗体30が放出され、標識抗体308が検体溶液に溶出する。検体溶液中で、磁性粒子固定化抗体305と、検体中の抗原306と、標識抗体308とが抗原抗体反応により結合し、複合体310が生成する。検体溶液中への磁性粒子固定化抗体30が放出および標識抗体308の溶出を促進するため、試料分析用基板100を揺動させてもよい。この時点で第5流路115、第4流路114および第2流路112は、毛細管現象によって、それぞれ、基質溶液、洗浄液および複合体310を含む反応液で満たされている。
【0121】
[ステップS12]
複合体310が生成した後、試料分析用基板100を回転させ、複合体310を含む反応液を反応チャンバー106の第2部分106rの第2領域106reからメインチャンバー107へ移動させる。前述したように第2流路112は、毛細管現象によって、反応液で満たされている。このため、反応チャンバー106の複合体310を含む反応液に、試料分析用基板100の回転により第2流路112内の反応液にかかる毛細管力よりも強い遠心力が働くと、反応液はメインチャンバー107へ移送される。メインチャンバー107へ移送された反応液は、試料分析用基板100が回転している状態では、続いて回収チャンバー108へ移送されることはない。前述したように第3流路113がサイフォンを構成しているため、遠心力に逆らって、液体が第3流路113を回転軸110に向かう方向へ移動しないからである。メインチャンバー107へ移送された複合体310を含む反応液のうち、磁性粒子311の多くは、磁石121の磁力により最外周側面107aに捕捉される。
【0122】
試料分析用基板100の回転速度は、回転による遠心力が生じることにより、反応液等の液体が重力によって移動せず、各毛細管路の毛細管力よりも強い遠心力をかけられるような速度が設定される。以下、遠心力を利用する回転には、この回転速度が設定される。また、遠心力を利用する回転の場合には、本実施形態では、試料分析用基板100の回転方向は時計回りである。
【0123】
反応液の移動と同時に、洗浄液が第1貯蔵チャンバー104から第4流路114を通って、第1保持チャンバー101へ移送される。また、基質溶液が第2貯蔵チャンバー105から第5流路115を通って、第2保持チャンバー102へ移送される。
【0124】
洗浄液、基質溶液および反応液をそれぞれすべて第1保持チャンバー101、第2保持チャンバー102およびメインチャンバー107およびへ移送させた後、所定の第1の角度で試料分析用基板100を停止させる。
図7に示すように、所定の第1の角度とは、試料分析用基板100において、第1保持チャンバー101へ移送された洗浄液が、第1流路111の開口111gを超えて、第1部分111qと接触せず、かつ、第2保持チャンバー102内の基質溶液が、第6流路116の開口116gとも接触せず、かつ、メインチャンバー107の反応液が第3流路113の開口113gと接触することができる角度である。この角度は、第2保持チャンバー102、メインチャンバー107および第1保持チャンバー101の形状や基板100’内における位置、洗浄液、基質溶液および反応液の量、試料分析用基板100の傾斜角度θ等に依存する。
図7に示す例では、試料分析用基板100と平行な平面に投影された試料分析システム501における重力方向(矢印で示す)が、試料分析用基板100のδ1で示す角度範囲内にあればよい。
【0125】
メインチャンバー107内の反応液は、第3流路113の開口113gと接することにより、毛細管力により、第3流路113を満たす。
【0126】
[ステップS13]
試料分析用基板100を回転させる。回転にともない遠心力が発生し、メインチャンバー107内の反応液および磁性粒子311(複合体310および未反応の磁性粒子)に働く。この遠心力は、液体および複合体310がメインチャンバー107の最外周側面107a側へ移動するように働く。このため、磁性粒子311は、最外周側面107aに押し付けられる。
【0127】
図8に示すように、遠心力を受けた反応液は第3流路113から排出され、回収チャンバー108へ移送される。遠心力および磁石121の吸引力の和によって、磁性粒子311は最外周側面107aに強く押し付けられ、捕捉される。
【0128】
その結果、反応液のみが第3流路113から回収チャンバー108へ排出され、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。第1保持チャンバー101内の洗浄液は、回転による遠心力を受けるが、第1保持チャンバー101の最外周側面101aに押し付けられるため、第1保持チャンバー101内にとどまる。第2保持チャンバー102内の基質溶液も回転による遠心力を受けるが、第1外周側面102a1に押し付けられるため、第2保持チャンバー102内にとどまる。
【0129】
反応液の回収チャンバー108への移送および基質溶液のメインチャンバー107への移送が完了した後、試料分析用基板100の回転を停止させる。
【0130】
これにより、反応液と磁性粒子311とが分離される。具体的には、反応液は、回収チャンバー108へ移動し、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。試料分析用基板100の回転が停止しても磁石121から受ける吸引力により、磁性粒子311は、最外周側面107aに集まったままの状態を維持し得る。この時の停止角度は、第1の角度であってもよいし、次のステップの第2の角度であってもよく、他の角度であってもよい。
【0131】
[ステップS14]
図9に示すように、前のステップで第2の角度で停止させない場合には、試料分析用基板100を少し回転させ、所定の第2の角度で停止させる。第2の角度は第1保持チャンバー101へ移送された洗浄液が、第1流路111の開口111gと接触する角度である。例えば
図9に示す例では、試料分析用基板100のδ2で示す角度範囲内に重力方向が位置する角度である。
【0132】
洗浄液は、開口111gを介して第1流路111の第1部分111qと接触すると、毛細管力によって、第1部分111qの第1領域111qe全体に吸い込まれ、第1流路111の第1部分111qおよび第2部分111rが洗浄液で満たされる。また、重力によって移動した洗浄液で、第2領域111qfも満たされる。これにより、1回分の洗浄液が秤量される。
【0133】
第1流路111が確実に洗浄液で満たされるように、第2の角度を中心として、時計回りおよび反時計回りに交互に数度程度回転させる、つまり揺動させてもよい。第1流路111には毛細管力が働くため、このとき、第1流路111の第2部分111rからメインチャンバー107へ洗浄液が移動することはない。
【0134】
[ステップS15]
続いて、試料分析用基板100を回転させる。回転による遠心力が第1流路111および第1保持チャンバー101内の洗浄液に働く。
図3Fを参照して説明したように、直線dbを基準として第1流路111側に位置する洗浄液は第1流路111を介して反応チャンバー106の第1部分106qへ移動する。また、直線dbを基準として第1保持チャンバー101側に位置する洗浄液は、遠心力によって、第1保持チャンバー101へ戻される。よって、
図10に示すように、第1流路111によって秤量された洗浄液だけが反応チャンバー106の第1部分106qへ移送される。
【0135】
基質溶液は、遠心力によって、第2保持チャンバー102において、第1外周側面102a1に押し付けられる。このため、基質溶液は第2保持チャンバー102内にとどまる。同様に第1保持チャンバー101内の洗浄液も遠心力によって、第1保持チャンバー101において、最外周側面101aに押し付けられる。このため、洗浄液は第1保持チャンバー101内にとどまる。
【0136】
第1流路111内の洗浄液が反応チャンバー106の第1部分106qへすべて移動した後、
図11に示すように、所定の第3の角度で試料分析用基板100を停止させる。第3の角度は、第1保持チャンバー101の洗浄液が、開口111gと接触しない角度である。例えば
図11に示す例では、試料分析用基板100と平行な平面に投影された試料分析システム501における重力方向が、試料分析用基板100上においてδ3で示す角度範囲内にあればよい。
【0137】
反応チャンバー106の第1部分106qに秤量された洗浄液が導入されると、洗浄液は、第1部分106qの非毛細管空間である第1領域106qfおよび毛細管空間である第2領域106qeを満たす。第2領域106qeは、第2部分106rの毛細管空間である第2領域106reと接続されているため、毛細管力によって、洗浄液はこれらの毛細管空間に吸引される。その結果、第1部分106qの第1領域106qfに位置していた洗浄液は、第2部分106rの第2領域106reへ移動する。これにより、反応チャンバー106の第1部分106qおよび第2部分106rに残っていた反応溶液は、洗浄液と混ざる。つまり、洗浄液によって反応チャンバー106が洗浄される。
【0138】
反応チャンバー106内の洗浄液は、第2流路112の開口112gと接することによって、毛細管現象により、第2流路112を満たす。
【0139】
[ステップS16]
試料分析用基板100を回転させ、洗浄液を反応チャンバー106の第2部分106rの第2領域106reからメインチャンバー107へ移動させる。第2流路112が、洗浄液で満たされているため、試料分析用基板100の回転により、第2流路112内の洗浄液に、毛細管力よりも強い遠心力が働くと、洗浄液はメインチャンバー107へ移送される。これにより、反応チャンバー106の第1部分106qおよび第2部分106rに残っていた反応溶液は、洗浄液と一緒にメインチャンバー107へ移送される。また、メインチャンバー107内の磁性粒子311が洗浄液と接触し、1回目の洗浄が行われる。
【0140】
メインチャンバー107へ移送された洗浄液は、試料分析用基板100が回転している状態では、続いて回収チャンバー108へ移送されることはない。第3流路113がサイフォンを構成しているため、遠心力に逆らって、洗浄液が第3流路113を回転軸110に向かう方向へ移動しないからである。第1保持チャンバー101内の洗浄液および第2保持チャンバー102内の基質溶液はそれぞれのチャンバー内に留まったままである。
【0141】
図12に示すように、反応チャンバー106の洗浄液がメインチャンバー107へすべて移動した後、所定の第4の角度で試料分析用基板100を停止させる。第4の角度は、第1保持チャンバー101の洗浄液が、開口111gと接触せず、かつ、メインチャンバー107へ移送された洗浄液が、第3流路113の開口113gと接することのできる角度である。例えば
図12に示す例では、試料分析用基板100と平行な平面に投影された試料分析システム501における重力方向が、試料分析用基板100上においてδ4で示す角度範囲内にあればよい。
【0142】
メインチャンバー107内の洗浄液は、第3流路113の開口113gと接することによって、毛細管現象により、第3流路113を満たす。
【0143】
[ステップS17]
試料分析用基板100を回転させる。回転にともない遠心力が発生し、メインチャンバー107内の洗浄液および磁性粒子311に働く。この遠心力は、洗浄液及び磁性粒子311がメインチャンバー107の最外周側面107a側へ移動するように働き、磁性粒子311は遠心力および磁石121による吸引力によって最外周側面107aにおいて捕捉される。
【0144】
図13に示すように、遠心力を受けた洗浄液は第3流路113から排出され、回収チャンバー108へ移送される。このため、洗浄液のみが第3流路113から排出され、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。第1保持チャンバー101内の洗浄液および第2保持チャンバー102の基質溶液は、それぞれ最外周側面101aおよび第1外周側面102a1に押し付けられ、第1保持チャンバー101および第2保持チャンバー102内にとどまる。
【0145】
洗浄液の回収チャンバー108への移送が完了した後、試料分析用基板100の回転を停止させる。これにより、洗浄液と磁性粒子311とが分離される。具体的には、洗浄液は、回収チャンバー108へ移動し、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。試料分析用基板100の回転が停止しても磁石121から受ける吸引力により、磁性粒子311は、最外周側面107aに集まったままの状態を維持し得る。この時の停止角度は、第4の角度であってもよいし、次のステップの第5の角度であってもよい。
【0146】
[ステップS18]
図14に示すように、前のステップで第5の角度で停止させない場合には、試料分析用基板100を少し回転させ、所定の第5の角度で停止させる。第5の角度は第1保持チャンバー101へ移送された洗浄液が、第1流路111の開口111gと接触する角度である。例えば
図14に示す例では、試料分析用基板100のδ5で示す角度範囲内に重力方向が位置する角度である。ステップS4における第1保持チャンバー101内に残っている洗浄液の量が異なるため、角度範囲δ5は角度範囲δ2と異なり得る。
【0147】
洗浄液は、第1流路111の第1部分111qにおける毛細管力によって第1保持チャンバー101から第1流路111へ吸い込まれ、第1流路111の第1部分111qおよび第2部分111rが洗浄液で満たされる。これにより再度1回分の洗浄液が秤量される。
【0148】
第1流路111が確実に洗浄液で満たされるように、第5の角度を中心として、試料分析用基板100を揺動させてもよい。第1流路111には毛細管力が働くため、このとき、第1流路111から反応チャンバー106へ洗浄液が移動することはない。
【0149】
[ステップS19]
続いて、試料分析用基板100を回転させる。回転による遠心力が第1流路111および第1保持チャンバー101内の洗浄液に働く。1回目の洗浄と同様、
図3Fに示す直線dbを基準として第1流路111側に位置する洗浄液は第1流路111を介して反応チャンバー106の第1部分106qへ移動する。また、直線dbを基準として第1保持チャンバー101側に位置する洗浄液は、遠心力によって、第1保持チャンバー101へ戻される。よって、
図15に示すように、第1流路111によって秤量された洗浄液だけが反応チャンバー106の第1部分106qへ移送される。
【0150】
基質溶液は、遠心力によって、第2保持チャンバー102において、第1外周側面102a1に押し付けられる。このため、基質溶液は第2保持チャンバー102内にとどまる。同様に第1保持チャンバー101内の洗浄液も遠心力によって、第1保持チャンバー101において、最外周側面101aに押し付けられる。このため、洗浄液は第1保持チャンバー101内にとどまる。
【0151】
図16に示すように、第1流路111内の洗浄液が反応チャンバー106の第1部分106qへすべて移動した後、所定の第6の角度で試料分析用基板100を停止させる。第6の角度は、第1保持チャンバー101の洗浄液が、開口111gと接触しない角度である。例えば
図16に示す例では、試料分析用基板100と平行な平面に投影された試料分析システム501における重力方向が、試料分析用基板100上においてδ6で示す角度範囲内にあればよい。
【0152】
1回目の洗浄と同様、反応チャンバー106の第1部分106qに秤量された洗浄液が導入されると、洗浄液は、第1部分106qの非毛細管空間である第1領域106qfおよび毛細管空間である第2領域106qeを満たす。第2領域106qeは、第2部分106rの毛細管空間である第2領域106reと接続されているため、毛細管力によって、洗浄液はこれらの毛細管空間に吸引される。その結果、第1部分106qの第1領域106qfに位置していた洗浄液は、第2部分106rの第2領域106reへ移動する。これにより、反応チャンバー106の第1部分106qおよび第2部分106rに残っているかもしれない反応溶液は、洗浄液と混ざる。つまり、洗浄液によって反応チャンバー106が再度洗浄される。
【0153】
反応チャンバー106内の洗浄液は、第2流路112の開口112gと接することによって、毛細管現象により、第2流路112を満たす。
【0154】
[ステップS20]
1回目の洗浄と同様、試料分析用基板100を回転させ、洗浄液を反応チャンバー106の第2部分106rの第2領域106reからメインチャンバー107へ移動させる。第2流路112が、洗浄液で満たされているため、試料分析用基板100の回転により、第2流路112内の洗浄液に、毛細管力よりも強い遠心力が働くと、洗浄液はメインチャンバー107へ移送される。これにより、反応チャンバー106の第1部分106qおよび第2部分106rに残っているかもしれない反応溶液は、洗浄液と一緒にメインチャンバー107へ移送される。また、メインチャンバー107内の磁性粒子311が洗浄液と接触し、2回目の洗浄が行われる。
【0155】
メインチャンバー107へ移送された洗浄液は、前述したように試料分析用基板100が回転している状態では、続いて回収チャンバー108へ移送されることはない。第1保持チャンバー101内の洗浄液および第2保持チャンバー102内の基質溶液はそれぞれのチャンバー内に留まったままである。
【0156】
図17に示すように、反応チャンバー106の洗浄液がメインチャンバー107へすべて移動した後、所定の第7の角度で試料分析用基板100を停止させる。第7の角度は、第1保持チャンバー101の洗浄液が、開口111gと接触せず、かつ、メインチャンバー107へ移送された洗浄液が、第3流路113の開口113gと接することのできる角度である。例えば
図17に示す例では、試料分析用基板100と平行な平面に投影された試料分析システム501における重力方向が、試料分析用基板100上においてδ7で示す角度範囲内にあればよい。
【0157】
メインチャンバー107内の洗浄液は、第3流路113の開口113gと接することによって、毛細管現象により、第3流路113を満たす。
【0158】
[ステップS21]
試料分析用基板100を回転させる。回転にともない遠心力が発生し、メインチャンバー107内の洗浄液および磁性粒子311に働く。この遠心力は、洗浄液及び磁性粒子311がメインチャンバー107の最外周側面107a側へ移動するように働き、磁性粒子311は遠心力および磁石121による吸引力によって最外周側面107aにおいて捕捉される。
【0159】
遠心力を受けた洗浄液は第3流路113から排出され、回収チャンバー108へ移送される。このため、洗浄液のみが第3流路113から排出され、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。第1保持チャンバー101内の洗浄液は、最外周側面103aに押し付けられ、第1保持チャンバー101内にとどまる。基質溶液も第1外周側面102a1に押し付けられ、第2保持チャンバー102内にとどまる。
【0160】
洗浄液の回収チャンバー108への移送が完了した後、試料分析用基板100の回転を停止させる。これにより、
図18に示すように、洗浄液と磁性粒子311とが分離される。具体的には、洗浄液は、回収チャンバー108へ移動し、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。試料分析用基板100の回転が停止しても磁石121から受ける吸引力により、磁性粒子311は、最外周側面107aに集まったままの状態を維持し得る。この時の停止角度は、第7の角度であってもよいし、次のステップの第8の角度であってもよい。以上の工程によりB/F分離および洗浄が完了する。
【0161】
[ステップS22]
基質溶液をまず第2保持チャンバー102から第3保持チャンバー103へ移動させる。
図19に示すように、前のステップで第8の角度で停止させない場合には、試料分析用基板100を少し回転させ、所定の第8の角度で停止させる。この時、試料分析用基板100は、時計回りに回転させる。第8の角度は第2保持チャンバー102内の基質溶液が第6流路116の開口116gと接触し、かつ、基質溶液の全量が重力によって第3保持チャンバー103へ移動し得る角度である。概ね第6流路116が重力方向に沿って配置される角度である。これにより、第2保持チャンバー102内の基質溶液が第3保持チャンバー103へ移送される。
【0162】
次に
図20に示すように、試料分析用基板100を時計回りに回転させ、第3保持チャンバー103内において、基質溶液が第2部分103rの毛細管空間103reと接触する所定の第9の角度で停止させる。毛細管空間103reと基質溶液との接触により、毛細管空間103reに基質溶液が吸引される。
図21に示すように、毛細管空間103reを満たした基質溶液は、毛細管力によって、開口117gから第7流路117に吸い込まれ、第7流路の第1部分117qの第1領域117qeおよび第2部分117rが基質溶液で満たされる。これにより、基質溶液が秤量される。
【0163】
第7流路117が確実に基質溶液で満たされるように、第9の角度を中心として、時計回りおよび反時計回りに交互に数度程度回転させる、つまり揺動させてもよい。第7流路117には毛細管力が働くため、このとき、第7流路117の第2部分112rからメインチャンバー107へ洗浄液が移動することはない。
【0164】
[ステップS23]
続いて、試料分析用基板100を回転させる。回転による遠心力が第7流路117および第1保持チャンバー101内の洗浄液に働く。第7流路117内の基質溶液は、遠心力によって、メインチャンバー107へ移動する。開口112gよりも第3保持チャンバー103側に位置している基質溶液は、遠心力によって、第3保持チャンバー103の最外周側面102aへ押し付けられ、第3保持チャンバー103内に留まる。
【0165】
メインチャンバー107へ移動した基質溶液には基質が含まれている。この基質は、メインチャンバー107に保持されている磁性粒子311中の標識抗体308に含まれる標識物質307と反応し、あるいは、標識物質307の触媒反応によって、発光、蛍光あるいは吸収波長の変化を生じる。
【0166】
基質溶液のメインチャンバー107への移送が完了した後、
図22に示すように、試料分析用基板100の回転を第10の角度で停止させる。第10の角度は、光学測定ユニット207の受光素子が、メインチャンバー107と近接する等、メインチャンバー107内の基質の発光、蛍光あるいは吸収波長の変化が検出できるように、メインチャンバー107が光学測定ユニット207に対して所定の位置関係で配置される角度である。
【0167】
[ステップS24]
光学測定ユニット207は、メインチャンバー107に保持された液体の光学的測定を行う。具体的には、光学測定ユニット207は、磁性粒子311に含まれる複合体310に結合した標識抗体308の標識物質307に応じた基質の色素、発光、蛍光等のシグナルを検出する。これにより、抗原306の検出、抗原306の濃度の定量等を行うことができる。
【0168】
光学測定ユニット207による光学的測定は、試料分析用基板100を回転させた状態で行ってもよい。この場合、ステップS21において、基質溶液のメインチャンバー107への移送が完了した後、試料分析用基板100を回転した状態で、基質の色素、発光、蛍光等のシグナルを検出してもよい。
【0169】
このように本実施形態によれば、洗浄液を保持する第1保持チャンバー101は第1流路111によって、反応チャンバー106に接続されており、第1流路111によって秤量された洗浄液は、反応チャンバー106を介して洗浄すべき複合体310が保持されたメインチャンバー107へ移送される。したがって、反応チャンバー106に反応液が残っている場合でも、洗浄液によって洗浄することが可能となり、残っていた反応液が複合体310を保持しているチャンバーに移送され、基質溶液と反応することにより、検体の測定に誤差が生じるのを抑制することができる。よって、精度の高い検体の検出の分析を行うことができる。
【0170】
また、本実施形態によれば、B/F分離及び洗浄工程中、基質溶液が保持される第1保持チャンバーは101、円周方向に伸びる形状の空間を有し、かつ最外周側面に隣接する2つの隣接側面のうち、反応チャンバー106、洗浄液を保持する第1保持チャンバー101およびメインチャンバー107に近接する隣接側面と対向し、これらからより遠くに位置する隣接側面であって、回転軸110に近接する側に第6流路116の開口が設けられている。このため、種々の角度で試料分析用基板100を回転させても、基質溶液が第6流路116の開口111gに接しにくく、基質溶液が第3保持チャンバー103へ移送されるのを抑制することができる。
【0171】
(試料分析用基板100の他の形態例)
上記実施形態の試料分析用基板100には種々の改変が可能である。
【0172】
[反応チャンバー106の他の例]
上記実施形態において、反応チャンバー106は、第1部分106qおよび第2部分106rを有していたが、第1部分106qはなくてもよい。
【0173】
図23Aに示す試料分析用基板151において、反応チャンバー106’は第2部分の第2領域106re’のみを有している。第1流路111の第2部分111rは、反応チャンバー106’の最外周側面106raに対向し、回転軸110に最も近接する最内周側面106rbに接続されている。第2領域106re’にはドライ化試薬125が保持されている。第2領域106re’は毛細管空間であってもよいし、非毛細管空間であってもよい。また、ドライ化試薬125が第2領域106re’に保持されていなくてもよい。この場合、磁性粒子固定化抗体305および標識物質307は検体溶液と一緒に反応チャンバー106’に導入してもよいし、別のチャンバーからこれらを移送させてもよい。
【0174】
このような構造の反応チャンバー106’を備えている場合でも、洗浄液が反応チャンバー106’を介してメインチャンバー107へ移送されるため、洗浄液によって反応チャンバー106’を洗浄する効果を得ることができる。この構成の場合、試料分析システム501の前述した動作のうち、ステップS16、および、ステップS20を省略することができる。また、第2流路112は毛細管力による移送が可能な流路であってもよいし、重力による移送が可能な流路であってもよい。
【0175】
また、
図23Bに示す試料分析用基板152において、反応チャンバー106’’は第2部分の第1領域106rf’と第2領域106re’とを有しており、第1部分を有していない。第1領域106rf’は非毛細管空間であり、第2領域106re’は毛細管空間である。
図23Bに示す例では、ドライ化試薬125が第2領域106re’に配置されている。しかし、ドライ化試薬125は備えていなくてもよい。
【0176】
このような構造の反応チャンバー106’’を備えている場合でも、洗浄液が反応チャンバー106’’を介してメインチャンバー107へ移送されるため、洗浄液によって反応チャンバー106’’を洗浄する効果を得ることができる。この構成の場合、試料分析システム501の前述した動作のうち、ステップS16、および、ステップ20を省略することができる。また、第2流路112は毛細管力による移送が可能な流路であってもよいし、重力による移送が可能な流路であってもよい。
【0177】
[第1流路111の他の例]
上記実施形態において、第1流路111は、洗浄液を秤量することができる毛細管空間を有していたが、第1流路は秤量する機能を備えていなくてもよい。
【0178】
図24Aに示す試料分析用基板153は、第1流路211が重力による液体の移送が可能な流路である点で、試料分析用基板100と異なる。
【0179】
第1流路211が秤量する機能を備えていない場合、試料分析用基板153の回転角度を制御することによって、第1保持チャンバー101から第1流路211へ流れる洗浄液の量を制御し、複数回に分けて洗浄液を反応チャンバー106へ移送することができる。
【0180】
第1保持チャンバー101は回転軸110から最も遠い最外周側面101aおよび、最外周側面101aに隣接する隣接側面101cを有し、最外周側面101aおよび隣接側面101cによって、回転軸110側に開口を有する凹部の空間を形成している。第1流路211は開口211gおよび開口211hを有する重力による液体の移送が可能な流路であり、開口211gは隣接側面101cの回転軸110に近い側の位置に設けられている。第1流路211の開口211hは反応チャンバーの第1部分106qの第1領域106qfに接続されている。
【0181】
前述したように、第1保持チャンバー101内に保持された洗浄液が開口211gに接する角度で試料分析用基板153を保持した場合、重力によって洗浄液が第1流路211へ流れはじめ、洗浄液の移動によって洗浄液の表面が後退し、開口211gに一致する位置するまで洗浄液が移送される。したがって、試料分析用基板153を保持する角度位置を異ならせることによって、複数回洗浄液を反応チャンバー106へ移送させることができる。
【0182】
図24Bに示す試料分析用基板154および
図24Cに示す試料分析用基板155は、試料分析用基板153のさらに変形例であり、
図23Aで示した反応チャンバー106’および
図23Bで示した反応チャンバー106’’を備えている点で、試料分析用基板153とは異なる。これらの試料分析用基板であっても、前述した反応チャンバーを洗浄する効果を得ることができる。
【0183】
第1流路は毛細管力により液体を移送可能な流路であってもよい。
図25Aから
図25Cに示す試料分析用基板156、157、158は、
図24Aから
図24Cの試料分析用基板153、154、155の第1流路211に替えて、毛細管力により液体を移送可能な第1流路211’を備えている。この場合、第1流路211’はサイフォンを構成していることが好ましい。サイフォン構造を有していることによって、反応チャンバー中に保持された反応液をメインチャンバーへ移送させる際、第1貯蔵チャンバー104から第1保持チャンバー101へ移送された洗浄液が、そのまま第1流路211’を介して反応チャンバーへ移送されるのを防ぐことができる。
【0184】
この構成によれば、試料分析用基板の回転による遠心力によって第1保持チャンバー101から反応チャンバー106、106’、106’’へ洗浄液を移送させる。このため、洗浄液を複数回に分けて反応チャンバー106、106’、106’’へ移送することは難しい。
【0185】
[第1保持チャンバーおよび第1流路の他の例]
上記実施形態では、第1流路111によって洗浄液を秤量していたが、第1保持チャンバーによって洗浄液を秤量してもよい。
図26に示す試料分析用基板159は、第1部分133qと、第2部分133rと、第2部分133rおよび第1部分133qとを接続する連結部分133pとを含む第1保持チャンバー133を備える。
【0186】
本実施形態では、第2部分133rと第1部分133qの一部とは、概ね、回転軸110を中心とする円周方向に配置されている。第2部分133rと第1部分133qとの間に、基板100’の内面によって構成される壁部分100fが位置している。壁部分100fは、第2部分133rと第1部分133qを区切る。連結部分133pは基板100’の壁部分100fと同じ半径方向上に位置し、かつ、壁部分100fよりも回転軸110側に位置している。連結部分133pは、毛細管現象によって液体で満たされることはなく、重力によって第1部分133qと第2部分133rとの間で液体を移動させる。
【0187】
第2部分133rは、回転軸110を中心とし、回転軸110と壁部分100fの回転軸に最も近い点100eとを結ぶ線分を半径とする円弧caよりも、外側に位置する(回転軸110から離れて位置する)部分133reを含む。この部分133reによって、1回の洗浄に使う所定の量の洗浄液を量り取ることができる。
【0188】
また、回転軸110から第2部分133rにおける第1流路111の開口111gまでの距離は、回転軸110から壁部分100fの回転軸に最も近い点100eまでの距離よりも長い。このため、部分133reによって量り取られた洗浄液は回転による遠心力によって第1流路111から反応チャンバー106へ移送させることができる。
【0189】
第1保持チャンバー133の第1部分133qは、側部133qtと底部133qsを含む。側部133qtは、回転軸110を中心とする円周方向において、第1貯蔵チャンバー104の側方に位置している。底部133qsは、第1貯蔵チャンバー104よりも回転軸110から遠くに位置している。また、第1部分133qの、側部133qtの一部および底部133qsの全体は、第2部分133rよりも回転軸110から遠くに位置している。
【0190】
側部133qtは、好ましくは、円弧caよりも回転軸110側に位置する部分133qt’および外側に位置する部分133qt’’を含む。部分133qt’は、前述したように、第1部分133qと円周方向に隣接しており、連結部分133pと接続している。
【0191】
第1保持チャンバー133の第1部分133qのうち、円弧caよりも外側(回転軸110から遠く)に位置する部分、つまり、部分133qt’’と底部133qsとの合計の容積は、第1貯蔵チャンバー104に保持される洗浄液の全量よりも大きいことが好ましい。
【0192】
第1保持チャンバー133の空間が底部133qsを含むことで、試料分析用基板159が所定の角度で停止されている状態では、第1貯蔵チャンバー104に貯蔵されていた洗浄液の一部が毛細管現象により第4流路114を満たす。そして、第4流路114に洗浄液が満たされた状態で試料分析用基板159を回転させることで、その遠心力によって第1貯蔵チャンバー104中の洗浄液は第4流路114を介して底部133qsへ移送される。
【0193】
試料分析用基板159が所定の角度で保持されると、重力によって、第1保持チャンバー133の底部133qsへ移送された洗浄液の一部が連結部分133pを通って第2部分133rへ流れ、第2部分133rの少なくとも一部を満たす。その後、試料分析用基板100を回転させると、第2部分133rを満たしている洗浄液に遠心力が働き、回転軸110と、壁部分100fの回転軸110に最も近い点100eとを結ぶ線分を半径とする円弧ca(
図26中、破線で示している)と、第2部分133rの洗浄液の液面とが一致するように、第2部分133rに保持されていた洗浄液のうち、余分な量が第1部分133qへ戻される。これによって、洗浄液の所定量が量り取られる。第2部分133rの、回転軸110と、壁部分100fの回転軸110に最も近い点100eとを結ぶ線分を半径とする円弧caより外側に位置する部分の容積は、第1保持チャンバー133の容積の1/2以下である。
【0194】
図26では第1部分133qとして、側部133qtの一部および底部133qsを含む構成を示したが、第1部分133qは、回転軸110を中心とし、回転軸110と壁部分100fの回転軸110に最も近い点とを結ぶ線分を半径とする円弧よりも外側に位置する部分を含めばよい。
【0195】
第1保持チャンバー133において、一定量が量り取られた洗浄液は、毛細管現象により第1流路111を満たし、その後、試料分析用基板169を第1流路111内部の液体にかかる毛細管力よりも大きい遠心力をかけることができる回転数で回転させることで、その遠心力により第1流路111を通ってメインチャンバー107へ移送される。
【0196】
図26に示す試料分析用基板169は
図3B等に示す反応チャンバー106を備えているが、
図23Aおよび
図23Bに示す反応チャンバー106’または106’’を備えていてもよい。
【0197】
[洗浄液を保持するチャンバーの他の例]
上記実施形態では、複数回分の洗浄液を第1保持チャンバー101が保持していたが、1回分の洗浄液を保持する複数のチャンバーを備えていてもよい。
【0198】
図27に示す試料分析用基板170は、第1貯蔵チャンバー104A、第3貯蔵チャンバー104B、第4流路114A、第8流路114B、第1保持チャンバー101A、第4保持チャンバー101B、第1流路111Aおよび第10流路111Bを備える。
【0199】
第1貯蔵チャンバー104A、第4流路114A、第1保持チャンバー101Aおよび第1流路111Aと、第3貯蔵チャンバー104B、第8流路114B、第4保持チャンバー101Bおよび第10流路111Bとは、独立した1回分の洗浄液の保持し、反応チャンバー106へ移送する経路を構成している。
【0200】
第4流路114Aおよび第8流路114Bは、第1貯蔵チャンバー104Aおよび第3貯蔵チャンバー104Bと第1保持チャンバー101Aおよび第4保持チャンバー101Bとをそれぞれ接続し、第1流路111Aおよび第10流路111Bは、第1保持チャンバー101Aおよび第4保持チャンバー101Bと反応チャンバー106とを接続している。
【0201】
第4流路114Aおよび第8流路114Bは毛細管路であり、サイフォン構造を備えている。一方、第1流路111Aおよび第10流路111Bは重力によって液体を移送することができる構造を有している。また、第1保持チャンバー101Aおよび第1流路111Aは、それぞれ第1貯蔵チャンバー104Aおよび第3貯蔵チャンバー104Bよりも回転軸110から遠くに位置している。第1流路111Aおよび第10流路111Bは、重力によって液体を移送することが可能である。
【0202】
第1保持チャンバー101Aは、最外周側面101Aaおよび最外周側面に隣接する隣接側面101Acを有する。最外周側面101Aaと隣接側面101Acとの間に角(稜)を滑らかにするためのテーパー面、曲面等が設けられていてもよい。隣接側面101Acの両端のうち、最外周側面101Aaが位置していない端に第1流路111Aの開口111Agが配置されている。最外周側面101Aaおよび隣接側面101Acによって、回転軸110側に開口を有する凹部が形成され1回分の洗浄液が保持される。
【0203】
同様に、第4保持チャンバー101Bは、最外周側面101Baおよび最外周側面に隣接する隣接側面101Bcを有する。最外周側面101Baと隣接側面101Bcとの間に角(稜)を滑らかにするためのテーパー面、曲面等が設けられていてもよい。隣接側面101Bcの両端のうち、最外周側面101Baが位置していない端に第10流路111Bの開口111Bgが配置されている。最外周側面101Baおよび隣接側面101Bcによって、回転軸110側に開口を有する凹部が形成され1回分の洗浄液が保持される。
【0204】
図27に示すように、反応チャンバー106の中心と回転軸110を結ぶ直線で分けられる2つの領域の同じ一方に第1保持チャンバー101A、第4保持チャンバー101Bは位置している。
【0205】
第1保持チャンバー101Aの凹部および第4保持チャンバー101Bの凹部が液体を保持し得るように、試料分析用基板170の回転軸110が重力方向に対して0°より大きく90°以下の角度で傾斜するように支持する。また、反応チャンバー1067が重力方向において、第1保持チャンバー101A、第4保持チャンバー101Bよりも下方に位置するように、試料分析用基板170を所定の回転角度で保持する。この場合、第1保持チャンバー101Aの隣接側面101Acと第4保持チャンバー101Bの隣接側面101Bcとが回転軸110に平行な方向から見て非平行であることによって、いずれか一方のチャンバーから保持されている洗浄液の全量が、重力によって反応チャンバー106へ移送されても、他方のチャンバーは洗浄液の少なくとも一部を保持し得る。このため、試料分析用基板170の回転角度を適切に選択することにより、第1保持チャンバー101A、第4保持チャンバー101Bから、異なるタイミングで選択的に洗浄液を反応チャンバー106へ移送することができる。
【0206】
図27に示される例では、回転軸110に平行な方向から見て、反応チャンバー106の中心と回転軸110を結ぶ直線に対して隣接側面101Acがなす角度αは、隣接側面101Bcがなす角度βよりも大きい。このため、第1保持チャンバー101A、第4保持チャンバー101Bが重力方向において反応チャンバー106よりも下方に位置するような試料分析用基板170の回転角度(
図27に示すP1が6時の方向に一致する回転角度)から反時計方向に試料分析用基板170を回転させた場合、先に隣接側面101Acが重力方向に直交する方向と平行(水平方向)になることによって、第1保持チャンバー101A内の洗浄液の全量を選択的に反応チャンバー106へ移送させることができ、その後、第4保持チャンバー101Bに保持された洗浄液を選択的にメインチャンバー107へ移送させることができる。
【0207】
[反応チャンバーの他の例]
図3C等を参照して説明した試料分析用基板100の反応チャンバー106は、第1部分106qおよび第2部分106rのそれぞれが、毛細管空間と非毛細管空間を有していた。反応チャンバーにおける毛細管空間と非毛細管空間はこれに限られず、種々の変形が可能である。
【0208】
図28Aに示すように、例えば、反応チャンバーは、第1領域106qfのみを有する第1部分106qと、第1領域106rfおよび第2領域106reを有する第2部分106rを含んでいてもよい。つまり、
図3C等に示す反応チャンバー106において、第1部分106qの第2領域106qeはなくてもよい。この場合、第2部分106rは、第1領域106rfが第2領域106reよりも回転軸110に近接して位置しており、第1領域106rfが第1部分106qの第1領域106qfと接続している。第1領域106qfおよび第1領域106rfが非毛細管空間であり、第2領域06reが毛細管空間である。
【0209】
また
図28Bに示すように、第2部分106rは、第1領域106rfを含んでいなくてもよい。この場合、第2部分106rは毛細管空間である第2領域106reのみによって構成され、第2領域106reは、第1部分106qの第2領域106qeと接続されている。第1部分106qにおける第2領域106qeは、壁部分126の周囲に加えて、壁部分126より回転軸110側に位置し、第2部分106rと接続される106sを含んでいてもよい。
【0210】
また、
図28Dに示すように、第1部分106qは非毛細管空間である第1領域106qfのみを含み、第2部分106rは毛細管空間である第2領域106reのみを含んでいてもよい。この場合、壁部分126の最も回転軸110に近接する点126pと回転軸110とを結ぶ半径上の位置において、第1部分106qと第2部分106rとの境界(接続部分)が位置する。
【0211】
更に、
図28Eに示すように、反応チャンバーは第1部分を有していなくてもよい。この場合、第1部分106qは、第1領域106qfおよび第2領域106qeを含み、第1領域106qfが第2領域106qeよりも回転軸110に近接して位置していてもよい。
【0212】
(反応チャンバー106の他の例)
検体を含む液体と磁気ビーズを含む標識物質とが十分に混合し得る反応チャンバーの実施形態を説明する。
図29は、反応チャンバー161の空間を立体的に示す斜視図である。
図29、および、以下で説明する
図31、33、35、37では、分かりやすさのため、ベース基板100aの主面100d側から見た反応チャンバー161を示している。上述したように反応チャンバー161は、第1部分106qおよび第2部分(空間)106rを含む。
図30A〜
図30Dは、
図29における第2部分106rのA−A’、B−B’、C−C’およびD−D’断面を示す。
【0213】
第1部分106qは、非毛細管部分である第1領域106qfおよび毛細管部分である第2領域106qeを含んでいる。第2部分106rは、試料分析用基板100の円周方向に伸びる空間であり、円周方向に離間している第1端106r1および第2端106r2を有する。また、第1端106r1および第2端106r2にそれぞれ位置する入口106riおよび出口106roを有する。
【0214】
第2部分106rは、毛細管部分136reと、非毛細管部分136rfとを有する。
図29に示す形態では、非毛細管部分136rfは、第1非毛細管部分136rf1と第2非毛細管部分136rf2とを含む。
【0215】
毛細管部分136reは、全体が検体を含む溶液で満たされることによって、検体を含む溶液を測量することができる。毛細管部分136reにはドライ化試薬125が配置されている。ドライ化試薬125は前述したように、乾燥させた磁性粒子固定化抗体305および標識抗体308を含む。毛細管部分136reは、第1端106r1において第1部分106qの第2領域106qeと接続されている。
【0216】
第1非毛細管部分136rf1は、第2端106r2に位置しており、半径方向に伸びている。また、第1非毛細管部分136rf1は、毛細管部分136reと接続されている。本実施形態では、毛細管部分135reと第1非毛細管部分136rf1との境界は半径方向に伸びている。第1非毛細管部分136rf1の外周側端に出口106roが位置しており、出口106roには第2流路112が接続されている。また、第1非毛細管部分136rf1の内周側端近傍に開口123が設けられている。このため、第1非毛細管部分136rf1の圧力は大気圧である。
【0217】
第2非毛細管部分136rf2は、毛細管部分136reよりも内周側に位置し、円周方向に伸びている。第2非毛細管部分136rf2は、第1非毛細管部分136rf1と接続されている。第1非毛細管部分136rf1と接続されることにより、第2非毛細管部分136rf2の圧力も大気圧である。
【0218】
図30A〜
図30Dに示すように、反応チャンバー161の空間は、試料分析用基板100の厚さ方向において、カバー基板100bの一面である下面106dと、ベース基板100a内に形成された空間の天井に対応する上面106uとによって規定される。毛細管部分136reでは、毛細管力が働くように、上面106uと下面106dとの間の高さ(間隔)は小さく設定されている。例えば、毛細管部分136reにおける高さは、50μm〜300μmである。
【0219】
一方、第1非毛細管部分136rf1および第2非毛細管部分136rf2では、実質的に毛細管力が働かないように、上面106uと下面106dとの間の高さ(間隔)は大きく設定されている。例えば、第1非毛細管部分136rf1および第2非毛細管部分136rf2における高さは、500μm〜3mmである。
【0220】
また、毛細管部分136reは、円周方向において、上面106uと下面106dとの間の高さが他の部分よりも小さい部分を有する。本実施形態では、毛細管部分136reは、第2端部側において、上面106uが毛細管部分136reの空間側に突出することによって空間が狭められた凹部136tを有する。凹部136tにおける、上面106uと下面106dとの間の高さは他の部分よりも小さい。
【0221】
上述した反応チャンバー161を備える試料分析用基板100において、反応チャンバー161は第1非毛細管部分136rf1を備えており、第1非毛細管部分136rf1に第2流路112が接続されている。このため、反応チャンバー161に検体を含む液体を導入した場合、液体に毛細管力が働き、毛細管部分136re全体が液体で満たされる。このとき、第1非毛細管部分136rf1に毛細管力は働かないため、毛細管部分136reを満たした液体は第1非毛細管部分136rf1へ移動せず、第1非毛細管部分136rf1は空気で満たされている。このため、第2流路112も空気で満たされている。
【0222】
このよう状態で、試料分析用基板100を揺動させても、毛細管力が毛細管部分136reにおいてのみ働くため、検体を含む液体が毛細管部分136reから第1非毛細管部分136rf1へ移動しにくく、出口から第2流路112へ液体が漏れ出ることが抑制される。よって、反応チャンバー161を液体で満たした状態で試料分析用基板100を揺動させ、液体を揺動させることによって、ドライ化試薬125から液体に分散した標識物質を液体中へ拡散させることができ、標識物質と液体との混合を促進できる。
【0223】
また、反応チャンバー161は毛細管部分136reの内周側に第2非毛細管部分136rf2を備える。このため、第2非毛細管部分136rf2における空気の移動が生じ、揺動によって、第2非毛細管部分136rf2と接する毛細管部分136reに保持された液体が移動し、標識物質と液体との混合をさらに促進できる。
【0224】
また、毛細管部分136reは円周方向における第2端106r2側に半径方向に伸びる凹部136tを備えており、第2端106r2側において、上面106uと下面106dとの間の高さが小さい。これにより、凹部136tにおいて毛細管力が高められ、毛細管部分136reの凹部136t位置する部分において、より大きな毛細管力によって液体が強く保持される。このため、試料分析用基板100を揺動させることによって、毛細管部分136reに保持された液体に慣性力が働いても、凹部136t位置する部分におけるより強い毛細管力によって、液体が、第1非毛細管部分136rf1へ移動するのが抑制される。
【0225】
このように、上述した反応チャンバー161を備える試料分析用基板100によれば、の検体を含む一定量の液体を反応チャンバー161に保持した状態で、試料分析用基板100を揺動させることが可能であり、また、揺動によって液体が攪拌されやすい構造をそなえつつ、入口および出口から液体が漏出するのを抑制することができる。これにより、検体中の抗原を標識物質と均一に反応させることが可能となり、検体中の検出すべき成分の濃度を高い精度で測定することが可能となる。
【0226】
上述した反応チャンバー161を備える試料分析用基板100と試料分析装置200とを用いて、試料分析システム501として動作させる場合には、例えば
図4に示すフローチャートに従った手順で試料分析装置200を動作させることができる。この場合、ステップS11において、反応チャンバー106の第2部分106rに検体溶液を導入した後、試料分析用基板100を揺動させることによって、ドライ化試薬125と検体溶液とを接触させ、検体溶液中に磁性粒子固定化抗体30を放出させ、標識抗体308を検体溶液に溶出させる。これにより上述したように、検体中の抗原を標識物質と均一に反応させることが可能となり、検体中の検出すべき成分の濃度を高い精度で測定することが可能となる。
【0227】
上述した構造を備える反応チャンバー161には種々の改変が可能である。特に、第2非毛細管部分136rf2の形状および凹部136tの配置については種々の改変が可能である。
【0228】
図31は、他の形態の反応チャンバー162の空間を立体的に示す斜視図である。
図32A〜
図32Dは、
図31における第2部分106rのA−A’、B−B’、C−C’およびD−D’断面を示す。
【0229】
図31に示す反応チャンバー162において、第2非毛細管部分136rf2は、第1非毛細管部分136rf1とは接続されていない。第2非毛細管部分136rf2には開口123が設けられている、また、第2非毛細管部分136rf2は、入口106riとも接続されていない。つまり、第2非毛細管部分136rf2は、毛細管部分136reの内周側において、第1端106r1および第2端106r2まで伸びていない。また、毛細管部分136reは、凹部136tを有していない。
【0230】
反応チャンバー162を備えた試料分析用基板100によれば、反応チャンバー161と同様、第1非毛細管部分136rf1を備えていることによって、第2流路112へ液体が漏れ出ることが抑制される。よって、反応チャンバー161を液体で満たした状態で試料分析用基板100を揺動させ、液体を揺動させることによって、ドライ化試薬125から液体に分散した標識物質を液体中へ拡散させることができ、標識物質と液体との混合を促進できる。
【0231】
また、反応チャンバー162は毛細管部分136reの内周側に第2非毛細管部分136rf2を備える。このため、第2非毛細管部分136rf2における空気の移動が生じ、揺動によって、第2非毛細管部分136rf2と接する毛細管部分136reに保持された液体の移動し、標識物質と液体との混合をさらに促進できる。特に反応チャンバー162における第2非毛細管部分136は、第1非毛細管部分136rf1および入口106riと接続されていない。このため、試料分析用基板100の揺動によって、毛細管部分136reから第2非毛細管部分136rf2に検体を含む液体が移動しても、第2非毛細管部分136rf2へ移動した液体は、第1非毛細管部分136rf1および入口106riへは移動することができず、毛細管部分136reへ戻る。よって、揺動による第2非毛細管部分136rf2における大きな混合効果を得ることができる。
【0232】
図33は、他の形態の反応チャンバー163の空間を立体的に示す斜視図である。
図34A〜
図34Dは、
図33における第2部分106rのA−A’、B−B’、C−C’およびD−D’断面を示す。
【0233】
図33に示す反応チャンバー163において、第2非毛細管部分136rf2は、第1非毛細管部分136rf1とは接続されておらず、第1部分106qの非毛細管空間である第1領域106qfと接続されている。また、毛細管部分136reは円周方向における第1端106r1側に半径方向に伸びる凹部136tを備えており、第1端106r1側において、上面106uと下面106dとの間の高さが小さい。
【0234】
反応チャンバー163を備えた試料分析用基板100によれば、反応チャンバー161と同様、第1非毛細管部分136rf1を備えていることによって、第2流路112へ液体が漏れ出ることが抑制される。よって、反応チャンバー161を液体で満たした状態で試料分析用基板100を揺動させ、液体を揺動させることによって、ドライ化試薬125から液体に分散した標識物質を液体中へ拡散させることができ、標識物質と液体との混合を促進できる。
【0235】
また、反応チャンバー162は毛細管部分136reの内周側に第2非毛細管部分136rf2を備える。このため、第2非毛細管部分136rf2における空気の移動が生じ、揺動によって、第2非毛細管部分136rf2と接する毛細管部分136reに保持された液体の移動し、標識物質と液体との混合をさらに促進できる。特に反応チャンバー162における第2非毛細管部分136は、第1部分106qの第1領域106qfと接続されている。このため、試料分析用基板100の揺動によって、毛細管部分136reから第2非毛細管部分136rf2に検体を含む液体が移動しても、第2非毛細管部分136rf2へ移動した液体は、第1領域106qfを介して毛細管部分136reへ戻るか、直接、毛細管部分136reへ戻ることが可能である。よって、揺動による第2非毛細管部分136rf2における大きな混合効果を得ることができる。
【0236】
また、毛細管部分136reは円周方向における第1端106r1側に凹部136tを備えているため、液体が、第1部分106qへ移動するのが抑制される。
【0237】
図35は、他の形態の反応チャンバー164の空間を立体的に示す斜視図である。
図36A〜
図36Dは、
図35における第2部分106rのA−A’、B−B’、C−C’およびD−D’断面を示す。
【0238】
図35に示す反応チャンバー164において、第2非毛細管部分136rf2は、第1非毛細管部分136rf1および第1部分106qの第1領域106qfと接続されている。また、毛細管部分136reは円周方向における第1端106r1側および第2端106r2側に半径方向に伸びる凹部136tを備えており、第1端106r1側および第2端106r2側において、上面106uと下面106dとの間の高さが小さい部分を有する。
【0239】
反応チャンバー164を備えた試料分析用基板100によれば、反応チャンバー161と同様、第1非毛細管部分136rf1を備えていることによって、第2流路112へ液体が漏れ出ることが抑制される。よって、反応チャンバー164を液体で満たした状態で試料分析用基板100を揺動させ、液体を揺動させることによって、ドライ化試薬125から液体に分散した標識物質を液体中へ拡散させることができ、標識物質と液体との混合を促進できる。
【0240】
また、反応チャンバー164は毛細管部分136reの内周側に第2非毛細管部分136rf2を備える。このため、第2非毛細管部分136rf2における空気の移動が生じ、揺動によって、第2非毛細管部分136rf2と接する毛細管部分136reに保持された液体の移動し、標識物質と液体との混合をさらに促進できる。特に反応チャンバー162における第2非毛細管部分136は、第1部分106qの第1領域106qfおよび第1非毛細管部分136rf1と接続されている。つまり、毛細管部分136reは3方において、連通した非毛細管空間と接続されている。このため、試料分析用基板100の揺動によって、毛細管部分136reを囲む非毛細管空間内の空気が一体的に移動することによって、毛細管部分136reに保持された液体を、混合攪拌する大きな効果を得ることが可能である。
【0241】
また、毛細管部分136reは円周方向における第1端106r1側および第2端106r2側に凹部136tを備えているため、液体が、第1部分106qおよび第1非毛細管部分136rf1へ移動するのが抑制される。
【0242】
図37は、他の形態の反応チャンバー165の空間を立体的に示す斜視図である。
図38A〜
図38Dは、
図37における第2部分106rのA−A’、B−B’、C−C’およびD−D’断面を示す。
【0243】
図37に示す反応チャンバー165において、第2非毛細管部分136rf2は、第1非毛細管部分136rf1とは接続されていない。第2非毛細管部分136rf2には開口123が設けられている、また、第2非毛細管部分136rf2は、入口106riとも接続されていない。つまり、第2非毛細管部分136rf2は、毛細管部分136reの内周側において、第1端106r1および第2端106r2まで伸びていない。また、毛細管部分136reは、円周方向における第2端106r2側に半径方向に伸びる凹部136tを備えており、第2端106r2側において、上面106uと下面106dとの間の高さが小さい部分を有する。
【0244】
反応チャンバー165を備えた試料分析用基板100によれば、反応チャンバー161と同様、第1非毛細管部分136を備えていることによって、第2流路112へ液体が漏れ出ることが抑制される。よって、反応チャンバー161を液体で満たした状態で試料分析用基板100を揺動させ、液体を揺動させることによって、ドライ化試薬125から液体に分散した標識物質を液体中へ拡散させることができ、標識物質と液体との混合を促進できる。
【0245】
また、反応チャンバー165は毛細管部分136reの内周側に第2非毛細管部分136rf2を備える。このため、第2非毛細管部分136rf2における空気の移動が生じ、揺動によって、第2非毛細管部分136rf2と接する毛細管部分136reに保持された液体の移動し、標識物質と液体との混合をさらに促進できる。特に反応チャンバー162における第2非毛細管部分136は、第1非毛細管部分136rf1および入口106riと接続されていない。このため、試料分析用基板100の揺動によって、毛細管部分136reから第2非毛細管部分136rf2に検体を含む液体が移動しても、第2非毛細管部分136rf2へ移動した液体は、第1非毛細管部分136rf1および入口106riへは移動することができず、毛細管部分136reへ戻る。よって、揺動による第2非毛細管部分136rf2における大きな混合効果を得ることができる。
【0246】
また、毛細管部分136reは円周方向における第2端106r2側に凹部136tを備えているため、液体が、第1非毛細管部分136rf1へ移動するのが抑制される。
【0247】
[その他の変形例]
本実施形態では、磁性粒子を用いた測定系を想定した説明を行ったが、本願の一態様に係る試料分析用基板、試料分析装置、試料分析システムおよび試料分析システム用プログラムは、磁性粒子を用いた測定系に限定されるものではない。例えば、1次抗体が固定化される対象は、磁性粒子に替えて、チャンバー内の壁面であってもよい。すなわち、チャンバーがポリスチレンやポリカーボネートといった素材で構成されている場合には、チャンバー内の壁面に物理吸着により1次抗体を固定化させることができ、チャンバー内で抗原や標識抗体とのサンドイッチ型の結合反応をせしめることができる。また、チャンバー内の壁面に1次抗体と結合可能な官能基(例えば、アミノ基やカルボキシル基)を有し、化学結合により1次抗体を固定化させることができ、チャンバー内で抗原や標識抗体とのサンドイッチ型の結合反応をせしめることができる。また、チャンバー内の壁面に金属基板を備える構成であれば、例えば、SAMを用いて1次抗体を金属基板に結合して固定化させることができ、チャンバー内で抗原や標識抗体とのサンドイッチ型の結合反応をせしめることができる。一次抗体をチャンバー壁面に物理吸着または化学結合で固定化させる場合は、主に色素、化学発光または蛍光のシグナルを検出する系に使用される。一方、一次抗体を金属基板に固定化させる場合は、シグナルとして、主に電気化学的シグナル(例えば、電流)、電気化学発光のシグナルを検出する系に使用される。この場合、
図3Bに示した磁石121は不要である。また、複合体310形成の反応場は反応チャンバー106ではなく、メインチャンバー107になる。したがって、一次抗体は、メインチャンバー107の壁面に固定化する必要がある。
【0248】
また、本開示の試料分析用基板、試料分析装置、試料分析システムおよび試料分析システム用プログラムは、非競合法(サンドイッチイムノアッセイ法)だけでなく、競合法、ハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法にも適用可能である。
【0249】
上記実施形態では、B/F分離の洗浄の例を説明したが、本実施形態の試料分析用基板、試料分析装置及び試料分析システムは、洗浄液以外の溶液を、前述したように複数回に分けて同じチャンバーへ導入する種々の試料分析方法へ適用可能である。また、上記実施形態では、液体のチャンバーへの導入を続けて行っているが、試料分析用基板の回転および停止の制御と、停止時の角度の制御を適切に行うことにより、間に他の工程を含めることも可能である。
【0250】
また、上記実施形態では2回洗浄を行っているが、必要に応じて3回以上行ってもよい。