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特許6972339温度計測システム、温度計測方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972339
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】温度計測システム、温度計測方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20211111BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20211111BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B65G1/137 A
   B65G1/04 505Z
   B65G1/00 521A
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-526795(P2020-526795)
(86)(22)【出願日】2018年6月27日
(86)【国際出願番号】JP2018024472
(87)【国際公開番号】WO2020003426
(87)【国際公開日】20200102
【審査請求日】2020年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 史郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄喜
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−285250(JP,A)
【文献】 特開2007−94864(JP,A)
【文献】 特開平7−206114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の格納領域を有するラック棚と、前記複数の格納領域のいずれかに格納される物品を積載する搬機と制御信号に従って前記搬機を移動させる移動手段とを備える運搬装置と、を備える自動倉庫において、前記複数の格納領域の温度を計測する温度計測システムであって、
前記複数の格納領域のそれぞれに設置され、前記格納領域の温度を計測する温度センサと、前記格納領域を識別するための識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、第1電波を受信したことに応答して前記第1電波から生成した電力を用いて、前記温度センサにより計測された前記温度を示す温度情報と前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報とを含む第2電波を送信する電波送受信手段と、を備える温度計測装置と、
前記搬機に設置され、前記第1電波を送信し、前記複数の格納領域に設置された複数の前記温度計測装置のうち前記搬機に最も近い前記温度計測装置により送信された前記第2電波を受信し、前記第2電波に含まれる前記温度情報と前記識別情報とを取得する読取装置と、
前記読取装置により取得された前記温度情報と前記識別情報とを収集する温度情報収集装置と、を備え、
前記運搬装置は、前記搬機の移動経路を示す経路情報に基づいて前記制御信号を生成し、生成した前記制御信号に従って前記移動手段を制御する制御手段を更に備え、
前記温度情報収集装置は、前記温度情報と、前記識別情報と、前記温度情報と前記識別情報とを収集した時刻を示す時刻情報と、を対応付けて記憶する温度情報記憶手段を備え、
前記温度情報記憶手段に前記温度情報と対応付けて記憶された前記識別情報と前記時刻情報とに基づいて前記移動経路を決定し、決定した前記移動経路を示す前記経路情報を前記制御手段に送信する経路指示装置を更に備える、
温度計測システム。
【請求項2】
前記経路指示装置は、前記物品の格納先又は格納元の格納領域を指定する領域指定情報に基づいて前記移動経路の候補である複数の候補経路を決定し、決定した前記複数の候補経路のうち前記温度情報が収集された時刻が最も古い格納領域を通過する候補経路を、前記移動経路として決定する、
請求項に記載の温度計測システム。
【請求項3】
前記経路指示装置は、前記物品の格納先又は格納元の格納領域を指定する領域指定情報に基づいて前記移動経路の候補である複数の候補経路を決定し、決定した前記複数の候補経路のうち前記温度情報が収集された時刻と現在時刻との時間差が予め定められた閾値以上である格納領域を最も多く通過する候補経路を、前記移動経路として決定する、
請求項に記載の温度計測システム。
【請求項4】
前記複数の格納領域は、第1方向と前記第1方向に直交する第2方向とに並び、
前記移動手段は、前記第1方向に延びる第1移動用レールに沿って前記搬機を前記第1方向に移動させる第1移動手段と、前記第2方向に延びる第2移動用レールに沿って前記搬機を前記第2方向に移動させる第2移動手段と、を備え、
前記経路指示装置は、前記搬機の前記第2方向における移動時間が前記搬機の前記第1方向における移動時間よりも長く、前記第1方向においては逆戻りし、前記第2方向においては逆戻りしない経路を含む前記複数の候補経路を決定する、
請求項又はに記載の温度計測システム。
【請求項5】
前記経路指示装置は、前記複数の格納領域のうち前記温度情報が収集された時刻と現在時刻との時間差が予め定められた閾値以上である第1格納領域が存在する場合、前記第1格納領域を通過する経路を、前記移動経路として決定する、
請求項に記載の温度計測システム。
【請求項6】
複数の格納領域を有するラック棚と、前記複数の格納領域のいずれかに格納される物品を積載する搬機と制御信号に従って前記搬機を移動させる移動手段とを備える運搬装置と、を備える自動倉庫において、前記複数の格納領域の温度を計測する温度計測方法であって、
前記格納領域の温度を計測する温度センサと、前記格納領域を識別するための識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、第1電波を受信したことに応答して前記第1電波から生成した電力を用いて、前記温度センサにより計測された前記温度を示す温度情報と前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報とを含む第2電波を送信する電波送受信手段と、を備える温度計測装置を、前記複数の格納領域のそれぞれに設置し、
前記第1電波を送信し、前記複数の格納領域に設置された複数の前記温度計測装置のうち前記搬機に最も近い前記温度計測装置により送信された前記第2電波を受信し、前記第2電波に含まれる前記温度情報と前記識別情報とを取得する読取装置を、前記搬機に設置し、
前記読取装置により取得された前記温度情報と前記識別情報とを収集
前記温度情報と、前記識別情報と、前記温度情報と前記識別情報とを収集した時刻を示す時刻情報と、を対応付けて記憶し、
前記温度情報と対応付けて記憶された前記識別情報と前記時刻情報とに基づいて前記搬機の移動経路を決定し、決定した前記移動経路に基づいて前記制御信号を生成する、
温度計測方法。
【請求項7】
前記物品の格納先又は格納元の格納領域を指定する領域指定情報に基づいて前記移動経路の候補である複数の候補経路を決定し、決定した前記複数の候補経路のうち前記温度情報が収集された時刻が最も古い格納領域を通過する候補経路を、前記移動経路として決定する、
請求項に記載の温度計測方法。
【請求項8】
前記物品の格納先又は格納元の格納領域を指定する領域指定情報に基づいて前記移動経路の候補である複数の候補経路を決定し、決定した前記複数の候補経路のうち前記温度情報が収集された時刻と現在時刻との時間差が予め定められた閾値以上である格納領域を最も多く通過する候補経路を、前記移動経路として決定する、
請求項に記載の温度計測方法。
【請求項9】
前記複数の格納領域は、第1方向と前記第1方向に直交する第2方向とに並び、
前記移動手段は、前記第1方向に延びる第1移動用レールに沿って前記搬機を前記第1方向に移動させる第1移動手段と、前記第2方向に延びる第2移動用レールに沿って前記搬機を前記第2方向に移動させる第2移動手段と、を備え、
前記搬機の前記第2方向における移動時間が前記搬機の前記第1方向における移動時間よりも長く、前記第1方向においては逆戻りし、前記第2方向においては逆戻りしない経路を含む前記複数の候補経路を決定する、
請求項又はに記載の温度計測方法。
【請求項10】
前記複数の格納領域のうち前記温度情報が収集された時刻と現在時刻との時間差が予め定められた閾値以上である第1格納領域が存在する場合、前記第1格納領域を通過する経路を、前記移動経路として決定する、
請求項に記載の温度計測方法。
【請求項11】
複数の格納領域を有するラック棚と、
前記複数の格納領域のいずれかに格納される物品を積載する搬機と、制御信号に従って前記搬機を移動させる移動手段と、前記搬機の移動経路を示す経路情報に基づいて前記制御信号を生成し、生成した前記制御信号に従って前記移動手段を制御する制御手段と、を備える運搬装置と、
前記複数の格納領域のそれぞれに設置され、前記格納領域の温度を計測する温度センサと、前記格納領域を識別するための識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、第1電波を受信したことに応答して前記第1電波から生成した電力を用いて、前記温度センサにより計測された前記温度を示す温度情報と前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報とを含む第2電波を送信する電波送受信手段と、を備える温度計測装置と、
前記搬機に設置され、前記第1電波を送信し、前記複数の格納領域に設置された複数の前記温度計測装置のうち前記搬機に最も近い前記温度計測装置により送信された前記第2電波を受信し、前記第2電波に含まれる前記温度情報と前記識別情報とを取得する読取装置と、
前記読取装置により取得された前記温度情報と前記識別情報とを収集し、前記温度情報と、前記識別情報と、前記温度情報と前記識別情報とを収集した時刻を示す時刻情報と、を対応付けて記憶する温度情報記憶手段を備える温度情報収集装置と、を備える自動倉庫において、前記制御手段に前記経路情報を送信するコンピュータを、
前記温度情報記憶手段に前記温度情報と対応付けて記憶された前記識別情報と前記時刻情報とに基づいて前記移動経路を決定する経路決定手段、
前記経路決定手段により決定された前記移動経路を示す前記経路情報を前記制御手段に送信する経路情報送信手段、として機能させる、
プログラム。
【請求項12】
前記経路決定手段は、前記物品の格納先又は格納元の格納領域を指定する領域指定情報に基づいて前記移動経路の候補である複数の候補経路を決定し、決定した前記複数の候補経路のうち前記温度情報が収集された時刻が最も古い格納領域を通過する候補経路を、前記移動経路として決定する、
請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記経路決定手段は、前記物品の格納先又は格納元の格納領域を指定する領域指定情報に基づいて前記移動経路の候補である複数の候補経路を決定し、決定した前記複数の候補経路のうち前記温度情報が収集された時刻と現在時刻との時間差が予め定められた閾値以上である格納領域を最も多く通過する候補経路を、前記移動経路として決定する、
請求項11に記載のプログラム。
【請求項14】
前記複数の格納領域は、第1方向と前記第1方向に直交する第2方向とに並び、
前記移動手段は、前記第1方向に延びる第1移動用レールに沿って前記搬機を前記第1方向に移動させる第1移動手段と、前記第2方向に延びる第2移動用レールに沿って前記搬機を前記第2方向に移動させる第2移動手段と、を備え、
前記経路決定手段は、前記搬機の前記第2方向における移動時間が前記搬機の前記第1方向における移動時間よりも長く、前記第1方向においては逆戻りし、前記第2方向においては逆戻りしない経路を含む前記複数の候補経路を決定する、
請求項12又は13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記経路決定手段は、前記複数の格納領域のうち前記温度情報が収集された時刻と現在時刻との時間差が予め定められた閾値以上である第1格納領域が存在する場合、前記第1格納領域を通過する経路を、前記移動経路として決定する、
請求項11に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度計測システム、温度計測方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、複数の格納領域を有するラック棚と、搬機を用いて物品を所望の格納領域に運搬する運搬装置と、を備える自動倉庫が知られている。このような自動倉庫において、複数の格納領域の温度を管理する種々の技術が知られている。例えば、特許文献1には、運搬装置であるスタッカークレーンが備える搬機に温度センサを設け、この温度センサで格納物の温度を測定する技術が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、温度測定を必要とする格納物の位置に搬機を移動させ、搬機に設けられた温度センサを用いて格納物の温度を非接触で測定する。測定された温度を示す測定温度データは、スタッカークレーンが備える制御部を経由して、地上に設置されたデータ集積装置に伝送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−206114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、格納物の温度を測定する温度センサが搬機に設けられる。このため、温度センサの測定値を安定させるためには、格納物の前で搬機を停止させる必要があり、格納物の温度を短時間で効率良く計測することができなかった。このため、ラック棚が備える複数の格納領域の温度を短時間で効率良く計測する技術が望まれている。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ラック棚が備える複数の格納領域の温度を短時間で効率良く計測する温度計測システム、温度計測方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る温度計測システムは、
複数の格納領域を有するラック棚と、前記複数の格納領域のいずれかに格納される物品を積載する搬機と制御信号に従って前記搬機を移動させる移動手段とを備える運搬装置と、を備える自動倉庫において、前記複数の格納領域の温度を計測する温度計測システムであって、
前記複数の格納領域のそれぞれに設置され、前記格納領域の温度を計測する温度センサと、前記格納領域を識別するための識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、第1電波を受信したことに応答して前記第1電波から生成した電力を用いて、前記温度センサにより計測された前記温度を示す温度情報と前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報とを含む第2電波を送信する電波送受信手段と、を備える温度計測装置と、
前記搬機に設置され、前記第1電波を送信し、前記複数の格納領域に設置された複数の前記温度計測装置のうち前記搬機に最も近い前記温度計測装置により送信された前記第2電波を受信し、前記第2電波に含まれる前記温度情報と前記識別情報とを取得する読取装置と、
前記読取装置により取得された前記温度情報と前記識別情報とを収集する温度情報収集装置と、を備え
前記運搬装置は、前記搬機の移動経路を示す経路情報に基づいて前記制御信号を生成し、生成した前記制御信号に従って前記移動手段を制御する制御手段を更に備え、
前記温度情報収集装置は、前記温度情報と、前記識別情報と、前記温度情報と前記識別情報とを収集した時刻を示す時刻情報と、を対応付けて記憶する温度情報記憶手段を備え、
前記温度情報記憶手段に前記温度情報と対応付けて記憶された前記識別情報と前記時刻情報とに基づいて前記移動経路を決定し、決定した前記移動経路を示す前記経路情報を前記制御手段に送信する経路指示装置を更に備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、格納領域の温度を計測する温度センサと、格納領域を識別するための識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、第1電波を受信したことに応答して第1電波から生成した電力を用いて、温度情報と識別情報とを含む第2電波を送信する電波送受信手段と、を備える温度計測装置が、複数の格納領域のそれぞれに設置され、第1電波を送信し、搬機に最も近い温度計測装置により送信された第2電波を受信し、第2電波に含まれる温度情報と識別情報とを取得する読取装置が、搬機に設置される。従って、本発明によれば、ラック棚が備える複数の格納領域の温度を短時間で効率良く計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る自動倉庫の構成図
図2】本発明の実施形態1に係る経路指示装置の構成図
図3】本発明の実施形態1に係る温度情報収集装置の構成図
図4】本発明の実施形態1に係る温度計測システムの機能構成図
図5】本発明の実施形態1に係る、温度計測装置、読取装置及び制御部の構成図
図6】本発明の実施形態1に係る経路指示装置が実行する物品格納処理を示すフローチャート
図7A】物品が搬機によりラック棚から取り出される様子を示す第1の図
図7B】物品が搬機によりラック棚から取り出される様子を示す第2の図
図7C】物品が搬機によりラック棚から取り出される様子を示す第3の図
図7D】物品が搬機によりラック棚から取り出される様子を示す第4の図
図8図6に示す経路決定処理を示すフローチャート
図9】本発明の実施形態1に係る複数の候補経路を示す図
図10】本発明の実施形態1に係る移動経路決定方法の説明図
図11】本発明の実施形態2に係る移動経路決定方法の説明図
図12】本発明の実施形態3に係る複数の候補経路を示す図
図13】本発明の実施形態4に係る経路指示装置が実行する温度計測処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態1に係る自動倉庫2000の構成について説明する。なお、自動倉庫2000には、図4に示す温度計測システム1000が組み込まれる。自動倉庫2000は、物品の管理がコンピュータ制御により自動化された倉庫である。自動倉庫2000は、例えば、低温で保管すべき物品を自動で管理する冷凍倉庫である。
【0011】
本実施形態では、自動倉庫2000は、主に、物品を所望の場所に運搬する運搬機能と、物品が配置された領域の温度を計測する温度計測機能とを有する。そして、自動倉庫2000は、物品が配置された領域の温度を効率的に計測するために、主に、物品の運搬時にこの領域の温度を計測する。自動倉庫2000は、例えば、冷凍機(図示せず)により物品を低温に維持する冷凍機能を有するが、冷凍機能については説明を省略する。自動倉庫2000は、経路指示装置100と、温度情報収集装置200と、ラック棚300と、運搬装置400と、を備える。
【0012】
経路指示装置100は、運搬装置400が備える搬機410の移動経路を決定し、決定した移動経路を示す経路情報を、運搬装置400が備える制御部440に送信する。また、経路指示装置100は、制御部440から温度情報と識別情報とを受信し、受信した温度情報と識別情報とを温度情報収集装置200に送信する。温度情報は、ラック棚300が備える複数の格納領域310のうち1つの格納領域310の温度を計測することにより得られた温度を示す情報である。識別情報は、温度が計測された格納領域310を識別するための情報である。経路指示装置100は、長期間に亘って温度が計測されない格納領域310がなるべく生じないように、搬機410の移動経路を決定する。
【0013】
以下、図2を参照して、経路指示装置100の構成について説明する。図2に示すように、経路指示装置100は、プロセッサ11と、フラッシュメモリ12と、タッチスクリーン13と、第1通信インターフェース14と、第2通信インターフェース15と、を備える。プロセッサ11は、経路指示装置100の全体の動作を制御する。プロセッサ11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)などを内蔵したCPU(Central Processing Unit)である。なお、CPUは、例えば、ROMに格納されている基本プログラムに従って動作し、RAMをワークエリアとして使用する。
【0014】
フラッシュメモリ12は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。フラッシュメモリ12は、例えば、プロセッサ11が実行するプログラムを記憶する。タッチスクリーン13は、ユーザによりなされた操作を検知し、検知の結果を示す信号をプロセッサ11に供給する。また、タッチスクリーン13は、プロセッサ11による制御に従って、情報を表示する。
【0015】
第1通信インターフェース14は、経路指示装置100を制御部440と通信可能にするための通信インターフェースである。第1通信インターフェース14は、例えば、無線LAN(Local Area Network)、Wi−Fi、又は、Bluetooth(登録商標)などの無線通信用の通信インターフェースであってもよいし、USB(Universal Serial Bus)又はIEEE1394などの有線通信用の通信インターフェースであってもよい。第2通信インターフェース15は、経路指示装置100を温度情報収集装置200と通信可能にするための通信インターフェースである。第2通信インターフェース15は、上述した各種の無線通信用の通信インターフェースであってもよいし、上述した各種の有線通信用の通信インターフェースであってもよい。
【0016】
温度情報収集装置200は、ラック棚300が備える複数の格納領域310のそれぞれの温度情報を収集する。温度情報収集装置200は、例えば、経路指示装置100を介して、制御部440から、温度情報と識別情報とを受信する。温度情報収集装置200は、受信した温度情報と識別情報とを、温度情報と識別情報とを収集した時刻を示す時刻情報と対応付けて記憶する。なお、温度情報と識別情報とを収集した時刻は、基本的に、温度情報と識別情報とを受信した時刻である。
【0017】
以下、図3を参照して、温度情報収集装置200の構成について説明する。図3に示すように、温度情報収集装置200は、プロセッサ21と、フラッシュメモリ22と、タッチスクリーン23と、通信インターフェース24と、を備える。プロセッサ21は、温度情報収集装置200の全体の動作を制御する。プロセッサ21は、例えば、ROM、RAM、RTCなどを内蔵したCPUである。なお、CPUは、例えば、ROMに格納されている基本プログラムに従って動作し、RAMをワークエリアとして使用する。
【0018】
フラッシュメモリ22は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。フラッシュメモリ22は、例えば、プロセッサ21が実行するプログラムを記憶する。タッチスクリーン23は、ユーザによりなされた操作を検知し、検知の結果を示す信号をプロセッサ21に供給する。また、タッチスクリーン23は、プロセッサ21による制御に従って、情報を表示する。
【0019】
通信インターフェース24は、温度情報収集装置200を経路指示装置100と通信可能にするための通信インターフェースである。通信インターフェース24は、上述した各種の無線通信用の通信インターフェースであってもよいし、上述した各種の有線通信用の通信インターフェースであってもよい。
【0020】
ラック棚300は、管理対象である物品330を格納するための複数の格納領域310を備える棚である。複数の格納領域310は、Z軸方向とZ軸方向に直交するY軸方向とに2次元に並んで配置される。Z軸方向は、例えば、鉛直方向である。なお、図1において、X軸方向は、Z軸方向とY軸方向とに直交する方向である。本実施形態では、理解を容易にするため、複数の格納領域310は、Z軸方向に3個、Y軸方向に4個並ぶ12個の格納領域310であり、同一の形状及び同一の大きさであるものとする。ただし、複数の格納領域310は、Z軸方向に2個以下又は4個以上、Y軸方向に3個以下又は5個以上並んでいてもよく、異なる形状又は異なる大きさであってもよい。
【0021】
温度計測装置320は、複数の格納領域310のそれぞれに設置される。温度計測装置320は、温度計測装置320が設置された格納領域310の温度を計測する。温度計測装置320は、例えば、パッシブ型のRFID(Radio Frequency Identifier)タグに、温度センサが組み込まれた装置である。温度計測装置320は、非接触給電により動作する。つまり、温度計測装置320は、読取装置420から受信した第1電波に基づく電力により動作する。
【0022】
温度計測装置320は、例えば、1つの格納領域310の下部に設けられた棚板の前面の中央に設置される。棚板の前面は、例えば、図1において、略板状の棚板が備える6つの面のうち、搬機410と対向する面である。温度計測装置320は、温度計測装置320が設置された格納領域310の内部の空気の温度、温度計測装置320が設置された格納領域310の近傍の空気の温度、又は、温度計測装置320が設置された格納領域310に格納された物品330の温度を測定可能な任意の位置に配置される。なお、温度計測装置320が設置された格納領域310の内部の空気の温度と、温度計測装置320が設置された格納領域310の近傍の空気の温度と、温度計測装置320が設置された格納領域310に格納された物品330の温度とは、実質的に等しいものとする。
【0023】
物品330は、ラック棚300に格納される格納物である。物品330は、どのようなものであってもよい。本実施形態では、物品330は、低温で保存することが要求される物品であるものとする。1つの物品330は、1つの格納領域310に格納される。物品330は、格納領域310の下部に設けられた棚板に積載される。
【0024】
運搬装置400は、物品330を運搬する装置である。運搬装置400は、例えば、スタッカークレーンである。運搬装置400は、例えば、ある格納領域310に格納された物品330を、他の格納領域310に格納する。あるいは、運搬装置400は、ある格納領域310に格納された物品330を、予め定められた基準位置まで運搬する。あるいは、運搬装置400は、予め定められた基準位置に配置された物品330を、所望の格納領域310に格納する。予め定められた基準位置は、例えば、ベルトコンベア(図示せず)上のいずれかの位置である。運搬装置400は、搬機410と、上下移動部431と、左右移動部432と、制御部440と、上下移動用レール451と、左右移動用レール452と、前後移動部(図示せず)と、を備える。
【0025】
搬機410は、運搬対象の物品330を積載する。搬機410には、読取装置420が設置される。読取装置420は、第1電波を放射し、読取装置420の近くに配置された温度計測装置320から第2電波を受信する。第1電波は、温度計測装置320に電力を供給するための電波である。第2電波は、第1電波を受信した温度計測装置320が放射する電波であり、温度情報と識別情報とを含む電波である。読取装置420は、例えば、RFIDリーダライタである。
【0026】
読取装置420は、温度計測装置320との間で電波の送受信がしやすい搬機410上の位置に設置される。例えば、読取装置420は、搬機410の手前側の下部に設置される。図1に示す例では、読取装置420は、搬機410のZ軸方向における両端のうちZ軸方向における座標が小さい方の端部であり、且つ、搬機410のX軸方向における両端のうちX軸における座標が大きい方の端部に配置される。
【0027】
上下移動部431は、制御部440から受信した制御信号に従って、搬機410を上下移動用レール451に沿って上下方向に移動させる。図1に示す例では、上下方向は、Z軸方向である。上下移動部431は、例えば、モータ(図示せず)、プーリー(図示せず)、及び、電源回路(図示せず)を備える。左右移動部432は、制御部440から受信した制御信号に従って、搬機410を左右移動用レール452に沿って左右方向に移動させる。図1に示す例では、左右方向は、Y軸方向である。左右移動部432は、例えば、モータ(図示せず)、プーリー(図示せず)、及び、電源回路(図示せず)を備える。なお、前後移動部(図示せず)は、制御部440から受信した制御信号に従って、搬機410を前後方向に移動させる。図1に示す例では、前後方向は、X軸方向である。前後移動部(図示せず)は、例えば、モータ(図示せず)、プーリー(図示せず)、及び、電源回路(図示せず)を備える。
【0028】
制御部440は、搬機410の移動経路を示す経路情報に基づいて制御信号を生成し、生成した制御信号に従って、上下移動部431と左右移動部432と前後移動部(図示せず)とを制御する。また、制御部440は、読取装置420から温度情報と識別情報とを受信し、受信した温度情報と識別情報とを経路指示装置100を介して温度情報収集装置200に送信する。
【0029】
上下移動用レール451は、搬機410を上下方向に移動させるためのガイドとなるレールである。上下移動用レール451は、上下方向に延在する。左右移動用レール452は、搬機410を左右方向に移動させるためのガイドとなるレールである。左右移動用レール452は、左右方向に延在する。
【0030】
次に、図4を参照して、温度計測システム1000の機能について説明する。図4に示すように、温度計測システム1000は、経路指示装置100と、温度情報収集装置200と、温度計測装置320と、搬機410と、移動部430と、制御部440と、を備える。移動手段は、例えば、移動部430に対応する。制御手段は、例えば、制御部440に対応する。
【0031】
経路指示装置100は、温度情報記憶部202に温度情報と対応付けて記憶された識別情報と時刻情報とに基づいて移動経路を決定する。経路指示装置100は、決定した移動経路を示す経路情報を制御部440に送信する。経路指示装置100は、物品330の格納先又は物品330の格納元の格納領域310を指定する領域指定情報に基づいて、移動経路の候補である複数の候補経路を決定する。そして、経路指示装置100は、決定した複数の候補経路のうち温度情報が収集された時刻が最も古い格納領域310を通過する候補経路を、移動経路として決定する。経路指示装置100は、機能的には、制御部101と、指示受付部102と、第1通信部103と、第2通信部104と、を備える。経路決定手段は、例えば、制御部101に対応する。経路情報送信手段は、例えば、制御部101及び第1通信部103に対応する。
【0032】
制御部101は、経路指示装置100の全体の動作を制御する。制御部101の機能は、例えば、プロセッサ11がフラッシュメモリ12に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。指示受付部102は、ユーザ、又は、外部装置(図示せず)から、各種の指示を受け付ける。例えば、指示受付部102は、ユーザから、物品330の運搬指示を受け付ける。指示受付部102の機能は、例えば、タッチスクリーン13の機能により実現される。或いは、指示受付部102の機能は、例えば、第1通信インターフェース14の機能により実現される。
【0033】
第1通信部103は、制御部101による指示に従って、制御部440と通信する。第1通信部103の機能は、例えば、プロセッサ11と第1通信インターフェース14とが協働することにより実現される。第2通信部104は、制御部101による指示に従って、温度情報収集装置200と通信する。第2通信部104の機能は、例えば、プロセッサ11と第2通信インターフェース15とが協働することにより実現される。
【0034】
温度情報収集装置200は、読取装置420により取得された温度情報と識別情報とを収集する。温度情報収集装置200は、機能的には、制御部201と、温度情報記憶部202と、通信部203と、を備える。温度情報記憶手段は、例えば、温度情報記憶部202に対応する。制御部201は、温度情報収集装置200の全体の動作を制御する。制御部201の機能は、例えば、プロセッサ21がフラッシュメモリ22に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0035】
温度情報記憶部202は、温度情報と、識別情報と、温度情報と識別情報とを収集した時刻を示す時刻情報と、を対応付けて記憶する。温度情報記憶部202の機能は、例えば、プロセッサ21とフラッシュメモリ22とが協働することにより実現される。通信部203は、制御部201による制御に従って、経路指示装置100と通信する。通信部203の機能は、例えば、プロセッサ21と通信インターフェース24とが協働することにより実現される。
【0036】
温度計測装置320は、複数の格納領域310のそれぞれに設置される。温度計測装置320は、温度計測装置320が設置された格納領域310の温度を計測する。以下、図5を参照して、温度計測装置320の構成について説明する。温度計測装置320は、制御回路324と、アンテナ326と、記憶回路327と、測温抵抗体328と、電流測定回路329と、を備える。
【0037】
制御回路324は、温度計測装置320の全体の動作を制御する。制御回路324は、電源生成回路325を備える。電源生成回路325は、アンテナ326が受信した第1電波から温度計測装置320が動作するために必要な電源を生成する。アンテナ326は、読取装置420から放射された第1電波を受信する。また、アンテナ326は、制御回路324による制御に従って、温度情報と識別情報とを含む第2電波を放射する。記憶回路327は、識別情報を記憶する。
【0038】
測温抵抗体328は、金属又は金属酸化物が温度変化により電気抵抗値が変化する特性を利用し、その電気抵抗を測定することで温度を計測するセンサである。測温抵抗体328には、電流測定回路329により印加された電圧と、周囲の温度とに応じた電流が流れる。測温抵抗体328は、瞬時に抵抗を計測することができる。測温抵抗体328は、例えば、白金測温抵抗体である。白金測温抵抗体の動作温度は、例えば、−200℃から100℃である。このように、測温抵抗体328は、低温でも動作可能である。白金測温抵抗体を用いた温度計測精度は、例えば、赤外線温度センサを用いた温度計測精度よりも高い。
【0039】
電流測定回路329は、測温抵抗体328に予め定められた電圧を印加し、測温抵抗体328に流れる電流を測定する。電流測定回路329は、測定した電流の値から、温度計測装置320の周囲の空気の温度を計測する。
【0040】
温度計測装置320は、機能的には、温度センサ321と、識別情報記憶部322と、電波送受信部323と、を備える。識別情報記憶手段は、例えば、識別情報記憶部322に対応する。電波送受信手段は、例えば、電波送受信部323に対応する。
【0041】
温度センサ321は、格納領域310の温度を計測する。温度センサ321の機能は、例えば、測温抵抗体328と電流測定回路329とが協働することにより実現される。識別情報記憶部322は、格納領域310を識別するための識別情報を記憶する。識別情報記憶部322の機能は、例えば、記憶回路327の機能により実現される。電波送受信部323は、第1電波を受信したことに応答して第1電波から生成した電力を用いて、第2電波を放射する。第2電波は、温度センサ321により計測された温度を示す温度情報と識別情報記憶部322に記憶された識別情報とを含む。
【0042】
搬機410は、物品330を積載する。搬機410には、読取装置420が設置される。以下、図5を参照して、読取装置420の構成について説明する。読取装置420は、制御回路421と、アンテナ422と、通信回路423と、を備える。制御回路421は、読取装置420の全体の動作を制御する。アンテナ422は、制御回路421による制御に従って、第1電波を放射する。また、アンテナ422は、アンテナ326により送信された第2電波を受信する。通信回路423は、制御回路421による制御に従って、制御部440と通信する。
【0043】
読取装置420は、第1電波を放射し、複数の格納領域310に設置された複数の温度計測装置320のうち搬機410に最も近い温度計測装置320により送信された第2電波を受信する。読取装置420は、第2電波に含まれる温度情報と識別情報とを取得する。なお、読取装置420は、搬機410に近い複数の温度計測装置320により送信された第2電波を受信してもよい。
【0044】
移動部430は、制御信号に従って、搬機410を移動させる。移動部430は、機能的には、第1移動部433と、第2移動部434と、を備える。第1移動手段は、例えば、第1移動部433に対応する。第2移動手段は、例えば、第2移動部434に対応する。複数の格納領域310が、第1方向と第1方向に直交する第2方向とに並んでいるものとする。第1方向は、例えば、上下方向である。第2方向は、例えば、左右方向である。なお、移動部430は、上下方向と左右方向とに直交する前後方向に搬機410を移動させることもできる。
【0045】
第1移動部433は、第1方向に延びる第1移動用レールに沿って搬機410を第1方向に移動させる。第1移動用レールは、例えば、上下移動用レール451である。第2移動部434は、第2方向に延びる第2移動用レールに沿って搬機410を第2方向に移動させる。第2移動用レールは、例えば、左右移動用レール452である。
【0046】
制御部440は、搬機410の移動経路を示す経路情報に基づいて制御信号を生成する。制御部440は、生成した制御信号に従って移動部430を制御する。以下、図5を参照して、制御部440の構成について説明する。制御部440は、機能的には、制御回路441と、第1通信回路442と、第2通信回路443と、第3通信回路444と、を備える。
【0047】
制御回路441は、制御部440の全体の動作を制御する。第1通信回路442は、制御回路441による制御に従って、経路指示装置100と通信する。第2通信回路443は、制御回路441による制御に従って、読取装置420と通信する。第3通信回路444は、制御回路441による制御に従って、移動部430と通信する。
【0048】
次に、図6のフローチャートを参照して、経路指示装置100が実行する物品格納処理について説明する。なお、経路指示装置100が実行する温度計測処理は、物品格納処理に含まれる。また、経路指示装置100が実行する温度測定方法は、温度計測処理の実行により実現される。経路指示装置100は、例えば、タッチスクリーン13を介して、ユーザから、物品330の格納指示を受け付けたことに応答して、物品格納処理の実行を開始する。
【0049】
まず、プロセッサ11は、物品330を搬機410に積載する(ステップS101)。プロセッサ11は、例えば、第1通信インターフェース14を介して、搬機410に物品330を積載させることを制御部440に指示する。一方、制御部440は、この指示に従った制御信号を、移動部430に送信する。移動部430は、この制御信号に従って、搬機410に物品330を積載させる。
【0050】
以下、図7A図7B図7C、及び、図7Dを参照して、搬機410が物品330を積載する方法について説明する。図7Aに、物品330が搬機410によりラック棚300から取り出される前における、物品330、棚板340、及び、搬機410の側面図を示す。本実施形態では、Y軸の負の方向から対象物を見た図を対象物の側面図という。なお、棚板340は、ラック棚300において物品330が積載される板である。
【0051】
棚板340は、積載部341と、側壁部342と、を備える。積載部341は、物品330が積載される積載面(図示せず)を備える板状の部分である。積載部341の厚み方向は、Z軸方向である。側壁部342は、物品330のY軸方向への移動を制限する板状の部分である。側壁部342の厚み方向は、X軸方向である。積載部341の手前側の端部、つまり、積載部341のX軸方向の正の方向における端部には、温度計測装置320が設置される。温度計測装置320は、例えば、両面テープ又はネジなどの固定用部材により、積載部341の手前側の端部に固定される。温度計測装置320の外形は、基本的に、アンテナ326の外形であり、シート状である。温度計測装置320の厚み方向は、X軸方向である。温度計測装置320が備えるアンテナ326の放射面(図示せず)は、X軸方向と直交する。
【0052】
搬機410は、積載部411と、側壁部412と、を備える。積載部411は、物品330が積載される積載面(図示せず)を備える板状の部分である。積載部411の厚み方向は、Z軸方向である。側壁部412は、物品330のX軸方向への移動を制限する板状の部分である。側壁部412の厚み方向は、X軸方向である。側壁部412の底側の端部、つまり、側壁部412のZ軸方向の負の方向における端部には、読取装置420が設置される。読取装置420は、例えば、両面テープ又はネジなどの固定用部材により、側壁部412の底側の端部に固定される。読取装置420の外形は、基本的に、アンテナ422の外形であり、シート状である。読取装置420の厚み方向は、X軸方向である。読取装置420が備えるアンテナ422の放射面(図示せず)は、X軸方向と直交する。
【0053】
本実施形態では、温度計測装置320が備えるアンテナ326の放射面(図示せず)と読取装置420が備えるアンテナ422の放射面(図示せず)とが互いに対向し、温度計測装置320と読取装置420との距離が数メートル(例えば、6m)以下である場合、読取装置420は温度計測装置320から温度情報と識別情報とを取得することができる。ここで、図7Aに示すように、物品330がラック棚300から取り出される直前の状態では、温度計測装置320が備えるアンテナ326の放射面(図示せず)と読取装置420が備えるアンテナ422の放射面(図示せず)とは、平行であり、互いに対向する。また、この状態では、温度計測装置320と読取装置420との距離は、数メートル以下である。従って、物品330がラック棚300から取り出される直前の状態では、読取装置420は温度計測装置320から温度情報と識別情報とを取得することができる。
【0054】
ここで、搬機410が物品330を積載する場合、搬機410は、積載部411が物品330と積載部341との間に配置された状態が維持されるようにZ軸方向における位置を維持しつつ、X軸方向の負の方向に移動する。この移動により、積載部411が物品330と積載部341との間に差し込まれ、積載部411に物品330が積載される。図7Bに、物品330が搬機410に積載された直後における、物品330、棚板340、及び、搬機410の側面図を示す。また、図7Dに、物品330が搬機410に積載された直後における、物品330、棚板340、及び、搬機410の正面図を示す。本実施形態では、X軸の正の方向から対象物を見た図を対象物の正面図という。
【0055】
ここで、図7B及び図7Dに示すように、物品330が搬機410に積載された直後の状態では、温度計測装置320が備えるアンテナ326の放射面(図示せず)と読取装置420が備えるアンテナ422の放射面(図示せず)とは、平行であり、互いに対向する。また、この状態では、温度計測装置320と読取装置420との距離は、数センチメートル以下、又は、数十センチメートル以下である。従って、物品330がラック棚300から取り出される直前の状態では、読取装置420は温度計測装置320から温度情報と識別情報とを確実に取得することができる。
【0056】
ここで、搬機410が物品330をラック棚300から取り出す場合、搬機410は、Z軸方向における位置を維持しつつ、X軸方向の負の方向に移動する。この移動により、物品330がラック棚300から取り出される。図7Cに、物品330がラック棚300から取り出された直後における、物品330、棚板340、及び、搬機410の側面図を示す。物品330がラック棚300から取り出された直後の状態においても、物品330がラック棚300から取り出される直前の状態と同様に、読取装置420は温度計測装置320から温度情報と識別情報とを取得することができる。
【0057】
また、搬機410がY軸方向又はZ軸方向に移動するときは、温度計測装置320が備えるアンテナ326の放射面(図示せず)と読取装置420が備えるアンテナ422の放射面(図示せず)とが、平行であり、互いに対向する状態が維持される。また、この状態では、温度計測装置320と読取装置420との距離は、数メートル以下である。従って、搬機410がY軸方向又はZ軸方向に移動するときは、読取装置420は温度計測装置320から温度情報と識別情報とを取得することができる。
【0058】
以上説明したように、搬機410が物品330をラック棚300から取り出すとき、又は、搬機410が物品330をラック棚300に収納するとき、読取装置420は温度計測装置320から温度情報と識別情報とを確実に取得することができる。また、搬機410が物品330をラック棚300から取り出すために移動するとき、又は、搬機410が物品330をラック棚300に収納するために移動するとき、読取装置420は温度計測装置320から温度情報と識別情報とを取得することができる。プロセッサ11は、ステップS101の処理を完了すると、経路決定処理を実行する(ステップS102)。経路決定処理については、図8を参照して詳細に説明する。
【0059】
まず、プロセッサ11は、複数の候補経路を決定する(ステップS201)。例えば、図9に示すように、物品330の移動元がP1により示される格納領域310であり、物品330の移動先がP9により示される格納領域310であるものとする。この場合、例えば、R1、R2、R3、及び、R4の4個の候補経路を決定する。R1は、P1、P2、P3、P6、及び、P9の順に格納領域310を通過する経路である。R2は、P1、P4、P7、P8、及び、P9の順に格納領域310を通過する経路である。R3は、P1、P4、P5、P8、及び、P9の順に格納領域310を通過する経路である。R4は、P1、P5、及び、P9の順に格納領域310を通過する経路である。
【0060】
プロセッサ11は、ステップS201の処理を完了すると、1つの候補経路を選択する(ステップS202)。例えば、プロセッサ11は、R1、R2、R3、及び、R4の4個の候補経路からR1を選択する。プロセッサ11は、ステップS202の処理を完了すると、選択した1つの候補経路について、通過する格納領域310を全て特定する(ステップS203)。例えば、プロセッサ11は、選択したR1について、P1、P2、P3、P6、及び、P9を特定する。プロセッサ11は、ステップS203の処理を完了すると、未選択の候補経路があるか否かを判別する(ステップS204)。
【0061】
プロセッサ11は、未選択の候補経路があると判別すると(ステップS204:YES)、ステップS202に処理を戻し、未選択の候補経路の中から1つの候補経路を選択する。一方、プロセッサ11は、未選択の候補経路がないと判別すると(ステップS204:NO)、特定した全ての格納領域310を温度情報の取得時刻順にソートする(ステップS205)。
【0062】
プロセッサ11は、ステップS205の処理を完了すると、温度情報の取得時刻が最も古い格納領域310を特定する(ステップS206)。プロセッサ11は、ステップS206の処理を完了すると、特定した格納領域310を通過する候補経路を移動経路に決定する(ステップS207)。
【0063】
例えば、P8、P7、P2、P3、P4、P5、P6、P9、及び、P1の順に、温度情報の取得時刻が古いものとする。この場合、プロセッサ11は、取得時刻が最も古い格納領域310として、P8を特定する。ここで、図10に示すように、P8を通過する候補経路として、R2とR3との2つの候補経路が存在するものとする。この場合、2つの候補経路のうち、温度情報の取得時刻がP8の次に古いP7を通過する経路であるR2が特定される。そして、R2が移動経路として決定される。なお、2つの候補経路のうち、温度情報の取得時刻がP8の次に古いP7を通過する経路が存在しない場合、温度情報の取得時刻がP7の次に古いP2を通過する経路が移動経路として決定される。プロセッサ11は、ステップS207の処理を完了すると、経路決定処理を完了する。
【0064】
プロセッサ11は、ステップS102の経路決定処理を完了すると、搬機410の移動を開始する(ステップS103)。例えば、プロセッサ11は、移動経路を示す経路情報と移動の開始を指示する開始指示情報とを、制御部440に送信する。一方、制御部440は、経路指示装置100から経路情報と開始指示情報とを受信したことに応答して、搬機410の移動を開始する。具体的には、制御部440は、経路情報に従った制御信号により上下移動部431と左右移動部432とを制御する処理を開始する。また、制御部440は、経路指示装置100から経路情報と開始指示情報とを受信したことに応答して、読取装置420に第1電波を放射させる処理を開始させる。
【0065】
プロセッサ11は、ステップS103の処理を完了すると、第2電波を受信したか否かを判別する(ステップS104)。例えば、プロセッサ11は、制御部440から第2電波を受信した旨を通知する通知情報が第1通信インターフェース14により受信されたか否かを判別する。プロセッサ11は、第2電波を受信したと判別すると(ステップS104:YES)、温度情報と識別情報とを取得する(ステップS105)。例えば、プロセッサ11は、制御部440に、温度情報と識別情報との送信を要求する要求情報を送信する。一方、制御部440は、この要求情報を受信したことに応答して、第2電波に含まれる温度情報と識別情報とを、経路指示装置100に送信する。
【0066】
プロセッサ11は、ステップS105の処理を完了すると、温度情報と識別情報とを送信する(ステップS106)。つまり、プロセッサ11は、第2通信インターフェース15を介して、温度情報と識別情報とを温度情報収集装置200に送信する。一方、温度情報収集装置200は、経路指示装置100から受信した温度情報と識別情報とを、温度情報と識別情報との取得時刻を示す時刻情報と対応付けて記憶する。
【0067】
プロセッサ11は、第2電波を受信していないと判別した場合(ステップS104:NO)、又は、ステップS106の処理を完了した場合、搬機410の移動が完了したか否かを判別する(ステップS107)。例えば、プロセッサ11は、制御部440から搬機410の移動が完了した旨を通知する通知情報が第1通信インターフェース14により受信されたか否かを判別する。プロセッサ11は、搬機410の移動が完了していないと判別すると(ステップS107:NO)、ステップS104に処理を戻す。
【0068】
一方、プロセッサ11は、搬機410の移動が完了したと判別すると(ステップS107:YES)、物品330を指定棚に格納する(ステップS108)。プロセッサ11は、例えば、第1通信インターフェース14を介して、搬機410に物品330を指定棚に格納させることを制御部440に指示する。一方、制御部440は、この指示に従った制御信号を、移動部430に送信する。移動部430は、この制御信号に従って、搬機410に物品330を指定棚に格納させる。プロセッサ11は、ステップS108の処理を完了すると、物品格納処理を完了する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態では、複数の格納領域310のそれぞれに温度計測装置320が設置され、物品330を積載する搬機410に読取装置420が設置される。従って、ラック棚300が備える複数の格納領域310の温度を短時間で効率良く計測することができる。
【0070】
また、本実施形態では、温度計測装置320が測温抵抗体328を備え、温度計測装置320から読取装置420に無線通信により温度情報が送信される。ここで、測温抵抗体328による温度計測に要する時間はわずかであり、また、無線通信により温度情報を送信する時間もわずかである。このため、格納領域310の温度を瞬時に計測することができる。
【0071】
また、本実施形態では、温度計測装置320は、温度センサ321が組み込まれたパッシブ型のRFIDタグを含み、読取装置420から受信した第1電波による電力で動作する。このため、温度計測装置320に電源を設ける必要がなく、低コスト化が期待できる。
【0072】
また、本実施形態では、温度情報と対応付けて記憶された識別情報と時刻情報とに基づいて移動経路が決定される。より詳細には、複数の候補経路のうち、温度情報が収集された時刻が最も古い格納領域310を通過する候補経路が、移動経路として決定される。このため、温度情報が長期間に亘って取得されない格納領域310が発生することを抑制することができる。
【0073】
(実施形態2)
実施形態1では、複数の候補経路のうち、温度情報が収集された時刻が最も古い格納領域310を通過する候補経路が、移動経路として決定される例について説明した。本発明において、複数の候補経路から移動経路を決定する方法は、この例に限定されない。以下、基本的に、実施形態1と異なる部分について説明する。
【0074】
まず、経路指示装置100は、物品330の格納先又は物品330の格納元の格納領域310を指定する領域指定情報に基づいて、移動経路の候補である複数の候補経路を決定する。そして、経路指示装置100は、決定した複数の候補経路のうち温度情報が収集された時刻と現在時刻との時間差が予め定められた閾値(例えば、1週間)以上である格納領域310を最も多く通過する候補領域を、移動経路として決定する。つまり、経路指示装置100は、温度情報の取得時刻が古い格納領域310を多く含む候補経路を、移動経路として採用する。
【0075】
例えば、図11に示すように、R1、R2、R3、及び、R4の4個の候補領域が決定されたものとする。また、P5とP8とは、温度情報が1週間以上取得されておらず、P1とP2とP3とP4とP6とP7とP9とは、温度情報が1週間以内に取得されたものとする。R1は、温度情報が1週間以上取得されていない格納領域310を通過しない候補経路である。R2は、温度情報が1週間以上取得されていない格納領域310を1個通過する候補経路である。R3は、温度情報が1週間以上取得されていない格納領域310を2個通過する候補経路である。R4は、温度情報が1週間以上取得されていない格納領域310を1個通過する候補経路である。そこで、R3が移動経路として決定されることが好適である。
【0076】
本実施形態では、複数の候補経路のうち温度情報が収集された時刻と現在時刻との時間差が予め定められた閾値以上である格納領域310を最も多く通過する候補領域が、移動経路として決定される。従って、温度情報の取得時刻が比較的古い多くの格納領域310に関する温度情報を、一回の移動で収集することができる。
【0077】
(実施形態3)
実施形態1では、第1方向及び第2方向における移動時間が最短である経路のみが複数の候補経路に含まれる例について説明した。本発明において、第1方向又は第2方向における移動時間が最短でない経路が複数の候補経路に含まれていてもよい。以下、基本的に、実施形態1と異なる部分について説明する。
【0078】
本実施形態は、搬機410の第2方向における移動時間が搬機410の第1方向における移動時間に対して十分に長い場合に有効である。例えば、搬機410の第1方向における移動速度と搬機410の第2方向における移動速度とが同程度である場合において、搬機410の第2方向における移動距離が搬機410の第1方向における移動距離に対して十分に長い場合に有効である。或いは、搬機410の第1方向における移動距離と搬機410の第2方向における移動距離とが同程度である場合において、搬機410の第2方向における移動速度が搬機410の第1方向における移動速度に対して十分に遅い場合に有効である。
【0079】
経路指示装置100は、搬機410の第2方向における移動時間が搬機410の第1方向における移動時間よりも長く、第1方向においては逆戻りし、第2方向においては逆戻りしない経路を含む複数の候補経路を決定する。図12に、搬機410の第1方向における移動距離と搬機410の第2方向における移動距離とが同程度である場合において、搬機410の第2方向における移動速度が搬機410の第1方向における移動速度に対して十分に遅い例を示す。なお、第1方向はZ軸方向であり、第2方向はY軸方向である。
【0080】
図12には、P1からP9までの経路として、R11、R12、及び、R13の3つの候補経路が決定された例が示されている。ここで、R13は、P1、P4、P7、P8、P5、P6、及び、P9の順に通過する経路である。R13は、第1方向においては逆戻りし、第2方向においては逆戻りしない経路である。R13が移動経路として決定されると、比較的多くの格納領域310を通過することができるため、多くの温度情報を取得することが可能となる。一方、搬機410がP1からP9に移動する時間は、R13が移動経路として決定された場合でも、R11又はR12が移動経路として決定された場合と同様に、最短時間である。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、1回の移動でより多くの温度情報を取得することが可能となる。
【0082】
(実施形態4)
実施形態1では、温度計測処理が物品格納処理に含まれる例について説明した。本発明において、温度計測処理が物品格納処理とは別に実行されてもよい。以下、図13を参照して、本実施形態に係る経路指示装置100が実行する温度計測処理について説明する。
【0083】
まず、プロセッサ11は、物品格納指示があるか否かを判別する(ステップS301)。例えば、プロセッサ11は、タッチスクリーン13に物品格納指示に対応する操作がなされたか否かを判別する。プロセッサ11は、物品格納指示があると判別すると(ステップS301:YES)、物品格納処理を実行する(ステップS302)。この物品格納処理は、基本的に、図6に示す物品格納処理と同様である。
【0084】
プロセッサ11は、物品格納指示がないと判別した場合(ステップS301:NO)、又は、ステップS302の処理を完了した場合、物品取出指示があるか否かを判別する(ステップS303)。例えば、プロセッサ11は、タッチスクリーン13に物品取出指示に対応する操作がなされたか否かを判別する。プロセッサ11は、物品取出指示があると判別すると(ステップS303:YES)、物品取出処理を実行する(ステップS304)。この物品取出処理は、物品330の格納と物品330の取出とが異なる点を除き、基本的に、図6に示す物品格納処理と同様の処理である。
【0085】
プロセッサ11は、物品取出指示がないと判別した場合(ステップS303:NO)、又は、ステップS304の処理を完了した場合、温度情報が1週間以上未取得の格納領域310があるか否かを判別する(ステップS305)。プロセッサ11は、温度情報が1週間以上未取得の格納領域310がないと判別すると(ステップS305:NO)、ステップS301に処理を戻す。一方、プロセッサ11は、温度情報が1週間以上未取得の格納領域310があると判別すると(ステップS305:YES)、経路決定処理を実行する(ステップS306)。この経路決定処理では、温度情報が1週間以上未取得の格納領域310である第1格納領域を通過する経路を、移動経路として決定する。
【0086】
プロセッサ11は、ステップS306の処理を完了すると、搬機410の移動を開始する(ステップS307)。プロセッサ11は、ステップS307の処理を完了すると、第2電波を受信したか否かを判別する(ステップS308)。プロセッサ11は、第2電波を受信したと判別すると(ステップS308:YES)、温度情報と識別情報とを取得し(ステップS309)、温度情報と識別情報とを送信する(ステップS310)。
【0087】
プロセッサ11は、第2電波を受信していないと判別した場合(ステップS308:NO)、又は、ステップS310の処理を完了した場合、搬機410の移動が完了したか否かを判別する(ステップS311)。プロセッサ11は、搬機410の移動が完了していないと判別すると(ステップS311:NO)、ステップS308に処理を戻す。一方、プロセッサ11は、搬機410の移動が完了したと判別すると(ステップS311:YES)、ステップS301に処理を戻す。
【0088】
本実施形態によれば、長期間に亘って温度情報が取得されない格納領域310が生じないようにすることができる。
【0089】
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0090】
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上記実施形態において説明した構成、機能、動作は、自由に組み合わせることができる。
【0091】
例えば、実施形態1では、経路指示装置100と温度情報収集装置200とが別々の装置である例について説明した。本発明において、経路指示装置100が温度情報収集装置200に組み込まれていてもよいし、温度情報収集装置200が経路指示装置100に組み込まれていてもよい。また、経路指示装置100又は温度情報収集装置200が、制御部440に組み込まれていてもよい。
【0092】
実施形態1では、物品330の格納時に温度情報が取得される例について説明した。本発明において、物品330の取出時に温度情報が取得されてもよい。いずれの場合においても、搬機410の移動経路上の格納領域310の温度情報が取得可能である。また、実施形態4で説明したように、物品330の移動を伴わずに、温度情報が取得されてもよい。
【0093】
実施形態1では、温度計測装置320が、電流測定により温度を計測する例について説明した。本発明において、温度計測装置320が、電圧測定により温度を計測する例について説明した。この場合、温度計測装置320は、測温抵抗体328に一定電圧を印加して測温抵抗体328に流れる電流を測定する電流測定回路329に代えて、測温抵抗体328に一定電流を流して測温抵抗体328に印加される電圧を測定する電圧測定回路(図示せず)を備える。
【0094】
実施形態1では、棚板340の手前側の端部に温度計測装置320が設置され、搬機410の手前側の底部に読取装置420が設置される例について説明した。本発明において、温度計測装置320及び読取装置420が設置される位置はこの例に限定されない。また、実施形態1では、温度計測装置320の厚み方向と読取装置420の厚み方向とが前後方向であるX軸方向である例について説明した。本発明において、温度計測装置320及び読取装置420が設置される角度はこの例に限定されない。ただし、温度計測装置320及び読取装置420は、温度計測装置320と読取装置420とが通信可能となる位置及び角度で設置されることが望まれる。つまり、温度計測装置320と読取装置420との距離がなるべく近く、温度計測装置320が備えるアンテナ326の放射面と読取装置420が備えるアンテナ422の放射面とがなるべく平行であることが好適である。また、温度計測装置320及び読取装置420は、搬機410による物品330の搬送時に破損しない位置及び角度で設置されることが望まれる。
【0095】
本発明に係る経路指示装置100の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置に適用することで、当該パーソナルコンピュータ等を本発明に係る経路指示装置100として機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0096】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、ラック棚と運搬装置とを備える自動倉庫に適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
11,21 プロセッサ、12,22 フラッシュメモリ、13,23 タッチスクリーン、14 第1通信インターフェース、15 第2通信インターフェース、24 通信インターフェース、100 経路指示装置、101,201,440 制御部、102 指示受付部、103 第1通信部、104 第2通信部、200 温度情報収集装置、202 温度情報記憶部、203 通信部、300 ラック棚、310 格納領域、320 温度計測装置、321 温度センサ、322 識別情報記憶部、323 電波送受信部、324,421,441 制御回路、325 電源生成回路、326,422 アンテナ、327 記憶回路、328 測温抵抗体、329 電流測定回路、330 物品、340 棚板、341,411 積載部、342,412 側壁部、400 運搬装置、410 搬機、420 読取装置、423 通信回路、430 移動部、431 上下移動部、432 左右移動部、433 第1移動部、434 第2移動部、442 第1通信回路、443 第2通信回路、444 第3通信回路、451 上下移動用レール、452 左右移動用レール、1000 温度計測システム、2000 自動倉庫
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13