特許第6972345号(P6972345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972345使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックとその作製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972345
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックとその作製方法
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/22 20200101AFI20211111BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20211111BHJP
   A24F 42/60 20200101ALI20211111BHJP
【FI】
   A24D1/22
   A24D3/17
   A24F42/60
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-529444(P2020-529444)
(86)(22)【出願日】2019年5月28日
(65)【公表番号】特表2021-525055(P2021-525055A)
(43)【公表日】2021年9月24日
(86)【国際出願番号】CN2019088688
(87)【国際公開番号】WO2020237490
(87)【国際公開日】20201203
【審査請求日】2020年9月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517283640
【氏名又は名称】雲南中煙工業有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】余耀
(72)【発明者】
【氏名】▲ちゃん▼建波
(72)【発明者】
【氏名】李▲げん▼
(72)【発明者】
【氏名】余振華
(72)【発明者】
【氏名】楊蕾
(72)【発明者】
【氏名】謝▲じゃお▼
(72)【発明者】
【氏名】王浩
(72)【発明者】
【氏名】李娟
(72)【発明者】
【氏名】岳保山
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104135881(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第107252136(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0122278(US,A1)
【文献】 中国実用新案第205884677(CN,U)
【文献】 独国特許出願公開第102015106787(DE,A1)
【文献】 特表2015−502173(JP,A)
【文献】 国際公開第97/048293(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00− 3/18
A24F 40/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックであって、
タバコユニットチャネル(1)、吸引端部、及び点火端部を含むタバコユニットと、
熱源ユニットチャネル(2)を含む熱源ユニットとを含み、
前記タバコユニットチャネル(1)の軸と前記熱源ユニットチャネル(2)の軸は平行して又は重なり合って配置され、2つの前記チャネルが接触する部分には、気密性熱伝導層(16)が設けられ、前記タバコユニットチャネル(1)の中には、気動デバイス(3)及びタバコ成分(8)が配置され、前記熱源ユニットチャネル(2)の中には、抽気デバイス(4)及び燃料成分(11)が配置され、前記気動デバイス(3)と前記抽気デバイス(4)との間には連結デバイスが設けられ、前記連結デバイスは、前記気動デバイス(3)と前記抽気デバイス(4)の間で動力を伝達することが可能である、
ことを特徴とする、タバコスティック。
【請求項2】
前記タバコユニットが少なくとも部分的に前記熱源ユニット内に挿入されるか、前記熱源ユニットが少なくとも部分的に前記タバコユニット内に挿入されるか、又は、前記タバコユニットと前記熱源ユニットとが並置されて少なくとも部分的に接触し、前記タバコユニットの数は少なくとも1つであり、前記熱源ユニットの数も少なくとも1つである、
ことを特徴とする、請求項1に記載のタバコスティック。
【請求項3】
前記タバコユニットの点火端部に取り外し可能な通気性の難燃要素(9)が配置される、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタバコスティック。
【請求項4】
前記気動デバイス(3)がファン又はタービンから選択され、前記抽気デバイス(4)もファン又はタービンから選択され、前記気動デバイス(3)と前記抽気デバイス(4)とは、互いに独立して設けられる、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタバコスティック。
【請求項5】
前記連結デバイスが、磁気連結デバイスと機械的連結デバイスから選択される、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタバコスティック。
【請求項6】
前記気動デバイス(3)及び前記抽気デバイス(4)が、前記タバコユニットの吸引端部に設けられる、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタバコスティック。
【請求項7】
前記熱源ユニットチャネル(2)が前記抽気デバイス(4)の下流に燃焼排気排出口(14)を有する、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタバコスティック。
【請求項8】
フィルタユニットチャネル(7)を含むフィルタユニットであって、前記タバコユニットの吸引端部に配置されるフィルタユニットを更に含む、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタバコスティック。
【請求項9】
請求項1に記載のタバコスティックを作製する方法であって、
タバコユニットチャネル(1)、気動デバイス(3)、及びタバコ成分(8)を含むタバコユニットを作製するステップAと、
熱源ユニットチャネル(2)、抽気デバイス(4)、及び燃料成分(11)を含む熱源ユニットを作製するステップBと、
組み立てるステップCであって、ステップA及びステップBで作製した前記タバコユニットと前記熱源ユニットとをひとつに組み立て、前記気動デバイス(3)と前記抽気デバイス(4)とを、連結デバイスを利用して、動力が伝達されるように連結し、更に、前記タバコユニットチャネル(1)と前記熱源ユニットチャネル(2)とを、2つの前記チャネルの軸が平行になるように又は重なり合うように配置し、かつ、2つの前記チャネルの接触部分に気密性熱伝導層(16)を配置することで、前記タバコスティックを得る、ステップCとを含み、前記連結デバイスは、前記タバコユニット及び前記熱源ユニットを作製するプロセスにおいて、作製の前に、又は作製の後に製造される、
ことを特徴とする、方法。
【請求項10】
フィルタユニットチャネル(7)を含むフィルタユニットを作製し、作製された前記フィルタユニットを前記タバコユニットの吸引端部に取り付けるステップDを更に含み、ステップCとステップDは順不同である、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコスティックの分野に属し、特に、使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックとその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長期的な調査とその総括の結果、日常的に消費される嗜好品としてのタバコ製品は、市場での成功を獲得すると共に核心的な消費体験を満足させうるには、まず3つの特徴を有する必要があることが分かった。この3つの特徴とは、パフバイパフ(puff−by−puff)吸引であることと、使い捨てであることと、吸引が安全であることである。パフバイパフ吸引であることは人の呼吸方式に適合しており、使い捨てであることは、主として巻きタバコを日常的に消費する上でそれが便利だからであり、吸引の安全性は、口に入るものとして最低限必要なことである。上記の3つの特徴を適切に満たし得ない製品は全て、最終的に市場で成功を獲得することが非常に困難である。
【0003】
旧来の分野では、従来型のタバコ製品とは、タバコの燃焼により提供される化学エネルギーを利用して物理的及び化学的な反応を発生させ、各種化学物質を放出して、それらを喫煙者の吸引に供する、燃焼吸引式のタバコ製品のことを指す。従来型のタバコ製品は、燃焼吸引モードでパフバイパフ吸引を実現しうると共に、吸引完了後に残部を全て廃棄処理することが可能であり、使い捨てモードが実現される。これは日常的な消費体験のモードにより良好に適合しているので、消費者にずっと支持されており、数百年の歴史を有している。
【0004】
科学技術の進歩に伴い、大多数の研究結果は、タバコの燃焼プロセスにおいて、従来型の燃焼吸引モードのタバコ製品により、800℃以上の高温熱分解反応を通じて数千種類もの物質が放出されることを示しているが、これは人間の健康に対して害を与える主要な原因であると、多数の人が非難している。フィルタロッドのフィルタの効率及び通気希釈効果がどんどん改良されており、かかるフィルタロッドがタバコスティックに応用され続けている。しかし、食品安全の理念も進歩し続けているこんにちにおいて、従来型のタバコ製品は、口に入るものとしての最低限の要件を満たすことがますます困難になっており、特に、吸引安全性における欠陥については、消費者の支持を得ることがますます難しくなっている。
【0005】
近年、人々の健康志向が持続的に高まるにつれて、巻きタバコの吸引の安全性についての要求は前例のないレベルにまで引き上げられており、急速な技術革新の勢いと相まって、タバコに関する法規制のガイダンスと調整統制の水準が強化されている。新型タバコ製品の研究は多種多様な様態にわたり、新たな製品が次々と出現しており、その中には主に、経口又は経鼻で吸引するタバコ製品、電子タバコ、加熱式の非燃焼型のタバコ製品(低温タバコスティック又はHNB巻きタバコとも称される)などの製品が含まれる。かかる新型タバコ製品は、3つの共通の特色を有している。この特色とは、1.喫煙者が吸引している時に新型タバコ製品自体が燃焼に加わらないことにより、生成される有害物質が少なくなると考えられるので、喫煙者に対する害が少なくなることと、2.新型タバコ製品は、環境に対する害が少なく、受動喫煙を発生させないため、従来型のタバコ製品が発生させていた環境汚染と他人への害が低減されることと、3.新型タバコ製品は、従来型のタバコ製品の特性の一部を有しており、ニコチンを含有するため、喫煙者の生理的欲求をある程度満たしうることである。
【0006】
しかし、(強い吸引満足感を要しかつニコチン耐性が高いという理由、又は使い捨てが習慣となっているという理由、又はパフバイパフ吸引が習慣となっているという理由といった、様々原因により、)いかなる新型タバコ製品を選択することも好まず、燃焼吸引モードの従来型のタバコ製品を長期にわたって愛用する消費者(特に喫煙歴が長い人)も、かなりの割合で存在する。具体的な理由としては、電子加熱式の非燃焼タバコ製品は、使い捨てではなく、携帯、反復充電、及び使用が全て比較的面倒であることと、カーボン加熱式の非燃焼タバコ製品及び理化学的反応加熱型のタバコ製品は、吸引プロセス中に嫌な臭いや吸引品質の低下を伴うことが含まれる。
【0007】
これより、加熱式の非燃焼タバコ製品の様々な種類について、体系的な分析を行う。
【0008】
加熱式の非燃焼タバコ製品は、加熱源が様々であることに基づいて、「電気加熱型タバコ製品」、「燃料加熱型タバコ製品」、及び「理化学反応加熱型タバコ製品」に細分化されうる。電気加熱型タバコ製品は、専用のタバコスティックと電気ヒーターという2つの部分で構成された、加熱式の非燃焼タバコ製品の中でも成熟した主流製品であり、その最重要な代表例は、フィリップモリスインターナショナルの「IQOS」、ブリティッシュアメリカンタバコの「Glo」、日本タバコの「Ploom」である。燃料加熱型タバコ製品は、可燃性の固体、液体、又は気体を熱源として使用するものであり、その中でも固体(カーボン)燃料型のものは既に商品化されて発売されている。例としては、ルノータバコの「Premier」、「Eclipse」、及び、2015年に新発売された「Revo」などである。液体又は気体を燃焼させうる燃料加熱型のタバコ製品は、特許だけはあるものの、まだ市場に出回っていない。理化学反応加熱型タバコ製品は、主に特定の物理的及び化学的な方法(例えば、物理反応に属する結晶結晶化により熱量を生成する方式、又は、化学反応に属する金属鉄、アルミニウム及び銅の酸化反応により熱量を生成する方式)を通じて、タバコの芯材料を加熱するものであるが、かかるタバコ製品は現時点では特許があるのみで、これもまだ市場に出回っていない。上述した加熱式の非燃焼タバコ製品は、その加工技術、デザイン、構造の影響を受けることにより、以下に示す技術的欠陥を有している。
【0009】
1.従来技術により製造される電気加熱型タバコ製品は、専用のタバコスティックと電気ヒーターという2つの部分で構成される。中国特許
(特許出願番号CN2017108122320)に記載されている内容のように、パフバイパフ吸引及び吸引安全性という2つの問題において良好な解決効果は得られているが、別の深刻な問題が引き起こされる。まず、専用のタバコスティックと電気ヒーターとを一緒に携帯する必要があるので、携行が非常に不便になることと、次に、電気ヒーター内のバッテリーは反復充電する必要があるので、使い勝手が悪くなり、使い捨て使用ができなくなることと、第3に、最も重要なことでもあるが、バッテリー自体に比較的大きな安全リスクが存在すること(電気加熱型タバコ製品に付随するバッテリーの爆発が発生してユーザが深刻な人身傷害を受ける、実際の事例が起きており、報道もされている)と、第4に、廃用バッテリーは特別な処理を要するため追加の処理コストが発生するだけでなく、バッテリーが適切に廃棄されなければ環境に対して深刻な汚染を引き起こすので、環境保護の圧力が高まることである。要約すると、バッテリーを一緒に使用することが必要な新型タバコ製品の全てに、重大な技術的欠陥が存在しているので、それらは断念されるか又は淘汰されるべきである。
【0010】
2.従来技術により製造される燃料加熱型タバコ製品は、電気加熱型タバコ製品とは異なり、使い捨ての使用態様においては良好な基本的条件を有しているが、吸引安全性とパフバイパフ吸引という態様には重大な技術的欠陥がある。まず、燃料とタバコとが直列の位置関係にある場合、それらを貫通する気流チャネルが形成されることにより、燃料が燃焼することで生成された有害物質が、喫煙者の吸引動作により喫煙者の口に直接入ることになる。例としては、ルノータバコの製品「Revo」、及び、中国特許
(特許出願番号CN2017212244171)、
(特許出願番号CN2015107601314)、
(特許出願番号CN2013101448434)などの発明に記載された内容である。
燃料とタバコとが直列の位置関係にない場合、その例は、特許
(特許出願番号CN201520038334.8)、
(特許出願番号CN201810414111.5)、
(特許出願番号CN2013105629941)などの発明に記載された内容となる。これらの技術的欠陥は、第1に、燃料は全てくん焼(smoldering)方式で燃焼し、発熱量が低く効果が劣る。これにより、不完全燃焼生成物が多く生成され、火が消えやすい、加熱効率が低いといった問題も発生する。第2に、点火後に燃料は自ずから燃焼を続け、パフバイパフ吸引時に熱量需要のピーク値が変化し続けるという実際の状況に対応できないことから、タバコ加熱効果の減少、吸引の風味と品質の低下、及び燃料の明らかな浪費が生じる。この問題に対して、特許
(特許出願番号CN201810982289X)は、バネ駆動のファンを利用して空気の流動を促進するという解決法を開示している。その目的は、燃料を可能な限り完全に燃焼させる方式で、熱量を外部に提供することであるが、本発明にも、依然として明らかな技術的欠陥が存在している。まず、ばね駆動のファンや熱伝導部材などの構成要素がコストを上昇させるので、本発明は、使い捨てではなく何度も反復使用されることである。次に、本発明は、タバコ材料が配置されるタバコ収納キャビティに用いられるが、一端しか外気と連通していないので、この構造設計は、消費者に円滑に吸引動作を行わせることや、燃焼ガスを吸引させることに、燃焼ガスの流動を利用できないことである。最後に、最も重要なことでもあるが、本発明では、燃料が空気を流動させる作用により制御不可能かつ持続的な特徴が示され、非常に明白に燃料が浪費されることである。本発明は、パフバイパフ吸引のリズム及び方式に従って、リアルタイムで整合するように空気を流動させることができないので、燃料の燃焼により提供される熱量のピーク値にもリアルタイムで対応することができない。要するに、本発明の技術的解決策は、タバコスティックに一度点火した後には、まるでブレーキのない車のように、タバコスティックの燃料が使い果たされて使用価値がなくなるまで、消費者のリズムの早さや遅さに全く関係なくひたすら燃焼し続けるというものである。上記の様々な問題は全て、消費者の消費体験を低下させ、更には悪化させるので、より優れた技術的解決策で代用すべきである。
【0011】
3.従来技術により製造される理化学反応加熱型タバコ製品は、主に、特定の物理的及び化学的な方法(例えば、物理反応に属する結晶結晶化により熱量を生成する方式、又は化学反応に属する金属鉄、アルミニウム、及び銅の酸化反応により熱量を生成する方式)を通じて、タバコの芯材料を加熱するものである。その設計原理に関連することにより、明らかな技術的欠陥が存在している。まず、物理反応であるか化学反応であるかを問わず、高温や輸送中の衝突、落下により、反応、更には反応爆発が引き起こされる可能性がある。次に、理化学反応加熱型タバコ製品の化学反応には、喫煙者の吸引動作により、排気が喫煙者の口内に直接入る可能性があるという、安全上の問題も存在する。第3に、上記と同様に、理化学反応も、一旦開始されると反応が終了するまで発生し続け、パフバイパフ吸引のリズムや方式と整合するように熱量ピーク値を変化させることは不可能である。
【0012】
4.従来型の燃焼吸引方式で従来型のタバコ製品を消費する需要は、依然として存在している。消費者の中に新型タバコ製品を選択しない人々が非常に多くいる理由の1つは、新型タバコ製品が使用している方式である。加熱式の非燃焼方式か、タバコオイルをエアロゾル化する方式であるか、又は口に含んで噛む方式であるかを問わず、かかる方式は全て、その有効成分において(有効成分の量や種類に関係なく)、従来型のタバコ製品のように、燃焼吸引モードにおいて、800℃以上の高温熱分解を通じて、メイラード反応が4,000種類を超える混合物をもたらすことを、実現するのは非常に困難である。これにより、新型タバコ製品は、生理的満足感の点においても、吸引の体験や品質の点においても、従来型のタバコ製品を完全に代替することが困難である。更に、同一の消費者が、異なる段階や状況において、従来型のタバコ製品を吸引するようにも、加熱式の非燃焼型タバコ製品を吸引するようにも、態度を変えることがありうる。例えば、かかる消費者は、人が密集した環境において又は乾燥した季節には、加熱式の非燃焼型タバコ製品を吸引する傾向があり、プライベートな場所において又は湿度の高い季節には、従来型のタバコ製品を吸引する傾向がありうる。従来技術の条件のもとで解決策を求めなくてはならないのであれば、かかる消費者は、従来型のタバコ製品と新型タバコ製品の両方を共に購入して消費するしかなく、消費者の消費コストが大幅に増加する。
【0013】
5.現在、従来型のタバコ製品の販売を許可している多数の国や地域はいずれも、政策など様々な理由により、加熱式の非燃焼型巻きタバコの販売に制限を加えている。1つの巻きタバコについて、従来型の燃焼吸引モードと加熱式の非燃焼モードのいずれかを選択できれば、かかる製品が受けている政策型制限の要因が大幅に減少し、理論的には、上述のような国又は地域に進出する困難が軽減されうる。
【発明の概要】
【0014】
上述の問題を解決するために、本発明を提示する。
【0015】
本発明は、使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックであって、
タバコユニットチャネル1、吸引端部、及び点火端部を含むタバコユニットと、
熱源ユニットチャネル2を含む熱源ユニットとを含み、
タバコユニットチャネル1の軸と熱源ユニットチャネル2の軸とは平行して又は重なり合って配置され、この2つのチャネルが接触する部分には気密性熱伝導層16が設けられ、タバコユニットチャネル1の中には、気動デバイス3及びタバコ成分8が配置され、熱源ユニットチャネル2の中には、抽気デバイス4及び燃料成分11が配置され、気動デバイス3と抽気デバイス4との間には連結デバイスが設けられ、連結デバイスは、気動デバイス3と抽気デバイス4の間で動力を伝達することが可能である、タバコスティックを提供する。
【0016】
好ましくは、タバコユニットが少なくとも部分的に熱源ユニット内に挿入されるか、熱源ユニットが少なくとも部分的にタバコユニット内に挿入されるか、又はタバコユニットと熱源ユニットが並置されて、少なくとも部分的に接触する。
【0017】
好ましくは、タバコユニットの数は少なくとも1つであり、熱源ユニットの数も少なくとも1つである。
【0018】
好ましくは、フィルタユニットチャネル7を含むフィルタユニットであって、タバコユニットの吸引端部に配置されるフィルタユニットが、更に含まれる。
【0019】
好ましくは、タバコユニットの点火端部には、取り外し可能な通気性の難燃要素9が配置される。難燃要素9が配置される場合、タバコスティックは、加熱式の非燃焼モードで用いられるのに適し、難燃要素は、気流の円滑な通過を確保すると共に、難燃性を発揮することで、燃料成分11が点火されるのと同時にタバコ成分8が点火されるのを回避する。難燃要素9が配置されない場合、タバコスティックは、従来型の燃焼吸引モードで用いられるのに適する。すなわち、燃料成分11が点火されると同時にタバコ成分8も点火されることで、従来型のタバコスティックとなる。
【0020】
好ましくは、気動デバイス3はファン又はタービンから選択され、抽気デバイス4もファン又はタービンから選択される。
【0021】
好ましくは、気動デバイス3と抽気デバイス4という2つのデバイスは、互いに独立して配置され、気流を交換することはない。
【0022】
気動デバイス3は気流によって動かされ、抽気デバイス4は気流を動かして流動させるために用いられる。
【0023】
好ましくは、連結デバイスは、磁気連結デバイスと機械的連結デバイスから選択される。
【0024】
好ましくは、気動デバイス3及び抽気デバイス4は、タバコユニットの吸引端部に配置される。
【0025】
好ましくは、熱源ユニットチャネル2は、抽気デバイス4の下流に燃焼排気排出口14を有する。
【0026】
気密性熱伝導層16は不燃性でありうる。その目的は、加熱式の非燃焼モードにおいて、熱源ユニットの燃料成分11が燃焼して熱量を生成した後に、タバコユニットに熱伝導方式を提供するだけでタバコ成分8を加熱することである。熱量が気体対流方式や熱放射方式を通じて伝導されることはない。従来型の燃焼吸引モードにおいては、タバコ成分の燃焼が開始しても、タバコユニットチャネル1と熱源ユニットチャネル2とは、熱伝導性で不燃性の材料で互いから隔てられているので、燃焼排気の気流が人体に吸引されることが回避される。
【0027】
タバコユニットチャネル1、熱源ユニットチャネル2、及びフィルタユニットチャネル7の数は、いずれも少なくとも1つであり、チャネルの断面は円形であるか、半円形であるか、正方形であるか、又は同心円である。
【0028】
連結デバイスの、タバコユニットチャネル1の中と熱源ユニットチャネル2の中にある2つの部分は、それぞれ第1連結デバイス5と第2連結デバイス6と名付けられる。
【0029】
好ましくは、難燃要素9は、燃焼に加わらずかつ通気性に優れた、粒子状又は多孔質の物質である。更に、難燃要素9は、押出成型された粘土粒子である。
【0030】
好ましくは、タバコスティックの外側には、包装材料層10が設けられ、この包装材料層10は、紙、アルミ箔、及び薄鉄シートから選択される。包装材料層10は、2種類の吸引モードが行われる時に、燃焼することも、しないこともある。包装材料層10が、タバコユニットチャネル1及び熱源ユニットチャネル2を直接形成することもある。
【0031】
好ましくは、燃料成分11は、燃焼を利用して熱量を提供する材料で作られると共に、良好な通気性能を有する。更に、燃料成分11には、それ自体の燃焼速度を調整するために、異なる比率の難燃性物質が添加されている。燃料成分11は、特定の構造を有するカーボンロッドとカーボン粒子、及び/又は、粘土粒子が充填された固体アルコールと中空の固体アルコールから選択される。
【0032】
好ましくは、タバコ成分8は、エチレングリコール、グリセリン、糖、甘草、ココア、ハチミツ、及びナツメ香料のうちの少なくとも1つの物質で調製された刻みタバコ、タバコシート、及び茎タバコから選択される。更に、タバコ成分8は、調製を経たタバコシートである。
【0033】
好ましくは、フィルタユニット内には、香味生成成分又は水分生成成分が充填される。
【0034】
本発明のタバコスティックの発明点を以下に示す。
タバコユニットチャネル1の中で、吸引時に喫煙者の口腔により提供される負圧が気流を動かして流動させ、流動した気流が、タバコユニットチャネル1内の気動デバイス3を作動させるのに十分な動力を提供する。この動力は、連結デバイスを介して熱源ユニットチャネル2内の抽気デバイス4に伝達され、抽気デバイスが稼働して、気流を生成して熱源ユニットチャネル2内に流動させることで、熱源ユニットチャネル2に進入する酸素が多くなり、熱源ユニットチャネル2内の燃料成分11の燃焼を加速させる。
上述の設計は、両方の吸引モードのいずれにおいても、以下に示す利点を有する。
【0035】
1.内部燃料成分11の燃焼が加速されることで、タバコユニット内のタバコ成分8に、タバコ成分8を必要な温度まで迅速に加熱するのに十分な熱量を提供することが可能になる。
2.熱源ユニットチャネル2内の気流流動の強さが、喫煙者の吸引動作のリズムと同期するので、従来型の燃焼吸引式巻きタバコと類似した吸引が実現され、パフバイパフ吸引の熱量ピーク値の変化の法則と整合しうる。
3.タバコユニットと熱源ユニットとを個別に、気流交換がないように設計することによって、燃焼気流と吸引気流とが完全に分離され、熱源ユニットの燃料物質が完全に又は不完全に燃焼することにより生成される有害物質(燃焼排気や、有害な気体、エアロゾル、粒子状物質などの物質を含む)が、喫煙者の吸引動作により口腔を通じて喫煙者の体内に摂取されることが、完全に回避される。
【0036】
本発明の第2態様は、第1態様のタバコスティックを作製する方法であって、
タバコユニットチャネル1、気動デバイス3、及びタバコ成分8を含むタバコユニットを作製する、ステップAと、
熱源ユニットチャネル2、抽気デバイス4、及び燃料成分11を含む熱源ユニットを作製する、ステップBと、
組み立てるステップCであって、ステップA及びステップBで作製したタバコユニットと熱源ユニットとをひとつに組み立て、気動デバイス3と抽気デバイス4とを、連結デバイスを利用して、動力が伝達されるように連結し、更に、タバコユニットチャネル1と熱源ユニットチャネル2とを、この2つのチャネルの軸が平行になるように又は重なり合うように配置し、かつこの2つのチャネルが接触する部分に気密性熱伝導層16を配置することで、タバコスティックを得る、ステップCとを含み、連結デバイスは、タバコユニット及び熱源ユニットの作製プロセスにおいて、作製の前に、又は作製の後に製造される、方法を提供する。
【0037】
好ましくは、
フィルタユニットチャネル7を含むフィルタユニットを作製し、作製されたフィルタユニットをタバコユニットの吸引端部に取り付けるステップDが更に含まれ、ステップCとステップDは順不同である。
【0038】
好ましくは、ステップCの気密性熱伝導層16は、ステップAのタバコユニットの作製プロセスにおいて形成されても、ステップBの熱源ユニットの作製プロセスにおいて形成されもよい。
【0039】
連結デバイスの、タバコユニットチャネル1の中と熱源ユニットチャネル2の中にある2つの部分は、それぞれ第1連結デバイス5及び第2連結デバイス6と名付けられる。
【0040】
本発明は、以下に示す有益な効果を有する。
1.本発明の使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックは、既存の燃料加熱型タバコ製品と比較すると、気動デバイス及び連結デバイスを利用して、パフバイパフ吸引の習慣に整合するように熱量供給を提供することが可能である。加えて、タバコと熱源はそれぞれ、互いに独立して気流交換のない、平行に配置された気流チャネルを有しており、燃料が燃焼した時に生成される有害物質を喫煙者が体内に摂取することが、完全に回避される。
2.本発明の使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックは、既存の理化学反応加熱型タバコ製品と比較すると、物理的及び化学的な方法による加熱方式が予期しない方式で発生する可能性、更には爆発が起こる可能性を排除し、理化学反応プロセスに対する介入及び制御ができないという欠陥も回避すると共に、物理的及び化学的な方法で加熱した時に生成される排気を喫煙者が体内に摂取することが、完全に回避される。
3.本発明の使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックは、既存の新型タバコ製品と比較すると、従来型の燃焼吸引モードと加熱式非燃焼モードの両方の態様のニーズを考慮に入れているので、様々な消費者の、巻きタバコの消費についての様々なニーズ(例えば、従来型の巻きタバコを好む人もいれば、新型タバコ製品を好む人もいる)を満たすことが可能である。更に、使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックは、同一消費者の様々な段階、様々な環境、又は様々な状況における巻きタバコの消費ニーズ(例えば、湿度の高い季節や場所では従来型の燃焼吸引モードが好まれ、乾燥した季節や場所では加熱式の非燃焼モードが好まれ、又は、プライベートな空間で従来型の燃焼吸引モードの巻きタバコを吸引することは適切であり、人が密集した喫煙スペースでは加熱式の非燃焼モードの巻きタバコを吸引することが適切である等)について、便利な解決策を提供し、適用領域を拡大し、製品のカバー範囲及び競争力を大幅に向上させ、コストを削減するものである。
4.本発明の使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックは、電気ヒーターとそれに付随するバッテリーを必要としないので、携帯至便で使用が簡単であり、電気ヒーターに付随するバッテリーを反復充電する面倒もなく、バッテリーの爆発による安全リスクも回避され、廃用バッテリーが環境汚染にもたらす圧力が軽減される。
5.本発明の使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックは、既存の新型タバコ製品と比較すると、従来型のタバコ製品と新型の加熱式非燃焼タバコ製品との間の境界を曖昧にするので、従来型の燃焼吸引モードと加熱式非燃焼モードとの間で選択が可能であることによりこの製品が受ける政策型制限の要因を大幅に低減し、より広範な国際市場と国内市場への参入する上で利便性をもたらし、製品の市場競争力を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】加熱式非燃焼モードにおける本発明のタバコスティックの動作原理を示す概略図である。
図2】従来型の燃焼吸引モードにおける本発明のタバコスティックの動作原理を示す概略図である。
図3】本発明の実施例1によるタバコスティックの外観を示す三次元図である。
図4】本発明の実施例1による、加熱非燃焼モードのタバコスティックの三次元断面図である。
図5】本発明の実施例1による、従来型の燃焼吸引モードのタバコスティックの三次元断面図である。
図6】本発明の実施例1による、タバコスティックの気動デバイスと連結デバイスとの組み立てを示す三次元断面図である。
図7A-B】本発明の実施例1によるタバコスティックの断面図であり、Aは加熱式非燃焼モードを示し、Bは従来型の燃焼吸引モードを示す。
図8】本発明の実施例2によるタバコスティックの外観を示す三次元図である。
図9】本発明の実施例2による、加熱非燃焼モードのタバコスティックの三次元断面図である。
図10】本発明の実施例2による、従来型の燃焼吸引モードのタバコスティックの三次元断面図である。
図11A-B】本発明の実施例2によるタバコスティックの断面図であり、Aは加熱式非燃焼モードを示し、Bは従来型の燃焼吸引モードを示す。
図12】本発明の実施例3によるタバコスティックの外観を示す三次元図である。
図13】本発明の実施例3による、加熱非燃焼モードのタバコスティックの三次元断面図である。
図14】本発明の実施例3による、従来型の燃焼吸引モードのタバコスティックの三次元断面図である。
図15】本発明の実施例3による、タバコスティックの気動デバイスと連結デバイスとの組み立てを示す三次元断面図である。
図16A-B】本発明の実施例3によるタバコスティックの断面図であり、Aは加熱式非燃焼モードを示し、Bは従来型の燃焼吸引モードを示す。
図17】本発明の実施例1による、吸引プロセスにおけるタバコスティックの熱量ピーク値の変化曲線であり、熱量は温度として表示されている(単位℃)。
図18】本発明の実施例2による、吸引プロセスにおけるタバコスティックの熱量ピーク値の変化曲線であり、熱量は温度として表示されている(単位℃)。
図19】本発明の実施例3による、吸引プロセスにおけるタバコスティックの熱量ピーク値の変化曲線であり、熱量は温度として表示されている(単位℃)。
図20】対照群1の吸引プロセスにおけるタバコスティックの熱量ピーク値の変化曲線であり、熱量は温度として表示されている(単位℃)。
図21】対照群2の吸引プロセスにおけるタバコスティックの熱量ピーク値の変化曲線であり、熱量は温度として表示されている(単位℃)。
図22】対照群3の吸引プロセスにおけるタバコスティックの熱量ピーク値の変化曲線であり、熱量は温度として表示されている(単位℃)。
図23】対照群4の吸引プロセスにおけるタバコスティックの熱量ピーク値の変化曲線であり、熱量は温度として表示されている(単位℃)。
図24】本発明による、複数のタバコユニットを含むタバコスティックの横断面、及び複数の熱源ユニットを含むタバコスティックの横断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
これより、具体的な実施形態を通じて、本発明の内容について更に説明していく。
【0043】
実施例1
1.タバコユニットの作製
アルミ箔を気密性熱伝導層16として管状要素を製造し、タバコユニット構成要素として準備する。このタバコユニット構成要素の一端が点火端部となり、他端は吸入端部となる。エチレングリコール、グリセリン、ココア、ハチミツ、及びナツメ香料を使用して調製した刻みタバコをタバコ成分8とし、上記のタバコユニット構成要素の中央部に充填する。粒子状で通気性のよい粘土粒子を難燃要素9として、上記のタバコユニット構成要素の点火端部に装着する。ファンを気動デバイス3として、上記のタバコユニット構成要素の吸引端部付近の位置に取り付ける。気動デバイス3には、第1連動デバイス5として磁石が配置される。これにより、タバコユニットの製造と準備が完了する。
2.熱源ユニットの作製
紙を包装材料層10として、上記のタバコユニット構成要素よりも内径が大きな管状要素を製造し、熱源ユニット構成要素として準備する。活性炭粒子と粘土粒子とを比例混合して燃料成分11とし、熱源ユニット構成要素の内壁内の、タバコユニット構成要素の点火端部付近の位置に充填する。ファンを抽気デバイス4とし、上記の熱源ユニット構成要素の、タバコユニット構成要素の吸引端部付近の位置に取り付ける。抽気デバイス4には、第2連結デバイス6として磁石が配置される。これにより、熱源ユニットの製造と準備が完了する。
3.フィルタユニットの作製
ほぐした後に可塑剤を添加したセルロースアセテートをフィルタ材料13として円柱体を製造し、しわ加工されたPEシート材料をフィルタ材料13として別の円柱体も製造する。両方の円柱体は内部に複数のフィルタユニットチャネル7を有している。両方の円柱体を直列に配置し、紙を包装材料層10として用いて上記の両円柱体を包む。これにより、フィルタユニットの製造と準備が完了する。
4.組み立て
熱源ユニットの中心軸に沿ってタバコユニットを熱源ユニット内に挿入し、この2つのユニット間において、熱源ユニットに燃焼排気排出口14を形成する。この時、タバコユニットと熱源ユニットとは平行な位置関係を形成しており、気動デバイス5と抽気デバイス6との間の、磁力により生成される相互作用力は最大に達する。その後、フィルタユニットが、タバコユニット構成要素の吸引端部付近の位置で、タバコユニットに取り付けられることにより、加熱式の非燃焼モードに適した完成品のタバコスティックが得られる。難燃要素9が除去されれば、燃焼吸引モードに適合する。
【0044】
実施例2
1.タバコユニットの作製
実施例1のタバコユニットとの違いは、紙を包装材料層10として内径が大きい方の管状要素を作り、連動デバイスの作製は暫時行われないことである。
2.熱源ユニットの作製
実施例1の熱源ユニットとの違いは、アルミ箔を気密性熱伝導層16として内径が小さい方の管状要素を作り、燃料成分11が選択的に押し出されて、必要な構造を有する連続カーボンロッドを形成することである。
3.フィルタユニットの作製
ほぐした後に可塑剤を添加したポリプロピレン繊維をフィルタ材料13として、2つの円柱体を製造する。この2つの円柱体は内部に複数のフィルタユニットチャネル7を有する。一方の円柱体の中央にはカプセル12が嵌め込まれているので、このカプセル12が破砕されると内容物がフィルタユニット内に放出される(カプセル12の内容物は水、脂溶性アロマ、又はアルコール可溶性アロマでありうる)。これにより、燃焼ガスの風味を豊かにし、燃焼ガスの含水量を増加させ、燃焼ガスの温度を降下させるという目的が達成される。紙を包装材料層10として用いて、上記の2つの円柱体を包む。これにより、フィルタユニットチャネル7の製造と準備が完了する。
4.組み立て
長いロッドを連結デバイスとして選択し、気動デバイス3と抽気デバイス4とを同軸に連結する。この長いロッドのうち、タバコユニットチャネル1の中と熱源ユニットチャネル2の中にある2つの部分がそれぞれ、第1連結デバイス5と第2連結デバイス6と名付けられる。フィルタユニットを、タバコユニットの吸込端部付近の位置に取り付けた後に、作製した熱源ユニットを、タバコユニットの中心軸に沿って、タバコユニット内に挿入し、熱源ユニットに燃焼排気排出口14を確保する。この時、タバコユニットと熱源ユニットとは平行な位置関係を形成しており、気動デバイス5と抽気デバイス6とは長いロッドにより接続されている。これにより、加熱式の非燃焼モードに適した完成品のタバコスティックが得られる。難燃要素9が除去されれば、燃焼吸引モードに適合する。
【0045】
実施例3
1.タバコユニットの作製
実施例1のタバコユニットとの違いは、アルミ箔を包装材料層10として、横断面が半円形の管状体を製造することである。
2.熱源ユニットの作製
実施例1の熱源ユニットとの違いは、アルミ箔を気密性熱伝導層16として、横断面が半円形の管状要素を製造し、燃料成分11には、断面が中空形状の帯状固体アルコールが選択される。
3.フィルタユニットの作製
ほぐした後に可塑剤を添加したポリプロピレン繊維をフィルタ材料13として、2つの円柱体を製造する。2つの円柱体は内部に複数のフィルタユニットチャネル7を有する。一方の円柱体の中心軸に沿って、シトラス抽出物を有する香料ライン15が嵌め込まれているので、燃焼ガスの風味を豊かにし、燃焼ガスの温度を降下させるという目的が達成される。紙を包装材料層10として用いて、上記の2つの円柱体を包む。これにより、フィルタユニットの製造と準備が完了する。
4.組み立て
ベルトを連結デバイスとして選択し、気動デバイス3と抽気デバイス4とを連結する。このベルトのうち、タバコユニットチャネル1の中と熱源ユニットチャネル2の中にある2つの部分がそれぞれ、第1連結デバイス5と第2連結デバイス6と名付けられる。フィルタユニットの円柱体の軸に沿って、横断面がいずれも半円形の熱源ユニットとタバコユニットとを並べて1つの円柱体に組み立て、熱源ユニットに燃焼排気排出口14を確保する。この時、タバコユニットと熱源ユニットとは平行な位置関係を形成しており、第1連動デバイス5と抽気デバイス6とはベルトにより接続されている。その後、フィルタユニットが、タバコユニットの吸込端部付近の位置に取り付けられる。これにより、加熱式の非燃焼モードに適した完成品のタバコスティックが得られる。難燃要素9が除去されれば、燃焼吸引モードに適合する。
【0046】
実施例4
応用:フレキシブルな消費モードの比較試験
1)実施例1、2、及び3において作製された使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックを、実験群として採用した。
2)燃焼吸引モードで消費される従来型の巻きタバコを、対照群1として採用した。
3)電子加熱式の非燃焼モードで消費される電子タバコ(フィリップモリスインターナショナルの製品「IQOS」)を、対照群2として採用した。
4)カーボン加熱式の非燃焼モードで消費される直列式のHNBタバコスティック(ルノータバコの製品「Revo」)を対照群3として採用した。
上記の実施例のサンプル及び対照群のサンプルを、フレキシブルな消費モードの比較試験に用いた。結果については、次の表1を参照のこと。
表1 フレキシブルな消費モードの比較試験の結果
結論:
対照群1、対照群2、及び対照群3は、単一のモードにおいてのみ、消費ニーズに適応すること又は消費ニーズを満たすことが可能であり、ニーズが多様化する背景のもとでは、消費コストが大幅に上昇し、市場競争力は弱まるので、新技術を採用した製品に代替される可能性が極めて高い。本発明のタバコスティックは、様々なモードの消費ニーズにフレキシブルに適応し、かかるニーズを満たすことが可能であるので、広範な応用の見通しを有している。
【0047】
実施例5
応用:燃焼ガスの指標の検出・比較試験
1)実施例1、2、及び3において作製された使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックを、実験群として採用した。
2)燃焼吸引モードで消費される従来型の巻きタバコを、対照群1として採用した。
3)電子加熱式の非燃焼モードで消費される電子タバコ(フィリップモリスインターナショナルの製品「IQOS」)を、対照群2として採用した。
4)カーボン加熱式の非燃焼モードで消費される直列式のHNBタバコスティック(ルノータバコの製品「Revo」)を対照群3として採用した。
上記の実施例のサンプル及び対照群のサンプルを、燃焼ガスの指標の検出・比較試験に用いた。結果については、次の表2を参照のこと。
表2 燃焼ガスの指標の検出・比較試験の結果(単位:mg)
結論:
従来型の燃焼吸引モードでは、実施例1、実施例2、及び実施例3の燃焼ガスの指標の検出結果は、対照群1に近いが、個々の指標が若干優れている。加熱式の非燃焼モードでは、実施例1、実施例2、及び実施例3の燃焼ガスの指標の検出結果は、全体的に対照群2に近い。有害物の指標に関しては、対照群3よりも明らかに良好であり、特に、有害物質である一酸化炭素(CO)の指標に関しては、対照群3よりもずっと低くなっている。したがって、本発明のタバコスティックの燃焼ガスにおけるニコチン含有量は基本的に変わらないが、有害な気体の含有量は低減されており、広範な応用の見通しを有している。
【0048】
実施例6
応用:官能評価の比較試験
1)実施例1、2、及び3において作製して得られた使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックを、実験群として採用した。
2)燃焼吸引モードで消費される従来型の巻きタバコを、対照群1として採用した。
3)電子加熱式の非燃焼モードで消費される電子タバコ(フィリップモリスインターナショナルの製品「IQOS」)を、対照群2として採用した。
4)カーボン加熱式の非燃焼モードで消費される直列式のHNBタバコスティック(ルノータバコの製品「Revo」)を対照群3として採用した。
上記の実施例のサンプル及び対照群のサンプルを、官能評価の比較試験に用いた。結果については、次の表3を参照のこと。
表3 官能評価の比較試験の結果
結論:
実施例1、実施例2、及び実施例3は様々なモードでの消費ニーズにフレキシブルに適応し、かかるニーズを満たしうるということに基づく、モードが同一である場合の感覚の質の評価は、対照群1と比較すると刺激が少ないというものであり、対照群2及び対照群3と比較すると後味が快適であるというものであった。したがって、感覚の質は明らかに向上しており、広範な応用の見通しを有している。
【0049】
実施例7
応用:パフバイパフ吸引と整合する方式の試験
1)実施例1、2、及び3において作製された使い捨てのデュアルチャネルタバコスティックを、実験群1〜3として採用した。
2)燃焼吸引モードで消費される従来型の巻きタバコを、対照群1として採用した。
3)電子加熱式の非燃焼モードで消費される電子タバコ(フィリップモリスインターナショナルの製品「IQOS」)を、対照群2として採用した。
4)カーボン加熱式の非燃焼モードで消費される直列式のHNBタバコスティック(ルノータバコの製品「Revo」)を対照群3として採用した。
5)中国特許
(CN102018000982289)に記載の方法を採用して、吸引装置を製造し、刻みタバコを充填した後、それを対照群4とした。
吸引プロセスにおいて、上記の実施例のサンプル及び対照群のサンプルのタバコの温度を、様々な期間にわたって検出して記録し、それらを用いて、熱量ピーク値の変化を特徴付け、比較した。結果については、図17図23を参照のこと。
結論:
上述した図17図23の分析から、本発明の実施例1、実施例2、及び実施例3では、パフバイパフ吸引に整合する方式でタバコの温度が上昇して、より良好な消費体験を得ることが可能であり、この効果は、対照群1、対照群2、及び対照群3に類似していることが分かった。対照群4では、制御されない状態でタバコの温度が上昇し続け、燃料物質の浪費が非常に明白であると共に、パフバイパフ吸引方式とは整合し得ず、その消費経験は劣り、応用の見通しは厳しい。
【0050】
上述の記載は本発明の具体的な実施形態にすぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されない。当業者であれば誰でも、本発明が開示している技術範囲における変更又は代替(これらは全て本発明の保護範囲内に含まれるべきである)に容易に想到しうる。そのため、本発明の保護範囲は、特許請求の保護範囲に準ずるものとなる。
【符号の説明】
【0051】
1.タバコユニットチャネル
2.熱源ユニットチャネル
3.気動デバイス
4.抽気デバイス
5.第1連結デバイス
6.第2連結デバイス
7.フィルタユニットチャネル
8.タバコ成分
9.難燃要素
10.包装材料層
11.燃料成分
12.カプセル
13.フィルタ材料
14.燃焼排気排出口
15.香料ライン
16.気密性熱伝導層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A-B】
図8
図9
図10
図11A-B】
図12
図13
図14
図15
図16A-B】
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24