(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の熱交換部のうち互いに隣り合う2つの熱交換部の間には、前記2つの熱交換部を接続する伝熱フィンが設けられていない請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の熱交換器ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る熱交換器ユニットについて説明する。
図1は、本実施の形態に係る熱交換器ユニット100の要部構成を示す断面図である。
図1及び後述する
図2〜
図5では、以下のような座標系が定義されている。すなわち、伝熱管30の延伸方向と平行な方向にz軸をとり、z軸と垂直な平面内で空気の流れに沿う方向にx軸をとり、風上側を+x方向とし、z軸及びx軸のいずれとも直交する方向にy軸をとる。
図1及び後述する
図2〜
図5では、x軸及びy軸の双方と平行なx−y平面で熱交換器20を切断した断面構成を示している。また、
図1及び後述する
図2〜
図5では、熱交換器20に供給される空気の風速分布を併せて示している。熱交換器ユニット100は、例えば、冷凍サイクル装置の室外機又は室内機として用いられる。
【0010】
図1に示すように、熱交換器ユニット100は、熱交換器20と、熱交換器20に空気を供給するファン50と、少なくとも熱交換器20及びファン50を収容する不図示の筐体と、を有している。ファン50は、熱交換器20と対面して配置されたプロペラファンである。ファン50は、回転軸O上に設けられたボス51と、ボス51の外周側に設けられた複数の翼52と、を有している。ファン50は、回転軸Oがx軸と平行になるように配置されている。すなわち、
図1に示す熱交換器ユニット100は、サイドフロー型の構成を有している。
【0011】
熱交換器20は、互いに並列して配置された複数の熱交換部35を有している。
図1では9個の熱交換部35を示している。以下の説明では、9個の熱交換部35を識別するために、各熱交換部35を
図1中の左方から順に熱交換部35A、35B、35C、35D、35E、35F、35G、35H、35Iという場合がある。複数の熱交換部35のそれぞれは、1つの伝熱管30と、伝熱管30の風上側に設けられた1つの風上側フィン31と、伝熱管30の風下側に設けられた1つの風下側フィン32と、を有している。熱交換器20は、伝熱管30を流れる内部流体と、空気と、の熱交換を行う空気熱交換器である。熱交換器20が冷凍サイクル装置の一部を構成する場合、伝熱管30を流れる内部流体としては冷媒が用いられる。
【0012】
複数の伝熱管30は、互いに並列して配置されている。複数の伝熱管30の並列方向は、例えば、伝熱管30の延伸方向及び空気の流れ方向のいずれとも垂直となるy軸方向である。複数の伝熱管30は、一対のヘッダ(図示せず)によって挟まれている。各伝熱管30の一端は一方のヘッダに接続されており、各伝熱管30の他端は他方のヘッダに接続されている。各ヘッダの長手方向は、複数の伝熱管30の並列方向と同じ方向である。
【0013】
複数の熱交換部35のそれぞれにおいて、伝熱管30、風上側フィン31及び風下側フィン32は熱的及び物理的に接続されている。伝熱管30、風上側フィン31及び風下側フィン32は、同一材料を用いて一体成形されていてもよいし、別部材として形成されていてもよい。伝熱管30、風上側フィン31及び風下側フィン32はいずれも、アルミニウム、銅又は真鍮などの高い熱伝導性を有する金属材料を用いて形成されるのが望ましい。
【0014】
本実施の形態では、伝熱管30として、一方向に扁平な断面形状を有する扁平管が用いられている。以下、扁平管の延伸方向と垂直な断面における扁平管の長径方向のことを、単に扁平管の長径方向という場合がある。伝熱管30として扁平管が用いられる場合には、扁平管の長径方向のことを伝熱管30の長径方向という場合がある。伝熱管30は、伝熱管30の長径方向が空気の流れ方向と平行になるように設けられている。すなわち、伝熱管30の長径方向は、x軸方向と平行になっている。各伝熱管30の長径寸法は全て同一である。伝熱管30の内部には、内部流体を流通させる複数の流体通路40が形成されている。各伝熱管30の複数の流体通路40は、伝熱管30の長径方向に沿って並列している。各流体通路40は、伝熱管30の延伸方向に沿って延伸している。
【0015】
伝熱管30は、当該伝熱管30の長径方向の端部として、風上側に位置する風上側端部30aと、風下側に位置する風下側端部30bと、を有している。風上側フィン31は、伝熱管30の延伸方向と垂直な断面において、風上側端部30aから伝熱管30の長径方向に沿って風上側に延びている。また、風上側フィン31は、伝熱管30の延伸方向に沿っても延びている。風上側フィン31は、例えば、伝熱管30の延伸方向に沿った長辺を有する長方形平板状の形状を有している。伝熱管30として扁平管が用いられている場合、風上側フィン31の板厚寸法は、当該扁平管の短径寸法よりも小さくなっている。伝熱管30として円管が用いられている場合、風上側フィン31の板厚寸法は、当該円管の外径寸法よりも小さくなっている。風上側フィン31には、流体通路40が形成されていない。
【0016】
風下側フィン32は、伝熱管30の延伸方向と垂直な断面において、風下側端部30bから伝熱管30の長径方向に沿って風下側に延びている。また、風下側フィン32は、伝熱管30の延伸方向に沿っても延びている。風下側フィン32は、例えば、伝熱管30の延伸方向に沿った長辺を有する長方形平板状の形状を有している。伝熱管30として扁平管が用いられている場合、風下側フィン32の板厚寸法は、当該扁平管の短径寸法よりも小さくなっている。伝熱管30として円管が用いられている場合、風下側フィン32の板厚寸法は、当該円管の外径寸法よりも小さくなっている。風下側フィン32には、流体通路40が形成されていない。
【0017】
熱交換部35が風上側フィン31及び風下側フィン32を有することにより、熱交換部35と空気との伝熱面積を増加させることができるため、熱交換器20の熱交換器性能を向上させることができる。なお、本実施の形態において、風上側フィン31又は風下側フィン32の一方は省略することも可能である。
【0018】
複数の熱交換部35のうち互いに隣り合う2つの熱交換部35の間には、空気が流通する風路となる間隙33が形成されている。互いに隣り合う2つの熱交換部35の間には、当該2つの熱交換部35を接続する伝熱フィンが設けられていない。すなわち、熱交換器20は、いわゆるフィンレス型の熱交換器である。互いに隣り合う2つの熱交換部35の間に伝熱フィンが設けられていないことから、複数の熱交換部35は、一対のヘッダを介してのみ、互いに機械的に接続されている。また、複数の熱交換部35は、実質的に、一対のヘッダを介してのみ、互いに熱的に接続されている。
【0019】
複数の熱交換部35は、伝熱管30の並列方向に沿って概ね等間隔にかつ互いに平行に配置されている。これにより、伝熱管30、風上側フィン31及び風下側フィン32のそれぞれも、伝熱管30の並列方向に沿って概ね等間隔でかつ互いに平行に配置されている。
【0020】
複数の熱交換部35のそれぞれの長さについて説明する。熱交換部35の長さは、伝熱管30の延伸方向と交差する断面において、空気の流れに沿う方向での熱交換部35の風上側端部から風下側端部までの距離によって特定される。熱交換部35の風上側端部とは、風上側フィン31を備える熱交換部35では風上側フィン31の風上側端部31aのことであり、風上側フィン31を備えない熱交換部35では伝熱管30の風上側端部30aのことである。また、熱交換部35の風下側端部とは、風下側フィン32を備える熱交換部35では風下側フィン32の風下側端部32aのことであり、風下側フィン32を備えない熱交換部35では伝熱管30の風下側端部30bのことである。風上側フィン31及び風下側フィン32の双方を備える熱交換部35の長さは、伝熱管30の長径寸法と、風上側フィン31の長さと、風下側フィン32の長さとの和になる。
【0021】
ここで、ファン50の回転軸Oを含み伝熱管30の延伸方向と平行な平面を基準面P0とする。基準面P0は、x−z平面と平行になる。サイドフロー型の熱交換器ユニット100では、大まかには、
図1に示すような風速分布で熱交換器20に空気が供給される。すなわち、基準面P0に近い熱交換部35ほど速い風速で空気が供給され、基準面P0から離れた熱交換部35ほど遅い風速で空気が供給される。
【0022】
複数の熱交換部35のうち、熱交換部35H及び熱交換部35Fに注目する。
図1に示す断面において、熱交換部35Hには風速v1で空気が供給され、熱交換部35Fには、風速v1よりも速い風速v2で空気が供給される(v1<v2)。また、同断面において、熱交換部35Hの長さL1は、熱交換部35Fの長さL2よりも長くなっている(L1>L2)。つまり、熱交換部35の長さは、当該熱交換部35に供給される空気の風速が速いほど短くなっており、当該熱交換部35に供給される空気の風速が遅いほど長くなっている。
【0023】
次に、熱交換部35B及び熱交換部35Cに注目する。熱交換部35Bと基準面P0との距離D1は、熱交換部35Cと基準面P0との距離D2よりも遠くなっている(D1>D2)。また、
図1に示す断面において、熱交換部35Bの長さL3は、熱交換部35Cの長さL4よりも長くなっている(L3>L4)。つまり、熱交換部35の長さは、当該熱交換部35と基準面P0との距離が近いほど短くなっており、当該熱交換部35と基準面P0との距離が遠いほど長くなっている。熱交換部35A〜35Iのうち基準面P0から最も離れた熱交換部35A及び35Iの長さは、最も長くなっている。
【0024】
本実施の形態では、伝熱管30の長径寸法及び風下側フィン32の長さは、各熱交換部35で一定になっている。このため、風上側フィン31の長さのみが熱交換部35毎に異なっている。熱交換部35H及び熱交換部35Fに注目すると、熱交換部35Hの風上側フィン31の長さは、熱交換部35Fの風上側フィン31の長さよりも長くなっている。つまり、熱交換部35の風上側フィン31の長さは、当該熱交換部35に供給される空気の風速が速いほど短くなっており、当該熱交換部35に供給される空気の風速が遅いほど長くなっている。また、熱交換部35B及び熱交換部35Cに注目すると、熱交換部35Hの風上側フィン31の長さは、熱交換部35Fの風上側フィン31の長さよりも長くなっている。つまり、熱交換部35の風上側フィン31の長さは、当該熱交換部35と基準面P0との距離が近いほど短くなっており、当該熱交換部35と基準面P0との距離が遠いほど長くなっている。本実施の形態では、全ての熱交換部35において、風上側フィン31の長さは、風下側フィン32の長さよりも長くなっている。
【0025】
次に、本実施の形態に係る熱交換器ユニット100の動作について説明する。ここでは、熱交換器20が冷凍サイクル装置の室外熱交換器として用いられ、暖房運転が行われる場合を例に挙げて説明する。この場合、熱交換器20では、伝熱管30を流れる低圧の二相冷媒とファン50によって供給される室外空気との熱交換が、伝熱管30、風上側フィン31及び風下側フィン32を介して行われる。熱交換器20は、室外空気から吸熱して冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。
【0026】
ファン50によって熱交換器20に供給される空気には、
図1に示すように複数の伝熱管30の並列方向で不均一な風速分布が生じる。このため、空気の流れに沿う方向における各熱交換部35の長さが一定であると仮定した場合、遅い風速で空気が供給される熱交換部35では空気と冷媒との熱交換量が少なくなり、速い風速で空気が供給される熱交換部35では空気と冷媒との熱交換量が多くなる。したがって、各熱交換部35での熱交換量が不均一になるため、熱交換器20の熱交換器性能が低下してしまう。
【0027】
特に、熱交換器20が蒸発器として機能する場合、各熱交換部35での熱交換量が不均一になると、各伝熱管30の出口での二相冷媒の乾き度が不均一になる。二相冷媒の配管内での圧力損失は、乾き度に応じて変化する。このため、各伝熱管30の出口での二相冷媒の乾き度が不均一になると、各伝熱管30での冷媒の圧力損失が不均一になることによって各伝熱管30の圧力バランスが崩れ、各伝熱管30への冷媒の分配量が不均一になってしまう。したがって、蒸発器として機能する熱交換器20では、熱交換器性能の低下が特に生じやすかった。
【0028】
これに対し、本実施の形態では、相対的に遅い風速で空気が供給される熱交換部35の長さは長くなっており、相対的に速い風速で空気が供給される熱交換部35の長さは短くなっている。これにより、遅い風速で空気が供給される熱交換部35では、速い風速で空気が供給される熱交換部35と比較して、空気に対する伝熱面積が大きくなる。このため、遅い風速で空気が供給される熱交換部35での熱交換量を、速い風速で空気が供給される熱交換部35での熱交換量に近づけることができる。したがって、本実施の形態によれば、ファン50によって熱交換器20に供給される空気に不均一な風速分布が生じる場合であっても、各熱交換部35での熱交換量をより均一にすることができるため、熱交換器20の熱交換器性能を向上させることができる。
【0029】
ここでは、熱交換器20が暖房運転時の蒸発器として機能する場合について説明したが、熱交換器20が暖房運転時の凝縮器、冷房運転時の蒸発器又は冷房運転時の凝縮器として機能する場合であっても同様の効果が得られる。
【0030】
図2は、本実施の形態に係る熱交換器ユニット100の要部構成の変形例を示す断面図である。
図2に示すように、本変形例では、風上側フィン31の長さだけでなく、風下側フィン32の長さも熱交換部35毎に異なっている。伝熱管30の長径寸法は、各熱交換部35で一定になっている。熱交換部35H及び熱交換部35Fに注目すると、
図2に示す断面において、熱交換部35Hの風下側フィン32の長さは、熱交換部35Fの風下側フィン32の長さよりも長くなっている。つまり、熱交換部35の風下側フィン32の長さは、当該熱交換部35に供給される空気の風速が速いほど短くなっており、当該熱交換部35に供給される空気の風速が遅いほど長くなっている。また、熱交換部35B及び熱交換部35Cに注目すると、
図2に示す断面において、熱交換部35Bの風下側フィン32の長さは、熱交換部35Cの風下側フィン32の長さよりも長くなっている。つまり、熱交換部35の風下側フィン32の長さは、当該熱交換部35と基準面P0との距離が近いほど短くなっており、当該熱交換部35と基準面P0との距離が遠いほど長くなっている。本変形例では、全ての熱交換部35において、風上側フィン31の長さと風下側フィン32の長さとが等しい。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態に係る熱交換器ユニット100は、互いに並列して配置された複数の熱交換部35を有する熱交換器20と、熱交換器20に空気を供給するファン50と、備えている。複数の熱交換部35のそれぞれは、伝熱管30と、伝熱管30の風上側端部30aから風上側に延びた風上側フィン31及び伝熱管30の風下側端部30bから風下側に延びた風下側フィン32の少なくとも一方と、を有している。複数の熱交換部35は、熱交換部35Hと、熱交換部35Fと、を有している。伝熱管30の延伸方向と交差する熱交換器20の断面において、熱交換部35Hには風速v1で空気が供給され、熱交換部35Fには風速v1よりも速い風速v2で空気が供給される。上記断面において、空気の流れに沿う方向での熱交換部35Hの長さL1は、空気の流れに沿う方向での熱交換部35Fの長さL2よりも長い。ここで、風速v1は第1風速の一例である。風速v2は第2風速の一例である。熱交換部35Hは第1熱交換部の一例である。熱交換部35Fは第2熱交換部の一例である。
【0032】
この構成によれば、風速v1で空気が供給される熱交換部35Hでは、風速v1よりも速い風速v2で空気が供給される熱交換部35Fと比較して、空気に対する伝熱面積が大きくなる。このため、風速v1で空気が供給される熱交換部35Hでの熱交換量を、風速v2で空気が供給される熱交換部35Fでの熱交換量に近づけることができる。したがって、本実施の形態によれば、ファン50によって熱交換器20に供給される空気に不均一な風速分布が生じる場合であっても、各熱交換部35での熱交換量をより均一にすることができるため、熱交換器20の熱交換器性能を向上させることができる。
【0033】
また、本実施の形態に係る熱交換器ユニット100において、ファン50は、熱交換器20と対面して配置されたプロペラファンである。複数の熱交換部35は、熱交換部35Bと、熱交換部35Cと、を有している。プロペラファンの回転軸Oを含み伝熱管30の延伸方向と平行な基準面P0と、熱交換部35Bと、の間の距離D1は、基準面P0と熱交換部35Cとの間の距離D2よりも遠くなっている。上記断面において、空気の流れに沿う方向での熱交換部35Bの長さL3は、空気の流れに沿う方向での熱交換部35Cの長さL4よりも長い。ここで、熱交換部35Bは第3熱交換部の一例である。熱交換部35Cは第4熱交換部の一例である。
【0034】
熱交換器20とプロペラファンであるファン50とが対面して配置されたサイドフロー型の熱交換器ユニット100では、通常、基準面P0に近いほど風速が速く、基準面P0から離れるほど風速が遅くなるような風速分布で、熱交換器20に空気が供給される。このため、熱交換部35Bに供給される空気の風速は、熱交換部35Cに供給される空気の風速よりも遅くなる。上記構成によれば、熱交換部35Bでは、熱交換部35Cと比較して、空気に対する伝熱面積が大きくなる。このため、熱交換部35Bでの熱交換量を、熱交換部35Cでの熱交換量に近づけることができる。したがって、本実施の形態によれば、各熱交換部35での熱交換量をより均一にすることができるため、熱交換器20の熱交換器性能を向上させることができる。
【0035】
また、本実施の形態に係る熱交換器ユニット100において、複数の熱交換部35のうち互いに隣り合う2つの熱交換部35の間には、当該2つの熱交換部35を接続する伝熱フィンが設けられていない。この構成によれば、熱交換部35の表面に生じた結露水、又は除霜運転によって熱交換部35の霜が融解した融解水は、伝熱フィンに妨げられることなく排水される。したがって、本実施の形態によれば、熱交換器20の排水性を向上させることができる。また、この構成によれば、伝熱フィンによる制約を受けずに熱交換部35の配置ピッチを決めることができるため、熱交換部35の配置ピッチの自由度を高めることができる。
【0036】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る熱交換器ユニットについて説明する。
図3は、本実施の形態に係る熱交換器ユニット100の要部構成を示す断面図である。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
ファン50のボス51には、空気の搬送機能がない。このため、実際の風速分布では、
図3に示すように、回転軸Oと平行に見たときボス51と重なる熱交換部35Eに供給される空気の風速v3は、ボス51と重ならない熱交換部35Dに供給される空気の風速v4よりも遅くなる場合がある。本実施の形態では、
図3に示す断面において空気の流れに沿う方向での熱交換部35Eの長さL5は、同断面において空気の流れに沿う方向での熱交換部35Dの長さL6よりも長くなっている(L5>L6)。ここで、熱交換部35Eは、回転軸Oと平行に見たとき少なくとも一部でボス51と重なる熱交換部35であり、熱交換部35Dは、回転軸Oと平行に見たときボス51とは重ならずに翼52の回転軌跡と重なる熱交換部35である。
【0038】
本実施の形態では、伝熱管30の長径寸法及び風下側フィン32の長さは、各熱交換部35で一定になっており、風上側フィン31の長さのみが熱交換部35毎に異なっている。すなわち、熱交換部35Eの風上側フィン31の長さは、熱交換部35Dの風上側フィン31の長さよりも長くなっている。また、本実施の形態では、全ての熱交換部35において、風上側フィン31の長さは、風下側フィン32の長さよりも長くなっている。
【0039】
図4は、本実施の形態に係る熱交換器ユニット100の要部構成の変形例を示す断面図である。
図4に示すように、本変形例では、風上側フィン31の長さだけでなく、風下側フィン32の長さも熱交換部35毎に異なっている。伝熱管30の長径寸法は、各熱交換部35で一定になっている。熱交換部35E及び熱交換部35Dに注目すると、熱交換部35Eの風下側フィン32の長さは、熱交換部35Dの風下側フィン32の長さよりも長くなっている。本変形例では、全ての熱交換部35において、風上側フィン31の長さと風下側フィン32の長さとが等しい。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態に係る熱交換器ユニット100において、プロペラファンであるファン50は、回転軸O上に設けられたボス51を有している。複数の熱交換部35は、回転軸Oと平行に見たときボス51と重なる熱交換部35Eと、回転軸Oと平行に見たときボス51と重ならない熱交換部35Dと、を有している。上記断面において、空気の流れに沿う方向での熱交換部35Eの長さL5は、空気の流れに沿う方向での熱交換部35Dの長さL6よりも長い。ここで、熱交換部35Eは第5熱交換部の一例である。熱交換部35Dは第6熱交換部の一例である。
【0041】
この構成によれば、回転軸Oと平行に見たときボス51と重なる熱交換部35Eでは、回転軸Oと平行に見たときボス51と重ならない熱交換部35Dと比較して、空気に対する伝熱面積が大きくなる。このため、熱交換部35Eに供給される空気の風速が熱交換部35Dに供給される風速よりも遅い場合であっても、熱交換部35Eでの熱交換量を熱交換部35Dでの熱交換量に近づけることができる。したがって、本実施の形態によれば、実際の風速分布に対応して各熱交換部35での熱交換量をより均一にすることができるため、熱交換器20の熱交換器性能を向上させることができる。
【0042】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る熱交換器ユニットについて説明する。
図5は、本実施の形態に係る熱交換器ユニット100の要部構成を示す断面図である。
図5に示すように、本実施の形態では、伝熱管30の延伸方向すなわちz軸方向が重力方向と平行になるように熱交換器20が設置されている。すなわち、各熱交換部35の伝熱管30は、重力方向と平行に延伸している。伝熱管30が重力方向と平行に延伸していることにより、風上側フィン31及び風下側フィン32も重力方向と平行に延伸している。本実施の形態のそれ以外の構成は、
図1に示した熱交換器ユニット100の構成と同様である。本実施の形態は、
図2〜
図4に示した熱交換器ユニット100にも適用できる。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態に係る熱交換器ユニット100では、熱交換器20は、伝熱管30の延伸方向が重力方向と平行になるように設置されている。この構成によれば、熱交換部35の表面に生じた結露水、又は除霜運転によって熱交換部35の霜が融解した融解水は、自重により熱交換部35を伝って下方に流れ落ちる。したがって、本実施の形態によれば、熱交換器20の排水性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、熱交換部35の伝熱管30、風上側フィン31及び風下側フィン32が重力方向と平行に延伸している。さらに、複数の熱交換部35のうち互いに隣り合う2つの熱交換部35の間には、当該2つの熱交換部35を接続する伝熱フィンが設けられていない。このため、熱交換部35を伝って下方に流れ落ちる結露水又は融解水は、伝熱フィンに妨げられることなく排水される。したがって、本実施の形態によれば、熱交換器20の排水性をさらに向上させることができる。
【0045】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る冷凍サイクル装置について説明する。
図6は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置200の構成を示す回路図である。本実施の形態では、冷凍サイクル装置200として、空気調和機を例示している。
図6に示すように、冷凍サイクル装置200は、冷媒を循環させる冷凍サイクル回路10を有している。冷凍サイクル回路10は、圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器13、膨張弁14及び室内熱交換器15が冷媒配管を介して環状に接続された構成を有している。また、冷凍サイクル装置200は、室外熱交換器13に空気を供給する室外ファン16と、室内熱交換器15に空気を供給する室内ファン17と、を有している。冷凍サイクル装置200では、圧縮機11が駆動されることにより、冷媒が相変化しながら冷凍サイクル回路10を循環する冷凍サイクルが実行される。室外熱交換器13では、室外ファン16により供給される空気と、内部流体である冷媒との熱交換が行われる。室内熱交換器15では、室内ファン17により供給される空気と、内部流体である冷媒との熱交換が行われる。
【0046】
冷凍サイクル回路10に充填される冷媒としては、R410A、R32又はHFO−1234yf等の冷媒を用いることができる。圧縮機11に使用される冷凍機油としては、鉱油系、アルキルベンゼン油系、エステル油系、エーテル油系又はフッ素油系など、冷媒との相溶性の有無に関わらず種々の冷凍機油を用いることができる。
【0047】
冷凍サイクル装置200は、室外機110及び室内機120を有している。室外機110には、圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器13、膨張弁14及び室外ファン16が収容されている。室内機120には、室内熱交換器15及び室内ファン17が収容されている。室外機110及び室内機120の少なくとも一方には、実施の形態1〜3のいずれかの熱交換器ユニット100が用いられている。すなわち、室外熱交換器13及び室内熱交換器15の少なくとも一方は、実施の形態1〜3のいずれかの熱交換器20であり、室外ファン16及び室内ファン17の少なくとも一方は、実施の形態1〜3のいずれかのファン50である。
【0048】
冷凍サイクル装置200の動作について、暖房運転を例に挙げて説明する。暖房運転時には、圧縮機11から吐出された冷媒が室内熱交換器15に流入するように、四方弁12が切り替えられる。圧縮機11から吐出された高圧のガス冷媒は、四方弁12を経由し、室内熱交換器15に流入する。暖房運転時には、室内熱交換器15は凝縮器として機能する。すなわち、室内熱交換器15では、内部を流通する冷媒と、室内ファン17により供給される室内空気との熱交換が行われ、冷媒は室内空気に凝縮熱を放熱する。これにより、室内熱交換器15に流入したガス冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒となる。室内熱交換器15を通過する室内空気は、冷媒からの放熱によって加熱される。
【0049】
室内熱交換器15から流出した液冷媒は、膨張弁14で減圧されて低圧の二相冷媒となる。膨張弁14から流出した二相冷媒は、室外熱交換器13に流入する。暖房運転時には、室外熱交換器13は蒸発器として機能する。すなわち、室外熱交換器13では、内部を流通する冷媒と、室外ファン16により供給される室外空気との熱交換が行われ、冷媒は室外空気から蒸発熱を吸熱する。これにより、室外熱交換器13に流入した二相冷媒は、蒸発して低圧のガス冷媒となる。室外熱交換器13から流出したガス冷媒は、四方弁12を経由して圧縮機11に吸入される。圧縮機11に吸入されたガス冷媒は、圧縮されて高圧のガス冷媒となる。暖房運転時には、以上の冷凍サイクルが連続的に繰り返し実行される。説明を省略するが、冷房運転時には、四方弁12によって冷媒の流れ方向が切り替えられ、室外熱交換器13が凝縮器として機能し、室内熱交換器15が蒸発器として機能する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置200は、実施の形態1〜3のいずれかの熱交換器ユニット100を備えている。この構成によれば、冷凍サイクル装置200に用いられる熱交換器20の熱交換器性能を向上させることができる。
【0051】
上記実施の形態1〜4では、熱交換器20の伝熱管30を流通する内部流体として冷媒を例に挙げたが、本発明はこれに限られない。熱交換器20の伝熱管30を流通する内部流体としては、水又はブラインなどの液体を含む他の流体を用いることもできる。
【0052】
また、上記実施の形態1〜4では、互いに隣り合う2つの熱交換部35の間に伝熱フィンが設けられていないフィンレス型の熱交換器20を例に挙げたが、本発明はこれに限られない。本発明は、互いに隣り合う2つの熱交換部35の間に当該2つの熱交換部35を接続する伝熱フィンが設けられた熱交換器にも適用できる。
【0053】
また、上記実施の形態1〜4では、熱交換器20とファン50とが対面して配置されたサイドフロー型の熱交換器ユニット100を例に挙げたが、本発明はこれに限られない。本発明は、トップフロー型などの他の構成を有する熱交換器ユニットにも適用できる。
【0054】
また、上記実施の形態3では、伝熱管30の延伸方向が重力方向に平行となる縦流れ式の熱交換器20を例に挙げたが、本発明はこれに限られない。本発明は、伝熱管30の延伸方向が水平方向となる横流れ式の熱交換器、又は伝熱管30の延伸方向が重力方向及び水平方向のいずれに対しても傾いた熱交換器にも適用できる。
【0055】
上記実施の形態1〜4や変形例は、互いに組み合わせて実施することが可能である。