(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記室外熱交換器を前記第1方向から視たときに、前記複数の第1扁平伝熱管、前記複数の第2扁平伝熱管、および前記複数の第3扁平伝熱管の各々は、少なくとも1つの屈曲部を有しており、
前記第2方向に垂直な断面において、前記複数の第1扁平伝熱管、前記複数の第2扁平伝熱管、および前記複数の第3扁平伝熱管の短軸の長さに対する長軸の長さの比率が15以上23以下である、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する第1方向Z、第2方向Xおよび第3方向Yが導入される。
【0013】
実施の形態1.
図1に示されるように、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100は、冷媒が循環する冷媒回路を備える。冷媒回路は、圧縮機1、第1流路切替部としての四方弁2、室外熱交換器3、減圧部4、室内熱交換器5、および第2流路切替部6を含む。圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、減圧部4、および第2流路切替部6は室外機内に収容されている。室内熱交換器5は室内機内に収容されている。冷凍サイクル装置100は、室外熱交換器3に送風する図示しない室外ファンと、室内熱交換器5に送風する図示しない室内ファンとをさらに備える。
【0014】
圧縮機1は、冷媒と吐出する吐出口と、冷媒を吸入する吸入口とを有している。
四方弁2は、圧縮機1の吐出口と吐出配管を介して接続されている第1開口部と、圧縮機1の吸入口と吸入配管を介して接続されている第2開口部と、室内熱交換器5に接続されている第3開口部と、第2流路切替部6を介して室外熱交換器3に接続されている第4開口部とを有している。四方弁2の第4開口部は、第2流路切替部6の第1ポートP1に接続されている。四方弁2は、室外熱交換器3が凝縮器として作用し室内熱交換器5が蒸発器として作用する第1状態と、室外熱交換器3が蒸発器として作用し室内熱交換器5が凝縮器として作用する第2状態とを切り替える。なお、
図1に示される実線の矢印は、冷凍サイクル装置100が上記第1状態にあるときの上記冷媒回路を循環する冷媒の流通方向を示す。
図1に示される点線の矢印は、冷凍サイクル装置100が上記第2状態にあるときの上記冷媒回路を循環する冷媒の流通方向を示す。
【0015】
室外熱交換器3は、複数の扁平伝熱管7、複数の板状部材8、第1分配器9および第2分配器10を有している。
【0016】
複数の扁平伝熱管7は、第1方向Zに互いに間隔を隔てて配置されており、かつ第1方向Zと交差する第2方向Xに沿って延びている。複数の扁平伝熱管7は、少なくとも複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cに区分される。複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cは、第1方向Zに1列に並んで配置されている。第3方向Yにおいて、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの配列数は1列である。つまり、室外熱交換器3は単列熱交換器である。
【0017】
複数の板状部材8は、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの各々と接続されており、かつ第2方向Xに互いに間隔を隔てて配置されている。
【0018】
第1分配器9は、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの第2方向Xの一端を並列に接続している。第1分配器9は、少なくとも第1分配管9A、第2分配管9B、および第3分配管9Cに区分される。
【0019】
第2分配器10は、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの第2方向Xの他端を並列に接続している。第2分配器10は、少なくとも第4分配管10A、第5分配管10B、および第6分配管10Cに区分される。
【0020】
室外熱交換器3は、第1熱交換部3A、第2熱交換部3B、および第3熱交換部3Cを有している。第1熱交換部3A、第2熱交換部3B、および第3熱交換部3Cは、第1方向Zに順に並んで配置されている。第1熱交換部3Aは第1方向Zの一端側に配置されている。第3熱交換部3Cは第1方向Zの他端側に配置されている。第2熱交換部3Bは第1方向Zにおいて第1熱交換部3Aと第3熱交換部3Cとの間に配置されている。第1熱交換部3A、第2熱交換部3B、および第3熱交換部3Cの各々は、例えば互いに同等の構成を有している。
【0021】
第1熱交換部3Aは、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の板状部材8の各々の一部分、第1分配管9A、および第4分配管10Aを有している。
【0022】
第2熱交換部3Bは、複数の第2扁平伝熱管7B、複数の板状部材8の各々の一部分、第2分配管9B、および第5分配管10Bを有している。
【0023】
第3熱交換部3Cは、複数の第3扁平伝熱管7C、複数の板状部材8の各々の一部分、第3分配管9C、および第6分配管10Cを有している。
【0024】
複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの各々の第2方向Xに垂直な断面形状は、扁平形状である。上記扁平形状の長軸は、例えば水平方向に沿っている。上記扁平形状の短軸の長さに対する上記扁平形状の長軸の長さの比率(アスペクト比)は、室外熱交換器3の熱交換性能を高める観点から、15以上であり、好ましくは20以上である。
【0025】
各板状部材8はプレートフィンである。各板状部材8は第1方向Zおよび第3方向Yに沿って延びる面を有しており、当該面には複数の挿入孔が設けられている。1つの板状部材8上に設けられた複数の挿入孔は、第1方向Zに互いに間隔を隔てて配置されている。各板状部材8に設けられた複数の挿入孔は、複数の板状部材8を第2方向Xから視たときに、重なるように設けられている。各挿入孔は、例えば複数の板状部材8の第3方向Yの一端に開口している切欠き部として構成されていてもよいし、全周が板状部材8に囲まれた貫通孔として構成されていてもよい。各挿入孔が上記切欠き部として構成されている場合には、第3方向Yにおいて切欠き部が開口している側が風下となるように、室外ファンが室外熱交換器3に送風する。
【0026】
第1分配管9Aは、複数の第1扁平伝熱管7Aの第2方向Xの各一端を並列に接続している。第4分配管10Aは、複数の第1扁平伝熱管7Aの第2方向Xの各他端を並列に接続している。第1熱交換部3Aでは、複数の第1扁平伝熱管7A、第1分配管9A、および第4分配管10Aが、上記冷媒回路の一部を構成している。
【0027】
第2分配管9Bは、複数の第2扁平伝熱管7Bの第2方向Xの各一端を並列に接続している。第5分配管10Bは、複数の第2扁平伝熱管7Bの第2方向Xの各他端を並列に接続している。第2熱交換部3Bでは、複数の第2扁平伝熱管7B、第2分配管9B、および第5分配管10Bが、上記冷媒回路の一部を構成している。
【0028】
第3分配管9Cは、複数の第3扁平伝熱管7Cの第2方向Xの各一端を並列に接続している。第6分配管10Cは、複数の第3扁平伝熱管7Cの第2方向Xの各他端を並列に接続している。第3熱交換部3Cでは、複数の第3扁平伝熱管7C、第3分配管9C、および第6分配管10Cが、上記冷媒回路の一部を構成している。
【0029】
第1熱交換部3A、第2熱交換部3B、および第3熱交換部3Cの各容量は、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0030】
上記第1状態および上記第2状態において、第1分配管9Aは第1熱交換部3Aのガス冷媒側に配置され、第4分配管10Aは第1熱交換部3Aの液冷媒側に配置されている。上記第1状態および上記第2状態において、第2分配管9Bは第2熱交換部3Bのガス冷媒側に配置され、第5分配管10Bは第2熱交換部3Bの液冷媒側に配置されている。上記第1状態および上記第2状態において、第3分配管9Cは第3熱交換部3Cのガス冷媒側に配置され、第6分配管10Cは第3熱交換部3Cの液冷媒側に配置されている。
【0031】
なお、各熱交換部の液冷媒側とは、各熱交換部が凝縮器として作用するときには液冷媒が流出し、かつ各熱交換部が蒸発器として作用するときには液冷媒が流入する側を意味する。なお、液冷媒は、液単相冷媒または気液2相冷媒であって液相冷媒を多く含む冷媒を意味する。一方、各熱交換部のガス冷媒側とは、各熱交換部が凝縮器として作用するときにはガス冷媒が流入し、かつ各熱交換部が蒸発器として作用するときにはガス冷媒が流出する側を意味する。なお、ガス冷媒は、ガス単相冷媒を意味する。
【0032】
第2流路切替部6は、冷媒が流出入する第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、第4ポートP4、第5ポートP5、第6ポートP6、第7ポートP7、および第8ポートP8を有している。第2流路切替部6は、1つのユニットとして構成されている。
【0033】
第1ポートP1は、四方弁2の第4開口部に接続されている。これにより、第1ポートP1は、上記第1状態において四方弁2を介して圧縮機1の吐出口に接続され、上記第2状態において四方弁2を介して圧縮機1の吸入口に接続される。第2ポートP2は、第1分配管9Aに接続されている。第3ポートP3は、第2分配管9Bに接続されている。第4ポートP4は、第3分配管9Cに接続されている。第5ポートP5は、第4分配管10Aに接続されている。第6ポートP6は、第5分配管10Bに接続されている。第7ポートP7は、第6分配管10Cに接続されている。第8ポートP8は、減圧部4を介して室内熱交換器5に接続されている。
【0034】
第2流路切替部6は、第1ポートP1と第8ポートP8とを接続する第1管路と、第1ポートP1から第8ポートP8に向かう第1管路の延在方向に沿って順に第1管路に接続された第2管路、第3管路、第4管路、第5管路、第6管路、および第7管路を含む。第1管路は、例えば直線状に延在している。
【0035】
第2管路は、第2ポートP2と第1管路とを接続している。第3管路は、第3ポートP3と第1管路とを接続している。第4管路は、第4ポートP4と第1管路とを接続している。第5管路は、第5ポートP5と第1管路とを接続している。第6管路は、第6ポートP6と第1管路とを接続している。第7管路は、第7ポートP7と第1管路とを接続している。
【0036】
第1管路と第2管路との接続部を第1接続部、第1管路と第3管路との接続部を第2接続部、第1管路と第4管路との接続部を第3接続部、第1管路と第5管路との接続部を第4接続部とする。第1管路と第6管路との接続部を第5接続部、第1管路と第7管路との接続部を第6接続部とする。
【0037】
図1〜
図5に示されるように、第2流路切替部6は、例えば、第1開閉弁11、第2開閉弁12、第3開閉弁13、第4開閉弁14、第5開閉弁15、第6開閉弁16、第7開閉弁17、第8開閉弁18および第9開閉弁19を含む。
【0038】
第1開閉弁11は、第2管路を開閉する。第3開閉弁13は、第4管路を開閉する。第4開閉弁14は、第5管路を開閉する。第6開閉弁16は、第6管路を開閉する。第7開閉弁17は、第1管路において上記第2接続部と上記第3接続部との間に位置する部分を開閉する。第8開閉弁18は、第1管路において上記第3接続部と上記第4接続部との間に位置する部分を開閉する。第9開閉弁19は、第1管路において上記第5接続部と上記第6接続部との間に位置する部分を開閉する。
【0039】
第2流路切替部6は、1つのユニットとして構成されている。第2流路切替部6は、例えば第1ブロックおよび第2ブロックと、第1ブロックと第2ブロックとの間に配置された第8開閉弁18とに区分され得る。第1ブロックは、第1管路の一部、第2管路、第3管路、第4管路、第1開閉弁11、第2開閉弁12、第3開閉弁13、および第7開閉弁17を有する。第2ブロックは、第1管路の他の一部、第4管路、第5管路、第6管路、第4開閉弁14、第5開閉弁15、第6開閉弁16、第9開閉弁19およびを有する。第1ブロックは、上記第1状態および上記第2状態において、第1熱交換部3A、第2熱交換部2Bおよび第3熱交換部3Cに対しガス冷媒側に配置されている。第2ブロックは、上記第1状態および上記第2状態において、第1熱交換部3A、第2熱交換部2Bおよび第3熱交換部3Cに対し液冷媒側に配置されている。
【0040】
第1ブロックに含まれる第1開閉弁11、第2開閉弁12、第3開閉弁13、および第7開閉弁17の各Cv値は、例えば第2ブロックに含まれる第4開閉弁14、第5開閉弁15、第6開閉弁16、および第9開閉弁19の各Cv値と比べて、大きい。
【0041】
第1ブロックに含まれる第1管路の一部、第2管路、第3管路および第4管路の各内径は、例えば第2ブロックに含まれる第1管路の他の一部、第5管路、第6管路および第7管路の各内径と比べて、大きい。
【0042】
第2ポートP2,第3ポートP3、第4ポートP4、第5ポートP5、第7ポートP7および第8ポートP8は、例えば同一面上に配置されている。なお、第1ポートP1、第2ポートP2,第3ポートP3、第4ポートP4、第5ポートP5、第6ポートP6、第7ポートP7および第8ポートP8は、同一面上に配置されていてもよい。
【0043】
図1〜
図5に示されるように、第2流路切替部6は、第3状態、第4状態、第5状態、第6状態、および第7状態を切り替える。
【0044】
図1に示されるように、上記第3状態では、第1開閉弁11、第2開閉弁12、第3開閉弁13、第4開閉弁14、第5開閉弁15、第6開閉弁16、および第8開閉弁18が開かれ、かつ第7開閉弁17および第9開閉弁19が閉じられる。
【0045】
図2に示されるように、上記第4状態では、第1開閉弁11、第2開閉弁12、第3開閉弁13、第4開閉弁14、第5開閉弁15、第6開閉弁16、第7開閉弁17、および第9開閉弁19が開かれ、第8開閉弁18が閉じされる。
【0046】
図3に示されるように、上記第5状態では、第1開閉弁11、第4開閉弁14、および第9開閉弁19が開かれ、第2開閉弁12、第3開閉弁13、第5開閉弁15、第6開閉弁16、第7開閉弁17、および第8開閉弁18が閉じられる。
【0047】
図4に示されるように、上記第6状態では、第2開閉弁12、第5開閉弁15、および第9開閉弁19が開かれ、第1開閉弁11、第3開閉弁13、第4開閉弁14、第6開閉弁16、第7開閉弁17、および第8開閉弁18が閉じられる。
【0048】
図5に示されるように、上記第7状態では、第3開閉弁13、第6開閉弁16、および第7開閉弁17が開かれ、第1開閉弁11、第2開閉弁12、第4開閉弁14、第5開閉弁15、第8開閉弁18、および第9開閉弁19が閉じられる。
【0049】
<冷凍サイクル装置の動作>
次に、冷凍サイクル装置100の動作について説明する。
【0050】
<冷房運転>
冷凍サイクル装置100が冷房運転されるときには、冷房負荷に応じて、上記第3状態、上記第5状態、上記第6状態または上記第7状態が実現される。冷房負荷が比較的高い場合には、上記第3状態が選択される。冷凍サイクル装置100が複数の室内熱交換器を備える場合、上記第3状態は例えば全冷房運転時に実現され、上記第5状態、上記第6状態および上記第7状態は例えば冷房主体運転時に実現される。
【0051】
図1に示されるように、上記第3状態では、第2流路切替部6によって、第1熱交換部3Aと第3熱交換部3Cとが直列に接続され、かつ第2熱交換部3Bと第3熱交換部3Cとが上記第1回路部において直列に接続される。圧縮機1から吐出されたガス単相冷媒は、第1ポートP1から第2流路切替部6の上記第1管路に流入する。
【0052】
上記第3状態では、第1開閉弁11および第2開閉弁12が開いておりかつ第7開閉弁17が閉じられている。そのため、第1管路に流入したガス単相冷媒の一部は、第2管路を通って第2ポートP2から第1分配管9Aに流入し、第1熱交換部3Aにおいて外気と熱交換して凝縮される。第1熱交換部3Aにて凝縮された液単相冷媒または気液2相冷媒は、第4分配管10Aを通り、第5ポートP5から上記第5管路に流入する。また、第1管路に流入したガス単相冷媒の残部は、第3管路を通って第3ポートP3から第2分配管9Bに流入し、第2熱交換部3Bにおいて外気と熱交換して凝縮される。第2熱交換部3Bにて凝縮された液単相冷媒または気液2相冷媒は、第5分配管10Bを通り、第6ポートP6から上記第6管路に流入する。
【0053】
第2開閉弁12、第3開閉弁13、第5開閉弁15および第6開閉弁16が開いておりかつ第7開閉弁17および第9開閉弁19が閉じられているため、上記第6管路に流入した液単相冷媒または気液2相冷媒の全ては、第4ポートP4から第3分配管9Cに流入し、第3熱交換部3Cにおいて外気と熱交換して凝縮される。第3熱交換部3Cにて凝縮された液単相冷媒は、第6分配管10Cを通り、第7ポートP7から上記第7管路に流入する。第6開閉弁16が開いておりかつ第9開閉弁19が閉じられているため、第7管路に流入した液単相冷媒の全ては、第8ポートP8から外部に流出する。第8ポートP8から流出した液単相冷媒は、減圧部4に流入する。
【0054】
図3に示されるように、上記第5状態では、第2熱交換部3Bおよび第3熱交換部3Cには冷媒が供給されず、第2熱交換部3Bおよび第3熱交換部3Cは凝縮器として作用しない。上記第5状態では、第1熱交換部3Aのみが凝縮器として作用する。具体的には、圧縮機1から吐出されたガス単相冷媒は、第1ポートP1から第2流路切替部6の上記第1管路に流入する。第1開閉弁11が開いておりかつ第2開閉弁12および第7開閉弁17が閉じられているため、第1管路に流入したガス単相冷媒の全ては、第2ポートP2を通って第1分配管9Aに流入し、第1熱交換部3Aにおいて外気と熱交換して凝縮される。第1熱交換部3Aにて凝縮された液単相冷媒または気液2相冷媒は、第4分配管10Aを通り、第5ポートP5から上記第5管路に流入する。第4開閉弁14および第9開閉弁19が開いておりかつ第5開閉弁15、第6開閉弁16および第8開閉弁18が閉じられているため、上記第5管路に流入した液単相冷媒または気液2相冷媒の全ては、第8ポートP8から第2流路切替部6の外部に流出する。
【0055】
図4に示されるように、上記第6状態では、第1熱交換部3Aおよび第3熱交換部3Cには冷媒が供給されず、第1熱交換部3Aおよび第3熱交換部3Cは凝縮器として作用しない。上記第7状態では、第2熱交換部3Bのみが凝縮器として作用する。具体的には、圧縮機1から吐出されたガス単相冷媒は、第1ポートP1から第2流路切替部6の上記第1管路に流入する。第2開閉弁12が開いておりかつ第1開閉弁11および第7開閉弁17が閉じられているため、第1管路に流入したガス単相冷媒の全ては、第3管路を通って第2分配管9Bに流入し、第2熱交換部3Bにおいて外気と熱交換して凝縮される。第2熱交換部3Bにて凝縮された液単相冷媒または気液2相冷媒は、第5分配管10Bを通り、第6ポートP6から上記第6管路に流入する。第5開閉弁15および第9開閉弁19が開いておりかつ第4開閉弁14、第6開閉弁16および第8開閉弁18が閉じられているため、上記第6管路に流入した液単相冷媒または気液2相冷媒の全ては、第8ポートP8から第2流路切替部6の外部に流出する。
【0056】
図5に示されるように、上記第7状態では、第1熱交換部3Aおよび第2熱交換部3Bには冷媒が供給されず、第1熱交換部3Aおよび第2熱交換部3Bは凝縮器として作用しない。上記第5状態では、第3熱交換部3Cのみが凝縮器として作用する。具体的には、圧縮機1から吐出されたガス単相冷媒は、第1ポートP1から第2流路切替部6の上記第1管路に流入する。第3開閉弁13および第7開閉弁17が開いておりかつ第1開閉弁11、第2開閉弁12、および第8開閉弁18が閉じられているため、第1管路に流入したガス単相冷媒の全ては、第4管路を通って第3分配管9Cに流入し、第3熱交換部3Cにおいて外気と熱交換して凝縮される。第3熱交換部3Cにて凝縮された液単相冷媒または気液2相冷媒は、第6分配管10Cを通り、第7ポートP7から上記第7管路に流入する。第6開閉弁16が開いておりかつ第8開閉弁18、および第9開閉弁19が閉じられているため、上記第7管路に流入した液単相冷媒または気液2相冷媒の全ては、第8ポートP8から第2流路切替部6の外部に流出する。
【0057】
<暖房運転>
冷凍サイクル装置101が暖房運転されるときには、上記第4状態が実現される。
図2に示されるように、上記第4状態では、第1熱交換部3A、第3熱交換部3Cおよび第2熱交換部3Bが並列に接続される。具体的には、圧縮機1から吐出されたガス単相冷媒は、
図1に示される室内熱交換器5にて凝縮され、液単相冷媒となる。液単相冷媒は、減圧部4にて減圧され、気液2相冷媒となる。気液2相冷媒は、第8ポートP8から第2流路切替部6の上記第1管路に流入する。
【0058】
上記第4状態では、第1開閉弁11、第2開閉弁12、第3開閉弁13、第4開閉弁14、第5開閉弁15、第6開閉弁16、第7開閉弁17、および第9開閉弁19が開いており、かつ第8開閉弁18が閉じられている。そのため、第8ポートP8から上記第1管路に流入した気液2相冷媒の一部は、第5ポートP5を通って第4分配管10Aに流入し、第1熱交換部3Aにおいて外気と熱交換して蒸発され、ガス単相冷媒となる。また、第1管路に流入した気液2相冷媒の他の一部は、第6ポートP6を通って第5分配管10Bに流入し、第2熱交換部3Bにおいて外気と熱交換して蒸発され、ガス単相冷媒となる。第1管路に流入した気液2相冷媒の残部は、第7ポートP7を通って第6分配管10Cに流入し、第3熱交換部3Cにおいて外気と熱交換して蒸発され、ガス単相冷媒となる。
【0059】
第1熱交換部3Aにて蒸発されたガス単相冷媒は、第1分配管9Aを通り、第2ポートP2から上記第2管路に流入する。第2熱交換部3Bにて蒸発されたガス単相冷媒は、第2分配管9Bを通り、第3ポートP3から上記第3管路に流入する。第3熱交換部3Cにて蒸発されたガス単相冷媒は、第3分配管9Cを通り、第4ポートP4から上記第4管路に流入する。第1開閉弁11、第2開閉弁12、第3開閉弁13、第4開閉弁14、第5開閉弁15、第6開閉弁16、第7開閉弁17、および第9開閉弁19が開いており、かつ第8開閉弁18が閉じられているため、ガス単相冷媒の全ては、第1ポートP1から第2流路切替部6の外部に流出する。第1ポートP1から流出したガス単相冷媒は、圧縮機1の吸入口に吸入される。
【0060】
<作用効果>
冷凍サイクル装置100は、冷媒が循環する冷媒回路を備える。冷媒回路は、圧縮機1、第1流路切替部2、室外熱交換器3、減圧部4、室内熱交換器5、および第2流路切替部6を含む。室外熱交換器3は、第1方向Zに互いに間隔を隔てて配置されており、かつ第1方向Zと交差する第2方向Xに沿って延びている複数の扁平伝熱管7と、複数の扁平伝熱管7の各々と接続されており、かつ記第2方向に互いに間隔を隔てて配置されている複数の板状部材と、複数の扁平伝熱管7の第2方向の一端に接続されている第1分配器9と、複数の扁平伝熱管7の第2方向Xの他端に接続されている第2分配器10とを有している。複数の扁平伝熱管7の第2方向Xの一端の数は、複数の扁平伝熱管7の第2方向Xの他端の数に等しい。第1方向Zおよび第2方向Xと直交する第3方向Yにおいて、複数の扁平伝熱管7の配列数は1列である。
【0061】
複数の扁平伝熱管7は、第1方向Zに並んで配置された、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cとを有している。
【0062】
第1分配器9は、複数の第1扁平伝熱管7Aの第2方向Xの各一端を並列に接続している第1分配管9Aと、複数の第2扁平伝熱管7Bの第2方向の各一端を並列に接続している第2分配管9Bと、複数の第3扁平伝熱管7Cの第2方向の各一端を並列に接続している第3分配管9Cとを有している。
【0063】
第2分配器10は、複数の第1扁平伝熱管7Aの第2方向の各他端を並列に接続している第4分配管10Aと、複数の第2扁平伝熱管7Bの第2方向の各他端を並列に接続している第5分配管10Bと、複数の第3扁平伝熱管7Cの第2方向の各他端を並列に接続している第6分配管10Cとを有している。
【0064】
第1流路切替部2は、室外熱交換器3が凝縮器として作用し室内熱交換器5が蒸発器として作用する第1状態と、室外熱交換器3が蒸発器として作用し室内熱交換器5が凝縮器として作用する第2状態とを切り替える。
【0065】
第2流路切替部6は、冷媒が流出入する第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、第4ポートP4、第5ポートP5、第6ポートP6、第7ポートP7、および第8ポートP8を有している。第1ポートP1は、第1状態において第1流路切替部2を介して圧縮機1の吐出口に接続され、第2状態において第1流路切替部2を介して圧縮機1の吸入口に接続されている。第2ポートP2は、第1分配管9Aに接続されている。第3ポートP3は、第2分配管9Bに接続されている。第4ポートは、第3分配管9Cに接続されている。第5ポートP5は、第4分配管10Aに接続されている。第6ポートP6は、第5分配管10Bに接続されている。第7ポートP7は、第6分配管10Cに接続されている。第8ポートP8は、減圧部4を介して室内熱交換器5に接続されている。
【0066】
第2流路切替部6は、第3状態と第4状態とを切り替える。第3状態では、第1ポートP1、第2ポートP2、複数の第1扁平伝熱管7A、第5ポートP5、第4ポートP4、複数の第3扁平伝熱管7C、第7ポートP7および第8ポートP8が順に直列に接続されており、かつ第1ポートP1、第3ポートP3、複数の第2扁平伝熱管7B、第6ポートP6、第4ポートP4、複数の第3扁平伝熱管7C、第7ポートP7および第8ポートP8が順に直列に接続されている。第4状態では、第5ポートP5、第6ポートP6、および第7ポートP7が第8ポートP8に対し並列に接続され、かつ第2ポートP2、第3ポートP3および第4ポートP4が第1ポートP1に対し並列に接続されている。
【0067】
冷凍サイクル装置100によれば、第2流路切替部6が、第1熱交換部3A、第2熱交換部3B、および第3熱交換部3Cが直列に接続された上記第3状態と、第1熱交換部3A、第2熱交換部3B、および第3熱交換部3Cが並列に接続された上記第4状態とを切り替える。そのため、第2流路切替部6によって上記第3状態が冷房運転時に、上記第4状態が暖房運転時に実現されることにより、冷凍サイクル装置100の室外熱交換器3の熱交換効率は、室外熱交換器3および第2流路切替部6の少なくともいずれかを備えず上記切り替えが行われない従来の冷凍サイクル装置の室外熱交換器の熱交換効率と比べて、高い。
【0068】
例えば、上記第3状態が上記冷房運転時に実現される冷凍サイクル装置100では、上記第4状態が冷暖房運転時に維持される冷凍サイクル装置と比べて、冷房運転時の第1扁平伝熱管7A、第2扁平伝熱管7B、および第3扁平伝熱管7Cの各々を流れる冷媒の流量が増加し、その流速が高めるられるため、管内熱伝達率が高い。その結果、冷凍サイクル装置100の凝縮伝熱性能は上記冷凍サイクル装置の凝縮伝熱性能と比べて高くなり、冷凍サイクル装置100の成績係数COPは、上記冷凍サイクル装置の成績係数COPと比べて高くなる。
【0069】
また、例えば、上記第4状態が上記暖房運転時に実現される冷凍サイクル装置100では、上記第3状態が冷暖房運転時に維持される冷凍サイクル装置と比べて、暖房運転時の第1扁平伝熱管7A、第2扁平伝熱管7B、および第3扁平伝熱管7Cの各々を流れる冷媒の圧力損失を低減することができる。その結果、冷凍サイクル装置100の成績係数COPは、上記冷凍サイクル装置の成績係数COPと比べて高くなる。
【0070】
さらに、冷凍サイクル装置100では、第2流路切替部6が1つのユニットとして構成されている。そのため、上記第3状態、上記第4状態、上記第5状態、上記第6状態、および上記第7状態の切替は、第2流路切替部6の内部の流路の切替によって、実現される。その結果、第2流路切替部6の外部において、室外機内に配置される冷媒配管は、第2流路切替部6の各ポートと、四方弁2、室外熱交換器3および減圧部4の各々とを1対1で接続する配管のみとなる。そのため、冷凍サイクル装置100における室外機内の配管の取り回しは、第2流路切替部6を備えずに上記切替を実現するように構成された冷凍サイクル装置の配管の取り回しと比べて、単純化されている。
【0071】
さらに、冷凍サイクル装置100では、上記第3状態において、圧縮機1から吐出されたガス単相冷媒の一部が第1熱交換部3Aにて凝縮して低下乾き度の気液2相冷媒とされ、かつガス単相冷媒の残部が第2熱交換部3Bにて凝縮して低下乾き度の気液2相冷媒とされる。その後、気液2相冷媒は第2流路切替部6内において合流し、第3熱交換部3Cにてさらに凝縮して液単相冷媒となる。
【0072】
そのため、上記冷凍サイクル装置100と、冷媒封入量が上記冷凍サイクル装置100と同等であるが直列に接続された複数の熱交換部のみを備える冷凍サイクル装置とを比較場合に、上記冷凍サイクル装置100が上記第3状態にあるときに第1熱交換部3Aおよび第2熱交換部3Bの各々を流れる冷媒の流量は、上記比較例を流れる冷媒の流量と比べて、少なくなる。そのため、冷凍サイクル装置100の第1熱交換部3Aおよび第2熱交換部3Bの各々を流れるガス単相冷媒または気液2相冷媒の流速は、上記比較例を流れるガス単相冷媒または気液2相冷媒の流速よりも遅くなる。その結果、冷凍サイクル装置100が上記第3状態にあるときに第1熱交換部3Aおよび第2熱交換部3Bの各々を流れるガス単相冷媒または気液2相冷媒の圧力損失は、上記比較例を流れるガス単相冷媒または気液2相冷媒の圧力損失よりも小さくなる。
【0073】
つまり、冷凍サイクル装置100では、上記第3状態において第3熱交換部3Cを流れる液単相冷媒の流速が上記比較例を流れる液単相冷媒の流速と同等とされながらも、上記第3状態において第1熱交換部3Aおよび第2熱交換部3Bを流れる気液2相冷媒の流速が上記比較例を流れる気液2相冷媒の流速よりも遅くされている。そのため、冷凍サイクル装置100の冷房運転時の凝縮伝熱性能は、上記比較例の冷房運転時の凝縮伝熱性能と比べて、高められている。
【0074】
さらに、第2流路切替部6内の第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、第4ポートP4、第5ポートP5、第6ポートP6、第7ポートP7および第8ポートP8の相対的な位置関係は、これらに接続される第1熱交換部3A、第2熱交換部3Bおよび第3熱交換部3Cの仕様が変更される場合にも、変更される必要がない。そのため、第2流路切替部6は、馬力数等の異なる複数の冷凍サイクル装置100間において、一定とされ得る。つまり、冷凍サイクル装置100では、馬力数、普及期、およびいわゆる高性能機か否か等に応じて冷媒配管の取り回しを設計変更する必要が無い。つまり、冷凍サイクル装置100では、室外機内に収容される上記冷媒配管の標準化設計が可能となる。
【0075】
また、冷凍サイクル装置100では、冷凍サイクル装置の馬力数等に応じて逆止弁および電磁弁を含む冷媒配管の取り回しを設計する必要がある冷凍サイクル装置と比べて、室外機内の冷媒配管の取り回しを単純化して冷媒配管の長さを短くすることができる。その結果、室外機内の冷媒配管の設置スペースは上記冷凍サイクル装置と比べて縮小され、冷凍サイクル装置100の製造コストは上記冷凍サイクル装置と比べて低減される。
【0076】
上記冷凍サイクル装置100によれば、第2流路切替部6が、上記第3状態、上記第4状態に加え、第1熱交換部3Aのみに冷媒が供給される上記第5状態、第2熱交換部3Bのみに冷媒が供給される上記第6状態、および第3熱交換部3Cのみに冷媒が供給される上記第7状態を切り替える。上記第5状態、上記第6状態および上記第7状態は、空調負荷が比較的小さい冷房運転時(冷房低負荷運転時)に実現される。
【0077】
凝縮器の放熱能力が過大となると、凝縮圧力が通常の冷房運転時のそれと比べて低下する。その結果、暖房運転している室内熱交換器に供給される気相冷媒の飽和温度が低下し、要求される暖房能力が得られなくなる。また、凝縮圧力の低下に伴い圧縮比(凝縮圧力/蒸発圧力)が低い状態が維持されると、圧縮機の信頼性が低下する。
【0078】
冷凍サイクル装置100では、第2流路切替部6によって上記第5状態、上記第6状態または上記第7状態が実現されることで、凝縮器の放熱能力を低下させることができる。そのため、例えば外気温が低い環境下で冷房主体運転が実行される場合に、凝縮器の放熱能力が過大となることが抑制されているため、凝縮圧力が通常の冷房運転時のそれと比べて低下することが抑制される。その結果、冷凍サイクル装置100では、外気温が低い環境下で冷房主体運転が実行される場合にも、要求される暖房能力を得ることができる。また、この場合、冷凍サイクル装置100では凝縮圧力の低下が抑制されるために、圧縮機1の信頼性が確保されている。
【0079】
また、冷凍サイクル装置100の第1熱交換部3A、第2熱交換部3B、および第3熱交換部3Cの各容量が互いに異なるように設けられている場合には、上記第5状態、上記第6状態および上記第7状態間の切替により、冷凍サイクル装置100の冷房運転時の凝縮伝熱性能を冷房負荷に応じて細かく制御することができる。
【0080】
実施の形態2.
実施の形態2に係る冷凍サイクル装置は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100と基本的に同様の構成を備えるが、室外熱交換器3の複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの上記扁平形状の長軸が、水平方向に対して傾斜している点で異なる。実施の形態2において、第1方向Zは重力方向である。
【0081】
図6に示されるように、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの各扁平形状の長軸は、水平方向に沿って延びる水平線Hに対して角度θを成して傾斜している。複数の第1扁平伝熱管7Aの上記長軸が水平線Hに対して成す傾斜角、複数の第2扁平伝熱管7Bの上記長軸が水平線Hに対して成す傾斜角、および複数の第3扁平伝熱管7Cの上記長軸が水平線Hに対して成す傾斜角は、例えば等しい。
【0082】
図6に示されるように、各第1扁平伝熱管7A、各第2扁平伝熱管7B、および各第3扁平伝熱管7Cが挿通される板状部材8の各挿通孔が上記切欠き部として設けられている場合、第3方向Yにおいて切欠き部が開口している側が風下となるように、室外ファンが室外熱交換器3に送風する。
【0083】
実施の形態2に係る冷凍サイクル装置は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100と基本的に同様の構成を備えているため、冷凍サイクル装置100と同様の効果を奏することができる。
【0084】
また、冷凍サイクル装置の暖房運転時には、室外の空気に含まれる水分が室外熱交換器3において凝縮されることにより、各扁平伝熱管の表面に凝縮水が発生する。この凝縮水の一部が各扁平伝熱管の表面に霜となって付着すると、該霜が室外の空気との間の熱交換を阻害するため、冷凍サイクル装置の暖房効率が低下する。各扁平伝熱管の長軸の長さが長くなるほど、凝縮水は扁平伝熱管の表面に滞留しやすくなって霜として付着しやすくなる。
【0085】
これに対し、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置では、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの各扁平形状の長軸の長さが比較的長くされた場合にも、室外熱交換器3の排水性が高められている。そのため、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置は、大馬力の冷凍サイクル装置に好適である。
【0086】
図7に示されるように、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置においても、板状部材8の各挿通孔が貫通孔として構成されていてもよい。この場合、室外熱交換器3への送風方向は、特に制限されない。
【0087】
好ましくは、
図8に示されるように、室外熱交換器3の複数の第1扁平伝熱管7Aの上記扁平形状の長軸が水平方向に対して成す傾斜角θ1、複数の第2扁平伝熱管7Bの上記扁平形状の長軸が水平方向に対して成す傾斜角θ2、および複数の第3扁平伝熱管7Cの上記扁平形状の長軸が水平方向に対して成す傾斜角θ3が、θ1<θ2<θ3の関係を満足する。
【0088】
上述した冷凍サイクル装置の暖房運転または除霜運転時には、複数の扁平伝熱管のうち、重力方向において相対的に下方に配置された扁平伝熱管はそれよりも上方に配置された扁平伝熱管の排水経路上に配置されている。そのため、重力方向において相対的に下方に配置されている扁平伝熱管の周囲には、それよりも上方に配置された扁平伝熱管と比べて多量の水が流通する。また、重力の影響により、重力方向において相対的に下方に配置されている扁平伝熱管の周囲には、それよりも上方に配置された扁平伝熱管と比べて水が滞留しやすい。このように、第3扁平伝熱管7Cには第2扁平伝熱管7Bと比べて高い排水性が要求され、第2扁平伝熱管7Bには第1扁平伝熱管7Aと比べて高い排水性が要求される。そのため、θ1<θ2<θ3の関係が実現されている冷凍サイクル装置では、上記関係が実現されていない冷凍サイクル装置と比べて、室外熱交換器3が蒸発器として作用するときの熱交性能が向上されている。なお、この場合にも、板状部材8の各挿入孔は、例えば
図8に示されるように上記切欠き部として構成されていてもよいし、上記貫通孔として構成されていてもよい。
【0089】
実施の形態3.
実施の形態3に係る冷凍サイクル装置は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100と基本的に同様の構成を備えるが、室外熱交換器3を第1方向Zから視たときに、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの各々が少なくとも1つの屈曲部を有している点で異なる。
【0090】
図9に示されるように、室外熱交換器3は、例えばいわゆるトップフロー型熱交換器である。室外ファン20は、回転軸が第1方向Zに沿うように、室外熱交換器3の上方に配置されている。
【0091】
複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの各々は、例えば3つの屈曲部を有している。複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの各々の延在方向は、上記扁平形状の長軸が異なる方向を向くように、3箇所で曲げられている。室外熱交換器3を第1方向Zから視たときに、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの各々は、第1方向Zに延びる軸を囲むように配置されている。上記屈曲部は、直線状に延在する各扁平伝熱管と各板状部材8とを接合した後、各扁平伝熱管を屈曲させることにより、形成される。
【0092】
複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの各延在方向の両端間の最短距離は、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの各延在方向の両端間の沿面距離と比べて、短い。
【0093】
好ましくは、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの各扁平形状の長軸は、
図6〜
図8に示されるように、水平方向に沿って延びる水平線Hに対して角度θを成して傾斜している。この場合、室外熱交換器3を第1方向Zから視たときの各扁平伝熱管7の内周端部がその外周端部よりも上方に配置される。
【0094】
第2方向Xに垂直な断面において、複数の第1扁平伝熱管7A、複数の第2扁平伝熱管7B、および複数の第3扁平伝熱管7Cの短軸の長さに対する長軸の長さの比率(アスペクト比)は、室外熱交換器3の熱交換性能を高める観点から、15以上である。さらに、上記アスペクト比は、室外熱交換器3の歩留まり率を高める観点から、23以下である。
【0095】
図10は、理論的に算出された上記アスペクト比と室外熱交換器3の熱交換性能との関係、および経験的に算出された上記アスペクト比と室外熱交換器3の歩留まり率との関係を示すグラフである。
図10の横軸は、上記アスペクト比を示す。
図10の左縦軸は、熱交換部が空気の流通方向に2列並んで配置されており、各扁平伝熱管の上記アスペクト比が4であって、かつ各扁平伝熱管が3つの屈曲部を有している複列熱交換器、以下比較例の複列熱交換器という、の熱交換性能を100%としたときの、
図9に示される室外熱交換器3の熱交換性能の比率を示す。
図10の右縦軸は、上記比較例の複列熱交換器の歩留まり率を100%としたときの、
図9に示される室外熱交換器3の歩留まり率の比率を示す。なお、上記比較例の複列熱交換器は、
図9に示される室外熱交換器に対し、複列であることおよび上記アスペクト比が4であることのみが異なるものとした。
図10中のプロットD1は上記比較例の複列熱交換器の上記アスペクト比と熱交換性能との関係を示し、プロットD2は上記比較例の複列熱交換器の上記アスペクト比と歩留まり率との関係を示している。
【0096】
図10に示されるように、上記アスペクト比が大きくなるほど室外熱交換器3の伝熱面積が大きくなるため、室外熱交換器3の熱交換性能は高くなる。一方、上記アスペクト比が大きくなるほど、扁平伝熱管と板状部材とを接合した後に扁平伝熱管を屈曲させる際に扁平伝熱管が潰れたりまたは板状部材が倒れたりする不良が生じやすくなり、室外熱交換器3の歩留まり率は低くなる。上記アスペクト比が15以上20以下である室外熱交換器3は、上記比較例の複列熱交換器と比べて、高い熱交換性能を有しながらも、同等以上の歩留まり率を示している。また、上記アスペクト比が20超え23以下である室外熱交換器3は、上記比較例の複列熱交換器と比べて、極めて高い熱交換性能を有しながらも、歩留まり率の低下率が10%以内に抑制されている。
【0097】
つまり、実施の形態3に係る室外熱交換器3は、上記アスペクト比が15以上であるため高い熱交換性能を有しており、かつ上記アスペクト比が23以下であるため、3つの屈曲部を有していても屈曲工程における歩留まり率の低下が抑制されている。
【0098】
さらに、複数の扁平伝熱管7の各延在方向の両端間の最短距離がその沿面距離と比べて短されている。そのため、室外熱交換器3の構造上のデッドスペースが十分に削減されている。
【0099】
さらに、室外熱交換器3がトップフロー型の熱交換器として構成されており、各扁平伝熱管7の内周端部がその外周端部よりも上方に配置されていることにより、各扁平伝熱管7の周囲で気体の流れに剥離が生じにくく、通風抵抗が低減されている。その結果、室外ファンの空力特性が向上し、ファンモータの入力および騒音が低減される。
【0100】
また、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100と基本的に同様の構成を備えているため、冷凍サイクル装置100と同様の効果を奏することができる。
【0101】
実施の形態1〜3に係る冷凍サイクル装置の室外熱交換器3は、例えば4つ以上の熱交換部を備えていてもよい。その場合、第2流路切替部6は熱交換部の数に応じてポートおよび電磁弁の数が増設される。このような第2流路切替部6によって、4つ以上の熱交換部が互いに直列に接続された上記第3状態が実現され得る。
【0102】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。