(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。なお、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、以下に説明する実施の形態のうち、2つ以上の実施の形態が組み合わせられて実施されても構わない。あるいは、以下に説明する実施の形態のうち、1つの実施の形態または2つ以上の実施の形態の組み合わせが部分的に実施されても構わない。
【0010】
実施の形態1.
本実施の形態について、
図1から
図10を用いて説明する。
【0011】
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る制御システム10の構成を示す図である。
制御システム10は、ファイルサーバ20と空気調和機30とを有する。制御システム10は、空気調和機30を制御する。
【0012】
ファイルサーバ20は、インターネットといったネットワーク11を介して空気調和機30と通信可能である。ファイルサーバ20は、具体的には、クラウドシステムに備えられている。ファイルサーバ20には、ライフスタイルログ21を備える。
ライフスタイルログ21には、ライフスタイルを表すライフスタイル情報と、空気調和機30の制御方式とが対応付けられた情報が蓄積されている。
【0013】
空気調和機30は、冷房および暖房といった機能を実現する冷凍サイクル装置である。空気調和機30は、冷凍サイクル装置を制御するマイクロコンピュータ301を備える。マイクロコンピュータ301は、第1の操作機能部310と第2の操作機能部320とを有する。第1の操作機能部310は、第1の機器40からの制御命令により空気調和機30を制御する。第2の操作機能部320は、第2の機器50からの制御命令により空気調和機30を制御する。
【0014】
第1の機器40は、赤外線通信あるいはBluetooth(登録商標)といった短距離無線通信13を用いて、制御命令を空気調和機30に送信する。第1の機器40は、具体的には、リモートコントローラである。あるいは、第1の機器40は、空気調和機30に設けられたスイッチ等の操作機器でもよい。
第2の機器50は、Wi−Fi(登録商標)といった無線LAN12を用いて、空気調和機30と通信する。第2の機器50は、具体的には、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、あるいは、タブレット型コンピュータである。第2の機器50は、第1の機器40より高機能な通信端末である。第2の機器50は、無線LAN12を用いて、制御命令を空気調和機30に送信する。
第2の機器50は、空気調和機30に対する操作であって、第1の機器40では受け付けることが不可能な操作を操作要求63としてユーザ80から受け付ける。
【0015】
図2および
図3を用いて、本実施の形態に係る空気調和機30の構成を説明する。
図2は、冷房運転時の冷媒回路31を示している。
図3は、暖房運転時の冷媒回路31を示している。
【0016】
空気調和機30は、冷媒が循環する冷媒回路31を備える。空気調和機30は、圧縮機32と、四方弁33と、室外熱交換器である第1熱交換器34と、膨張弁である膨張機構35と、室内熱交換器である第2熱交換器36とをさらに備える。圧縮機32、四方弁33、第1熱交換器34、膨張機構35および第2熱交換器36は、冷媒回路31に接続されている。
【0017】
圧縮機32は、冷媒を圧縮する。四方弁33は、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の流れる方向を切り替える。第1熱交換器34は、冷房運転時には凝縮器として動作し、圧縮機32により圧縮された冷媒を放熱させる。すなわち、第1熱交換器34は、圧縮機32により圧縮された冷媒を用いて熱交換を行う。第1熱交換器34は、暖房運転時には蒸発器として動作し、室外空気と膨張機構35で膨張した冷媒との間で熱交換を行って冷媒を加熱する。膨張機構35は、凝縮器で放熱した冷媒を膨張させる。第2熱交換器36は、暖房運転時には凝縮器として動作し、圧縮機32により圧縮された冷媒を放熱させる。すなわち、第2熱交換器36は、圧縮機32により圧縮された冷媒を用いて熱交換を行う。第2熱交換器36は、冷房運転時には蒸発器として動作し、室内空気と膨張機構35で膨張した冷媒との間で熱交換を行って冷媒を加熱する。
【0018】
圧縮機のモータは、具体的には直流ブラシレスモータ(DCモータ)を用いており、インバータ駆動装置にて駆動する。熱交換器はファンとファンモータを有し、少なくとも1箇所はDCモータを用いている。
【0019】
各空気調和機30は、第1の操作機能部310と第2の操作機能部320とを有するマイクロコンピュータ301と、操作表示部330とをさらに備える。
第1の操作機能部310は、第1の機器40から取得した制御要求に基づいて、空気調和機30を制御する。また、第2の操作機能部320は、第1の機器40より高機能な第2の機器50から取得した制御要求に基づいて、ライフスタイルログ21から制御方式を選択し、選択した制御方式を用いて空気調和機30を制御する。
操作表示部330は、空気調和機30が第1の機器40により操作されているか、あるいは、第2の機器50により操作されているかを表す。第1の機器40により操作されているとは、第1の操作機能部310により空気調和機30が制御されていることを表す。第2の機器50により操作されているとは、第2の操作機能部320により空気調和機30が制御されていることを表す。操作表示部330は、具体的には、LED(light emitting diode)の点灯、消灯、および点滅といった点灯形態、あるいはLEDの色等により第1の機器40による操作か第2の機器50による操作かを識別してもよい。あるいは、操作表示部330は、ディスプレイを備え、ディスプレイに第1の機器40による操作か第2の機器50による操作かを表示してもよい。
【0020】
なお、第1の操作機能部310および第2の操作機能部320は圧縮機32との接続しか示していないが、第1の操作機能部310および第2の操作機能部320が圧縮機32だけでなく、冷媒回路31に接続された圧縮機32以外の構成要素に接続されてもよい。第1の操作機能部310および第2の操作機能部320は、第1の操作機能部310および第2の操作機能部320に接続されている各構成要素の状態を監視したり、制御したりする。
【0021】
図4は、本実施の形態に係る第2の機器50の構成を示す図である。
第2の機器50は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、あるいは、タブレットといったコンピュータである。第2の機器50は、プロセッサ501を備えるとともに、メモリ502、補助記憶装置503、通信デバイス504、および入出力インタフェース505といった他のハードウェアを備える。プロセッサ501は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0022】
第2の機器50は、機能要素として、要求受付部510と通信部520と表示部530と記憶部540とを備える。記憶部540には、属性情報541が記憶されている。
【0023】
要求受付部510と通信部520と表示部530の機能は、ソフトウェアにより実現される。記憶部540は、メモリ502に備えられる。
【0024】
プロセッサ501は、第2の機器50において実行される制御プログラムを実行する装置である。第2の機器50において実行される制御プログラムは、要求受付部510と通信部520と表示部530の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ501は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ501の具体例は、CPU、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0025】
メモリ502は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ502の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
補助記憶装置503は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置503の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置503は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0026】
入出力インタフェース505は、具体的には、表示機器506に接続される。
入出力インタフェース505は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートであり、入力インタフェースとして機能する。また、入出力インタフェース505は、ディスプレイといった表示機器506のケーブルが接続されるポートであり、出力インタフェースとしても機能する。
入出力インタフェース505は、具体的には、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。入出力インタフェース505は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。表示機器506は、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
第2の機器50は、入出力インタフェース505を介して、表示機器506に要求受付画面71および確認画面73を表示する。また、第2の機器50は、入出力インタフェース505を介して、表示機器506に表示された要求受付画面71を介して、ユーザ80から操作要求63および確認結果731を取得する。
【0027】
通信デバイス504は、レシーバとトランスミッタを有する。通信デバイス504は、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信デバイス504は、具体的には、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。第2の機器50は、通信デバイス504を介して、無線LAN12に接続し、第2の制御要求62および確認結果731を空気調和機30に送信する。また、第2の機器50は、通信デバイス504を介して、無線LAN12に接続し、空気調和機30から選択制御方式65を受信する。
【0028】
制御プログラムは、プロセッサ501に読み込まれ、プロセッサ501によって実行される。メモリ502には、制御プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ501は、OSを実行しながら、制御プログラムを実行する。制御プログラムおよびOSは、補助記憶装置503に記憶されていてもよい。補助記憶装置503に記憶されている制御プログラムおよびOSは、メモリ502にロードされ、プロセッサ501によって実行される。なお、制御プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0029】
第2の機器50は、プロセッサ501を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、制御プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ501と同じように、制御プログラムを実行する装置である。
【0030】
制御プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ502、補助記憶装置503、または、プロセッサ501内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0031】
要求受付部510と通信部520と表示部530の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えてもよい。また要求受付処理と通信処理と表示処理の「処理」を「プログラム」、「プログラムプロダクト」または「プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記憶媒体」に読み替えてもよい。
制御プログラムは、上記の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程を、コンピュータに実行させる。また、制御方法は、第2の機器50が制御プログラムを実行することにより行われる方法である。
制御プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、制御プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0032】
図5は、本実施の形態に係る第1の操作機能部310の構成を示す図である。
図6は、本実施の形態に係る第2の操作機能部320の構成を示す図である。
【0033】
第1の操作機能部310および第2の操作機能部320は、1つのマイクロコンピュータ301に備えられる。あるいは、第1の操作機能部310および第2の操作機能部320の各々が、マイクロコンピュータであってもよい。マイクロコンピュータ301は、プロセッサ302を備えるとともに、メモリ303、短距離無線デバイス314、および通信デバイス324といった他のハードウェアを備える。プロセッサ302は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
なお、以下において第1の操作機能部310と第2の操作機能部320とを個別に説明するが、上述したように、第1の操作機能部310と第2の操作機能部320とは、1つのマイクロコンピュータ301であっても個別のマイクロコンピュータであってもよい。マイクロコンピュータ301は、空気調和機30の冷凍サイクル装置を制御するコントローラである。
【0034】
第1の操作機能部310は、機能要素として、制御部315とを備える。第2の操作機能部320は、機能要素として、抽出部325と選択部326と制御部327とを備える。第1の操作機能部310および第2の操作機能部320の各々の機能要素の機能は、ソフトウェアにより実現される。
【0035】
以下では、第2の操作機能部320の構成について説明するが、抽出部325と選択部326と制御部327を、制御部315と読み替えることで、第1の操作機能部310についても同様の説明を適用できる。
【0036】
具体的には、抽出部325と選択部326と制御部327の機能は、第2の操作機能部320により実行される制御プログラムにより実現される。制御プログラムは、抽出部325と選択部326と制御部327により行われる処理をそれぞれ抽出処理、選択処理および制御処理としてコンピュータに実行させるプログラムである。制御プログラムは、コンピュータ読取可能な媒体に記録されて提供されてもよいし、記録媒体に格納されて提供されてもよいし、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0037】
プロセッサ302は、制御プログラムを実行する装置である。プロセッサ302は、例えば、CPUである。
【0038】
メモリ303は、制御プログラムを記憶する装置である。メモリ303は、例えば、RAM、フラッシュメモリまたはこれらの組み合わせである。
【0039】
通信デバイス324は、制御プログラムに入力されるデータを受信するレシーバと、制御プログラムから出力されるデータを送信するトランスミッタとを含む。通信デバイス324は、例えば、通信チップまたはNICである。第2の操作機能部320は、通信デバイス324を介して、第2の制御要求62および確認結果731を第2の機器50から受信する。第2の操作機能部320は、通信デバイス324を介して、クラウドシステムのファイルサーバ20からライフスタイルログ21の情報を取得する。また、第2の操作機能部320は、通信デバイス324を介して、選択制御方式65を第2の機器50に送信する。
なお、第1の操作機能部310では、通信デバイス324に替えて、短距離無線デバイス314を備える。短距離無線デバイス314は、赤外線通信あるいはBluetooth(登録商標)といった短距離無線通信を行う。第1の操作機能部310は、短距離無線デバイス314を介して、第1の制御要求61を第1の機器40から受信する。
【0040】
制御プログラムは、メモリ303からプロセッサ302に読み込まれ、プロセッサ302によって実行される。メモリ303には、制御プログラムだけでなく、OSも記憶されている。プロセッサ302は、OSを実行しながら、制御プログラムを実行する。なお、制御プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0041】
第2の操作機能部320は、プロセッサ302を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、制御プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、例えば、CPUである。
【0042】
制御プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ303、または、プロセッサ302内のレジスタまたはキャッシュメモリに記憶される。
【0043】
また、第1の操作機能部310と第2の操作機能部320は、複数台のマイクロコンピュータで構成されていてもよい。
【0044】
***動作の説明***
図7から
図10を参照して、本実施の形態に係る制御システム10の動作を説明する。制御システム10の動作は、本実施の形態に係る制御方法に相当する。
【0045】
まず、PC、スマートフォン、あるいはタブレット端末といった第2の機器50に予め記憶されている属性情報541について説明する。
属性情報541は、空気調和機30を使用するユーザ80の属性を示す情報である。属性情報541は、具体的には、ユーザ80の性別、年齢および家族構成といった属性を示す情報である。また、人体の血圧、心拍、および呼吸といったバイタルデータも属性を示す情報である。さらに、ライフスタイルそのものが属性として認識されることが望ましい。具体例として、ユーザ80が30代男性と30代女性との2人世帯であれば、その世帯が子供を持たない共働き世帯であるかどうかまで認識されることが望ましい。何時に起床し、外出し、帰宅し、入浴し、就寝するかといった行動パターンも属性として認識されてもよい。暑がり、あるいは、寒がりといった好みも属性として認識されてもよい。また、空気調和機30が設定されている家屋の情報等が認識されてもよい。
家屋の情報として、例えば、室内機の設置位置、室内機が設置される建物の種類、建物の向き、部屋の種類・部屋の広さ、室内の部屋の状態である天井の高さ(吹き抜け天井含む)等の少なくとも1つを属性情報541に設定してもよい。更に具体的には、室内機の設置位置として、壁面中央、あるいは壁面隅側等、室内機が設置される建物の種類として戸建、マンション、あるいはマンション最上階等が設定される。建物の向きとして、北向き、南向き、西向き、あるいは東向き等、部屋の種類として、リビング、寝室、個部屋、台所、あるいは食卓等が設定される。
【0046】
本実施の形態では、属性情報541は、第2の機器50に記憶されており、第2の機器50から空気調和機30に送信されるが、予めファイルサーバ20に登録してもよい。あるいは、空気調和機30の据付業者等、ユーザ80以外の第三者により空気調和機30に入力されてもよい。
【0047】
図7は、本実施の形態に係る制御システム10の制御処理S100のフロー図である。
ステップS111において、第2の機器50の表示部530は、表示機器506に要求受付画面71を表示する。要求受付画面71は、ユーザ80から空気調和機30に対する操作を操作要求63として受け付ける画面である。
【0048】
図8は、本実施の形態に係る要求受付画面71の一例を示す図である。
要求受付画面71は、通常のリモートコントローラ等である第1の機器40では受け付けることができない運転制御、すなわち、高度な運転制御を受け付けることができる。高度な運転制御とは、例えば、工場出荷時のコントローラ(制御部315,327)の制御プログラミングもしくはデータを変更して、制御を行うことである。
【0049】
図8の要求受付画面71の例では、運転種別、温度制御、風向制御、風量制御、および運転制御について、各々複数の条件を入力できる画面である。温度制御の条件1には27.5℃と設定され、条件2には24.5℃と設定されている。また、風向制御の条件1には「南西方向に80度の角度」と設定され、条件2には「北東方向に80度の角度」と設定されている。風量制御の条件1には「強風」と設定されている。そして、運転制御において、上述した条件を用いた運転内容が設定されている。表示部530は、運転制御に設定された運転内容を操作要求63として受け付ける。
ユーザ80は、要求受付画面71への入力が完了すると、送信ボタンを押下する。
【0050】
図8の要求受付画面71は一例であり、複雑な運転制御を設定することができる画面であれば、どのようなユーザインタフェースを有していても構わない。音声入力を用いたバーチャルアシスタントといったユーザインタフェースを用いてもよい。
【0051】
また、
図8にはないが、複雑なタイマ制御を行えるようにしてもよい。通常のタイマ機能は予め設定された任意の時間に運転あるいは停止を行う。要求受付画面71では、さらに、24時間、365日の任意の日時および時間を設定することができる。さらに、要求受付画面71では、タイマ作動中の任意の時間に設定温度を変更することを設定できる。
【0052】
ステップS112において、第2の機器50の通信部520は、要求受付画面71によりユーザ80から操作要求63を受け付けると、操作要求63とユーザ80の属性情報541とを含む第2の制御要求62を第2の操作機能部320に送信する。具体的には、通信部520は、無線LAN12を介して、第2の制御要求62を第2の操作機能部320に送信する。操作要求63には、運転制御の内容が含まれる。また、通信部520は、属性情報541のうちユーザ80のライフスタイルと認識される情報のみを第2の制御要求62に含めてもよい。
【0053】
図9は、本実施の形態に係るライフスタイルログ21の一例を示す図である。
ライフスタイルログ21には、ライフスタイルを表すライフスタイル情報212と、空気調和機30の制御方式213とが対応付けられた情報が蓄積されている。具体的には、ライフスタイルログ21では、1レコードに、レコード番号211と、ライフスタイル情報212と、制御方式213とが対応付けられている。
ライフスタイル情報212には、年齢、家族構成、職務形態、行動パターン、好み、あるいは家屋の情報といったライフスタイルを表す情報が含まれている。
制御方式213には、運転種別、温度制御、風向制御、風量制御、タイマ制御、および運転制御といった情報が含まれている。なお、本実施の形態では、ライフスタイルログ21に含まれる制御方式213は、通常のリモートコントローラ等である第1の機器40では受け付けることができない運転制御、すなわち、より高度な運転制御方式を想定している。例えば、ライフスタイルログ21には、過去に空気調和機30を使用したユーザ80が高度な運転制御を要求した際に、実際に空気調和機30を制御した制御方式が設定されている。
高度な運転制御とは、具体的には、室内機または室外機のファンの回転数を変更もしくは圧縮機の回転数の可動範囲を変更、もしくは圧縮機の回転数を変更する際の変更速度を変更、もしくは室内機の風向制御を変更することが含まれる。例えば、高度な運転制御により、予め設定されているファンの回転数の設定値あるいは風向の設定値を変更し、気流の強さあるいは方向をユーザの好みに調整することができる。また、予め設定されている圧縮機の回転数の最小回転数および最大回転数、あるいは、圧縮機の回転数制御の速度を変更し、設置される環境あるいはユーザの好みにより調整することができる。また、運転状態を表示するランプの輝度の設定を変更し、ユーザの好みにより調整することができる。
【0054】
ステップS113において、第2の操作機能部320の抽出部325は、第2の制御要求62に含まれるユーザ80の属性情報541に基づいて、ユーザ80のライフスタイルを表すライフスタイル情報212に対応する制御方式213をライフスタイルログ21から抽出する。抽出部325は、ユーザ80のライフスタイルを表すライフスタイル情報212に対応するレコードすべてをライフスタイルログ21から抽出してもよい。具体的には、抽出部325は、属性情報541に含まれるユーザ80の年齢、家族構成、行動パターン、家屋の情報等と一致あるいは類似するライフスタイル情報212を検索する。抽出部325は、属性情報541と一致あるいは類似するライフスタイル情報212が含まれるレコードを抽出する。一致あるいは類似の判定基準は、予め定められた基準を用いるものとする。多くのサンプルから制御方式を決定したい場合は、ライフスタイルが少しでも似ていればよいので、判定基準を緩く設定する。ライフスタイルがほぼ一致しているサンプルから制御方式を決定したい場合は、判定基準を厳しく設定する。
【0055】
ステップS114において、第2の操作機能部320の選択部326は、抽出部325により抽出された制御方式213から、第2の制御要求62に含まれる操作要求63に応じた制御方式213を選択制御方式65として選択する。具体的には、選択部326は、抽出部325により抽出されたライフスタイルログ21のレコードから、操作要求63に含まれる運転制御の内容に最も近いレコードを選択する。選択部326は、運転種別、温度制御、風向制御、風量制御、タイマ制御、および運転制御といった情報を、操作要求63と比較することにより、最も操作要求63に近い制御方式213を含むレコードを選択する。そして、そのレコードに含まれる制御方式213を選択制御方式65とする。
【0056】
ステップS115において、選択部326は、選択した選択制御方式65を第2の機器50に送信する。具体的には、選択部326は、Wi−Fi(登録商標)といった無線LAN12を介して、選択制御方式65を第2の機器50に送信する。
【0057】
ステップS116において、第2の機器50の表示部530は、確認画面73を表示機器506に表示する。確認画面73は、選択制御方式65で空気調和機30を操作することの可否をユーザ80に確認させる画面である。
【0058】
図10は、本実施の形態に係る確認画面73の一例を示す図である。
確認画面73では、「お勧めの運転内容」の欄に、選択制御方式65内容が表示される。確認画面73では、「この運転内容に同意しますか?」の質問に対して、「同意ボタン」および「同意しないボタン」が用意されている。
【0059】
ステップS117において、表示部530は、確認画面73を介して、ユーザ80から確認結果731を取得する。確認画面73の「同意ボタン」あるいは「同意しないボタン」をユーザ80が押下することにより、表示部530は、確認結果731を取得する。
ステップS118において、表示部530は、無線LAN13を介して、確認結果731を第2の操作機能部320に送信する。
【0060】
ステップS119において、第2の操作機能部320の制御部327は、確認結果731が「同意」、すなわち「可」の場合に、選択制御方式65を用いて空気調和機30を制御する。具体的には、制御部327は、選択制御方式65に従って、制御プログラミングあるいは制御データを書き換える等の処理を実行しつつ、より高度な運転制御を実現する。
また、操作表示部330は、空気調和機30が第1の機器40により操作されているか、あるいは、第2の機器50により操作されているかを表示する。操作表示部330は、具体的には、LEDの点灯、消灯、および点滅といった点灯形態、あるいはLEDの色等により第1の機器40による操作か第2の機器50による操作かを識別してもよい。あるいは、操作表示部330は、ディスプレイを備え、ディスプレイに第1の機器40による操作か第2の機器50による操作かを表示してもよい。
【0061】
***他の構成***
<変形例1>
本実施の形態では、冷凍サイクル装置として空気調和機30を例に説明した。しかし、冷凍サイクルを用いた機器であれば、空気調和機の他、床暖房、あるいは給湯機といった冷凍サイクル装置にも適用できる。また室外機が1台に対し、室内機が複数台もしくは床暖房と設置する、所謂マルチ空調であっても本実施の形態は適用可能である。
【0062】
<変形例2>
本実施の形態では、第2の操作機能部320で選択制御方式65を選択した後、第2の機器50において、確認画面73を表示する。そして、第2の操作機能部320は、確認画面73でユーザ80の同意を得てから選択制御方式65を用いて空気調和機30を制御している。しかし、ユーザ80に確認せずに、第2の操作機能部320で選択制御方式65を選択したら直ちに、選択制御方式65で制御してもよい。このようにすることで、ユーザ80に何度も第2の機器50を操作させることを防ぐことができ、ユーザの利便性が向上する。
【0063】
<変形例3>
まず、第2の機器50における要求受付部510と通信部520と表示部530の機能を第2の機器50の機能とする。
本実施の形態では、第2の機器50の機能が、ソフトウェアにより実現される。しかし、変形例として、第2の機器50の機能が専用のハードウェアにより実現されてもよい。あるいは、第2の機器50の機能がソフトウェアと専用のハードウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。すなわち、第2の機器50の機能の一部が専用のハードウェアにより実現され、残りがソフトウェアにより実現されてもよい。
【0064】
専用のハードウェアは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、FPGA、ASIC、または、これらのうちいくつか、もしくは、すべての組み合わせである。「IC」は、Integrated Circuitの略語である。「GA」は、Gate Arrayの略語である。「FPGA」は、Field−Programmable Gate Arrayの略語である。「ASIC」は、Application Specific Integrated Circuitの略語である。
【0065】
プロセッサおよび専用のハードウェアは、いずれも処理回路である。すなわち、第2の機器50の機能がソフトウェアにより実現されるか、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現されるかに関わらず、第2の機器50の動作は、処理回路により行われる。
【0066】
また、第1の操作機能部310おける制御部315、および、第2の操作機能部320における抽出部325と選択部326と制御部327の機能を第1の操作機能部310および第2の操作機能部320の機能とする。
本実施の形態では、第1の操作機能部310および第2の操作機能部320の機能がソフトウェアにより実現される。しかし、変形例として、第1の操作機能部310および第2の操作機能部320の機能が専用のハードウェアにより実現されてもよい。あるいは、第1の操作機能部310および第2の操作機能部320の機能がソフトウェアと専用のハードウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。すなわち、第1の操作機能部310および第2の操作機能部320の機能の一部が専用のハードウェアにより実現され、残りがソフトウェアにより実現されてもよい。
【0067】
専用のハードウェアは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、FPGA、ASIC、または、これらのうちいくつか、もしくは、すべての組み合わせである。
【0068】
プロセッサおよび専用のハードウェアは、いずれも処理回路である。すなわち、第1の操作機能部310および第2の操作機能部320の機能がソフトウェアにより実現されるか、ハードウェアにより実現されるか、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現されるかに関わらず、第1の操作機能部310および第2の操作機能部320の動作は、処理回路により行われる。
【0069】
***実施の形態の効果の説明***
本実施の形態によれば、ユーザが空気調和機の高度な機能をどのように活用すればよいかわからない場合でも、要求受付画面というユーザインタフェースにより、リモートコントローラで操作可能な範囲外の運転制御を要求することできる。よって、空気調和機が保有する性能であって様々な運転を可能とする性能を、ユーザにより容易に利用可能とすることができ、ユーザビリティを向上させることができる。また、高度な運転制御を実現できるので、よりユーザの希望にジャストフィットさせることができる。
【0070】
本実施の形態によれば、過去の実績に基づいたライフスタイルログを用いているので、ユーザが空気調和機の機能の用い方を誤って要求した場合でも、空気調和機を効果的に活用する制御方式を提案することができる。また、本実施の形態では、ユーザの確認をとる確認画面を表示し、ユーザの同意を得るので、ユーザの要求と異なる正しい制御方式を提示した場合でもユーザは納得してその制御方式を利用することができる。
【0071】
本実施の形態によれば、空気調和機の冷凍サイクル装置のコントローラ(マイクロコンピュータ制御部)を、工場出荷時のコントローラの制御プログラミングもしくはデータを変更することが可能となる。よって、ユーザの利便性の向上、快適性の向上、および省エネルギーの向上を図ることができる。
【0072】
本実施の形態では、操作表示部が第1の操作機能部による制御か、第2の操作機能部による制御かを表示する。第1の機器および第2の機器を有する冷凍サイクル装置において、第1の機器で操作できない動作を、第2の機器で操作が可能になる。よって、ユーザがどちらの機器で操作したかを忘れた場合に、ユーザは現在どのような運転を行っているのかが不明になってしまうため不安になる。例えば機器が故障したと勘違いする可能性があり、機器を製造するメーカ側への問い合わせが増えるリスクがある。本実施の形態では、空気調和機が操作表示部を有しているので、現在運転している動作が第1の機器によるものか、第2の機器によるものかを表示することができる。よって、ユーザの不安が解消することが可能であり、また、操作性の向上にもつながる効果がある。
【0073】
冷凍サイクル装置の省エネルギー化において、主要な技術として、圧縮機のモータに直流ブラシレスモータ(DCモータ)を採用したことが挙げられる。これにより冷凍サイクル装置の省エネルギー化に加えて、最大能力、例えば最大暖房能力および最大冷房能力等が大幅に向上し運転能力の可変範囲が大幅に広がった。このために、本実施の形態によれば、第2の機器と第2の機器から制御要求を取得する第2の操作機能部とを設けたことによる、ユーザの利便性、快適性、および省エネルギー性の効果が更に高まるという効果がある。
【0074】
本実施の形態では、熱交換器はファンとファンモータを有し、少なくとも1箇所はDCモータを用いている。冷凍サイクル装置の省エネルギー化において、主要な他の技術として、熱交換器のファンのファンモータにDCモータを採用したことが挙げられる。これにより冷凍サイクル装置の省エネルギー化に加えて、ファンの最高回転数が高まり、また最小回転数も低下することが可能となり風量の可変幅が飛躍的に向上した。これにより、冷凍サイクル装置の能力、例えば最大暖房能力、最大冷房能力、最小暖房能力、および最小冷房能力等の可変範囲が大幅に広がった。更に風量の変化に伴う騒音の幅も広がり、静音運転や高能力運転も可能になる。このために、本実施の形態によれば、第2の機器と第2の機器から制御要求を取得する第2の操作機能部とを設けたことにより、ユーザの利便性、快適性、および省エネルギー性の効果を更に高めることが可能になる。
【0075】
冷凍サイクル装置が設置される影響について、現在家庭用度で主流となっている壁掛け形の空気調和機を例に説明するが、例えばJISC9612に示されるように、住宅の種類や住宅の向きによって建物に必要な空調の能力(空調負荷)に大きく影響する。
また、天井の高さにおいても、日本の住宅の場合は2.6mが標準的であるが、近年は高天井として例えば2.8mの環境に設置した場合には、空調負荷は単純にその比率である約8%も空調負荷は大きくなる。
また、暖房運転の場合、足元の温度が暑い寒いといった感覚である体感温度は、空気調和機の室内機が設置される高さが高くなると、温風到達が不十分になり、足元温度は低下し不快になり体感温度は低下してしまう。この場合、ユーザは設定温度を高めた運転を行う。このため省エネルギー性は大きく悪化する。
また、暖房運転時も冷房運転時も人に気流があたると不快になったり、冷房運転の場合は、気流に直接あたると体感温度が低下して、風邪をひいたりしてユーザの体調を悪化させてしまう場合がある。
従って、ユーザの好みに合わせたきめ細かな気流制御が必要になる。
【0076】
気流制御の具体例について説明する。
例えば、室内機の気流制御が左右に風向調整が可能な機器において、室内機が壁面の左隅に据付されている場合は、壁面に気流があたってしまうので、左側に気流制御をする必要はなく、この場合は室内機の正面から右側の中心に気流をきめ細かく制御する様に調整すれば、よりユーザの好みにあった気流制御が実現でき、快適性が向上することになる。
【0077】
次に、適切な圧縮機の回転数制御について説明する。
空気調和機の圧縮機の回転数(エアコンディショナ能力)とエネルギー効率の関係は、回転数の中央付近(定格能力付近)でエネルギー効率は最も高くなる。また、最大回転数(最大能力運転時)あるいは最小回転数付近(最小能力運転時)に近づくほど効率が悪化する特徴がある。
このため、例えば空調負荷の小さな部屋で運転する場合は、最大回転数付近の運転は必要なく、エネルギー効率の高いところで運転すれば、省エネルギー性は高まることになる。
逆に空調負荷が大きな部屋で運転する場合は、最小回転数付近の運転は必要なく、エネルギー効率の高い回転数で運転すれば、省エネルギー性は高まることになる。
このように、住宅の種類および据付環境によっても、適切な回転数制御が異なる。このため、住宅の種類や据付環境の情報を、空気調和機に入力すれば、より省エネルギー性の高い運転が可能となる。
【0078】
冷凍サイクル装置において、空気調和機を例にとると、一般に冷房能力および暖房能力を高めたい場合は、室内機および室外機の熱交換器の風量を高めるほど効果が高くなる。また圧縮機の回転数も高回転にするほど高い冷房能力および暖房能力を発揮する。一方で、騒音については風量を高めるほど騒音は高まり、また圧縮機の回転数を高めるほど、圧縮機の騒音が高まるため、圧縮機を収納している室外機の騒音が高まると共に、室内機においても循環する冷媒の冷媒音が高まり騒音が大きくなる。
また、使われるユーザにおいては、暑がりの人、あるいは、寒がりの人がいるように、好まれる暖房能力および冷房能力が異なる、また使われる部屋によっても、例えば寝室では、高能力よりも静音な運転が好まれる場合があり、リビングルームでは高能力な運転をしたい場合もある。また、ユーザは空気調和機の気流に直接あたりたい人、あるいは、気流にあたると不快に感じる人もいる。
このようにユーザの感情や好みは様々であることから、この好みの情報を空気調和機に入力することによって、ユーザの好みに合った、空気調和機の能力、気流感、および騒音レベルに調整することが可能になる。
それによって、ユーザの満足度、快適性、および省エネルギー性を高めることが可能となる。
【0079】
第1の機器は、通常は液晶による表示が主流であり、一部の機種でフルドット液晶を利用する場合がある。しかし、第2の機器となるスマートフォンあるいはタブレット型コンピュータの表示部と比較すると格段と視認性が低い。また表示の自由度から簡素で限られた表示しか表示ができない。また第1の機器は、入力する操作部のボタンの数の制限により限られた操作しかできない。
このため、タイマ操作の場合は、ユーザの好みは様々ではあるが、例えば2時間後に運転停止とか、5時間後に運転開始とかいった簡単な操作しか対応できない。一部の機種で24時間の任意の時間に運転を開始、停止する機種もあるが、複雑な操作となり操作性が悪化する。
本実施の形態によれば、第2の機器を用いているので、ユーザの好みに対応した任意の時間に運転開始および停止が容易に操作可能となる。更に、第2の機器の操作性を活用すれば、単に運転開始および停止だけの操作だけではなく、タイマ運転中の任意の時間に設定温度も変更することも操作性を悪化させずに可能となる。従って、例えば冷房運転において、睡眠時にタイマ開始1時間後に設定温度を高めに変更することで、睡眠中の寝冷えを防止する運転も容易に対応できる。また暖房運転において、睡眠時にタイマ開始30分後に、設定温度を下げて運転し、起床時間に再度設定温度を高めた運転を行うことも容易に対応できる。このように、ユーザの好みに最適なタイマ操作が可能になれば、快適性が高まるだけでなく、省エネルギー性も高めることが可能になる。
【0080】
冷凍サイクル装置における空気調和機において、室外機が1台に対し、室内機が複数台据え付けるタイプの空気調和機があり、マルチエアコンディショナと呼ばれている。
このタイプの空気調和機が利用される環境として、家屋で各部屋に空気調和機を設置する場合に、室外機を設置する屋外の庭あるいはベランダに複数台の室外機を設置するスペースがない場合に、室外機が1台のマルチエアコンディショナを利用することが広く知られている。
つまりマルチエアコンディショナを利用するユーザは、室内機をリビング、キッチン、個部屋、および寝室等、様々な部屋で利用することになる。また室内機を設置される室内の環境も、多くは様々な南向き、北向き、東向き、西向きといった方位の部屋に設置されることになる。
一方マルチエアコンディショナの室内機は、どの様な部屋に設置されるか設計段階では判らないため、前述の設置される環境に適した、風量設定、風向設定、および能力設定がされていない。また、マルチエアコンディショナで室内機を選定する場合は、最も大量に生産されている通常の空気調和機(室外機が1台に対して、室内機が1台のタイプの空気調和機)の種類に比べては、室内機選定の自由度は少ない。
以上の説明より、マルチエアコンディショナの室内機が設置される環境は、据え付けられる部屋によって大きく異なるために、ユーザの好みに適した風量設定、風向設定、および能力設定になっていない場合が多く発生する。このため、第2の機器で、個個の室内機毎に、据え付けられる環境条件と、ユーザの好みの風量、気流、および能力を設定することが可能になれば、ユーザの満足度は高まるとともに、快適性も向上する。また、マルチエアコンディショナの限られた能力を、部屋毎に適切な能力に分配させることで、無駄な能力の消費がなくなり省エネルギーにもつながる。
【0081】
実施の形態2.
本実施の形態では、主に、実施の形態1と異なる点について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0082】
実施の形態1では、第2の操作機能部320の選択部326が、1つの選択制御方式65を選択し、第2の機器50においてユーザ80の確認がとれると、その選択制御方式65を用いて空気調和機30を制御していた。本実施の形態では、選択部326が、選択制御方式65を複数選択し、その複数の選択制御方式65から1つをユーザ80に選択させる態様について説明する。
【0083】
***構成の説明***
図11は、本実施の形態に係る第2の操作機能部320aの構成を示す図である。
図12は、本実施の形態に係る第2の機器50aの構成を示す図である。
図11において、
図6の第2の操作機能部320と異なる点は、選択部326が、制御方式候補66を第2の機器50aに送信する点である。また、制御部327は、第2の機器50aから1つの選択制御方式65aを受信する点である。
また、
図12において、
図4の第2の機器50と異なる点は、通信部520が、第2の機器50aから制御方式候補66を受信する点である。表示部530が、選択画面72を表示機器506に表示し、選択結果である選択制御方式65aを受け付ける点である。また、通信部520が、選択制御方式65aを第2の機器50aに送信する点である。
【0084】
***動作の説明***
図13および
図14を用いて、制御システム10の動作について説明する。
図13は、本実施の形態に係る制御システム10の制御処理S100のフロー図である。
【0085】
図13は、
図7のフロー図のステップS114からステップS119の処理を、ステップS211からステップS218の処理に替えたことを表すフロー図である。
図13では、
図7のステップS111からステップS112を省略している。
【0086】
ステップS113において、第2の操作機能部320の抽出部325は、第2の制御要求62に含まれるユーザ80の属性情報541に基づいて、ユーザ80のライフスタイルを表すライフスタイル情報212に対応する制御方式213をライフスタイルログ21から抽出する。ステップS113は
図7で説明した処理と同様である。
【0087】
ステップS211において、第2の操作機能部320の選択部326は、抽出部により抽出された制御方式から、前記第2の制御要求に含まれる前記操作要求に応じた制御方式を制御方式候補として抽出する。具体的には、選択部326は、属性情報541に含まれるユーザ80の年齢、家族構成、および行動パターン等と一致あるいは類似するライフスタイル情報212を検索する。抽出部325は、属性情報541と一致あるいは類似するライフスタイル情報212が含まれるレコードを抽出する。一致あるいは類似の判定基準は、予め定められた基準を用いるものとする。ライフスタイルが少しでも似ている多くのサンプルから制御方式を決定したい場合は、判定基準を緩く設定する。ライフスタイルがほぼ一致しているサンプルから制御方式を決定したい場合は、判定基準を厳しく設定する。
【0088】
ステップS212において、選択部326は、抽出された制御方式候補66を第2の機器50に送信する。
ステップS213において、第2の機器50aの通信部520は、第2の操作機能部320から制御方式候補66を受信する。
ステップS214において、第2の機器50aの表示部530は、選択画面72を表示機器506に表示する。選択画面72は、制御方式候補66から制御方式をユーザ80に選択させる画面である。
【0089】
図14は、本実施の形態に係る選択画面72の一例を示す図である。
選択画面には、制御方式候補66の一覧が表示される。ユーザ80は、所望の制御方式を選択してチェックボックスをチェックし、確認ボタンを押下する。このように、ユーザ80により、1つの制御方式が選択制御方式65aとして選択される。
【0090】
ステップS215において、表示部530は、選択画面72を介してユーザ80により選択された制御方式を選択制御方式65aとして受け付ける。
ステップS216において、第2の機器50aの通信部520は、選択制御方式65aを第2の操作機能部320に送信する。
ステップS217において、第2の操作機能部320の制御部327は、第2の機器50aから受信した選択制御方式65aを用いて空気調和機30を制御する。制御部327による制御は実施の形態と同様である。
【0091】
***本実施の形態の効果の説明***
本実施の形態にかかる制御システムによれば、複数の制御方式から1つをユーザに選択させることができる。よって、よりユーザ80にジャストフィットした運転制御を実現することができる。
【0092】
実施の形態3.
本実施の形態では、主に、実施の形態1および2と異なる点および追加する点について説明する。なお、実施の形態1および2と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
実施の形態1および2では、空気調和機30を例として、冷蔵庫、給湯器、および床暖房といった冷凍サイクル装置を制御する制御システム10について説明した。本実施の形態では、冷凍サイクル装置に替えて、電気機器90を制御する制御システム10bの例について説明する。電気機器90には、実施の形態1および2で説明した空気調和機30といった冷凍サイクル装置に加え、冷凍サイクル装置以外の機器も含まれる。
【0093】
***構成の説明***
図15は、本実施の形態に係る制御システム10bの構成を示す図である。
制御システム10bでは、空気調和機30に替えて電気機器30を有する。電気機器90は、ネットワーク11を介してファイルサーバ20と通信可能な電気機器であれば、どのような電気機器でもよい。例えば、電気機器90には、テレビ、照明機器、IH(induction heating)調理器、電子レンジ、給湯器、および換気扇といった家電機器が含まれる。あるいは、電気機器90には、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、スマートスピーカ、ゲーム機、あるいはデジタルカメラといった通信機器も含まれる。その他、電気機器90には、エレベーターあるいは自動ドアといった電気的な設備も含まれる。
【0094】
電気機器90は、電気機器90のユーザのライフスタイルを検知するために用いられる検知データ91をファイルサーバ20に送信する。ファイルサーバ20は、検知データ91を用いてライフスタイルログ21bを更新する。ライフスタイルログ21bには、ライフスタイルを表すライフスタイル情報212と、電気機器90の制御方式213bとが対応付けられた情報が蓄積されている。ライフスタイルログ21bについては、後述する。
【0095】
***動作の説明***
図16は、本実施の形態に係る制御システム10bの制御処理S100bのフロー図である。
図16は、実施の形態1で説明した
図7に対応する。
【0096】
ステップS111bからステップS119bは、実施の形態1の
図7のステップS111からステップS119において空気調和機30を電気機器90と読み替えたものと同様である。
【0097】
このとき、制御処理S100bで用いられる要求受付画面71、ライフスタイルログ21b、および確認画面73は、電気機器90に応じた内容が設定される。
例えば、ステップS111bにおいて、第2の機器50の表示部530により表示される要求受付画面71は、ユーザ80から電気機器90に対する操作を操作要求63として受け付ける画面である。本実施の形態では、電気機器90に応じた要求受付画面71が表示される。例えば、電気機器90がテレビであれば、電源をオンにする時刻、電源をオフにする時刻、番組、音量、および録画予約する番組といった、テレビに対する操作を受け付ける。また、例えば、電気機器90が照明機器であれば、電源をオンにする時刻、電源をオフにする時刻、明るさ、および色温度といった、照明機器に対する操作を受け付ける。また、例えば、電気機器90が給湯器であれば、給湯温度、風呂温度、およびお湯はりの時刻といった、給湯器に対する操作を受け付ける。
確認画面についても同様に、電気機器90に応じた画面が表示される。
【0098】
図17は、本実施の形態に係るライフスタイルログ21bの一例を示す図である。
本実施の形態に係るライフスタイルログ21bには、ライフスタイル情報212に対応する制御方式213bが設定されている。制御方式213bには電気機器90ごとの制御方式が設定されている。
例えば、電気機器90がテレビであれば、ライフスタイル情報212に応じて、電源をオンにする時刻、電源をオフにする時刻、見る番組、時間に応じた音量、あるいは録画予約する番組といった、テレビに対する制御方式が設定されている。また、例えば、電気機器90が照明機器であれば、ライフスタイル情報212に応じて、電源をオンにする時刻、電源をオフにする時刻、時間に応じた明るさ、あるいは時間に応じた色温度といった、照明機器に対する制御方式が設定されている。また、例えば、電気機器90が給湯器であれば、ライフスタイル情報212に応じて、時間に応じた給湯温度、時間に応じた風呂温度、あるいはお湯はりの時刻といった、給湯器に対する制御方式が設定されている。
【0099】
例えば、電気機器90は、電源のオンオフの時刻といった使用時間、あるいは、センサあるいはカメラといった検知装置による検知情報を、検知データ91としてファイルサーバ20に送信する。ファイルサーバ20は、電気機器90から受信した使用時間あるいは検知情報といった検知データ91を収集し、ユーザ80のライフスタイル情報212を更新する。また、ファイルサーバ20は、検知データ91を用いて、ライフスタイル情報212を更新するとともに、電気機器90の制御方式213bを更新する。
【0100】
例えば、テレビおよび照明機器の使用時間、および、空気調和機の人感センサ等から、ユーザ家族において何時に何人がテレビを見ているかのライフスタイルを検知することができる。そして、その際のテレビ番組、音量、照明器具の明るさ、および色温度といった操作の情報から、ライフスタイルに適したテレビおよび照明機器の制御方式を算出することができる。また、例えば、電子レンジあるいはIH調理器の使用時間の情報と、給湯器の給湯温度の情報から、ユーザ家族において何時に調理をし、その際に何度のお湯を使用するかのライフスタイルを検知することができる。そして、その際の電子レンジあるいはIH調理器の使用時間、および給湯温度等から、ライフスタイルに適した給湯機の制御方式を算出することができる。
【0101】
***本実施の形態に係る効果の説明***
本実施の形態にかかる制御システムによれば、複数種類の電気機器をファイルサーバと接続し、これらの電気機器から検知データを収集することができる。また、本実施の形態にかかる制御システムによれば、検知データを用いて、ユーザのライフスタイルと、ライフスタイルに対応する電気機器の制御方式を更新することができる。よって、本実施の形態にかかる制御システムによれば、ユーザのライフスタイルに応じた電気機器の制御方式を、より適切に選択することができる。
【0102】
以上の実施の形態1から3では、制御システムの各装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、制御システムの各装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。制御システムの各装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、制御システムの各装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1から3のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、これら実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1から3では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0103】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明の範囲、本発明の適用物の範囲、および本発明の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。