特許第6972362号(P6972362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972362情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972362
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20211111BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20211111BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20211111BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   G06Q50/04
   G01S5/02 A
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-540117(P2020-540117)
(86)(22)【出願日】2019年7月9日
(86)【国際出願番号】JP2019027077
(87)【国際公開番号】WO2020044797
(87)【国際公開日】20200305
【審査請求日】2020年12月7日
(31)【優先権主張番号】特願2018-158449(P2018-158449)
(32)【優先日】2018年8月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 義浩
(72)【発明者】
【氏名】草野 文彦
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 健一
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/013899(WO,A1)
【文献】 特開2009−294732(JP,A)
【文献】 特開2002−073749(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/092291(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/033394(WO,A1)
【文献】 星 尚志 ほか,BLEとセンサを用いたカメラに映る人物の同定手法の提案,マルチメディア,分散,協調とモバイル (DICOMO2018) シンポジウム論文集, 情報処理学会シンポジウムシリー,一般社団法人情報処理学会,2018年06月27日,p. 554-561
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
G01S 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象に付帯する送信機から送信される識別情報及び受信機で受信された電波が受信電波強度として入力されるとともに、カメラの画像の画像座標及び画像取得時刻が入力されるデータ入力部と、
作業毎の参照受信電波強度が格納された基準データベースから前記画像座標に基づく推定電波強度を検索し、前記受信電波強度が前記推定電波強度の許容範囲に含まれているか否かを判断する判断部と、
前記許容範囲に前記受信電波強度が含まれていると判断された場合、前記受信電波強度、前記識別情報、前記画像座標、及び前記画像取得時刻を記録するデータ記録部と、
前記データ記録部のデータを蓄積するデータ蓄積部と、
前記データ蓄積部に蓄積された前記受信電波強度、前記識別情報、前記画像座標、及び前記画像取得時刻を用いて前記監視対象の動きを解析する解析部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記データ入力部に入力された前記識別情報が複数存在する場合、前記識別情報毎に分離して、前記受信電波強度、前記識別情報、前記画像座標、及び前記画像取得時刻を記録する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
記録数が最も多い識別情報とこれに付随する受信電波強度、画像座標、及び画像取得時刻のみを記録する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記解析部において解析された結果を表示する表示部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データ記録部で記録された前記受信電波強度、前記識別情報、前記画像座標、及び前記画像取得時刻のデータ数が閾値以下の場合、前記推定電波強度の許容範囲を広げる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記送信機から送信された特定の電波が前記受信機で受信され、前記データ入力部に入力された場合、処理を終了する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
電波が受信続行時間以内に前記受信機に受信されない場合、前記受信機の受信感度を上げる、又は前記送信機の送信電波強度を上げる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
電波を前記受信機が受信する頻度が高い場合、前記受信機の受信感度を下げる、又は前記送信機の送信電波強度を下げる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記基準データベースには、前記参照受信電波強度に加えて、前記参照受信電波強度と作業者の位置と作業者の向きとの対応関係を示す情報が格納されており、
前記データ記録部は、前記許容範囲に前記受信電波強度が含まれていると判断された場合、前記基準データベースを参照して前記受信電波強度と前記カメラの画像から特定される作業者の位置とに対応する作業者の向きを特定し、特定された作業者の向きを、前記受信電波強度、前記識別情報、前記画像座標、及び前記画像取得時刻とともに記録する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
監視対象に付帯する送信機と、
前記送信機から送信された識別情報及び電波を受信する受信機と、
前記送信機から送信される前記識別情報及び前記受信機で受信された電波が受信電波強度として入力されるとともに、カメラの画像の画像座標及び画像取得時刻が入力されるデータ入力部と、
作業毎の参照受信電波強度が格納された基準データベースから前記画像座標に基づく推定電波強度を検索し、前記受信電波強度が前記推定電波強度の許容範囲に含まれているか否かを判断する判断部と、
前記許容範囲に前記受信電波強度が含まれていると判断された場合、前記受信電波強度、前記識別情報、前記画像座標、及び前記画像取得時刻を記録するデータ記録部と、
前記データ記録部のデータを蓄積するデータ蓄積部と、
前記データ蓄積部に蓄積された前記受信電波強度、前記識別情報、前記画像座標、及び前記画像取得時刻を用いて前記監視対象の動きを解析する解析部と、
前記解析部により解析された結果を表示する表示部と、
を備えた情報処理システム。
【請求項11】
作業毎の参照受信電波強度を参照画像座標とともに取得し基準データベースを作成する工程と、
監視対象に付帯する送信機から送信された識別情報及び受信電波強度、並びにカメラから取得された画像の画像座標及び画像取得時刻を記録する工程と、
前記画像座標に基づき前記基準データベースから検索された推定電波強度と前記受信電波強度とを比較し、前記受信電波強度が前記推定電波強度の許容範囲に含まれているか否かを判断する工程と、
前記許容範囲に前記受信電波強度が含まれていると判断された場合、前記受信電波強度、前記識別情報、前記画像座標、及び前記画像取得時刻をデータとして記録する工程と、
記録された前記データを蓄積データとして保存する工程と、
前記蓄積データを用いて前記監視対象の動きを解析する工程と、
を備えた情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送受信機を用いて作業者等の動きを把握する情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
設備、人、モノ(製品、ツール等)の動きを把握するために周期的に送信機から送信された電波を受信機で受信する情報処理システムが開発されている。
【0003】
特に、生産管理において、識別情報が付与された送信機を携帯した作業者から送信された電波を作業エリアに設置された受信機によって受信し、その識別情報から作業者を特定して受信電波強度から作業内容を把握するシステムが用いられている。例えば受信電波強度により、送信機から受信機までの距離を把握することができ、作業者の移動履歴がわかる。
【0004】
例えば特許文献1において、作業者にセンサを携帯させ、作業者の位置情報を自動的に収集することにより、作業に要した時間、作業の切れ目を記録させる技術が開示されている。
【0005】
また、作業エリアのカメラ画像を確認して作業時間、作業内容を把握するシステムもある。例えば作業者の識別情報、位置情報を予め作業者が入力し、カメラ画像により作業者を監視する技術がある。さらに、作業者の顔をカメラに認識させ、予め位置情報を入力するとともに、識別情報が付与された送信機を用いて作業内容を把握する技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−294732号公報
【特許文献2】WO2017/013899号公報
【発明の概要】
【0007】
本開示は、送受信機を用いて作業者等の動きを把握する情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法に関するものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の情報処理システムでは、送信機から送信された電波が、受信機で受信されたときに減衰された受信電波強度によって作業者の距離を把握するため、精度よく作業者の位置情報を把握することが困難であった。また、複数の受信機が存在する場合、受信機は送信機から送信される電波を複数受信するため、作業者の正確な位置を把握することが困難な場合もあった。
【0009】
また、カメラの画像から顔認識して作業者を識別することも可能であるが、解像度の高いカメラが必要となる。また、たとえ解像度の高いカメラを用いても作業者が下を向いたり後ろを向いたりする場合作業者を識別することができず、画像で顔認識するためには予め作業者の顔を登録する必要もあった。
【0010】
本開示はこのような課題を解決するためになされたもので、精度よく監視対象の識別情報及び監視対象の動きが把握できる情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示にかかる情報処理装置は、監視対象に付帯する送信機から送信される識別情報及び受信機で受信された電波が受信電波強度として入力されるとともに、カメラの画像の画像座標及び画像取得時刻が入力されるデータ入力部と、作業毎の参照受信電波強度が格納された基準データベースから画像座標に基づく推定電波強度を検索し、受信電波強度が推定電波強度の許容範囲に含まれているか否かを判断する判断部と、許容範囲に受信電波強度が含まれていると判断された場合、受信電波強度、識別情報、画像座標、及び画像取得時刻を記録するデータ記録部と、データ記録部のデータを蓄積するデータ蓄積部と、データ蓄積部に蓄積された受信電波強度、識別情報、画像座標、及び画像取得時刻を用いて監視対象の動きを解析する解析部とを備えたものである。
【0012】
また、本開示にかかる情報処理システムは、監視対象に付帯する送信機と、送信機から送信された識別情報及び電波を受信する受信機と、監視対象に付帯する送信機から送信される識別情報及び受信機で受信された電波が受信電波強度として入力されるとともに、カメラの画像の画像座標及び画像取得時刻が入力されるデータ入力部と、作業毎の参照受信電波強度が格納された基準データベースから画像座標に基づく推定電波強度を検索し、受信電波強度が推定電波強度の許容範囲に含まれているか否かを判断する判断部と、許容範囲に受信電波強度が含まれていると判断された場合、受信電波強度、識別情報、画像座標、及び画像取得時刻を記録するデータ記録部と、データ記録部のデータを蓄積するデータ蓄積部と、データ蓄積部に蓄積された受信電波強度、識別情報、画像座標、及び画像取得時刻を用いて監視対象の動きを解析する解析部と、解析部により解析された結果を表示する表示部とを備えたものである。
【0013】
また、本開示にかかる情報処理方法は、作業毎の参照受信電波強度を参照画像座標とともに取得し基準データベースを作成する工程と、監視対象に付帯する送信機から送信された識別情報及び受信電波強度、並びにカメラから取得された画像の画像座標及び画像取得時刻を記録する工程と、画像座標に基づき基準データベースから検索された推定電波強度と受信電波強度とを比較し、受信電波強度が推定電波強度の許容範囲に含まれているか否かを判断する工程と、許容範囲に含まれていると判断された場合、受信電波強度、識別情報、画像座標、及び画像取得時刻をデータとして記録する工程と、記録されたデータを蓄積データとして保存する工程と、蓄積データを用いて監視対象の動きを解析する工程とを備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、受信機で受信された受信電波強度が、カメラの画像の画像座標に基づき、参照データとして作成された基準データベースから推定される推定電波強度の許容範囲に該当すれば、この受信電波強度と関連する画像座標、画像取得時刻、及び識別情報を蓄積し、蓄積されたこれらのデータを用いることにより、カメラの解像度、送信機を携帯した人又はモノの状態によらず精度よく監視対象の動きを把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の実施の形態1にかかる情報処理システムを示す概略構成図である。
図2】本開示の実施の形態1にかかる情報処理装置を示す概略構成図である。
図3】本開示の実施の形態1にかかる処理手順の概略を示すフローチャートである。
図4】本開示の実施の形態2にかかる情報処理システムを示す概略構成図である。
図5】本開示の実施の形態3にかかる情報処理システムの表示例の概略図である。
図6】本開示の実施の形態4にかかる情報処理工程を示すフローチャートである。
図7】本開示の実施の形態4にかかる送受信機間の距離と受信電波強度との関係を説明する図である。
図8】本開示の実施の形態4にかかる情報処理工程を示すフローチャートである。
図9】本開示の実施の形態4にかかる基準データベースの作成工程を示すフローチャートである。
図10】本開示の実施の形態4にかかる情報処理工程を示すフローチャートである。
図11】本開示の実施の形態5にかかる情報処理工程を示すフローチャートである。
図12】本開示の実施の形態5にかかる他の情報処理工程を示すフローチャートである。
図13】本開示の実施の形態5にかかる他の情報処理工程を示すフローチャートである。
図14】本開示の実施の形態5にかかる他の情報処理工程を示すフローチャートである。
図15】本開示の実施の形態5にかかる他の情報処理工程を示すフローチャートである。
図16】作業者が受信機およびカメラとは反対の方向を向いた状態の生産現場を鉛直上方から見た図である。
図17】作業者が受信機およびカメラの方向を向いた状態の生産現場を鉛直上方から見た図である。
図18】本開示の実施の形態6にかかる処理手順の概略を示すフローチャートである。
図19】情報処理装置の一部の機能を実行するハードウエア構成の例を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図を用いて、本開示の人、モノ等の監視対象を監視する情報処理システムについて説明する。図1は、本開示の実施の形態1にかかる情報処理システムを示す概略構成図であり、この情報処理システムを用いた作業者の作業内容を監視する例を示す。状況に応じ、作業者のみでなく、製品、移動台車の動き、又はこれらの一部を把握することも可能である。
【0017】
図1に示す情報処理システムには、生産現場を俯瞰するカメラ1が設置され、カメラ1により画像及び画像取得時刻が取得され、画像の画像座標は位置情報となる。
【0018】
また、情報処理システムには、受信機10、11が設置されており、これらは監視対象である作業者A、B、Cが携帯、すなわち付帯している送信機101〜103から送信される電波を受信電波強度として受信する。この受信電波強度も、作業者A〜Cの位置情報となる。送信機101〜103は、電波を送信するとともに、各々に割り振られた識別情報も送信する。
【0019】
そして、カメラ1の画像における複数の監視枠201、202、203から1つを選択し、例えば選択された監視枠201の中の監視対象の画像座標を位置情報とする。そして、この位置情報に関連する受信電波強度を見つけ出し、位置情報を確定させるとともに、電波を送信した送信機101の識別情報から作業者Aを確定させる。
【0020】
図2に情報処理装置を示す概略構成図を、図3に処理手順の概略を示すフローチャートを示す。
【0021】
情報処理装置3には基準データベース2220が設けられる。例えば作業者Rが作業者A〜Cの行う作業について参照のためそれぞれ一通り実施し、作業者Rが携帯する送信機106の電波を参照受信電波強度として受信機10、11が受信して、これらとカメラ1で取得した画像の参照画像座標を関連付けた基準データが基準データベース2220に格納される。基準データベース2220には、予め取得された作業に関するカメラの参照画像座標、参照電波受信時刻が記録され、参照受信電波強度が保存される。
【0022】
例えば、監視対象である作業者Aが作業を開始すると、作業者Aが携帯する送信機101から識別情報及び送信される電波を受信電波強度として受信機10、11が受信する(ST1001)。そして、受信機10、11が受信した電波を受信電波強度として電波強度データベース2210に記録する(ST1002)。電波は作業者Aが携帯する送信機101から送信されるため、受信機10、11で受信された識別情報により、作業者はAと判断される。
【0023】
一方、選択された監視枠201には作業者Aが映し出され、カメラから画像を取得し(ST1003)、画像の画像座標及び画像取得時刻を画像時刻データベース2200に記録する(ST1004)。
【0024】
上述の通り、作業毎の参照受信電波強度を格納した基準データベースが作成されている(ST1005)ので、作業者Aのカメラの画像の画像座標に基づき基準データベース2220に格納された参照受信電波強度から推定電波強度を検索する(ST1006)。
【0025】
作業者Aの受信電波強度が推定電波強度の許容範囲内か否か順次判断され、許容範囲内であれば作業者Aのカメラ1で取得された画像座標と画像取得時刻が付与されて、監視対象である作業者Aの動き、すなわち作業内容とされ、データ群記録データベース2230に記録する(ST1007)。データ群記録データベース2230はバッファとして都度書き換えられる。そして、この動作を繰り返し、データ群記録データベース2230に記録されたデータは、蓄積データとしてデータ蓄積データベース2240に蓄積される。作業者B、Cについても同様に作業内容をデータとして保存できる。
【0026】
これらの動作は、図2に示す情報処理装置3のデータ入力部31、判断部32、データ記録部33、データ蓄積部34、基準データ作成部35、解析部36で実施される。
【0027】
すなわち、情報処理装置3は、監視対象に付帯する送信機101〜103から送信される識別情報及び受信機10、11で受信された電波が受信電波強度として入力されるとともに、カメラ1の画像の画像座標及び画像取得時刻が入力されるデータ入力部31と、作業毎の参照受信電波強度が格納された基準データベース2220から画像座標に基づく推定電波強度を検索し、受信電波強度が推定電波強度の許容範囲に含まれているか否かを判断する判断部32と、許容範囲に受信電波強度が含まれていると判断された場合、受信電波強度、識別情報、画像座標、及び画像取得時刻を記録するデータ記録部33と、データ記録部33のデータを蓄積するデータ蓄積部34と、データ蓄積部34に蓄積された受信電波強度、識別情報、画像座標、及び画像取得時刻を用いて監視対象の動きを解析する解析部36を備える。さらに、基準データベース2220を作成する基準データ作成部35を備える。
【0028】
解析部36で解析された結果は表示部37に表示され、監視対象の動きを把握できる。
また、生産現場で用いる移動台車104に送信機を装着、すなわち付帯させれば同様に移動履歴を作業内容として把握できる。さらに、生産される製品105についても同様に移動履歴を作業内容として把握できる。
【0029】
1つの監視枠から複数の識別情報が取得された場合は、識別情報毎に分離して、受信電波強度、識別情報、画像座標、及び画像取得時刻を記録すれば、複数の監視対象の動きが把握できる。また、登場回数が最も多い、すなわち記録数の最も多い識別情報を監視対象と判断し、その識別情報とこれに付随する受信電波強度、画像座標、及び画像取得時刻のみを記録してもよい。順位をつけて上位のみを記録してもよい。監視対象を絞ることにより、データ容量を小さくできる。
【0030】
選択された監視対象のデータは監視対象データベース(図示せず)に記録する。
このように、本実施の形態によれば、受信機で受信された受信電波強度が、カメラの画像の画像座標に基づき、参照データとして作成された基準データベースから推定される推定電波強度の許容範囲に該当すれば、この受信電波強度と関連する画像座標、画像取得時刻、及び識別情報を蓄積し、蓄積されたこれらのデータを用いることにより、カメラの解像度、送信機を携帯した人又はモノの状態によらず精度よく監視対象の動きを把握できる。
【0031】
実施の形態2.
カメラ1の画像において作業者の位置情報を特定する具体的な処理例を、図を用いて説明する。図4は、本開示の実施の形態2にかかる情報処理システムを示す概略構成図であり、作業エリア6内におけるカメラ1の画像を示す。
【0032】
カメラ1により取得された作業エリア6の画像7において、送信機を携帯する複数の作業者が作業を行っている場合(図4(a))、画像7から監視対象である作業者が特定される(図4(b))。
【0033】
特定された作業者のうち、監視対象として選択された作業者が、送信機を携帯する場合、送信機から送信され受信機により受信された識別情報から例えば作業者はAと判断できる。受信機10、11は選択された作業者が携帯する送信機から送信された電波を受信電波強度として受信し、時刻を付与して電波強度データとする。また、選択された監視対象がどの送信機を携帯しているかを、送信機から送信される識別情報で判別する。識別情報が付与された電波強度データは電波強度データベース2210に格納される。
【0034】
選択された作業者の受信電波強度と基準データベース2220から得られた推定電波強度とが比較され、受信電波強度が推定電波強度の許容範囲に含まれている場合、受信電波強度はデータ群記録データベース2230に記録される。
【0035】
作業者が誰であるかは、識別情報で識別でき、位置情報はカメラ1の画像7の画像座標及び画像取得時刻により把握できる。
【0036】
また、画像7において特定された他の作業者についても、同様に選択して処理を行うことができる。監視対象が混在する場合は、各々の識別情報で分離され、登場回数が多い作業者を監視対象と判断し、監視対象データベース(図示せず)に記録する。
【0037】
データ群記録データベース2230には選択された作業者の受信電波強度が格納されているため、受信電波強度を位置情報としてもよい。
【0038】
また、画像7に選択された作業者が、送信機を携帯しない場合は、受信機がデータを取得できないことで、不携帯と判別できる。
【0039】
また、図4において、移動台車104と製品105の動きも同様に把握できる。
このように、本実施の形態によれば、参照データとして作成した基準データベースからカメラの画像の画像座標に推定される推定電波強度と、受信機で受信された受信電波強度とを比較して許容範囲に該当する受信電波強度から関連する画像座標、画像取得時刻、及び識別情報を蓄積することにより、これらのデータを用いて、カメラの解像度、送信機を携帯した人又はモノの状態によらず精度よく監視対象の動きを把握できる。
【0040】
実施の形態3.
情報処理装置3で取得されたデータを解析して表示する例を示す。図5は、本開示の実施の形態3にかかる情報処理システムの表示例の概略図である。
【0041】
例えば、図5(a)は、データ蓄積データベース2240に格納されたデータを用いて特定の作業において作業日と作業時間を作業者毎に表示したものであり、作業者毎の作業時間が把握できる。また図5(b)は、作業1〜3の平均作業時間を表示したものである。作業に要する時間を知ることができ、作業改善に役立てることができる。
【0042】
また、監視対象の移動履歴から作業内容の詳細を解析することもできる。例えば、溶接作業において、溶接装置の電源のON、OFFを行う動作を把握できる。
【0043】
実施の形態4.
次に、本開示の実施の形態1〜3を具体的に実施する工程について説明する。
【0044】
図6は、本開示の実施の形態4にかかる情報処理工程を示すフローチャートである。受信機10、11が送信機101〜103から送信される電波を受信電波強度として受信し、送信機101〜103の識別情報及び画像取得時刻を記録し、電波強度データベース2210とする工程を示したものである。
【0045】
図7を用いて受信機10、11と送信機101、103の間の距離と受信電波強度との関係を説明する。
【0046】
例えば図7(a)に示すように作業者Aから近い受信機10で受信する送信機101からの受信電波強度(グラフ中の電波強度)は、作業者から遠い受信機11で受信する受信電波強度よりも大きい(図7(b))。
【0047】
また、図7(b)における受信電波強度は、受信機10、11と送信機101、103の間隔が短い程大きくなり、間隔が長い程小さくなるため、受信電波強度は送信機101、103から受信機10、11の距離に相当する。
【0048】
図8は、本開示の実施の形態4にかかる情報処理工程を示すフローチャートである。ST1201では、カメラ1により取得され、格納された画像時刻データベース2200から、画像データ、すなわちカメラの画像の画像座標、及び時刻データ、すなわち画像取得時刻を取得する。そして、ST1202にて画像データから対象物を特定する。
【0049】
ST1203では、画像データから特定された対象物から、監視対象物(監視対象)を選択する。そして、ST1204では、画像データにおける監視対象物の位置情報と基準データベース2220から、推定電波強度を求める。
【0050】
ここで、基準データベース2220の作成方法について図9を用いて説明する。
例えば作業者Rが作業者A〜Cの行う作業についてそれぞれ一通り実施し、作業者Rが携帯する送信機106から送信された識別情報、参照受信電波強度が受信機10、11により受信されて、これらと画像及び時刻を関連付けた基準データが基準データベース2220に格納される。
【0051】
ST2201ではカメラ1から取得された画像時刻データベース2200から画像データと時刻データとを取得する。そして、ST2202にて画像データから作業者Rを特定し、ST2203では作業者Rの位置情報である座標を画像データから取得する。
【0052】
ST2204では電波強度データベース2210から時刻データ付近でかつ予め設定した送信機番号(ここでは作業者Rの携帯する送信機106の送信機番号)と一致する送信機から送信されたデータ群を取得する。そして、ST2205ではデータ群から代表データを取得する。
【0053】
ST2206では座標と代表データを基準データベース2220へ記録する。そして、ST2207では画像時刻データベース2200はすべて処理したかどうかを確認し、「いいえ」の場合は、ST2201へ戻る。ST2207が「はい」の場合は、処理を終了する。
【0054】
このように、作成した基準データベース2220には、作業の基準となる受信電波強度、画像の座標、及び時刻が関連付けられて格納される。
【0055】
次に、図8のST1205では、電波強度データベース2210から時刻データ付近のデータ群を取得し、ST1207でデータ群からデータを一つ選択する。2回目以降の情報処理が行われる場合、データ群記録データベース2230には、他のデータが残されているため、ST1205の後、ST1206でデータ群記録データベース2230のデータをすべて消去する。
【0056】
ST1208で、データの受信電波強度が、予め定めた「推定電波強度−α」と「推定電波強度+β」の間(許容範囲)に入っているか否かを判定する。ここで、αとβは予め定めた閾値である。
【0057】
ST1208が「はい」の場合、ST1209でデータの識別情報をデータ群記録データベース2230に記録する。ST1209の処理が終わった後、ST1210でデータ群のデータをすべて処理したかを判定する。また、ST1208が「いいえ」の場合、ST1209の処理をスキップして、ST1210でデータ群のデータをすべて処理したかを判定する。
【0058】
ST1210が「いいえ」の場合、ST1207へ戻り、処理を繰り返す。ST1210が「はい」の場合、ST1211で、データ群記録データベース2230に記録されたデータ数が閾値γ以上かを判定する。ここで、γは予め定めた閾値である。
【0059】
ST1211が「いいえ」の場合、ST1215で閾値αと閾値βを大きくし、「推定電波強度−α」と「推定電波強度+β」の間に入るデータの数を多くして、ST1206へ戻り再度処理を実施する。ST1211が「はい」の場合、ST1212で、データ群記録データベース2230に記録された識別情報のうち最も登場回数の多い、すなわち記録された回数の多い識別情報を選択し、監視対象物として決定する。監視対象物データベースには、時刻データ、監視対象物、及び送信機識別情報を記録する。この操作によって、監視対象物ではない、偶然通り過ぎた作業者等を除外することができる。
【0060】
ST1213で、画像データ内の情報処理を行わなければならない対象物はすべて処理したかを判定する。ST1213が「はい」の場合、処理を終了する。ST1213が「いいえ」の場合、ST1203に戻り、再度処理を行う。
【0061】
ここで、図8で示した処理は、ある特定の時刻における処理を示しており、他の時刻においても同様の処理を実施する。また、図8で示した処理では、エラー発生時の処理を省略している。実際には、発生しうるエラー、例えば、データベースが書き込めない場合、閾値αとβを大きくしても、データ数が閾値γを超えない場合等に対して、エラー処理を行う必要がある。
【0062】
図10は、本開示の実施の形態4にかかる情報処理工程を示すフローチャートである。図10において、図8と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。
【0063】
図8とは、ST1211で「いいえ」と判断した場合の構成が相違している。
ST1211で「いいえ」と判断した場合、ST1216で閾値α、βは、閾値αmax、βmax以下か、すなわち推定電波強度の許容範囲が最大値か否かを判断する。ここで、αmax及びβmaxは予め定めた閾値である。ST1216が「はい」の場合は、実施の形態1と同じく、ST1215で閾値αと閾値βを大きくし、処理を続行する。ST1216が「いいえ」の場合、すなわち推定電波強度の許容範囲が最大値に達した場合は、ST1217で監視対象物データベースに時刻データと監視対象物とともに「電波送信識別情報なし」を記録し、監視対象が存在しないと判断する。
【0064】
次に、ST1213で画像7の情報処理を行わなければならない対象物はすべて処理したかを判定し、実施の形態1と同様に処理を実施する。
【0065】
上述の処理により、受信機で受信された受信電波強度が、カメラの画像の画像座標に基づき、参照データとして作成された基準データベースから推定される推定電波強度の許容範囲に該当すれば、この受信電波強度と関連する画像座標、画像取得時刻、及び識別情報を蓄積し、蓄積されたこれらのデータを用いることにより、カメラの解像度、送信機を携帯した人又はモノの状態によらず精度よく監視対象の動きを把握できる。
【0066】
また、ST1202にて特定した作業者やモノのうち、送信機を保持しない、もしくは近くに存在しない作業者やモノを判別することが可能となる。その結果、例えば不審者を判別して警告を表示する防犯機能、作業エリアにいることが想定されていない人を判別して定常外作業が発生していることを判断し表示する機能を持たせることができる。
【0067】
実施の形態5.
本開示の情報処理システムにかかるその他の処理工程を説明する。
【0068】
図11は、本開示の実施の形態5にかかる情報処理工程を示すフローチャートである。図11に示す工程において、受信機10、11が送信機101〜103の電波を受信電波強度として受信した後、ST1106で電波強度(受信電波強度)の平均値、識別情報、及び時刻を記録し、電波強度データベース2210とする。図11において、図6と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。
【0069】
ここで、すべての電波強度データを記録するのではなく、電波強度の平均値、標準偏差値、分散値等を記録してもよい。これにより、電波強度データベース2210の容量を小さくできる。
【0070】
図12は、本開示の実施の形態5にかかる他の情報処理工程を示すフローチャートである。図12において、受信機10、11に送信機101〜103の電波が受信電波強度として受信され、電波強度(受信電波強度)の平均値、識別情報、及び時刻が記録されて電波強度データベース2210とされた後、ST1107で受信機10、11に特定の電波が受信されたか否かを判断する。図12において、図6と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。図6とは、特定の送信機を利用する構成が相違している。
【0071】
ST1107で特定の電波が受信されたかどうかを判断する。ST1107が「いいえ」の場合はST1101へ戻り、再び送信機101〜103からの電波を待機し、「はい」の場合は処理を終了する。ST1107は、システム終了かどうかを判断するST1104と併用してもよい。
【0072】
これにより、送信機から特定の電波が送信された場合、例えば処理終了と判断され、データ収集を終了させることが可能となる。
【0073】
図13は、本開示の実施の形態5にかかる他の情報処理工程を示すフローチャートである。図13において、受信機10、11に送信機101〜103の電波を受信電波強度として受信されるが、一定時間電波を受信しない場合、すなわち受信続行時間以内に電波が受信されなかった場合は受信感度を上げ、受信間隔が短すぎるため受信機10、11が電波を受信する頻度が高い場合は受信感度を下げる。図13において、図6と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。
【0074】
ST1108が「いいえ」の場合、ST1109でδ時間、送信機101〜103から電波の受信がないかどうかを判断する。ここで、δは予め定めた閾値である。ST1108が「はい」の場合、ST1111へ進む。
【0075】
ST1109が「はい」の場合は、ST1110で受信機10、11の受信感度を上げ、ST1101へ戻る。ST1109が「いいえ」の場合、ST1108へ戻る。
【0076】
ST1111では、前回の受信との間隔がδ2以下か判断される。ここで、δ2は事前に設定した閾値である。ST1111が「はい」の場合、ST1112で受信機の受信感度を下げ、ST1103へ進む。ST1111が「いいえ」の場合、ST1103へ進む。また、電波強度データベース2210には、受信感度を補正した受信電波強度を記録する。
【0077】
これにより、受信機10、11の受信電波強度を必要に応じて自動的に変動させることが可能となり、受信機の省電力化とデータ収集成功率を向上できる。
【0078】
図14は、本開示の実施の形態5にかかる他の情報処理工程を示すフローチャートである。図14において、送信機101〜103の送信電波強度を変化させる。
【0079】
図14において、図6と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。
【0080】
受信機10、11に一定の時間電波が受信されなかった場合は送信電波強度を上げ、受信間隔が短い場合は送信電波強度を下げ、受信電波強度を調整してもよい。
【0081】
ST1109が「はい」の場合は、ST1113で受信機10、11の送信機101〜103の送信電波強度を上げ、ST1101へ戻る。ST1109が「いいえ」の場合、ST1108へ戻る。
【0082】
ST1111では、前回の受信との間隔がδ2以下か判断される。ST1111が「はい」の場合、ST1114で送信機101〜103の送信電波強度を下げ、ST1103へ進む。ST1111が「いいえ」の場合、ST1103へ進む。また、電波強度データベース2210には、送信電波強度の変化を補正した受信電波強度を記録する。
【0083】
これにより、送信機101〜103の送信電波強度を必要に応じて自動的に変動させることが可能となり、送信機101〜103の省電力化とデータ収集成功率を向上できる。
【0084】
図15は、本開示の実施の形態5にかかる他の情報処理工程を示すフローチャートである。図15において、図8と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。図8とは、ST1213にて「はい」と判断した後、基準データベース2220のデータを補正する(ST1221)構成が相違している。
【0085】
ST1213までの処理において判断された送信機101〜103の位置情報に基づき、基準データベース2220の内容を修正する。例えば、データ群記録データベース2230に保存されたデータのうち、ST1212で選択したデータの、例えば平均値を画像内の位置における送信機101〜103の推定電波強度であるとし、基準データベース2220を修正する。
【0086】
これにより、電波環境が変化するような環境においても、精度よく作業内容を把握できる。
【0087】
なお、実施の形態1〜5では、生産現場に設置したカメラ1、受信機10、11それぞれから時刻データを取得した例を示したが、カメラ1と受信機10、11に時刻を同期させる機能を持たせてもよい。時刻を同期させる機能は、インターネットを経由して実施する他、例えば、情報処理装置3等情報通信ネットワークに接続されている場所に時刻同期サーバを用意し、時刻の同期を行ってもよい。
【0088】
この構成にすることで、受信機10、11とカメラ1の時刻がずれることがなくなり、精度よく作業内容を把握できる。
【0089】
また、送信機101〜103のかわりに例えば永久磁石若しくは電磁石等の磁石、受信機10、11のかわりに例えばホールセンサ等の磁気検出器を利用してもよい。この場合の送信機の役割は磁石が、受信機の役割は磁気検出器が果たす。
【0090】
例えば、既に磁石が装備されている例えばリニアモータにおける監視対象の位置情報を把握できる。
【0091】
また、カメラ1から取得される画像7は、時刻を付与された複数の静止画像で処理できるが、連続の動画を用いてもよい。動画にすることで、ST1202において対象物を特定する際に、前後の差分から動きのある監視対象を抽出することが可能となる。さらに、ST1202において、直前の動画フレームの対象物が認識されていたかどうか、次のフレームの対象物が認識されているかどうかに基づき、現在のフレームの認識情報を修正することができる。
【0092】
すなわち、直前のフレームで監視対象が認識されていれば、現在のフレームにも存在する可能性が高く、この情報に基づいて検出感度閾値を変更する等の処理が可能となる。画像が時系列データとして保存されていれば、前後の差分から動きのある監視対象を抽出することができる。
【0093】
これにより、ST1202における識別精度を向上することが可能となる。
また、ST1204において基準データベース2220から推定電波強度を利用する例を示したが、受信電波強度の分散、平均値、一定時間あたりのデータ数等、データに対して数式処理を実施した結果をデータとして用意し、ST1204でこれらのデータを利用してもよい。
【0094】
例えば、受信機10、11と送信機101〜103との間の電波環境に、電波受信強度が変化する特定の場所がある場合は、受信電波強度の分散を利用するのが好ましい。
【0095】
また、受信電波強度が小さくなると一定時間あたりのデータ数が減る傾向もある。これらの傾向をST1204で総合的に判断し判定してもよい。判断の方法として、閾値を設定する方法、事前に現場での試験や数値演算により類似する傾向を学習済みデータベースとして蓄積し、これを利用する方法等がある。
【0096】
これにより、電波環境が不安定な環境においても、精度よく作業内容を把握できる。
また、カメラ1は、例えば壁、天井、柱に設置すればよい。監視対象とする作業エリアを撮影できれば、作業エリア外でもよい。
【0097】
また、図1及び図4(b)では、説明の便宜上、特定した作業者を枠で囲って表示したが、実際に枠で囲う必要はなく、情報処理装置3の中で、どのエリアに特定した作業者が存在するのかをデータとして保持すればよい。
【0098】
また、各種データベースは、情報処理装置3に直接接続され配置されてもよく、情報通信ネットワークを介して接続させ、他の場所にあってもよい。
【0099】
また、移動台車104、製品105は例として表示しているものであり、本開示における監視対象を例えば、クレーン、フォークリフト、自動搬送車としてもよい。
【0100】
また、情報処理装置3は作業エリア外に設置してもよい。
また、図5に監視対象の動きを解析した結果を表示機4に表示する例を示したが、表示機4はディスプレイでもよく、プリンタやプロジェクタ等でもよい。表示機4は複数存在してもよい。
【0101】
また、情報処理装置3は、カメラ1及び受信機10、11を作業エリア6に設置し、情報処理装置3にデータベースを有する例を示したが、ネットワークを介して外部のサーバとデータのやり取りを行ってもよい。カメラ1に情報処理装置3の機能の全部もしくは一部をもたせてもよい。
【0102】
また、本開示の情報処理装置、情報処理システムを生産現場で用いる例を示したが、生産現場に限らず、オフィス、ビル、学校、公園等、他の場所(作業エリア)、状況で用いてもよい。
【0103】
実施の形態6.
本開示の情報処理システムにおいて、作業者の向きを把握することも可能である。
【0104】
図16は、作業者Aが受信機10およびカメラ1とは反対の方向を向いた状態の生産現場を鉛直上方から見た図である。図17は、作業者Aが受信機10およびカメラ1の方向を向いた状態の生産現場を鉛直上方から見た図である。
【0105】
図16および図17には、作業者Aの左胸あたりに送信機101が付帯されている。図16に示す状態では受信機10と送信機101の間に作業者Aが介在しているが、図17に示す状態では受信機10と送信機101の間に作業者Aが介在していない。
【0106】
一般に、人は電波を通しにくい性質があるため、図17に示すように受信機10と送信機101の間に作業者Aが介在していない場合には、図16に示すように受信機10と送信機101の間に作業者Aが介在している場合に比べて、受信機10で受信する電波強度が強くなる。この特性を利用することで、カメラ1により作業者Aの位置を特定し、その位置における電波強度から作業者の向きを特定することが可能となる。
【0107】
図18は、本開示の実施の形態6にかかる処理手順の概略を示すフローチャートである。図18のフローチャートは、上述の図3のST1005およびST1007の処理を、それぞれST2005およびST2007に変更したものである。その他の処理(上述の図3に示した処理と同じ番号を付している処理)については、既に説明したため詳細な説明はここでは省略する。
【0108】
情報処理装置3(基準データ作成部35)は、作業毎の参照電波強度とその時の作業者の向き情報とを格納した基準データベースを作成する(ST2005)。なお、作業毎の参照電波強度には、作業者の作業場所(位置)が対応付けられる。したがって、基準データベースは、参照受信電波強度と作業者の位置と作業者の向きとの対応関係を含む情報である。
【0109】
さらに、情報処理装置3(データ記録部33)は、電波強度データベースの受信電波強度が推定電波強度の許容範囲内か否かを判断し、許容範囲内であれば、受信電波強度、識別状況、画像座標、画像取得時刻及び作業者の向き情報をデータ群記録データベース2230に記録する(ST2007)。
【0110】
この際、情報処理装置3(データ記録部33)は、たとえば作業者の向き情報を以下のように特定する。データ記録部33は、受信電波強度が許容範囲に含まれていると判断された場合、まず、カメラ1の画像座標から作業者の位置が特定する。そして、データ記録部33は、基準データベースを参照して、受信電波強度と特定される作業者の位置とに対応する作業者の向きを特定する。そして、データ記録部33は、特定された作業者の向きを示す情報を、受信電波強度、識別情報、画像座標、及び画像取得時刻とともにデータ群記録データベース2230に記録する。
【0111】
これにより、作業者の向きがカメラ1によって特定が困難な場合でも、受信電波強度から作業者の向きを特定することが可能となる。
【0112】
(ハードウエア構成)
図19は、上述の実施の形態1〜6に係る情報処理装置3の一部の機能を実行するハードウエア構成の例を表わす図である。図19に示すように、情報処理装置3は、プロセッサ1100と、プロセッサ1100とバス1300で接続されたメモリ1200とを備える。
【0113】
情報処理装置3の構成要素のうちの一部の構成要素(たとえば、データ入力部31、判断部32、データ記録部33、データ蓄積部34、基準データ作成部35、解析部36)の機能が、CPUなどのプロセッサ1110がメモリ1200に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記構成要素の機能を実行するものとしてもよい。また、システムLSI等の処理回路により、上記構成要素の機能が実現されるものとしてもよい。また、複数の処理回路が連携して上記構成要素の機能を実行するものとしてもよい。
【0114】
なお、本開示は、開示の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせることや、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【0115】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0116】
1 カメラ、3 情報処理装置、4 表示機、6 作業エリア、7 画像、10、11 受信機、31 データ入力部、32 判断部、33 データ記録部、34 データ蓄積部、35 基準データ作成部、36 解析部、37 表示部、101、102、103、106 送信機、104 移動台車、105 製品、201、202、203 監視枠、2200 画像時刻データベース、2210 電波強度データベース、2220 基準データベース、2230 データ群記録データベース、2240 データ蓄積データベース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19