(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記地上システムは、前記個体識別番号に関連付けて、当該個体識別番号に対応する機器の種別を示す型式と、当該個体識別番号の機器が製造された際に使用された部品の生産履歴とを含む製造情報、および、前記型式に関連付けて、当該型式の機器に使用されている部品の種別の情報を含む設計情報を管理する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の列車機器管理システム。
前記列車統合管理装置は、機器の稼働補助情報として、列車重量、乗客率、車内温度および外気温の情報のうち少なくとも1つを、前記通信装置を介して前記地上システムに更に送信する、
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか1つに記載の情報収集装置。
前記列車機器管理部は、前記個体識別番号に関連付けて、当該個体識別番号に対応する機器の種別を示す型式と、当該個体識別番号の機器が製造された際に使用された部品の生産履歴とを含む製造情報、および、前記型式に関連付けて、当該型式の機器に使用されている部品の種別の情報を含む設計情報を管理する、
ことを特徴とする請求項15または16に記載の地上システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態にかかる列車機器管理システム、情報収集装置、地上システムおよび列車機器管理方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態にかかる列車機器管理システム3の構成例を示す図である。列車機器管理システム3は、情報収集装置1と、地上システム2と、を備える。情報収集装置1は、列車に搭載され、列車に取り付けられている車載機器である機器を識別する情報である個体識別番号、および機器の動作状態を示す情報である稼働情報を収集する。個体識別番号とは、例えば、機器の製造番号である。稼働情報とは、例えば、機器の制御信号の記録、機器からの出力値などであるが、これらに限定されない。稼働情報は、機器で演算された中間演算値など、機器の動作を解析する際に利用されるものであれば、様々な情報を対象にすることが可能である。情報収集装置1は、各機器について、個体識別番号、稼働情報、各機器が取り付けられている鉄道車両を識別する情報である号車番号、および列車を識別する情報である編成番号を地上システム2へ送信する。なお、以降の説明では、鉄道車両を単に車両と称する。地上システム2は、情報収集装置1から、個体識別番号、稼働情報、号車番号、および編成番号を取得する。地上システム2は、各機器の個体識別番号に関連付けて、編成番号、号車番号、および稼働情報を管理する。なお、
図1は、1つの地上システム2に対して1つの情報収集装置1が接続しているが、一例であり、地上システム2は、複数の情報収集装置1と接続可能である。
【0012】
情報収集装置1の構成について説明する。
図2は、本実施の形態に係る情報収集装置1の構成例を示すブロック図である。情報収集装置1は、機器箱11〜16の各々に含まれる複数の車両情報収集部110と、列車統合管理装置150と、通信装置160と、を備える。
図2では記載を省略しているが、機器箱11〜16は、内部に含まれる機器の種別、個数などは異なるが、同様の構成の車両情報収集部110を備えているものとする。
【0013】
機器箱11〜16は、列車の各車両に取り付けられている。
図3は、本実施の形態に係る列車4に取り付けられている機器箱11〜16の取り付け例を示す図である。
図3では、列車4を構成する各車両5〜7の床下部分に、2つの機器箱が取り付けられている例を示す。車両5〜7によって1つの列車が構成されている。なお、列車4を構成する車両数は3両に限定されない。
図2において、機器箱11には、車両情報収集部110と、機器121〜125と、各機器に貼付された識別タグ131〜135と、が含まれる。車両情報収集部110は、読み取り部111と、状態監視部112と、を備える。
【0014】
機器121〜125は、車両に取り付けられた車載機器である。機器121〜125は、各々が1つの独立した機器であってもよいし、1つの機器を構成する部品などであってもよい。例えば、機器121〜125は、ブレーキ、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)、保安装置、SIV(Static InVerter)などである。または、機器121〜125によって構成される機器が、ブレーキ、VVVF、保安装置、SIVなどの場合、機器121〜125は、部品、電子基板、モジュールなどであってもよい。
【0015】
識別タグ131〜135の各々には、当該識別タグが貼付されている機器を特定する個体識別番号が記憶されている。識別タグ131〜135は、例えば、無線タグである。無線タグは、例えば、RFIDタグである。なお、識別タグ131〜135は、無線タグに限定されず、機器箱11において1つの読み取り部111で読み取り可能であれば、2次元コードなどを用いてもよい。識別タグ131〜135は、例えば、機器121〜125の製造時に当該機器の個体識別番号すなわち製造番号が記憶され、機器121〜125に貼付される。なお、
図2では、実際の機器121〜125の大きさに対して識別タグ131〜135の大きさが大きく示されているが、実際には、機器121〜125の大きさに対して識別タグ131〜135の大きさは十分に小さいものである。
【0016】
読み取り部111は、機器121〜125に貼付されている識別タグ131〜135から、当該機器の個体識別番号を読み取る。読み取り部111は、識別タグ131〜135が無線タグの場合、電波を広範囲に照射することによって、一度に複数の識別タグ131〜135から機器121〜125の個体識別番号を読み取ることが可能である。読み取り部111は、読み取った個体識別番号を状態監視部112へ出力する。
【0017】
状態監視部112は、機器121〜125と通信を行う機能を有し、機器121〜125が動作する状況を把握するためのデータ、すなわち機器121〜125の動作状態を示す第1の稼働情報を収集する。状態監視部112は、車両に取り付けられる際に車両の号車番号が入力され、号車番号の情報を保持する。なお、保守、保全などの際、列車4の編成において車両が切り離され、新たな編成の列車が構成された場合、その都度、状態監視部112は、新たな号車番号が入力され、号車番号の情報を保持する。
【0018】
状態監視部112は、車両の電源と連動して動作する。車両の電源がONされると車両から状態監視部112に給電され、状態監視部112は、読み取り部111に給電する。読み取り部111は、状態監視部112から給電されると、機器121〜125に貼付された識別タグ131〜135から機器121〜125の個体識別番号を読み取る。保守、保全などの作業の際に機器121〜125が交換された場合、作業後に車両の電源がONされると、読み取り部111は、状態監視部112から給電され、機器121〜125に貼付された識別タグ131〜135から機器121〜125の個体識別番号を読み取る。
【0019】
状態監視部112は、無線通信機能を有し、列車統合管理装置150が設置されている先頭車両側で隣接する状態監視部112との間で通信を行う。状態監視部112は、読み取り部111から収集した個体識別番号、機器121〜125から収集した第1の稼働情報、および保持している号車番号を、先頭車両側で隣接する状態監視部112へ送信する。
図2および
図3の例では、機器箱15,16が取り付けられている車両7を先頭車両とし、機器箱11から機器箱16の方へ情報が送信されていくことになる。
【0020】
列車統合管理装置150が設置されている先頭車両側と反対側で隣接する状態監視部112から個体識別番号、第1の稼働情報、および号車番号を受信した状態監視部112は、列車統合管理装置150が設置されている先頭車両側で隣接する状態監視部112との間で通信を行う。状態監視部112は、受信した個体識別番号、第1の稼働情報、および号車番号を、先頭車両側で隣接する状態監視部112へ転送する。
【0021】
列車統合管理装置150に接続された状態監視部112は、自身で収集した個体識別番号、第1の稼働情報、および保持している号車番号、さらに、他の状態監視部112から転送されてきた個体識別番号、第1の稼働情報、および号車番号を、列車統合管理装置150へ送信する。このように、車両情報収集部110の状態監視部112は、個体識別番号、第1の稼働情報、および号車番号を、列車統合管理装置150へ、または他の車両情報収集部110の状態監視部112を介して列車統合管理装置150へ送信する。状態監視部112が他の状態監視部112と通信を行う例を説明したが、これに限られない。状態監視部112は、列車統合管理装置150と列車内通信を行うために設けられた中継装置を介して、個体識別番号、第1の稼働情報、および号車番号を送信してもよい。
【0022】
列車統合管理装置150は、例えば、TCMS(Train Control and Monitoring System)である。列車統合管理装置150は、列車4の車両5〜7に取り付けられている機器の状態を監視し、制御する機能を有する。列車統合管理装置150は、機器とは有線通信または無線通信で常時通信を行って機器の状態を監視し、機器の動作状態を示す第2の稼働情報を収集する。第2の稼働情報は、前述の第1の稼働情報とは異なる内容のものとする。例えば、第2の稼働情報とは、列車運行制御に必要となる列車統合管理装置150が管理する情報であり、各機器が出力する制御指令や指令に対するフィードバック情報などである。列車統合管理装置150は、状態監視部112から第1の稼働情報を取得する経路とは別経路で、第2の稼働情報を収集する。列車統合管理装置150は、全ての状態監視部112から個体識別番号、第1の稼働情報、および号車番号を取得すると、各機器について、個体識別番号、第1の稼働情報と第2の稼働情報とを含む稼働情報、号車番号、および列車4を識別する編成番号を、通信装置160を介して地上システム2へ送信する。また、列車統合管理装置150は、タイムスタンプと関連付けて、列車速度情報および列車位置情報(キロ程情報)を送信してもよい。また、列車統合管理装置150は、タイムスタンプと関連付けて、稼働補助情報として、列車速度情報、列車重量、乗客率、車内温度および外気温などの気候に関する情報などを送信してもよい。列車統合管理装置150は、送信する情報に対して、データ通信量を削減するための既知の圧縮処理、セキュリティを高めるための既知の暗号化処理などを施す。
【0023】
通信装置160は、地上システム2と通信を行う装置である。通信装置160は、列車統合管理装置150で収集された情報を、地上システム2へ送信する。情報収集装置1すなわち通信装置160と地上システム2との間の通信については、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。無線通信は、公衆無線通信であってもよいし、専用回線通信であってもよいし、ミリ波伝送などであってもよい。
【0024】
情報収集装置1は、周期的に、個体識別番号、稼働情報、号車番号、および編成番号を地上システム2へ送信する。これにより、地上システム2は、個体識別番号、稼働情報、号車番号、および編成番号を関連付けて、管理することが可能となる。
【0025】
地上システム2の構成について説明する。
図4は、
本実施の形
態に係る地上システム2の構成例を示すブロック図である。地上システム2は、取得部20と、列車機器管理部23と、解析部29と、表示制御部30と、を備える。取得部20は、通信装置21と、変換部22と、備える。列車機器管理部23は、運行情報蓄積部24と、稼働情報蓄積部25と、展開情報管理部26と、製造情報管理部27と、設計情報管理部28と、を備える。表示制御部30は、受付部31と、制御部32と、表示部33と、を備える。
【0026】
取得部20は、情報収集装置1から、情報収集装置1で収集された情報を取得する。具体的には、取得部20は、列車に取り付けられた各機器について、個体識別番号、稼働情報、号車番号、および編成番号を各列車から取得する。通信装置21は、情報収集装置1と通信を行う装置である。通信装置21は、情報収集装置1から、情報収集装置1で収集された情報を受信する。情報収集装置1と地上システム2すなわち通信装置21との間の通信については、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。無線通信は、公衆無線通信であってもよいし、専用回線通信であってもよいし、ミリ波伝送などであってもよい。なお、
図4では、通信装置21は、1つの列車4の情報収集装置1から情報を受信しているが、一例であり、複数の列車の情報収集装置1から情報を受信可能である。
【0027】
変換部22は、通信装置21で受信された情報に対して、列車統合管理装置150で施された圧縮処理に対応する既知の伸張処理、暗号化処理に対応する既知の復号処理などを施す。変換部22は、取得した情報を振り分けて列車機器管理部23へ出力する。具体的には、変換部22は、個体識別番号、編成番号、および号車番号を列車機器管理部23の展開情報管理部26へ出力し、個体識別番号、および稼働情報を列車機器管理部23の稼働情報蓄積部25へ出力する。
【0028】
列車機器管理部23は、情報収集装置1から取得した情報、機器の製造時の情報、機器の設計時の情報、各列車の運行情報などのリンク関係を管理する。例えば、列車機器管理部23は、各機器の個体識別番号に関連付けて、編成番号、および号車番号を管理し、各機器の個体識別番号に関連付けて、稼働情報を管理する。列車機器管理部23は、編成番号の列車の運行履歴を示す情報である運行情報を管理する。列車機器管理部23は、個体識別番号に関連付けて、当該個体識別番号に対応する機器の種別を示す型式と、当該個体識別番号の機器が製造された際に使用された部品の生産履歴とを含む製造情報を管理する。列車機器管理部23は、型式に関連付けて、当該型式の機器に使用されている部品の種別の情報を含む設計情報を管理する。
図5は、本実施の形態に係る列車機器管理部23で管理されている情報の例を示す図である。
【0029】
運行情報蓄積部24は、列車運行管理システム40から、各列車の運行情報を取得して蓄積する。運行情報には、列車の運行計画であるダイヤを識別するダイヤコード、運用される列車を示す編成番号、運行情報の作成時刻を示すタイムスタンプ、運行計画において列車が発着する駅を示す駅コード、各駅での列車の到着時刻、各駅での列車の発車時刻などの情報が含まれる。運行情報蓄積部24は、列車すなわち編成番号毎に、運行情報の履歴を管理する。なお、
図5では、タイムスタンプをTimeStampと表記している。以降においても同様である。
【0030】
稼働情報蓄積部25は、情報収集装置1から取得した個体識別番号に関連付けて、各機器の稼働情報を蓄積する。稼働情報には、情報収集装置1で稼働情報が収集された時刻を示すタイムスタンプ、機器の実際の稼動状態を示すデータである1以上の稼動パラメータなどの情報が含まれる。すなわち、稼働情報蓄積部25は、個体識別番号に関連付けて、タイムスタンプ、稼動パラメータなどを蓄積している。
【0031】
展開情報管理部26は、各機器について、取り付けられている列車の編成番号、車両の号車番号などの展開情報を蓄積する。展開情報には、個体識別番号毎に、編成番号、号車番号、個体識別番号が読み取られた時刻を示すタイムスタンプ、機器が取り付けられている列車が運用されている路線を示す路線ID(IDentifier)などの情報が含まれる。展開情報管理部26は、個体識別番号で示される機器と、機器が取り付けられている列車および車両との対応関係の履歴を管理する。
【0032】
製造情報管理部27は、機器が製造された際の製造時の情報である製造情報を蓄積する。製造情報には、例えば、個体識別番号、個体識別番号で示される機器の種別を示す型式、機器で設計変更、部品変更などがあった場合に変更されるバージョン、使用された各部品の生産ロット、使用された電子基板の個体識別番号、使用されたモジュールの個体識別番号、当該個体識別番号の機器で使用されている機器の個体識別番号を示す他機器個体識別番号などの情報が含まれる。製造情報管理部27は、個体識別番号で管理する対象の機器で使用される部品など、管理対象の機器と、より下位の管理対象の機器との関係を管理する。製造情報管理部27は、
図5に示す製造情報(1)および製造情報(2)のように、階層構造で機器の構成要素を管理する。なお、
図5では、階層構造が2階層になっているが一例であり、3階層以上であってもよい。製造情報を製造情報管理部27に登録する方法について、製造ラインに設置された製造情報取得部50は、機器が製造された際の製造時の情報を取得し、製造情報登録部51を介して製造情報管理部27に登録する。手作業で製造される機器の場合、製造者が、機器が製造された際の製造時の情報を製造情報取得部50に入力する。製造情報取得部50は、製造者から入力された製造時の情報を、製造情報登録部51を介して製造情報管理部27に登録する。
【0033】
設計情報管理部28は、各機器の設計情報を蓄積する。設計情報には、例えば、機器の型式、当該機器の設計図面を識別する図面番号、機器のバージョン、使用される部品の種別、当該型式の機器に使用される他の機器の型式などの情報が含まれる。設計情報管理部28は、型式で管理する対象の機器で使用される他の機器の型式など、管理対象の機器と、より下位の管理対象の機器との関係を管理する。設計情報管理部28は、
図5に示す設計情報(1)および設計情報(2)のように、階層構造で機器の構成要素を管理する。なお、
図5では、階層構造が2階層になっているが一例であり、3階層以上であってもよい。設計情報を設計情報管理部28に登録する方法について、設計者は、設計情報を設計情報登録部60に入力する。設計情報登録部60は、設計者から入力された設計情報を、設計情報管理部28に登録する。
【0034】
図5に示すように、列車機器管理部23では、運行情報と展開情報とは少なくとも編成番号でリンクされ、展開情報と稼動情報とは少なくとも個体識別番号でリンクされ、展開情報と製造情報とは少なくとも個体識別番号でリンクされている。また、列車機器管理部23では、製造情報と設計情報とは少なくとも型式およびバージョンでリンクされ、製造情報(1)と製造情報(2)とは少なくとも個体識別番号の親子関係でリンクされ、設計情報(1)と設計情報(2)とは少なくとも型式の親子関係でリンクされる。このように、列車機器管理部23は、各種の情報を関連付けて管理している。
【0035】
列車機器管理部23が各種の情報を関連付けて管理しているため、ユーザは、特定の情報を指定すれば、関連付けられている各種情報を確認することが可能となる。列車機器管理部23は、例えば、機器の個体識別番号、当該機器が取付けられている車両番号、編成番号、時間情報(例えば、個体識別番号が読み取られた時間あるいは個体識別番号を受信した時間)を対応付けて管理していることで、ユーザが個体識別番号を指定すれば、当該個体識別番号を有する機器が搭載されていた列車および車両の履歴である機器搭載履歴データを作成することが可能となる。また、列車機器管理部23は、運行情報も合わせて管理することで、ユーザが個体識別番号を指定することにより、機器搭載履歴データを作成し、機器搭載履歴データに含まれる編成番号と時間情報とを用いて、運行情報から当該機器が搭載されていた列車の運行情報データを作成することが可能となる。列車機器管理部23は、複数の列車の情報収集装置1から機器の稼働情報を受信し、管理することで、ユーザが個体識別番号を指定することにより、機器の稼働情報履歴データを作成することが可能となる。
【0036】
さらには、列車機器管理部23は、ユーザが個体識別番号を指定することにより、当該機器が搭載されていた列車の運行情報データの時間情報と、機器の稼働情報履歴データのタイムスタンプとを対応付けることで、当該機器の運行・稼働履歴データを作成することが可能となる。また、列車機器管理部23は、当該機器が搭載されていた列車の運行情報データの時間情報と稼働補助情報のタイムスタンプとを対応付けることで、稼働補助情報を履歴データに含めることが可能となる。
【0037】
また、列車機器管理部23は、列車位置情報に関連する情報をユーザの操作によって予め登録することができる。例えば、特定の列車位置(キロ程)に関連する情報として、上り坂、下り坂および軌道のカーブなどの情報などがあげられる。ユーザは、列車機器管理部23に、上り坂および下り坂は勾配を登録し、軌道のカーブについて軌道の曲線半径などを登録する。列車機器管理部23は、特定の列車位置に関連する情報を登録しておくことで、当該機器の運行・稼働履歴データと勾配やカーブなど特定の列車位置情報との関係や、勾配やカーブなど特定の列車位置情報における同種の複数の機器の稼動情報との関係を示すデータを作成することが可能となる。
【0038】
解析部29は、列車機器管理部23で管理されている稼働情報を解析する。解析部29は、列車機器管理部23で管理されている情報を用いて、機器の劣化推定、故障発生時の影響分析などを行う。解析部29は、ユーザから受け付けた条件、例えば、列車機器管理部23で管理されている個体識別番号、編成番号、ダイヤコード、製造時のある部品の部品ロット番号、型式など、またはこれらの組み合わせによって、データ分析の対象データをクラスタリングする。解析部29における劣化推定および影響分析の方法は既知の手法に基づくものとする。解析部29は、例えば、FTA(Fault Tree Analysis)など既知の手法によって解析を行う。
【0039】
表示制御部30は、列車機器管理部23で管理されている情報のうちユーザから指定された条件に関連する情報、解析部29の解析結果などを表示するユーザインタフェースである。表示制御部30は、Webブラウザなどで実装されるWebアプリケーションの形態であってもよいし、パーソナルコンピュータにインストールされるアプリケーションの形態であってもよい。受付部31は、ユーザから、機器、部品など、表示する対象または条件などを指定する操作を受け付ける。なお、受付部31は、解析部29における解析の条件をユーザから受け付けてもよい。制御部32は、受付部31で受け付けられた対象または条件で列車機器管理部23を検索し、合致する情報を表示部33に表示する制御を行う。または、制御部32は、受付部31で受け付けられた解析の条件を解析部29へ出力する。制御部32は、解析部29から、解析の条件の応答として解析結果を取得する。表示部33は、制御部32の制御によって表示を行うモニタである。なお、タッチパネルによって、受付部31および表示部33を構成してもよい。
【0040】
図6は、本実施の形態に係る表示制御部30の表示部33に表示される画面の例を示す図である。表示制御部30において、制御部32は、表示部33に、クラスタリング軸選定領域34、データ解析軸選定領域36、付帯情報選定領域37、およびグラフ表示領域38を表示する。クラスタリング軸選定領域34には、クラスタリング軸組合せ式入力領域35が含まれる。
【0041】
受付部31は、クラスタリング軸選定領域34、クラスタリング軸組合せ式入力領域35、データ解析軸選定領域36、および付帯情報選定領域37によって、ユーザからの操作を受け付ける。受付部31は、ユーザから、クラスタリング軸選定領域34において、列車機器管理部23に蓄積されている情報、すなわちグラフ表示領域38に表示される情報の指定を受け付ける。受付部31は、例えば、編成ID指定によって編成番号の指定を受け付け、機器ID指定によって個体識別番号の指定を受け付け、部品ID指定によって各機器で使用されている部品の指定を受け付ける。部品とは、例えば、
図5において示される部品Aなどである。また、受付部31は、路線種別指定によって
図5において示される路線IDの指定を受け付け、機器種別指定によって機器の型式の指定を受け付け、部品種別指定によって
図5において示される他型式の指定を受け付ける。また、受付部31は、運行情報指定によって
図5において示されるダイヤコードの指定を受け付け、時刻指定によって列車が運行される時間の指定を受け付ける。列車が運行される時間とは、例えば、早
朝ダイヤ、深夜ダイヤなどである。また、受付部31は、その他条件指定によって
図5において示される他の項目、例えば、駅コード、号車番号などの指定を受け付ける。
【0042】
受付部31は、ユーザから、クラスタリング軸組合せ式入力領域35において、クラスタリング軸選定領域34で複数の情報の指定を受け付けた場合に、各情報に対して取り得る値の範囲を指定し、各情報の関係に対してOR条件またはAND条件の設定を受け付ける。受付部31は、ユーザから、データ解析軸選定領域36において、グラフ表示領域38に表示される情報に対する分析用途の指定を受け付ける。受付部31で移動状況分析が指定された場合、制御部32は、ユーザから指定された条件を解析部29に出力する。解析部29は、制御部32から取得した条件で列車機器管理部23を検索し、列車機器管理部23から情報を取得し、制御部32に出力する。制御部32は、解析部29から取得した情報を用いて表示部33にグラフを表示する制御を行う。受付部31で劣化推定または影響分析が指定された場合、制御部32は、解析部29に対してユーザから指定された条件での劣化推定または影響分析を指示し、解析部29で劣化推定または影響分析が実施された結果である解析結果を表示部33に表示する制御を行う。受付部31は、ユーザから、付帯情報選定領域37において、運行情報蓄積部24および稼働情報蓄積部25に蓄積されている列車運行時に発生した異常などの情報を、グラフ表示領域38に重畳表示させるか否かの選択を受け付ける。
【0043】
例えば、同一路線で運用されている列車の車両に取り付けられている同一機器で使用されている部品Aの劣化推定を行う場合を想定する。ユーザは、クラスタリング軸選定領域34において、路線種別指定から所望の路線を指定し、機器ID指定から所望の機器を指定し、部品ID指定から部品Aを指定する。受付部31は、これらの指定を受け付け、受け付けた情報を制御部32に出力する。制御部32は、受付部31から取得した情報を解析部29に出力し、劣化推定を指示する。解析部29は、制御部32から取得した情報に基づいて列車機器管理部23を検索し、列車機器管理部23から情報を取得し、制御部32に出力する。制御部32は、解析部29から取得した情報を用いて表示部33にグラフを表示する制御を行う。制御部32は、
図6に示すように、取得した複数の情報を用いて、表示部33にグラフを表示する。ここで、グラフ表示領域38に表示されたグラフが、
図6に示すように2つの傾向に分類できる場合を想定する。ユーザは、傾向が異なる原因を探索するため、クラスタリング軸選定領域34において、その他条件指定から製造情報に含まれる部品Aのロット番号を指定する。受付部31は、指定を受け付け、受け付けた情報を制御部32に出力する。制御部32は、受付部31から取得した情報を解析部29に出力し、劣化推定を指示する。解析部29は、制御部32から取得した情報に基づいて列車機器管理部23を検索し、列車機器管理部23から情報を取得し、制御部32に出力する。制御部32は、解析部29から取得した情報を用いて表示部33にグラフを表示する制御を行う。ユーザは、ロット番号(1)の部品Aが使用された機器と、ロット番号(2)の部品Aが使用された機器とで、劣化推定グラフの軌跡がグルーピングされる現象を確認することができる。
【0044】
また、他の用途として、ユーザは、クラスタリング軸選定領域34において、運行情報指定から、早朝ダイヤ、深夜ダイヤなどを指定する。受付部31は、指定を受け付け、受け付けた情報を制御部32に出力する。制御部32は、受付部31から取得した情報を解析部29に出力し、劣化推定を指示する。解析部29は、制御部32から取得した情報に基づいて列車機器管理部23を検索し、列車機器管理部23から情報を取得し、制御部32に出力する。制御部32は、解析部29から取得した情報を用いて表示部33にグラフを表示する制御を行う。ユーザは、編成が投入されたダイヤの累積傾向によって機器の劣化推定グラフの軌跡がグルーピングされる現象を確認することができる。
【0045】
また、他の用途として、制御部32は、機器の搭載履歴などを作成することも可能である。例えば、制御部32は、機器ID指定から所望の機器が指定されると、個体識別番号をキーとして当該機器が搭載されていた編成または車両を時系列で表示することも可能である。制御部32は、機器の搭載履歴を作成することにより、当該機器の異なる編成への載せかえ、およびメンテナンスのために非搭載になった履歴を確認することができる。また、制御部32は、当該個体識別番号が搭載された編成番号を特定し、当該機器の第1の稼働情報に当該編成の列車統合管理装置が取得した第2の稼働情報を組み合わせて活用することが可能となる。また、制御部32は、編成番号(編成ID)および運行情報を指定し、当該機器の列車運行履歴を作成することにより、当該機器が搭載された列車の運行情報を確認することも可能となる。
【0046】
このように、ユーザは、同一路線を走行する列車に搭載された機器であっても、列車が投入されたダイヤの状況、機器の製造時の個体差までを掘り下げることで、機器の状態を把握することが可能となる。
【0047】
ある機器またはある部品において異常が検出された場合、ユーザは、検出された異常が影響する範囲を探索するため、データ解析軸選定領域36において、影響分析を指定する。異常が検出された場合とは、列車統合管理装置150において異常が検知された場合、または、解析部29の劣化推定によって、ある稼働情報の稼働パラメータに対して設定された劣化閾値を超える稼働パラメータを示す機器が検出された場合である。データ解析軸選定領域36においてユーザから影響分析が指定されていた場合、制御部32は、受付部31から取得した情報を解析部29に出力し、影響分析を指示する。解析部29は、制御部32から取得した情報に基づいて列車機器管理部23を検索し、列車機器管理部23から情報を取得し、制御部32に出力する。制御部32は、解析部29から取得した情報を用いて表示部33にグラフを表示する制御を行う。これにより、ユーザは、同様の傾向を示す他の機器を把握することができる。
【0048】
このように、地上システム2は、個体識別番号に関連付けて、編成番号、号車番号、および稼働情報を管理する。また、地上システム2は、編成番号の列車の運行履歴を示す運行情報を管理する。また、地上システム2は、個体識別番号に関連付けて、当該個体識別番号に対応する機器の種別を示す型式と、当該個体識別番号の機器が製造された際に使用された部品の生産履歴とを含む製造情報を管理する。また、地上システム2は、型式に関連付けて、当該型式の機器に使用されている部品の種別の情報を含む設計情報を管理する。
【0049】
地上システム2は、稼働情報を解析し、解析結果を表示することができる。また、地上システム2は、管理している情報のうち、ユーザから指定された条件に関連する情報を表示することができる。地上システム2は、機器の製造情報、設計情報、運行情報に含まれる項目などを用いて任意の異常または劣化を検知した場合、同様の事象が発生するリスクを保有する他の機器を検出することができる。これにより、ユーザは、地上システム2での検出結果を用いることで、新たな異常の発生を未然に防ぐ、または異常が発生した際の対処を迅速に行うことができる。
【0050】
列車機器管理システム3を構成する各装置の動作について説明する。
図7は、本実施の形態に係る状態監視部112が個体識別番号を取得して送信する動作を示すフローチャートである。車両の電源がONされると(ステップS1)、車両から車両情報収集部110の状態監視部112に給電され、状態監視部112は、接続する読み取り部111に給電する(ステップS2)。状態監視部112は、読み取り部111に対して、識別タグから個体識別番号を読み取る読み取り指令を送信する。読み取り部111は、機器に貼付された1つ以上の識別タグから個体識別番号を読み取る。状態監視部112は、読み取り部111から、読み取られた個体識別番号を受信する(ステップS3)。状態監視部112は、受信した個体識別番号を図示しないメモリに格納する(ステップS4)。状態監視部112は、個体識別番号を、列車を構成する車両に取り付けられた隣接する状態監視部112へ送信する(ステップS5)。このとき、状態監視部112は、今回受信した個体識別番号と、前回受信した個体識別番号との間で差異があった場合、差異があった部分の個体識別番号のみを隣接する状態監視部112へ送信してもよい。これにより、状態監視部112は、送信する情報量を削減することができる。
【0051】
図8は、本実施の形態に係る状態監視部112が隣接する状態監視部112から個体識別番号を受信して転送する動作を示すフローチャートである。状態監視部112は、隣接する状態監視部112から個体識別番号を受信する(ステップS11)。個体識別番号を受信した状態監視部112は、列車統合管理装置150に接続されていない場合、受信した個体識別番号を、反対側で隣接する状態監視部112へ転送する(ステップS12)。個体識別番号を転送する状態監視部112は、個体識別番号の転送先を、個体識別番号を送信してきた状態監視部112以外の状態監視部112とする。個体識別番号を転送する状態監視部112は、例えば、個体識別番号の転送先を、状態監視部112が設置された号車の降順の状態監視部112とすることで、個体識別番号の転送先が循環経路になる事態を回避することができる。状態監視部112は、例えば、後述する状態監視部112の識別子を用いて転送先を判定する。
【0052】
図9は、本実施の形態に係る状態監視部112が稼働情報を取得して送信する動作を示すフローチャートである。状態監視部112は、有線伝送または無線伝送によって接続された機器から、ミリ秒間隔など周期的に第1の稼働情報を収集し、図示しないメモリに格納する(ステップS21)。状態監視部112は、第1の稼働情報をひとまとめにして送信するための処理周期である第1の周期が経過しない場合(ステップS22:No)、第1の周期が経過するまで待機する。状態監視部112は、第1の周期が経過した場合(ステップS22:Yes)、メモリから自身を識別する識別子を読み出す(ステップS23)。状態監視部112は、メモリから第1の稼働情報を読み出し、自身の識別子および第1の稼働情報を、隣接する状態監視部112へ送信する(ステップS24)。状態監視部112は、個体識別番号を送信するときと同じ経路で、識別子および第1の稼働情報を隣接する状態監視部112へ送信する。
【0053】
図10は、本実施の形態に係る列車統合管理装置150に接続された状態監視部112の動作を示すフローチャートである。列車統合管理装置150に接続された状態監視部112は、列車統合管理装置150から編成情報を取得する(ステップS31)。編成情報には、列車に取り付けられている機器の一覧が含まれ、号車ごとに取り付けられている機器の種別および機器の個数の情報が含まれる。列車統合管理装置150に接続された状態監視部112は、隣接する状態監視部112から個体識別番号を受信する(ステップS32)。列車統合管理装置150に接続された状態監視部112は、編成情報に含まれる全ての機器に該当する個体識別番号の収集が完了していない場合(ステップS33:No)、ステップS32に戻ってステップS32の動作を継続する。列車統合管理装置150に接続された状態監視部112は、編成情報に含まれる全ての機器に該当する個体識別番号の収集が完了した場合(ステップS33:Yes)、収集した個体識別番号を個体識別番号一覧として列車統合管理装置150へ送信する(ステップS34)。このとき、列車統合管理装置150に接続された状態監視部112は、任意の機器の個体識別番号が一定時間を越えても受信できない場合、当該機器は故障していると判断し、受信済みの個体識別番号のみを個体識別番号一覧として列車統合管理装置150へ送信するタイムアウト処理を行ってもよい。
【0054】
図11は、本実施の形態に係る列車統合管理装置150が第1の稼働情報を受信する動作を示すフローチャートである。列車統合管理装置150は、隣接する状態監視部112から第1の稼働情報を受信する(ステップS41)。受信する第1の稼働情報には、列車統合管理装置150に接続された状態監視部112で収集された第1の稼働情報、および他の状態監視部112から直接的または間接的に、列車統合管理装置150に接続された状態監視部112に転送されてきた第1の稼働情報が含まれる。列車統合管理装置150は、受信した第1の稼働情報を図示しないメモリに格納する(ステップS42)。これにより、列車統合管理装置150のメモリには、列車4の車両5〜7に取り付けられた機器の第1の稼働情報が時々刻々と蓄積されることとなる。
【0055】
図12は、本実施の形態に係る列車統合管理装置150が稼働情報などを含む送信情報を地上システム2へ送信する動作を示すフローチャートである。列車統合管理装置150は、取得した情報を地上システム2へ送信するための処理周期である第2の周期が経過していない場合(ステップS51:No)、第2の周期が経過するまで待機する。列車統合管理装置150は、第2の周期が経過した場合(ステップS51:Yes)、各機器について、個体識別番号、第1の稼働情報と第2の稼働情報とを含む稼働情報、号車番号、編成番号、送信時刻を示すタイムスタンプなどを含む送信情報を生成し(ステップS52)、送信情報を地上システム2へ送信する(ステップS53)。このとき、列車統合管理装置150は、接続する状態監視部112から個体識別番号一覧を受信済みの場合、車両の電源がONされてから1回のみ、地上システム2へ個体識別番号一覧を送信する。
【0056】
図13は、本実施の形態に係る列車統合管理装置150が機器の異常情報を地上システム2へ送信する動作を示すフローチャートである。列車統合管理装置150は、機器から異常発生の通知を受信した場合(ステップS61)、または接続する状態監視部112から取得した第1の稼働情報を解析して異常を検知した場合(ステップS62)、または収集した第2の稼働情報を解析して異常を検知した場合(ステップS63)、異常情報を地上システム2へ送信する(ステップS64)。このとき、列車統合管理装置150は、検知した異常を、図示しない列車統合管理装置150の表示部などに表示してユーザに通知してもよい。
【0057】
図14は、本実施の形態に係る地上システム2の解析部29の解析動作の第1の例を示すフローチャートである。解析部29は、日次処理などの基準時刻、列車の電源ON時、など設定された実行トリガが発生していない場合(ステップS71:No)、実行トリガが発生するまで待機する。解析部29は、実行トリガが発生した場合(ステップS71:Yes)、稼働情報を解析して劣化推定を実施する(ステップS72)。解析部29は、全ての機器に対して常時劣化推定を実施することは現実的ではないため、一定以上の期間動作している機器、一定以上の距離を走行した編成に取り付けられている機器、前回の点検から一定期間以上経過した機器などを劣化推定の対象とする。解析部29は、機器動作に対するサービスレベル契約に対するリスクの高い機器なども劣化推定の対象に含めてもよい。解析部29は、劣化推定の結果、予め設定された閾値以上に劣化が進行するという推測結果が得られた場合、同一事象が他の機器にも発生する可能性があるとして、影響分析を実施する(ステップS73)。
【0058】
図15は、本実施の形態に係る地上システム2の解析部29の解析動作の第2の例を示すフローチャートである。解析部29は、列車統合管理装置150から異常情報を受信した場合(ステップS81)、または解析部29の劣化推定において閾値を超過した機器、すなわち機器の劣化を検出した場合(ステップS82)、異常または劣化の要因部位の候補をFTAなど既知の手法によって選出する(スッテプS83)。解析部29は、選出した要因部位と同一型式、同一ロットの部位を使用する機器を列車機器管理部23から選出する(ステップS84)。具体的には、解析部29は、選出した要因部位と同一型式、同一ロットの部位を使用する機器を製造情報管理部27から選出し、同一型式の部位を使用する型式を設計情報管理部28から選出する。解析部29は、選出した機器に対して、異常または劣化を示す機器と同様の事象が発生する可能性について詳細解析を実施する(ステップS85)。解析部29は、閾値を超える値を示す解析結果、または正常値であっても異常または劣化の予兆を示す要注意の機器を示す解析結果を、表示制御部30に表示する(ステップS86)。ユーザは、表示制御部30に表示された解析結果を確認する。これにより、地上システム2は、1つの機器の異常または劣化を基点に、同一部品、同一設計、または同一路線に適用され、設計、製造、稼動などの情報の因果関係を持つ個体を列車機器管理部23に蓄積されている情報を元に選定することができ、Predictiveなメンテナンスを行うことができる。
【0059】
つづいて、情報収集装置1のハードウェア構成について説明する。情報収集装置1において、列車統合管理装置150はコンピュータなどにより実現される。通信装置160は、通信インタフェースにより実現される。読み取り部111は、識別タグから情報を読み取るリーダである。状態監視部112の一部の機能は、通信インタフェースにより実現される。状態監視部112の他の機能は、処理回路により実現される。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。
【0060】
図16は、本実施の形態に係る情報収集装置1が備える処理回路をプロセッサおよびメモリで構成する場合の例を示す図である。処理回路がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、情報収集装置1の処理回路の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路では、メモリ92に記憶されたプログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路は、情報収集装置1の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。また、これらのプログラムは、情報収集装置1の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0061】
ここで、プロセッサ91は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などであってもよい。また、メモリ92には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0062】
図17は、本実施の形態に係る情報収集装置1が備える処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の例を示す図である。処理回路が専用のハードウェアで構成される場合、
図17に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。情報収集装置1の各機能を機能別に処理回路93で実現してもよいし、各機能をまとめて処理回路93で実現してもよい。
【0063】
なお、情報収集装置1の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0064】
つぎに、地上システム2のハードウェア構成について説明する。地上システム2において、通信装置21は、通信インタフェースにより実現される。列車機器管理部23はメモリである。受付部31は入力インタフェースである。表示部33はLCD(Liquid Crystal Display)などのモニタである。変換部22、解析部29、および制御部32は、処理回路により実現される。地上システム2の処理回路は、前述の情報収集装置1の処理回路と同様、
図16に示すようにメモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、
図17に示すように専用のハードウェアであってもよい。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態によれば、列車4に搭載された情報収集装置1は、列車4に取り付けられた機器に貼付された識別タグから当該機器を識別する個体識別番号を収集し、各機器の動作状態を示す稼働情報を収集し、各機器について、個体識別番号、稼働情報、各機器が取り付けられている車両を識別する号車番号、および列車を識別する編成番号を地上システムへ送信する。これにより、地上システム2は、各機器の個体識別番号に関連付けて、編成番号、号車番号、および稼働情報を管理することで、列車に取り付けられた機器の使用履歴を管理することができる。
【0066】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。