(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バルブチャンバの断面積から前記第1円筒部の面積と前記複数の突起部の面積とを差し引いた面積は、前記第1オリフィスホールの断面積と等しいか広く形成されることを特徴とする請求項8に記載の可変容量斜板式圧縮機。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用冷却システムで冷媒を圧縮させる役割を果たす圧縮機は多様な形態で開発されてきており、このような圧縮機には、冷媒を圧縮する構成が往復運動をしながら圧縮を行う往復式と、回転運動をしながら圧縮を行う回転式とがある。往復式には、駆動源の駆動力を、クランクを用いて複数のピストンに伝達するクランク式、斜板が設けられた回転軸に伝達する斜板式、ワブルプレートを用いるワブルプレート式があり、回転式には、回転するロータリ軸とベーンを用いるベーンロータリ式、旋回スクロールと固定スクロールを用いるスクロール式がある。ここで、斜板式圧縮機は、回転軸と共に回転する斜板でピストンを往復運動させて冷媒を圧縮する圧縮機であって、最近は、圧縮機の性能および効率向上のために、斜板の傾斜角を調節してピストンのストロークを調節することにより、冷媒吐出量を調節するいわゆる可変容量方式で形成されている。
【0003】
図1は、従来の可変容量斜板式圧縮機を示す斜視図であって、内部構造を示すために一部位を切開して示す斜視図である。
図1に示すように、従来の可変容量斜板式圧縮機は、ボア114、吸入室S1、吐出室S3、およびクランク室S4を有するケーシング100と、ケーシング100に回転可能に支持される回転軸210と、回転軸210に連動してクランク室S4の内部で回転する斜板220と、斜板220に連動してボア114の内部で往復運動し、ボア114と共に圧縮室を形成するピストン230と、吸入室S1と吐出室S3を圧縮室と連通および遮蔽させるバルブ機構300と、回転軸210に対する斜板220の傾斜角を調節する傾斜調節機構400と、を含む。
【0004】
傾斜調節機構400は、吐出室S3をクランク室S4と連通させる第1流路430と、クランク室S4を吸入室S1と連通させる第2流路450とを含む。第1流路430には、その第1流路430を開閉する圧力調節バルブ(図示せず)が形成される。第2流路450には、その第2流路450を通過する流体を減圧させるオリフィスホール460が形成される。このような構成による従来の可変容量斜板式圧縮機は、駆動源(例えば、車両のエンジン)(図示せず)から回転軸210に動力が伝達されると、回転軸210と斜板220が共に回転する。そして、ピストン230は、斜板220の回転運動を直線運動に切替えてボア114の内部で往復運動する。ピストン230が上死点から下死点に移動するとき、圧縮室は、バルブ機構300によって吸入室S1とは連通し且つ吐出室S3とは遮蔽されて、吸入室S1の冷媒が圧縮室に吸入される。
【0005】
そして、ピストン230が下死点から上死点に移動するとき、圧縮室は、バルブ機構300によって吸入室S1および吐出室S3と遮蔽され、圧縮室の冷媒が圧縮される。そして、ピストン230が上死点に到達したとき、圧縮室は、バルブ機構300によって吸入室S1とは遮蔽され且つ吐出室S3とは連通して、圧縮室で圧縮された冷媒が吐出室S3に吐出される。
【0006】
ここで従来の可変容量斜板式圧縮機は、次のように冷媒吐出量が調節される。まず、停止時、冷媒吐出量が最小である最小モードに設定される。すなわち、斜板220が回転軸210に垂直に近く配置されて、斜板220の傾斜角が零(0)に近くなる。ここで、斜板220の傾斜角は、斜板220の回転中心を基準として、斜板220の回転軸210と斜板220の法線との間の角度で測定される。次に、運転が開始されると、一旦、冷媒吐出量が最大である最大モードに調節される。すなわち、第1流路430が圧力調節バルブ(図示せず)によって閉鎖され、クランク室S4の冷媒が第2流路450を通して吸入室S1に流動して、クランク室S4の圧力が吸入圧(吸入室S1の圧力)水準に減少する。これによって、ピストン230に印加されるクランク室S4の圧力が最小に減少して、ピストン230のストロークが最大に増加し、斜板220の傾斜角が最大に増加し、冷媒吐出量が最大に増加する。
【0007】
ここで、冷媒吐出量の調節原理を説明すれば、ピストン230は、主にそのピストン230に作用する圧縮室の圧力からクランク室S4の圧力を差し引いた差圧によるモーメント差で斜板の傾斜角を形成するが、クランク室S4の圧力が小さいほど、斜板220の傾斜角が増加し、ピストン230のストロークが増加し、冷媒吐出量が増加する。これに対し、クランク室S4の圧力が大きいほど、斜板220の傾斜角が減少し、ピストン230のストロークが減少し、冷媒吐出量が減少する。
【0008】
次に、最大モードの後には、要求される冷媒吐出量に応じて、第1流路430の開度量が圧力調節バルブ(図示せず)によって調節されて、クランク室S4の圧力が調節される。これによって、ピストン230に印加されるクランク室S4の圧力が調節されて、ピストン230のストロークが調節され、斜板220の傾斜角が調節され、冷媒吐出量が調節される。すなわち、例えば、冷媒吐出量が最大に増加した後、冷媒吐出量の減少が必要な場合、第1流路430が圧力調節バルブ(図示せず)によって開放されるが、その第1流路430の開度量が圧力調節バルブ(図示せず)によって増加して、クランク室S4の圧力が増加する。ここで、クランク室S4の冷媒が第2流路450を通して吸入室S1に吐出されるが、クランク室S4から第2流路450を通して吸入室S1に吐出される冷媒量より、吐出室S3から第1流路430を通して吸入室S1に流入する冷媒量が多くて、クランク室S4の圧力が増加する。これによって、ピストン230に印加されるクランク室S4の圧力が増加して、ピストン230のストロークが減少し、斜板220の傾斜角が減少し、冷媒吐出量が減少する。
【0009】
他の例として、冷媒吐出量が減少した後、冷媒吐出量の増加が必要な場合、第1流路430が圧力調節バルブ(図示せず)によって開放されるが、その第1流路430の開度量が圧力調節バルブ(図示せず)によって減少して、クランク室S4の圧力が減少する。ここで、吐出室S3の冷媒が第1流路430を通して吸入室S1に流入するが、吐出室S3から第1流路430を通して吸入室S1に流入する冷媒量より、クランク室S4から第2流路450を通して吸入室S1に吐出される冷媒量が多くて、クランク室S4の圧力が減少する。これによって、ピストン230に印加されるクランク室S4の圧力が減少して、ピストン230のストロークが増加し、斜板220の傾斜角が増加し、冷媒吐出量が増加する。一方、ここで、クランク室S4の冷媒が第2流路450を通して吸入室S1に流動するとき、オリフィスホール460によって吸入圧水準に減圧されて、吸入室S1の圧力が増加することが防止される。
【0010】
しかし、このような従来の斜板式圧縮機においては、冷媒吐出量の迅速な調節と圧縮機の効率低下の防止を同時に達成できない問題点があった。具体的には、前述のように、クランク室S4の圧力減少による冷媒吐出量の増加のために、クランク室S4は、第2流路450を通して吸入室S1と連通している。そして、通常、冷媒吐出量増加の応答性の向上のために、第2流路450のオリフィスホール460の断面積はできるだけ最大に形成される。すなわち、クランク室S4の冷媒が吸入室S1に迅速に吐出されて、クランク室S4の圧力が迅速に減少し、ピストン230のストロークが迅速に増加し、斜板220の傾斜角が迅速に増加して、冷媒吐出量が迅速に増加するように、オリフィスホール460は固定オリフィスホールで形成され、そのオリフィスホール460の断面積は、第2流路450を通過する冷媒を十分に減圧させる範囲内で最大に形成される。ところが、オリフィスホール460の断面積ができるだけ最大に形成される場合、クランク室S4から吸入室S1に漏洩する冷媒量が多い。これによって、最小モードまたは可変モード(最小モードと最大モードとの間で冷媒吐出量が増加または維持または減少するモード)で、クランク室S4の圧力を所望の水準に合わせるためには、オリフィスホール460の断面積が相対的に小さく形成される場合より、第1流路430を通して吐出室S3からクランク室S4に流入する冷媒量が増加しなければならない。これによって、圧縮された冷媒のうち冷却サイクルで吐出される冷媒量が減少するので、所望の冷房または暖房水準を達成するためには、圧縮機がより多い冷媒を圧縮するように、その圧縮機に投入される動力が増加しなければならず、圧縮機の効率が低下する。
【0011】
また、従来の斜板式圧縮機においては、最大モードへの切替にかかる時間が増加する問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、冷媒吐出量の迅速な調節と圧縮機の効率低下の防止を同時に達成できる可変容量斜板式圧縮機を提供することにある。また、本発明の他の目的は、最大モードへの変換にかかる時間を減少させることができる可変容量斜板式圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による可変容量斜板式圧縮機は、ボア、吸入室、吐出室、およびクランク室を有するケーシングと、前記ケーシングに回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸に連動して前記クランク室の内部で回転する斜板と、前記斜板に連動して前記ボアの内部で往復運動し、前記ボアと共に圧縮室を形成するピストンと、前記回転軸に対する前記斜板の傾斜角を調節するように、前記吐出室を前記クランク室と連通させる第1流路、および前記クランク室を前記吸入室と連通させる第2流路を有する傾斜調節機構と、を含み、前記第2流路には、その第2流路を通過する流体を減圧させるオリフィスホールと、前記オリフィスホールの有効流動断面積を調節するオリフィス調節機構とが形成され、前記オリフィスホールと前記オリフィス調節機構は、前記クランク室の圧力と前記吸入室の圧力との間の差圧が増加すれば、前記有効流動断面積が零(0)から零(0)より広い第1面積になり、前記差圧がさらに増加すれば、前記有効流動断面積が零(0)より広く且つ前記第1面積より狭い第2面積になるように形成されることを特徴とする。
【0014】
前記オリフィスホールは、前記クランク室と連通する第1オリフィスホールと、前記吸入室と連通する第3オリフィスホールと、前記第1オリフィスホールと前記第3オリフィスホールとの間に形成される第2オリフィスホールと、を含み、前記オリフィス調節機構は、前記第1オリフィスホールおよび前記第2オリフィスホールと連通するバルブチャンバと、前記バルブチャンバに沿って往復運動し、前記第1オリフィスホールの開度量、前記第2オリフィスホールの開度量、および前記第3オリフィスホールの開度量を調節するバルブコアと、を含むことを特徴とする。
【0015】
前記オリフィスホールと前記オリフィス調節機構は、前記クランク室の圧力が第1圧力より低い場合、前記有効流動断面積が零(0)になり、前記クランク室の圧力が前記第1圧力より高いか等しく且つ第2圧力より低い場合、前記有効流動断面積が前記第1面積になり、前記クランク室の圧力が前記第2圧力より高いか等しい場合、前記有効流動断面積が前記第2面積になるように形成されることを特徴とする。
【0016】
前記バルブチャンバは、前記バルブコアの往復運動を案内するバルブチャンバの内周面と、前記バルブチャンバの内周面の一端部側に位置するバルブチャンバの第1先端面と、前記バルブチャンバの内周面の他端部側に位置するバルブチャンバの第2先端面と、を含み、前記第1オリフィスホールは、前記バルブチャンバの第1先端面で前記バルブチャンバと連通し、前記第2オリフィスホールは、前記バルブチャンバの第2先端面で前記バルブチャンバと連通し、前記第3オリフィスホールは、前記バルブチャンバに対向する位置で前記第2オリフィスホールと連通して、前記第1オリフィスホール、前記バルブチャンバ、前記第2オリフィスホール、および前記第3オリフィスホールが前記バルブコアの往復運動方向に沿って順次に形成されることを特徴とする。
【0017】
前記バルブコアは、前記バルブチャンバの内部で往復運動し、前記第1オリフィスホールの開度量を調節する第1端部と、前記第1端部から延びて前記第1端部と共に往復運動し、前記第2オリフィスホールおよび前記第3オリフィスホールの開度量を調節する第2端部と、を含むことを特徴とする。
【0018】
前記第1端部は、前記バルブチャンバの内周面に対向する外周面、前記第1オリフィスホールに対向する底面、および前記第2オリフィスホールに対向する上面を有する第1円筒部と、前記第1円筒部の上面から前記第2オリフィスホール側に延びて前記第1円筒部と同心をなす第2円筒部と、前記第1円筒部および前記第2円筒部の中心軸を基準として、前記第1円筒部の外周面および前記第2円筒部の外周面から放射状に突出する複数の突起部と、を含み、前記第2端部は、前記第2円筒部から前記第2オリフィスホール側にさらに延びて前記第2円筒部と同心をなす第3円筒部と、を含むことを特徴とする。
【0019】
前記第1円筒部の外径は、前記複数の突起部の外径より小さく形成され、前記第2円筒部の外径は、前記第1円筒部の外径より小さく形成され、前記第3円筒部の外径は、前記第2円筒部の外径と同等水準に形成され、前記バルブチャンバの内径は、前記複数の突起部の外径と同等水準に形成され、前記第1オリフィスホールの内径は、前記第1円筒部の外径より小さく形成され、前記第2オリフィスホールの内径は、前記第3円筒部の外径より大きく且つ前記複数の突起部の外径より小さく形成され、前記第3オリフィスホールの内径は、前記第3円筒部の外径より大きく且つ前記第2オリフィスホールの内径より小さく形成されることを特徴とする。
【0020】
前記複数の突起部の長さは、前記バルブチャンバの長さより短く形成され、前記第1円筒部の長さと前記第2円筒部の長さとを合わせた長さは、前記複数の突起部の長さと同等水準に形成され、前記第3円筒部の長さは、前記第2オリフィスホールの長さより長く且つ前記第2オリフィスホールの長さと前記第3オリフィスホールの長さとを合わせた長さより短く形成され、前記複数の突起部の長さと前記第3円筒部の長さとを合わせた長さは、前記バルブチャンバの長さより長く且つ前記バルブチャンバの長さと前記第2オリフィスホールの長さとを合わせた長さより短く形成されることを特徴とする。
【0021】
前記第2オリフィスホールの断面積から前記第3円筒部の面積を差し引いた面積が前記第1面積として形成され、前記第3オリフィスホールの断面積から前記第3円筒部の面積を差し引いた面積が前記第2面積として形成され、前記第1オリフィスホールの断面積は、前記第1面積と等しいか広く形成されることを特徴とする。
【0022】
前記バルブチャンバの断面積から前記第1円筒部の面積と前記複数の突起部の面積とを差し引いた面積は、前記第1オリフィスホールの断面積と等しいか広く形成されることを特徴とする。
【0023】
前記オリフィス調節機構は、前記バルブコアを前記バルブチャンバの第1先端面側に加圧する弾性部材をさらに含むことを特徴とする。
【0024】
前記ケーシングは、前記ボアが形成されるシリンダブロックと、前記シリンダブロックの一側に結合され、前記クランク室が形成されるフロントハウジングと、前記シリンダブロックの他側に結合され、前記吸入室と前記吐出室が形成されるリヤハウジングと、を含み、前記シリンダブロックと前記リヤハウジングとの間に、前記吸入室と前記吐出室を前記圧縮室と連通および遮蔽させるバルブ機構が介在し、前記リヤハウジングは、そのリヤハウジングの変形を防止するように、そのリヤハウジングの内壁面から延びて前記バルブ機構に支持されるポスト部を含み、前記第1オリフィスホールは、前記バルブ機構に形成され、前記バルブチャンバ、前記第2オリフィスホール、および前記第3オリフィスホールは、前記ポスト部に形成されることを特徴とする。
【0025】
前記オリフィスホールと前記オリフィス調節機構は、圧縮機の停止時、前記有効流動断面積が零(0)になるように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明による可変容量斜板式圧縮機は、ボア、吸入室、吐出室、およびクランク室を有するケーシングと、前記ケーシングに回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸に連動して前記クランク室の内部で回転する斜板と、前記斜板に連動して前記ボアの内部で往復運動し、前記ボアと共に圧縮室を形成するピストンと、前記回転軸に対する前記斜板の傾斜角を調節するように、前記吐出室を前記クランク室と連通させる第1流路、および前記クランク室と前記吸入室とを連通させる第2流路を有する傾斜調節機構と、を含み、前記第2流路には、その第2流路を通過する流体を減圧させるオリフィスホールと、前記オリフィスホールの有効流動断面積を調節するオリフィス調節機構とが形成され、前記オリフィスホールと前記オリフィス調節機構は、前記クランク室の圧力と前記吸入室の圧力との間の差圧が増加すれば、前記有効流動断面積が零(0)から零(0)より広い第1面積になり、前記差圧がさらに増加すれば、前記有効流動断面積が零(0)より広く且つ前記第1面積より狭い第2面積になるように形成される。これによって、冷媒吐出量の迅速な調節と圧縮機の効率低下の防止を同時に達成することができる。また、最大モードへの切替にかかる時間を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明による可変容量斜板式圧縮機を詳細に説明する。
【0029】
図2は、本発明の可変容量斜板式圧縮機における第2流路を示す断面図であり、
図3は、
図2のバルブコアを一側から眺めた斜視図であり、
図4は、
図2のバルブコアを他側から眺めた斜視図であり、
図5は、
図2のI部分を拡大して示す断面図であって、差圧が第1圧力より低い状態を示す断面図であり、
図6は、
図2のI部分を拡大して示す断面図であって、差圧が第1圧力より高いか等しく且つ第2圧力より低い状態を示す断面図であり、
図7は、
図2のI部分を拡大して示す断面図であって、差圧が第2圧力より高いか等しい状態を示す断面図であり、
図8は、
図2の可変容量斜板式圧縮機における、差圧に応じてオリフィスホールの有効流動断面積の変化を示す図表である。(実施例1)
【0030】
一方、
図2〜
図7における図示しない構成要素は、説明の便宜上、
図1を参照する。添付の
図2〜
図7および
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る可変容量斜板式圧縮機は、ケーシング100と、ケーシング100の内部に備えられ、冷媒を圧縮する圧縮機構200とを含む。ケーシング100は、圧縮機構200が収容されるシリンダブロック110と、シリンダブロック110の前方側に結合されるフロントハウジング120と、シリンダブロック110の後方側に結合されるリヤハウジング130とを含む。シリンダブロック110の中心側には、後述の回転軸210が挿入される軸受孔112が形成され、シリンダブロック110の外周部側には、後述のピストン230が挿入され、そのピストン230と共に圧縮室をなすボア114が形成される。
【0031】
軸受孔112は、シリンダブロック110の軸方向に沿ってそのシリンダブロック110を貫通する円筒状に形成される。ボア114は、軸受孔112からシリンダブロック110の半径方向外側に離隔した部位でシリンダブロック110の軸方向に沿ってそのシリンダブロック110を貫通する円筒状に形成される。そして、ボア114は、圧縮室がn個になるようにn個で形成され、n個のボア114は、軸受孔112を中心にシリンダブロック110の円周方向に沿って配列される。フロントハウジング120は、シリンダブロック110を基準として、リヤハウジング130の反対側でシリンダブロック110に締結される。ここで、シリンダブロック110とフロントハウジング120は、互いに締結されてそのシリンダブロック110とフロントハウジング120との間にクランク室S4が形成される。
【0032】
クランク室S4には後述の斜板220が収容される。リヤハウジング130は、シリンダブロック110を基準として、フロントハウジング120の反対側でシリンダブロック110に締結される。そして、リヤハウジング130には、圧縮室に流入する冷媒が収容される吸入室S1と、圧縮室から吐出される冷媒が収容される吐出室S3とが形成される。吸入室S1は、圧縮される冷媒をケーシング100の内部に案内する冷媒吸入管(図示せず)に連通可能である。吐出室S3は、圧縮された冷媒を前記ケーシング100の外部に案内する冷媒吐出管(図示せず)に連通可能である。圧縮機構200は、吸入室S1から圧縮室に冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮室で圧縮し、圧縮した冷媒を圧縮室から吐出室S3に吐出するように形成される。
【0033】
具体的には、圧縮機構200は、ケーシング100に回転可能に支持され、駆動源(例えば、車両のエンジン)(図示せず)から回転力を受けて回転する回転軸210と、回転軸210に連動してクランク室S4の内部で回転する斜板220と、斜板220に連動してボア114の内部で往復運動するピストン230とを含むことができる。回転軸210は、一方向に延びる円筒状に形成される。そして、回転軸210は、一端部がシリンダブロック110(より正確には、軸受孔112)に挿入されて回転可能に支持され、他端部がフロントハウジング120を貫通してケーシング100の外部に突出し、駆動源(図示せず)に連結される。斜板220は、円板状に形成され、クランク室S4で回転軸210に傾斜して締結可能である。ここで、斜板220は、斜板220の傾斜角が可変可能に前記回転軸210と締結されるが、これについては後述する。
【0034】
ピストン230は、ボア114に対応するようにn個で備えられ、各ピストン230は、斜板220に連動して各ボア114で往復運動するように形成される。具体的には、ピストン230は、ボア114に挿入される一端部と、一端部からボア114の反対側に延びてクランク室S4で斜板220に連結される他端部とを含むことができる。そして、本実施形態に係る可変容量斜板式圧縮機は、吸入室S1および吐出室S3を圧縮室と連通および遮蔽させるバルブ機構300をさらに含んでもよい。
【0035】
バルブ機構300は、シリンダブロック110とリヤハウジング130との間に介在するバルブプレートと、シリンダブロック110とバルブプレートとの間に介在する吸入リードと、バルブプレートとリヤハウジング130との間に介在する吐出リードとを含むことができる。バルブプレートは、略円板状に形成され、圧縮される冷媒が通過する吸入ポートと、圧縮された冷媒が通過する吐出ポートとを含むことができる。吸入ポートは、圧縮室に対応するようにn個で形成され、n個の吸入ポートは、バルブプレートの円周方向に沿って配列される。吐出ポートも、圧縮室に対応するようにn個で形成され、n個の吐出ポートは、吸入ポートを基準として、バルブプレートの円心側から前記バルブプレートの円周方向に沿って配列される。
【0036】
吸入リードは、略円板状に形成され、吸入ポートを開閉する吸入バルブと、圧縮室と吐出ポートとを連通させる吐出孔とを含むことができる。吸入バルブは、片持ち梁形態で形成され、圧縮室と前記吸入ポートに対応するようにn個で形成され、n個の吸入バルブは、吸入リードの円周方向に沿って配列される。吐出孔は、吸入バルブの基底部から吸入リードを貫通して形成され、圧縮室と吐出ポートに対応するようにn個で形成され、n個の吐出孔は、吸入リードの円周方向に沿って配列される。
【0037】
吐出リードは、略円板状に形成され、吐出ポートを開閉する吐出バルブと、吸入室S1と吸入ポートとを連通させる吸入孔とを含むことができる。吐出バルブは、片持ち梁形態で形成され、圧縮室と吐出ポートに対応するようにn個で形成され、n個の吐出バルブは、吐出リードの円周方向に沿って配列される。吸入孔は、吐出バルブの基底部から吐出リードを貫通して形成され、圧縮室と吸入ポートに対応するようにn個で形成され、n個の吸入孔は、吐出リードの円周方向に沿って配列される。
【0038】
そして、本発明の一実施形態に係る斜板式圧縮機は、吐出リードとリヤハウジング130との間に介在する吐出ガスケットをさらに含んでもよい。そして、本実施形態に係る可変容量斜板式圧縮機は、回転軸210に対する前記斜板220の傾斜角を調節する傾斜調節機構400をさらに含んでもよい。傾斜調節機構400は、斜板220が回転軸210に締結されるが、その斜板220の傾斜角が可変可能に締結されるように、回転軸210に締結され、その回転軸210と共に回転するロータ410と、斜板220とロータ410とを連結するスライディングピン420とを含むことができる。スライディングピン420は、円筒状のピンで形成され、斜板220には、スライディングピン420が挿入される第1挿入孔222が形成され、ロータ410には、スライディングピン420が挿入される第2挿入孔412が形成される。
【0039】
第1挿入孔222は、スライディングピン420がその第1挿入孔222の内部で回転可能に円筒状に形成される。第2挿入孔412は、スライディングピン420がその第2挿入孔412に沿って移動可能に一方向に延長形成される。ここで、スライディングピン420の中心部が第1挿入孔222に挿入され、スライディングピン420の端部が第2挿入孔412に挿入されてもよい。そして、傾斜調節機構400は、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧(より正確には、クランク室S4の圧力)を調節して斜板220の傾斜角を調節するように、吐出室S3をクランク室S4と連通させる第1流路430と、クランク室S4を吸入室S1と連通させる第2流路450とを含むことができる。
【0040】
第1流路430は、リヤハウジング130、バルブ機構300、シリンダブロック110、および回転軸210を貫通して、吐出室S3からクランク室S4まで延長形成される。そして、第1流路430には、その第1流路430を開閉する圧力調節バルブ(図示せず)が形成される。圧力調節バルブ(図示せず)は、いわゆる機械式バルブ(MCV)または電磁式バルブ(ECV)で形成される。そして、圧力調節バルブ(図示せず)は、第1流路430を閉鎖および開放するだけでなく、第1流路430を開放するとき、その第1流路430の開度量を調節するように形成される。第2流路450は、シリンダブロック110とバルブ機構300を貫通して、クランク室S4から吸入室S1まで延長形成される。
【0041】
そして、第2流路450には、吸入室S1の圧力が上昇するのを防止するように、その第2流路450を通過する流体を減圧させるオリフィスホール460と、冷媒の漏洩による圧縮機の効率減少を抑制するように、オリフィスホール460の有効流動断面積を調節するオリフィス調節機構470とが形成される。ここで、いくつかの用語について定義すれば、オリフィスホール460の断面積とは、オリフィスホール460自体の面積であり、オリフィスホール460の流動断面積とは、オリフィスホール460の断面積のうち冷媒の通過する面積であり、オリフィスホール460の有効流動断面積とは、オリフィスホール460が複数形成されるとき、複数のオリフィスホール460のうちボトルネック(bottleneck)となるオリフィスホール460の流動断面積である。すなわち、例えば、断面積が10mm
2で形成される1つのオリフィスホールがあり、その1つのオリフィスホールと直列に連結され、断面積が5mm
2で形成される他のオリフィスホールがあるが、その1つのオリフィスホールが2mm
2分だけ開放され、その他のオリフィスホールが3mm
2分だけ開放されていれば、その1つのオリフィスホールの断面積は10mm
2であるが、その1つのオリフィスホールの流動断面積は2mm
2であり、その他のオリフィスホールの断面積は5mm
2であるが、その他のオリフィスホールの流動断面積は3mm
2である。そして、全体オリフィスホールのボトルネックはその1つのオリフィスホールになり、このとき、全体オリフィスホールの有効流動断面積は、その1つのオリフィスホールの流動断面積と等しい2mm
2である。
【0042】
続いて、オリフィスホール460は、クランク室S4と後述のバルブチャンバ472とを連通させ、クランク室S4から流入する冷媒を減圧させる第1オリフィスホール462と、後述のバルブチャンバ472と後述の第3オリフィスホール466とを連通させ、第1オリフィスホール462を通過した冷媒を減圧させる第2オリフィスホール464と、第2オリフィスホール464と吸入室S1とを連通させ、第2オリフィスホール464を通過した冷媒を減圧させる第3オリフィスホール466とを含むことができる。
【0043】
第1オリフィスホール462は、後述のバルブコア474の往復運動時に迅速に開閉可能に、そして、後述の第1円筒部の底面4742abに持続的に圧力が加えられるように、後述のバルブチャンバの第1先端面472bで後述のバルブチャンバ472と連通可能である。そして、第1オリフィスホール462は、後述の第1端部4742がその第1オリフィスホール462を介して後述のバルブチャンバ472から離脱するのを防止するように、その第1オリフィスホール462の内径が後述の複数の突起部4742cの外径より小さく形成される。そして、第1オリフィスホール462は、後述の第1円筒部の底面4742abによって開閉されるように、その第1オリフィスホール462の内径が後述の第1円筒部4742aの外径より小さく形成される。
【0044】
第2オリフィスホール464は、後述の第3円筒部4744aがその第2オリフィスホール464に挿入可能に、後述のバルブチャンバの第2先端面472cで後述のバルブチャンバ472と連通可能である。そして、第2オリフィスホール464は、その第2オリフィスホール464に後述の第3円筒部4744aが挿入された状態で冷媒を減圧させることができるように、その第2オリフィスホール464の内径が後述の第3円筒部4744aの外径より大きく形成される。そして、第2オリフィスホール464は、後述の第1端部4742がその第2オリフィスホール464を介して後述のバルブチャンバ472から離脱するのを防止するように、その第2オリフィスホール464の内径が後述の複数の突起部4742cの外径より小さく形成される。第3オリフィスホール466は、後述の第3円筒部4744aがその第3オリフィスホール466に挿入可能に、後述のバルブチャンバ472に対向する位置で第2オリフィスホール464と連通可能である。
【0045】
そして、第3オリフィスホール466は、その第3オリフィスホール466に後述の第3円筒部4744aが挿入された状態で冷媒を減圧させることができるように、その第3オリフィスホール466の内径が後述の第3円筒部4744aの外径より大きく形成される。そして、第3オリフィスホール466は、後述の第3円筒部4744aが第2オリフィスホール464および第3オリフィスホール466にすべて挿入されているとき、その第3オリフィスホール466の開度量が第2オリフィスホール464の開度量より小さくなるように、その第3オリフィスホール466の内径が第2オリフィスホール464の内径より小さく形成される。
【0046】
ここで、オリフィスホール460は、第1オリフィスホール462、後述のバルブチャンバ472、第2オリフィスホール464、および第3オリフィスホール466が後述のバルブコア474の往復運動方向に沿って順次に配列されるように形成される。オリフィス調節機構470は、第1オリフィスホール462および第2オリフィスホール464と連通するバルブチャンバ472と、バルブチャンバ472に沿って往復運動し、第1オリフィスホール462の開度量、第2オリフィスホール464の開度量、および第3オリフィスホール466の開度量を調節するバルブコア474と、バルブコア474に弾性力を印加する弾性部材476とを含むことができる。
【0047】
バルブチャンバ472は、バルブコア474の往復運動を案内するバルブチャンバの内周面472aと、バルブチャンバの内周面472aの一端部側に位置するバルブチャンバの第1先端面472bと、バルブチャンバの内周面472aの他端部側に位置するバルブチャンバの第2先端面472cとを含むことができる。バルブコア474は、バルブチャンバ472の内部で往復運動し、第1オリフィスホール462の開度量を調節する第1端部4742と、第1端部4742から延びて第1端部4742と共に往復運動し、第2オリフィスホール464および第3オリフィスホール466の開度量を調節する第2端部4744とを含むことができる。
【0048】
第1端部4742は、バルブチャンバの内周面472aに対向する外周面4742aaと、バルブチャンバの第1先端面472bに対向する底面4742abと、バルブチャンバの第2先端面472cに対向する上面4742acとを有する第1円筒部4742aを含むことができる。そして、第1端部4742は、第1円筒部の上面4742acからバルブチャンバの第2先端面472c側(第2オリフィスホール464側)に延びて第1円筒部4742aと同心をなす第2円筒部4742bをさらに含んでもよい。
【0049】
そして、第1端部4742は、第1円筒部4742aおよび第2円筒部4742bの中心軸を基準として、第1円筒部の外周面4742aaおよび第2円筒部の外周面から放射状に突出する複数の突起部4742cをさらに含んでもよい。ここで、第1端部4742は、複数の突起部4742cがバルブチャンバの内周面472aに密着した状態でスライディングされるように、複数の突起部4742cの外径が前記バルブチャンバ472の内径と同等水準に形成され、その複数の突起部4742cの長さがバルブチャンバ472の長さより短く形成される。このとき、長さとは、バルブコア474の往復運動方向に沿って測定した値である。
【0050】
そして、第1端部4742は、第1円筒部の底面4742abがバルブチャンバの第1先端面472bに接触して第1オリフィスホール462を閉鎖し、第1円筒部の底面4742abがバルブチャンバの第1先端面472bから離隔して第1オリフィスホール462を開放するように、第1円筒部の底面4742abがバルブチャンバの第1先端面472bに平行に形成される。そして、第1端部4742は、第1オリフィスホール462から吐出される冷媒が第1円筒部4742aの外周部を貫流するように、第1円筒部の外周面4742aaがバルブチャンバの内周面472aと離隔して形成される。すなわち、第1円筒部4742aの外径が、バルブチャンバ472の内径と同等水準に形成される複数の突起部4742cの外径より小さく形成される。
【0051】
そして、第1端部4742は、第1円筒部4742aの外周部を貫流した冷媒が常に第2オリフィスホール464に流入するように、第2円筒部4742bの外径が後述の第3円筒部4744aの外径と同等水準に形成されて、第1円筒部4742aの外径および第2オリフィスホール464の内径より小さく形成され、第1円筒部4742aの長さと第2円筒部4742bの長さとを合わせた長さが複数の突起部4742cの長さと同等水準に形成されて、第1円筒部の上面4742acがバルブチャンバの第2先端面472cから離隔して形成される。
【0052】
第2端部4744は、第2円筒部4742bから第1円筒部4742aの反対側(第2オリフィスホール464側)に延びて第2円筒部4742bと同心をなす第3円筒部4744aを含むことができる。第3円筒部4744aは、前述のように、第2オリフィスホール464および第3オリフィスホール466に挿入可能に、その第3円筒部4744aの外径が第2オリフィスホール464の内径および第3オリフィスホール466の内径より小さく形成され、その第3円筒部4744aの長さが第2オリフィスホール464の長さより長く形成される。
【0053】
そして、第3円筒部4744aは、その第3円筒部4744aの上面(第3オリフィスホール466の基底面に対向する面)4744acが予め決定された位置より第3オリフィスホール466の基底面側にさらに移動するのを防止するように、その第3円筒部4744aの長さが、第2オリフィスホール464の長さと第3オリフィスホール466の長さとを合わせた長さより短く形成される。そして、第3円筒部4744aは、バルブコア474の往復運動と関係なく第2オリフィスホール464に常に挿入されているように、その第3円筒部4744aの長さと複数の突起部4742cの長さとを合わせた長さが、バルブチャンバ472の長さより長く形成される。ここで、本実施形態とは異なり、第3円筒部4744aの長さと複数の突起部4742cの長さとを合わせた長さが、バルブチャンバ472の長さより短いか等しく形成されてもよい。しかし、この場合、第3円筒部4744aが第2オリフィスホール464に挿入されるとき、その第2オリフィスホール464に引っかかることがあるため、本実施形態のように、第3円筒部4744aの長さと複数の突起部4742cの長さとを合わせた長さが、バルブチャンバ472の長さより長く形成されることが好ましい。
【0054】
そして、第3円筒部4744aは、バルブコア474の往復運動によって第3オリフィスホール466に出入するように、そして、後述のように一定の圧力範囲で第2オリフィスホール464がオリフィスホール460のボトルネックとなり、それより高い圧力範囲で第3オリフィスホール466がオリフィスホール460のボトルネックとなるように、その第3円筒部4744aの長さと複数の突起部4742cの長さとを合わせた長さが、バルブチャンバ472の長さと第2オリフィスホール464の長さと、を合わせた長さより短く形成される。弾性部材476は、バルブコア474をバルブチャンバの第1先端面472b側に加圧するように、例えば、第3円筒部の上面4744acと第3オリフィスホール466の基底面との間の空間に備えられる圧縮コイルばねで形成される。
【0055】
一方、第3オリフィスホール466の出口は、弾性部材476がその第3オリフィスホール466を通過する冷媒の流れを妨げないように、第3オリフィスホール466の内周面に形成される。そして、第3オリフィスホール466の出口は、常に第3円筒部の上面4744acと第3オリフィスホール466の基底面との間の空間と連通するように、第3オリフィスホール466の内周面のうち第3オリフィスホール466の基底面に接する部位に形成される。
【0056】
一方、リヤハウジング130は、そのリヤハウジング130の変形を防止するように、そのリヤハウジング130の内壁面から延びてバルブ機構に支持されるポスト部132を含むが、構造の単純化およびコスト低減のために、バルブチャンバ472、第2オリフィスホール464、および第3オリフィスホール466は、ポスト部132に形成され、第1オリフィスホール462は、バルブ機構(特に、ポスト部132を支持する部位)に形成される。
【0057】
以下、本実施形態に係る斜板式圧縮機の作用効果について説明する。すなわち、駆動源(図示せず)から回転軸210に動力が伝達されると、回転軸210と斜板220が共に回転することができる。そして、ピストン230は、斜板220の回転運動を直線運動に切替えてボア114の内部で往復運動することができる。
【0058】
そして、ピストン230が上死点から下死点に移動するとき、圧縮室は、バルブ機構300によって吸入室S1とは連通し且つ吐出室S3とは遮蔽されて、吸入室S1の冷媒が圧縮室に吸入される。すなわち、ピストン230が上死点から下死点に移動するとき、吸入バルブが吸入ポートを開放し、吐出バルブが吐出ポートを閉鎖し、吸入室S1の冷媒が吸入孔および吸入ポートを通して圧縮室に吸入される。そして、ピストン230が下死点から上死点に移動するとき、圧縮室は、バルブ機構300によって吸入室S1および吐出室S3と遮蔽され、圧縮室の冷媒が圧縮される。すなわち、ピストン230が下死点から上死点に移動するとき、吸入バルブが吸入ポートを閉鎖し、吐出バルブが吐出ポートを閉鎖し、圧縮室の冷媒が圧縮される。
【0059】
そして、ピストン230が上死点に到達したとき、圧縮室は、バルブ機構300によって吸入室S1とは遮蔽され且つ吐出室S3とは連通して、圧縮室で圧縮された冷媒が吐出室S3に吐出される。すなわち、ピストン230が上死点に到達したとき、吸入バルブが吸入ポートを閉鎖し、吐出バルブが吐出ポートを開放し、圧縮室で圧縮された冷媒が吐出孔および吐出ポートを通して吐出室S3に吐出される。
【0060】
ここで、本実施形態に係る可変容量斜板式圧縮機は、次のように冷媒吐出量が調節可能である。まず、停止時、冷媒吐出量が最小である最小モードに設定される。すなわち、斜板220が回転軸210に垂直に近く配置されて、斜板220の傾斜角が零(0)に近くなる。ここで、斜板220の傾斜角は、斜板220の回転中心を基準として、斜板220の回転軸210と斜板220の法線との間の角度で測定できる。次に、運転が開始されると、一旦、冷媒吐出量が最大である最大モードに調節される。すなわち、第1流路430が圧力調節バルブ(図示せず)によって閉鎖され、クランク室S4の圧力が吸入圧水準に減少する。すなわち、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が最小に減少できる。これによって、ピストン230に印加されるクランク室S4の圧力が最小に減少して、ピストン230のストロークが最大に増加し、斜板220の傾斜角が最大に増加し、冷媒吐出量が最大に増加できる。
【0061】
次に、最大モードの後には、要求される冷媒吐出量に応じて、第1流路430の開度量が圧力調節バルブ(図示せず)によって調節され、クランク室S4の圧力が調節される。すなわち、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が調節可能である。これによって、ピストン230に印加されるクランク室S4の圧力が調節されて、ピストン230のストロークが調節され、斜板220の傾斜角が調節され、冷媒吐出量が調節されることが可能である。
【0062】
すなわち、例えば、冷媒吐出量が最大に増加した後、冷媒吐出量の減少が必要な場合、第1流路430が圧力調節バルブ(図示せず)によって開放されるが、その第1流路430の開度量が圧力調節バルブ(図示せず)によって増加して、クランク室S4の圧力が増加する。すなわち、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が増加できる。これによって、ピストン230に印加されるクランク室S4の圧力が増加して、ピストン230のストロークが減少し、斜板220の傾斜角が減少し、冷媒吐出量が減少することが可能である。
【0063】
他の例として、冷媒吐出量が減少した後、冷媒吐出量の増加が必要な場合、第1流路430が圧力調節バルブ(図示せず)によって開放されるが、その第1流路430の開度量が圧力調節バルブ(図示せず)によって減少して、クランク室S4の圧力が減少する。すなわち、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が減少できる。これによって、ピストン230に印加されるクランク室S4の圧力が減少して、ピストン230のストロークが増加し、斜板220の傾斜角が増加し、冷媒吐出量が増加することが可能である。
【0064】
ここで、クランク室S4の圧力減少のためには、すなわち、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が減少するためには、第1流路430が閉鎖されるか、その第1流路430の開度量が減少して、吐出室S3からクランク室S4に流入する冷媒量が減少しなければならないだけでなく、クランク室S4の冷媒がそのクランク室S4の外部に排出されなければならず、このために、クランク室S4の冷媒を吸入室S1に案内する第2流路450および吸入室S1の圧力上昇を防止するように、第2流路450を通過する冷媒を減圧させるオリフィスホール460が備えられる。
【0065】
ところが、オリフィスホール460の有効流動断面積がクランク室S4の圧力(クランク室の圧力と吸入室の圧力との間の差圧)と関係なく常に一定である場合、冷媒吐出量の迅速な調節と圧縮機の効率低下の防止を同時に達成するのに困難がある。すなわち、オリフィスホール460の有効流動断面積が一定に広い面積で形成される場合、クランク室S4の圧力(クランク室の圧力と吸入室の圧力との間の差圧)が減少しなければならないとき、クランク室S4の冷媒が吸入室S1に迅速に吐出可能で応答性の面で有利であるが、クランク室S4の圧力が維持または増加しなければならないとき、クランク室S4の冷媒が無駄に吸入室S1に漏洩して効率の面で不利である。
【0066】
これに対し、オリフィスホール460の有効流動断面積が一定に狭い面積で形成される場合、クランク室S4の圧力(クランク室の圧力と吸入室の圧力との間の差圧)が維持または増加しなければならないとき、クランク室S4から吸入室S1に漏洩する冷媒量が減少して効率の面で有利であるが、クランク室S4の圧力(クランク室の圧力と吸入室の圧力との間の差圧)が減少しなければならないとき、クランク室S4の冷媒が吸入室S1に吐出されにくくて応答性の面で不利である。
【0067】
これを考慮して、本実施形態の場合、第1オリフィスホール462、バルブチャンバ472、第2オリフィスホール464、および第3オリフィスホール466がバルブコア474の往復運動方向に沿って順次に形成される。そして、第1端部4742がバルブチャンバ472の内部に往復運動可能に形成され、第2端部4744が第2オリフィスホール464に挿入された状態で第1端部4742と共に往復運動し、第3オリフィスホール466に出入可能に形成される。そして、第3オリフィスホール466の内径が前記第2オリフィスホール464の内径より小さく形成され、第3円筒部4744aの外径が第3オリフィスホール466の内径より小さく形成されて、第2オリフィスホール464の断面積から第3円筒部4744aの面積を差し引いた面積が予め決定された第1面積A1として形成され、第3オリフィスホール466の断面積から第3円筒部4744aの面積を差し引いた面積が零(0)より広く且つ第1面積A1より狭い第2面積A2として形成される。
【0068】
そして、第1オリフィスホール462の断面積が第1面積A1と同等水準に形成される。そして、バルブチャンバ472の断面積から第1円筒部4742aの面積と複数の突起部4742cの面積とを差し引いた面積は、第1オリフィスホール462を通過した冷媒が第2オリフィス側に円滑に流動するように、第1オリフィスホール462の断面積と等しいか広く形成される。すなわち、バルブチャンバ472の断面積から第1円筒部4742aの面積と複数の突起部4742cの面積とを差し引いた面積は、第1面積A1と等しいか広く形成される。ここで、第1面積A1は、第2流路450を通過する冷媒を十分に減圧させる範囲内で最大に形成されるが、第3オリフィスホール466の断面積よりは狭く形成される。そして、第1オリフィスホール462の開度量が前記第1端部4742によって調節され、第2オリフィスホール464の開度量および第3オリフィスホール466の開度量が第2端部4744によって調節されて、オリフィスホール460の有効流動断面積がクランク室S4の圧力(クランク室の圧力と吸入室の圧力との間の差圧)によって可変するように形成される。これによって、冷媒吐出量の迅速な調節と圧縮機の効率低下の防止が同時に達成できる。
【0069】
具体的には、まず、バルブチャンバ472の内径、第2オリフィスホール464の内径、および第3オリフィスホール466の内径が第3円筒部4744aの外径より大きく形成されていることにより、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧とは関係なく(バルブコア474の位置とは関係なく)、バルブチャンバ472、第2オリフィスホール464、および第3オリフィスホール466は、常に吸入室S1と連通していてよい。この状況で、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第1圧力P1より低い場合、バルブコア474の一側に印加される力(クランク室S4から第1オリフィスホール462を通過して第1円筒部の底面4742abに印加される圧力とその圧力の作用面積の積)がバルブコア474の他側に印加される力(第1円筒部の上面4742ac、複数の突起部の上面4742cc、および第3円筒部の上面4744acに印加される圧力とその圧力の作用面積の積および弾性部材476によって印加される力の合力)より小さいか等しくてよい。
【0070】
これによって、
図5に示されるように、バルブコア474がバルブチャンバの第1先端面472b側に移動して、第1円筒部の底面4742abがバルブチャンバの第1先端面472bに接触することにより、第1オリフィスホール462がバルブコア474によって閉鎖される。これによって、クランク室S4の冷媒は、吸入室S1側に流動することができない。ここで、第1オリフィスホール462が完全に閉鎖されていることにより、第1オリフィスホール462の流動断面積は零(0)になる。そして、第1オリフィスホール462は、オリフィスホール460のボトルネックとなり、オリフィスホール460の有効流動断面積は、
図8に示されるように、第1オリフィスホール462の流動断面積である零(0)になる。
【0071】
次に、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第1圧力P1より高いか等しく且つ第2圧力P2より低い場合、バルブコア474の一側に印加される力がバルブコア474の他側に印加される力より大きくなる。これによって、
図6に示されるように、バルブコア474がバルブチャンバの第2先端面472c側に移動して、第1円筒部の底面4742abがバルブチャンバの第1先端面472bから離隔し、第1オリフィスホール462が開放される。これによって、クランク室S4の冷媒が吸入室S1側に流動することができる。すなわち、クランク室S4の冷媒が、第1オリフィスホール462を通過してバルブチャンバの第1先端面472bと第1端部4742との間の空間に流入することができる。そして、バルブチャンバの第1先端面472bと第1端部4742との間の空間の冷媒が、バルブチャンバの内周面472aと第1円筒部の外周面4742aaとの間の空間に流入することができる。
【0072】
そして、バルブチャンバの内周面472aと第1円筒部の外周面4742aaとの間の空間の冷媒が、バルブチャンバの内周面472aと第2円筒部の外周面との間の空間に流入することができる。そして、バルブチャンバの内周面472aと第2円筒部の外周面との間の空間の冷媒が、バルブチャンバの内周面472aと第3円筒部の外周面との間の空間に流入することができる。そして、バルブチャンバの内周面472aと第3円筒部の外周面との間の空間の冷媒が、第2オリフィスホール464の内周面と第3円筒部の外周面との間の空間に流入することができる。そして、第2オリフィスホール464の内周面と第3円筒部の外周面との間の空間の冷媒が、前記第3オリフィスホール466に流入することができる。そして、第3オリフィスホール466の冷媒が、その第3オリフィスホール466の出口を通して吸入室S1に吐出される。
【0073】
ここで、第1オリフィスホール462が完全に開放されていることにより、第1オリフィスホール462の流動断面積は、その第1オリフィスホール462の断面積と等しい第1面積A1になる。そして、第3円筒部4744aが第2オリフィスホール464に挿入されていることにより、第2オリフィスホール464の流動断面積は、第2オリフィスホール464の断面積より狭い第1面積A1になる。これに対し、第3円筒部4744aが第3オリフィスホール466に挿入されないことにより、第3オリフィスホール466の流動断面積は、第3オリフィスホール466の断面積と等しい面積になる。すなわち、第3オリフィスホール466の流動断面積は、第2面積A2より広く且つ第1面積A1よりも広い面積になる。
【0074】
これによって、第2オリフィスホール464は、第1オリフィスホール462と共にオリフィスホール460のボトルネックとなり、オリフィスホール460の有効流動断面積は、
図8に示されるように、第2オリフィスホール464の流動断面積で且つ、第1オリフィスホール462の流動断面積である第1面積A1になる。次に、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第2圧力P2より高いか等しい場合、バルブコア474の一側に印加される力がバルブコア474の他側に印加される力よりも大きくなる。
【0075】
これによって、
図7に示されるように、バルブコア474がバルブチャンバの第2先端面472c側にさらに移動して、第1円筒部の底面4742abがバルブチャンバの第1先端面472bからさらに離隔し、第1オリフィスホール462が引き続き開放できる。これによって、クランク室S4の冷媒が吸入室S1側に引き続き流動することができる。すなわち、クランク室S4の冷媒が、第1オリフィスホール462を通過してバルブチャンバの第1先端面472bと第1端部4742との間の空間に流入することができる。そして、バルブチャンバの第1先端面472bと第1端部4742との間の空間の冷媒が、バルブチャンバの内周面472aと第1円筒部の外周面4742aaとの間の空間に流入することができる。
【0076】
そして、バルブチャンバの内周面472aと第1円筒部の外周面4742aaとの間の空間の冷媒が、バルブチャンバの内周面472aと第2円筒部の外周面との間の空間に流入することができる。そして、バルブチャンバの内周面472aと第2円筒部の外周面との間の空間の冷媒が、第2オリフィスホール464の内周面と第3円筒部の外周面との間の空間に流入することができる。ここで、複数の突起部の上面4742ccがバルブチャンバの第2先端面472cに接触するが、第2円筒部4742bによって、バルブチャンバの内周面472aと第1円筒部の外周面4742aaとの間の空間の冷媒が、第2オリフィスホール464の内周面と第3円筒部の外周面との間の空間に流入することができる。そして、第2オリフィスホール464の内周面と第3円筒部の外周面との間の空間の冷媒が、第3オリフィスホール466の内周面と第3円筒部の外周面との間の空間に流入することができる。そして、第3オリフィスホール466の内周面と第3円筒部の外周面との間の空間の冷媒が、その第3オリフィスホール466の出口を通して吸入室S1に吐出される。
【0077】
ここで、第1オリフィスホール462が依然として完全に開放されていることにより、第1オリフィスホール462の流動断面積は、依然としてその第1オリフィスホール462の断面積と等しい第1面積A1になる。そして、第3円筒部4744aが依然として第2オリフィスホール464に挿入されていることにより、第2オリフィスホール464の流動断面積は、依然として第2オリフィスホール464の断面積より狭い第1面積A1になる。そして、第3円筒部4744aが、第2オリフィスホール464だけでなく、第3オリフィスホール466にも挿入されていることにより、第3オリフィスホール466の流動断面積は、第3オリフィスホール466の断面積より狭く且つ第1面積A1より狭い前記第2面積A2になる。
【0078】
これによって、第3オリフィスホール466は、オリフィスホール460のボトルネックとなり、オリフィスホール460の有効流動断面積は、
図8に示されるように、第3オリフィスホール466の流動断面積である第2面積A2になる。ここで、本実施形態に係る可変容量斜板式圧縮機は、オリフィスホール460の有効流動断面積がクランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧(より正確には、クランク室S4の圧力)によって可変することで、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧(より正確には、クランク室S4の圧力)が維持または増加しなければならないとき、クランク室S4から吸入室S1に漏洩する冷媒量が減少できる。
【0079】
すなわち、
図8を参照すれば、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第1圧力P1より低い範囲、および第2圧力P2より高いか等しい範囲で、オリフィスホール460の有効流動断面積が第1面積A1より減少できる。これによって、オリフィスホール460の有効流動断面積がクランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧と関係なく第1面積A1で一定に維持されるときに比べて、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が維持または増加しなければならないとき、クランク室S4から吸入室S1に漏洩する冷媒量が
図8の斜線部分のように減少できる。
【0080】
これによって、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧を、所望の水準に合わせるために、第1流路430を通して吐出室S3からクランク室S4に流入する冷媒量が減少し、相対的に吐出室S3から冷媒吐出管(図示せず)を通して冷却サイクルで吐出される冷媒量が増加できる。これによって、圧縮機が相対的に少ない仕事(圧縮)をしても、簡単に所望の冷房または暖房水準を達成できて、圧縮機を駆動するのに必要な動力が減少し、圧縮機の効率が向上できる。
【0081】
そして、第1面積A1が第2流路450を通過する冷媒を十分に減圧される範囲内で最大に形成されることにより、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が減少しなければならないとき、クランク室S4の冷媒が吸入室S1に迅速に吐出可能で、応答性が向上できる。すなわち、冷媒吐出量が迅速に調節可能である。そして、第1面積A1が第2面積A2より広く形成されることにより、最大モードへの切替にかかる時間が減少できる。すなわち、最大モードに切替えたとき、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が漸進的に減少して、零(0)に隣接する水準に減少しても、クランク室S4の冷媒が吸入室S1側に円滑に吐出されてこそ、最大モードへの切替に必要な時間が減少できる。ところが、本実施形態とは異なり、第1面積A1が前記第2面積A2より狭く形成される場合、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第2圧力P2より低くなって、零(0)に隣接する水準に減少すれば、オリフィスホール460の有効流動断面積が減少して、クランク室S4の冷媒が吸入室S1側に円滑に吐出できない。これによって、最大モードへの切替にかかる時間が増加する。
【0082】
これに対し、本実施形態の場合、第1面積A1が第2面積A2より広く形成されることにより、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第2圧力P2より低くなって、零(0)に隣接する水準に減少すれば、オリフィスホール460の有効流動断面積が増加して、クランク室S4の冷媒が吸入室S1側に円滑に吐出できる。これによって、最大モードへの切替にかかる時間が減少できる。一方、前述のように、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第1圧力P1より低い場合、オリフィスホール460の有効流動断面積が零(0)になることにより、圧縮機の損傷が防止できる。
【0083】
具体的には、車両用冷却システムは、低温低圧の気相冷媒を高温高圧の気相冷媒に圧縮する圧縮機の他にも、圧縮機から吐出される高温高圧の気相冷媒を低温高圧の液相冷媒に凝縮する凝縮器と、凝縮器から吐出される低温高圧の液相冷媒を低温低圧の液相冷媒に膨張させる膨張バルブと、膨張バルブから吐出される低温低圧の液相冷媒を低温低圧の気相冷媒に蒸発させる蒸発器とを有する蒸気圧縮冷凍サイクル機構を備えている。
【0084】
このような構成による車両用冷却システムは、開始信号が入力されると、圧縮機が駆動されて冷媒を圧縮し、圧縮機から吐出される冷媒が凝縮器、膨張バルブ、および蒸発器を循環して圧縮機に回収され、凝縮器と蒸発器は空気と熱交換され、凝縮器および蒸発器と熱交換された空気の一部が車両の乗員室に供給されて、冷房、暖房、除湿を提供する。
【0085】
ここで、従来の場合、圧縮機の摺動部の潤滑のために、その圧縮機の内部に貯油されるオイルが不足した場合でも、圧縮機が駆動されて圧縮機が損傷する問題点があった。より具体的には、車両を日較差の大きい外部環境に長期間放置時、日較差によって冷凍サイクルで冷媒とオイルの移動が発生する。すなわち、マイグレーション(migration)現象が発生する。ところが、圧縮機から凝縮器、膨張バルブ、および蒸発器に移動した冷媒とオイルのうち相対的に粘性の大きいオイルは圧縮機に再度流入せず、圧縮機の内部にオイル量が予め決定された基準オイル量より少ない不足状態が発生する。このようなオイル不足状態で圧縮機が駆動されると、摺動部の摩擦が増加し、固着が発生して圧縮機が損傷する問題点が発生する。
【0086】
しかし、本実施形態の場合、圧縮機の停止時、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が零(0)になって第1圧力P1より低くなり、第1オリフィスホール462がバルブコア474によって閉鎖されて、オリフィスホール460の有効流動断面積が零(0)になる。これによって、冷媒とオイルがクランク室S4と吸入室S1との間を移動できないことにより、圧縮機の内部にあった冷媒とオイルが圧縮機の外部に移動することが抑制できる。これによって、圧縮機の内部にオイル量が予め決定された基準オイル量より少なくなることが抑制され、オイル不足による圧縮機の損傷が防止できる。
【0087】
一方、本実施形態の場合、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が減少するとき、バルブコア474の挙動信頼性を確保するために、弾性部材476が備えられ、弾性部材476の弾性係数が高く形成される。しかし、これに限定されるものではなく、
図9および
図10に示されるように、オリフィスホール460の開放時期を早めるために、弾性部材476の弾性係数が低く形成されてもよい。すなわち、第1圧力P1より低い圧力を新しい第1圧力P1’とし、第2圧力P2より低い圧力を新しい第2圧力P2’とすれば、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が、新しい第1圧力P1’より高いか等しく且つ新しい第2圧力P2’より低い範囲で、オリフィスホール460の有効流動断面積が第1面積A1になる。
【0088】
これによって、
図10に示すように、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が減少しなければならないとき(特に、運転開始後、最大モードに調節時)、応答性が向上できる。ここで、弾性部材476は、主にバルブコア474をバルブチャンバの第1先端面472b側に復帰させるためのものであるので、弾性部材476の弾性係数は、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が零(0)に近くなったとき、バルブコア474をバルブチャンバの第1先端面472b側に移動させることができる範囲内でできるだけ小さく形成されて、応答性を向上させることが好ましい。
【0089】
一方、本実施形態の場合、第1オリフィスホール462の断面積が第1面積A1と同等水準に形成されるが、これに限定されるものではなく、第1オリフィスホール462の断面積が第1面積A1より広く形成されてもよい。
【0090】
一方、本実施形態の場合、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第1圧力P1より低い場合、有効流動断面積が零(0)になり、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が、第1圧力P1より高いか等しく且つ第2圧力P2より低い場合、有効流動断面積が第1面積A1になり、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第2圧力P2より高いか等しい場合、有効流動断面積が第2面積A2になるように形成される。
【0091】
しかし、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、
図11に示されるように、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第1圧力P1より低い場合、有効流動断面積が零(0)になり、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第1圧力P1より高いか等しく且つ第2圧力P2より低い場合、有効流動断面積が零(0)より広く且つ第1面積A1より狭い面積になり、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第2圧力P2より高いか等しく且つ第3圧力より低い場合、有効流動断面積が第1面積A1になり、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第3圧力より高いか等しく且つ第4圧力より低い場合、有効流動断面積が第1面積A1より狭く且つ第2面積A2より広い面積になり、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第4圧力より高いか等しい場合、有効流動断面積が第2面積A2になるように形成される。ここで、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が、第1圧力より高いか等しく且つ第2圧力より低い範囲で、オリフィスホール460の有効流動断面積がクランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧に比例して線形的に増加するように形成される。そして、クランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧が第3圧力より高いか等しく且つ第4圧力より低い範囲で、オリフィスホール460の有効流動断面積がクランク室S4の圧力と吸入室S1の圧力との間の差圧に比例して線形的に減少するように形成される。