特許第6972366号(P6972366)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972366加圧ガスイオンチャンバベース線量較正器の較正バイアス低減
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972366
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】加圧ガスイオンチャンバベース線量較正器の較正バイアス低減
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   G01T1/161 Z
   G01T1/161 B
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-545491(P2020-545491)
(86)(22)【出願日】2019年1月22日
(65)【公表番号】特表2021-515222(P2021-515222A)
(43)【公表日】2021年6月17日
(86)【国際出願番号】US2019014440
(87)【国際公開番号】WO2019172997
(87)【国際公開日】20190912
【審査請求日】2020年9月16日
(31)【優先権主張番号】62/639,649
(32)【優先日】2018年3月7日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】バタチャリア,マノジート
【審査官】 遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0356894(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0194677(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0192104(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0196266(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能イメージングシステムの線量較正方法であって、
第1の場所にある第1の線量較正器(20)を用いて第1の同位元素の第1の放射源からの第1の放射能を測定するステップ(30)と、
前記第1の放射能から第1のダイヤル設定を決定するステップ(31)と、
前記第1の場所にある前記第1の線量較正器(20)を用いて前記第1の同位元素よりも比較的短寿命である第2の同位元素の第2の放射源の第2の放射能を測定するステップ(32)と、
前記第2の放射能から第2のダイヤル設定を決定するステップ(33)と、
前記第1の場所と異なる臨床又は製薬現場である第2の場所で第2の線量較正器(24)を用いて前記第1の同位元素の第3の放射源の第3の放射能を測定するステップ(34)と、
前記第3の放射能から第3のダイヤル設定を決定するステップ(35)と、
前記第3のダイヤル設定と、前記第2のダイヤル設定に対する前記第1のダイヤル設定の比率から、前記第2の同位元素の放射性医薬品(26)に対する第4のダイヤル設定を決定するステップ(37)と、
前記放射性医薬品(26)の第4の放射能を測定するステップ(36)と、
前記第4の放射能を前記第4のダイヤル設定で較正するステップ(39)と、を含む、機能イメージングシステムの線量較正方法。
【請求項2】
前記第1及び第3の放射能を測定するステップ(30、34)が、高純度ゲルマニウム検出器から求めた放射能レベルを有する前記第1及び第3の放射源を用いて測定するステップ(30、34)を含む、請求項1に記載の線量較正方法。
【請求項3】
前記第1及び第3の放射能を測定するステップ(30、34)が、前記同一の第1の同位元素の複数の試料を有する前記第1及び第3の放射源を用いて測定するステップ(30、34)を含む、請求項1に記載の線量較正方法。
【請求項4】
前記第1及び第3の放射能を測定するステップ(30、34)が、前記第1及び第2の線量較正器(20、24)内の同じ場所に設置された前記第1及び第3の放射源でそれぞれ測定するステップ(30、34)と、前記第2及び第4の放射能を測定するステップ(32、36)が、前記第1の線量較正器(20)及び第3の線量較正器内の同じ場所に設置された前記第2の放射源及び放射性医薬品(26)でそれぞれ測定するステップ(32、36)と、を含む、請求項1に記載の線量較正方法。
【請求項5】
前記第1の場所での前記第1及び第2の放射能を測定するステップ(30、32)が、基準試験所で測定するステップ(30、32)を含む、請求項1に記載の線量較正方法。
【請求項6】
前記第1、第2、及び第3のダイヤル設定を決定するステップ(31、33、35)は、前記測定された第1、第2、及び第3の放射能及び前記第1、第2、及び第3の放射源の基準放射能にそれぞれ基づいて感度を決定するステップ(31、33、35)を含む、請求項1に記載の線量較正方法。
【請求項7】
前記第4のダイヤル設定を決定するステップ(37)は、患者の単一光子放射断層撮影(SPECT)イメージングのために投与された前記放射性医薬品(26)のための第4のダイヤル設定を決定するステップ(37)を含む、請求項1に記載の線量較正方法。
【請求項8】
線量を較正するステップ(39)は、前記放射性医薬品(26)に対するバイアスを決定するステップ(38)を含み、前記バイアスに基づく線量による患者のSPECTイメージングをさらに含む、請求項7に記載の線量較正方法。
【請求項9】
前記第4の放射能を測定するステップ(36)は、前記第2の同位元素の試料を有する前記放射性医薬品(26)を用いて前記第4の放射能を測定するステップ(36)を含む、請求項1に記載の線量較正方法。
【請求項10】
前記第2の放射能を測定するステップ(32)は、前記第2の同位元素が1週間以下の半減期を有し、前記第1の同位元素が1年以上の半減期を有する測定ステップ(32)を含む、請求項1に記載の線量較正方法。
【請求項11】
前記第3及び第4のダイヤル設定を決定するステップ(35、37)は、前記臨床又は製薬現場で決定するステップを含む、請求項1に記載の線量較正方法。
【請求項12】
医療機能イメージングシステムの線量較正方法であって、
臨床又は製薬現場において、第1の線量較正器(24)を用いて第1の同位元素の第1の放射源の第1の放射能を測定するステップ(34)と、
前記第1の放射能及び前記第1の放射源の基準放射能から、前記第1の同位元素に対する前記第1の線量較正器(24)の第1の感度を決定するステップ(35)と、
前記第1の感度から第2の同位元素に対する前記第1の線量較正器(24)の第2の感度と、前記第1の同位元素及び前記第2の同位元素に対する第2の線量較正器(20)の第3と第4の感度の比率と、をそれぞれ決定するステップ(37)と、
前記第2の感度を用いて前記第2の同位元素の放射性医薬品(26)の放射能を測定するステップ(36)と、
を含む、医療機能イメージングシステムの線量較正方法。
【請求項13】
前記第2の感度を決定するステップ(37)は、同位元素ペアの表からの前記比率を用いて、前記第1及び第2の同位元素に対する前記同位元素ペアの1つに対する比率を決定するステップ(37)を含む、請求項12に記載の線量較正方法。
【請求項14】
前記第1の同位元素が、少なくとも6か月の半減期を有し、前記第2の同位元素は、1か月未満の半減期を有し、前記第1の放射能を測定するステップ(34)が、ゲルマニウム検出器からの前記第1の放射源の基準放射能を測定するステップ(34)を含む、請求項12に記載の線量較正方法。
【請求項15】
前記第2の感度を決定するステップ(37)は、前記第1の線量較正器(24)のダイヤル設定を決定するステップ(37)を含む、請求項12に記載の線量較正方法。
【請求項16】
前記第2の感度を決定するステップ(37)が、基準試験所からの前記比率を決定するステップ(37)を含み、前記第1の放射能を測定するステップ(34)が、前記放射性医薬品(26)の患者への投与を行う調剤室を有する臨床又は製薬現場での測定ステップ(34)を含む、請求項12に記載の線量較正方法。
【請求項17】
前記放射性医薬品の放射能を測定するステップ(36)は、前記放射性医薬品(26)の線量を測定するステップ(36)と、線量により前記放射性医薬品(26)にラベルを記載するステップを含む、請求項12に記載の線量較正方法。
【請求項18】
機能イメージングの線量較正システムであって、
基準放射能を有する放射性トレーサ源(25)と、
前記放射性トレーサ源(25)の放射能と放射性医薬品(26)の放射能を測定する第1のガスイオンチャンバベース線量較正器(24)と、
(1)前記放射性トレーサ源(25)の放射能と前記基準放射能から決定された、前記第1のガスイオンチャンバベース線量較正器(24)の第1のダイヤル設定と、
(2)前記放射性医薬品(26)の同位元素に対する前記放射性トレーサ源(25)の同位元素の第2及び第3のダイヤル設定の比率と、
から前記第1のガスイオンチャンバベース線量較正器(24)により前記放射性医薬品(26)の放射能のバイアスを決定するように構成されたプロセッサ(12)と、
を備えた、機能イメージングの線量較正システム。
【請求項19】
前記比率が、基準試験所における第2のガスイオンチャンバベース線量較正器(20)からの測定に基づいており、前記基準放射能が、高純度ゲルマニウム検出器による測定に基づいている、請求項18に記載の線量較正システム。
【請求項20】
前記プロセッサ(12)は、前記放射性医薬品(26)の前記放射能のバイアスから前記放射性医薬品(26)の線量を決定するように構成された、請求項18に記載の線量較正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許文書は、2018年3月7日に提出された米国仮特許出願第62/639,649号の米国特許法第119条(e)に基づく出願日の利益の享受を主張するものであり、その全体を参照として援用する。
【0002】
本実施形態は、機能イメージングの線量較正に関する。線量較正は、定量的又は他の機能イメージングのために実施される。
【背景技術】
【0003】
陽電子放射断層撮影(PET)と単一光子放射断層撮影(SPECT)は、機能又は核医学イメージングの2つの種類がある。機能イメージングは、患者内の代謝機能を決定するために放射性同位元素又は放射性トレーサを使用る。放射性トレーサからの放射が検出される。放射能濃度(すなわち、異なる場所からの放射性トレーサの濃度)は、検出された放射物から再構成される。定量的機能イメージングのためには、正確な放射能濃度と取込値の両方が望まれる。目標は、システム(検出器及び線量較正器)のばらつきがなく、どちらの量においても患者の経時的な測定変化が代謝上の理由によるものとなるように、全体的なベースラインを提供することである。注入された放射能は、規定された線量に固執するためだけでなく、定量的機能イメージングにおける取込値の計算にも使用するための重要な量である。
【0004】
ガスイオンチャンバベース線量較正器は、線量の測定を行う。患者に投与される液体同位元素(放射性トレーサ又は放射性医薬品)の線量値が不正確である可能性がある。不正確さの1つの原因は、特性X線からの寄与である。図1にインジウム(In)111の発光スペクトルの表を示す。表には、エネルギー、強度(崩壊の所与の事例で起こる確率と不確実性の可能性を%とする)、ガンマ線及びX線放射の線量が含まれる。ガスイオンチャンバベース線量較正器の感度は、入射光子又はガンマ線エネルギーの高次非線形関数である。多くのSPECT放射性トレーサからの一次ガンマ線放出はガスイオンチャンバ感度が最小となるが、SPECT放射性トレーサの特性X線エネルギーに対するガスイオンチャンバ感度は高い。その結果、ガスイオンチャンバベース線量較正器による放射能の測定は、X線からのより大きい又は同等の量のエネルギーを含む。分析したときの注入放射能は、光子イメージングに加えてX線を放射する同位元素に対して大きなバイアスを持つ。一次放出に加えて高エネルギーガンマ線放射のSPECT放射性トレーサでは、高エネルギーガンマ線の複数のコンプトン散乱も線量が不確実になる。
【0005】
線量較正における特性X線からのエネルギー寄与を制限するために、受動シールド(例えば、銅ジャケット)を施して、一次放出に対してX線を差動減衰させる。ジャケットはX線を減少させるが、除去せず、一次放出を減衰させ、未知の製造ばらつきを有する。その結果、大きさが変動し不確実になる。X線の放射が著しい同位元素では、トレーサ容器内のX線とガンマ線の差動減衰によっても不確定になる。一次放出に加えて高エネルギーガンマ線放射をする同位元素では、複数のコンプトン散乱による高エネルギーガンマ線放射に対するより高い効率は、線量が不確実になる。
【0006】
別のアプローチでは、標準形状の同位元素の放射源を効率が較正されたHPGe検出器を用いて較正する。一次放出と既知の分岐比を用いて、ガスイオンチャンバベース線量較正器の同じ放射源を較正し、バイアスの決定を可能にする。しかし、放射能のため、現場間で放射源を製造し、輸送することは、物流上困難である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
前置きとして、以下に記載する好適な実施形態は、機能イメージングにおける線量較正のための方法、装置、及び一時的でないコンピュータ読取可能記録媒体を含む。同じ長寿命同位元素のための異なる精密放射源を用いて較正を行い、1つの放射源をある場所から別の場所に輸送しなければならないことを回避する。イメージングに用いられる同位元素を用いた放射源への、長寿命同位元素の精密放射源に対する基準試験所の線量較正器の感度の比率を見出した。臨床現場(例えば、放射化学又は機能イメージング施設)では、長寿命同位元素を用いた他の放射源に対する遠隔ガスイオンチャンバベース線量較正器の感度と遠隔の線量較正器からの比率の測度を用いて、放射性医薬品の同位元素に対する遠隔の線量較正器の感度を決定する。患者撮像に使用する放射性医薬品のバイアス及び対応する線量は、放射性医薬品の同位元素に対する遠隔の線量較正器の感度を考慮するように較正された放射性医薬品の放射能に基づく。
【0008】
第1の態様では、機能イメージングシステムに対する線量較正方法を提供する。第1の同位元素の第1の放射源に対する第1の放射能は、第1の場所の第1の線量較正器で測定され、第1のダイヤル設定は、第1の放射能から決定される。第2の同位元素の第2の放射源の第2の放射能は、第1の場所の第1の線量較正器で測定される。第2の同位元素は、第1の同位元素よりも寿命が比較的短い。第2のダイヤル設定は、第2の放射能から決定される。第1の同位元素の第3の放射源の第3の放射能は、第2の場所にある第2の線量較正器で測定される。第2の場所は、第1の場所とは異なる臨床又は製薬現場である。第3のダイヤル設定は、第3の放射能から決定される。第4のダイヤル設定は、第3のダイヤル設定から第2の同位元素の放射性医薬品に対して決定され、第2のダイヤル設定と第1のダイヤル設定の比率が決定される。第4のダイヤル設定を用いて放射性医薬品の第4の放射能を測定し、第4の放射能を用いて較正する。
【0009】
第2の態様では、医療機能イメージングシステムの線量較正方法を提供する。第1の同位元素の第1の放射源の第1の放射能は、臨床又は製薬現場の第1の線量較正器で測定される。第1の同位元素に対する第1の線量較正器の第1の感度は、第1の放射源の第1の放射能と基準放射能から決定される。第2の同位元素に対する第1の線量較正器の第2の感度は、第1の感度と第2の線量較正器の第1の同位元素及び第2の同位元素に対する第3及び第4の感度の比率からそれぞれ求められる。第2の同位元素の放射性医薬品の放射能を第2の感度で測定する。
【0010】
第3の態様では、機能イメージングの線量較正システムを提供する。放射性トレーサ源の放射能と放射性医薬品の放射能を測定するための第1の線量較正器が設けられている。プロセッサは、放射性トレーサ源の放射能と放射性トレーサ源の基準放射能から求めた線量較正器の第の1ダイヤル設定(1)、及び放射性医薬品の同位元素に対する放射性トレーサ源の同位元素の第2及び第3のダイヤル設定の比率(2)から、決定された線量較正器の第1のダイヤル設定から第1の線量較正器により放射性医薬品の放射能のバイアスを決定するように構成されている。
【0011】
本発明は、添付した請求の範囲によって規定され、明細書中のどの記載も、それらの請求の範囲を限定するものとして見なすべきではない。本発明のさらなる態様及び利点については、好適な実施形態と共に以下において説明し、これらを独立又は組合せてクレームする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
構成要素及び図面は、必ずしも縮尺通りにはなっていない。それどころか、本発明の原理を説明する際に誇張がなされている。さらに、複数の図全体にわたり同一の参照符号を対応する部分に付与する。
図1】インジウム(In)111の発光スペクトルを示す表である。
図2】線量較正システムの一実施形態のブロック図である、
図3】核医学イメージングのための線量較正方法の一実施形態のフローチャートである。
図4】同位元素エネルギーによるガスイオンチャンバベース線量較正器の感度の例示的なグラフである。
図5】定量的又は他の機能イメージングにおける補正線量使用のための、一実施形態によるSPECTシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(図面の詳細な説明及び好適な実施形態)
複数の長寿命同位元素基準放射源が、加圧ガスイオンチャンバベース線量較正器の同位元素特異的較正に使用される。精密な長寿命同位元素放射源と相対較正により、線量較正が可能である。一定の幾何学的形状における長寿命同位元素の精密線量放射源と、一定の幾何学的形状の精密に製造された低減衰容器内の短寿命同位元素を用いて、基準試験所における基準線量較正器の相対ガスイオンチャンバの感度を決定する。臨床現場での相対ガスイオンチャンバの感度と基準ガスイオンチャンバの感度測定を用いて、短寿命同位元素の遠隔のガスイオンチャンバの感度を導出した。遠隔の線量較正器の較正バイアスは、放射性医薬品が放射する光子エネルギーに近いエネルギーの光子を放射する長寿命同位元素を用いた二次精密較正源を用いることにより、減少又は除去される。銅スリーブからの不確実性及び精密短寿命液体放射源を遠隔地に輸送する物流は避けられる。
【0014】
図2は、取込値のSPECT定量的イメージングなどの、機能イメージングにおける線量較正システムの一実施形態を示す。遠隔又は臨床ガスイオンチャンバベース線量較正器からの線量測定におけるバイアスは、2つの同位元素に対する別のガスイオンチャンバベース線量較正器の感度の比率に基づいて決定される。バイアスは、PET又はSPECTイメージングを較正するため、及び/又は定量的機能イメージングのための取込値を計算するためなど、任意の目的のために線量較正器によって提供される線量を補正するために使用してもよい。
【0015】
図2のシステムは、バイアスの決定に関し、図5のシステムは、バイアス又はバイアス補正線量の使用に関する。図2のシステムは、図3の方法の一部を実施する(例えば、ステップ30〜38又はステップ30〜39)。異なる方法を実施してもよい。
【0016】
このシステムは、基準線量較正器20、臨床線量較正器24、プロセッサ12、メモリ14、及びディスプレイ16を備えている。追加の、異なる、又は少数の構成要素を設けてもよい。例えば、メモリ14及び/又はディスプレイ16は設けていない。別の例として、SPECTシステム、PETシステム、分光検出器、及び/又はユーザインターフェース(ユーザ入力装置及びディスプレイ16)を提供する。
【0017】
一実施形態では、システムは、異なる放射性同位元素及び/又は幾何学的形状に対するバイアスを決定する。同位元素及び/又は形状の関数としてのバイアスのテーブルが、1つ以上の機能イメージングシステムに設けられている。バイアスを決定するために、ダイヤル設定の比率又は基準線量較正器20の感度補正又は同位元素及び/又は幾何学的形状の複数の組合せに対する比率のテーブルが、製造業者又は他の基準試験所によって提供される。各バイアスに対して、基準線量を用いた2つの基準放射源22、23が、基準線量較正器20からの測定値を使用して比率を決定するために使用される。臨床(例えば、機能イメージングシステム又は機能イメージングシステムの現場によって患者撮像のために線量を調合する放射性医薬品の現場)は、既知の又は基準線量を用いた基準放射源25を有する。放射源22、23を臨床又は放射性医薬品現場に送るのではなく、基準放射源25を基準現場からの比率と共に使用して、患者のために調剤された放射性医薬品の臨床線量較正器24の感度、バイアス、又はダイヤル設定を決定する。機能イメージングシステム又は臨床現場は、線量又は放射能値が提供された臨床線量較正器24に適切なバイアス(例えば、感度又はダイヤル設定に対する調整)を適用することによって、提供された放射性医薬品に対して較正された線量を決定する。この補正された線量値は、より正確な放射能濃度測定及び/又は特定の取込値(SUV)計算を実施する。
【0018】
放射性医薬品26の所定の同位元素に対するバイアスを決定するために、基準放射性トレーサ源22、23、及び25を使用する。基準試験所の1つの基準放射源22と臨床現場の1つの放射性トレーサ源25は、長寿命同位元素である。放射源22、25は同じ同位元素を使用する。長寿命同位元素は、半減期が6か月、1年、2年、又は6か月、1年、2年より長い期間のいずれかである。任意の同位元素は、コバルト(Co)57、セレン(Se)75、又は錫(Sn)113,ゲルマニウム(Ge)68のような、寿命の長い放射性トレーサ源22、25に含まれていてもよい。
【0019】
基準試験所の1つの基準放射源23は、放射性医薬品26で使用される同じ同位元素を有する。この同位元素は比較的短寿命の同位元素であるため、放射性トレーサ源22、25の長寿命同位元素の半減期よりも半減期が短い。短寿命同位元素は、1か月、1週間、2日、1日、1か月未満、1週間、2日、1日未満など半減期が6か月未満である。任意の同位元素を、インジウム(In)111、ヨウ素(I)123、ヨウ素(I)125、キセノン(Xe)133、又はセリウム(Ce)139、ルテチウム(Lu)177、ヨウ素(I)123、ヨウ素(I)131、テクネチウム(Tc)99、フッ素(F)18、ガリウム(Ga)68のような短寿命基準源23及び放射性薬品26に含めることができる。
【0020】
放射性医薬品26は、患者組織内の機能的(例えば、代謝)プロセスに結合又は親和させるための医薬品を含む。また、短寿命同位元素も含む。代替的に、放射性医薬品26は、臨床線量較正器24測定時に医薬品が添加されていない同位元素を含む。
【0021】
放射源22、23、25、及び/又は26は、任意の幾何学的形状で梱包されている。例えば、放射性トレーサは注射器内に入っている。別の例として、液体同位元素は、任意の形状の金属又はプラスチックのハウジング内に収容される。ハウジングのサイズ、形状、及び/又は材料が、幾何学的形状を規定する。短寿命同位元素にはプラスチックのような低減衰材料が用いられる。短寿命放射源23及び/又は26の容器の体積は、放射性医薬品26の容積、単位用量、及び/又は患者処方薬に使用する容積と同一又は類似であってもよい。幾何学的形状は、好ましくは、プラスチック注射器内の液体放射性トレーサのような、機能イメージングのために提供される放射性トレーサのために一般的に使用される幾何学的形状の1つである。長寿命放射源22及び/又は25の材料、形状、及び体積は、短寿命放射源23及び/又は26及び/又は互いに同じ又は異なる。
【0022】
基準線量及び臨床線量較正器20、24は、測定のために一定の幾何学的形状を有する。プラスチック又は他の材料形態又は部品が、放射源22、23、25、及び/又は26を、基準線量較正器20及び臨床線量較正器24内の特定の又は固定位置に配置することができ、測定のために一定の幾何学的形状を有する。
【0023】
長寿命同位元素放射源22、25は、既知又は基準放射能あるいは線量を有する。基準試験所(例えば、液体同位元素の製造業者)は、正確な又は基準放射能を示す。例えば、結晶とのガンマ線相互作用によって発生した光を感知するための接触型ダイオードを用いるシンチレーション結晶を有するガンマ線の固体検出器などの分光検出器が使用される。一実施形態では、高純度又は他のゲルマニウム(HPGe)検出器が使用される。ゲルマニウム円柱を冷却し、電圧を印加する。放射源22又は25は一端に配置され、ガンマ線放射はGe半導体中の陽極及び陰極配置で検出される。光電子増倍管に基づくなど、他の分光検出器を使用してもよい。短寿命の同位元素基準放射源23も同様に、基準放射能又は線量を有する。基準試験所は、分光検出器を用いて正確な又は基準放射能を示す。
【0024】
同一又は異なる分光検出器は、放射性トレーサ源22、23、及び25の放射能を測定する。光子あるいはガンマ線放射と分光検出器との相互作用によって発生した電気信号を測定する。この測定により、線量又は放射能が得られる。分光検出器は較正されており、異なるエネルギーでの放射を測定することができる。各エネルギーにおける放射は、X線エネルギーではなく、一次放出エネルギーで測定するなど、別々に測定してもよい。
【0025】
基準線量較正器20及び臨床線量較正器24は、加圧イオンガスチャンバ線量較正器のような加圧ガス線量較正器である。加圧気体は、2つの同心円筒又は他の形状の間の隙間に収容される。放射源22、23、25、26は、異なる時間に、基準線量較正器20又は臨床線量較正器24の内筒内に配置される。気体に到達する放射性トレーサ源22、23、25、又は26からの放射は、気体と相互作用し、イオン−電子対を生成する。電圧が、陽極及び陰極として動作するシリンダーの両端又は間に印加される。イオン−電子対からのエネルギーが測定され、同位元素放射源22、23、25、及び/又は26の放射能又は線量が得られる。
【0026】
ガスイオンチャンバベース線量較正器20、24は、同位元素放射源22、23、25、26の放射能を測定する。放射されたガンマ線と加圧気体との相互作用により発生した電気信号を測定した。この測定により、線量又は放射能が得られる。線量較正器20、24は較正され、気体と相互作用する全ての放射を測定する。線量較正器20、24は、分光検出器とは異なる種類の放射能測定システムである。
【0027】
基準線量較正器20は、基準放射源22及び23の長寿命及び短寿命同位元素の放射能又は線量を測定する。臨床線量較正器24は、臨床放射源25及び26の長寿命及び短寿命同位元素(例えば、精密長寿命同位元素放射源25及び患者の撮像に使用される放射性医薬品26)の放射能又は線量を測定する。
【0028】
基準線量較正器20は、臨床線量較正器24とは遠隔又は複数の施設(例えば、複数の建物、都市、状態及び/又は国)で測定を行う。例えば、基準線量較正器20は、分光検出器を有する基準試験所、製造業者、又は基準情報を提供する施設にある。臨床線量較正器24は、放射性医薬品26を患者に投与及び/又は撮像するために用いられる患者又は病院、あるいは他の施設で使用するために、放射性医薬品26を調剤及び/又は製造するための放射性医薬品の調剤室などの臨床現場にある。
【0029】
プロセッサ12は、一般的なプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、グラフィックス処理ユニット、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル回路、アナログ回路、これらの組み合わせ、又は較正又は線量決定のために現在既知又は後で開発される他の装置である。プロセッサ12は、単一の装置、複数の装置、又はネットワークである。複数の装置に対しては、処理の並列又は逐次分割を使用してもよい。プロセッサ12を構成する複数の装置は、複数の機能を実行することができる。一実施形態では、プロセッサ12は、線量較正器24又は機能イメージングシステムの制御プロセッサ又は他のプロセッサである。他の実施形態では、プロセッサ12は、別のワークステーション、サーバ、又はコンピュータの一部である。プロセッサ12は、本明細書に記載する様々な動作を実行するために、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェア命令に従って動作するハードウェア装置である。
【0030】
プロセッサ12は、臨床線量較正器24によって測定された放射性医薬品26の放射能のバイアスを決定するように構成される。不確実性のため、臨床線量較正器24からの測定値には不正確さが含まれる。例えば、図4は、エネルギー別に異なる感度レベルを有する線量較正器の非線形感度曲線を示す。二重矢印は、感度曲線の未知又は不確実な遷移をベースラインとして表す。エネルギーの関数として異なる形状又は感度を有する曲線のような、他の不確実性を反映してもよい。臨床線量較正器24を較正するために、所定の同位元素又はエネルギーに対するバイアス値が決定される。バイアス値は、患者撮像に使用される放射性トレーサ源(すなわち、放射性医薬品26)に対して臨床線量較正器24によって測定される線量の補正に使用される。
【0031】
バイアスは、放射能の測定値と実際の放射能との間のパーセント差、比率差、又は他の関係又は補正である。例えば、臨床線量較正器24は、放射性医薬品26の放射能又は線量を1.5ミリキュリーとして測定する。バイアスは、パーセント差(すなわち、50%)、オフセット(例えば、0.5)、又は比率(例えば、0.67又は1.5)として計算される。2つの値の間の他の関係を使用してもよい。バイアスは、ダイヤル設定のようなスケール変換又は変換係数であってもよい。ダイヤル設定は、そのエネルギーでの線量較正器固有の感度を補正するためのバイアスである。臨床線量較正器24は、より正確な放射能又は線量を出力するためにダイヤル設定を適用することができる。あるいは、別の装置(例えば、機能イメージングシステム又はワークステーション)は、臨床線量較正器24によって測定された放射能出力にバイアス又はダイヤル設定を適用する。
【0032】
バイアスの値は、感度較正に使用される。バイアスは、線量値を比率又はパーセント差で除算又は乗算する、又はオフセットを加算又は減算するなどして、提供された線量に重みを付ける。このバイアス補正された線量は、種類又はSPECTシステムの感度較正に使用される。遠隔の線量較正器によって測定された放射性医薬品の補正線量は、遠隔のSPECTシステムによって、特定の取込値又は放射能濃度の再構成又は計算に使用してもよい。所定の患者の放射性トレーサの製造者が提供する線量は、バイアス補正が変更されているか、既に含まれている。
【0033】
バイアスは、放射性トレーサ源又は放射性医薬品26の特定の放射性同位元素及び幾何学的形状に対して決定される。例えば、バイアスは、臨床線量較正器24内の所与のサイズ、形状、及び場所のガラスバイアル中のインジウム(In)111に対して決定される。他の同位元素及び/又は幾何学的形状に対しては、別々のバイアスが決定される。
【0034】
適用されるバイアスは、臨床線量較正器24に依存する。異なる臨床線量較正器24は、同じエネルギーに対して別のバイアスを有してもよく、所与の臨床線量較正器24は、異なるエネルギーに対して別のバイアスを有してもよい。この不確かさを除去するために、1つの線量較正器に対する長寿命精密放射源22に対する感度又はバイアス(例えば、ダイヤル設定)の短寿命精密放射源23に対する比率、及び長寿命精密放射源25に対する臨床線量較正器24の測定を使用する。精密放射源22、23、及び25は、バイアス決定のために既知又は基準放射能を有する。放射性医薬品26の同位元素に対する臨床線量較正器24に対するバイアスを見つけるために、他の線量較正器(すなわち、基準線量較正器20)からの比率、及び精密長寿命放射源25に対する臨床線量較正器24に対するバイアスを使用する。
【0035】
放射性医薬品同位元素に対するバイアスは、基準線量較正器の長寿命バイアスに対する短寿命バイアスの比率、臨床線量較正器に対する長寿命同位元素のバイアスとして見出された。プロセッサ12は、放射性トレーサ源25の放射能とその放射源25の基準放射能とから求められる臨床線量較正器24のダイヤル設定(1)と、放射性トレーサ源25の同位元素に対する放射性トレーサ源25の同位元素の長寿命及び短寿命の同位元素ダイヤル設定の比率(2)とから、臨床線量較正器24によって放射性医薬品26の放射能のバイアスを決定するように構成されるが、これは、異なる基準放射源22、23においてである。この比率は、基準試験所での基準線量較正器20からの測定に基づいており、高純度ゲルマニウム又は他の検出器による測定に基づく既知又は基準放射能を用いて、バイアスが見出される。長寿命同位元素のエネルギーに対する基準情報に基づいて決定される臨床線量較正器24の感度、及び長寿命及び短寿命同位元素のエネルギーに対する基準情報に基づく感度比率を用いて、放射性医薬品26の短寿命同位元素に対する臨床線量較正器24の感度を決定する。
【0036】
臨床現場での実施のために、異なる比率のテーブル又は使用する比率がメモリ14に記憶される。臨床現場で利用可能な精密放射源25は、所定の長寿命同位元素用である。所定の患者に使用する放射性医薬品26は、特定の短寿命同位元素である。この2つの同位元素に対する比率はテーブルから参照されるか、さもなければアクセスする。異なる幾何学的形状に対して異なるテーブル及び/又は比率を設けることができるので、線量には幾何学的形状(例えば、放射源の形状、放射源のサイズ、及び/又は線量較正器20、24内の場所)を含めることもできる。
【0037】
プロセッサ12は、放射性医薬品26のバイアス(例えば、ダイヤル設定又は感度補正)及び/又は補正線量を決定するように構成される。補正された線量は、バイアスに対して較正又は調整された測定放射能である。放射性医薬品26に対する臨床線量較正器24からのバイアス及び/又は測定された線量は、メモリ14に記憶することができる。補正された線量値をメモリ14に記憶してもよい。バイアス値、測定値、又は線量値のいずれかをディスプレイ16に表示してもよい。
【0038】
ディスプレイ16は、CRT、LCD、プラズマ、投射、プリンタ、又は他の表示装置である。ディスプレイ16は、画像を表示するために、表示面又はバッファに記憶されたデータによって構成される。画像は、測定された線量、バイアス、及び/又は補正された線量のものであってもよい。
【0039】
図3は、機能イメージングシステム(例えば、SPECT又はPETシステム)のための線量較正方法のフローチャートの一実施形態を示す。以下の例は、SPECTのためのものであるが、PET又は他の機能イメージング治療法おいて使用してもよい。患者の放射性医薬品の線量は、遠隔の精密放射源のための基準測定及び基準ガスイオンチャンバベース線量較正器のための基準感度比率によって、ばらつきを除去又は減少させる方法で較正される。放射能濃度の推定又は取込計算(例えば、特定の取込値の計算)のために、比率及び精度又は基準放射源を用いて、放射性医薬品の同位元素に対する遠隔のガスイオンチャンバベース線量較正器の感度を決定する。
【0040】
図3の方法は、バイアスの決定、感度較正のためのバイアスの使用、及び遠隔のシステムでの線量補正の較正の使用に関する。使用のために、この方法は、特定の患者の所与の走査に対して適用される。この方法を患者の複数の走査に適用することにより、結果として得られた量を比較し、線量の違いによる分散がほとんどないか、又は全く無くすることができる。複数の走査は、同じ又は異なる検出器及び/又は線量を使用する。同様に、平均又は平均からの偏差を求めるために、患者間でSUV量を比較してもよい。線量較正を行わない場合、放射能濃度又は取込の経時的な比較は、患者又は患者の代謝機能とは無関係な分散の影響を受ける。
【0041】
基準試験所と臨床現場との間の放射源の輸送を避けるために、同じ同位元素であるが異なる試料の精密放射源を両方の場所で使用する。精密放射源は、精密放射源の同位元素のエネルギーでのバイアスを決定するための基準放射能を有する。試料はこれらの長寿命同位元素では異なっていてもよいが、幾何学的形状及び/又は同位元素は同じである。放射性医薬品の同位元素の基準放射源は、基準試験所では提供されるが、臨床現場では提供されない。また、放射性医薬品は、臨床現場では提供されるが、基準試験所では提供されない。試料は、これらの短寿命同位元素では異ってもよいが、幾何学的形状及び/又は同位元素は同じである。
【0042】
追加の、異なる、又は少数のステップを実行してもよい。例えば、ステップ30〜33は、基準試験所で実行されるステップに関するものである。代替実施形態では、所定の放射性医薬品に対してステップ30〜33を実行することなく、臨床現場にテーブル又は比率を設ける。別の例として、ステップ39及び/又は40は設けない。他の例では、位置決め、構成、及び/又は起動に関連するステップを設けている。
【0043】
ステップは、示された順序(上から下又は数字)又は異なる順序で実行される。例えば、ステップ30/31、32/33、及び34/35は、同時に又は任意の順序で実行される(例えば、ステップ30/31の前に実行されるステップ32/33)。
【0044】
ステップ30では、基準ガスイオンチャンバベース又は別の線量較正器が、長寿命同位元素の放射源に対する放射能を測定する。加圧ガスイオンチャンバは、放射性同位元素の試料の放射能を測定する。すなわち、所定の幾何学的形状を有する所定の容器内の放射性同位元素の試料を測定する。較正は幾何学的形状と放射性同位元素特異的である。
【0045】
放射能量は、単位時間当たりの放射量によって蓄積された総エネルギーについて測定される。測定される放射能には、一次放出からのエネルギー、並びに他のガンマ線及び/又はX線放射からのエネルギーが含まれる。
【0046】
放射能は、製造業者又は施設のような基準試験所で、分光検出器を用いて測定される。他の場所又は遠隔施設、又は他の場所と異なる、あるいは患者ベースイメージングのために放射性医薬品を調剤又は使用する施設で測定してもよい。
【0047】
同様の測定が、異なる放射源を使用して、ステップ32、34、及び36において実行する。幾何学的形状、場所、使用する線量較正器、及び/又は同位元素の違いのような、他の相違があっても、無くともよい。
【0048】
長寿命同位元素放射源は既知の放射能レベルを有する。高純度ゲルマニウム検出器又は他の分光検出器のようなゲルマニウム検出器が基準放射能レベルを測定する。例えば、高純度ゲルマニウム(HPGe)、効率較正HPGe、又は他の分光検出器は、長寿命放射性同位元素の試料の放射能を測定する。放射能は、1つ以上の一次放出エネルギーを測定する。例えば、I123の放射性同位元素試料の放射能は159.5 keVで測定され、他のエネルギーでは測定されない。ある範囲のエネルギーは、同位元素についての1つ以上の一次ガンマ線放出エネルギーについての許容範囲などで測定することができる。X線エネルギーは測定しない。測度は、1つのエネルギーウィンドウに対する放射能であってもよいし、又はエネルギーの組合せにおける放射能であってもよい。
【0049】
測定は、所定の幾何学的形状を有する所定の容器内の放射性同位元素の試料のものである。較正は幾何学的形状及び放射性同位元素特異的である。類似の基準測定が、ステップ32及び34において測定される基準放射源に対して行われる。
【0050】
ステップ31において、プロセッサは、長寿命同位元素の試料について測定された放射能と、長寿命同位元素の試料の基準又は既知の放射能とから、ダイヤル設定を決定する。長寿命同位元素のエネルギーレベルについてステップ30で測定をしたガスイオンチャンバベース線量較正器の感度を決定する。長寿命同位元素を一定の幾何学的形状にした精密放射源を用いて、長寿命同位元素のエネルギーにおけるその基準線量較正器のDCダイヤル設定を決定する。
【0051】
一実施形態では、基準線量較正器は、単位時間当たりの放射によって蓄積された全エネルギーを測定し、測定されたエネルギーをチャンバ感度及び一次放出分岐によって正規化し、1秒当たりの減衰(Bq)を計算することによって、放射性同位元素の放射能を較正する。基準線量較正器は、放射性同位元素に対して効率又は感度を有する。効率は、チャンバの感度及び同位元素の他の放射に対する一次ガンマ線放出からのエネルギー量を説明する。効率補正、感度補正、又はダイアル設定は、X線エネルギー、二次ガンマ線エネルギー、及び一次ガンマ線エネルギーでの放射を検出する際の感度の差を説明するために、測定値に対する調整又はバイアスを示す。
【0052】
ダイヤル設定は、測定された放射能と長寿命放射源の基準放射能との差(例えば、減算又は比率)を表すバイアスである。代替実施形態では、バイアス又はダイヤル設定は、基準線量較正器について知られているので、ステップ30での測定は行われない。ダイヤル設定やバイアスはテーブルから参照される。
【0053】
同様の決定が、異なる放射源を使用するステップ31、33、及び35において行われる。異なる放射源の基準放射能は、対応するエネルギーにおける同一又は複数の線量較正器の対応するダイヤル設定を決定するために使用する。
【0054】
ステップ32では、基準ガスイオンチャンバベース又は別の線量較正器が、別の同位元素放射源の放射能を測定する。もう一つの同位元素は、放射性医薬品に用いる同位元素と同じであるため、短寿命同位元素である。この同位元素では、ステップ30及び34で測定した同位元素の半減期よりも半減期が比較的短い。
【0055】
放射能の測定は、ステップ30の測定の場合と同じ又は異なる場所で行われる。例えば、測定は基準試験所で行われる。場所は、臨床又は製薬現場とは異なる。
【0056】
測定は、ステップ36の放射性医薬品の放射能測定に使用するものと同じ形状の同位元素の放射源を用いた。ステップ30及び34における長寿命同位元素の放射源を測定するために、幾何学的形状は同じであってもよい。プラスチック片のようなスペーサ、外形、又はホルダが、線量較正器内の所定の場所に基準放射源を保管する。
【0057】
短寿命同位元素を用いた放射源の基準放射能が知られている。分光検出器又は他の検出器を用いて、所望の帯域又はエネルギー帯域におけるガンマ線放射の放射能を決定する。
【0058】
ステップ33では、線量較正器のプロセッサのようなプロセッサがステップ32で測定された放射能からダイヤル設定を決定する。短寿命同位元素のエネルギーに対する基準線量較正器の感度は、測定放射能と短寿命同位元素に対する基準放射能に基づいて決定される。一定の幾何学形状及び体積の低減衰材料で製作された精密容器を用いて、基準試験所での短寿命同位元素のための基準線量基準器のダイヤル設定を決定する。
【0059】
ステップ34では、臨床ガスイオンチャンバベース又は別の線量較正器が、長寿命同位元素の精密放射源の放射能を測定する。長寿命同位元素は、ステップ30で測定された基準放射源の場合と同じであるが、異なる試料を使用する。ステップ34での測定のための線量較正器における放射源及び/又は放射源位置の幾何学的形状は、ステップ30における精密放射源の測定の場合と同じである。異なる放射能、体積、形状、及び/又は材料を使用することができる。長寿命同位元素放射源の両方に対して、同じ体積、形状、及び材料を使用するのが好ましい。
【0060】
測定は、機能イメージングシステムが設置されている病院、又は患者処方箋のために放射性医薬品が製造され、調剤され、又は充填される製薬現場のような臨床現場で行われる。臨床現場は、大量調製場所、又は放射性医薬品の患者特定線量の調剤室であってもよい。臨床現場は、基準線量較正器がステップ30及び32の測定を実施する場所とは異なる場所であるが、同じ場所であってもよい。
【0061】
臨床現場は、長寿命同位元素と精密容器の精密放射源を得て、ステップ30の測定を繰り返す。測定の繰り返しは、同位元素の別の試料と、基準線量較正器とは別の線量較正器によって行われる。
【0062】
ステップ34において測定される精密放射源は、対象となるエネルギー帯域又は帯域において既知の放射能を有する。ゲルマニウム(例えば、高純度ゲルマニウム)又は他の分光検出器は、同じ又は複数の基準試験所において、放射源を臨床現場に持つ基準放射能を測定する。
【0063】
ステップ35では、臨床線量較正器のプロセッサのようなプロセッサが、ステップ34で測定された放射能とその放射源の基準放射能とからダイヤル設定を決定する。臨床線量較正器の長寿命同位元素に対する感度は、精密放射源に対する測定及び基準放射能に基づいて決定する。また、バイアス又は感度補正を決定する。
【0064】
臨床現場(例えば、機能イメージングシステムの製薬現場又は施設)で決定が行われるが、別の場所であってもよい。臨床現場は精密放射源と精密容器を入手し、ステップ31の判定を繰り返すが、同位元素の遠隔の放射源及び遠隔の線量較正器を用いる。精密放射源は、他の理由により既に臨床現場に存在する可能性が高いため、毎年又は2年毎に放射性物質を輸送する物流が確立されている。
【0065】
ステップ36において、臨床線量較正器は、放射性医薬品の放射能を測定する。患者撮像に使用する放射性医薬品の単位線量、処方線量、又は大量線量を測定する。放射性医薬品中の同位元素は、ステップ32で測定した基準放射源用の短寿命同位元素と同じ同位元素である。同じ同位元素を用いた異なる試料は、異なる線量較正器によって測定される。試料は、異なる線量較正器内の同じ場所に保管される。試料の材料又は放射源の形状、サイズは異なるか同じである。ステップ32の測定は、反復されるが、放射性医薬品と異なる線量較正器(すなわち、基準線量較正器の代わりに臨床線量較正器)では反復されない。
【0066】
放射性医薬品の放射能の測定は、臨床線量較正器の感度の影響を受ける。従って、放射能測定は不正確であったり、不確実性が伴う。
【0067】
臨床現場では分光検出器が利用できないため、プロセッサが、ステップ37で短寿命同位元素の臨床線量較正器のダイヤル設定を決定する。ダイヤル設定は、基準線量較正器のダイヤル設定の比率と、ステップ35で決定したダイヤル設定から決定する。ステップ35で決定されたバイアスと、バイアスの比率を使用する。
【0068】
この比率は、異なる試料中の同じ長寿命及び短寿命同位元素に対する異なる線量較正器の感度のものである。ステップで31及び33で決定されたダイヤル設定は、基準試験所で比率から決定する。ステップ30及び32の測定値の比率は、基準試験所で測定される同位元素ペアに対する追跡可能なダイヤル設定比率を与える。臨床線量較正器の放射性医薬品の短寿命同位元素に対する感度は、ステップ35で決定した長寿命放射源に対するその臨床線量較正器の感度と、基準線量較正器からの同位元素ペア(長寿命及び短寿命同位元素)の感度比率から求める。1つの線量較正器の感度、バイアス、及び/又はダイヤル設定の比率は、他の線量較正器の比率と等しくなる。3つの発生源に対する既知の放射能により、それらの3つの放射源に対する感度が決定される。これらの既知の感度は、放射性医薬品の短寿命同位元素に対する臨床線量較正器の未知の感度を解決するために使用する。患者のSPECT画像のために調剤される放射性薬品の臨床線量較正器のダイヤル設定又は感度補正を計算する。
【0069】
決定は、臨床線量較正器のプロセッサ又はローカルワークステーション又はコンピュータを使用するなど、臨床現場で行われる。あるいは、別の場所にあるプロセッサは、基準試験所と臨床現場からの測定されたダイヤル設定を用いて、臨床線量較正器から離れた機能イメージングシステムが設置された場所など、別の場所のダイヤル設定を決定する。
【0070】
同位元素ペアに対する比率のテーブルを設けてもよい。1つ以上の異なる同位元素ペアに対してステップ30〜33から得られた結果はテーブルに記憶される。異なる元素ペアに対して同じ又は異なる基準線量較正器が使用されたかもしれない。この比率は、利用可能な長寿命及び短寿命同位元素ペアに対する臨床線量較正器のダイヤル設定の決定に参照される。ステップ34及び36で測定された長寿命及び短寿命同位元素の同じ組合せに対応する比率は、アクセスするか、又は提供される。長寿命精密放射源のダイヤル設定のための遠隔の値と基準試験所からの比率を用いて、短寿命同位元素のダイヤル設定を遠隔のために、又は臨床現場のために導出した。
【0071】
ステップ38では、プロセッサは、ダイヤル設定及び測定された放射能からのバイアスを決定する。ダイヤル設定は、バイアスであってもよいし、ダイヤル設定は、バイアスを参照又は決定するために使用される。ダイヤル設定及び/又はバイアスは、放射性医薬品の短寿命同位元素のエネルギーに対する臨床線量較正器の感度補正である。放射性医薬品の放射性同位元素の試料についてバイアスを計算した。臨床線量較正器は、放射性医薬品の測定放射能に適用するバイアスを決定するなど、ダイヤル設定で較正する。
【0072】
バイアスは試料中の幾何学的形状及び/又は同位元素に特異的である。バイアスの較正及び決定は、異なる幾何学的形状及び同位元素の組合せに対して繰り返してもよい。バイアスは臨床線量較正器からの線量の不正確さの量を示すため補正に使用する。
【0073】
放射性医薬品は、測定された線量で調合及び/又はラベルに記載することができる。あるいは、線量又は放射能が補正され、補正された線量が、調剤及び/又はラベルに記載される。
【0074】
ステップ39では、プロセッサは、バイアスを用いて放射性医薬品の線量値を補正する。バイアスを決定し、次いで、記憶し、及び/又は感度較正に使用する。バイアスは、所定の幾何学的形状に対して臨床線量較正器によって測定された短寿命同位元素について、任意の線量に適用される補正係数である。測定された放射能を補正し、遠隔の線量較正器のばらつきによる不整合を除去又は低減する。補正は乗算、除算、加算、又は減算して行う。その代わりに、他の機能を使用してもよい。代替実施形態では、遠隔の補正係数は、線量値に適用される重み又は他の調整の参照に使用する。直接又は間接のいずれの意味においても、患者に使用される放射性トレーサに対する投与線量値を補正する。補正は線量較正器の測定値の誤差量を示すため、遠隔の線量値に重みを付ける。代替実施形態では、感度の差に基づく補正は、先に決定された遠隔の感度に適用される。
【0075】
このアプローチは、放射汚染の種類(例えば、低又は高エネルギーバッグラウンド)に鈍感である。この補正は、放射スペクトルの複雑さにかかわらず、任意の同位元素を較正する際に適用することができる。
【0076】
バイアスに基づき補正された線量は、SPECT、PET、又は他の機能イメージングで使用する。機能イメージングシステム(例えば、SPECTシステム)は、放射能濃度を推定する。液体放射性トレーサ(放射性医薬品)を投与された患者の放射能濃度は、再構成の一部として決定される。放射性医薬品を患者に投与又は注入した後、検出器に対して患者を位置決めし、及び/又は患者に対して検出器を位置決めする。患者体内の放射性医薬品からの放射は、経時的に検出される。
【0077】
放射性医薬品から放射された患者体内の場所を決定するために、検出された放射を物体空間に再構成する。容積又は画像データ内の分布を再構成する。SPECTイメージングシステムは、投与された放射性医薬品又はトレーサの放射能濃度を異なる場所について推定する。
【0078】
再構成のために、放射能濃度をシステム行列又はモデルを用いて再構成した。再構成は反復的であり、定量的再構成の前提条件として画像形成物理のモデルを含む。画像形成モデルは、検出されたデータ(例えば、数量)、システム行列又はモデル、同位元素特性(例えば、補正された線量値)、及び生物学を含む。システム行列又はモデルは、システムの機械的特性を表すが、他の情報(例えば、SUVによって表される投与時間及び患者体重)を含んでもよい。
【0079】
再構成は、与えられたSPECTシステム又はSPECTクラスをシミュレートするための射影演算子を含む。現在知られている、又は後で開発された再構成方法は、最尤推定気体最大化法(ML−EM)、期待値最大化法(OSEM)、罰則つき重み付き最小二乗法(PWLS)、事後最大確率法(MAP)、マルチモーダル再構成、非負拘束最小二乗法(NNLS)、又は別のアプローチに基づく、
【0080】
イメージ物理学は、SPECTシステムの較正など、SPECTシステムの態様を含む。システム行列又はモデルには、患者に投与される液体放射性トレーサのエネルギーに対するシステム固有の感度など、検出器の感度が含まれる。補正された線量は、システム行列又はモデルの一部として、又は再構成で使用される別の同位元素データとして含まれる。代替的又は追加的に、遠隔の線量較正器の分散を説明するために補正した感度を使用する。
【0081】
定量的SPECTでは、ステップ40において患者に投与され、患者体内に注入するトレーサ(すなわち同位元素)のkBq/mlにおける取込としての放射能濃度を推定することが目標である。患者は、バイアスに基づく線量で撮像される。放射能濃度から取込量を算出する際には、補正された線量値を使用する。注入された線量を補正すると、遠隔の線量較正器固有のばらつきがない、又は減少した、より正確な取込値が得られることになる。
【0082】
特定の取込値(SUV)は、機能イメージングシステムのプロセッサによって計算される。放射能濃度は各地での取込量を表す。この取込量は放射される放射線の尺度であるため、患者に照射される放射線量については正規化されない。その結果、同じ線量で照射されない限り、異なる時間からの取込を比較することは役に立たないかもしれない。SUVを計算することにより、線量に対して正規化された取込が得られ、異なる尺度の比較が可能になる。
【0083】
各場所又は一部の場所のSUVが計算される。SUVは、その場所の放射能濃度と補正された線量の関数である。放射能濃度を補正した投与線量値で割る。他の機能を使用してもよい。例えば、SUVは、患者の体重又は他の物理的特性の関数であってもよい。放射能濃度で表される取込の大きさは、線量と体重の両方について正規化される。
【0084】
線量較正器の感度に対して較正するために、SUVは経時的に又は複数の検査からより正確に比較することができる。複数の放射性トレーサ線量及び/又は複数の検出器を使用することができる。異なる検査がバイアスに対する補正を使用する場合、結果として生じるSUVの差は、検出器又は線量の分散による差ではなく、診断又は代謝の差を表す可能性が高い。SPECTのような機能イメージングにおける定量化は、正確な放射能濃度と正確なSUVの両方を提供する。
【0085】
図5は、補正された線量値を使用する機能イメージングのシステムを示す。システムは、SPECTスキャナ50と、プロセッサ51と、メモリ53と、ディスプレイ55とを備えている。プロセッサ51、メモリ53、及び/又はディスプレイ55は、SPECTスキャナ50の一部であるか、又は別のもの(例えば、コンピュータ又はワークステーション)である。プロセッサ51、メモリ53、及び/又はディスプレイ55は、それぞれ図2のプロセッサ12、メモリ14、及び/又はディスプレイ16であってもよいし、別個のデバイスであってもよい。追加の、異なる、又は少数の構成要素を設けてもよい。例えば、システムは、SPECTスキャナ50を備えていないコンピュータである。別の例として、ユーザ入力、患者ベッド、又は他のSPECT関連装置が設けられる。システムの他の部分は、電源、通信システム、及びユーザインタフェースシステムを備えてもよい。さらに別の例では、PETスキャナ又は他の機能イメージングシステムが、SPECTスキャナ50の代わりに設けられる。
【0086】
SPECTスキャナ50は、SPECTシステムである。SPECTシステムとして、検出器58が設けられている。コリメータのような他の構成要素を設けてもよい。現在公知の又は後で開発されるSPECTスキャナ50を使用してもよい。検出器58はガントリーと接続されたガンマ線カメラである。ガンマ線カメラは、結晶又は光検出器を備えたシンチレータを有するような平面光子検出器である。ガントリーは患者を中心にガンマ線カメラを回転させる。患者の走査中、放射は、患者に対して異なる場所又は角度のカメラで検出される。放射は、患者体内の放射性トレーサ57からのものである。
【0087】
SPECTスキャナ50は、検出器58を用いて、放射性トレーサ57からの放射を検出する。放射性トレーサ57は放射性医薬品26であるため、短寿命放射源23と放射性同位元素及び幾何学的形状は同じであるが、異なる又は同じ試験所からとは異なる試料であってもよい。患者体内の取込みを撮像するために、検出器58は、患者からの放射を検出する。放射は、有限の発生源(すなわち患者)体内の任意の場所から発生する。患者体内の放射性トレーサ57は、特定種類の組織又は特定の生化学反応に関連する場所に移動し、結合し、又は濃縮する。その結果、その種類の組織又は反応の場所からより多く放射される。例えば、放射性トレーサ57は、グルコースの取込、脂肪酸合成、又は他の代謝過程の場所と結合するように指定する。
【0088】
SPECTスキャナ50は、検出されたデータにシステム行列又はモデルを適用することによって、撮像された容積を再構成するように構成される。プロセッサ51は再構成を実行するために使用するか、又はSPECTスキャナ50は再構成を実行する別のプロセッサを有する。患者体内の放射能濃度を推定するために、任意の再構成を使用してもよい。SPECTスキャナ50は、メモリ53又はバッファから検出された放射にアクセスして再構成する。システム行列又はモデルは、患者に投与される液体放射性トレーサに対するシステムの感度を含む。この感度を再構成に用いた。線量較正測定の補正には、遠隔の較正感度と、バイアス補正線量に基づく工場較正感度の差を用いる。この再構成は、患者に投与される放射性トレーサに対する線量値の感度に基づく補正も使用する。補正された線量を使用する。
【0089】
プロセッサ51は、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアによって構成される。プロセッサ51は、ステップ39の補正やステップ40のSUVの計算など、本明細書に記載された様々な動作を実行するために、記憶された命令に従って動作する。プロセッサ51は、患者に投与される放射性トレーサ57の同位元素及び幾何学的形状に対応する所与の同位元素及び幾何学的形状に対するバイアス又は較正された感度を受け取り、参照し、又はアクセスする。プロセッサ51は、バイアスを使用して、線量較正器からの線量を補正する。患者をスキャンする場合、プロセッサ51は、バイアス補正を用いて、線量に対する遠隔の補正を決定する。プロセッサ51は、較正された感度と測定された感度との間の差に基づく補正を用いて、放射性トレーサ57に対する線量値を補正することができる。プロセッサ51は、患者に投与される液体放射性トレーサの入力線量を補正するように構成される。例えば、感度比率は線量に乗じられる。
この補正された線量に基づいて、プロセッサ51は、放射能濃度を再構成し、及び/又はSUVを計算するように構成される。1つ以上のSUVは、放射能濃度を補正線量で正規化することにより算出する。結果として生じるSUVは、システム及び/又は用量によるばらつきが少ないため、患者の代謝機能の変化を表している可能性が高い。
【0090】
バイアス、線量値、走査データ、感度、補正された線量、測定された放射能、効率、及び/又は他の情報は、メモリ53及び/又は14に記憶される。データは任意の形式で保存される。メモリ53、14は、バッファ、キャッシュ、RAM、リムーバブルメディア、ハードドライブ、磁気、光学、データベース、又は現在又は後で開発された他のメモリである。メモリ53、14の各々は、2つ以上の装置の単一の装置又はグループである。一実施形態では、メモリ53は、比率、バイアス、ダイヤル設定、感度、及び/又は同位元素及び幾何学的形状の関数としての感度の差に基づく補正テーブルを保存する。テーブルは、SPECTスキャナ50に遠隔の線量較正器からの線量を補正する際に使用するために、機能イメージングシステムのメモリ53に転送される。
【0091】
メモリ53、14は、追加的に又は代替的に、処理命令を記憶した一時的でないコンピュータ読取可能記憶媒体である。メモリ53、14は、それぞれプログラムされたプロセッサ11、52によって実行可能な命令を表すデータを保存する。本明細書に記載したプロセス、方法及び/又は技術を実施するための命令は、キャッシュ、バッファ、RAM、リムーバブルメディア、ハードドライブ又は他のコンピュータ読取可能記憶媒体のような、一時的でないコンピュータ読取可能記憶媒体又はメモリに記憶される。コンピュータ読取可能記憶媒体は、様々な種類の揮発性及び不揮発性記憶媒体を含む。図に示されているか又は本明細書に記載されている機能、行為又はタスクは、コンピュータ読取可能記憶媒体に記憶されている又はコンピュータ読取可能記憶媒体上に記憶されている1組以上の命令に応答して実行される。機能、行為又はタスクは、特定種類の命令セット、記憶媒体、プロセッサ又は処理戦略に依存せず、単独で又は組合せて動作するソフトウェア、ハードウェア、集積回路、ファームウェア、マイクロコードなどによって実行してもよい。同様に、処理戦略は、マルチ処理、マルチタスク、並列処理等を含む。一実施形態では、命令は、ローカル又はリモートシステムによる読み取りのために、リムーバブルメディア装置に記憶される。他の実施形態では、命令は、コンピュータネットワークを介して、又は電話回線を介して転送するために、遠隔場所に格納される。さらに他の実施形態では、命令は、所定のコンピュータ、CPU、GPU、又はシステム内に格納される。
【0092】
ディスプレイ55、16は、CRT、LCD、プラズマスクリーン、プロジェクタ、プリンタ、又は画像を表示するための他の出力装置である。ディスプレイ16は、バイアス、線量、感度、測定された放射能、及び/又は補正された線量を表示する。ディスプレイ55は、場所の関数として放射能濃度を示すなど、再構成された機能容積の画像を表示する。患者の組織の取込機能は、画像で表示される。再構成容積のボクセルから画像を生成するために、多重平面再構成、3Dレンダリング、又は断面像を使用してもよい。補正された線量は、画像と共に注釈として表示されることがある。代替的又は付加的に、プロセッサ51によって導出される任意の量、例えば、補正された線量、線量及びバイアス、感度、SUV、及び/又はSUVの変化を表示してもよい。領域の平均SUV又は放射能濃度、最大SUV、所定の単位体積におけるピークSUV、放射能濃度の分散、又は総SUVなど、他の量を決定してもよい。
【0093】
本発明を種々の実施形態を参照して上述したが、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変形及び変更が可能である。従って、上記詳細な説明は、本発明を限定するものではなく例示として解すべきであり、本発明の精神及び範囲を規定するのは、全ての均等例を含む特許請求の範囲の記載に基づくものである。
図1
図2
図3
図4
図5