(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システム100の構成を示す模式図である。
まず始めに、本実施の形態1に係る空気調和システム100の構成について説明する。
【0015】
空気調和システム100は、空調対象空間の空調を行う複数の室内機部2と、室内機部2と冷媒回路を構成する室外機部5と、室内機部2と通信を行う携帯端末部6と、を備えている。また、室内機部2は、無線電波を発信する無線通信部3と、人を検知する人感検知部4と、を備えている。
【0016】
室内機部2と室外機部5とは、冷媒が循環する冷媒回路を構成しており、冷媒系統ごとに有線通信回線部7で接続されている。なお、一つの冷媒系統内に、室内機部2および室外機部5は、それぞれ複数存在していてもよい。また、室内機部2と室外機部5とは、有線通信回線部7を介して双方向に通信することができる。
【0017】
室内機部2には、無線通信部3および人感検知部4が、双方向に通信可能な有線通信回線部7でそれぞれ接続されている。本実施の形態1では、1つの室内機部2に対して1つの無線通信部3が接続されている構成であるが、それに限定されず、例えば、2つの室内機部2に対して1つの無線通信部3が接続されている構成でもよい。つまり、1つの無線通信部3が複数の室内機部2に対して共通の構成でもよい。
【0018】
有線通信回線部7は、Ethernet(登録商標)、または2線式UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)などの一般的な通信規格、あるいは独自の通信規格によって構成されている。
【0019】
なお、無線通信部3および人感検知部4は、室内機部2から独立した構造でも、室内機部2の内部に組み込まれた構造でもよい。無線通信部3および人感検知部4が室内機部2の内部に組み込まれた構造の場合、有線通信回線部7は、I2C(Inter-Integrated Circuit)などの一般的な通信規格によって構成することができる。
【0020】
無線通信部3は、携帯端末部6と無線通信回線部8を介して双方向に通信することができる。なお、無線通信回線部8は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または、ZigBee(登録商標)などの一般的な通信規格によって構成されている。
【0021】
人感検知部4は、室内機部2の周辺、つまり室内機部2から一定距離にいる人を検知するものであり、サーモビューワ、カメラ、または、人感センサなどによって構成されている。この人感検知部4は、輻射熱検知の他、携帯端末部6が有する加速度データ、あるいは、焦電センサであるムーブアイ(登録商標)、加速度センサ、および、Bluetooth(登録商標)などの無線を利用した個人識別IDなどを利用して個人の区別および移動を検知することができる。そして、人感検知部により検知した加速度が大きいときは無線通信部3の無線サンプリング周期を短く変更でき、加速度が小さいときは無線通信部3の無線サンプリング周期を長く変更できる。なお、サンプリング周期の代わりに、無線通信部3が発する無線電波の電波強度の強弱を変更してもよい。このように、加速度によるサンプリング周期の制御を実行することで、加速度に合わせてサンプリング周期を変更することができ、そうすることで、無線電波の電波強度の測定ノイズによる影響を低減できる。また、携帯端末部6に表示される操作対象となる室内機部2が頻繁に切り替わることを防ぎ、ユーザーの操作性を改善することができる。また、携帯端末部6のバッテリーの消費を低減できる。ここで、室内機部2から一定距離とは、室内機部2の空調対象空間内の距離である。なお、本実施の形態1に係る空気調和システム100では、人感検知部4を備えない構成としてもよい。
【0022】
無線通信部3および人感検知部4は、室内機部2の本体、または、室内機部2が隠蔽型パッケージである場合はその吹き出し口付近、吸い込み口付近、あるいは、ダクトに設けられている。なお、無線通信部3および人感検知部4は、室内機部2に内蔵されているものであっても外付けされるものであってもよい。
【0023】
携帯端末部6は、例えば市販のスマートフォンまたはタブレットPCなどであり、無線通信部3と無線通信を行うことができるものであればよい。この携帯端末部6には、空気調和システム100を操作するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システム100の内部処理構成を示すブロック図である。
次に、本実施の形態1に係る空気調和システム100の内部処理構成について説明する。
【0025】
室内機部2は、室内機制御部11を備えている。室内機制御部11は、有線通信回線部7によって接続された、同じ冷媒系統の室外機部5および他の室内機部2と連動して、空調動作を実行するため、室内機部2の制御を実行するものである。
【0026】
無線通信部3は、無線ID部12と、無線送受信部13とを備えている。無線通信部3は、無線ID部12および無線送受信部13の制御用として、MCU、RAM、または、ROMなどによる制御回路を備えている。
【0027】
無線ID部12は、無線通信部3に固有に割り当てられたIDを記録するものであり、無線通信部3が備えるROMなどによって構成されている。また、IDとしては、BDアドレスおよびMACアドレスなどを使用することができる。
【0028】
無線送受信部13は、無線通信回線部8の送信および受信を実行するものであり、ディジタル信号処理回路、アナログ信号処理回路、またはアンテナ回路などで構成されている。
【0029】
室外機部5は、室外機制御部14を備えている。室外機制御部14は、有線通信回線部7によって接続された、同じ冷媒系統の室内機部2および他の室外機部5と連動して、空調動作を実行するため、室外機部5の制御を実行するものである。
【0030】
携帯端末部6は、携帯側無線通信部9と、空調機運転管理部15と、空調機操作入力部16と、空調機情報表示部17と、を備えている。また、携帯端末部6には、無線送受信部13が発信する無線電波を検知して、検知した電波強度から操作可能な室内機部2の存在を空調機情報表示部17で通知する処理、および、無線送受信部13に対して後述する空調操作コマンドを送信する処理などを実行させるアプリケーションプログラムがインストールされている。ここで、携帯端末部6にインストールされたアプリケーションプログラムは、空調機運転管理部15に記憶されているが、空調機運転管理部15以外の記憶手段に記憶されていてもよい。また、アプリケーションプログラムには、個人を識別するためのIDデータを含むことができる。そして、携帯端末部6は、IDデータを含んだアプリケーションプログラムがインストールされている、あるいは、IDデータを含んだIDカードを読み込むことができるIDカードタグ機能を備えているものとする。
【0031】
携帯側無線通信部9は、室内機部2が備えている無線通信部3と同等の機能を有しており、携帯端末部6が元々有している機能を利用して実現することができる。
【0032】
空調機運転管理部15は、アプリケーションプログラムにより、室内機部2に対する運転開始、運転停止、および、温度設定などの設定操作の制御、並びに、室内機部2が備える無線通信部3の制御を行うものである。また、空調機運転管理部15は、アプリケーションプログラムにより、受信した無線電波の電波強度、例えばRSSI(Received Signal Strength Indication)を測定する機能を有している。さらに、空調機運転管理部15は、アプリケーションプログラムにより、室内機部2が備える無線通信部3の無線IDを記録する機能を有しており、無線IDを記録する機能は、MCU、RAM、ROM、フラッシュメモリなどによって実現することができる。
【0033】
また、空調機運転管理部15は、携帯端末部6が、室内機部2が備える無線通信部3から無線電波を受信し、室内機部2が携帯端末部6の近くにあると判定した場合、無線IDを記録する。ここで、無線電波の電波強度と距離とは関連しており、電波強度が強い無線電波を発信する無線通信部3を備えた室内機部2の方が携帯端末部6により近い位置にあると判定できる。そこで、空調機運転管理部15は、室内機部2が備える無線通信部3から受信した無線電波の電波強度から、室内機部2が携帯端末部6の近くにあるかどうかを判定している。なお、空調機運転管理部15は、携帯端末部6が室内機部2の無線通信部3から一定時間、無線電波を受信しなくなったら、その室内機部2は携帯端末部6の近くではなくなったと判定し、記憶した無線IDを消去する。
【0034】
空調機操作入力部16は、ユーザーが、携帯端末部6から室内機部2に対する運転開始、運転停止、および、温度設定などの設定操作の入力を行うものであり、携帯端末部6が備えるボタンおよびタッチパネルなどによって構成されている。
【0035】
空調機操作入力部16は、携帯端末部6上で実行されるアプリケーションプログラムによって、運転開始、運転停止、温度設定などの設定操作を取得することができる。また、携帯側無線通信部9は、携帯端末部6上で実行されるアプリケーションプログラムによって、室内機部2が備える無線通信部3と通信を行うことができる。
【0036】
空調機情報表示部17は、ユーザーが、携帯端末部6から室内機部2に対する運転開始、運転停止、温度設定などの設定操作の入力を行う際に必要な情報を表示するものであり、携帯端末部6が備えるタッチパネルなどによって構成されている。なお、空調機操作入力部16および空調機情報表示部17は、互いに別体となった構成でもよいし、一体となった構成でもよい。
【0037】
また、無線通信部3および携帯側無線通信部9が送受信する無線電波には、送信元の無線ID情報、送信元のアドレス情報、および、室内機部2に対する操作コマンド情報などが含まれている。
【0038】
本実施の形態1に係る空気調和システム100は、各室内機部2が備える無線通信部3の電波強度に基づいて、操作対象となる室内機部2を自動で決定する。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システム100の携帯端末部6側の室内機部2の運転開始までの処理を示すフローチャートである。
次に、本実施の形態1に係る空気調和システム100の携帯端末部6側にて、室内機部2を運転開始させるまでの処理を、
図3を用いて説明する。
【0040】
(ステップS101)
室内機部2の無線通信部3は、一定の電波強度で無線電波を発信している。なお、各無線通信部3は、同じ電波強度で無線電波を発信している。また、各無線通信部3は、各室内機部2の電源ON/OFFに限らず無線電波を発信する。そして、空調機運転管理部15は、空調機操作入力部16から運転開始の入力を受け付けたら、携帯側無線通信部9を使用して、室内機部2の無線通信部3から発信された無線電波の検知を開始する。さらに、空調機運転管理部15は、無線電波検知開始からの時間を測定開始する。
【0041】
(ステップS102)
空調機運転管理部15は、無線電波検知開始からの時間が検知終了時間に達したかどうかを判定する。ここで、検知終了時間は、あらかじめ設定された時間であり、空調機運転管理部15が無線電波の検知を行う時間である。空調機運転管理部15が、無線電波検知開始からの時間が検知終了時間に達したと判定した場合(YES)、室内機部2の運転開始処理を終了する。一方、空調機運転管理部15が、無線電波検知開始からの時間が検知終了時間に達していないと判定した場合(NO)、無線電波の検知を継続する。
【0042】
(ステップS103)
空調機運転管理部15は、無線電波を検知したら(YES)、ステップS104の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15は、無線電波を検知していなかったら(NO)、室内機部2の運転開始処理を終了する。なお、空調機運転管理部15が無線電波を検知していなかった場合、操作できない結果となったことを携帯端末部6にポップアップなどで通知するようにしてもよい。あるいは、空調機運転管理部15が、空調機操作入力部16から操作終了の入力を受け付けるまで、無線電波を検知する処理を継続するようにしてもよい。
【0043】
(ステップS104)
空調機運転管理部15は、検知した無線電波の送信元の無線通信部3の無線IDを確認するとともに、電波強度の測定を開始する。さらに、空調機運転管理部15は、無線電波検知開始からの時間の測定をリセットする。ここで、空調機運転管理部15は、電波強度のゆれを判定するため、複数回の測定結果から平均もしくは中央値を採用して、検知した無線電波の電波強度を決定する。
【0044】
(ステップS105)
空調機運転管理部15は、ステップS104の処理において決定した検知した無線電波の電波強度が、あらかじめ設定された基準強度以上であるかどうかを判定する。ここで、基準強度は、例えば−70dBmである。また、電波強度をスマートフォンの電波表示のように段階(例えば0〜5段階)で検知するような場合には、基準強度は、例えば3段階である。空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が基準強度以上であると判定した場合(YES)、ステップS107の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が基準強度以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS106の処理に移行する。
【0045】
(ステップS106)
空調機運転管理部15は、基準強度に満たない電波強度を持つ室内機部2の無線通信部3の無線IDの情報を破棄または削除する。
【0046】
ここで、空調機運転管理部15は、ステップS103の処理で無線電波を複数検知した場合、ステップS104〜S106の処理を、無線電波を検知した数だけ行う。
【0047】
(ステップS107)
空調機運転管理部15は、基準強度以上の電波強度を持つ室内機部2の無線通信部3の無線IDと電波強度の情報とを紐づけて自身に登録する。
【0048】
(ステップS108)
空調機運転管理部15は、登録されている無線IDを持つ室内機部2の無線通信部3に対して、空調運転を開始する運転開始コマンドを送信する。なお、運転開始コマンドは空調操作コマンドに含まれており、空調操作コマンドは、その他として、運転モード、設定温度、風向き、風強さなどを変更する設定変更コマンド、および、空調運転を停止する運転停止コマンドなどを含んでいる。また、空調機運転管理部15は、運転開始コマンド以外にも、温度、湿度、CO
2濃度などの環境データ、および、携帯端末部6の識別用のIDデータなどを送信することができる。さらに、空調機運転管理部15は、空気調和システム100以外に照明システムなどにも対応したコマンドおよび各種データを送信することができるようにしてもよい。
【0049】
なお、ステップS105の処理において、空調機運転管理部15は、あらかじめ設定された第一基準強度(上記の基準強度と同じ)および第二基準強度(<第一電波強度)に基づいて、ステップS104の処理において決定した検知した無線電波の電波強度の判定を行うようにしてもよい。この場合、空調機運転管理部15は、ステップS104の処理において決定した検知した無線電波の電波強度が、あらかじめ設定された第二基準強度以上であるかどうかを判定する。空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が第二基準強度以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS106の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が第二基準強度以上であると判定した場合(YES)、空調機情報表示部17に、操作可能な室内機部2およびその台数をユーザーに通知する表示をさせるとともに、検知した無線電波の電波強度が第一基準強度以上であるかどうかを判定する。そして、空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が第一基準強度以上であると判定した場合(YES)、ステップS107の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が第一基準強度以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS106の処理に移行する。つまり、第一基準値は、上記の基準値と同様に、室内機部2の無線通信部3に対して、空調運転を開始する運転開始コマンドを送信するかどうかを判定するための基準値であり、第二基準値は、操作可能な室内機部2およびその台数をユーザーに通知するかどうかを判定するための基準値である。なお、第一基準値および第二基準値は、自由に変更することができる値である。また、空調機運転管理部15が、第一基準強度および第二基準強度に基づいて、検知した無線電波の電波強度の判定を行うことで、操作可能な室内機部2およびその台数を広い範囲でユーザーに通知しつつ、運転開始コマンドの送信対象をユーザーの近くにある室内機部2にすることができる。このように、検知した電波強度から電波強度が強くて近くにある操作可能な室内機部2の存在を通知する、つまりユーザーの近くにある操作可能な室内機部2の存在を通知することで、頻繁に室内機部2の位置が変わるような環境下であっても、ユーザーの近くにある操作可能な室内機部2を容易に操作することができる。そのため、ユーザーが、携帯端末部6の空調機運転管理部15から任意の室内機部2に対する設定操作の入力を行うことで、任意の室内機部2の無線通信部3に対して、運転開始コマンドを送信することができ、快適性を向上させることができる。また、自動で携帯端末部6の近い位置にある室内機部2の無線通信部3に対して、運転開始コマンドを送信することができ、快適性を向上させることができる。さらに、無線操作に対応の室内機部2と非対応の室内機部2が混在しているような場合でも、操作可能な室内機部2を広い範囲で見つけることができるため、室内機部2が見つからないような事態を抑制することができる。
【0050】
図4は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システム100の室内機部2側の運転開始までの処理を示すフローチャートである。
次に、本実施の形態1に係る空気調和システム100の室内機部2側の運転開始までの処理を、
図4を用いて説明する。
【0051】
(ステップS201)
室内機制御部11は、無線通信部3を使用して、携帯端末部6から運転開始コマンドを受信したかどうかを判定する。室内機制御部11が、携帯端末部6から運転開始コマンドを受信したと判定した場合(YES)、ステップS202の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、携帯端末部6から運転開始コマンドを受信していないと判定した場合(NO)、検知するまで待機する。
【0052】
(ステップS202)
室内機制御部11は、人感検知部4によって、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知したかどうかを判定する。室内機制御部11が、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知したと判定した場合(YES)、ステップS203の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知していないと判定した場合(NO)、ステップS201の処理に移行する。ここで、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知したかどうかを判定しているのは、省エネのため、空調対象空間に人がいない室内機部2を、運転対象から除外するためである。なお、人感検知部4による、室内機部2の空調対象空間にいる人の検知は、電波強度の測定を開始する前に行ってもよい。
【0053】
なお、室内機部2によっては、人感検知部4を備えていない機種もある。そこで、そのような場合は、ステップS202の判定処理を行わないようにしてもよい。その場合、ステップS201の判定において、室内機制御部11が、携帯端末部6からの運転開始コマンドを受信したと判定した場合(YES)、ステップS203の処理に移行する。
【0054】
(ステップS203)
室内機制御部11は、室内機部2の運転を開始するとともに、有線通信回線部7を使用して室外機制御部14に運転開始コマンドを送信し、室外機部5を運転開始することによって、空調運転を実行する。
【0055】
図5は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システム100の携帯端末部6側の室内機部2の運転停止までの処理を示すフローチャートである。
次に、本実施の形態1に係る空気調和システム100の携帯端末部6側にて、運転停止対象の室内機部2を運転停止させるまでの処理を、
図5を用いて説明する。
【0056】
(ステップS301)
空調機運転管理部15は、空調機操作入力部16から運転停止の入力を受け付けたら、自身に登録されている無線IDを読み出す。
【0057】
(ステップS302)
空調機運転管理部15は、携帯側無線通信部9から、読み出した無線IDを持つ室内機部2の無線通信部3に対して、運転停止コマンドを送信する。
【0058】
なお、室内機部2の温度設定などの設定変更する動作も、
図5に示すフローチャートと同様の処理で実行することができる。この場合、ステップS302において、携帯側無線通信部9から送信されるコマンドは、設定変更コマンドなどとなる。
【0059】
図6は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システム100の室内機部2側の運転停止までの処理を示すフローチャートである。
次に、本実施の形態1に係る空気調和システム100の運転停止対象となった室内機部2の運転停止までの処理を、
図6を用いて説明する。
【0060】
(ステップS401)
室内機制御部11は、無線通信部3を使用して、携帯端末部6から運転停止コマンドを受信したかどうかを判定する。室内機制御部11が、携帯端末部6から運転停止コマンドを受信したと判定した場合(YES)、ステップS402の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、携帯端末部6から運転停止コマンドを受信していないと判定した場合(NO)、受信するまで待機する。
【0061】
(ステップS402)
室内機制御部11は、室内機部2の運転を停止するとともに、有線通信回線部7を使用して室外機制御部14に運転停止コマンドを送信し、室外機部5を運転停止することによって、空調運転を停止する。
【0062】
以上、本実施の形態1に係る空気調和システム100は、無線電波を発信する無線通信部3を有する複数の室内機部2と、各無線通信部3と無線通信を行う携帯端末部6と、を備えている。そして、携帯端末部6は、無線通信部3が発信する無線電波を検知することで、検知した電波強度から操作可能な室内機部2の存在を通知するものである。
【0063】
また、本実施の形態1に係るアプリケーションプログラムは、無線通信部3が発信する無線電波を検知して、検知した電波強度から操作可能な前記室内機部の存在を通知する処理をコンピュータに実行させるものである。
【0064】
本実施の形態1に係る空気調和システム100およびアプリケーションプログラムによれば、携帯端末部6は、無線通信部3が発信する無線電波を検知することで、検知した電波強度から操作可能な室内機部2の存在を通知する。このように、検知した電波強度から電波強度が強くて近くにある操作可能な室内機部2の存在を通知する、つまりユーザーの近くにある操作可能な室内機部2の存在を通知することで、頻繁に室内機部2の位置が変わるような環境下であっても、ユーザーの近くにある操作可能な室内機部2を容易に操作することができる。
【0065】
なお、ユーザーがある室内機部2を実際に操作できたかどうかは分かりにくい。そこで、室内機部2または携帯端末部6にフィードバック機能を設けてもよい。例えば、室内機部2においては、LEDなどの発光部が設けられている場合、発光部を点灯させることで操作の受付をユーザーにフィードバックするなどである。また、携帯端末部6においては、発光および振動の他、操作を受け付けた室内機部2のアドレスを表示して、どの室内機部2が操作を受け付けたか、および、操作を受け付けた室内機部2の台数をユーザーにフィードバックするなどである。
【0066】
また、本実施の形態1に係る空気調和システム100において、各室内機部2は、人を検知する人感検知部4を備え、無線通信部3で運転開始コマンドを受信した室内機部2は、人感検知部4で人を検知したら、運転を開始するものである。
【0067】
本実施の形態1に係る空気調和システム100によれば、無線通信部3で運転開始コマンドを受信した室内機部2のうち、人感検知部4で人を検知した室内機部2のみ運転を開始する。そのため、空調対象空間に人がいない室内機部2を、運転対象から除外することができ、省エネに寄与することができる。ここで、室内機部2は、無線通信部3で無線電波の電波強度および三点測定などによる無線検知角度の情報を携帯端末部6から受信し、その受信した無線電波の電波強度および無線検知角度から、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知してもよい。この場合、室内機部2は、無線電波の電波強度および無線検知角度に基づいて人を検知した場合のみ運転を開始する。
【0068】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2について説明するが、実施の形態1と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
【0069】
本実施の形態2に係る空気調和システム100は、あらかじめ設定された基準強度以上の電波強度を持ち、かつ、電波強度が上位N番目までの室内機部2の運転を開始させる。なお、Nは例えば「3」である。また、Nの設定は、例えば空調機操作入力部16から管理者が自由に設定することができる。なお、管理者以外のユーザーがNの設定を行うようにしてもよい。
【0070】
図7は、本発明の実施の形態2に係る空気調和システム100の携帯端末部6側の室内機部2の運転開始までの処理を示すフローチャートである。
以下、本実施の形態2に係る空気調和システム100の携帯端末部6側の室内機部2の運転開始までの処理を、
図7を用いて説明する。
【0071】
ステップS101〜S106の処理については実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
(ステップS111)
空調機運転管理部15は、登録されている無線IDと電波強度の情報とを比較して、同じ電波強度を持つ無線IDが存在する、または、あらかじめ設定された範囲内の電波強度を持つ無線IDが複数存在するかどうかを判定する。なお、この判定は、N番目付近に同じまたは互いに近い電波強度を持つ無線IDが複数存在するために、N番目が決まらない場合に行われるものである。つまり、この判定は、N番目付近以外であるN番目とは離れた順番で同じまたは互いに近い電波強度を持つ無線IDが存在する場合は、行われない。空調機運転管理部15が、同じ電波強度を持つ無線IDが存在する、または、あらかじめ設定された範囲内の電波強度を持つ無線IDが複数存在すると判定した場合(YES)、ステップS113の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、同じ電波強度を持つ無線IDが存在しない、かつ、あらかじめ設定された範囲内の電波強度を持つ無線IDが複数存在しないと判定した場合(NO)、ステップS112の処理に移行する。ここで、あらかじめ設定された範囲内の電波強度は、例えば±5dBmである。つまり、−60dBmの電波強度を持つ無線IDと−55dBmの電波強度を持つ無線IDとが存在する場合は、あらかじめ設定された範囲内の電波強度を持つ無線IDが複数存在すると判定される。
【0073】
(ステップS112)
空調機運転管理部15は、検知した無線電波を、電波強度が強い方から順位付けし、N番目以上の無線電波を発信している室内機部2の無線通信部3の無線IDと電波強度の情報とを紐づけて自身に登録する。
【0074】
(ステップS113)
空調機運転管理部15は、同じ電波強度を持つ無線IDを持つ、または、あらかじめ設定された範囲内の電波強度を持つ無線IDを持つ室内機部2の無線通信部3に対して、出力する電波強度をあらかじめ設定された値だけ下げる電波強度変更コマンドを送信し、ステップS102の処理に移行する。ここで、無線電波は、距離に応じて減衰量が変わり、電波強度が低い方が距離による差が出やすい。そこで、無線通信部3から出力される無線電波の電波強度を下げることで、携帯端末部6から室内機部2までの距離の差を判定しやすくしている。なお、出力する電波強度をあらかじめ設定された値だけ下げる電波強度変更コマンドを送信する代わりに、出力する電波強度をあらかじめ設定された値だけ上げる電波強度変更コマンドを送信してもよい。また、電波強度変更の情報は、空調機運転管理部15に登録される。そして、例えば空調機運転管理部15は、空調操作コマンド送信後に、電波強度を変更した室内機部2の無線通信部3に対して、元の電波強度に戻す電波強度変更コマンドを送信する。
【0075】
(ステップS114)
空調機運転管理部15は、登録されている無線IDを持つ室内機部2の無線通信部3に対して、運転開始コマンドを送信する。
【0076】
図8は、本発明の実施の形態2に係る空気調和システム100の室内機部2側の運転開始までの処理を示すフローチャートである。
以下、本実施の形態2に係る空気調和システム100の室内機部2側の運転開始までの処理を、
図8を用いて説明する。
【0077】
(ステップS211)
室内機制御部11は、無線通信部3を使用して、携帯端末部6からの運転開始コマンドを受信したかどうかを判定する。室内機制御部11が、携帯端末部6からの運転開始コマンドを受信したと判定した場合(YES)、ステップS214の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、携帯端末部6からの運転開始コマンドを受信していないと判定した場合(NO)、ステップS212の処理に移行する。
【0078】
(ステップS212)
室内機制御部11は、無線通信部3が電波強度変更コマンドを受信したかどうかを判定する。室内機制御部11が、無線通信部3が電波強度変更コマンドを受信したと判定した場合(YES)、ステップS213の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、無線通信部3が電波強度変更コマンドを受信していないと判定した場合(NO)、ステップS211の処理に移行する。
【0079】
(ステップS213)
室内機制御部11は、無線通信部3から出力される電波強度をあらかじめ設定された値だけ下げて、ステップS211の処理に移行する。
【0080】
(ステップS214)
室内機制御部11は、人感検知部4によって、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知したかどうかを判定する。室内機制御部11が、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知したと判定した場合(YES)、ステップS215の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知していないと判定した場合(NO)、ステップS211の処理に移行する。
【0081】
なお、室内機部2によっては、人感検知部4を備えていない機種もある。そこで、そのような場合は、ステップS214の判定処理を行わないようにしてもよい。その場合は、ステップS211の判定において、室内機制御部11が、携帯端末部6からの運転開始コマンドを受信したと判定した場合(YES)、ステップS215の処理に移行する。なお、本実施の形態2では、電波強度が上位N番目までの室内機部2を運転対象としており、その中から空調対象空間にいる人を検知していない室内機部2を運転対象から除外している。そのため、実際に空調運転が実行される室内機部2は、N個より少なくなる場合がある。そこで、省エネよりも快適性を重視する場合は、運転対象となる室内機部2がN個となるまで運転対象となる室内機部2を決定する処理(ステップS101〜S114)を繰り返し行ってもよい。
【0082】
(ステップS215)
室内機制御部11は、室内機部2の運転を開始するとともに、有線通信回線部7を使用して室外機制御部14に運転開始コマンドを送信し、室外機部5を運転開始することによって、空調運転を実行する。
【0083】
以上、本実施の形態2に係る空気調和システム100において、携帯端末部6は、検知した無線電波を、電波強度が強い方から順位付けし、あらかじめ設定された順位以上の無線電波を発信している無線通信部3に対して、運転開始コマンドを送信するものである。
【0084】
本実施の形態2に係る空気調和システム100によれば、携帯端末部6は、検知した無線電波を、電波強度が強い方から順位付けし、あらかじめ設定された順位以上の無線電波を発信している無線通信部3に対して、運転開始コマンドを送信する。そのため、操作する室内機部2を決定する条件を、ユーザーでカスタマイズすることができる。
【0085】
また、本実施の形態2に係る空気調和システム100において、携帯端末部6は、同じ電波強度を検知、または、あらかじめ設定された範囲内の電波強度を複数検知したら、同じ電波強度、または、あらかじめ設定された範囲内の電波強度の無線電波を発信している無線通信部3に対して、電波強度変更コマンドを送信するものである。また、電波強度変更コマンドを受信した無線通信部3は、発信する無線電波の電波強度を下げるものである。
【0086】
本実施の形態2に係る空気調和システム100によれば、携帯端末部6は、同じ電波強度を検知、または、あらかじめ設定された範囲内の電波強度を複数検知したら、その電波強度の無線電波を発信している無線通信部3に対して、電波強度変更コマンドを送信する。そのため、各室内機部2から携帯端末部6までの距離の順位付けを精度よく決定することができる。
【0087】
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3について説明するが、実施の形態1および2と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1および2と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
【0088】
本実施の形態3に係る空気調和システム100は、空調対象空間に人が存在する室内機部2を、運転対象として選ばれやすくする処理を行っている。
【0089】
図9は、本発明の実施の形態3に係る空気調和システム100の室内機部2側の運転開始までの処理を示すフローチャートである。
以下、本実施の形態3に係る空気調和システム100の室内機部2側の運転開始までの処理を、
図9を用いて説明する。
【0090】
(ステップS221)
室内機制御部11は、人感検知部4によって、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知したかどうかを判定する。室内機制御部11が、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知したと判定した場合(YES)、ステップS222の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知していないと判定した場合(NO)、ステップS223の処理に移行する。
【0091】
(ステップS222)
室内機制御部11は、無線通信部3から出力される電波強度をあらかじめ設定された値だけ上げる。これは、無線通信部3から出力される電波強度を上げることで、空調対象空間に人が存在する室内機部2を、運転対象として選ばれやすくするためである。なお、無線通信部3から出力される電波強度が、すでにあらかじめ設定された値だけ上がっている場合は、この処理をスキップする。
【0092】
(ステップS223)
室内機制御部11は、すでに無線通信部3から出力される電波強度をあらかじめ設定された値だけ上げていた場合は、無線通信部3から出力される電波強度を元の値に戻す。これは、空調対象空間に人が存在しない室内機部2が、運転対象として選ばれやすくなるのを防ぐためである。
【0093】
(ステップS224)
室内機制御部11は、無線通信部3を使用して、携帯端末部6からの運転開始コマンドを受信したかどうかを判定する。室内機制御部11が、携帯端末部6からの運転開始コマンドを受信したと判定した場合(YES)、ステップS225の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、携帯端末部6からの運転開始コマンドを受信していないと判定した場合(NO)、ステップS221の処理に移行する。
【0094】
(ステップS225)
室内機制御部11は、室内機部2の運転を開始するとともに、有線通信回線部7を使用して室外機制御部14に運転開始コマンドを送信し、室外機部5を運転開始することによって、空調運転を実行する。
【0095】
以上、本実施の形態3に係る空気調和システム100において、室内機部2は、人感検知部4で人を検知したら、無線通信部3が発信する無線電波の電波強度を上げるものである。
【0096】
本実施の形態3に係る空気調和システム100によれば、室内機部2は、人感検知部4で人を検知したら、無線通信部3が発信する無線電波の電波強度を上げる。そのため、空調対象空間に人が存在する室内機部2を、運転対象として選ばれやすくすることができる。なお、室内機部2が、人感検知部4で人を検知したら無線通信部3が発信する無線電波の電波強度を上げるという処理は、実施の形態2においてN番目までの室内機部2が見つからなかった場合にも有効である。
【0097】
実施の形態4.
以下、本発明の実施の形態4について説明するが、実施の形態1〜3と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1〜3と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
【0098】
本実施の形態4に係る空気調和システム100は、実施の形態3と同様に、空調対象空間に人が存在する室内機部2を、運転対象として選ばれやすくする処理を行っている。
【0099】
図10は、本発明の実施の形態4に係る空気調和システム100の携帯端末部6側の室内機部2の運転開始まで処理を示すフローチャートである。
以下、本実施の形態4に係る空気調和システム100の携帯端末部6側にて、室内機部2を運転開始させるまでの処理を、
図10を用いて説明する。
【0100】
ステップS101〜S108の処理については実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
(ステップS121)
空調機運転管理部15は、携帯側無線通信部9が電波強度変更コマンドを受信したかどうかを判定する。ここで、電波強度変更コマンドは、後述するように、人感検知部4によって、空調対象空間にいる人を検知した室内機部2から、自身が運転対象として選ばれやすくするために、送信される。空調機運転管理部15が、携帯側無線通信部9が電波強度変更コマンドを受信したと判定した場合(YES)、ステップS122の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、携帯側無線通信部9が電波強度変更コマンドを受信していないと判定した場合(NO)、ステップS105の処理に移行する。
【0102】
(ステップS122)
空調機運転管理部15は、電波強度変更コマンドの送信元の無線通信部3の無線IDを確認し、その無線IDを持つ室内機部2以外の室内機部2の無線通信部3に対して、出力する電波強度をあらかじめ設定された値だけ下げる電波強度変更コマンドを送信し、ステップS102の処理に移行する。
【0103】
図11は、本発明の実施の形態4に係る空気調和システム100の室内機部2側の運転開始までの処理を示すフローチャートである。
以下、本実施の形態4に係る空気調和システム100の室内機部2側の運転開始までの処理を、
図11を用いて説明する。
【0104】
(ステップS231)
室内機制御部11は、人感検知部4によって、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知したかどうかを判定する。室内機制御部11が、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知したと判定した場合(YES)、ステップS232の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知していないと判定した場合(NO)、ステップS233の処理に移行する。
【0105】
(ステップS232)
室内機制御部11は、携帯側無線通信部9に対して、他の室内機部2の無線通信部3から出力される電波強度をあらかじめ設定された値だけ下げる電波強度変更コマンドを送信する。これは、他の室内機部2の無線通信部3から出力される電波強度を下げて、自身の無線通信部3から出力される電波強度が相対的に上げることで、空調対象空間に人が存在する室内機部2を、運転対象として選ばれやすくするためである。なお、他の室内機部2の無線通信部3から出力される電波強度を下げる電波強度変更コマンドをすでに送信している場合は、この処理をスキップする。
【0106】
(ステップS233)
室内機制御部11は、他の室内機部2の無線通信部3から出力される電波強度を下げる電波強度変更コマンドをすでに送信している場合は、携帯側無線通信部9に対して、他の室内機部2の無線通信部3から出力される電波強度を元に戻す電波強度変更コマンドを送信する。これは、空調対象空間に人が存在しない室内機部2が、運転対象として選ばれやすくなるのを防ぐためである。
【0107】
(ステップS234)
室内機制御部11は、無線通信部3を使用して、携帯端末部6からの運転開始コマンドを受信したかどうかを判定する。室内機制御部11が、携帯端末部6からの運転開始コマンドを受信したと判定した場合(YES)、ステップS235の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、携帯端末部6からの運転開始コマンドを受信していないと判定した場合(NO)、ステップS236の処理に移行する。
【0108】
(ステップS235)
室内機制御部11は、室内機部2の運転を開始するとともに、有線通信回線部7を使用して室外機制御部14に運転開始コマンドを送信し、室外機部5を運転開始することによって、空調運転を実行する。
【0109】
(ステップS236)
室内機制御部11は、無線通信部3が電波強度変更コマンドを受信したかどうかを判定する。室内機制御部11が、無線通信部3が電波強度変更コマンドを受信したと判定した場合(YES)、ステップS237の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、無線通信部3が電波強度変更コマンドを受信していないと判定した場合(NO)、ステップS231の処理に移行する。
【0110】
(ステップS237)
室内機制御部11は、人感検知部4によって、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知したかどうかを判定する。室内機制御部11が、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知したと判定した場合(YES)、ステップS231の処理に移行する。一方、室内機制御部11が、室内機部2の空調対象空間にいる人を検知していないと判定した場合(NO)、ステップS238の処理に移行する。
【0111】
(ステップS238)
室内機制御部11は、無線通信部3から出力される電波強度をあらかじめ設定された値だけ下げて、ステップS231の処理に移行する。
【0112】
以上、本実施の形態4に係る空気調和システム100において、室内機部2は、人感検知部4で人を検知したら、携帯端末部6に対して、電波強度変更コマンドを送信するものである。また、携帯端末部6は、電波強度変更コマンドを受信したら、電波強度変更コマンドの送信元以外の無線通信部3に対して、電波強度変更コマンドを送信するものである。
【0113】
本実施の形態4に係る空気調和システム100によれば、携帯端末部6は、電波強度変更コマンドを受信したら、電波強度変更コマンドの送信元以外の無線通信部3に対して、電波強度変更コマンドを送信する。このように、人感検知部4で人を検知した室内機部2以外の室内機部2の無線通信部3から出力される電波強度を下げて、自身の無線通信部3から出力される電波強度が相対的に上げる。そうすることで、空調対象空間に人が存在する室内機部2を、運転対象として選ばれやすくすることができる。
【0114】
実施の形態5.
以下、本発明の実施の形態5について説明するが、実施の形態1〜4と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1〜4と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
【0115】
図12は、本発明の実施の形態5に係る空気調和システム100の携帯端末部6側の室内機部2の運転開始までの処理を示すフローチャートである。
図13は、本発明の実施の形態5に係る空気調和システム100の飛び番地のアドレスを持つ室内機部2を運転対象から除外する処理を説明する図である。なお、「飛び番地のアドレス」とは、複数のアドレスのうち、他のアドレスと隣接していないアドレスのことである。また、飛び番地アドレスに関して、アドレスは、
図13に示すように列がアルファベットで行が数字のように、ある規則にしたがって設定された場合に有効である。
以下、本実施の形態5に係る空気調和システム100の携帯端末部6側にて、室内機部2を運転開始させるまでの処理を、
図12および
図13を用いて説明する。
【0116】
ステップS101〜S103、S107、S108の処理については実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0117】
(ステップS131)
空調機運転管理部15は、送信元の無線通信部3の無線IDおよび送信元の無線通信部3のアドレスを確認するとともに、電波強度(RSSI)の測定を開始する。さらに、空調機運転管理部15は、無線電波検知開始からの時間の測定をリセットする。ここで、空調機運転管理部15は、電波強度のゆれを判定するため、複数回の測定結果から平均もしくは中央値を採用して、検知した無線電波の電波強度を決定する。
【0118】
(ステップS132)
空調機運転管理部15は、ステップS131の処理において決定した検知した無線電波の電波強度が、あらかじめ設定された基準強度以上であるかどうかを判定する。空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が基準強度以上であると判定した場合(YES)、ステップS133の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が基準強度以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS134の処理に移行する。
【0119】
(ステップS133)
空調機運転管理部15は、室内機部2の無線通信部3のアドレスが、飛び番地のアドレスであるかどうかを判定する。空調機運転管理部15が、室内機部2の無線通信部3のアドレスが、飛び番地のアドレスであると判定した場合(YES)、ステップS134の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、室内機部2の無線通信部3のアドレスが、飛び番地のアドレスではないと判定した場合(NO)、ステップS107の処理に移行する。
【0120】
(ステップS134)
空調機運転管理部15は、基準強度に満たない電波強度を持つ、あるいは、飛び番地のアドレスを持つ室内機部2の無線通信部3の無線IDの情報を破棄する。
【0121】
ここで、
図13に示すように、例えば、あらかじめ設定された基準強度以上(−70dBm以上)の電波強度を持つ室内機部2の無線通信部3のアドレスが、それぞれ「1−A」、「2−A」、「2−E」であるとする。その場合、「1−A」と「2−A」とは互いに隣接したアドレスであるが、「2−E」のアドレスは「1−A」および「2−A」のアドレスと隣接しておらず、飛び番地のアドレスとなっている。そこで、この場合は「2−E」のアドレスを持つ室内機部2の無線通信部3の無線IDを運転対象から除外する。これは、空調機運転管理部15が、障害物などの影響による、電波強度の誤検知を回避するためである。つまり、空調機運転管理部15は、携帯端末部6から近い位置にある室内機部2の無線通信部3よりも、携帯端末部6から遠い位置にある室内機部2の無線通信部3から発信されている無線電波の方が強い電波強度で検知してしまうことがある。そこで、ステップS133、S134の処理において、上記のように飛び番地のアドレスを持つ室内機部2の無線通信部3の無線IDを運転対象から除外することで、電波強度の誤検知を回避することができる。なお、無線IDを室内機部2の位置と関連づけて、アドレスの代わりに無線IDに基づいて、上記のように電波強度の誤検知を回避するようにしてもよい。
【0122】
ここで、空調機運転管理部15は、ステップS103の処理で無線電波を複数検知した場合、ステップS131〜S134の処理を、無線電波を検知した数だけ行う。
【0123】
なお、ステップS132の処理において、空調機運転管理部15は、あらかじめ設定された第一基準強度(上記の基準強度と同じ)および第二基準強度(<第一電波強度)に基づいて、ステップS131の処理において決定した検知した無線電波の電波強度の判定を行うようにしてもよい。この場合、空調機運転管理部15は、ステップS131の処理において決定した検知した無線電波の電波強度が、あらかじめ設定された第二基準強度以上であるかどうかを判定する。空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が第二基準強度以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS134の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が第二基準強度以上であると判定した場合(YES)、空調機情報表示部17に、操作可能な室内機部2およびその台数をユーザーに通知する表示をさせるとともに、検知した無線電波の電波強度が第一基準強度以上であるかどうかを判定する。そして、空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が第一基準強度以上であると判定した場合(YES)、ステップS133の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、検知した無線電波の電波強度が第一基準強度以上ではないと判定した場合(NO)、ステップS134の処理に移行する。つまり、第一基準値は、上記の基準値と同様に、室内機部2の無線通信部3に対して、空調運転を開始する運転開始コマンドを送信するかどうかを判定するための基準値であり、第二基準値は、操作可能な室内機部2およびその台数をユーザーに通知するかどうかを判定するための基準値である。なお、第一基準値および第二基準値は、自由に変更することができる値である。また、空調機運転管理部15が、第一基準強度および第二基準強度に基づいて、検知した無線電波の電波強度の判定を行うことで、操作可能な室内機部2およびその台数を広い範囲でユーザーに通知しつつ、運転開始コマンドの送信対象をユーザーの近くにある室内機部2にすることができる。このように、検知した電波強度から電波強度が強くて近くにある操作可能な室内機部2の存在を通知する、つまりユーザーの近くにある操作可能な室内機部2の存在を通知することで、頻繁に室内機部2の位置が変わるような環境下であっても、ユーザーの近くにある操作可能な室内機部2を容易に操作することができる。そのため、ユーザーが、携帯端末部6の空調機運転管理部15から任意の室内機部2に対する設定操作の入力を行うことで、任意の室内機部2の無線通信部3に対して、運転開始コマンドを送信することができ、快適性を向上させることができる。また、自動で携帯端末部6の近い位置にある室内機部2の無線通信部3に対して、運転開始コマンドを送信することができ、快適性を向上させることができる。さらに、無線操作に対応の室内機部2と非対応の室内機部2が混在しているような場合でも、操作可能な室内機部2を広い範囲で見つけることができるため、室内機部2が見つからないような事態を抑制することができる。
【0124】
以上、本実施の形態5に係る空気調和システム100において、携帯端末部6は、あらかじめ設定された基準強度以上の無線電波を発信している無線通信部3のアドレスを取得する。そして、携帯端末部6は、飛び番地のアドレスを持つ無線通信部3を、運転開始コマンドを送信する対象から除外するものである。
【0125】
本実施の形態5に係る空気調和システム100によれば、飛び番地のアドレスを持つ無線通信部3を、運転開始コマンドを送信する対象から除外するため、電波強度の誤検知を回避することができる。
【0126】
実施の形態6.
以下、本発明の実施の形態6について説明するが、実施の形態1〜5と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1〜5と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
【0127】
本実施の形態6に係る空気調和システム100は、各室内機部2が備える無線通信部3の電波強度に基づいて、グループ化する、つまりグループとして設定する室内機部2をユーザーに手動で選択させ、選択された室内機部2をグループとして設定する。なお、このグループ化は、まとめて設定操作される対象となる室内機部2の群を一度だけ設定する場合、つまり、一度選択されたグループが、その後にグループ設定が解除される場合も含む。
【0128】
図14は、本発明の実施の形態6に係る空気調和システム100の携帯端末部6で室内機部2のグループ設定を行う処理を示すフローチャートである。
図15は、本発明の実施の形態6に係る空気調和システム100のグループを説明する図である。
以下、本実施の形態6に係る空気調和システム100の携帯端末部6にて、室内機部2のグループ設定を行う処理を、
図14および
図15を用いて説明する。
【0129】
(ステップS501)
空調機運転管理部15は、空調機操作入力部16からユーザーIDの入力を受け付けたら、ユーザーIDに関する情報に基づいて、ユーザーが管理者かどうかを判定する。なお、ユーザーIDに関する情報は、空調機運転管理部15に記憶されている。空調機運転管理部15が、ユーザーが管理者であると判定した場合(YES)、ステップS502の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、ユーザーが管理者ではないと判定した場合(NO)、ステップS507の処理に移行する。なお、ユーザーIDに関する情報は、空調機運転管理部15以外の記憶手段に記憶されていてもよい。
【0130】
(ステップS502)
空調機運転管理部15は、グループがあらかじめ設定されているどうかを判定する。ここで、グループとは、まとめて設定操作される対象となる室内機部2の群である。
図15に示すように、例えばグループ1に属する室内機部2が2台ある場合、グループ1が選択され、そのグループ1に対して運転開始の操作が行われたら、グループ1に属する2台の室内機部2全てに対して運転開始コマンドが送信される。なお、グループ情報は、グループの番号とそのグループに属する室内機部2の無線通信部3の無線IDの情報とが紐づけられて空調機運転管理部15に記憶されている。空調機運転管理部15が、グループがあらかじめ設定されていると判定した場合(YES)、ステップS503の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、グループがあらかじめ設定されていないと判定した場合(NO)、ステップS504の処理に移行する。なお、グループ情報は、空調機運転管理部15以外の記憶手段に記憶されていてもよい。
【0131】
(ステップS503)
空調機運転管理部15は、空調機情報表示部17に、グループの再設定を行うか否かの入力をユーザーに促す表示をさせる。ユーザーが空調機操作入力部16からグループの再設定を行うか否かの入力を行った後、空調機運転管理部15は、空調機操作入力部16からグループの再設定を行う入力を受け付けたかどうかを判定する。空調機運転管理部15が、空調機操作入力部16からグループの再設定を行う入力を受け付けたと判定した場合(YES)、ステップS504の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、空調機操作入力部16からグループの再設定を行わない入力を受け付けたと判定した場合(NO)、ステップS507の処理に移行する。
【0132】
(ステップS504)
空調機運転管理部15は、空調機情報表示部17に、室内機部2の一覧を表示させるとともに、まとめて設定操作される対象となる室内機部2の選択、つまり、グループとして設定したい室内機部2の選択を促す表示をさせる。
【0133】
(ステップS505)
空調機運転管理部15は、空調機操作入力部16から、グループとして設定したい室内機部2の選択が行われたか、つまり、グループ設定の入力を受け付けたかどうかを判定する。空調機運転管理部15が、空調機操作入力部16からグループ設定の入力を受け付けたと判定した場合(YES)、ステップS506の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、空調機操作入力部16からグループ設定の入力を受け付けていないと判定した場合(NO)、グループ設定の入力を受け付けるまで待機する。
【0134】
(ステップS506)
空調機運転管理部15は、グループの番号とそのグループに属する室内機部2の無線通信部3の無線IDの情報とを紐づけて自身に登録する。
【0135】
(ステップS507)
空調機運転管理部15は、空調機操作入力部16から、グループまたは室内機部2に対する運転開始、運転停止、温度設定などの設定操作の入力、および、その設定操作の対象となるグループまたは室内機部2の選択を受け付けたかどうかを判定する。空調機運転管理部15が、空調機操作入力部16から設定操作等の入力を受け付けたと判定した場合(YES)、ステップS508の処理に移行する。一方、空調機運転管理部15が、空調機操作入力部16から設定操作等の入力を受け付けていないと判定した場合(NO)、設定操作の入力を受け付けるまで待機する。
【0136】
(ステップS508)
空調機運転管理部15は、選択された室内機部2の無線通信部3、または、選択されたグループに登録されている無線IDを持つ室内機部2の無線通信部3の全てに対して、空調操作コマンドを送信する。
【0137】
なお、室内機部2側の処理については、実施の形態1などで説明した内容と同じであるため、説明を省略する。
【0138】
以上、本実施の形態6に係る空気調和システム100は、無線電波を発信する無線通信部3を有する複数の室内機部2と、各無線通信部3と無線通信を行う携帯端末部6と、を備えている。また、携帯端末部6は、ユーザーからの入力を受け付ける空調機操作入力部16と、ユーザーに情報を表示する空調機情報表示部17と、室内機部2を制御する空調機運転管理部15と、を備えている。また、空調機運転管理部15は、空調機情報表示部17に、室内機部2の一覧を表示させるとともに、まとめて設定操作される対象となる室内機部2の選択を促す表示をさせる。そして、空調機運転管理部15は、空調機操作入力部16から室内機部2が選択されたら、選択された室内機部2をグループとして設定するものである。
【0139】
本実施の形態6に係る空気調和システム100によれば、空調機運転管理部15は、空調機情報表示部17に、室内機部2の一覧を表示させるとともに、まとめて設定操作される対象となる室内機部2の選択を促す表示をさせる。そして、空調機操作入力部16から室内機部2が選択されたら、選択された室内機部2をグループとして設定する。そのため、グループ設定を容易に行うことができ、まとめて設定操作される対象となる室内機部2を柔軟に変更することができる。