(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書で使用する各図においては、共通する要素に同一の符号を付けるものとする。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る空調システム1の全体構成の一例を示す模式図である。この空調システム1は、建物BL内(フロア内)の空気を調和するシステムであり、設置位置特定装置10と、空調機リモコン20と、複数の空調機30と、サーバ40とを備えている。なお、設置位置特定装置10とサーバ40とは、インターネットNを介して通信可能に接続されている。また、設置位置特定装置10と空調機リモコン20とは、例えば、近距離無線通信を用いて通信可能に接続されている。そして、空調機リモコン20と空調機30とは、空調通信ネットワーク90を介して通信可能に接続されている。この空調通信ネットワーク90上において、空調機30のそれぞれには、例えば、MACアドレス、IPアドレス等の識別情報が割り当てられている。
【0014】
設置位置特定装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット等のカメラ付き端末であり、作業者に使用される。詳細については後述するが、設置位置特定装置10は、空調機リモコン20との間で必要な情報を送受信しつつ、撮影した画像を用いて空調機30の設置位置を特定する。
【0015】
空調機リモコン20は、作業者、ユーザ等の操作を受け付け、その操作に応じて空調機30に制御指令を発する。また、空調機リモコン20は、近距離無線通信を用いて、設置位置特定装置10と通信を行う。
【0016】
空調機30は、いわゆる室内機であり、例えば、膨張弁および熱交換器を有しており、配管によって図示せぬ室外機と接続されている。そして、空調機30は、この配管を通じて室外機から送られた冷媒を、熱交換器において蒸発または凝縮させることにより、対象空間の空気調和を行う。この空調機30は、一例として、天井埋め込みタイプであり、建物BL内におけるフロアの天井に埋め込まれて設置されている。つまり、フロアの天井には、複数の空調機30が設置済みであり、上述したように、空調通信ネットワーク90を介して通信可能に接続されている。なお、これらの空調機30には、アドレス(識別情報)が割り当てられているものの、どのアドレスの空調機30が、どの設置位置に設置されているのか不明であるものとする。
【0017】
また、空調機30の吹出口には、可動部の一例であるベーン(風向ベーン)が配置されている。このベーンは、例えば、空調機30が稼働(運転)していない状態で、吹出口を覆って水平(天井面に対して水平)に停止しているものの、空調機30が稼働すると、吹出口を開放するためにせり出すように傾斜する。なお、ベーンは、空調機リモコン20から指令された風向制御に応じて、傾斜角度を変化させることができる。また、空調機30は、吹出口からの到達風速を低減する「ドラフトセーブ運転」が可能となっている。このドラフトセーブ運転時に、ベーンは、垂直(天井面に対して垂直)まで傾斜し、風当たりを弱くする。
【0018】
サーバ40は、例えば、空調システム1を管理するサーバコンピュータである。サーバ40は、設置位置特定装置10によって空調機30の設置位置がそれぞれ特定されると、空調機30の識別情報(アドレス)と設置位置とを対応付けたアドレステーブルを収集する。
【0019】
以下、これら設置位置特定装置10〜サーバ40の詳細について、図面を参照してそれぞれ説明する。
【0020】
まず、設置位置特定装置10の詳細について、
図2を参照して説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る設置位置特定装置10の構成の一例を示すブロック図である。図示するように、設置位置特定装置10は、画像取得手段の一例である撮影部11と、近距離通信部12と、表示部13と、制御部14と、記憶部15と、通信部16とを備える。
【0021】
撮影部11は、例えば、レンズ、撮像素子(一例として、CCD;Charge Coupled Device)等を備えており、設置位置特定装置10を取り扱う作業者の操作に従って、空調機30を含む空間を動画撮影する。撮影部11は、撮影によって生成した画像(撮影画像)を制御部14に順次供給する。
【0022】
一例として、
図3にて平面的に示すように、建物BL内の撮影位置P1から、作業者が撮影部11の画角V1を空調機30(フロアの天井方向)に向けて撮影を開始すると、撮影部11は、
図4に示すような全ての空調機30を含んだ撮影画像を生成する。なお、撮影部11は、撮影を終えるまで、動画の撮影画像を生成する。つまり、撮影部11は、
図4のような撮影画像を順次生成して制御部14に供給する。
【0023】
図2に戻って、近距離通信部12は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy )の無線通信を行う。つまり、近距離通信部12は、空調機リモコン20との間で、必要な情報を送受信する。
【0024】
表示部13は、例えば、液晶表示器であり、作業者が必要とする種々の情報を表示する。一例として、表示部13は、上述した
図4に示すような撮影画像を表示する。
【0025】
制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等を備えており、設置位置特定装置10の動作を制御する。より詳細に、制御部14には、機能的に、画像認識手段の一例である画像処理部141と、制御指令手段の一例である制御依頼部142と、制御状態取得手段の一例である制御状態取得部143と、特定手段の一例である特定部144と、アドレステーブル提供部145とが含まれている。これらの機能は、例えば、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されているプログラムを適宜実行することにより実現される。
【0026】
画像処理部141は、撮影部11によって撮影された撮影画像に含まれる空調機30を認識する。例えば、画像処理部141は、まず、撮影画像に含まれる空調機30の設置領域を画定する。具体的に、画像処理部141は、上述した
図4のような撮影画像から、空調機30のベーンの動き(一例として、空調機30が稼働開始した際のベーンの動き)を検出し、その領域を空調機30の設置領域として画定する。この他にも、画像処理部141は、撮影画像に含まれる特定形状(空調機30と推定される外観)から、空調機30をそれぞれ認識し、認識した領域を空調機30の設置領域として画定してもよい。これらのように、撮影画像における空調機30の設置領域が画定されると、画像処理部141は、例えば、
図4の撮影画像にて示されるように、1つの設置領域を基点の設置位置(0,0)と定め、それを基準に、残りの設置領域について設置位置(配列)を定める。なお、基点となる設置領域は、作業者が指定できるようにしてもよい。例えば、
図4のような撮影画像が、表示部13に表示された状態で、作業者によって、基点となる設置領域が選択されると、画像処理部141は、選択された設置領域を基準に、残りの設置領域について設置位置を定める。
【0027】
そして、画像処理部141は、動画である撮影画像の変化から空調機30の制御状態を推定する。例えば、画像処理部141は、撮影画像におけるベーンの動き(ベーンの傾斜が変化する動き)を検出し、その設置位置における空調機30の制御状態を推定する。上述したように、空調機30のベーンは、空調機30が稼働していない状態で水平に停止しており、空調機30が稼働すると傾斜する。また、空調機30に風向制御が指令されると、ベーンは、指令された風向に応じて傾斜角が変化する。更に、空調機30にドラフトセーブ運転が指令されると、ベーンは、垂直まで傾斜する。そのため、画像処理部141は、これらのようなベーンの動きを検出し、少なくとも空調機30が稼働状態であるか、若しくは、停止状態であるかを推定する。更に、画像処理部141は、ベーンの傾斜が変化したことを検出し、空調機30に風向制御が指令されたこと、若しくは、空調機30にドラフトセーブ運転が指令されたことを推定する。
【0028】
制御依頼部142は、近距離通信部12を通じて、空調機30の制御を空調機リモコン20に依頼する。例えば、制御依頼部142は、識別情報であるアドレスを指定して、そのアドレスが割り当てられた空調機30に向けた制御を、空調機リモコン20に依頼する。例えば、制御依頼部142は、オン制御(稼働開始)、オフ制御(稼働停止)、風向制御、ドラフトセーブ運転等の指令を、空調機リモコン20に依頼する。この他にも、制御依頼部142は、稼働させる空調機30(一例として、何れか1台の空調機30)を、順次切り換えて行くローテーション運転を、空調機リモコン20に依頼可能となっている。
【0029】
制御状態取得部143は、近距離通信部12を通じて、空調機リモコン20から空調機30の制御状態を取得する。例えば、制御状態取得部143は、アドレス毎の制御状態(一例として、AAAアドレス:停止状態、BBBアドレス:稼働状態、・・・)を取得する。なお、制御状態取得部143は、指令が発せられた空調機30についてだけ、そのアドレスの制御状態(一例として、EEEアドレス:風向制御)を取得するようにしてもよい。これらのように、空調機30の制御状態を取得することで、例えば、上記の制御依頼部142がローテーション運転を空調機リモコン20に依頼した場合に、制御状態取得部143は、どのアドレスの空調機30が稼働し、どのアドレスの空調機30が停止しているのかを把握できる。また、上記の制御依頼部142が制御を依頼する代わりに、空調機リモコン20の操作に応じて空調機30が制御されている場合にも、制御状態取得部143は、どのアドレスの空調機30に、どのような制御が指令されたのかを、同様に把握できる。
【0030】
特定部144は、制御依頼部142が依頼した制御内容と、撮影部11が撮影した撮影画像とから、空調機30の設置位置を特定する。例えば、制御依頼部142がアドレスを指定し、オン制御を空調機リモコン20に依頼した場合では、画像処理部141が撮影画像からベーンの動きを検出すると、特定部144は、指定したアドレスの空調機30が、ベーンの動きを検出した設置位置に設置されていることを特定する。また、特定部144は、制御状態取得部143が取得した制御状態と、撮影部11が撮影した撮影画像とから、空調機30の設置位置を特定する。例えば、制御依頼部142が制御を依頼する代わりに、空調機リモコン20の操作に応じて空調機30が制御された場合でも、制御状態取得部143がアドレス及び制御状態を取得し、画像処理部141が撮影画像からベーンの動きを検出すると、取得したアドレスの空調機30が、ベーンの動きを検出した設置位置に設置されていることを特定する。特定部144は、例えば、アドレスを順次切り替えながらこのような特定を繰り返し、全てのアドレスの空調機30それぞれについて、設置位置を特定する。そして、特定部144は、アドレスと設置位置とを対応付けたアドレステーブルを生成し、記憶部15に記憶する。
【0031】
アドレステーブル提供部145は、記憶部15に記憶されたアドレステーブルを、通信部16を通じて、サーバ40に提供する。
【0032】
記憶部15は、特定部144によって、空調機30の設置位置が特定されると、アドレスと設置位置とを対応付けたアドレステーブルを記憶する。この他にも記憶部15は、設置位置特定装置10において必要な種々の情報を記憶する。
【0033】
通信部16は、例えば、PLC(Power Line Communication)、Ethernet(登録商標)等の有線通信によって、インターネットNを介して、サーバ40と通信を行う。なお、通信部16は、Wi−Fiに代表される無線通信によって、インターネットNを介して、サーバ40と通信を行ってもよい。
【0034】
次に、空調機リモコン20の詳細について、
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る空調機リモコン20の構成の一例を示すブロック図である。図示するように空調機リモコン20は、操作部21と、近距離通信部22と、制御部23と、制御状態DB(データベース)24と、空調通信部25とを備える。
【0035】
操作部21は、例えば、押下を検出するためのスイッチ,タッチパネル等であり、空調機30に対する制御内容を受け付ける。
【0036】
近距離通信部22は、例えば、BLEの無線通信を行う。つまり、近距離通信部22は、設置位置特定装置10との間で、必要な情報を送受信する。
【0037】
制御部23は、例えば、CPU,ROM,RAM等を備えており、空調機リモコン20の動作を制御する。より詳細に、制御部23には、機能的に、制御指令手段の一例である制御指令部231と、制御状態提供手段の一例である制御状態提供部232とが含まれている。これらの機能は、例えば、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されているプログラムを適宜実行することにより実現される。
【0038】
制御指令部231は、操作部21が受け付けた制御内容、又は、近距離通信部22を通じて設置位置特定装置10から依頼された制御内容に応じ、空調通信部25を通じて、空調機30へ制御を指令する。制御指令部231は、空調機30へ制御を指令すると、制御状態DB24を更新する。つまり、制御状態DB24には、空調機30における制御状態が管理される。
【0039】
制御状態提供部232は、制御状態DB24に管理されている制御状態(空調機30における制御状態)を読み出し、近距離通信部22を通じて、その制御状態を設置位置特定装置10に提供する。
【0040】
制御状態DB24は、空調機30における制御状態を管理する。
【0041】
空調通信部25は、空調通信ネットワーク90に適合した通信を行う。つまり、空調通信部25は、空調機30との間で、必要な情報を送受信する。
【0042】
次に、空調機30の詳細について、
図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る空調機30の構成の一例を示すブロック図である。図示するように空調機30は、空調通信部31と、制御部32と、駆動部33とを備える。
【0043】
空調通信部31は、空調通信ネットワーク90に適合した通信を行う。つまり、空調通信部31は、空調機リモコン20との間で、必要な情報を送受信する。
【0044】
制御部32は、例えば、CPU,ROM,RAM等を備えており、空調機30の動作を制御する。より詳細に、制御部32には、機能的に、制御指令取得部321と、空調制御部322とが含まれている。これらの機能は、例えば、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されているプログラムを適宜実行することにより実現される。
【0045】
制御指令取得部321は、空調通信部25を通じて空調機リモコン20から送られた制御指令を取得する。
【0046】
空調制御部322は、制御指令取得部321が取得した制御指令に応じて、駆動部33を動作させる。つまり、空調制御部322は、駆動部33を動作させることにより、膨張弁、圧縮弁、ファン、ベーン等を稼働させ、空気調和を行う。
【0047】
駆動部33は、例えば、アクチュエータ、モータ等であり、膨張弁、圧縮弁、ファン、ベーン等を稼働させる。一例として、ベーンを動かす場合について説明すると、駆動部33は、制御指令取得部321が取得した制御指令が、オフ制御であれば(稼働中にオフ制御が発せられた場合)、駆動部33は、ベーンを水平まで可動させ、吹出口を覆って停止させる。また、制御指令がオン制御であれば(停止中にオン制御が発せられた場合)、駆動部33は、ベーンをせり出すように傾斜させ、吹出口を開放する。また、制御指令が風向制御であれば、駆動部33は、指令された風向に応じた角度までベーンを傾斜させる。更に、制御指令がドラフトセーブ運転であれば、駆動部33は、ベーンを垂直まで傾斜させる。
【0048】
次に、サーバ40の詳細について、
図7を参照して説明する。
図7は、本発明の実施形態に係るサーバ40の構成の一例を示すブロック図である。図示するようにサーバ40は、通信部41と、制御部42と、アドレステーブルDB43とを備える。
【0049】
通信部41は、例えば、PLC、Ethernet(登録商標)等の有線通信によって、インターネットNを介して、設置位置特定装置10と通信を行う。なお、通信部41は、Wi−Fiに代表される無線通信によって、インターネットNを介して、設置位置特定装置10と通信を行ってもよい。
【0050】
制御部42は、例えば、CPU,ROM,RAM等を備えており、サーバ40の動作を制御する。より詳細に、制御部42には、機能的に、アドレステーブル取得部421が含まれている。この機能は、例えば、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されているプログラムを適宜実行することにより実現される。
【0051】
アドレステーブル取得部421は、通信部41を通じて設置位置特定装置10から送られたアドレステーブルを取得する。
【0052】
アドレステーブルDB43は、アドレステーブル取得部421が取得したアドレステーブルを記憶する。このように、アドレステーブルがサーバ40側に記憶されることで、例えば、空調機30が故障した場合でも、アドレステーブルを提供でき、作業者の負担を軽減することができる。この他にも、営業活動の提案(一例として、能力が下がってきた空調機30のリプレース提案)に、アドレステーブルを活用することができる。
【0053】
以下、このような構成の空調システム1の動作について、
図8を参照して説明する。
図8は、本発明の実施形態に係る設置位置特定処理の一例を示すフローチャートである。この設置位置特定処理は、設置位置特定装置10にて実行される。
【0054】
まず、設置位置特定装置10は、空調機リモコン20と通信接続する(ステップS101)。すなわち、制御部14は、近距離通信部12を制御して、設置位置特定装置10と空調機リモコン20との通信リンクを確立する。
【0055】
設置位置特定装置10は、空調機リモコン20から、全てのアドレスを取得する(ステップS102)。すなわち、制御部14は、全ての空調機30にそれぞれ割り当てられたアドレスを、空調機リモコン20から取得する。
【0056】
設置位置特定装置10は、撮影を開始する(ステップS103)。すなわち、制御部14は、撮影部11を制御して動画である撮影画像を生成させる。なお、設置位置特定装置10は、上述した
図3に示すように、撮影位置P1から、撮影部11の画角V1が、空調機30に向けられているものとする。そのため、撮影部11は、上述した
図4に示すような撮影画像を順次生成し、その撮影画像を制御部14に順次供給する。
【0057】
設置位置特定装置10は、空調機30をオン制御する(ステップS104)。つまり、制御部14(制御依頼部142)は、空調機30のアドレスを指定し、その空調機30に対するオン制御を、空調機リモコン20に依頼する。なお、設置位置特定装置10から制御を依頼する代わりに、空調機リモコン20を操作して、空調機30をオン制御してもよい。
【0058】
設置位置特定装置10は、空調機30の設置領域を画定する(ステップS105)。例えば、制御部14(画像処理部141)は、上述した
図4のような撮影画像から、空調機30のベーンの動きを検出し、その領域を空調機30の設置領域として画定する。この他にも、制御部14は、撮影画像に含まれる特定形状(空調機30と推定される外観)から、空調機30をそれぞれ認識し、認識した領域を空調機30の設置領域として画定してもよい。これらのように、撮影画像における空調機30の設置領域が画定されると、制御部14は、例えば、
図4の撮影画像にて示されるように、1つの設置領域を基点の設置位置(0,0)と定め、それを基準に、残りの設置領域について設置位置(配列)を定める。なお、基点となる設置領域は、作業者が指定できるようにしてもよい。例えば、
図4のような撮影画像が、表示部13に表示された状態で、作業者によって、基点となる設置領域が選択されると、画像処理部141は、選択された設置領域を基準に、残りの設置領域について設置位置を定める。
【0059】
設置位置特定装置10は、空調機30の制御を変更する(ステップS106)。例えば、制御部14(制御依頼部142)は、空調機30のアドレスを指定し、その空調機30に対して、風向制御、ドラフトセーブ運転等を空調機リモコン20に依頼し、空調機30の制御を変更する。なお、設置位置特定装置10から制御を依頼する代わりに、空調機リモコン20を操作して、空調機30の制御を変更してもよい。
【0060】
設置位置特定装置10は、撮影画像からベーンの動きを検出したか否かを判別する(ステップS107)。すなわち、制御部14(画像処理部141)は、動画である撮影画像から、何れかの設置領域(設置位置)におけるベーンの傾斜が変化する動きを検出したかどうかを判別する。
【0061】
設置位置特定装置10は、ベーンの動きを検出していないと判別すると(ステップS107;No)、上述したステップS106に処理を戻す。
【0062】
一方、ベーンの動きを検出したと判別した場合(ステップS107;Yes)に、設置位置特定装置10は、ベーンの動きから推定される制御状態と一致する空調機30があるか否かを判別する(ステップS108)。例えば、制御部14(画像処理部141)は、検出したベーンの動きから、その空調機30の制御状態を推定する。そして、制御部14(特定部144)は、推定された制御状態が、上記のステップS106にて変更した後の制御状態と一致するかどうかを判別する。
【0063】
設置位置特定装置10は、一致する空調機30がないと判別すると(ステップS108;No)、上述したステップS106に処理を戻す。
【0064】
一方、一致する空調機30があると判別した場合(ステップS108;Yes)に、設置位置特定装置10は、該当する空調機30のアドレスと設置位置とを対応付ける(ステップS109)。すなわち、制御部14(特定部144)は、該当する空調機30のアドレスと設置位置とを対応付けたアドレステーブルを、記憶部15に記憶する。
【0065】
設置位置特定装置10は、全てのアドレスについて、設置位置との対応付けが完了したか否かを判別する(ステップS110)。
【0066】
設置位置特定装置10は、対応付けが完了していないと判別すると(ステップS110;No)、上述したステップS106に処理を戻す。
【0067】
一方、対応付けが完了したと判別した場合(ステップS110;Yes)に、設置位置特定装置10は、撮影を終了する(ステップS111)。
【0068】
そして、設置位置特定装置10は、アドレステーブルをサーバ40に送信する(ステップS112)。すなわち、制御部14(アドレステーブル提供部145)は、記憶部15に記憶されたアドレステーブルを、通信部16を通じて、サーバ40に提供する。
【0069】
このような設置位置特定処理により、複数の空調機30に対して、可動部(ベーン)の動きを伴う制御を順次指令し、それらの空調機30を含む撮影画像を順次取得することで、それら制御内容と撮影画像とから、複数の空調機30の設置位置をそれぞれ特定する。この結果、空調機30の設置位置を簡易に特定することができる。
【0070】
つまり、撮影画像における可動部の動きを基に、空調機30の設置位置を特定するため、空調機30が調和空気(冷気、暖気等)を出していない状態で、空調機30の設置位置を特定することができる。このため、空調機30には試運転が不要であり、特定までの時間も短縮することができる。しかも、空調機30に特別な構成が不要であり、導入コスト・開発コストを低く抑えることができる(風向を制御する機能を有する空調機30であればよいため)。
【0071】
また、動画となる撮影画像を用いるため、静止画で用いる場合よりも、設置位置を特定する精度を上昇させることができる。
【0072】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、空調機30の設置位置を特定する(アドレステーブルを作成する)までについて説明したが、特定結果を作業者が把握できるように、適宜表示するようにしてもよい。例えば、設置位置特定装置10の画像処理部141は、特定結果を拡張現実(AR:Augmented Reality)にて表示してもよい。具体的に画像処理部141は、
図9に示すように、撮影部11によって撮影された撮影画像を表示部13に表示しつつ、その撮影画像における空調機30の近傍に、特定結果画像IMを合成して表示する。この特定結果画像IMには、一例として、設置位置、及び、アドレスが含まれている。なお、このような特定結果画像IMに加えて、空調機30の制御状況を示すアイコン,シンボル等を更に合成して表示するようにしてもよい。
【0073】
この
図9に示すように、確認結果画像IMを、撮影画像に合成して表示することで、設置位置の特定から特定結果の表示までを、1つのユーザインタフェースで実現することができる。
【0074】
また、このような特定結果画像IMを合成して表示する代わりに、全ての空調機30について設置位置が特定できたことを、空調機30の制御内容によって、作業者に報知するようにしてもよい。例えば、空調機30の設置位置が特定される前において、上述したローテーション運転を行うと、空調機30のアドレス順に稼働する空調機30が切り替わって行く。そのため、空調機30の実際の並び順(配置位置の順番)とは無関係に、稼働する空調機30が切り替わって行くことになる。そして、上述した設置位置特定処理は、ローテーション運転を行いながらでも、同様に、全ての空調機30について設置位置を特定することが可能である。そのため、設置位置が特定された後では、空調機30の実際の並び順に沿って、稼働する空調機30が切り替わるように変化させる。
【0075】
つまり、空調機30の設置位置が特定されると、設置位置特定装置10のアドレステーブル提供部145は、近距離通信部12を通じて、アドレステーブルを空調機リモコン20に送信する。そして、空調機リモコン20の制御指令部231は、そのアドレステーブルに基づいて、設置位置の並び順に沿って、稼働する空調機30を切り替えながらローテーション運転を空調機30に指令する。
【0076】
これにより、当所、空調機30が無秩序に切り替わるローテーション運転がなされていたのが、空調機30が規則的(実際の並び順)に切り替わるローテーション運転に変化することになる。このため、作業者は、ローテーション運転の変化から、全ての空調機30について設置位置の特定が完了したことを把握することができる。
【0077】
上記の実施形態では、設置位置特定装置10(撮影部11)が、1つの撮影位置から全ての空調機30を撮影できる場合について説明したが、フロア内に視界を遮る遮蔽物(柱、壁等)が存在すると、1つの撮影位置から全ての空調機30を撮影できないこともある。その場合、異なる撮影位置からそれぞれ撮影した撮影画像を用いて、空調機30の設置位置を特定してもよい。以下、一例として、2つの撮影位置から撮影する場合について、図面を参照して説明する。
【0078】
図10にて平面的に示すように、建物BL内の1つ目の撮影位置P2から、作業者が撮影部11の画角V2を空調機30(全体のうちの一部の空調機30)に向けて撮影を開始すると、撮影部11は、
図11に示すような撮影画像を生成する。また、2つ目の撮影位置P3から、作業者が撮影部11の画角V3を空調機30に向けて撮影を開始すると、撮影部11は、
図12に示すような撮影画像を生成する。なお、
図10における撮影位置P2,P3は、少なくとも2台以上の空調機30が共通して含まれるように、選定されているものとする。そして、これら共通する空調機30のうち、2台の空調機30が基点として指定されることになる。例えば、
図10に示す例では、太い破線Lにて囲まれる2台の空調機30が基点として指定される。なお、基点の指定は、例えば、
図11,12に示すような撮影画像が表示部13にそれぞれ表示された際に、作業者が、共通する2台の空調機30を選択することにより行う。
【0079】
そして、1つ目の撮影位置P2から、
図11に示すような撮影画像を撮影しつつ、1回目の設置位置特定処理を行い、
図11の撮影画像に含まれる空調機30について、設置位置を特定する。次に、2つ目の撮影位置P3から、
図12に示すような撮影画像を撮影しながら、2回目の設置位置特定処理を行い、
図12の撮影画像に含まれる空調機30について、設置位置を特定する。なお、このように、1台の設置位置特定装置10を用いて、設置位置特定処理を2回行う代わりに、2台の設置位置特定装置10を用い、2つの撮影位置P2,P3から同時に撮影しながらそれぞれ設置位置特定処理を行い、全ての空調機30について設置位置を特定するようにしてもよい。
【0080】
なお、
図10の例では、2つの撮影位置から全ての空調機30が撮影できる場合について説明したが、更に多くの撮影位置からでなければ、全ての空調機30が撮影できない場合には、上記の2つの撮影位置から撮影する手法を、複数回繰り返すことで、全ての空調機30を網羅させる。その際、基点となる空調機を変更しながら、範囲を広げていき、全ての空調機30について設置位置を特定できるまで、上記の2つの撮影位置から撮影する手法を繰り返す。
【0081】
上記の実施形態では、空調機30を個別に制御する場合について説明したが、グループ単位に空調機30を制御する場合でも、グループに属する空調機30の設置位置を上記と同様に特定可能である。例えば、空調通信ネットワーク90において、空調機30がバスに接続されている場合では、同じバスに接続された複数の空調機30が1グループを構成し、グループ単位(バス単位)で空調機30がまとめて制御されるようになっている。この場合でも、設置位置特定装置10は、グループ単位の空調機30に対して、可動部(ベーン)の動きを伴う制御を指令し、対象グループを変化させながら、空調機30を含む撮影画像を順次取得することで、それら制御内容と撮影画像とから、同じグループに属する空調機30の設置位置をまとめて特定する。この結果、空調機の設置位置を簡易に特定することができる。
【0082】
上記の実施形態では、設置位置特定装置10と空調機リモコン20とを用いて、空調機30の設置位置を特定する場合について説明したが、設置位置特定装置10における必要な構成を、空調機リモコン20に組み入れて、空調機30の設置位置を特定するようにしてもよい。以下、
図13を参照して、他の実施形態に係る空調機リモコン50について説明する。この空調機リモコン50は、設置位置特定装置の一例である。
【0083】
図13に示すように、空調機リモコン50は、操作部21と、画像取得手段の一例である撮影部51と、通信部52と、制御手段の一例である制御部53と、制御状態DB24と、空調通信部25とを備える。なお、操作部21、制御状態DB24、及び、空調通信部25は、上述した
図5に示す空調機リモコン20と同じ構成である。
【0084】
撮影部51は、例えば、レンズ、撮像素子等を備えており、空調機リモコン50を取り扱う作業者の操作に従って、空調機30を含む空間を動画撮影する。撮影部51は、撮影によって生成した撮影画像を、制御部53に順次供給する。
【0085】
通信部52は、例えば、PLC、Ethernet(登録商標)等の有線通信によって、インターネットNを介して、サーバ40と通信を行う。なお、通信部52は、Wi−Fiに代表される無線通信によって、インターネットNを介して、サーバ40と通信を行ってもよい。
【0086】
制御部53は、例えば、CPU,ROM,RAM等を備えており、空調機リモコン50の動作を制御する。より詳細に、制御部53には、機能的に、制御指令手段の一例である制御指令部231と、画像認識手段の一例である画像処理部531と、特定手段の一例である特定部532と、アドレステーブル提供部533とが含まれている。これらの機能は、例えば、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されているプログラムを適宜実行することにより実現される。なお、制御指令部231は、上述した
図5に示す空調機リモコン20と同じ構成である。
【0087】
画像処理部531は、撮影部51によって撮影された撮影画像に含まれる空調機30を認識する。例えば、画像処理部531は、まず、撮影画像に含まれる空調機30の設置領域を画定する。そして、画像処理部531は、動画である撮影画像から空調機30の制御状態を推定する。例えば、画像処理部531は、撮影画像におけるベーンの動きを検出し、その設置位置における空調機30の制御状態を推定する。
【0088】
特定部532は、制御指令部231が指令した制御内容と、撮影部51が撮影した撮影画像とから、空調機30の設置位置を特定する。例えば、制御指令部231がアドレスを指定し、オン制御を指令した場合では、画像処理部531が撮影画像からベーンの動きを検出すると、特定部532は、指定したアドレスの空調機30が、ベーンの動きを検出した設置位置に設置されていることを特定する。特定部532は、例えば、アドレスを順次切り替えながらこのような特定を繰り返し、全てのアドレスの空調機30それぞれについて、設置位置を特定する。そして、特定部532は、アドレスと設置位置とを対応付けたアドレステーブルを生成し、制御状態DB24に記憶する。
【0089】
アドレステーブル提供部533は、制御状態DB24に記憶されたアドレステーブルを、通信部52を通じて、サーバ40に提供する。
【0090】
このような構成の空調機リモコン50においても、複数の空調機30に対して、可動部(ベーン)の動きを伴う制御を順次指令し、それらの空調機30を含む撮影画像を順次取得することで、それら制御内容と撮影画像とから、複数の空調機30の設置位置をそれぞれ特定する。この結果、空調機30の設置位置を簡易に特定することができる。
【0091】
上記の
図13に示す空調機リモコン50では、撮影部51を備えている場合について説明したが、空調機リモコン50から撮影部51を省略し、別の機器が撮影した撮影画像を取得するようにしてもよい。例えば、撮影部51を省略した空調機リモコン50は、スマートフォン、タブレット等のカメラ付き端末から撮影された撮影画像を取得して、空調機30の設置位置を特定するようにしてもよい。
【0092】
また、上記の実施形態において、設置位置特定装置10の制御部14、若しくは、空調機リモコン50の制御部53によって実行されるプログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc),MO(Magneto-Optical Disk),USBメモリ,メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。そして、かかるプログラムを特定の又は汎用のコンピュータにインストールすることによって、当該コンピュータを上記の実施形態における設置位置特定装置10、若しくは、空調機リモコン50として機能させることも可能である。
【0093】
また、上記のプログラムをインターネットといった通信ネットワーク上のサーバ装置が有するディスク装置に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロードするようにしてもよい。また、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。さらに、プログラムの全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、その処理に関する情報をコンピュータが通信ネットワークを介して送受信しながらプログラムを実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0094】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを上記の記録媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロードしてもよい。
【0095】
本発明は、広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能である。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。