(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。そして、それぞれの実施の形態によって生じる効果の例については、すべての実施の形態の説明の後でもまとめて記述する。
【0020】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0021】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0022】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置と方向とを意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の方向とは関係しないものである。
【0023】
また、以下に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」と記載される場合、対象となる構成要素の上面自体に加えて、および、対象となる構成要素の上面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「甲の上面に設けられる乙」と記載される場合、甲と乙との間に別の構成要素「丙」が介在することを妨げるものではない。
【0024】
また、以下に記載される説明において、「第1の」、または、「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0025】
また、以下に記載される説明では、半導体素子の材料が炭化珪素(SiC)である場合が示されるが、その他のワイドバンドギャップ半導体である、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムガリウム、酸化ガリウム、または、ダイヤモンドなどであっても、以下に記載される本実施の形態と同様の効果を生じさせる。
【0026】
また、以下に記載される説明では、第1の伝導型をN型とし、第2の伝導型をP型とされるが、第1の伝導型をP型とし、第2の伝導型をN型としてもよい。
【0027】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態の半導体装置について説明する。説明の便宜上、まず、本実施の形態に関連する半導体装置5000の構成を説明する。
【0028】
<半導体装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関連する、半導体装置5000における活性セルの構成の例を概略的に示す断面図である。
【0029】
図1に例が示されるように、半導体装置5000の活性セルは、N型の半導体基板10と、N型の半導体基板10の上面に形成されるN型のドリフト層20と、N型のドリフト層20の表層において部分的に形成されるP型のウェル層30と、P型のウェル層30の表層において部分的に形成されるN型のソース層40と、P型のウェル層30の表層において部分的に形成されるP型のウェルコンタクト層35と、少なくとも、N型のソース層40とN型のドリフト層20とに挟まれたP型のウェル層30の上面に接触して形成されるゲート絶縁膜50と、ゲート絶縁膜50の上面に形成されるゲート電極60と、ゲート電極60を覆って形成される層間絶縁膜55と、ゲート絶縁膜50に覆われないN型のソース層40の上面、および、ゲート絶縁膜50に覆われないP型のウェルコンタクト層35の上面の一部を覆って形成されるオーミック電極70と、ゲート絶縁膜50に覆われないP型のウェル層30の上面の一部、および、ゲート絶縁膜50に覆われないN型のドリフト層20の上面を覆って形成されるショットキー電極75と、層間絶縁膜55、および、オーミック電極70およびショットキー電極75に覆われないP型のウェル層30の上面の一部を覆って形成されるソース電極80と、N型の半導体基板10の下面に形成される裏面オーミック電極71と、裏面オーミック電極71の下面に形成されるドレイン電極85とを備える。
【0030】
ここで、ソース電極80に接触するN型のドリフト層20の上面近傍は、ショットキー領域22に対応する。
【0031】
次に、本実施の形態の、半導体装置1001の構成を説明する。
【0032】
図2は、本実施の形態の半導体装置1001における、活性セルの構成の例を概略的に示す断面図である。
【0033】
図2に例が示されるように、半導体装置1001の活性セルは、N型の半導体基板101と、N型の半導体基板101の上面に形成されるN型のドリフト層102と、N型のドリフト層102の表層において部分的に形成されるP型のウェル層103と、P型のウェル層103の表層において部分的に形成されるN型のソース層105と、P型のウェル層103の表層において部分的に形成されるP型の低抵抗層107と、少なくとも、N型のソース層105とN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103の上面に接触して形成されるゲート絶縁膜108と、ゲート絶縁膜108の上面に形成されるゲート電極109と、ゲート電極109を覆って形成される層間絶縁膜110と、層間絶縁膜110、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のソース層105の上面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型の低抵抗層107の上面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型のウェル層103の上面、および、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のドリフト層102の上面を覆って形成されるソース電極111と、N型の半導体基板101の下面に形成されるドレイン電極112とを備える。
【0034】
ここで、N型のソース層105とN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103の上面近傍は、チャネル領域104に対応する。また、P型のウェル層103の下面とN型のドリフト層102との境界は、ボディダイオード界面106に対応する。
【0035】
また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、ショットキー領域114に対応する。また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面は、ショットキー界面115に対応する。
【0036】
また、ゲート絶縁膜108に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、JFET領域116に対応する。また、ゲート電極109間に形成される、ソース電極111と、N型のソース層105の上面、P型の低抵抗層107の上面、P型のウェル層103の上面、および、N型のドリフト層102の上面とが接触する領域は、ソースコンタクトホール120に対応する。
【0037】
P型の低抵抗層107は、P型のウェル層103によってショットキー領域114から平面方向(すなわち、
図2における左右方向)に隔てられている。また、P型の低抵抗層107は、N型のソース層105の一方の側方だけでなく、下方にも存在する。P型の低抵抗層107は、N型のソース層105の側面および下面に接触していてもよいし、離れていてもよい。また、P型の低抵抗層107の下面は、ショットキー界面115よりも下方に位置する。
【0038】
1つのソースコンタクトホール120内において、ソース電極111は、P型のウェル層103と、N型のソース層105と、P型の低抵抗層107と、N型のドリフト層102(ショットキー領域114)とに接触している。
【0039】
ソース電極111は、ショットキー領域114とショットキー接触している。ドレイン電極112は、N型の半導体基板101の下面とオーミック接触している。
【0040】
ボディダイオード界面106は、N型のドリフト層102とP型のウェル層103の下面との界面であり、P型の低抵抗層107の下面がP型のウェル層103の下端に達している場合は、N型のドリフト層102とP型の低抵抗層107の下面との界面も含まれる。
【0041】
チャネル領域104は、P型のウェル層103内における、ソース電極111に対してゲート電極109に正電圧が印加された場合にチャネルが形成される領域であり、ゲート絶縁膜108と接触する領域である。
【0042】
N型の半導体基板101、N型のドリフト層102、P型のウェル層103、N型のソース層105、P型の低抵抗層107、ショットキー領域114、および、JFET領域116の材料は、たとえば、炭化珪素(SiC)である。
【0043】
ゲート絶縁膜108および層間絶縁膜110の材料としては、たとえば、二酸化珪素(SiO
2)が用いられる。
【0044】
ゲート電極109の材料としては、たとえば、ポリシリコンを用いることができる。また、ソース電極111およびドレイン電極112の材料としては、たとえば、ニッケル、チタン、アルミ、金、白金、銅、モリブデンまたはこれらの合金を用いることができる。
【0045】
<半導体装置の動作について>
次に、本実施の形態の、半導体装置1001の動作について説明する。
【0046】
通常動作時にソース電極111から流れ込む還流電流は、ショットキー界面115を通ってドレイン電極112へと流れる。
【0047】
一方で、非常時などに大きな還流電流、たとえば、1000A/cm
2以上の還流電流がソース電極111から流れ込む場合は、還流電流はショットキー界面115を通る経路に加えて、ボディダイオードを通る経路、すなわち、P型の低抵抗層107とP型のウェル層103とボディダイオード界面106とを通る経路で、ドレイン電極112へと流れる。
【0048】
以下、本実施の形態の半導体装置1001の作用および効果について説明する。
【0049】
SBDを内蔵するMOSFETのI2t耐量が向上するのは、大きな還流電流が半導体装置に流れた際に、ショットキー界面115を介するユニポーラ電流密度に対して、ボディダイオード界面106を介するバイポーラ電流密度が大きくなって、多くの少数キャリアがP型のウェル層103からN型のドリフト層102に注入されることによって大きな伝導度変調効果が発生し、半導体装置の抵抗が低くなった場合である。
【0050】
したがって、上述のとおり、ソース電極111からボディダイオード界面106に至るまでの抵抗が小さいほど、または、ソース電極111から低抵抗で接続されるボディダイオード界面(以下、低抵抗ボディダイオード界面)がショットキー界面115から遠いほど、低抵抗ボディダイオード界面付近を通るユニポーラ電流が流れる経路の抵抗よりも、バイポーラ電流が流れる経路の抵抗が低くなる。そのため、バイポーラ電流密度が相対的に増加し、I2t耐量が向上する。
【0051】
たとえば、P型の低抵抗層107の濃度ピークにおける不純物濃度が、N型のドリフト層102とN型のソース層105とに挟まれたP型のウェル層103の表層(すなわち、チャネル領域104)における不純物濃度の10倍以上、望ましくは、100倍以上であれば、ソース電極111からボディダイオード界面106に至るまでの抵抗を十分に小さくすることができる。
【0052】
本実施の形態において、
図2に例が示されるように、P型の低抵抗層107がN型のソース層105の一方の側面だけでなく下面にも接触してまたは下面の下方に形成されることによって、低抵抗ボディダイオード界面をショットキー界面115から離れた位置に形成することができる。そのため、I2t耐量を向上させることができる。
【0053】
図3は、本実施の形態の半導体装置1001Aにおける、活性セルの他の構成の例を概略的に示す断面図である。
【0054】
図3に例が示されるように、半導体装置1001Aの活性セルは、N型の半導体基板101と、N型のドリフト層102と、P型のウェル層103と、N型のソース層105と、P型のウェル層103の表層において部分的に形成されるP型の低抵抗層107Aと、ゲート絶縁膜108と、ゲート電極109と、層間絶縁膜110と、層間絶縁膜110、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のソース層105の上面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型の低抵抗層107Aの上面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型のウェル層103の上面、および、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のドリフト層102の上面を覆って形成されるソース電極111と、ドレイン電極112とを備える。
【0055】
ここで、N型のソース層105とN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103の上面近傍は、チャネル領域104に対応する。また、P型のウェル層103の下面とN型のドリフト層102との境界は、ボディダイオード界面106に対応する。
【0056】
また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、ショットキー領域114に対応する。また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面は、ショットキー界面115に対応する。
【0057】
また、ゲート絶縁膜108に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、JFET領域116に対応する。また、ゲート電極109間に形成される、ソース電極111と、N型のソース層105の上面、P型の低抵抗層107Aの上面、P型のウェル層103の上面、および、N型のドリフト層102の上面とが接触する領域は、ソースコンタクトホール120に対応する。
【0058】
P型の低抵抗層107Aは、P型のウェル層103によってショットキー領域114から平面方向(すなわち、
図3における左右方向)に隔てられている。また、P型の低抵抗層107Aは、
図3に示される断面におけるN型のソース層105の双方の側方だけでなく、下方にも存在する。また、P型の低抵抗層107Aの下面は、ショットキー界面115よりも下方に位置する。
【0059】
ソース電極111は、ショットキー領域114とショットキー接触している。ドレイン電極112は、N型の半導体基板101の下面とオーミック接触している。
【0060】
図4は、本実施の形態の半導体装置1001Bにおける、活性セルの他の構成の例を概略的に示す断面図である。
【0061】
図4に例が示されるように、半導体装置1001Bの活性セルは、N型の半導体基板101と、N型のドリフト層102と、P型のウェル層103と、N型のソース層105と、P型のウェル層103の表層において部分的に形成されるP型の低抵抗層107Bと、ゲート絶縁膜108と、ゲート電極109と、層間絶縁膜110と、層間絶縁膜110、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のソース層105の上面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型の低抵抗層107Bの上面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型のウェル層103の上面、および、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のドリフト層102の上面を覆って形成されるソース電極111と、ドレイン電極112とを備える。
【0062】
ここで、N型のソース層105とN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103の上面近傍は、チャネル領域104に対応する。また、P型のウェル層103の下面とN型のドリフト層102との境界は、ボディダイオード界面106に対応する。
【0063】
また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、ショットキー領域114に対応する。また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面は、ショットキー界面115に対応する。
【0064】
また、ゲート絶縁膜108に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、JFET領域116に対応する。また、ゲート電極109間に形成される、ソース電極111と、N型のソース層105の上面、P型の低抵抗層107Bの上面、P型のウェル層103の上面、および、N型のドリフト層102の上面とが接触する領域は、ソースコンタクトホール120に対応する。
【0065】
P型の低抵抗層107Bは、P型のウェル層103によってショットキー領域114から平面方向(すなわち、
図4における左右方向)に隔てられている。また、P型の低抵抗層107Bは、
図4に示される断面において、N型のソース層105の一方の側方(ショットキー界面115に近い側の側方)だけでなく、下方にも存在する。さらに、P型の低抵抗層107Bは、N型のソース層105の下方部分と同じ深さで、チャネル領域104の下方(すなわち、ショットキー界面115から遠ざかるP型のウェル層103の内部)にも延長して形成される。また、P型の低抵抗層107Bの下面は、ショットキー界面115よりも下方に位置する。
【0066】
ソース電極111は、ショットキー領域114とショットキー接触している。ドレイン電極112は、N型の半導体基板101の下面とオーミック接触している。
【0067】
図3または
図4に例が示されるように、ショットキー界面115から遠い位置にあるチャネル領域104の下方にP型の低抵抗層107AまたはP型の低抵抗層107Bを形成することによって低抵抗ボディダイオード界面を形成すれば、低抵抗ボディダイオード界面をショットキー界面115から離れた位置に形成することができる。そのため、I2t耐量が向上する。
【0068】
ただし、
図3に例が示されるように、チャネル領域104までP型の低抵抗層107Aを拡げて形成する場合、チャネル領域104までP型の低抵抗層を拡げない場合に比べて、ゲート−ソース間電圧のしきい値が増加する。そのため、必要に応じてN型のイオン注入を追加するなどしてしきい値を調整するとよい。
【0069】
また、N型のソース層105の下方において、P型の低抵抗層が存在する領域とP型の低抵抗層が存在しない領域とが、たとえば紙面奥行き方向において混在していてもよい。すなわち、N型のソース層105の下方において、P型の低抵抗層が部分的に(たとえば、間欠的に)形成されていてもよい。
【0070】
図5は、本実施の形態の半導体装置1001Cにおける、活性セルの他の構成の例を概略的に示す断面図である。
【0071】
図5に例が示されるように、半導体装置1001Cの活性セルは、N型の半導体基板101と、N型のドリフト層102と、P型のウェル層103と、N型のソース層105と、P型のウェル層103の表層において部分的に形成されるP型の低抵抗層107Cと、ゲート絶縁膜108と、ゲート電極109と、層間絶縁膜110と、層間絶縁膜110、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のソース層105の上面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型の低抵抗層107Cの上面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型のウェル層103の上面、および、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のドリフト層102の上面を覆って形成されるソース電極111と、ドレイン電極112とを備える。
【0072】
ここで、N型のソース層105とN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103の上面近傍は、チャネル領域104に対応する。また、P型のウェル層103の下面とN型のドリフト層102との境界は、ボディダイオード界面106に対応する。
【0073】
また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、ショットキー領域114に対応する。また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面は、ショットキー界面115に対応する。
【0074】
また、ゲート絶縁膜108に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、JFET領域116に対応する。また、ゲート電極109間に形成される、ソース電極111と、N型のソース層105の上面、P型の低抵抗層107Cの上面、P型のウェル層103の上面、および、N型のドリフト層102の上面とが接触する領域は、ソースコンタクトホール120に対応する。
【0075】
P型の低抵抗層107Cは、P型のウェル層103によってショットキー領域114から平面方向(すなわち、
図5における左右方向)に隔てられている。また、P型の低抵抗層107Cは、
図5に示される断面において、N型のソース層105の双方の側方に存在する。なお、P型の低抵抗層107Cは、N型のソース層105の下方には形成されず、かつ、N型のソース層105に対して
図5の紙面奥行き方向から回りこんで形成される。
【0076】
ここで、P型の低抵抗層107Cは、ショットキー界面115に近い側および紙面奥行き側のN型のソース層105の側方に存在する必要は必ずしもなく、ショットキー界面115から遠い側に存在し、かつ、ソース電極111といずれかの箇所で接続されていればよい。
【0077】
また、P型の低抵抗層107Cの下面は、ショットキー界面115よりも下方に位置する。
【0078】
ソース電極111は、ショットキー領域114とショットキー接触している。ドレイン電極112は、N型の半導体基板101の下面とオーミック接触している。
【0079】
図6は、本実施の形態の半導体装置1001Dにおける、活性セルの他の構成の例を概略的に示す断面図である。
【0080】
図6に例が示されるように、半導体装置1001Dの活性セルは、N型の半導体基板101と、N型のドリフト層102と、P型のウェル層103と、N型のソース層105と、P型のウェル層103の表層において部分的に形成されるP型の低抵抗層107Dと、ゲート絶縁膜108と、ゲート電極109と、層間絶縁膜110と、層間絶縁膜110、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のソース層105の上面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型の低抵抗層107Dの上面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型のウェル層103の上面、および、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のドリフト層102の上面を覆って形成されるソース電極111と、ドレイン電極112とを備える。
【0081】
ここで、N型のソース層105とN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103の上面近傍は、チャネル領域104に対応する。また、P型のウェル層103の下面とN型のドリフト層102との境界は、ボディダイオード界面106に対応する。
【0082】
また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、ショットキー領域114に対応する。また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面は、ショットキー界面115に対応する。
【0083】
また、ゲート絶縁膜108に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、JFET領域116に対応する。また、ゲート電極109間に形成される、ソース電極111と、N型のソース層105の上面、P型の低抵抗層107Dの上面、P型のウェル層103の上面、および、N型のドリフト層102の上面とが接触する領域は、ソースコンタクトホール120に対応する。
【0084】
P型の低抵抗層107Dは、P型のウェル層103によってショットキー領域114から平面方向(すなわち、
図6における左右方向)に隔てられている。また、P型の低抵抗層107Dは、
図6に示される断面において、N型のソース層105の双方の側方に存在する。また、P型の低抵抗層107Dは、チャネル領域104となるゲート絶縁膜108の直下においては、P型のウェル層103の上面近傍には形成されず、かつ、所定の深さよりも深い位置に形成される。なお、P型の低抵抗層107Dは、N型のソース層105の下方には形成されず、かつ、N型のソース層105に対して
図6の紙面奥行き方向から回りこんで形成される。
【0085】
ここで、P型の低抵抗層107Dは、ショットキー界面115に近い側および紙面奥行き側のN型のソース層105の側方に存在する必要は必ずしもなく、ショットキー界面115から遠い側に存在し、かつ、ソース電極111といずれかの箇所で接続されていればよい。
【0086】
また、P型の低抵抗層107Dの下面は、ショットキー界面115よりも下方に位置する。
【0087】
ソース電極111は、ショットキー領域114とショットキー接触している。ドレイン電極112は、N型の半導体基板101の下面とオーミック接触している。
【0088】
チャネル領域104の下方にP型の低抵抗層を形成する場合、必ずしもN型のソース層105の下方にもP型の低抵抗層を形成する必要はなく、たとえば、
図5または
図6に例が示されるように、紙面奥行き方向から、P型の低抵抗層107CまたはP型の低抵抗層107DをN型のソース層105に接続させてもよい。このような構成であっても、I2t耐量を向上させることができる。
【0089】
また、P型のウェル層103の下面とP型の低抵抗層107(ただし、P型の低抵抗層107A、P型の低抵抗層107B、P型の低抵抗層107C、P型の低抵抗層107Dと代替可能である)の下面との間の距離が小さいほど、ソース電極111と低抵抗ボディダイオード界面との間の抵抗値は小さくなる。そのため、I2t耐量が向上する。
【0090】
したがって、P型の低抵抗層107(ただし、P型の低抵抗層107A、P型の低抵抗層107B、P型の低抵抗層107C、P型の低抵抗層107Dと代替可能である)の下面は、N型のソース層105の下面よりも深い位置に形成されていることが望ましい。言い換えると、P型の低抵抗層107(ただし、P型の低抵抗層107A、P型の低抵抗層107B、P型の低抵抗層107C、P型の低抵抗層107Dと代替可能である)の深さ方向の濃度ピークのうちの少なくとも1つの深さは、N型のソース層105のどの濃度ピークの深さよりも深い方が望ましい。
【0091】
SBDを内蔵するMOSFETの通常動作時には、バイポーラ劣化を防ぐため、還流電流に対してボディダイオードは動作させず、ショットキー界面にのみ電流を流すことが望ましい。この条件を満足しながら流すことができる最大の電流密度を、最大ユニポーラ電流密度と呼ぶことにする。また、最大ユニポーラ電流密度が高いことを、ユニポーラ通電能力が高いと表現することにする。
【0092】
最大ユニポーラ電流密度は、ショットキー界面115からN型のドリフト層102を通って最も高抵抗で接続されるボディダイオード界面と、ショットキー界面115との間の抵抗値で決定される。
【0093】
これは、ボディダイオード界面106に印加される電圧が、ユニポーラ電流がショットキー界面115からボディダイオード界面106に至るまでの電圧降下で決定され、ショットキー界面115から最も高抵抗で接続されるボディダイオード界面が最もバイポーラ通電しやすいからである。
【0094】
本実施の形態で形成されるP型の低抵抗層は、ショットキー界面115から最も高抵抗で接続されるボディダイオード界面に至る経路の抵抗値には影響を与えない。そのため、半導体装置は、P型の低抵抗層が形成されていない半導体装置と同等の最大ユニポーラ電流密度を有する。すなわち、I2t耐量を向上させつつ、最大ユニポーラ電流密度を維持することができる。
【0095】
以上のとおり、半導体装置1001Dは、I2t耐量を向上させつつ、最大ユニポーラ電流密度を維持することができる。
【0096】
<半導体装置の製造方法について>
次に、本実施の形態の半導体装置1001の製造方法を説明する。
【0097】
まず、N型の半導体基板101と、N型の半導体基板101の上面にエピタキシャル結晶成長されたN型のドリフト層102とを用意する。
【0098】
N型のドリフト層102のN型の不純物濃度は、N型の半導体基板101のN型の不純物濃度よりも低い。また、半導体装置1001の設計耐圧に応じて、N型のドリフト層102のN型の不純物濃度およびN型のドリフト層102の厚みがそれぞれ設定される。
【0099】
具体的には、N型のドリフト層102のN型の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
14/cm
3以上、かつ、1.0×10
16/cm
3以下とすることができる。また、N型のドリフト層102の厚みは、たとえば、1μm以上、かつ、200μm以下とすることができる。
【0100】
次に、写真製版処理によってパターニングされた注入マスク(たとえば、フォトレジストまたはシリコン酸化膜)を用いて、不純物(すなわち、ドーパント)のイオン注入を行う。そうすることによって、P型のウェル層103、P型の低抵抗層107およびN型のソース層105を形成する。
【0101】
それぞれの層の不純物濃度および膜厚は、たとえば、以下のように設定することができる。すなわち、P型のウェル層103の不純物濃度は、N型のドリフト層102の不純物濃度を超えるものとし、かつ、その最大不純物濃度を、たとえば、1.0×10
15/cm
3以上、かつ、1.0×10
19/cm
3以下に設定する。また、P型のウェル層103の膜厚は、たとえば、0.1μm以上、かつ、2μm以下とする。
【0102】
また、P型の低抵抗層107の不純物濃度は、P型のウェル層103の不純物濃度を超えるものとし、かつ、その最大不純物濃度を、たとえば、1.0×10
18/cm
3以上、かつ、1.0×10
21/cm
3以下に設定する。また、P型の低抵抗層107の膜厚は、たとえば、0.1μm以上、かつ、2μm以下とする。
【0103】
また、N型のソース層105の不純物濃度は、P型のウェル層103の不純物濃度を超えるものとし、かつ、その最大不純物濃度を、たとえば、1.0×10
16/cm
3以上、かつ、1.0×10
20/cm
3以下に設定する。また、N型のソース層105の膜厚は、P型のウェル層103の膜厚およびP型の低抵抗層107の膜厚よりも小さく、かつ、たとえば、0.05μm以上、かつ、1μm以下とする。
【0104】
その後、N型のドリフト層102に注入した不純物を電気的に活性化させるための熱処理を行う。
【0105】
次に、ゲート絶縁膜108を、たとえば、熱酸化法または堆積法で形成する。その後、ゲート絶縁膜108の特性、および、チャネルが形成されるP型のウェル層103とゲート絶縁膜108との間の界面の特性を向上するための処理を行ってもよい。上記の特性を向上させる処理とは、たとえば、高温熱処理、窒化処理または酸化処理などである。
【0106】
続いて、ゲート絶縁膜108の上面に、たとえば、ポリシリコンなどでゲート電極109を形成し、さらに、写真製版処理およびエッチングによってパターニングを行う。
【0107】
次に、N型のドリフト層102の上面に、化学気相堆積(chemical vapor deposition、すなわち、CVD)法などによって層間絶縁膜110を形成する。
【0108】
そして、たとえば、ドライエッチング法によって、層間絶縁膜110およびゲート絶縁膜108を選択的に除去することによって、ソース電極111を、P型のウェル層103、N型のソース層105、P型の低抵抗層107およびショットキー領域114に接続させるための、ソースコンタクトホール120を形成する。
【0109】
続いて、N型のドリフト層102の上面にソース電極111を形成する。ソース電極111は、N型のソース層105およびP型の低抵抗層107とオーミック接触によって接続し、ショットキー領域114とはショットキー接触によって接続する。
【0110】
なお、ショットキー領域114はN型のドリフト層102と同じ伝導型であり、ショットキー領域114の不純物濃度は、N型のドリフト層102の不純物濃度と同じであってもよいし、抵抗を減らすためにイオン注入などによってN型のドリフト層102の不純物濃度よりも高くされてもよい。
【0111】
また、ゲート絶縁膜108の下方における2つのP型のウェル層103に挟まれた領域であるJFET領域116は、N型のドリフト層102と同じ伝導型である。また、JFET領域116の不純物濃度は、N型のドリフト層102の不純物濃度と同じであってもよいし、抵抗を減らすためにイオン注入などによってN型のドリフト層102の不純物濃度よりも高くされてもよい。
【0112】
さらに、N型の半導体基板101の下面にオーミック接触するドレイン電極112を形成する。
【0113】
以上の工程によって、本実施の形態の半導体装置1001の活性セルの構成が完成する。
【0114】
<第2の実施の形態>
本実施の形態の半導体装置について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0115】
<半導体装置の構成について>
図7は、本実施の形態の半導体装置2001における、活性セルの構成の例を概略的に示す断面図である。
【0116】
図7に例が示されるように、半導体装置2001の活性セルは、N型の半導体基板101と、N型のドリフト層102と、P型のウェル層103と、N型のソース層105と、P型の低抵抗層107と、ゲート絶縁膜108と、ゲート電極109と、層間絶縁膜110と、ソース電極111と、ドレイン電極112と、N型のドリフト層102の上面からP型のウェル層103の下方に至って形成されるN型の低抵抗層113とを備える。
【0117】
ここで、N型のソース層105とN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103の上面近傍は、チャネル領域104に対応する。また、P型のウェル層103の下面とN型のドリフト層102との境界は、ボディダイオード界面106に対応する。
【0118】
また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、ショットキー領域114に対応する。また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面は、ショットキー界面115に対応する。
【0119】
また、ゲート絶縁膜108に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、JFET領域116に対応する。また、ゲート電極109間に形成される、ソース電極111と、N型のソース層105の上面、P型の低抵抗層107の上面、P型のウェル層103の上面、および、N型のドリフト層102の上面とが接触する領域は、ソースコンタクトホール120に対応する。
【0120】
N型の低抵抗層113は、P型のウェル層103の下面の一部、および、ショットキー領域114の下方に跨って形成される。すなわち、N型の低抵抗層113は、平面視において、少なくとも、ショットキー界面115およびP型の低抵抗層107に重なる位置に形成される。
【0121】
また、N型の低抵抗層113は、N型のドリフト層102よりも高い不純物濃度を有する。
【0122】
ソース電極111は、ショットキー領域114とショットキー接触している。ドレイン電極112は、N型の半導体基板101の下面とオーミック接触している。
【0123】
図8は、本実施の形態の半導体装置2001Aにおける、活性セルの他の構成の例を概略的に示す断面図である。
【0124】
図8に例が示されるように、半導体装置2001Aの活性セルは、N型の半導体基板101と、N型のドリフト層102と、P型のウェル層103と、N型のソース層105と、P型の低抵抗層107と、ゲート絶縁膜108と、ゲート電極109と、層間絶縁膜110と、ソース電極111と、ドレイン電極112と、N型のドリフト層102の上面からP型のウェル層103の下方に至って形成されるN型の低抵抗層113Aとを備える。
【0125】
ここで、N型のソース層105とN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103の上面近傍は、チャネル領域104に対応する。また、P型のウェル層103の下面とN型のドリフト層102との境界は、ボディダイオード界面106に対応する。
【0126】
また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、ショットキー領域114に対応する。また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面は、ショットキー界面115に対応する。
【0127】
また、ゲート絶縁膜108に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、JFET領域116に対応する。また、ゲート電極109間に形成される、ソース電極111と、N型のソース層105の上面、P型の低抵抗層107の上面、P型のウェル層103の上面、および、N型のドリフト層102の上面とが接触する領域は、ソースコンタクトホール120に対応する。
【0128】
N型の低抵抗層113Aは、P型のウェル層103の下面、ショットキー領域114の下方、および、JFET領域116の下方に跨って活性セル全面に形成される。
【0129】
ソース電極111は、ショットキー領域114とショットキー接触している。ドレイン電極112は、N型の半導体基板101の下面とオーミック接触している。
【0130】
本実施の形態の半導体装置2001の動作、および、本実施の形態の半導体装置2001Aの動作は、第1の実施の形態に示された半導体装置1001の動作と同様である。
【0131】
以下、本実施の形態の半導体装置の作用および効果について説明する。
【0132】
半導体装置の通常動作時において、N型の低抵抗層113を備えることによって、ショットキー界面115から最も高抵抗で接続されるボディダイオード界面に至る経路の抵抗値が低下する。そのため、最大ユニポーラ電流密度が増加する。
【0133】
一方で、半導体装置2001に大きな還流電流が流れた際には、P型のウェル層103からN型のドリフト層102に多量の少数キャリアが注入されるため、N型の低抵抗層113を備えることによってショットキー界面115から最も高抵抗で接続されるボディダイオード界面に至る経路の抵抗値に与える影響が小さくなる。したがって、N型の低抵抗層113を備えることによって及ぶI2t耐量への影響は小さい。
【0134】
なお、N型の低抵抗層113を備えることによってI2t耐量に与える影響をさらに小さくするためには、N型の低抵抗層113の不純物濃度は、P型のウェル層103の不純物濃度よりも低い方が好ましい。
【0135】
以上より、半導体装置2001によれば、I2t耐量をほとんど劣化させずに最大ユニポーラ電流密度を向上させることができる。よって、I2t耐量と最大ユニポーラ電流密度とのトレードオフ関係を改善することができる。
【0136】
<半導体装置の製造方法について>
次に、本実施の形態の半導体装置2001の製造方法を説明する。
【0137】
第1の実施の形態に示された半導体装置1001の製造方法において、P型のウェル層103、P型の低抵抗層107およびN型のソース層105を形成する際に、N型の低抵抗層113も形成する。
【0138】
N型の低抵抗層113を形成するためのイオン注入は、全面に行ってもよいし、注入マスクを使ってパターニングして行ってもよい。
【0139】
その他の製造方法は、第1の実施の形態に示された半導体装置1001の製造方法と同様である。
【0140】
<第3の実施の形態>
本実施の形態の半導体装置について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0141】
<半導体装置の構成について>
図9は、本実施の形態の半導体装置3001における、活性セルの構成の例を概略的に示す断面図である。
【0142】
図9に例が示されるように、半導体装置3001の活性セルは、N型の半導体基板101と、N型のドリフト層102と、P型のウェル層103と、N型のソース層105と、P型のウェル層103内に形成されるP型の低抵抗層107Eと、ゲート絶縁膜108と、ゲート電極109と、層間絶縁膜110と、層間絶縁膜110、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のソース層105の上面および側面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型の低抵抗層107Eの上面および側面、ゲート絶縁膜108に覆われないP型のウェル層103の上面、および、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のドリフト層102の上面を覆って形成されるソース電極111Eと、ドレイン電極112とを備える。
【0143】
ここで、N型のソース層105とN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103の上面近傍は、チャネル領域104に対応する。また、P型のウェル層103の下面とN型のドリフト層102との境界は、ボディダイオード界面106に対応する。
【0144】
また、ソース電極111Eに接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、ショットキー領域114に対応する。また、ソース電極111Eに接触するN型のドリフト層102の上面は、ショットキー界面115に対応する。
【0145】
また、ゲート絶縁膜108に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、JFET領域116に対応する。また、ゲート電極109間に形成される、ソース電極111Eと、N型のソース層105の上面および側面、P型の低抵抗層107Eの上面および側面、P型のウェル層103の上面、および、N型のドリフト層102の上面とが接触する領域は、ソースコンタクトホール120Eに対応する。
【0146】
ソースコンタクトホール120Eは、N型のソース層105、P型の低抵抗層107Eおよびショットキー領域114と接触する位置(すなわち、N型のドリフト層102の上面)においてトレンチ3002を有する。
【0147】
トレンチ3002の側壁には、P型の低抵抗層107Eの一部およびN型のソース層105が位置する。そして、P型の低抵抗層107Eの一部およびN型のソース層105のそれぞれが、ソース電極111Eと接触する。
【0148】
トレンチ3002の底部には、P型の低抵抗層107Eの一部、N型のドリフト層102の一部およびショットキー領域114が位置する。そして、P型の低抵抗層107Eの一部、N型のドリフト層102の一部およびショットキー領域114のそれぞれが、ソース電極111Eと接触する。
【0149】
ここで、ゲート電極109間が狭く、それに伴ってトレンチ3002が狭い幅で形成される場合には、トレンチ3002の側壁に、ゲート絶縁膜108に覆われないN型のソース層105の側面のみが接触し、かつ、P型の低抵抗層107Eの上面および側面がトレンチ3002に接触していてもよい。
【0150】
また、低抵抗層107Eもソース層105も、ソース電極111といずれかの箇所で接続されていればよい。
【0151】
P型の低抵抗層107Eは、N型のソース層105の下方に形成される。また、P型の低抵抗層107Eの下面は、ショットキー界面115よりも下方に位置する。
【0152】
また、P型の低抵抗層107Eは、P型のウェル層103によってショットキー領域114から平面方向(すなわち、
図9における左右方向)に隔てられている。
【0153】
ソース電極111Eは、ショットキー領域114とショットキー接触している。ドレイン電極112は、N型の半導体基板101の下面とオーミック接触している。
【0154】
本実施の形態の半導体装置3001の動作は、第1の実施の形態に示された半導体装置1001の動作と同様である。
【0155】
以下、本実施の形態の半導体装置3001の作用および効果について説明する。
【0156】
ソースコンタクトホール120E内のトレンチ3002の側壁が、N型のソース層105およびP型の低抵抗層107Eに接続されている。このことによって、ソースコンタクトホール120Eの幅を小さくしても、確実にソース電極111EとN型のソース層105およびP型の低抵抗層107Eを接続することができるため、単位セルのピッチを小さくすることができる。
【0157】
また、半導体装置3001がオフ状態である際に、ソース電極111Eとドレイン電極112との間に電圧が印加された場合、電界が集中する主な箇所は、ショットキー界面115、および、JFET領域116の上方のゲート絶縁膜108であるが、トレンチ3002の深さまたはショットキー領域114の深さを変えることによって、JFET領域116の上方のゲート絶縁膜108およびショットキー界面115それぞれに対して、別々に耐圧設計を行うことが容易となる。
【0158】
たとえば、JFET領域116の不純物濃度を高くし、JFET領域116の深さを浅くし、JFET領域116の幅を広くするほど、半導体装置3001がオン状態である際の抵抗(オン抵抗と呼ぶことにする)を下げることができるが、JFET領域116の上方のゲート絶縁膜108での電界は高くなる。
【0159】
一方で、ショットキー領域114の不純物濃度を高くし、ショットキー領域114の深さを浅くし、ショットキー領域114の幅を広くするほど、最大ユニポーラ電流密度は増加するが、ショットキー界面115での電界は高くなる。
【0160】
ショットキー界面115における電界集中を緩和するためには、ショットキー領域114は一定の深さを有する必要があるが、この場合、ソース電極111Eからボディダイオード界面106までの距離が長くなるため抵抗が増大してしまう。P型の低抵抗層107Eの下面をトレンチ3002の底部よりも下方のP型のウェル層103の下面に十分近づけることによって、ソース電極111Eからボディダイオード界面106に至る経路の抵抗の増加を防ぎ、I2t耐量を維持することが可能である。
【0161】
図10は、本実施の形態において示された半導体装置の、活性セルの構成の例を概略的に示す平面図である。なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態において示された半導体装置も、同様の平面レイアウトとすることができる。
【0162】
図10に例が示されるように、活性セルの平面形状を櫛形とする、すなわち、ショットキー領域114の上面におけるショットキー界面115が、平面視において
図10における上下方向に延びて形成され、また、P型の低抵抗層107Eも、平面視において
図10における上下方向に延びて形成されることによって、活性セルの平面形状を格子形状とする場合と比較して、ショットキー界面115から最も遠い等価なボディダイオード界面106の面積が増加する。そのため、P型の低抵抗層107Eを備えることによって、効果的にI2t耐量を増加させることができる。
【0163】
なお、
図10においては、簡単のため、N型のドリフト層102、P型のウェル層103、N型のソース層105、および、P型の低抵抗層107Eのみが図示されている。
【0164】
<半導体装置の製造方法について>
次に、本実施の形態の半導体装置3001の製造方法を説明する。
【0165】
ソースコンタクトホール120Eを形成するまでの半導体装置3001の製造方法は、第1の実施の形態に示された半導体装置1001の製造方法と同様である。
【0166】
そして、写真製版処理およびエッチングによってトレンチ3002を形成し、N型のドリフト層102の上面にソース電極111Eを形成する。
【0167】
ソース電極111Eは、N型のソース層105およびP型の低抵抗層107Eとオーミック接触によって接続される。また、ソース電極111Eは、ショットキー領域114とはショットキー接触によって接続される。
【0168】
さらに、N型の半導体基板101の下面にオーミック接触するドレイン電極112を形成する。
【0169】
以上の工程によって、本実施の形態の半導体装置3001の活性セルが完成する。
【0170】
<第4の実施の形態>
本実施の形態の半導体装置について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0171】
<半導体装置の構成について>
図11は、本実施の形態の半導体装置4001における、活性セルの構成の例を概略的に示す断面図である。
【0172】
図11に例が示されるように、半導体装置4001の活性セルは、N型の半導体基板101と、N型のドリフト層102と、N型のドリフト層102の表層において部分的に形成されるP型のウェル層103Aと、N型のドリフト層102の表層において部分的に形成されるP型のウェル層103Bと、P型のウェル層103Bの表層において部分的に形成され、かつ、N型のドリフト層102よりも高い不純物濃度を有するN型のソース層105Bと、P型のウェル層103Aの表層に形成され、かつ、P型のウェル層103Aよりも高い不純物濃度を有するP型の低抵抗層107Fと、P型のウェル層103Bの表層に形成され、かつ、P型のウェル層103Bよりも高い不純物濃度を有するP型の低抵抗層107Gと、少なくとも、P型の低抵抗層107FとN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103Aの上面に接触して形成されるゲート絶縁膜108Aと、ゲート絶縁膜108Aの上面に形成されるゲート電極109Aと、少なくとも、N型のソース層105BとN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103Bの上面に接触して形成されるゲート絶縁膜108Bと、ゲート絶縁膜108Bの上面に形成されるゲート電極109Bと、ゲート電極109Aおよびゲート電極109Bを覆って形成される層間絶縁膜110と、層間絶縁膜110、ゲート絶縁膜108Bに覆われないN型のソース層105Bの上面、ゲート絶縁膜108Aに覆われないP型の低抵抗層107Fの上面、ゲート絶縁膜108Bに覆われないP型の低抵抗層107Gの上面、ゲート絶縁膜108Aに覆われないP型のウェル層103Aの上面、ゲート絶縁膜108Bに覆われないP型のウェル層103Bの上面、および、ゲート絶縁膜108Aおよびゲート絶縁膜108Bに覆われないN型のドリフト層102の上面を覆って形成されるソース電極111と、ドレイン電極112とを備える。
【0173】
上記のように、本実施の形態の半導体装置4001では、一部のP型のウェル層内にN型のソース層が備えられていない。
【0174】
ここで、N型のソース層105BとN型のドリフト層102とに挟まれたP型のウェル層103Bの上面近傍は、チャネル領域104に対応する。また、P型のウェル層103Aの下面とN型のドリフト層102との境界、および、P型のウェル層103Bの下面とN型のドリフト層102との境界は、ボディダイオード界面106に対応する。
【0175】
また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、ショットキー領域114に対応する。また、ソース電極111に接触するN型のドリフト層102の上面は、ショットキー界面115に対応する。
【0176】
また、ゲート絶縁膜108Aに接触するN型のドリフト層102の上面近傍は、JFET領域116に対応する。また、ゲート電極109Aとゲート電極109Bとの間に形成される、ソース電極111と、N型のソース層105Bの上面、P型の低抵抗層107Fの上面、P型の低抵抗層107Gの上面、P型のウェル層103Aの上面、P型のウェル層103Bの上面、および、N型のドリフト層102の上面とが接触する領域は、ソースコンタクトホール120に対応する。
【0177】
ソース電極111は、ショットキー領域114とショットキー接触している。ドレイン電極112は、N型の半導体基板101の下面とオーミック接触している。
【0178】
P型の低抵抗層107Fの、ショットキー界面115から遠い側の側端部は、P型の低抵抗層107Gの、ショットキー界面115から遠い側の側端部よりも、ショットキー界面115から遠く位置する。
【0179】
なお、ショットキー界面115に近い側のP型の低抵抗層107Fの側端部と、ショットキー界面115に近い側のP型のウェル層103Aの側端部との間の距離は、ショットキー界面115に近い側のP型の低抵抗層107Gの側端部と、ショットキー界面115に近い側のP型のウェル層103Bの側端部との間の距離と等しい必要はない。
【0180】
また、P型の低抵抗層107Fの下面は、ショットキー界面115よりも下方に位置する。
【0181】
P型の低抵抗層107Gは、N型のソース層105Bの側方に形成される。また、P型の低抵抗層107Gの下面は、ショットキー界面115よりも下方に位置する。
【0182】
また、P型の低抵抗層107Gは、P型のウェル層103Bによってショットキー領域114から平面方向(すなわち、
図11における左右方向)に隔てられている。
【0183】
本実施の形態の半導体装置4001の動作は、第1の実施の形態に示された半導体装置1001の動作と同様である。
【0184】
以下、本実施の形態の半導体装置4001の作用および効果について説明する。
【0185】
本実施の形態の半導体装置4001によれば、ショットキー界面115から遠ざかる方向に延長されたP型の低抵抗層107Fを備えることによって、低抵抗ボディダイオード界面をショットキー界面115から遠い位置に形成することができる。そのため、I2t耐量が向上する。
【0186】
P型のウェル層103Bの個数およびP型の低抵抗層107Gの個数に対する、P型のウェル層103Aの個数およびP型の低抵抗層107Fの個数の比率を上げるほど、チャネル密度が減少する。そのため、半導体装置4001のオン抵抗は増加するが、I2t耐量は向上する。
【0187】
高耐圧用の半導体装置になるほどN型のドリフト層102の不純物濃度が低く、チャネルの抵抗に対してN型のドリフト層102の抵抗が大きくなるので、P型のウェル層103AおよびP型の低抵抗層107Fの比率を上げることによって生じるオン抵抗増加率は小さくなる。
【0188】
なお、P型のウェル層103AおよびP型の低抵抗層107Fは、平面視における半導体装置面内に周期的に満遍なく配置された方が、半導体装置4001面内に均一に少数キャリアが注入されるため、抵抗率の面内分布を抑えることができる。よって、電流集中を抑制する上で有効である。
【0189】
図12は、本実施の形態において示された半導体装置の、活性セルの構成の例を概略的に示す平面図である。なお、第1の実施の形態、第2の実施の形態および第3の実施の形態において示された半導体装置も、同様の平面レイアウトとすることができる。
【0190】
図12に例が示されるように、活性セルの平面形状を櫛形とすることによって、活性セルの平面形状を格子形状とする場合と比較して、ショットキー界面115から最も遠い等価なボディダイオード界面106の面積が増加する。そのため、P型の低抵抗層107FとP型の低抵抗層107Gとを備えることによって、効果的にI2t耐量を増加させることができる。
【0191】
なお、
図12においては、簡単のため、N型のドリフト層102、P型のウェル層103A、P型のウェル層103B、N型のソース層105B、P型の低抵抗層107F、および、P型の低抵抗層107Gのみが図示されている。
【0192】
<半導体装置の製造方法について>
次に、本実施の形態の半導体装置4001の製造方法を説明する。
【0193】
半導体装置4001の製造方法は、第1の実施の形態に示された半導体装置1001の製造方法と同様である。
【0194】
ただし、P型のウェル層103AにおいてはN型のソース層を形成のためのイオン注入を行わず、かつ、P型の低抵抗層107Fを形成するためのイオン注入を、P型の低抵抗層107Gを形成するためのイオン注入よりも、ショットキー界面115から遠い領域にまで延長して行う。
【0195】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0196】
また、当該置き換えは、複数の実施の形態に跨ってなされてもよい。すなわち、異なる実施の形態において例が示されたそれぞれの構成が組み合わされて、同様の効果が生じる場合であってもよい。
【0197】
以上に記載された実施の形態によれば、半導体装置は、第1の導電型(N型)の半導体基板101と、ドレイン電極112と、N型のドリフト層102と、第2の導電型(P型)のウェル層103と、N型のソース層105と、P型の第1の不純物層と、ソース電極111とを備える。ここで、P型の第1の不純物層は、たとえば、P型の低抵抗層107に対応するものである。ドレイン電極112は、N型の半導体基板101の下面にオーミック接触する。N型のドリフト層102は、N型の半導体基板101の上面に形成される。P型のウェル層103は、N型のドリフト層102の表層に部分的に形成される。N型のソース層105は、P型のウェル層103の表層に部分的に形成される。また、N型のソース層105は、N型のドリフト層102よりも高い不純物濃度を有する。P型の低抵抗層107は、P型のウェル層103の表層に部分的に形成される。また、P型の低抵抗層107は、P型のウェル層103よりも高い不純物濃度を有する。ソース電極111は、P型のウェル層103が形成されていないN型のドリフト層102の表層と、P型のウェル層103と、N型のソース層105と、P型の低抵抗層107とに接触して形成される。ここで、ソース電極111が、N型のドリフト層102とショットキー接触する界面をショットキー界面115とする。また、P型の低抵抗層107は、ショットキー界面115との間にP型のウェル層103を挟んで形成される。また、P型の低抵抗層107は、N型のソース層105よりもショットキー界面115に近いP型のウェル層103の表層から、N型のソース層105の下方にまで形成される。そして、P型の低抵抗層107の下面は、ショットキー界面115よりも下方に位置する。
【0198】
このような構成によれば、ソース電極111から低抵抗で接続されるボディダイオード界面をショットキー界面115から遠ざけることができるため、I2t耐量を向上させつつ、最大ユニポーラ電流密度を維持することができる。
【0199】
なお、本願明細書に例が示される他の構成のうちの少なくとも1つを、以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例が示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0200】
また、以上に記載された実施の形態によれば、P型の低抵抗層107Bは、N型のソース層105よりもショットキー界面115に近いP型のウェル層103の表層から、N型のソース層105の下方、さらに、N型のソース層105よりもショットキー界面115から遠いP型のウェル層103の内部にまで形成される。このような構成によれば、低抵抗ボディダイオード界面をショットキー界面115から効果的に遠ざけることができるため、I2t耐量を向上させつつ、最大ユニポーラ電流密度を維持することができる。
【0201】
また、以上に記載された実施の形態によれば、P型の低抵抗層107Aは、N型のソース層105よりもショットキー界面115に近いP型のウェル層103の表層から、N型のソース層105の下方、さらに、N型のソース層105よりもショットキー界面115から遠いP型のウェル層103の表層にまで形成される。このような構成によれば、低抵抗ボディダイオード界面をショットキー界面115から効果的に遠ざけることができるため、I2t耐量を向上させつつ、最大ユニポーラ電流密度を維持することができる。
【0202】
また、以上に記載された実施の形態によれば、半導体装置は、N型のドリフト層102と、P型のウェル層103と、N型のソース層105と、P型の低抵抗層107Dと、ソース電極111とを備える。P型のウェル層103は、N型のドリフト層102の表層に部分的に形成される。N型のソース層105は、P型のウェル層103の表層に部分的に形成される。また、N型のソース層105は、N型のドリフト層102よりも高い不純物濃度を有する。P型の低抵抗層107Dは、P型のウェル層103の表層に部分的に形成される。また、P型の低抵抗層107Dは、P型のウェル層103よりも高い不純物濃度を有する。ソース電極111は、P型のウェル層103が形成されていないN型のドリフト層102の表層と、P型のウェル層103と、N型のソース層105と、P型の低抵抗層107Dとに接触して形成される。ここで、ソース電極111が、N型のドリフト層102とショットキー接触する界面をショットキー界面115とする。また、P型の低抵抗層107Dは、ショットキー界面115との間にP型のウェル層103を挟んで形成される。また、P型の低抵抗層107Dは、N型のソース層105よりもショットキー界面115から遠いP型のウェル層103の内部を含む領域に形成される。そして、P型の低抵抗層107Dの下面は、ショットキー界面115よりも下方に位置する。
【0203】
このような構成によれば、低抵抗ボディダイオード界面をショットキー界面115から遠ざけることができるため、I2t耐量を向上させつつ、最大ユニポーラ電流密度を維持することができる。
【0204】
なお、本願明細書に例が示される他の構成のうちの少なくとも1つを、以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例が示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0205】
また、以上に記載された実施の形態によれば、P型の低抵抗層107Cは、N型のソース層105よりもショットキー界面115から遠いP型のウェル層103の表層を含む領域に形成される。このような構成によれば、低抵抗ボディダイオード界面をショットキー界面115から効果的に遠ざけることができるため、I2t耐量を向上させつつ、最大ユニポーラ電流密度を維持することができる。
【0206】
また、以上に記載された実施の形態によれば、P型の低抵抗層107の濃度ピークのうちの少なくとも1つの深さは、N型のソース層105のすべての濃度ピークの深さよりも深い。このような構成によれば、P型のウェル層103の下面とP型の低抵抗層107の下面との間の距離が小さくなるため、ソース電極111と低抵抗ボディダイオード界面との間の抵抗値は小さくなる。そうすると、I2t耐量が向上する。
【0207】
また、以上に記載された実施の形態によれば、P型の低抵抗層107の濃度ピークにおける不純物濃度が、N型のドリフト層102とN型のソース層105とに挟まれたP型のウェル層103の表層における不純物濃度の10倍以上である。このような構成によれば、バイポーラ電流が流れる経路の抵抗を低くすることができるため、バイポーラ電流密度を相対的に増加させてI2t耐量を向上させることができる。
【0208】
また、以上に記載された実施の形態によれば、P型の低抵抗層107の濃度ピークにおける不純物濃度が、N型のドリフト層102とN型のソース層105とに挟まれたP型のウェル層103の表層における不純物濃度の100倍以上である。このような構成によれば、バイポーラ電流が流れる経路の抵抗を低くすることができるため、バイポーラ電流密度を相対的に増加させてI2t耐量を向上させることができる。
【0209】
また、以上に記載された実施の形態によれば、半導体装置は、N型の第2の不純物層を備える。ここで、N型の第2の不純物層は、たとえば、N型の低抵抗層113に対応するものである。N型の低抵抗層113は、平面視において、少なくとも、ショットキー界面115およびP型の低抵抗層107に重なる位置で、かつ、N型のドリフト層102の上面からP型のウェル層103の下方に至って形成される。また、N型の低抵抗層113は、N型のドリフト層102よりも高い不純物濃度を有する。このような構成によれば、半導体装置の通常動作時において、ショットキー界面115から最も高抵抗で接続されるボディダイオード界面に至る経路の抵抗値が低下する。そのため、最大ユニポーラ電流密度が増加する。一方で、半導体装置に大きな還流電流が流れた際には、P型のウェル層103からN型のドリフト層102に多量の少数キャリアが注入されるため、N型の低抵抗層113を備えることによってショットキー界面115から最も高抵抗で接続されるボディダイオード界面に至る経路の抵抗値に与える影響が小さくなる。
【0210】
また、以上に記載された実施の形態によれば、N型の低抵抗層113Aは、平面視において、P型のウェル層103の下方全面に形成される。このような構成によれば、半導体装置の通常動作時において、ショットキー界面115から最も高抵抗で接続されるボディダイオード界面に至る経路の抵抗値が低下する。そのため、最大ユニポーラ電流密度が増加する。
【0211】
また、以上に記載された実施の形態によれば、半導体装置は、N型のドリフト層102と、P型の第1のウェル層と、P型の第2のウェル層と、N型のソース層105Bと、P型の第1の不純物層と、P型の第2の不純物層と、ソース電極111とを備える。ここで、P型の第1のウェル層は、たとえば、P型のウェル層103Aに対応するものである。また、P型の第2のウェル層は、たとえば、P型のウェル層103Bに対応するものである。また、P型の第1の不純物層は、たとえば、P型の低抵抗層107Fに対応するものである。また、P型の第2の不純物層は、たとえば、P型の低抵抗層107Gに対応するものである。P型のウェル層103Aは、N型のドリフト層102の表層に部分的に形成される。P型のウェル層103Bは、N型のドリフト層102の表層に部分的に形成される。N型のソース層105Bは、P型のウェル層103Bの表層に部分的に形成される。また、N型のソース層105Bは、N型のドリフト層102よりも高い不純物濃度を有する。P型の低抵抗層107Fは、P型のウェル層103Aの表層に部分的に形成される。また、P型の低抵抗層107Fは、P型のウェル層103Aよりも高い不純物濃度を有する。P型の低抵抗層107Gは、P型のウェル層103Bの表層に部分的に形成される。また、P型の低抵抗層107Gは、P型のウェル層103Bよりも高い不純物濃度を有する。ソース電極111は、P型のウェル層103AおよびP型のウェル層103Bが形成されていないN型のドリフト層102の表層と、P型のウェル層103Aと、P型のウェル層103Bと、N型のソース層105Bと、P型の低抵抗層107Fと、P型の低抵抗層107Gとに接触して形成される。ここで、ソース電極111が、N型のドリフト層102とショットキー接触する界面をショットキー界面115とする。また、P型の低抵抗層107Fは、ショットキー界面115との間にP型のウェル層103Aを挟んで形成される。また、P型の低抵抗層107Gは、ショットキー界面115との間にP型のウェル層103Bを挟んで形成される。また、P型の低抵抗層107Gは、N型のソース層105よりもショットキー界面115に近いP型のウェル層103Bの表層に形成される。また、P型の低抵抗層107Fのショットキー界面115から遠い側の側端部は、P型の低抵抗層107Gのショットキー界面115から遠い側の側端部よりも、ショットキー界面115から遠い位置に形成される。そして、P型の低抵抗層107Fの下面およびP型の低抵抗層107Gの下面は、ショットキー界面115よりも下方に位置する。
【0212】
このような構成によれば、低抵抗ボディダイオード界面をショットキー界面115から遠ざけることができるため、I2t耐量を向上させつつ、最大ユニポーラ電流密度を維持することができる。
【0213】
なお、本願明細書に例が示される他の構成のうちの少なくとも1つを、以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては言及されなかった本願明細書に例が示される他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0214】
また、以上に記載された実施の形態によれば、N型のドリフト層102の上面にトレンチ3002が形成される。また、P型の低抵抗層107Eが、トレンチ3002の側壁、底部、または、その両方に形成される。また、ソース電極111Eが、P型の低抵抗層107Eの上面、側面、または、その両方と接触して形成される。このような構成によれば、ソースコンタクトホール120E内のトレンチ3002の側壁が、N型のソース層105およびP型の低抵抗層107Eに接続される。このことによって、ソースコンタクトホール120Eの幅を小さくしても、確実にソース電極111EとN型のソース層105およびP型の低抵抗層107Eを接続することができるため、単位セルのピッチを小さくすることができる。
【0215】
また、以上に記載された実施の形態によれば、ショットキー界面115は、平面視において第1の方向(たとえば、
図10における上下方向)に延びて形成される。また、P型の低抵抗層107Eも、平面視において第1の方向(たとえば、
図10における上下方向)に延びて形成される。このような構成によれば、ショットキー界面115から最も遠い等価なボディダイオード界面106の面積が増加する。そのため、P型の低抵抗層107Eを備えることによって、効果的にI2t耐量を増加させることができる。
【0216】
<以上に記載された実施の形態における変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
【0217】
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施の形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0218】
また、矛盾が生じない限り、以上に記載された実施の形態において「1つ」備えられるものとして記載された構成要素は、「1つ以上」備えられていてもよいものとする。
【0219】
さらに、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素は概念的な単位であって、本願明細書に開示される技術の範囲内には、1つの構成要素が複数の構造物から成る場合と、1つの構成要素がある構造物の一部に対応する場合と、さらには、複数の構成要素が1つの構造物に備えられる場合とを含むものとする。
【0220】
また、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素には、同一の機能を発揮する限り、他の構造または形状を有する構造物が含まれるものとする。
【0221】
また、本願明細書における説明は、本技術に関連するすべての目的のために参照され、いずれも、従来技術であると認めるものではない。
【0222】
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。