【文献】
Hirotoshi Inui, Toru Sakurai, Eiichi Sato,“Development of Low Cost Aluminum Tapered Handlebar for Motorcycles”,23rd Small Engine Technology Conference,SAE International,2017年11月
【文献】
乾浩敏,櫻井亨,佐藤栄一,箕田正,中井康博,“二輪車用低コストアルミニウムテーパーハンドルバーの開発”,自動車技術会論文集,日本,自動車技術会,2018年09月,49巻,5号,p.1050-1055,DOI:10.11351/jsaeronbun.49.1050,ISSN:1883-0811(online),0287-8321(print)
【文献】
奥田裕也,鈴木貴晴,“軽量アルミニウム製テーパーハンドルの開発”,ヤマハ発動機技報,日本,ヤマハ発動機株式会社,2018年12月,No.54,p.82-87
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近では、自動二輪車をはじめとする鞍乗型車両にいっそうの軽量化が求められている。本願発明者は、ハンドルの軽量化について様々な観点から検討を行った。そして、ハンドルパイプの外径には規格による制約などがあることから、ハンドルパイプの薄肉化による軽量化を試みた。
【0007】
しかしながら、本願発明者の検討によれば、ハンドルパイプの薄肉化による軽量化を行うと、乗り心地が変わってしまい、それによってライダーの疲労を招くおそれがあることがわかった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、鞍乗型車両用ハンドルの軽量化を、ライダーの疲労の軽減と両立して行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態による鞍乗型車両用ハンドルは、ライダーによって把持される第1ハンドルグリップおよび第2ハンドルグリップと、管状のハンドルパイプであって、前記第1ハンドルグリップおよび前記第2ハンドルグリップを支持するハンドルパイプと、を備えた鞍乗型車両用ハンドルであって、前記ハンドルパイプは、長手方向中央部に位置し、ステアリング回転装置に取り付けられる取り付け部と、長手方向一端部に位置し、前記第1ハンドルグリップが取り付けられる第1グリップ部と、長手方向他端部に位置し、前記第2ハンドルグリップが取り付けられる第2グリップ部と、前記取り付け部および前記第1グリップ部の間に位置し、前記取り付け部の一端から前記第1グリップ部の一端まで前
記取り付け部とは異なる方向に延びる第1曲げ部と、前記取り付け部および前記第2グリップ部の間に位置し、前記取り付け部の他端から前記第2グリップ部の一端まで前記取り付け部とは異なる方向に延びる第2曲げ部と、を有し、前記第1グリップ部は、前記第1ハンドルグリップに重なる第1重畳領域と、前記第1重畳領域および前記第1曲げ部の間に位置し、前記第1ハンドルグリップに重ならない第1非重畳領域とを有し、前記第2グリップ部は、前記第2ハンドルグリップに重なる第2重畳領域と、前記第2重畳領域および前記第2曲げ部の間に位置し、前記第2ハンドルグリップに重ならない第2非重畳領域とを有し、前記第1グリップ部の前記第1非重畳領域および前記第2グリップ部の前記第2非重畳領域のそれぞれは、前記取り付け部の肉厚以上の肉厚を有する厚肉部分を含み、前記第1グリップ部の前記第1重畳領域および前記第2グリップ部の前記第2重畳領域のそれぞれは、前記厚肉部分の肉厚よりも小さな肉厚を有する薄肉部分を含む。
【0010】
ある実施形態において、前記薄肉部分の肉厚は、前記取り付け部の肉厚よりも小さい。
【0011】
ある実施形態において、前記薄肉部分は、前記第1グリップ部の前記第1重畳領域および前記第2グリップ部の前記第2重畳領域のそれぞれの質量が、前記ハンドルパイプ全体の質量の12%以下となるように形成されている。
【0012】
ある実施形態において、前記第1グリップ部における前記第1重畳領域と前記第1非重畳領域との境界を第1境界と呼び、前記第2グリップ部における前記第2重畳領域と前記第2非重畳領域との境界を第2境界と呼ぶとき、前記第1重畳領域の前記薄肉部分は、前記第1グリップ部の他端から所定の第1位置まで形成されており、前記第2重畳領域の前記薄肉部分は、前記第2グリップ部の他端から所定の第2位置まで形成されており、前記第1位置と前記第1境界との距離および前記第2位置と前記第2境界との距離は、それぞれ30mm以下である。
【0013】
ある実施形態において、前記薄肉部分は、前記第1重畳領域および前記第2重畳領域のそれぞれの略全体にわたって形成されている。
【0014】
ある実施形態において、前記薄肉部分における肉厚は、周方向全体にわたって前記厚肉部分の肉厚よりも小さい。
【0015】
ある実施形態において、前記薄肉部分における肉厚は、周方向において部分的に前記厚肉部分の肉厚よりも小さい。
【0016】
ある実施形態において、前記薄肉部分における肉厚は、前記ハンドルパイプの長手方向に沿って略同じでシンメトリーである。
【0017】
ある実施形態において、前記薄肉部分における肉厚は、前記ハンドルパイプの長手方向に沿って変化する。
【0018】
ある実施形態において、前記鞍乗型車両用ハンドルは、前記第1グリップ部および前記第2グリップ部内に位置するように取り付けられた錘を備えていない。
【0019】
ある実施形態において、前記ハンドルパイプは、非鉄金属材料から形成されている。
【0020】
ある実施形態において、前記ハンドルパイプの前記取り付け部の外径は、前記第1グリップ部および前記第2グリップ部のそれぞれの外径よりも大きい。
【0021】
ある実施形態において、前記第1曲げ部および前記第2曲げ部のそれぞれの中央部にお
ける扁平率は5%以下である。
【0022】
本発明の実施形態による鞍乗型車両は、上述したいずれかの構成を有する鞍乗型車両用ハンドルを備える。
【0023】
本発明の実施形態による鞍乗型車両用ハンドルパイプの製造方法は、長手方向中央部に位置し、ステアリング回転装置に取り付けられる取り付け部と、長手方向一端部に位置する第1グリップ部と、長手方向他端部に位置する第2グリップ部と、前記取り付け部および前記第1グリップ部の間に位置し、前記取り付け部の一端から前記第1グリップ部の一端まで前記取り付け部とは異なる方向に延びる第1曲げ部と、前記取り付け部および前記第2グリップ部の間に位置し、前記取り付け部の他端から前記第2グリップ部の一端まで前記取り付け部とは異なる方向に延びる第2曲げ部と、を有する鞍乗型車両用ハンドルパイプの製造方法であって、金属材料から形成された管状のワークピースを用意する工程(A)と、前記ワークピースの前記第1グリップ部および前記第2グリップ部となる領域の外径を、前記取り付け部となる領域の外径よりも小さくする加工を行う工程(B)と、前記工程(B)の後、前記ワークピースに対して溶体化処理を行う工程(C)と、前記工程(C)の後、前記ワークピースに対して曲げ加工を行う工程(D)と、を包含する。
【0024】
ある実施形態において、前記工程(A)において用意される前記ワークピースは、押出法により作製されたワークピースである。
【0025】
ある実施形態において、前記鞍乗型車両用ハンドルパイプの製造方法は、前記第1グリップ部および前記第2グリップ部となる領域の一部を薄肉化する工程(E)をさらに包含し、前記第1グリップ部および前記第2グリップ部のそれぞれは、前記取り付け部の肉厚以上の肉厚を有する厚肉部分と、前記厚肉部分の肉厚よりも小さな肉厚を有する薄肉部分とを含む。
【0026】
ある実施形態において、前記工程(E)は、前記工程(B)の後、機械加工により行われる。
【0027】
ある実施形態において、前記工程(B)は、スウェージング加工により行われ、前記工程(B)において、前記工程(E)も行われる。
【0028】
本発明の実施形態の鞍乗型車両用ハンドルでは、ハンドルパイプの第1グリップ部および第2グリップ部のそれぞれが、取り付け部の肉厚以上の肉厚を有する厚肉部分と、厚肉部分の肉厚よりも小さな肉厚を有する薄肉部分とを含んでいる。厚肉部分は、具体的には、第1グリップ部の第1非重畳領域(第1ハンドルグリップに重ならない領域)および第2グリップ部の第2非重畳領域(第2ハンドルグリップに重ならない領域)に形成されており、薄肉部分は、具体的には、第1グリップ部の第1重畳領域(第1ハンドルグリップに重なる領域)および第2グリップ部の第2重畳領域(第2ハンドルグリップに重なる領域)に形成されている。第1グリップ部および第2グリップ部が厚肉部分を含んでいることにより、十分な剛性感を確保することができる。また、第1グリップ部および第2グリップ部が薄肉部分を含んでいることにより、例えば第1グリップ部および第2グリップ部の全体を厚肉部分とした場合に比べて軽量化を図ることができる。また、第1グリップ部および第2グリップ部の相対的に内側に位置する領域(第1非重畳領域および第2非重畳領域)に厚肉部分を配置し、相対的に外側に位置する領域(第1重畳領域および第2重畳領域)に薄肉部分を配置することにより、突き上げ感を低減できる。そのため、ライダーの疲労を抑えることができる。このように、本発明の実施形態によると、鞍乗型車両用ハンドルの軽量化を、ライダーの疲労の軽減と両立して行うことができる。
【0029】
薄肉部分の肉厚が、取り付け部の肉厚よりも小さいと、いっそうの軽量化を実現することができる。
【0030】
十分な軽量化効果および突き上げ感の低減をより確実に得る観点からは、薄肉部分は、第1グリップ部の第1重畳領域および第2グリップ部の第2重畳領域のそれぞれの質量が、ハンドルパイプ全体の質量の12%以下となるように形成されていることが好ましい。
【0031】
また、軽量化の点からは、第1重畳領域および第2重畳領域のそれぞれにおいて薄肉部分がなるべく広く(大きく)形成されていることが好ましい。例えば、第1重畳領域の薄肉部分は、第1グリップ部の端(第1曲げ部とは反対側の端)から所定の位置(第1位置)まで形成されていてもよいし、第2重畳領域の薄肉部分は、第2グリップ部の端(第2曲げ部とは反対側の端)から所定の位置(第2位置)まで形成されていてもよい。第1グリップ部における第1重畳領域と第1非重畳領域との境界を第1境界と呼び、第2グリップ部における第2重畳領域と第2非重畳領域との境界を第2境界と呼ぶとき、第1位置と第1境界との距離および第2位置と第2境界との距離は、それぞれ30mm以下であることが好ましい。
【0032】
薄肉部分が、第1重畳領域および第2重畳領域のそれぞれの略全体にわたって形成されていると、十分な軽量化効果をいっそう得やすい。
【0033】
薄肉部分における肉厚が、周方向全体にわたって厚肉部分の肉厚よりも小さい(つまり周方向全体に薄肉化が行われている)と、周方向において部分的に薄肉化が行われている構成に比べ、軽量化効果が高い。
【0034】
薄肉部分における肉厚が、周方向において部分的に厚肉部分の肉厚よりも小さいと、第1グリップ部および第2グリップ部の曲げ剛性を調整し易い。
【0035】
薄肉部分における肉厚は、ハンドルパイプの長手方向に沿って略同じでシンメトリーであってもよいし、ハンドルパイプの長手方向に沿って変化してもよい。
【0036】
本発明の実施形態による鞍乗型車両用ハンドルは、第1グリップ部および第2グリップ部内に位置するように取り付けられた錘を備えていなくてもよい。
【0037】
本発明の実施形態は、ハンドルパイプが非鉄金属材料から形成される場合に、用いる意義が大きい。鋼などの鉄系材料からハンドルパイプが形成される場合、肉厚が小さいので、薄肉化による軽量化を図ることが難しいからである。これに対し、ハンドルパイプが非鉄金属材料から形成される場合、ライダーの乗車姿勢による形状の制約下において要求剛性を確保しようとすると、全体的に肉厚が大きくなり易い。本発明の実施形態によれば、比較的厚い肉厚を上手く利用する(既に説明したような選択的に薄肉部分を形成する)ことにより、要求剛性を満足させる一方で、ライダーの疲労の軽減を図ることができる。
【0038】
本発明の実施形態は、ハンドルパイプの取り付け部の外径が、第1グリップ部および第2グリップ部のそれぞれの外径よりも大きい構成(いわゆる「テーパハンドル」)に好適に用いることができる。テーパハンドル用のハンドルパイプを例えばスウェージング加工を用いて製造する場合、ハンドルパイプの中央部(取り付け部)から端部側に向かうにつれて、肉厚が大きくなる。そのため、ハンドルパイプの重量化を招きやすい。本発明のように、ハンドルパイプの第1グリップ部および第2グリップ部が薄肉部分を含むことにより、テーパハンドルにおける軽量化を好適に実現することができる。
【0039】
剛性の均一性の観点からは、第1曲げ部および第2曲げ部の扁平率は小さいことが好ま
しく、具体的には、第1曲げ部および第2曲げ部の中央部における扁平率は、5%以下であることが好ましい。
【0040】
本発明の実施形態による製造方法では、曲げ加工を行う前に溶体化処理が行われる。曲げ加工後に溶体化処理が行われる場合、製品形状への成形後に高温保持および急冷が行われることになるので、熱処理による変形が大きくなる。そのため、溶体化処理後に矯正処理を行う必要がある。これに対し、本発明の製造方法では、曲げ加工を行う前に溶体化処理が行われるので、矯正処理が不要となる。また、溶体化処理によってワークピースがある程度硬くなった後に曲げ加工が行われるので、第1曲げ部および第2曲げ部の断面形状の変化が生じにくくなる。そのため、第1曲げ部および第2曲げ部の扁平率を小さくすることができる。
【0041】
用意されるワークピースが、押出法により作製されたもの(押出材)であることが好ましく、静水圧押出法により作成されたもの(静水圧押出材)であることがより好ましい。押出材は、肉厚の均一性に優れる。静水圧押出材は、一般的な押出材よりも強度に優れる。
【0042】
第1グリップ部および第2グリップ部となる領域の一部を薄肉化してもよい。第1グリップ部および第2グリップ部のそれぞれが、取り付け部の肉厚以上の肉厚を有する厚肉部分と、厚肉部分の肉厚よりも小さな肉厚を有する薄肉部分とを含むことにより、軽量化を図るとともに、ライダーの疲労を抑えることができる。
【0043】
第1グリップ部および第2グリップ部となる領域の一部を薄肉化する工程は、例えば機械加工により好適に行うことができる。
【0044】
また、本発明の実施形態による製造方法は、ワークピースの第1グリップ部および第2グリップ部となる領域の外径を、取り付け部となる領域の外径よりも小さくする加工を行う工程(縮径工程)を含む。この縮径工程は、例えばスウェージング加工により好適に行うことができる。その場合、縮径工程において、第1グリップ部および第2グリップ部となる領域の一部を薄肉化することもできる。
【発明の効果】
【0045】
本発明の実施形態によると、鞍乗型車両用ハンドルの軽量化を、ライダーの疲労の軽減と両立して行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0048】
(自動二輪車の全体構成)
図1は、自動二輪車(鞍乗型車両)1の概略構成を示す左側面図である。自動二輪車1は、不整地走行が想定されたモトクロス用車両である。自動二輪車1は、
図1に示すように、車体フレーム2、エンジン3、前輪4、後輪5、座席シート6、燃料タンク7およびハンドル20を備える。以下の説明において、前、後、左および右は、ハンドル20を握りつつ座席シート6に着座したライダー(運転者)から見た前、後、左および右を意味する。
【0049】
車体フレーム2は、クレードル型のフレームであり、エンジン3を支持している。車体フレーム2は、第1メインフレーム10aおよび第2メインフレーム10bと、ダウンフレーム11と、第1下部フレーム12aおよび第2下部フレーム12bと、ヘッドパイプ13と、一対のリアアーム14aおよび14bと、第1リアフレーム15aおよび第2リアフレーム15bとを有する。
【0050】
ヘッドパイプ13は、自動二輪車1の前部に配置されている。第1メインフレーム10aおよび第2メインフレーム10bは、車幅方向(左右方向)に並んで配置されている。第1メインフレーム10aおよび第2メインフレーム10bは、ヘッドパイプ13から後方に向かって斜め下に延びている。
【0051】
第1メインフレーム10aは車両左側に位置しており、第2メインフレーム10bは車両右側に位置している。第1メインフレーム10aおよび第2メインフレーム10bの下端部には、ピボット軸16が設けられている。
【0052】
ダウンフレーム11は、ヘッドパイプ13に対し、第1メインフレーム10aおよび第2メインフレーム10bよりも下方の位置で接続されている。ダウンフレーム11は、ヘッドパイプ13から下方且つ後方に向かって延びている。
【0053】
第1下部フレーム12aは、ダウンフレーム11の下端と第1メインフレーム10aの下端とを接続している。第2下部フレーム12bは、ダウンフレーム11の下端と第2メインフレーム10bの下端とを接続している。
【0054】
上述した構成により、車両の左側方から見て、ヘッドパイプ13、第1メインフレーム10a、ダウンフレーム11および第1下部フレーム12aは、ループ状に接続されている。また、車両の右側方から見て、ヘッドパイプ13、第2メインフレーム10b、ダウンフレーム11および第2下部フレーム12bも、ループ状に接続されている。
【0055】
一対のリアアーム14aおよび14bは、車両の左側および右側にそれぞれ配置されている。一対のリアアーム14aおよび14bは、それぞれ前端部がピボット軸16に取り付けられており、ピボット軸16によって上下に揺動可能に支持されている。一対のリアアーム14aおよび14bの後端部には、後輪7が車幅方向に挟み込まれるとともに回転可能に取り付けられている。
【0056】
第1リアフレーム15aは、車両左側に位置しており、第2リアフレーム15bは、車両右側に位置している。第1リアフレーム15aは、前端が第1メインフレーム10aに接続されており、第1メインフレーム10aから車両後方に延びている。第2リアフレーム15bは、前端が第2メインフレーム10bに接続されており、第2メインフレーム10bから車両後方に延びている。
【0057】
ヘッドパイプ13は、ステアリング装置30を回転可能に支持する。ステアリング装置30は、自動二輪車1の進行方向を変更可能である。ステアリング装置30は、ステアリング回転装置31と、ハンドル20とを含む。ステアリング回転装置31は、ステアリングシャフト(不図示)と、アッパーブラケット8と、アンダーブラケット9と、フロントサスペンション17と、前輪4とを有する。ヘッドパイプ13内に配置されるステアリングシャフト(不図示)の上端は、アッパーブラケット8に取り付けられており、下端は、アンダーブラケット9に取り付けられている。アッパーブラケット8およびアンダーブラケット9は、それらの左右の端部によってフロントサスペンション17の上部を保持している。フロントサスペンション17の下端には、前輪4が回転可能に取り付けられている。アッパーブラケット8には、ハンドル20が取り付けられている。ステアリング装置30は、ライダーがハンドル20を把持してステアリングシャフト周りに回転操作を行うことによって、ステアリング回転装置31がステアリングシャフト周りに回転し、前輪4の向きが変わるように構成されている。
【0058】
ヘッドパイプ13の後方で且つ第1メインフレーム10aおよび第2メインフレーム10bの上方には、座席シート6が配置されている。座席シート6の下方には、燃料タンク7が配置されている。第1メインフレーム10aおよび第1メインフレーム10bの下方で且つダウンフレーム11の後方には、エンジン3が配置されている。
【0059】
(ハンドルの構成)
図2を参照しながら、ハンドル20の構成を説明する。
図2(a)、(b)および(c)は、それぞれハンドル20を上方から見た図、左側方から見た図および後方斜め上から見た図である。また、
図2(a)、(b)および(c)には、アッパーブラケット8も併せて示されている。
【0060】
ハンドル20は、
図2(a)、(b)および(c)に示すように、一対のハンドルグリップ(第1ハンドルグリップおよび第2ハンドルグリップ)21Aおよび21Bと、ハンドルパイプ(「ハンドルバー」と呼ばれることもある)22とを有する。なお、ハンドル20は、さらにレバー(クラッチレバーやブレーキレバー)、スイッチユニット等を有し得るが、ここではそれらの図示を省略している。
【0061】
第1ハンドルグリップ21Aおよび第2ハンドルグリップ21Bは、ライダーによって把持される。第1ハンドルグリップ21Aおよび第2ハンドルグリップ21Bは、それぞれ筒状であり、例えばゴムから形成されている。第1ハンドルグリップ21Aおよび第2ハンドルグリップ21Bのそれぞれの一端(内側端)には、鍔部21Afおよび21Bfが形成されている。
【0062】
ハンドルパイプ22は、管状であり(つまり中空部材であり)、典型的には金属材料から形成されている。ハンドルパイプ22は、第1ハンドルグリップ21Aおよび第2ハンドルグリップ21Bを支持している。
【0063】
ハンドルパイプ22は、取り付け部APと、一対のグリップ部(第1グリップ部および第2グリップ部)GP1およびGP2と、一対の曲げ部(第1曲げ部および第2曲げ部)BP1およびBP2とを有する。
【0064】
取り付け部APは、ハンドルパイプ22の長手方向における中央部に位置する。取り付け部APは、略直線状に延びている。取り付け部APは、ステアリング回転装置31に取り付けられる部分である。図示している例では、取り付け部APは、一対のクランプ部材18によってアッパーブラケット8に取り付けられている。取り付け部APをステアリング回転装置31に取り付けるための構成は、ここで例示しているものに限定されない。例えば、取り付け部APが1つのクランプ部材によってステアリング回転装置31に取り付けられてもよい。
【0065】
第1グリップ部GP1は、ハンドルパイプ22の長手方向における一端部(ここでは左端部)に位置する。第1グリップ部GP1は、略直線状に延びている。第1グリップ部GP1は、ステアリング装置30を車体の前後方向に向けた状態(以下、「車両直進状態」と呼ぶ)において車幅方向に延びている。また、車両直進状態において、第1グリップ部GP1の左端部は、取り付け部APよりも後方かつ上方に位置する。第1グリップ部GP1の左端部には、第1ハンドルグリップ21Aが取り付けられる。
【0066】
第2グリップ部GP2は、ハンドルパイプ22の長手方向における他端部(ここでは右端部)に位置する。第2グリップ部GP2は、略直線状に延びている。第2グリップ部GP2は、車両直進状態において車幅方向に延びている。また、車両直進状態において、第2グリップ部GP2の右端部は、取り付け部APよりも後方かつ上方に位置する。第2グリップ部GP2の右端部には、第2ハンドルグリップ21Bが取り付けられる。
【0067】
第1曲げ部BP1は、取り付け部APと第1グリップ部GP1との間に位置する。第1曲げ部BP1は、取り付け部APの一端から第1グリップ部GP1の右端部まで取り付け部APとは異なる方向に延びている。より具体的には、第1曲げ部BP1は、上方かつ後方に延びている。つまり、第1曲げ部BP1は、取り付け部APと第1グリップ部GP1とを接続している。
【0068】
第2曲げ部BP2は、取り付け部APと第2グリップ部GP2との間に位置する。第2曲げ部BP2は、取り付け部APの他端から第2グリップ部GP2の左端部まで取り付け部APとは異なる方向に延びている。より具体的には、第2曲げ部BP1は、上方かつ後方に延びている。つまり、第2曲げ部BP2は、取り付け部APと第2グリップ部GP2とを接続している。
【0069】
ここでは、取り付け部APの外径od1(
図2(a)参照)は、グリップ部GP1およびGP2の外径od2よりも大きい。つまり、ハンドル20は、いわゆるテーパハンドルである。
【0070】
続いて、
図3も参照しながら、ハンドル20が備えるハンドルパイプ22の構成をより詳しく説明する。
図3(a)、(b)および(c)は、
図2(a)、(b)および(c)に対応する図であるが、ハンドルパイプ22のみが示されている。
【0071】
図3(a)、(b)および(c)に示すように、第1グリップ部GP1は、第1重畳領
域GP1aと、第1非重畳領域GP1bとを有する。第1重畳領域GP1aは、第1ハンドルグリップ21Aに重なる領域である。第1非重畳領域GP1bは、第1重畳領域GP1aと第1曲げ部BP1との間に位置し、第1ハンドルグリップGP1に重ならない領域である。
【0072】
同様に、第2グリップ部GP2は、第2重畳領域GP2aと、第2非重畳領域GP2bとを有する。第2重畳領域GP2aは、第2ハンドルグリップ21Bに重なる領域である。第2非重畳領域GP2bは、第2重畳領域GP2aと第2曲げ部BP2との間に位置し、第2ハンドルグリップ21Bに重ならない領域である。
【0073】
以下では、第1重畳領域GP1aと第2重畳領域GP2aとを総称して「重畳領域」と呼ぶことがあり、第1非重畳領域GP1bと第2非重畳領域GP2bとを総称して「非重畳領域」と呼ぶことがある。
【0074】
ここで、
図4をさらに参照しながら、ハンドルパイプ22の各部位の肉厚の関係を説明する。
図4は、取り付け部AP、第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2の断面(ハンドルパイプ22の長手方向に沿った断面)を示している。
【0075】
第1グリップ部GP1の第1非重畳領域GP1bおよび第2グリップ部GP2の第2非重畳領域GP2bのそれぞれは、取り付け部APの肉厚t0以上の(つまり肉厚t0と同じかそれよりも大きい)肉厚t1を有する厚肉部分p1を含む。
【0076】
また、第1グリップ部GP1の第1重畳領域GP1aおよび第2グリップ部GP2の第2重畳領域GP2aのそれぞれは、厚肉部分p1の肉厚t1よりも小さな肉厚t2を有する薄肉部分p2を含む。ここでは、薄肉部分p2の肉厚t2は、取り付け部APの肉厚t0よりも小さい。
【0077】
なお、第1曲げ部BP1および第2曲げ部BP2の肉厚は、典型的には、取り付け部APの肉厚以上である。ハンドルパイプ22の製造に後述するようなスウェージング加工を用いる場合、第1曲げ部BP1の肉厚は、取り付け部AP側から第1グリップ部GP1側に向かうにつれて大きくなり、同様に、第2曲げ部BP2の肉厚は、取り付け部AP側から第2グリップ部GP2側に向かうにつれて大きくなる。
【0078】
上述したように、本実施形態のハンドル20では、ハンドルパイプ22のグリップ部GP1およびGP2が、取り付け部APの肉厚t0以上の肉厚t1を有する厚肉部分p1と、厚肉部分p1の肉厚t1よりも小さな肉厚t2を有する薄肉部分p2とを含んでいる。厚肉部分p1は、具体的には、グリップ部GP1およびGP2の非重畳領域GP1bおよびGP2bに形成されており、薄肉部分p2は、具体的には、グリップ部GP1およびGP2の重畳領域GP1aおよびGP2aに形成されている。グリップ部GP1およびGP2が厚肉部分p1を含んでいることにより、十分な剛性感を確保することができる。また、グリップ部GP1およびGP2が薄肉部分p2を含んでいることにより、例えばグリップ部GP1およびGP2の全体を厚肉部分p1とした場合に比べて軽量化を図ることができる。また、本願発明者の検討によれば、グリップ部GP1およびGP2の相対的に内側に位置する領域(第1非重畳領域GP1bおよび第2非重畳領域GP2b)に厚肉部分p1を配置し、相対的に外側に位置する領域(第1重畳領域GP1aおよび第2重畳領域GP2a)に薄肉部分p2を配置することにより、ライダーの疲労を抑え得ることがわかった。ライダーの疲労を抑え得ることができる理由は、上述したような肉厚分布により、突き上げ感が低減され、好適な操作感が得られるためと考えられる。
【0079】
ここで、好適な操作感が得られることの検証およびその理由の推察を行った結果を説明
する。
【0080】
表1に、金属材料としてアルミニウム合金を用いて実施例および比較例1〜3のハンドルを試作し、操作感の検証試験を行った結果を示す。検証項目は、突き上げ感、操舵感、剛性感の3項目である。検証試験では、実施例および比較例1〜3のハンドルを取り付けた自動二輪車でギャップ(凹凸)のある路面を走行し、ライダーが評価を行った。実施例および比較例1〜3について、取り付け部における肉厚およびグリップ部における肉厚は、表2に示す通りである。表2に示すように、比較例1〜3では、グリップ部全体で(つまり重畳領域と非重畳領域とで)肉厚は同じである。これに対し、実施例では、重畳領域(長手方向に沿った長さは113mm)における肉厚が、非重畳領域における肉厚よりも小さい。また、表2には、実施例および比較例1〜3について、ハンドルパイプ全体の重量およびグリップ部の重畳領域の重量も併せて示している。
【0083】
操作感の評価は、比較例1を基準として行った。比較例1は、ハンドルパイプがもっとも重いものの、問題のない操作感が得られている。比較例2は、比較例1に比べ軽量化が実現できているものの、突き上げ感と剛性感の点で比較例1に劣っている。比較例3も、比較例1に比べ軽量化が実現できているものの、突き上げ感と剛性感の点で比較例1に劣っている。
【0084】
これに対し、実施例では、比較例1に比べて大幅な軽量化が実現されているとともに、突き上げ感および剛性感の点で比較例1とほぼ遜色がなく、操舵感の点では比較例1よりも優れている。
【0085】
このように、グリップ部GP1およびGP2の重畳領域GP1aおよびGP2aが薄肉部分p2を含むことにより、軽量化を図りつつ、好適な操作感を得られることが確認された。重畳領域GP1aおよびGP2aの薄肉化により、剛性感、突き上げ感および操舵感が改善される理由は、以下のように推察される。
【0086】
[剛性感について]
ライダーは、ハンドルグリップを介してグリップ部に負荷を与えた際の、グリップ部の変位挙動を感じ取る。ライダーは、負荷に対する変位が小さすぎても大きすぎても好ましい変位挙動と感じず、負荷に対する変位が適度であると好ましい変位挙動と感じる。そのため、薄肉部分をグリップ部の重畳領域に配置し、非重畳領域には厚肉部分を配置することで、適度な変位を実現でき、好ましい剛性感が得られる。
【0087】
[突き上げ感]
自動二輪車がギャップのある路面を走行する際、ハンドルが振動する。ライダーは、グリップ部の振動挙動を突き上げ感として感じる。振動が大きかったり、振動の減衰が遅かったりすると、ライダーは突き上げ感が大きいと感じる。振動の減衰を表すパラメータとして、対数減衰率δが知られている。対数減衰率δは、減衰比ζを用いて下記式で表わされる。
δ=2πζ
【0088】
減衰比ζは、下記式で表わされるように、減衰係数Cと臨界減衰係数C
Cとの比である。
ζ=C/C
C
【0089】
臨界減衰係数C
Cは、質点の質量mとバネ定数kを用いて下記式で表わされる。
C
C=2(mk)
1/2
【0090】
従って、質量mが小さいほど、また、バネ定数kが小さいほど、対数減衰率δが大きくなり、減衰が早くなることがわかる。
【0091】
上述の事項を、ハンドルの振動に当てはめると、グリップ部の端部(つまり重畳部)の質量が小さく、また、剛性が低いと、振動の減衰が早くなるといえる。そのため、グリップ部の重畳領域が薄肉部分を含むことにより、振動の減衰が早くなり、ライダーは突き上げ感が軽減されたように感じる。
【0092】
[操舵感]
車両の重心から遠い位置の重量が小さいことにより、慣性モーメントが減少し、車両を傾けるときや姿勢保持時に重さを感じにくくなる。そのため、ハンドルの両端に位置するグリップ部の重畳領域を薄肉化することにより、操舵感が改善する。
【0093】
このように、本発明の実施形態によれば、操作感を犠牲にすることなく軽量化を図ることができるので、ハンドルの軽量化を、ライダーの疲労の軽減と両立して行うことができる。
【0094】
以下、本実施形態におけるハンドル20の好ましい構成や変形例を説明する。
【0095】
薄肉部分p2の肉厚t2は、取り付け部APの肉厚t0よりも小さいことが好ましい。薄肉部分p2の肉厚t2が、取り付け部APの肉厚t0よりも小さいと、いっそうの軽量化を実現することができる。
【0096】
また、上述したことからもわかるように、ハンドルパイプ22の剛性と端部重量とのバランスが、操作感に影響を与えていると考えられる。ハンドルパイプ22全体の重量に対する重畳領域GP1a、GP2aの重量の割合を所定の範囲内に設定することにより、好適な操作感をより確実に得ることができる。本願発明者の検討によれば、第1重畳領域GP1aおよび第2重畳領域GP2aの薄肉部分p2は、第1重畳領域GP1aおよび第2
重畳領域GP2aの重量(質量)が、ハンドルパイプ22全体の重量(質量)の12%以下となるように形成されていることが好ましいことがわかった。下記表3に、ハンドルパイプの重量に対する重畳領域の重量の割合と、操作感との関係を検証した結果を示す。表3には、検証を行った各例(実施例および比較例1〜9)について、ハンドルパイプの重量に対する重畳領域の重量の割合(重量比)と、操作感の評価結果を示している。操作感の評価結果は、好適なものを「○」、好適でないものを「×」として示している。また、表3には、各例について、重畳領域の重量、ハンドルパイプ全体の重量、取り付け部およびグリップ部(重畳領域および非重畳領域)の肉厚も併せて示している。
【0098】
表3中の実施例と比較例2〜5との比較から、ハンドルパイプ全体の重量に対する重畳領域の重量の割合が12%以下であることにより、好適な操作感が得られることがわかる。なお、比較例6〜9では、ハンドルパイプ全体の重量に対する重畳領域の重量の割合が12%以下であるにもかかわらず、好適な操作感が得られなかった。これは、グリップ部が、取り付け部の肉厚以上の肉厚を有する厚肉部分を有していない(比較例7〜9)ことや、厚肉部分よりも小さな肉厚を有する薄肉部分を有していない(比較例6)ことに起因していると考えられる。
【0099】
薄肉部分p2は、
図5(a)および(b)に示すように、第1重畳領域GP1aおよび第2重畳領域GP2aのそれぞれの略全体にわたって形成されていてもよい。薄肉部分p2が、重畳領域GP1aおよびGP2aの略全体にわたって形成されていると、十分な軽量化効果をいっそう得やすい。厚肉部分p1と薄肉部分p2との境界部分(段差部)は、隅R状(断面が円弧状)であってもよいし、
図5(a)および(b)に例示しているように隅R状でなくてもよい。
【0100】
なお、
図5(a)および(b)には、薄肉部分p2における肉厚が、ハンドルパイプ22の長手方向に沿って略同じでシンメトリー(中心軸に対して対称)である構成を例示したが、このような構成に限定されるものではない。
図6(a)および(b)に示すように、薄肉部分p2における肉厚が、ハンドルパイプ22の長手方向に沿って変化してもよい。
図6(a)および(b)に示す例では、薄肉部分p2の肉厚は、内側(隣接する曲げ部側)から外側に向かうにつれて小さくなる。
【0101】
また、第1重畳領域GP1aおよび第2重畳領域GP2aのそれぞれは、
図7(a)および(b)に示すように、一部に薄肉部分p2でない部分(例えば厚肉部分p1と同じ肉厚を有する部分)を含んでもよい。
図7(a)に例示する構成では、第1重畳領域GP1aの薄肉部分p2は、第1グリップ部GP1の端(第1曲げ部BP1とは反対側の端)から所定の位置(第1位置)l1まで形成されている。また、
図7(b)に例示する構成では、第2重畳領域GP2aの薄肉部分p2は、第2グリップ部GP2の端(第2曲げ部BP2とは反対側の端)から所定の位置(第2位置)l2まで形成されている。十分な軽量化効果を得る観点からは、第1重畳領域GP1および第2重畳領域GP2のそれぞれにおいて薄肉部分p2がなるべく広く(大きく)形成されていることが好ましい。ここで、第1グリップ部GP1における第1重畳領域GP1aと第1非重畳領域GP1bとの境界bd1を第1境界と呼び、第2グリップ部GP2における第2重畳領域GP2aと第2非重畳領域GP2bとの境界bd2を第2境界と呼ぶ。軽量化の点からは、上述した第1位置l1と第1境界bd1との距離d1および第2位置l2と第2境界bd2との距離d2は、それぞれ30mm以下であることが好ましい。
【0102】
また、
図8(a)および(b)に示すように、薄肉部分p2が非重畳領域GP1bおよびGP2bにはみ出すように形成されていてもよい。
図8(a)に例示する構成では、薄肉部分p2は、第1グリップ部GP1の端(第1曲げ部BP1とは反対側の端)から第1非重畳領域GP1b内の所定の位置(第3位置)l3まで形成されている。また、
図8(b)に例示する構成では、薄肉部分p2は、第2グリップ部GP2の端(第2曲げ部BP2とは反対側の端)から第2非重畳領域GP2b内の所定の位置(第4位置)l4まで形成されている。剛性の点からは、上述した第3位置l1と第1境界bd1との距離d3および第4位置l4と第2境界bd2との距離d4は、それぞれ30mm以下であることが好ましい。
【0103】
また、
図9(a)および(b)に示すように、グリップ部GP1およびGP2の肉厚が、外側の端(曲げ部に接続されていない方の端)においてもっとも小さくなくてもよい。
図9(a)に例示する構成では、第1重畳領域GP1aは、外側の端に、薄肉部分p2ではない(つまり肉厚が厚肉部分p1よりも小さくない)部分p3を有する。この部分p3の外径は、薄肉部分p2の外径よりも小さい。また、
図9(b)に例示する構成では、第2重畳領域GP2aは、外側の端に、薄肉部分p2ではない(つまり肉厚が厚肉部分p1よりも小さくない)部分p3を有する。この部分p3の外径は、薄肉部分p2の外径よりも小さい。このように、第1重畳領域GP1aおよび第2重畳領域GP2aは、それぞれ少なくとも一部に薄肉部分p2を含んでいればよい。
【0104】
図10(a)、(b)および(c)は、ハンドルパイプ22の長手方向に直交する断面における、重畳領域GP1aおよびGP2aの形状の例を示している。
図10(a)、(b)および(c)には、非重畳領域GP1bおよびGP2bの厚肉部分p1を点線で示している。
【0105】
図10(a)に示す例では、薄肉部分p2における肉厚は、周方向全体にわたって厚肉部分p1の肉厚よりも小さい。このように、周方向全体に薄肉化が行われていると、周方向において部分的に薄肉化が行われている構成に比べ、軽量化効果が高い。
【0106】
図10(b)および(c)に示す例では、薄肉部分p2における肉厚は、周方向において部分的に厚肉部分p1の肉厚よりも小さい。
図10(b)に示す例では、周方向に沿って肉厚が小さい領域と大きい領域(厚肉部分p1と同じ肉厚の領域)とが交互に配置されている。
図10(c)に示す例では、周方向に沿って肉厚が連続的な減少と増加とを繰り返しており、内周面の輪郭がスプライン曲線のような形状である。このように、周方向に
おいて部分的に薄肉化が行われている構成は、第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2の曲げ剛性を調整し易いという利点がある。
【0107】
なお、従来、自動二輪車のハンドルのグリップ部内に、振動を低減するための錘を取り付ける構成が知られているが、本実施形態におけるハンドル20は、第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2内に位置するように取り付けられた錘を備えている必要はない。
【0108】
ハンドルパイプ22を形成する材料としては、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの非鉄金属材料を好適に用いることができる。本発明の実施形態は、ハンドルパイプ22が非鉄金属材料から形成される場合に、用いる意義が大きい。鋼などの鉄系材料からハンドルパイプ22が形成される場合、肉厚が小さいので、薄肉化による軽量化を図ることが難しく、また、複合材を用いた場合、非常に高価になり、製造に要するエネルギーも大きいからである。これに対し、ハンドルパイプ22が非鉄金属材料から形成される場合、ライダーの乗車姿勢による形状の制約下において要求剛性を確保しようとすると、全体的に肉厚が大きくなり易い。本発明の実施形態によれば、比較的厚い肉厚を上手く利用する(既に説明したように選択的に薄肉部分p2を形成する)ことにより、要求剛性を満足させる一方で、ライダーの疲労の軽減を図ることができる。
【0109】
続いて、
図11を参照しながら、本実施形態におけるハンドルパイプ22の製造方法を説明する。
図11は、ハンドルパイプ22の製造方法の例を示すフローチャートである。
【0110】
まず、管状のワークピースを用意する(ステップS1)。ここでは、アルミニウム合金から形成されたワークピースを用意する。例えば、静水圧押出法により作製されたワークピース(静水圧押出材)を用意し、続いて、引抜加工を行うによって、ワークピースを用意する。静水圧押出法とは、押出成形の一種であり、ビレットを直接押し出すのではなく、適度な粘性を有する液体(流体)を介してビレットを押し出す方法である。ワークピースとして、静水圧押出材以外の押出材(例えば直接押出や間接押出により作製されたもの)や引抜材を用いてもよい。引抜材は、寸法精度に優れる。また、押出材を用いることで、肉厚が均一なワークピースが得られる。上述した静水圧押出法を用いれば、一般的な押出材よりも強度に優れたワークピースを得ることができる。また、引抜加工を行うことでより寸法精度の高いワークピースが得られるので、断面係数変化が少なく、変形の均一性がよりいっそう高まる。ここで用意される(引抜加工後の)ワークピースは、その全体にわたって外径および内径がそれぞれ一定(つまり肉厚も一定)である。アルミニウム合金としては、例えば、Al−Mg−Zu−Cu系アルミニウム合金を好適に用いることができる。
【0111】
次に、ワークピースの、第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2となる領域の外径を、取り付け部APとなる領域の外径よりも小さくする加工(縮径加工)を行う。ここでは、スウェージング加工(「回転冷間鍛造加工」とも呼ばれる)を行う(ステップS2)。なお、縮径加工(絞り加工)は、スウェージング加工以外の方法であってもよい(例えばスピニング加工)。
【0112】
その後、ワークピースに対し、第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2となる領域の一部を薄肉化する加工を行う(工程S3)。この薄肉化工程は、例えば機械加工(例えば切削加工)により好適に行うことができる。
【0113】
続いて、ワークピースに対して溶体化処理を行う(ステップS4)。溶体化処理の温度および時間は、アルミニウム合金の組成に応じて設定される。溶体化処理は、例えば、470〜480℃で1〜3時間行われる。
【0114】
その後、ワークピースに対して曲げ加工を行う(ステップS5)。この曲げ加工により、第1曲げ部BP1および第2曲げ部BP2が形成される。
【0115】
次に、ワークピースに対して人工時効処理を行う(ステップS6)。人工時効処理は、例えば、115〜125℃で3〜6時間行った後、170〜180℃で6〜12時間行われる。なお、溶体化処理および人工時効処理をまとめてT7熱処理と呼ぶこともある。本実施形態では、T7熱処理における溶体化処理と人工時効処理との間に、曲げ加工が行われる。
【0116】
次に、ワークピースに対してショットピーニング処理を行う(ステップS7)。ショットピーニング処理は、疲労強度の向上のために行われる。
【0117】
その後、ワークピースに対してアルマイト処理を行う(ステップS8)。アルマイト処理は、アルミニウム合金の表面に陽極酸化被膜を形成する工程である。
【0118】
このようにして、ハンドルパイプ22を得ることができる。本実施形態の製造方法によれば、ハンドルパイプ22の第1曲げ部BP1および第2曲げ部BP2の扁平率を小さくできるという効果が得られる。以下、この理由を説明する。
【0119】
図12は、参考例によるハンドルパイプの製造方法を示すフローチャートである。参考例の製造方法では、まず、ワークピースとして押出材を用意し(ステップS11)、次に、引抜加工を行う(ステップS12)。
【0120】
続いて、ワークピースに対してスウェージング加工を行い(ステップS13)、その後、ワークピースを軟化させるための焼鈍処理を行う(ステップS14)。
【0121】
次に、曲げ加工を行い(ステップS15)、続いて、溶体化処理を行う(ステップS16)。その後、矯正処理を行う(ステップS17)。
【0122】
続いて、人工時効処理(ステップS18)、ショットピーニング処理(ステップS19)およびアルマイト処理(ステップS20)を順次行う。
【0123】
参考例の製造方法では、曲げ加工(ステップS15)後に溶体化処理(ステップS16)が行われるので、製品形状への成形後に高温保持および急冷が行われることになり、熱処理による変形が大きくなる。そのため、溶体化処理後に矯正処理(ステップS17)を行う必要がある。
【0124】
これに対し、本実施形態の製造方法では、曲げ加工(ステップS5)を行う前に溶体化処理(ステップS4)が行われるので、矯正処理が不要となる。また、溶体化処理によってワークピースがある程度硬くなった後に曲げ加工が行われるので、第1曲げ部BP1および第2曲げ部BP2の断面形状の変化が生じにくくなる。そのため、第1曲げ部BP1および第2曲げ部BP2の扁平率を小さくすることができる。ここで、扁平率は、(最大径−最少径)・100/平均径と規定される。扁平率が大きい場合、荷重方向に依存した剛性の差が増大してしまう。そのため、剛性の均一性の観点からは、第1曲げ部BP1および第2曲げ部BP2の扁平率は、小さいことが好ましく、具体的には、第1曲げ部BP1および第2曲げ部BP2のそれぞれの中央部における扁平率は、5%以下であることが好ましい。さらに、本実施形態の製造方法では、焼鈍処理が不要となるので、製造に要する時間とエネルギーの低減を図ることもできる。
【0125】
なお、溶体化処理後であっても曲げ加工を問題なく行うことができるのは、ワークピースは、溶体化処理によってある程度硬くなったとしても、十分な塑性変形能を有し得るからである。
図13に、アルミニウム合金から形成されたワークピースについて、焼鈍後および溶体化処理後の応力−歪曲線の例を示す。
図13から、溶体化処理を行った後でも、降伏点を引張り強さで除した降伏比が小さくなっており、十分な塑性変形能を有していることがわかる。
【0126】
図11に例示した方法のように、用意されるワークピースは、静水圧押出法により作製されたもの(静水圧押出材)であることが好ましい。静水圧押出材は、一般的な押出材よりも強度に優れるので、薄肉にできいっそうの軽量化を図ることができるからである。
【0127】
なお、
図11に示す例では、スウェージング加工と溶体化処理との間に薄肉化加工を行っているが、薄肉化加工を行うタイミングはこの例に限定されない。薄肉化加工は、人工時効処理とショットピーニング処理との間やショットピーニング処理とアルマイト処理との間に行われてもよいし、アルマイト処理後に行われてもよい。
【0128】
また、スウェージング加工の際に、重畳領域GP1aおよびGP2aとなる領域の肉厚を、非重畳領域GP1bおよびGP2bとなる領域の肉厚よりも小さくしてもよい。つまり、スウェージング加工と同時に薄肉化加工を行ってもよい。例えば、相対的に外径が大きい部分(大径部)と相対的に外径が小さい部分(小径部)とを含む段付芯金を用意し、ワークピースのグリップ部GP1およびGP2となる部分の内周面がこの段付芯金に当接するようにスウェージング加工を行うことにより、小径部に対応して厚肉部分p1が形成され、大径部に対応して薄肉部分p2を形成することができる。
【0129】
本発明の実施形態は、ハンドルパイプ22の取り付け部APの外径が、グリップ部GP1およびGP2の外径よりも大きい構成(いわゆる「テーパハンドル」)に好適に用いることができる。テーパハンドル用のハンドルパイプを例えばスウェージング加工を用いて製造する場合、ハンドルパイプの中央部(取り付け部)から端部側に向かうにつれて、肉厚が大きくなる。そのため、ハンドルパイプの重量化を招きやすい。本発明の実施形態のように、ハンドルパイプ22の第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2が薄肉部分p2を含むことにより、テーパハンドルにおける軽量化を好適に実現することができる。
【0130】
なお、本発明の実施形態は、テーパハンドルに限定されるものではない。つまり、本発明の実施形態は、グリップ部GP1およびBP2の外径が取り付け部APの外径と同じ構成にも用いることができる。
【0131】
また、これまでの説明では、鞍乗型車両として自動二輪車を例示したが、鞍乗型車両はこれに限定されるものではない。本発明の実施形態によるハンドルは、自転車、スノーモービル、ATV(All TerrainVehicle:四輪バギー)、水上バイクなどの種々の鞍乗型車両に好適に用いられる。この場合、各種鞍乗型車両の進行方向を変更可能なステアリング装置に本発明の実施形態によるハンドルを好適に用いることができる。
【0132】
上述したように、本発明の実施形態の鞍乗型車両用ハンドル20では、ハンドルパイプ22の第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2のそれぞれが、取り付け部APの肉厚t0以上の肉厚t1を有する厚肉部分p1と、厚肉部分p1の肉厚よりも小さな肉厚t2を有する薄肉部分p2とを含んでいる。厚肉部分p1は、具体的には、第1グリップ部GP1の第1非重畳領域(第1ハンドルグリップ21Aに重ならない領域)GP1bおよび第2グリップ部GP2の第2非重畳領域(第2ハンドルグリップ21Bに重ならない領域)GP2bに形成されており、薄肉部分p2は、具体的には、第1グリップ部GP
1の第1重畳領域(第1ハンドルグリップ21Aに重なる領域)GP1aおよび第2グリップ部GP2の第2重畳領域(第2ハンドルグリップ21Bに重なる領域)GP2aに形成されている。第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2が厚肉部分p1を含んでいることにより、十分な剛性感を確保することができる。また、第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2が薄肉部分p2を含んでいることにより、例えば第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2の全体を厚肉部分p1とした場合に比べて軽量化を図ることができる。また、第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2の相対的に内側に位置する領域(第1非重畳領域GP1bおよび第2非重畳領域GP2b)に厚肉部分p1を配置し、相対的に外側に位置する領域(第1重畳領域GP1aおよび第2重畳領域GP2a)に薄肉部分p2を配置することにより、突き上げ感を低減できる。そのため、ライダーの疲労を抑えることができる。このように、本発明の実施形態によると、鞍乗型車両用ハンドル20の軽量化を、ライダーの疲労の軽減と両立して行うことができる。
【0133】
薄肉部分p2の肉厚t2が、取り付け部APの肉厚t0よりも小さいと、いっそうの軽量化を実現することができる。
【0134】
十分な軽量化効果および突き上げ感の低減をより確実に得る観点からは、薄肉部分p2は、第1グリップ部GP1の第1重畳領域GP1aおよび第2グリップ部GP2の第2重畳領域GP2aのそれぞれの質量が、ハンドルパイプ22全体の質量の12%以下となるように形成されていることが好ましい。
【0135】
また、軽量化の点からは、第1重畳領域GP1aおよび第2重畳領域GP2aのそれぞれにおいて薄肉部分p2がなるべく広く(大きく)形成されていることが好ましい。例えば、第1重畳領域GP1aの薄肉部分p2は、第1グリップ部GP1の端(第1曲げ部BP1とは反対側の端)から所定の位置(第1位置)l1まで形成されていてもよいし、第2重畳領域GP2aの薄肉部分p2は、第2グリップ部GP2の端(第2曲げ部BP2とは反対側の端)から所定の位置(第2位置)l2まで形成されていてもよい。第1グリップ部GP1における第1重畳領域GP1aと第1非重畳領域GP1bとの境界bd1を第1境界と呼び、第2グリップ部GP2における第2重畳領域GP2aと第2非重畳領域GP2bとの境界bd2を第2境界と呼ぶとき、第1位置l1と第1境界bd1との距離d1および第2位置l2と第2境界bd2との距離d2は、それぞれ30mm以下であることが好ましい。
【0136】
薄肉部分p2が、第1重畳領域GP1aおよび第2重畳領域GP2aのそれぞれの略全体にわたって形成されていると、十分な軽量化効果をいっそう得やすい。
【0137】
薄肉部分p2における肉厚が、周方向全体にわたって厚肉部分p1の肉厚よりも小さい(つまり周方向全体に薄肉化が行われている)と、周方向において部分的に薄肉化が行われている構成に比べ、軽量化効果が高い。
【0138】
薄肉部分p2における肉厚が、周方向において部分的に厚肉部分p1の肉厚よりも小さいと、第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2の曲げ剛性を調整し易い。
【0139】
薄肉部分p2における肉厚は、ハンドルパイプ22の長手方向に沿って略同じでシンメトリーであってもよいし、ハンドルパイプ22の長手方向に沿って変化してもよい。
【0140】
本発明の実施形態による鞍乗型車両用ハンドル20は、第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2内に位置するように取り付けられた錘を備えていなくてもよい。
【0141】
本発明の実施形態は、ハンドルパイプ22が非鉄金属材料から形成される場合に、用いる意義が大きい。鋼などの鉄系材料からハンドルパイプ22が形成される場合、肉厚が小さいので、薄肉化による軽量化を図ることが難しいからである。これに対し、ハンドルパイプ22が非鉄金属材料から形成される場合、ライダーの乗車姿勢による形状の制約下において要求剛性を確保しようとすると、全体的に肉厚が大きくなり易い。本発明の実施形態によれば、比較的厚い肉厚を上手く利用する(既に説明したような選択的に薄肉部分を形成する)ことにより、要求剛性を満足させる一方で、ライダーの疲労の軽減を図ることができる。
【0142】
本発明の実施形態は、ハンドルパイプ22の取り付け部APの外径od1が、第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2のそれぞれの外径od2よりも大きい構成(いわゆる「テーパハンドル」)に好適に用いることができる。テーパハンドル用のハンドルパイプを例えばスウェージング加工を用いて製造する場合、ハンドルパイプの中央部(取り付け部)から端部側に向かうにつれて、肉厚が大きくなる。そのため、ハンドルパイプの重量化を招きやすい。本発明のように、ハンドルパイプ22の第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2が薄肉部分p2を含むことにより、テーパハンドルにおける軽量化を好適に実現することができる。
【0143】
剛性の均一性の観点からは、第1曲げ部BP1および第2曲げ部BP2の扁平率は小さいことが好ましく、具体的には、第1曲げ部BP1および第2曲げ部BP2の中央部における扁平率は、5%以下であることが好ましい。
【0144】
本発明の実施形態による製造方法では、曲げ加工を行う前に溶体化処理が行われる。曲げ加工後に溶体化処理が行われる場合、製品形状への成形後に高温保持および急冷が行われることになるので、熱処理による変形が大きくなる。そのため、溶体化処理後に矯正処理を行う必要がある。これに対し、本発明の製造方法では、曲げ加工を行う前に溶体化処理が行われるので、矯正処理が不要となる。また、溶体化処理によってワークピースがある程度硬くなった後に曲げ加工が行われるので、第1曲げ部BP1および第2曲げ部BP2の断面形状の変化が生じにくくなる。そのため、第1曲げ部BP1および第2曲げ部BP2の扁平率を小さくすることができる。
【0145】
用意されるワークピースが、押出法により作製されたもの(押出材)であることが好ましく、静水圧押出法により作製されたもの(静水圧押出材)であることがより好ましい。押出材は、肉厚の均一性に優れる。静水圧押出材は、一般的な押出材よりも強度に優れる。
【0146】
第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2となる領域の一部を薄肉化してもよい。第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2のそれぞれが、取り付け部APの肉厚t0以上の肉厚t1を有する厚肉部分p1と、厚肉部分p1の肉厚t1よりも小さな肉厚t2を有する薄肉部分p2とを含むことにより、軽量化を図るとともに、ライダーの疲労を抑えることができる。
【0147】
第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2となる領域の一部を薄肉化する工程は、例えば機械加工により好適に行うことができる。
【0148】
また、本発明の実施形態による製造方法は、ワークピースの第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2となる領域の外径を、取り付け部APとなる領域の外径よりも小さくする加工を行う工程(縮径工程)を含む。この縮径工程は、例えばスウェージング加工により好適に行うことができる。その場合、縮径工程において、第1グリップ部GP1および第2グリップ部GP2となる領域の一部を薄肉化することもできる。