特許第6972415号(P6972415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6972415-電源装置および電圧生成回路 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6972415
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】電源装置および電圧生成回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20211111BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H02J7/00 302A
   H02M3/28 Z
   H02J7/00 303C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2021-78411(P2021-78411)
(22)【出願日】2021年5月6日
【審査請求日】2021年5月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594109934
【氏名又は名称】高藤 恭胤
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高藤 恭胤
(72)【発明者】
【氏名】川西 克司
【審査官】 遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−078350(JP,A)
【文献】 特開平02−228255(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/144399(WO,A1)
【文献】 特開2011−244557(JP,A)
【文献】 特開平06−276754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02M 3/00−3/44
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池から供給された直流電圧を交流電圧に変換するDC/ACコンバータと、
前記DC/ACコンバータの出力端子に接続され、交流電圧を直流電圧に変換することにより直流電圧を発生する電圧生成回路と、
前記電圧生成回路の出力を前記電池に帰還する帰還回路と、
前記電池と前記電圧生成回路との間に設けられ、前記電池から前記電圧生成回路に電流が流れ込むことを阻止するダイオードと、
を有し、
前記電圧生成回路は、
前記DC/ACコンバータの一対の出力端子の一方にのみにアノードが接続される第1の整流素子と、
前記第1の整流素子のアノードにカソードが接続される第2の整流素子と、
前記第1の整流素子のカソードと前記第2の整流素子のアノードとの間に一次巻き線が接続される変圧器と、
前記変圧器の二次巻き線に接続される平滑回路と、
を有する電源装置。
【請求項2】
DC/ACコンバータの一対の出力端子の一方にのみにアノードが接続される第1の整流素子と、
前記第1の整流素子のアノードにカソードが接続される第2の整流素子と、
前記第1の整流素子のカソードと前記第2の整流素子のアノードとの間に一次巻き線が接続される変圧器と、
前記変圧器の二次巻き線に接続される平滑回路と、
を有する電圧生成回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源装置および電圧生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
充電池や乾電池を使用する機器や電源装置では、定期的に充電池を充電したり、乾電池を交換する必要がある。そのため、この種の機器は、長時間の連続的な使用が困難であり、また、機器を長時間使用する場合には、あらかじめ、複数の乾電池や蓄電池を準備しておく必要がある。そこで、電池の寿命を延ばすための技術が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−135193号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、電池にシートを装着する必要があるため、汎用の充電池や乾電池に使用するのが困難であった。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、電池の種別にかかわらず、電源装置などに用いられる電池の長寿命化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態に係る電源装置は、電池とDC/ACコンバータと電圧生成回路と帰還回路とダイオードとを有する。DC/ACコンバータは、電池から供給された直流電圧を交流電圧に変換する。電圧生成回路は、DC/ACコンバータの出力端子に接続され、交流電圧を直流電圧に変換することにより直流電圧を発生する。帰還回路は、電圧生成回路の出力を前記電池に帰還する。ダイオードは、電池と電圧生成回路との間に設けられ、電池から電圧生成回路に電流が流れ込むことを阻止する。電圧生成回路は、DC/ACコンバータの一対の出力端子の一方にのみにアノードが接続される第1の整流素子と、第1の整流素子のアノードにカソードが接続される第2の整流素子と、第1の整流素子のカソードと第2の整流素子のアノードとの間に一次巻き線が接続される変圧器と、変圧器の二次巻き線に接続される平滑回路と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る電源装置の構成図である。
図2】実施形態1に係る電圧生成回路の構成図である。
図3】実施形態1に係る電源装置の動作について説明するための図である。
図4】実施形態1に係る電源装置の動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態1)
以下、本実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、実施形態に係る電源装置1の構成図である。電源装置1は、電池10、スイッチ11、DC/ACコンバータ20、電圧生成回路30、逆流阻止ダイオード40、帰還回路50を有する。
【0009】
電池10は、例えば、充電可能な鉛蓄電池もしくはリチュームイオン電池である。ここでは、電池10は、出力1.5Vのリチュームイオン電池を直列に10個接続して構成されている。スイッチ11は、電池10の出力を開閉し、電源装置1をON/OFFするためのスイッチである。
【0010】
DC/ACコンバータ20は、電池10から出力される直流電圧を交流電圧に変換する。DC/ACコンバータ20は、スイッチングレギュレータ方式のコンバータである。例えば、DC/ACコンバータ20の出力電圧は、1キロボルト以上である。ここでは、DC/ACコンバータ20の出力電圧は、約40万ボルトである。DC/ACコンバータ20のスイッチング周波数は、例えば、数十kHzである。DC/ACコンバータ20は、外部機器が接続される端子T1,T2を有している。
【0011】
電圧生成回路30は、DC/ACコンバータ20に設けられた端子T1に接続されている。図2は、電圧生成回路30の構成図である。電圧生成回路30は、ダイオード31(第1の整流素子)、ダイオード32(第2の整流素子)、トランス33、ダイオード34、コンデンサ35を有する。
【0012】
端子T1には、ダイオード31のアノードと、ダイオード32のカソードが接続されている。また、ダイオード31のカソードと、ダイオード32のアノードには、トランス33の一次巻き線が接続されている。トランス33の二次巻き線には、ダイオード34が直列に接続され、コンデンサ35が並列に接続されている。ダイオード34とコンデンサ35は、平滑回路を構成する。
【0013】
図1及び図2を参照するとわかるように、トランス33の二次巻き線の高圧側の端は、ダイオード34に直列に接続される逆流阻止ダイオード40と、スイッチ11を介して、電池10の陽極に接続される。また、トランス33の二次巻き線の低圧側の端は、電池10の負極に接続される。これによって、電圧生成回路30、逆流阻止ダイオード40は、帰還回路50を構成する。
【0014】
電圧生成回路30を構成するトランス33の二次側に電圧が発生すると、電流は、帰還回路50を構成する逆流阻止ダイオード40を介して、電圧生成回路30から電池10の陽極へ向かって流れる。
【0015】
次に、電源装置1の動作について説明する。スイッチ11をONにすることにより、電池10からDC/ACコンバータ20に、約15Vの直流電圧が入力される。DC/ACコンバータ20は、端子T1と端子T2との間に約40万ボルトの交流電圧を出力する。
【0016】
図3は、電圧生成回路30の等価回路である。トランス33の一次巻き線の線間には、浮遊容量C1が存在する。また、トランス33の一次巻き線と端子T2との間には、浮遊容量C2が存在する。浮遊容量は、トランス33の一次巻き線の各部と端子T2との間に存在するが、ここでは、説明を容易にするために、トランス33のダイオード32のアノード側と端子T2との間の浮遊容量が大きいと仮定し、浮遊容量C2のみが存在するものとして説明する。
【0017】
DC/ACコンバータ20は、端子T1と端子T2との間に交流電圧を出力する。端子T2の電位に対して端子T1の電位が高い場合、図3に点線で示すように、端子T1,ダイオード31、トランス33の一次巻き線と浮遊容量C1,浮遊容量C2,端子T2と流れる電流ループが形成される。この電流により、トランス33の一次巻き線の両端に電圧が発生する。また、浮遊容量C1には電荷がチャージされる。
【0018】
端子T2の電位に対して端子T1の電位が低い場合、端子T2,浮遊容量C2,ダイオード32、端子T1と流れる電流ループが形成される。この時、ダイオード31があるため、トランス33の一次巻き線と浮遊容量C1には電流が流れない。浮遊容量C1にチャージされた電荷は、トランス33の一次巻き線を介して放電される。放電に伴って、トランス33の一次巻き線および浮遊容量C1の両端の電圧は減少する。
【0019】
再び、端子T2の電位に対して端子T1の電位が高くなると、図3に点線で示す電流ループが形成され、トランス33の一次巻き線の両端には電圧が発生する。このように、DC/ACコンバータ20の出力端子間の電圧変化に伴い、トランス33の一次側には交流電圧が発生する。
【0020】
トランス33の二次側には、トランス33の一次側に発生した交流電圧を昇圧もしくは降圧した交流電圧が発生する。ダイオード34とコンデンサ35は、トランス33の二次側に発生した交流電圧を平滑して直流電圧を生成する。トランス33の一次側巻き線と二次側巻き線の巻き数比は、位置P3と位置P4の間に出力される直流電圧V2が、電池10の両端の電圧V1より少し高くなるように設定する。電池10の満充電時の出力電圧を16.5V、電源装置1を利用する電子機器(負荷回路)に必要な最低電圧を13.5Vと仮定する。この場合、トランス33の巻き数比は、位置P3と位置P4の間の直流電圧V2が、例えば、16.0Vから16.5Vになるように設定する。
【0021】
位置P3と位置P4の間の直流電圧V2が電池10の両端の電圧V1よりも高い場合、電圧生成回路30から帰還回路50を介して電池10に電力が供給され、電池10は充電される。位置P1と位置P2の間の電圧V1が位置P3と位置P4の間の直流電圧V2より高い場合、逆流阻止ダイオード40があるので、電池10から帰還回路50を介して電圧生成回路30に電流が流れ込むことはない。
【0022】
図4は、端子T1と端子T2の間に所定の負荷回路を接続した場合の電池10の両端の電圧V1の時間変化を示すグラフである。縦軸は、電池10の両端の電圧V1を示す。横軸は、経過時間を示す。丸印によって規定される曲線は、図1に示される帰還回路50を有する電源装置1を構成する電池10の電圧V1の変化を示す。三角印によって規定される曲線は、帰還回路50がない従来の電源装置における電池10の電圧V1の変化を示す。
【0023】
図4のVHは、電池10が満充電された状態の電池10の両端の電圧である。VHは、例えば、16.5Vである。VLは、例えば、13.5Vである。時間t1は、電源装置1を構成する電池10の電圧V1がVHからVLに至るまでの時間である。時間t2は、帰還回路50を持たない従来の電源装置1を構成する電池10の電圧V1がVHからVLに至るまでの時間である。
【0024】
端子T1と端子T2の間に接続される負荷回路の消費電力が小さいほど、時間t1と時間t2の比K(K=t1/t2)は大きくなるという実験結果を得た。例えば、LEDのように消費電力が小さい負荷回路を接続した場合、Kの値が1.2以上になることもあった。
【0025】
以上に説明したように、実施形態に係る電源装置1は、DC/ACコンバータ20と電圧生成回路30と帰還回路50を有する。電源装置1は、電圧生成回路30で発生した直流電圧を帰還回路50で電池10に帰還することで、電池10を充電する。これにより、電池10に蓄積された電力の低減を抑制することができるものと思われる。
【0026】
また、DC/ACコンバータ20の端子T1と端子T2に接続される負荷が誘導性である場合には、電圧生成回路30のコンデンサ35の容量を、トランス33の巻き線のインダクタンスに比較して、大きくすることで、交流電圧が出力される端子T1,T2から負荷側の力率が高くなる。これにより、負荷への送電効率が向上し、結果的に電池10の電圧降下を抑制することができる。また、DC/ACコンバータ20の端子T1と端子T2に接続される負荷が容量性である場合には、電圧生成回路30のコンデンサ35の容量を、トランス33の巻き線のインダクタンスに比較して、小さくすることで、交流電圧が出力される端子T1,T2から負荷側の力率が高くなる。これにより、負荷への送電効率が向上し、結果的に電池10の電圧降下を抑制することができる。
【0027】
なお、上記の説明では、端子T1にのみ電圧生成回路30を接続する場合について説明した。しかし、端子T1と端子T2それぞれに電圧生成回路30を接続してもよい。この場合、何れか一方の電圧生成回路30の出力を逆流阻止ダイオード40を介して帰還回路50により電池10に帰還する。また、電圧生成回路30の出力にLEDのような消費電力の小さい負荷回路を接続して使用することもできる。
【0028】
また、上記の説明では、DC/ACコンバータ20が約40万ボルトの交流電圧を出力する場合について説明したが、DC/ACコンバータ20の出力電圧は、40万ボルトに限定されるものではない。
【0029】
DC/ACコンバータ20の出力電圧が高いほど、トランス33の一次側に印加される電圧は大きくなる。DC/ACコンバータ20の出力電圧が低い場合、トランス33の巻き数比を大きくすることにより、電圧生成回路30の出力電圧を高くすることができる。
【0030】
また、電圧生成回路30のダイオード31もしくはダイオード32の何れか一方を省力もしくは固定抵抗に置き換えることができる場合もある。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1…電源装置
10…電池
11…スイッチ
20…DC/ACコンバータ
30…電圧生成回路
31,32,34…ダイオード(整流素子)
33…トランス(変圧器)
35…コンデンサ
40…逆流阻止ダイオード
50…帰還回路
C1,C2…浮遊容量
【要約】      (修正有)
【課題】電源装置などに用いられる電池の長寿命化を図ることが可能な電源装置および電圧生成回路を提供する。
【解決手段】電源装置1は、電池とDC/ACコンバータ20と、電圧生成回路30と、帰還回路50と、を備える。DC/ACコンバータは、電池から供給された直流電圧を交流電圧に変換する。電圧生成回路は、DC/ACコンバータの出力端子に接続され、交流電圧を直流電圧に変換することにより直流電圧を発生する。帰還回路は、電圧生成回路の出力を充電可能な電池10に帰還する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4