特許第6972416号(P6972416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6972416
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】空調装置および放熱フィン
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0097 20190101AFI20211111BHJP
【FI】
   F24F1/0097
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2021-88898(P2021-88898)
(22)【出願日】2021年5月27日
【審査請求日】2021年5月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594109934
【氏名又は名称】高藤 恭胤
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高藤 恭胤
(72)【発明者】
【氏名】川西 克司
【審査官】 佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第211146709(CN,U)
【文献】 特開2017−013783(JP,A)
【文献】 特開昭57−104069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0097
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を熱に変換するペルチェ素子と、
前記ペルチェ素子に電力を供給する電源と、
前記ペルチェ素子から発せられる熱を放熱する放熱フィンと、
前記放熱フィンに空気を供給する送風機と、
を備え
前記放熱フィンは、複数のフィンで構成されており、
複数の前記フィンは、前記送風機により供給される前記空気の送風方向の上流から下流に向う前記空気の流路を形成するように配列されており、
前記空気の前記流路の断面積は、前記空気の送風方向の上流から下流に向かって広くなっており、
複数の前記フィンは、前記空気の送風方向の上流側に前記空気の前記流路の断面積を広げるようにテーパ面を有している空調装置。
【請求項2】
複数の前記フィンは、前記空気の送風方向に並ぶ複数の小フィンで形成されている請求項に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調装置および放熱フィンに関する。
【背景技術】
【0002】
室内用空調装置や自動車用空調装置等の多くの空調装置(例えば特許文献1)は、駆動用ポンプを備える圧縮機と凝縮器と膨張弁と蒸発器とからなるヒートサイクルを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−94811号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、ヒートサイクルを有する空調装置は、駆動ポンプ、圧縮機、凝縮器、膨張弁、および冷媒を循環させるパイプが必要であるため、空調装置を小型化することが困難であった。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、空調装置の小型化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態に係る空調装置は、ペルチェ素子と電源と放熱フィンと送風機とを備える。ペルチェ素子は、電力を熱に変換する。電源は、ペルチェ素子に電力を供給する。放熱フィンは、ペルチェ素子から発せられる熱を放熱する。送風機は、放熱フィンに空気を供給する。放熱フィンは、複数のフィンで構成されている。複数のフィンは、送風機により供給される空気の送風方向の上流から下流に向う空気の流路を形成するように配列されている。空気の流路の断面積は、空気の送風方向の上流から下流に向かって広くなっている。複数のフィンは、空気の送風方向の上流側に空気の流路の断面積を広げるようにテーパ面を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る空調装置の構成図である。
図2】実施形態1に係る放熱フィンの斜視図である。
図3】実施形態1に係る放熱フィンの平面図である。
図4】実施形態1に係る放熱フィンの側面図である。
図5】実施形態2に係る放熱フィンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態1)
以下、実施形態に係る空調装置について、図を参照して説明する。説明にあたっては、相互に直行するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系を適宜用いる。
【0009】
図1は、実施形態に係る空調装置1の構成図である。空調装置1は、ペルチェ素子10、電源20、放熱フィン30、送風機50、筐体70を有する。
【0010】
ペルチェ素子10は、直流電流を供給されることにより、素子の両面に温度差を生じる。ペルチェ素子の寸法は、暖房もしくは冷房能力に応じて決められる。
【0011】
電源20は、ペルチェ素子10に直流電流を供給する。電源20は、例えば、100ボルトの商用電力を入力し、直流電圧を出力するAC/DCコンバータである。電源20は、ペルチェ素子10の規格にあった直流電圧を出力する。ここでは、電源20がペルチェ素子10の+Z側の面が−Z側の面よりも高温になるように電力を供給しているものとする。また、電源20は、後述する送風機50に電力を供給する。
【0012】
放熱フィン30は、ペルチェ素子10から発せられる熱を放熱するための部品である。放熱フィン30は、放熱フィン30の−Z側の面がペルチェ素子10の+Z側の面に接して設けられる。放熱フィン30のXY面の寸法は、ペルチェ素子10のXY面の寸法に応じて決められる。放熱フィン30のZ方向の寸法は、ペルチェ素子10から放出される熱量に応じて決められる。
【0013】
送風機50は、風によって放熱フィン30に空気を供給する。送風機50は、例えば、直流モータで動作するファンである。送風機50は、放熱フィン30の−X側に配置されている。
【0014】
筐体70は、ペルチェ素子10,電源20,送風機50を固定するための部材である。筐体70は平板であってもよいし、ペルチェ素子10,電源20,放熱フィン30、送風機50を収容するケースであってもよい。放熱フィン30は、放熱フィン30の重量がペルチェ素子10に加わらないように、筐体70に固定されていてもよい。
【0015】
図2は、放熱フィン30の斜視図である。図3は、放熱フィン30の平面図である。図4は、放熱フィン30のYZ面の側面図である。放熱フィン30は、複数のフィン32、33,34,35,36,37と、ベース31とで構成されている。フィン32、33,34,35,36,37は、ベース31に固定されている。ここでは、放熱フィン30が6個のフィンで構成されている場合について説明するが、フィンの数は限定されない。複数のフィン32、33,34,35,36,37は、送風機50により供給される空気の送風方向の上流から下流に向う空気の流路Rを形成するように配列されている。
【0016】
図3に示されるように、フィン32、33,34,35,36,37形状は、開口41のY軸方向の長さL1が開口42のY軸方向の長さL2より短くなるように形成されている。これにより、空気の流路RのYZ面の断面積は、空気の送風方向の上流(−X側)から下流(+X側)に向かって広くなる。
【0017】
また、図2に示されるように、フィン32、33,34,35,36,37の−X側(空気の送風方向の上流側)の端部には、空気の流路Rの断面積を広げるようにテーパ面43が形成されている。図4では、テーパ面43をドットパターンで表している。図3に示されるように、フィン32、33,34,35,36,37にテーパ面43を設けることにより、開口41の−X側の端のY軸方向の長さL3は、開口41の少し+X側のY軸方向の長さL1より長くなる。これにより、空気を取り込む開口41のYZ面の断面積が広くなる。
【0018】
次に、空調装置1の動作について説明する。ペルチェ素子10は、電源20から直流電流を供給され、+Z面の温度が−Z面の温度に対して上昇する。ペルチェ素子10の+Z側の面から発熱された熱量は放熱フィン30に伝搬し、放熱フィン30から放熱される。送風機50は、電源20から電力を供給され、放熱フィン30に向かって送風する。
【0019】
図3に示されるL3の範囲で受けた空気は、放熱フィン30のテーパ面43により開口41に導かれる。放熱フィン30は、テーパ面43を有しているので、多くの空気を開口41に導くことができる。放熱フィン30の+X側の開口42の断面積は、−X側の開口41の断面積よりも大きくなっている。このような構造とすることで、開口41から開口42に向かう空気と放熱フィン30との空気抵抗を小さくしている。開口41から挿入された空気の温度は放熱フィン30(フィン32、33,34,35,36,37)の熱により上昇し、放熱フィン30は冷却される。温度が上昇した空気は、送風機50により開口42に向かって送風される。
【0020】
放熱フィン30の開口41には、送風機50により新たな空気が順次供給される。ペルチェ素子10が発熱した熱量により温度が上昇した放熱フィン30は、新たな空気を加熱し、加熱された空気は開口42から順次排出される。この動作を継続することで、空調装置1は、周囲の温度を上昇させる。
【0021】
なお、上記の説明では、ペルチェ素子10の+Z側の面の温度が−Z側の面の温度より高くなる場合について説明したが、ペルチェ素子10に印加する電圧を逆極性にすることにより、ペルチェ素子10の+Z側の面の温度を−Z側の面の温度より低くすることもできる。この場合、放熱フィン30は、ペルチェ素子10から冷温を伝搬し、空気を冷却する。
【0022】
また、上記の説明では、図2乃至図4に示すように、フィン32、33,34,35,36,37の+Z側の面と−Z側の面の形状が同じである場合を例にして説明したが、フィンの形状はこれに限定されない。例えば、フィンは、+Z側程細い形状であってもよい。
【0023】
上記の説明では、電源20がAC/DCコンバータである場合について説明したが、電源20は蓄電池で動作するDC/DCコンバータであってもよいし、電源20が蓄電池であってもよい。
【0024】
以上に説明したように、実施形態に係る空調装置1は、駆動ポンプ、圧縮機、凝縮器、膨張弁、および冷媒を循環させるパイプを必要とするヒートサイクルを必要としないので、空調装置の小型化を図ることができる。
【0025】
また、実施形態に係る空調装置1は、駆動ポンプ等の可動部分が無いため、振動・騒音を発生しない。また、実施形態に係る空調装置1は、疲労・破損する機械部品が無いため、取扱いが簡単であり、故障が少なく、耐用期間が長い。
【0026】
また、実施形態に係る空調装置1は、フロン等の冷媒を使用していないので、環境に対する悪影響が無い。また、冷媒のガス漏れ、腐蝕性液体の漏れ等の心配が無く、保守が容易である。
【0027】
また、実施形態に係る空調装置1は、電流の方向を変えるだけで、暖房と冷却を切り替えることができる。また、実施形態に係る空調装置1は、ペルチェ素子で冷暖房を行うので、冷媒の加熱もしくは冷却に時間を要しないので、温度応答特性が良い。
【0028】
空気の温度は、空気の送風方向の上流(−X側)から下流(+X側)に向かって徐々に高くなる。実施形態に係る空調装置1は、放熱フィン30の空気の流路Rの断面積が空気の送風方向の上流(−X側)から下流(+X側)に向かって広くなっているので、フィン32、33,34,35,36,37の単位面積を冷却する空気の量が多い。よって、実施形態に係る空調装置1は、送風方向下流の空気の温度上昇を低減でき、放熱効果を高めることができる。
【0029】
また、放熱フィン30は、空気の送風方向の上流側に空気の流路Rの断面積を広げるようにテーパ面43を有しているので、多くの空気を開口41に導くことができる。
【0030】
(実施形態2)
実施形態2では、放熱フィン30の他の実施形態について、図5を参照して説明する。実施形態1と同じ説明は省略する。
【0031】
図5は、実施形態2に係る放熱フィン30の平面図である。図5に示されるように、放熱フィン30のフィン32、33,34,35,36,37は、空気の送風方向(X軸方向)に並ぶ複数の小フィンで構成されている。フィン32は、小フィン321,322,323,324,325で構成されている。フィン33,34,35,36,37も5個の小フィンで構成されている。ここでは、フィン32、33,34,35,36,37それぞれが、5個の小フィンで構成されている場合について説明するが、小フィンの数は限定されない。
【0032】
放熱フィン30は、フィン32、33,34,35,36,37それぞれを複数の小フィンで構成することで空気との接触面積を増やすことができ、放熱効果を高めることができる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1…空調装置
10…ペルチェ素子
20…電源
30…放熱フィン
31…ベース
32〜37…フィン
321〜325…小フィン
371〜375…小フィン
41…開口
42…開口
43…テーパ面
50…送風機


【要約】
【課題】空調装置の小型化を図る。
【解決手段】実施形態に係る空調装置は、ペルチェ素子と電源と放熱フィンと送風機とを備える。ペルチェ素子は、電力を熱に変換する。電源は、前記ペルチェ素子に電力を供給する。放熱フィンは、前記ペルチェ素子から発せられる熱を放熱する。送風機は、前記放熱フィンに空気を供給する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5