(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水面領域特定部が特定した水面の領域に基づいて、前記振動発生装置の設置位置を決定する設置位置決定部をさらに備えていることを特徴とする、請求項2に記載の浮遊物誘導制御装置。
前記振動発生装置制御部は、前記振動発生装置が発生する振動の周波数が時間的に変化するように、前記振動発生装置を制御することを特徴とする、請求項1に記載の浮遊物誘導制御装置。
前記振動決定部は、前記浮遊物情報取得部が取得した浮遊物情報に基づいて、前記水面において発生する水面波のシミュレーションを行うことにより、前記振動発生装置による振動の周波数を決定することを特徴とする、請求項1に記載の浮遊物誘導制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明をより詳細に説明するため、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1を含む浮遊物誘導システム100の構成を示すブロック図である。
図1が示すように、浮遊物誘導システム100は、浮遊物誘導制御装置1、振動発生装置2、及び出力装置3を含む。浮遊物誘導制御装置1は、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13、及び振動発生装置制御部14を備えている。
【0011】
水面領域特定部10は、水面の領域を特定する。水面の例として、池の水面、湖の水面、ダムの水面、又は海の水面が挙げられる。水面の領域の例として、岸に囲まれた領域、海岸線から特定の距離までの領域、又は水面における任意の領域が挙げられる。
水面領域特定部10は、例えば、水面の領域を示すデータを取得し、当該データに基づき、水面の領域を特定する。水面の領域を示すデータの例として、衛星から撮影された画像のデータ、空中から撮影された画像データ、又は地図データが挙げられる。
また、水面領域特定部10は、水面の領域を示すデータが画像データである場合、当該画像データに基づいて、浮遊物の位置をさらに特定してもよい。
なお、本実施形態では、浮遊物誘導制御装置1が水面領域特定部10を有する構成について説明するが、浮遊物誘導制御装置1において、水面の領域を特定する機能は必須ではなく、浮遊物誘導制御装置1は、水面領域特定部10を備えていなくてもよい。例えば、浮遊物が存在する水面が、海等の比較的広い水面である場合、浮遊物誘導制御装置1は、当該水面の領域を特定しなくてもよい。
【0012】
浮遊物情報取得部11は、水面上の浮遊物に関する浮遊物情報を取得する。浮遊物情報の例として、浮遊物の種別、浮遊物の位置、浮遊物の大きさ、又は浮遊物の質量が挙げられる。浮遊物の種別の例として、浮草、プラスチック製品、オイル、又は木片が挙げられる。例えば、浮遊物情報取得部11は、ユーザが図示しない入力装置を介して浮遊物誘導制御装置1に入力した浮遊物情報を取得する。また、浮遊物誘導制御装置1が水面の領域を示す画像データを取得するものである場合、浮遊物情報取得部11は、当該画像データを解析することにより、浮遊物情報を取得してもよい。
【0013】
設置位置決定部12は、水面領域特定部10が特定した水面の領域に基づいて、振動発生装置2の設置位置を決定する。設置位置決定部12が決定する振動発生装置2の設置位置の例として、岸、浜、又は振動発生装置2が船に設置された場合における水面上の位置が挙げられる。設置位置決定部12は、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物情報にさらに基づいて、振動発生装置2の設置位置を決定してもよい。例えば、設置位置決定部12は、浮遊物情報が示す浮遊物の位置にさらに基づいて、振動発生装置2の設置位置を決定してもよい。なお、本実施形態では、浮遊物誘導制御装置1が設置位置決定部12を有する構成について説明するが、浮遊物誘導制御装置1において、振動発生装置2の設置位置を決定する機能は必須ではなく、浮遊物誘導制御装置1は、設置位置決定部12を備えていなくてもよい。その場合、例えば、振動発生装置2は、予め設置位置に設置されており、ユーザは、当該設置位置を浮遊物誘導制御装置1に入力する。
【0014】
振動決定部13は、水面を振動させることにより水面波を発生する振動発生装置2による振動の周波数を、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物情報に基づいて決定する。例えば、振動決定部13は、浮遊物情報が浮遊物の種別としてスポンジを示した場合、振動発生装置2による振動の周波数を100Hzに決定する。また、振動発生装置2が発生した水面波によって、水面上の浮遊物が回収位置に誘導されなかった場合、ユーザは、浮遊物誘導制御装置1に、振動発生装置2による振動の周波数を変更するように指示する入力を行い、振動決定部13は、当該入力された指示に基づき、振動発生装置2による振動の周波数を変更してもよい。
【0015】
また、振動決定部13は、振動発生装置2による振動の周波数を、設置位置決定部12が決定した振動発生装置2の設置位置、又は振動発生装置2が予め設置された設置位置にさらに基づいて決定してもよい。また、振動発生装置2が振動の振幅を調整できる場合、振動決定部13は、振動発生装置2による振動の振幅を、浮遊物情報に基づいてさらに決定してもよい。また、振動決定部13は、振動発生装置2による振動の振幅を、設置位置決定部12が決定した振動発生装置2の設置位置、又は振動発生装置2が予め設置された設置位置に基づいてさらに決定してもよい。
【0016】
振動発生装置制御部14は、振動発生装置2が、振動決定部13が決定した周波数で振動するように、振動発生装置2を制御する。振動決定部13が振動発生装置2による振動の振幅をさらに決定した場合、振動発生装置制御部14は、振動発生装置2が、振動決定部13が決定した周波数及び振幅で振動するように、振動発生装置2を制御してもよい。振動発生装置制御部14は、振動発生装置2が発生する振動の周波数又は振幅が時間的に変化するように、振動発生装置2を制御してもよい。その場合、例えば、振動発生装置制御部14は、浮遊物情報が示す浮遊物の位置に応じて、振動発生装置2が発生する振動の周波数又は振幅が時間的に変化するように、振動発生装置2を制御してもよい。これにより、振動発生装置2は、浮遊物の位置に応じて、より適切な水面波を発生することができる。
【0017】
振動発生装置2は、水
面を振動させることにより水面波を発生する。実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1を含む浮遊物誘導システム100において、振動発生装置2は、振動発生装置制御部14の指示に基づいて、振動決定部13が決定した周波数で振動することにより水面波を発生する。振動決定部13が振動発生装置2による振動の振幅をさらに決定した場合、振動発生装置2は、振動発生装置制御部14の指示に基づいて、振動決定部13が決定した周波数及び振幅で振動することにより水面波を発生してもよい。本実施形態では、浮遊物誘導システム100が振動発生装置2を1つ含む構成を説明するが、浮遊物誘導システム100は、振動発生装置2を複数含み得る。その場合、複数の振動発生装置2は、それぞれ、互いに異なる設置位置に設置され、互いに同じ周波数又は互いに異なる周波数の波を発生し得る。また、複数の振動発生装置2は、それぞれ、互いに同じ周波数又は異なる周波数の波を発生することにより、これらの波が重ね合わさった合成波を発生してもよい。
【0018】
例えば、浮遊物誘導システム100が振動発生装置2を複数含む場合、振動発生装置制御部14は、複数の振動発生装置2が、それぞれ、時間的に変化させた周波数の水面波を発生することにより、2つ以上の水面波が重ね合わさった合成波を発生するように、複数の振動発生装置2を制御する。
【0019】
振動発生装置2が発生した水面波は、水面上の浮遊物まで到達し、当該浮遊物を回収位置まで誘導する。振動発生装置2が発生した水面波が浮遊物を誘導する方向は、振動発生装置2の設置位置から離れていく方向、又は振動発生装置2の設置位置に近づいていく方向であり得る。回収位置に到達した浮遊物を、ユーザが回収してもよいし、浮遊物を吸引するなどの方法により回収する回収装置が回収してもよい。
【0020】
出力装置3は、設置位置決定部12が決定した振動発生装置2の設置位置を出力する。出力装置3の例として、ディスプレイ等が挙げられる。例えば、ユーザは、出力装置3が出力した振動発生装置2の設置位置を参照して、振動発生装置2を当該設置位置に設置する。
【0021】
次に、振動発生装置2のより詳細な構成について図を参照して説明する。
図2は、実施の形態1に係る浮遊物誘導
システム1
00が備えている振動発生装置2の構成を示す概略図である。
図2が示すように、振動発生装置2は、水面波を発生させる装置として、振動伝達板21及びスピーカ22を備えている。また、振動発生装置2は、振動発生部20及びフロート23を備えている。
【0022】
振動発生部20は、振動発生装置制御部14の指示に基づいて、振動決定部13が決定した周波数で振動伝達板21を振動させる。振動決定部13が振動発生装置2による振動の振幅をさらに決定した場合、振動発生部20は、振動発生装置制御部14の指示に基づいて、振動決定部13が決定した振幅で振動伝達板21を振動させてもよい。
振動伝達板21は、振動発生部20が発生した振動を水面に伝達することにより水面波を発生する。スピーカ22は、振動発生装置制御部14の指示に基づいて、振動決定部13が決定した周波数で振動板を振動することにより音波としての水面波を発生する。スピーカ22は、振動伝達板21では発生することができない高周波の水面波を発生し得る。振動決定部13が振動発生装置2による振動の振幅をさらに決定した場合、スピーカ22は、振動発生装置制御部14の指示に基づいて、振動決定部13が決定した振幅で振動板を振動することにより音波としての水面波を発生してもよい。
フロート23は、振動伝達板21及びスピーカ22を、水面に対する所定の高さ位置に維持するための浮力を発生させる。
なお、振動発生装置2の構成は、上記に限るものではなく、例えば、振動伝達板21又はスピーカ22の、いずれか一方のみを備えるものでもよく、また、フロート23を備えていないものでもよい。振動発生装置2が振動伝達板21を備えるものではない場合は、振動発生部20も不要である。
【0023】
振動発生装置制御部14は、水面波を発生させる装置を、振動伝達板21及びスピーカ22のうちの何れか1つの装置に切り替える。例えば、振動発生装置制御部14は、振動決定部13が決定した振動が振動伝達板21では発生することができない高周波の振動である場合、水面波を発生させる装置として、スピーカ22に切り替える。なお、当該構成とは異なり、振動発生装置制御部14は、水面波を発生させる装置として、振動伝達板21及びスピーカ22の両方の装置を制御してもよい。
【0024】
浮遊物誘導制御装置1における、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、振動決定部13、設置位置決定部12、及び振動発生装置制御部14のそれぞれの機能は、処理回路により実現される。当該処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0025】
図3Aは、浮遊物誘導制御装置1の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。
図3Bは、浮遊物誘導制御装置1の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。振動発生装置111は、振動発生装置2として機能する。出力装置112は、出力装置3として機能する。
【0026】
上記処理回路が
図3Aに示す専用のハードウェアの処理回路110である場合、処理回路110は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)又はこれらを組み合わせたものが該当する。
浮遊物誘導制御装置1における、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13及び振動発生装置制御部14のそれぞれの機能を別々の処理回路で実現してもよいし、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
【0027】
上記処理回路が
図3Bに示すプロセッサ113である場合、浮遊物誘導制御装置1における、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13及び振動発生装置制御部14のそれぞれの機能は、ソフトウェア、ファームウェア又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。
なお、ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ114に記憶される。
【0028】
プロセッサ113は、メモリ114に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、浮遊物誘導制御装置1における、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13及び振動発生装置制御部14のそれぞれの機能を実現する。
当該プログラムは、浮遊物誘導制御装置1における、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13及び振動発生装置制御部14の手順又は方法をコンピュータに実行させる。メモリ114は、コンピュータを、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13及び振動発生装置制御部14として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0029】
メモリ114には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically−EPROM)などの不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
【0030】
水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13及び振動発生装置制御部14のそれぞれの機能について一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現してもよい。
例えば、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11及び設置位置決定部12は、専用のハードウェアとしての処理回路で機能を実現する。振動決定部13及び振動発生装置制御部14については、プロセッサ113がメモリ114に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現してもよい。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせにより上記機能のそれぞれを実現することができる。
【0031】
次に、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1の動作について図面を参照して説明する。
図4は、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1による浮遊物誘導制御方法を示すフローチャートである。
図4が示す浮遊物誘導制御方法は、対象の浮遊物が水面に浮遊しており、当該対象の浮遊物を誘導するための振動発生装置2がまだ設置位置に設置されていない状況において、浮遊物誘導制御装置1によって実行される。
【0032】
図4が示すように、水面領域特定部10は、水面の領域を示すデータを取得し、当該データに基づき、水面の領域を特定する(ステップST1)。
次に、浮遊物情報取得部11は、浮遊物に関する浮遊物情報を取得する(ステップST2)。
【0033】
次に、設置位置決定部12は、水面領域特定部10が特定した水面の領域に基づいて、振動発生装置2の設置位置を決定する(ステップST3)。出力装置3は、設置位置決定部12が決定した振動発生装置2の設置位置を画像等で出力する。ユーザは、当該設置位置に振動発生装置2を設置する。
次に、振動決定部13は、水面を振動させることにより水面波を発生する振動発生装置2による振動の周波数を、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物情報に基づいて決定する(ステップST4)。
【0034】
次に、振動発生装置制御部14は、振動発生装置2が、振動決定部13が決定した周波数で振動するように、振動発生装置2を制御する(ステップST5)。振動発生装置2は、振動発生装置制御部14の指示に基づいて、振動決定部13が決定した周波数で振動することにより水面波を発生する。振動発生装置2が発生した水面波は、水面上の浮遊物の位置に到達し、当該浮遊物を回収位置まで誘導する。
【0035】
次に、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1による浮遊物誘導制御方法の具体例について図面を参照して説明する。
図5A及び
図5Bは、それぞれ、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1による浮遊物誘導制御方法の第1の具体例を説明するための概略図である。
図5Aは、池
Aの水面の領
域全体の図を示し、
図5Bは、浮遊物誘導制御装置1及び振動発生装置2が設置されている設置位置C1又は設置位置C2の周辺を示す図である。
【0036】
上述のステップST1において、水面領域特定部10は、池の水面の領域Aを示すデータを取得し、当該データに基づき、池
Aの水面の領
域を特定する。次に、上述のステップST2において、浮遊物情報取得部11は、浮遊物Bに関する浮遊物情報を取得する。
【0037】
次に、上述のステップST3において、設置位置決定部12は、水面領域特定部10が特定した池
Aの水面の領
域に基づいて、振動発生装置2の設置位置C1及び設置位置C2を決定する。出力装置3は、設置位置決定部12が決定した振動発生装置2の設置位置C1及び設置位置C2を画像等で出力する。ユーザは、設置位置C
1と設置位置C2と
の岸にそれぞれ振動発生装置2を設置する。
【0038】
次に、上述のステップST4において、振動決定部13は、設置位置C
1に設置された振動発生装置2による振動の周波数と、設置位置C
2に設置された振動発生装置2による振動の周波数とを、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物Bに関する浮遊物情報に基づいて決定する。
【0039】
次に、上述のステップST5において、振動発生装置制御部14は、2つの振動発生装置2が、それぞれ、振動決定部13が決定した振動の周波数で振動するように、2つの振動発生装置2を制御する。2つの振動発生装置2は、それぞれ、振動発生装置制御部14の指示に基づき、振動決定部13が決定した振動の周波数で振動することにより、水面波を発生する。これにより発生した2つの水面波は、重なり合うことにより合成波としての水面波Eを発生し、浮遊物Bを、移動経路Fに沿って回収位置Dに誘導する。
【0040】
次に、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1による浮遊物誘導制御方法の第2の具体例について図面を参照して説明する。
図6A、
図6B及び
図6Cは、それぞれ、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1による浮遊物誘導制御方法の第2の具体例を説明するための概略図である。
図6A、
図6B及び
図6Cにおける船Gは、図示しない振動発生装置2が設置された船である。また、
図6A、
図6B及び
図6Cにおける船Hは、浮遊物を回収するための船である。
図6Aが示すように、点線で示された船Gと点線で示された船Hとは、それぞれ、黒塗りで示された船G及び船Hの位置まで移動する。
図6Aに示した船Gと船Hの移動中、
図6Bが示すように、船Gに設置された振動発生装置2が発生した水面波Jが浮遊物Iを誘導し、
図6Cが示すように、船Hが浮遊物Iを回収する。なお、第2の具体例では
、浮遊物誘導制御装置1は、上述のステップST1及びステップST3をいずれも実行しない。すなわち、第2の具体例における浮遊物誘導制御装置1は、水面領域特定部10又は設置位置決定部12の一方又は両方を備えていなくてもよい。
【0041】
第2の具体例についてより詳細には、上述のステップST2において、浮遊物情報取得部11は、浮遊物Iに関する浮遊物情報を取得する。浮遊物Iの例として、海上に浮遊するオイル等が挙げられる。
次に、上述のステップST4において、振動決定部13は、船Gに設置された振動発生装置2による振動の周波数を、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物Iに関する浮遊物情報に基づいて決定する。
【0042】
次に、上述のステップST5において、振動発生装置制御部14は、船Gに設置された振動発生装置2が、振動決定部13が決定した振動の周波数で振動するように、振動発生装置2を制御する。振動発生装置2は、振動発生装置制御部14の指示に基づき、振動決定部13が決定した振動の周波数で振動することにより、水面波Jを発生し、浮遊物Iを船Hに誘導する。
【0043】
次に、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1による浮遊物誘導制御方法の第3の具体例について図面を参照して説明する。
図7A及び
図7Bは、それぞれ、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1による浮遊物誘導制御方法の第3の具体例を説明するための概略図である。
図7Aは、水が入れられたプラスチックケースKを側面側からみた側面図である。
図7Bは、水が入れられたプラスチックケースKを上面側からみた上面図である。
図7A及び
図7Bが示すように、浮遊物であるスポンジLと浮遊物であるプラスチックのチップMとがプラスチックケースK内の水面上で浮遊している。振動発生装置30は、上述の振動発生装置2と比較して、振動伝達板21及びフロート23を備えておらず、上述の振動発生装置2のスピーカ22のみから構成される。また、振動発生装置30は、図示しない浮遊物誘導制御装置1に接続されている。
【0044】
まず、上述のステップST1において、水面領域特定部10は、プラスチックケースK内の水面の領域Nを示すデータを取得し、当該データに基づき、プラスチックケースK内の水面の領域Nを特定する。次に、上述のステップST2において、浮遊物情報取得部11は、スポンジLに関する浮遊物情報を取得する。
【0045】
次に、上述のステップST3において、設置位置決定部12は、水面領域特定部10が特定したプラスチックケースK内の水面の領域Nに基づいて、振動発生装置30の設置位置Oを決定する。出力装置3は、設置位置決定部12が決定した振動発生装置30の設置位置Oを画像等で出力する。ユーザは、設置位置Oに振動発生装置30を設置する。
【0046】
次に、上述のステップST4において、振動決定部13は、浮遊物情報取得部11が取得したスポンジLに関する浮遊物情報と、水面領域特定部10が特定した領域Nと、設置位置決定部12が決定した設置位置Oとに基づいて、振動発生装置30による振動の周波数を決定する。より詳細には、振動決定部13は、水面領域特定部10が特定した領域Nと、設置位置決定部12が決定した設置位置Oとに基づいて、プラスチックケースKの側面Pにおいて反射波が発生することを予測する。次に、振動決定部13は、振動発生装置30が発生する水面波と、側面Pにおける反射波とを重ね合わせた合成波を予測し、当該合成波が、浮遊物情報が示すスポンジLを誘導するのに適した波となるように、振動発生装置30による振動の周波数を決定する。
【0047】
次に、上述のステップST5において、振動発生装置制御部14は、振動発生装置30が、振動決定部13が決定した振動の周波数で振動するように、振動発生装置
30を制御する。振動発生装置30は、振動発生装置制御部14の指示に基づき、振動決定部13が決定した振動の周波数で振動することにより、水面波を発生し、スポンジLを、回収位置である側面P近傍に誘導する。なお、この際、プラスチックのチップMは、振動発生装置30が発生した水面波によって移動しない。
【0048】
次に、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1による浮遊物誘導制御方法の第3の具体例の実施例について図面を参照して説明する。まず、
図8A、
図8B及び
図8Cは、それぞれ、上述の第3の具体例における浮遊物誘導制御装置1が上述の浮遊物誘導制御方法を行わなかった場合の比較例を説明するための図である。この比較例では、水面の領域を特定する処理、浮遊物情報を取得する処理、振動発生装置
30の設置位置を決定する処理、又は、振動の周波数を決定する処理のいずれの処理も行わず、設置位置Oに設置された振動発生装置30を単に周波数1000Hzで振動するように振動発生装置30を制御している。
図8Aは、振動発生装置30が振動を開始してから0秒後のスポンジL及びプラスチックのチップMの状態を示す図である。
図8Bは、振動発生装置30が振動を開始してから5秒後のスポンジL及びプラスチックのチップMの状態を示す図である。
図8Cは、振動発生装置30が振動を開始してから10秒後のスポンジL及びプラスチックのチップMの状態を示す図である。
図8A、
図8B及び
図8Cが示すように、スポンジL及びプラスチックのチップMは、いずれも、振動発生装置30の周波数1000Hzの振動による水面波では移動しなかった。
【0049】
図9A、
図9B及び
図9Cは、それぞれ、上述の第3の具体例における振動決定部13が振動発生装置30による振動の周波数として100Hzを決定し、振動発生装置30が周波数100Hzで振動するように振動発生装置30を制御した場合の実施例を説明するための図である。
図9Aは、振動発生装置30が振動を開始してから0秒後のスポンジL及びプラスチックのチップMの状態を示す図である。
図9Bは、振動発生装置30が振動を開始してから5秒後のスポンジL及びプラスチックのチップMの状態を示す図である。
図9Cは、振動発生装置30が振動を開始してから10秒後のスポンジL及びプラスチックのチップMの状態を示す図である。
図9A、
図9B及び
図9Cが示すように、スポンジLは、振動発生装置30の周波数100Hzの振動による水面波によって移動した。なお、この際、プラスチックのチップMは、振動発生装置30の周波数100Hzの振動による水面波によって移動しなかった。
【0050】
以上のように、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1は、水面上の浮遊物に関する浮遊物情報を取得する浮遊物情報取得部11と、水面を振動させることにより水面波を発生する振動発生装置2による振動の周波数を、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物情報に基づいて決定する振動決定部13と、振動発生装置2が、振動決定部13が決定した周波数で振動するように、振動発生装置2を制御する振動発生装置制御部14と、を備えている。
【0051】
上記の構成によれば、浮遊物情報に基づいて、浮遊物を誘導するのに適した周波数で振動発生装置2を振動させることができる。これにより発生した水面波によって浮遊物を回収位置まで誘導することができる。よって、人又は装置を水面上の浮遊物の近傍まで移動させることなく、水面上の浮遊物を回収することができる。
【0052】
また、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1は、水面の領域を特定する水面領域特定部10をさらに備えている。
上記の構成によれば、特定された水面の領域に基づいて、振動発生装置2の設置位置を決定した場合、振動発生装置2の設置位置を適切に決定することができる。また、振動決定部13が振動の周波数を決定する際に必要に応じて当該水面の領域を参照することにより反射波を予測することができるため当該反射波の発生を踏まえた上で振動の周波数を適切に決定することができる。
【0053】
また、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1は、水面領域特定部10が特定した水面の領域に基づいて、振動発生装置2の設置位置を決定する設置位置決定部12をさらに備えている。
上記の構成によれば、特定された水面の領域に基づいて、振動発生装置2の設置位置を適切に決定することができる。また、振動決定部13が振動の周波数を決定する際に必要に応じて当該設置位置に基づいて発生する水面波又は反射波を予測することができる。これにより、振動の周波数を適切に決定することができる。
【0054】
また、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1は、振動発生装置2は、水面波を発生させる装置として、振動伝達板21及びスピーカ22を備え、振動発生装置制御部14は、水面波を発生させる装置を、振動伝達板21及びスピーカ22のうちの何れか1つの装置に切り替える。
上記の構成によれば、振動伝達板21及びスピーカ22の一方が発生することができない周波数の振動を発生する必要がある場合、水面波を発生させる装置として、振動伝達板21及びスピーカ22の他方に切り替えることができる。これにより、振動発生装置2が振動伝達板21及びスピーカ22の何れか1つしか備えていない場合よりも、種々の浮遊物に対応した水面波を発生することができる。
【0055】
また、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1は、振動発生装置制御部14は、振動発生装置2が発生する振動の周波数が時間的に変化するように、振動発生装置2を制御する。
上記の構成によれば、周波数が時間的に変化する水面波を発生することができる。これにより、振動の周波数を時間的に変化させない場合よりも、種々の浮遊物に対応した水面波、又は浮遊物の位置に応じた水面波を発生することができる。
【0056】
実施の形態2.
実施の形態1では、浮遊物誘導制御装置1の振動決定部13が浮遊物情報に基づいて振動発生装置2による振動の周波数を決定する構成を説明した。しかし、当該振動によって発生する水面波は、水深、水温及び気圧等の水面の環境によって変化し得る。そこで、実施の形態2では、水面に浮かべた測定装置5が水面の環境に関する環境情報を取得する。浮遊物誘導制御装置40は、振動決定部13が当該環境情報にさらに基づいて水面において発生する水面波のシミュレーションを行うことにより振動発生装置2による振動の周波数を決定する。
以下で、実施の形態2について図面を参照して説明する。なお、実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
図10は、実施の形態2に係る浮遊物誘導制御装置40を含む浮遊物誘導システム101の構成を示すブロック図である。
図10が示すように、浮遊物誘導システム101は、実施の形態1に係る浮遊物誘導システム100の構成に加えて、通信装置4及び測定装置5を含む。また、
図10が示すように、浮遊物誘導制御装置40は、実施の形態1に係る浮遊物誘導制御装置1の構成に加えて、環境情報取得部41をさらに備えている。
【0058】
測定装置5は、ブイ等により水面上に浮かんだ状態で水面の環境を測定する機能を有する。測定装置5は、水面の環境を測定することにより、水面の環境に関する環境情報を取得する。測定装置5の例として、水深を測定する超音波センサ、水温を測定する温度センサ、又は気圧を測定する気圧センサ等が挙げられる。環境情報の例として、水深、水温、及び気圧が挙げられる。また、測定装置5は、測定装置5の水面上の位置を測定することにより、測定装置5の水面上の位置に関する位置情報を取得する。測定装置5は取得した環境情報及び位置情報を通信装置4に送信する。なお、本実施形態では、測定装置5は、浮遊物誘導制御装置40が後述する測定装置誘導制御方法を実行する前は、浮遊物の近傍に位置していないものとする。
【0059】
通信装置4は、測定装置5から環境情報及び位置情報を受信し、環境情報取得部41に出力する。
環境情報取得部41は、通信装置4から環境情報及び位置情報を取得し、振動決定部13に出力する。
【0060】
実施の形態2に係る振動決定部13は、環境情報取得部41が取得した位置情報に基づいて、測定装置5の水面上の移動方向を算出し、当該移動方向に基づいて、測定装置5が特定の位置に向かって移動しているか否かを判定する。当該特定の位置は、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物情報が示す浮遊物の水面上の位置であり得る。振動決定部13は、測定装置5が特定の位置に向かって移動していないと判定した場合、振動発生装置2による振動の周波数を変更する。振動決定部13は、測定装置5が特定の位置に向かって移動していないと判定した場合、環境情報取得部41が取得した環境情報に基づいて、振動発生装置2による振動の周波数を変更してもよい。
【0061】
また、振動決定部13は、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物情報と、環境情報取得部41が取得した環境情報とに基づいて、水面において発生する水面波のシミュレーションを行うことにより、振動発生装置2による振動の周波数を決定する。振動決定部13は、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物情報と、環境情報取得部41が取得した環境情報とに基づいて、水面において発生する水面波のシミュレーションを行うことにより、振動発生装置2による振動の振幅をさらに決定してもよい。振動決定部13は、水面領域特定部10が特定した水面の領域にさらに基づいて、水面において発生する水面波のシミュレーションを行うことにより、振動発生装置2による振動の周波数を決定してもよい。より詳細には、例えば、振動決定部13は、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物情報に基づいて、浮遊物が存在する水面上の位置において浮遊物を誘導する水面波の周波数及び振幅を決定する。次に、振動決定部13は、シミュレーションにおいて当該水面上の位置で当該周波数及び当該振幅の水面波が発生するように、水面領域特定部10が特定した水面の領域と、環境情報取得部41が取得した環境情報とに基づいて、シミュレーションにおける振動の周波数及び振幅と振動の発生位置とを設定する。次に、振動決定部13は、当該シミュレーションにおいて設定した振動の周波数及び振幅を、振動発生装置2による振動の周波数及び振幅に決定する。設置位置決定部12は、振動決定部13がシミュレーションにおいて設定した振動の発生位置を振動発生装置2の設置位置に決定する。
【0062】
浮遊物誘導制御装置40における、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、振動決定部13、設置位置決定部12、振動発生装置制御部14、及び環境情報取得部41のそれぞれの機能は、処理回路により実現される。当該処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0063】
図11Aは、浮遊物誘導制御装置40の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。
図11Bは、浮遊物誘導制御装置40の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。振動発生装置111は、振動発生装置2として機能する。出力装置112は、出力装置3として機能する。通信装置116は、通信装置4として機能する。
【0064】
上記処理回路が
図11Aに示す専用のハードウェアの処理回路115である場合、処理回路115は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)又はこれらを組み合わせたものが該当する。
浮遊物誘導制御装置40における、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13、振動発生装置制御部14及び環境情報取得部41のそれぞれの機能を別々の処理回路で実現してもよいし、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
【0065】
上記処理回路が
図11Bに示すプロセッサ117である場合、浮遊物誘導制御装置40における、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13、振動発生装置制御部14及び環境情報取得部41のそれぞれの機能は、ソフトウェア、ファームウェア又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。
なお、ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ118に記憶される。
【0066】
プロセッサ117は、メモリ118に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、浮遊物誘導制御装置40における、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13、振動発生装置制御部14及び環境情報取得部41のそれぞれの機能を実現する。
当該プログラムは、浮遊物誘導制御装置40における、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13、振動発生装置制御部14及び環境情報取得部41の手順又は方法をコンピュータに実行させる。メモリ118は、コンピュータを、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13、振動発生装置制御部14及び環境情報取得部41として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0067】
メモリ118には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically−EPROM)などの不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
【0068】
水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11、設置位置決定部12、振動決定部13、振動発生装置制御部14及び環境情報取得部41のそれぞれの機能について一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現してもよい。
例えば、水面領域特定部10、浮遊物情報取得部11及び設置位置決定部12は、専用のハードウェアとしての処理回路で機能を実現する。振動決定部13、振動発生装置制御部14及び環境情報取得部41については、プロセッサ117がメモリ118に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現してもよい。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせにより上記機能のそれぞれを実現することができる。
【0069】
次に、実施の形態2に係る浮遊物誘導制御装置40の動作について図面を参照して説明する。まず、浮遊物誘導制御装置40による測定装置誘導制御方法について説明する。
図12は、実施の形態2に係る浮遊物誘導制御装置40による測定装置誘導制御方法を示すフローチャートである。なお、浮遊物誘導制御装置40が測定装置誘導制御方法を実行する前に、ユーザが測定装置5を水面に投入したものとする。また、振動発生装置2は、水面の領域を囲む岸等の外縁における任意の位置に設置されているものとする。
【0070】
図12が示すように、まず、振動発生装置制御部14は、振動発生装置2が、振動決定部13が決定した周波数で振動するように、振動発生装置2を制御する(ステップST10)。浮遊物誘導制御装置40が測定装置誘導制御方法を開始してから最初にステップST10を実行する場合、ステップST10における振動決定部13が決定した周波数は、任意の周波数である。振動発生装置2は、振動発生装置制御部14の指示に基づいて振動することにより、水面波を発生する。当該水面波は、水面上の測定装置5まで到達する。測定装置5は、水面上において、水面の環境を測定することにより、環境情報を取得する。測定装置5は、水面上において、測定装置5の水面上の位置を測定することにより、位置情報をさらに取得する。測定装置5は取得した環境情報及び位置情報を通信装置4に送信し、通信装置4は、受信した環境情報及び位置情報を環境情報取得部41に出力する。
【0071】
次に、環境情報取得部41は、通信装置4から、水面の環境に関する環境情報と、測定装置5の水面上の位置に関する位置情報とを取得する(ステップST11)。環境情報取得部41は、当該環境情報及び当該位置情報を振動決定部13に出力する。
次に、振動決定部13は、環境情報取得部41が取得した位置情報に基づいて、測定装置5の水面上の移動方向を算出する(ステップST12)。
次に、振動決定部13は、算出した移動方向に基づいて、測定装置5が特定の位置に向かって移動しているか否かを判定する(ステップST13)。振動決定部13は、測定装置5が特定の位置に向かって移動していると判定した場合(ステップST13のYES)、処理を終了する。
【0072】
振動決定部13は、ステップST13において測定装置5が特定の位置に向かって移動していないと判定した場合(ステップST13のNO)、振動発生装置2による振動の周波数を変更する(ステップST14)。浮遊物誘導制御装置40は、ステップST10の処理に戻り、ステップST10において、振動発生装置制御部14は、振動発生装置2が、振動決定部13が変更した周波数で振動するように、振動発生装置2を制御する。
【0073】
次に、実施の形態2に係る浮遊物誘導制御装置40による浮遊物誘導制御方法について説明する。
図13は、実施の形態2に係る浮遊物誘導制御装置40による浮遊物誘導制御方法を示すフローチャートである。なお、浮遊物誘導制御装置40が浮遊物誘導制御方法を実行する前に、上述の測定装置誘導制御方法を行っており、測定装置5が浮遊物の近傍に位置しているものとする。測定装置5は、浮遊物近傍の水面上において、水面の環境を新たに測定することにより、環境情報を新たに取得する。測定装置5は取得した環境情報を通信装置4に送信し、通信装置4は、受信した環境情報を環境情報取得部41に出力する。
【0074】
図13が示すように、まず、水面領域特定部10は、水面の領域を示すデータを取得し、当該データに基づき、水面の領域を特定する(ステップST20)。
次に、浮遊物情報取得部11は、浮遊物に関する浮遊物情報を取得する(ステップST21)。
【0075】
次に、環境情報取得部41は、通信装置4から環境情報を取得する(ステップST22)。環境情報取得部41は、取得した環境情報を振動決定部13に出力する。
次に、振動決定部13は、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物情報と、環境情報取得部41が取得した環境情報とに基づいて、水面において発生する水面波のシミュレーションを行うことにより、振動発生装置2による振動の周波数を決定する(ステップST23)。
【0076】
次に、設置位置決定部12は、振動決定部13がシミュレーションにおいて設定した振動の発生位置を振動発生装置2の設置位置に決定する(ステップST24)。出力装置3は、設置位置決定部12が決定した振動発生装置2の設置位置を画像等で出力する。ユーザは、当該設置位置に振動発生装置2を設置する。
次に、振動発生装置制御部14は、振動発生装置2が、振動決定部13が決定した周波数で振動するように、振動発生装置2を制御する(ステップST25)。振動発生装置2は、振動発生装置制御部14の指示に基づいて、振動決定部13が決定した周波数で振動することにより水面波を発生する。振動発生装置2が発生した水面波は、水面上の浮遊物の位置に到達し、当該浮遊物を回収位置まで誘導する。
【0077】
次に、実施の形態2に係る浮遊物誘導制御装置40による測定装置誘導制御方法及び浮遊物誘導制御方法の具体例について図面を参照して説明する。
図14は、実施の形態2に係る浮遊物誘導制御装置40による測定装置誘導制御方法及び浮遊物誘導制御方法の具体例を説明するための概略図である。なお、浮遊物誘導制御装置40が測定装置誘導制御方法を実行する前に、ユーザが測定装置5を池Qの水面に投入したものとする。また、振動発生装置2は、水面の領域を囲む岸等の外縁における任意の位置に予め設置されているものとする。そのため、浮遊物誘導制御装置40は、上述のステップST24における振動発生装置2の設置位置の決定を行わないものとする。
【0078】
上述のステップST10において、振動発生装置制御部14は、設置位置Rに設置された振動発生装置2が、任意の周波数で振動するように、振動発生装置2を制御する。設置位置Rに設置された振動発生装置2は、振動発生装置制御部14の指示に基づいて振動することにより、水面波Sを発生する。
【0079】
次に、上述のステップST11において、環境情報取得部41は、通信装置4を介して測定装置5から、水面の環境に関する環境情報と、測定装置5の水面上の位置に関する位置情報とを取得する。環境情報取得部41は、当該環境情報及び当該位置情報を振動決定部13に出力する。
次に、上述のステップST12において、振動決定部13は、環境情報取得部41が取得した位置情報に基づいて、測定装置5の水面上の移動方向Tを算出する。
【0080】
次に、上述のステップST13において、振動決定部13は、算出した移動方向Tに基づいて、測定装置5が特定の位置に向かって移動していないと判定し、上述のステップST14において、振動発生装置2による振動の周波数を変更する。浮遊物誘導制御装置40は、ステップST10の処理に戻り、ステップST10において、振動発生装置制御部14は、振動発生装置2が、振動決定部13が変更した周波数で振動するように、振動発生装置2を制御する。振動発生装置2は、振動発生装置制御部14の指示に基づいて振動することにより、水面波Sとは異なる水面波を発生する。当該水面波は、測定装置5を移動方向Uに沿って浮遊物Vの水面上の位置まで誘導する。
【0081】
測定装置5は、浮遊物V近傍の水面上において、水面の環境を新たに測定することにより、環境情報を新たに取得する。測定装置5は取得した環境情報を通信装置4に送信し、通信装置4は、受信した環境情報を環境情報取得部41に出力する。
【0082】
次に、上述のステップST11において、環境情報取得部41は、通信装置4を介して測定装置5から、水面の環境に関する環境情報と、測定装置5の水面上の位置に関する位置情報とを新たに取得する。次に、上述のステップST12において、振動決定部13は、環境情報取得部41が取得した位置情報に基づいて、測定装置5の水面上の移動方向Uを算出する。次に、上述のステップST13において、振動決定部13は、算出した移動方向Uに基づいて、測定装置5が特定の位置に向かって移動していると判定し、浮遊物誘導制御装置40は、測定装置誘導制御方法の処理を終了する。
【0083】
次に、上述のステップST20において、水面領域特定部10は、水面の領域を示すデータを取得し、当該データに基づき、池Qの水面の領域を特定する。次に、上述のステップST21において、浮遊物情報取得部11は、浮遊物Vに関する浮遊物情報を取得する。次に、上述のステップST22において、環境情報取得部41は、通信装置4を介して浮遊物V近傍の水面上に浮かぶ測定装置5から環境情報を取得する。環境情報取得部41は、取得した環境情報を振動決定部13に出力する。
【0084】
次に、上述のステップST23において、振動決定部13は、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物情報と、環境情報取得部41が取得した環境情報とに基づいて、池Qの水面において発生する水面波のシミュレーションを行うことにより、振動発生装置2による振動の周波数を決定する。次に、ステップST25において、振動発生装置制御部14は、振動発生装置2が、振動決定部13が決定した振動の周波数で振動するように、振動発生装置2を制御する。振動発生装置2は、振動発生装置制御部14の指示に基づき、振動決定部13が決定した振動の周波数で振動することにより、水面波を発生する。これにより発生した水面波は、浮遊物Vを、移動経路Wに沿って回収位置Xに誘導する。
【0085】
以上のように、実施の形態2に係る浮遊物誘導制御装置40は、振動決定部13は、浮遊物情報取得部11が取得した浮遊物情報に基づいて、水面において発生する水面波のシミュレーションを行うことにより、振動発生装置2による振動の周波数を決定する。
振動発生装置2の振動によって発生した水面波は、浮遊物に到達したときには環境の影響によって変化又は減衰等してしまう。しかし、上記の構成によれば、浮遊物に到達する水面波をシミュレーションで予測することができるため、浮遊物に到達した水面波が浮遊物を誘導できる振動数又は振幅等を有するように、振動発生装置2による振動の周波数を適切に決定することができる。
【0086】
また、実施の形態2に係る浮遊物誘導制御装置40は、水面の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部41をさらに備え、振動決定部13は、環境情報取得部41が取得した環境情報にさらに基づいて、水面において発生する水面波のシミュレーションを行うことにより、振動発生装置2による振動の周波数を決定する。
振動発生装置2の振動によって発生した水面波は、水深、水温及び気圧等の水面の環境によって変化し得る。しかし、上記の構成によれば、これらの水面の環境に関する環境情報に基づいて、浮遊物に到達する水面波をシミュレーションで予測することができるため、浮遊物に到達した水面波が浮遊物を誘導できる振動数又は振幅等を有するように、振動発生装置2による振動の周波数を適切に決定することができる。
【0087】
また、実施の形態2に係る浮遊物誘導制御装置40は、環境情報取得部41は、水面の環境を測定することにより環境情報を取得した測定装置5の位置に関する位置情報をさらに取得し、振動決定部13は、環境情報取得部41が取得した位置情報に基づいて、測定装置5が特定の位置に向かって移動していないと判定した場合、振動発生装置2による振動の周波数を変更する。
上記の構成によれば、測定装置5を浮遊物近傍などの特定の位置に誘導する際に、測定装置5が特定の位置に向かって移動していない場合に、振動発生装置2による振動の周波数を変更することにより、測定装置5を特定の位置に向かって移動するように誘導することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。