(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平板の電気配線であり、第1の方向に周回している第1の周回配線部と、前記第1の方向と反対の方向である第2の方向に周回している第2の周回配線部と、前記第1の周回配線部と前記第2の周回配線部とを結んでいる第1の結合配線部とを有する第1のバスバーと、
前記第1の結合配線部と一端が接続されている第1の引き出し導体と、
前記第1の引き出し導体の他端と一端が接続され、グラウンドと他端が接続されている第1のコンデンサと、
中心部分に開口部を有しており、前記開口部に前記第1の結合配線部が通るように配置されている磁性体コアとを
備えたノイズフィルタ。
前記第1のバスバーと同一形状の平板の電気配線であり、前記第1の方向に周回している第3の周回配線部と、前記第2の方向に周回している第4の周回配線部と、前記第3の周回配線部と前記第4の周回配線部とを結んでいる第2の結合配線部とを有する第2のバスバーと、
前記第2の結合配線部と一端が接続されている第2の引き出し導体と、
前記第2の引き出し導体の他端と一端が接続され、グラウンドと他端が接続されている第2のコンデンサとを備え、
前記第1のバスバーと前記第2のバスバーとは、電気的な絶縁を保った状態で、平行に配置されており、
前記磁性体コアは、前記開口部に前記第1の結合配線部及び前記第2の結合配線部のそれぞれが通るように配置されていることを特徴とする請求項1記載のノイズフィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るノイズフィルタ1を備えている電源装置を示す構成図である。
電源装置は、例えば、モータ駆動用のインバータ装置のように、大電流を扱うパワエレ機器である。ただし、電源装置は、モータ駆動用のインバータ装置に限るものではなく、例えば、スイッチングレギュレータ等のDC−DCコンバータであってもよい。
電源装置は、電源ラインとして、第1のバスバー11を用いており、第1のバスバー11には、ノイズフィルタ1が挿入されている。
ノイズフィルタ1は、第1のバスバー11を伝搬する電磁ノイズを抑制するために、第1のバスバー11に挿入されており、ノイズフィルタ1は、第1のバスバー11の一部を含んでいる。
【0011】
図2は、実施の形態1に係るノイズフィルタ1を示す斜視図である。
図3は、
図2に示すノイズフィルタ1を+Z方向から見た上面図である。
図4は、
図3に示すA
1−A
2断面を−Y方向から見た断面図である。
図5は、
図2に示すノイズフィルタ1を+X方向から見たYZ面図である。
図6Aは、
図2に示すノイズフィルタ1における磁性体コア18の構造を示す斜視図である。
図6Bは、
図2に示すノイズフィルタ1における第1のバスバー11の構造を示す斜視図である。
【0012】
図2から
図6において、ノイズフィルタ1は、X軸、Y軸及びZ軸で定義される3次元空間の、X軸とY軸を含む平面と平行な任意の平面に設置されている。以下、任意の平面をXY面と称する。
また、X軸と平行な方向をX方向と称し、Y軸と平行な方向をY方向と称し、Z軸と平行な方向をZ方向と称する。
Z方向は、プリント基板13の表面に対する法線と平行な方向である。
X方向は、プリント基板13の表面と平行な方向である。Y方向は、プリント基板13の表面と平行な方向であり、かつ、X方向と直交する方向である。
第1のバスバー11は、XY面に設置されている。
第1のバスバー11は、平板の電気配線であり、第1のバスバー11の一端は、例えば、電源における電圧出力端子と接続されているコネクタと接続されており、第1のバスバー11の他端は、例えば、モータ駆動用の回路と接続されている。
第1のバスバー11は、第1の方向に周回している第1の周回配線部11aと、第1の方向と反対の方向である第2の方向に周回している第2の周回配線部11bとを有している。
第1の方向は、
図3に示すように、+Z方向から第1のバスバー11を見たときに、コネクタと接続されている側を起点として、時計回りの方向である。第2の方向は、
図3に示すように、+Z方向から第1のバスバー11を見たときに、コネクタと接続されている側を起点として、反時計回りの方向である。
また、第1のバスバー11は、第1の周回配線部11aと第2の周回配線部11bとを結んでいる第1の結合配線部11cとを有している。
図2に示すノイズフィルタ1では、第1の周回配線部11aと第2の周回配線部11bと第1の結合配線部11cとが一体的に形成されている。
図2に示すノイズフィルタ1では、第1の方向が、時計回りの方向であり、第2の方向が、反時計回りの方向であるとしている。しかし、これは一例に過ぎず、第1の方向が、反時計回りの方向であり、第2の方向が、時計回りの方向であるとしてもよい。つまり、第1のバスバー11が、反時計回りに周回している第1の周回配線部11aと、時計回りに周回している第2の周回配線部11bとを有していてもよい。
【0013】
第1の引き出し導体12は、平板の電気配線であり、第1の引き出し導体12の一端は、第1の結合配線部11cと接続されており、第1の引き出し導体12の他端は、プリント基板13に施されている配線パターン13bと接続されている。
【0014】
プリント基板13は、XY面に設置されている。
プリント基板13には、第1のコンデンサ14が実装されている。
絶縁体13aは、プリント基板13の絶縁層である。
配線パターン13bは、導電性の電気配線であり、第1の引き出し導体12の他端及び第1のコンデンサ14の一端のそれぞれと接続されている。
グラウンドパターン13cは、導電性の電気配線であり、第1のコンデンサ14の他端と接続されている。
【0015】
第1のコンデンサ14の一端は、配線パターン13bを介して、第1の引き出し導体12の他端と接続されている。
第1のコンデンサ14の他端は、グラウンドパターン13cと接続されている。
【0016】
ネジ15は、導電性の部材で形成されている。
ネジ15は、プリント基板13に施されているグラウンドパターン13cとスペーサ16とを電気的に接続するために、プリント基板13をスペーサ16に固定している。
スペーサ16は、導電性の部材で形成されている。
スペーサ16は、筺体17に固定されており、グラウンドパターン13c及び筺体17のそれぞれと電気的に接続されている。
筺体17は、導電性の部材で形成されており、図示せぬグラウンドと接続されている。
【0017】
磁性体コア18は、磁性体材料で形成されており、中心部分に開口部18dを有している。
磁性体コア18は、開口部18dに第1の結合配線部11cが通るように配置されている。
磁性体コア18は、第1のコア18a、第2のコア18b及び第3のコア18cを備えている。
【0018】
第1のコア18aは、磁性体材料が三方枠状に成形されているものである。
図6Aに示すとおり、第1のコア18aの一端18a
1は、第2のコア18bの一端18b
1及び第3のコア18cの一端18c
1のそれぞれと接続されている。また、第1のコア18aの他端18a
2は、第2のコア18bの他端18b
2及び第3のコア18cの他端18c
2のそれぞれと接続されている。
第2のコア18bは、磁性体材料が角柱状に成形されているものである。
第2のコア18bの一端18b
1は、第1のコア18aの一端18a
1と接続されており、第2のコア18bの他端18b
2は、第1のコア18aの他端18a
2と接続されている。
第3のコア18cは、磁性体材料が角柱状に成形されているものである。
第3のコア18cの一端18c
1は、第1のコア18aの一端18a
1と接続されており、第3のコア18cの他端18c
2は、第1のコア18aの他端18a
2と接続されている。
開口部18dは、第1のコア18a、第2のコア18b及び第3のコア18cによって囲われている空間であり、第1の結合配線部11cが挿入される。
【0019】
図7は、
図2に示すノイズフィルタ1における第1の引き出し導体12の製造工程を示す説明図である。
板金の打ち抜き又はプレス等によって、
図7に示すような平面形状を有する、第1のバスバー11及び第1の引き出し導体12が、一体的に形成される。
折り曲げ箇所19は、第1のバスバー11及び第1の引き出し導体12が一体的に形成されたのち、第1の引き出し導体12が折り曲げられる位置を示している。
折り曲げ箇所19で、第1の引き出し導体12が折り曲げられることで、
図6Bに示すような形状を有する、第1のバスバー11及び第1の引き出し導体12が作られる。
【0020】
ノイズフィルタ1の組立時には、
図6Bに示す第1のバスバー11の第1の結合配線部11cが、磁性体コア18の開口部18dに位置するように、例えば、第1のバスバー11の+Z方向から、第1のコア18aを−Z方向に降ろしていく。
次に、例えば、第1のバスバー11の−Y方向から、第2のコア18bを、+Y方向に移動させる。そして、第2のコア18bの一端18b
1が、第1のコア18aの一端18a
1と接触し、第2のコア18bの他端18b
2が、第1のコア18aの他端18a
2と接触する位置で、第2のコア18bを第1のコア18aに固定する。
次に、例えば、第1のバスバー11の−Y方向から、第3のコア18cを、+Y方向に移動させる。そして、第3のコア18cの一端18c
1が、第1のコア18aの一端18a
1と接触し、第3のコア18cの他端18c
2が、第1のコア18aの他端18a
2と接触する位置で、第3のコア18cを第1のコア18aに固定する。
このとき、
図3に示すA
1−A
2断面では、
図4に示すように、第2のコア18bが、第1の引き出し導体12の図中左側に位置し、第3のコア18cが、第1の引き出し導体12の図中右側に位置している。
【0021】
次に、
図2に示すノイズフィルタ1の動作について説明する。
図8Aは、第1のバスバー11を流れるノイズ電流I
noiseを示す説明図である。
図8Bは、第1のバスバー11を流れるノイズ電流I
noiseによって発生する磁束Φ
a,Φ
bを示す説明図である。
第1のバスバー11における第1の周回配線部11aは、時計回りに周回しており、
図9に示すように、リアクトルL
1を形成している。
第1のバスバー11における第2の周回配線部11bは、反時計回りに周回しており、
図9に示すように、リアクトルL
2を形成している。
【0022】
図8Aでは、回路側からコネクタ側に向けて、ノイズ電流I
noiseが第1のバスバー11を流れている例を示している。
回路側からコネクタ側に向けて、ノイズ電流I
noiseが第1のバスバー11を流れることで、第1の周回配線部11aが形成しているリアクトルL
1の内側に存在している磁性体コア18には、
図8Aに示すように、+Z方向に向かう磁束Φ
aが発生する。
また、回路側からコネクタ側に向けて、ノイズ電流I
noiseが第1のバスバー11を流れることで、第2の周回配線部11bが形成しているリアクトルL
2の内側に存在している磁性体コア18には、
図8Aに示すように、−Z方向に向かう磁束Φ
bが発生する。
このとき、磁性体コア18内では、磁束Φ
a及び磁束Φ
bのそれぞれが向かう方向は、
図8Bに示すように、同じ方向であり、磁束Φ
aと磁束Φ
bとは、互いに強め合っている。
磁束Φ
aと磁束Φ
bとは、磁路を共有しているため、リアクトルL
1とリアクトルL
2との間には、相互インダクタンスMが存在することになる。
【0023】
図9は、
図2に示すノイズフィルタ1の等価回路である。
図9において、L
wireは、第1の引き出し導体12が有しているインダクタンス成分、Cは、第1のコンデンサ14が有している静電容量、L
cは、第1のコンデンサ14が有しているインダクタンス成分、L
patternは、配線パターン13bが有しているインダクタンス成分とグラウンドパターン13cが有しているインダクタンス成分との合計である。
L
spacerは、スペーサ16が有しているインダクタンス成分、Mは、リアクトルL
1とリアクトルL
2との間の相互インダクタンスである。
【0024】
図10は、
図9に示す等価回路を等価回路変換した回路である。
図10において、ESLは、インダクタンス成分L
wireと、インダクタンス成分L
cと、インダクタンス成分L
patternと、インダクタンス成分L
spacerとの合計を表している。
図2に示すノイズフィルタ1では、
図10に示すように、第1のコンデンサ14が有している静電容量Cと直列にESLが接続されており、静電容量Cと直列に−Mのインダクタンス成分が接続されている。
ESLと、−Mのインダクタンス成分とが直列に接続されているインダクタンス成分は、ESL−Mのように表される。したがって、
図2に示すノイズフィルタ1では、相互インダクタンスMの分だけ、ESLを打ち消すことができる。
【0025】
インダクタンスが存在する場合、一般に周波数が高くなるほど、インピーダンスが高くなるため、
図10に示すESLが存在する場合についても、周波数が高くなるほど、インピーダンスが高くなる。
したがって、
図10に示すESLは、第1のバスバー11を流れる高周波のノイズ電流I
noiseが筺体17に流れないように作用する。ノイズ電流I
noiseが筺体17に流れないように作用するということは、ESLは、高周波ノイズの抑制効果を悪化させている。
図2に示すノイズフィルタ1では、相互インダクタンスMの分だけ、ESLを打ち消すことができるため、相互インダクタンスMの分だけ、高周波ノイズの抑制効果を改善することができる。
【0026】
図2に示すノイズフィルタ1では、ESL−M=0となる相互インダクタンスMが得られるように、第1の周回配線部11a、第2の周回配線部11b及び第1の結合配線部11cにおけるそれぞれの寸法と、磁性体コア18の磁性体材料と、磁性体コア18の寸法とを決定することで、高周波ノイズの抑制効果が最良になる。第1の周回配線部11a、第2の周回配線部11b及び第1の結合配線部11cにおけるそれぞれの寸法は、主に、リアクトルL
1の内径寸法及びリアクトルL
2の内径寸法である。
なお、打ち消したいESLの値は、第1の引き出し導体12、配線パターン13b及びスペーサ16におけるそれぞれの構造に基づく電磁界解析等を実行することで求めることができる。
したがって、電磁界解析等を実行することで、相互インダクタンスMが、出来る限りESLに近くなる寸法及び磁性体材料を選定することが重要である。
【0027】
図11は、実施の形態1に係るノイズフィルタ1のノイズ抑制効果を示す説明図である。
図11に示すグラフにおいて、横軸は、周波数を示しており、縦軸は、回路側とコネクタ側との間のノイズ透過量を示している。ノイズ透過量が低いほど、ノイズフィルタ1のノイズ抑制効果が高い。
図11において、「構造あり」のノイズフィルタは、M=ESLとなるように、寸法等が決められている
図2に示すノイズフィルタ1である。
「構造無し」のノイズフィルタは、
図12に示すように、第1のバスバー11の代わりに、直線状のバスバー11’が用いられており、磁性体コア18が配置されていない構造のノイズフィルタである。
図12は、第1のバスバー11の代わりに、直線状のバスバー11’が用いられており、磁性体コア18が配置されていないノイズフィルタを示す斜視図である。
【0028】
ESLと第1のコンデンサ14が有している静電容量Cとの値によって決まる周波数fr付近では、「構造あり」のノイズフィルタよりも「構造無し」のノイズフィルタの方が、ノイズ抑制効果が高い。
しかし、周波数frよりも、ある程度高い周波数では、「構造無し」のノイズフィルタのノイズ抑制効果が劣化している。このため、周波数frよりも、ある程度高い周波数では、「構造無し」のノイズフィルタよりも「構造あり」のノイズフィルタの方が、ノイズ抑制効果が高くなっている。
なお、「構造あり」のノイズフィルタが有する相互インダクタンスMが、ESLと一致していなくても、「構造あり」のノイズフィルタが、0<M<2×ESLを満足する相互インダクタンスMを有していれば、周波数frよりも、ある程度高い周波数では、「構造無し」のノイズフィルタよりもノイズ抑制効果が高くなる。周波数frよりも、ある程度高い周波数でのノイズ透過量は、「構造無し」のノイズフィルタのノイズ透過量と、M=ESLのノイズフィルタのノイズ透過量との間になる。
【0029】
以上の実施の形態1では、平板の電気配線であり、第1の方向に周回している第1の周回配線部11aと、第1の方向と反対の方向である第2の方向に周回している第2の周回配線部11bと、第1の周回配線部11aと第2の周回配線部11bとを結んでいる第1の結合配線部11cとを有する第1のバスバー11と、第1の結合配線部11cと一端が接続されている第1の引き出し導体12と、第1の引き出し導体12の他端と一端が接続され、グラウンドと他端が接続されている第1のコンデンサ14と、中心部分に開口部18dを有しており、開口部18dに第1の結合配線部11cが通るように配置されている磁性体コア18とを備えるように、ノイズフィルタ1を構成した。したがって、打ち抜き又はプレス等によって製造可能な平面構造の第1のバスバー11を用いているノイズフィルタ1を実現できる。
【0030】
図2に示すノイズフィルタ1では、第1の周回配線部11aが、時計回りに周回しており、第2の周回配線部11bが、反時計回りに周回している。
所望の磁束Φ
aを得るには、第1のバスバー11のうち、第1の周回配線部11a及び第1の結合配線部11cを有する部分は、磁性体コア18に対して、概ね4分の3周以上周回していればよい。また、所望の磁束Φ
bを得るには、第1のバスバー11のうち、第2の周回配線部11b及び第1の結合配線部11cを有する部分は、磁性体コア18に対して、概ね4分の3周以上周回していればよい。
図13は、第1の周回配線部11a及び第1の結合配線部11cを有する部分が、磁性体コア18に対して、4分の3周しており、第2の周回配線部11b及び第1の結合配線部11cを有する部分が、磁性体コア18に対して、4分の3周している例を示す説明図である。
【0031】
図2に示すノイズフィルタ1では、第1のバスバー11の一端がコネクタと接続され、第1のバスバー11の他端がモータ駆動用の回路と接続されている。しかし、これは一例に過ぎず、第1のバスバー11の一端がモータ駆動用の回路と接続され、第1のバスバー11の他端がコネクタと接続されていてもよい。
【0032】
図2に示すノイズフィルタ1では、第1のバスバー11及び第1の引き出し導体12が一体的に形成されたのち、第1の引き出し導体12が、折り曲げ箇所19で折り曲げられている。
しかし、これは一例に過ぎず、第1の引き出し導体12として、例えば、ケーブルを用い、ケーブルの一端が第1の結合配線部11cと接続されて、ケーブルの他端が配線パターン13bと接続されているものであってもよい。
ケーブルの一端と第1の結合配線部11cとの接続、及び、ケーブルの他端と配線パターン13bとの接続は、それぞれハンダ付けであってもよいし、それぞれネジ止めであってもよい。また、ケーブルの一端と第1の結合配線部11cとの接続がハンダ付けで、ケーブルの他端と配線パターン13bとの接続がネジ止めであってもよいし、ケーブルの一端と第1の結合配線部11cとの接続がネジ止めで、ケーブルの他端と配線パターン13bとの接続がハンダ付けであってもよい。
また、第1の引き出し導体12として、例えば、バネ性を有する導電性素材を用いてもよい。
なお、第1の引き出し導体12と配線パターン13bとの接続は、電気的に接続できればよく、ネジ止め、バネ性の導電性素材による接触、導電性接着材による接着又は溶接等であってもよい。
【0033】
図2に示すノイズフィルタ1では、第1のコア18a、第2のコア18b及び第3のコア18cのそれぞれが、磁性体材料で作られている。第1のコア18a、第2のコア18b及び第3のコア18cのそれぞれは、磁性体であればよく、鉄、フェライト、アモルファス系の合金等で作られていてもよい。
【0034】
図2に示すノイズフィルタ1では、組立時に、第2のコア18b及び第3のコア18cのそれぞれを第1のコア18aに固定している。
しかし、開口部18dに第1の結合配線部11cが通るように磁性体コア18を配置できればよく、第1のコア18a、第2のコア18b及び第3のコア18cの全体又は一部が、一体成型されていてもよい。
【0035】
図2に示すノイズフィルタ1では、第1のコア18aが三方枠状に成形され、第2のコア18b及び第3のコア18cのそれぞれが角柱状に成形されている。
しかし、開口部18dに第1の結合配線部11cが通るように磁性体コア18を配置できればよく、第1のコア18aの形状が例えば湾曲状であってもよいし、第2のコア18b及び第3のコア18cのそれぞれの形状が例えば湾曲状であってもよい。
【0036】
図2に示すノイズフィルタ1では、第1のコア18a、第2のコア18b及び第3のコア18cのそれぞれが何らかの部材によって保持される。このとき、開口部18dに第1の結合配線部11cが通るように磁性体コア18を配置できればよく、樹脂等の非導電性の部材によって、第1のコア18a、第2のコア18b及び第3のコア18cのそれぞれが保持されることが想定される。
具体的には、第1のバスバー11に一端が固定されている非導電性の支持部材によって、第1のコア18a、第2のコア18b及び第3のコア18cのそれぞれが保持されることが想定される。
【0037】
図2に示すノイズフィルタ1では、配線パターン13b及びグラウンドパターン13cのそれぞれがプリント基板13に施されている。
しかし、これは一例に過ぎず、プリント基板13が多層基板であり、配線パターン13bとグラウンドパターン13cとが、多層基板の異なる層に施されていてもよい。
【0038】
図2に示すノイズフィルタ1では、第1のコンデンサ14がプリント基板13に実装されている。第1のコンデンサ14は、静電容量Cを有していればよく、表面実装型のコンデンサであってもよいし、リード型のコンデンサであってもよい。
【0039】
図2に示すノイズフィルタ1では、ネジ15がグラウンドパターン13cとスペーサとを電気的に接続している。しかし、これは一例に過ぎず、ハンダ付け、溶接、又は、バネ製部材による嵌め込みによって、グラウンドパターン13cとスペーサとが電気的に接続されていてもよい。
【0040】
図2に示すノイズフィルタ1では、スペーサ16が、グラウンドパターン13cと筺体17とを電気的に接続している。しかし、これは一例に過ぎず、筺体17をスペーサ状に成形し、スペーサ状に成形されている筺体17が、グラウンドパターン13cと電気的に接続するようにしてもよい。
【0041】
図2に示すノイズフィルタ1では、スペーサ16が、図示せぬグラウンドと接続されている筺体17と接続されている。しかし、これは一例に過ぎず、スペーサ16が、図示せぬグラウンドと接続されていてもよい。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態2では、第1のバスバー11と第2のバスバー21とを備えるノイズフィルタ1について説明する。
【0043】
図14は、実施の形態2に係るノイズフィルタ1を示す斜視図である。
図15は、
図14に示すノイズフィルタ1を+X方向から見たYZ面図である。
図14及び
図15において、
図2から
図6と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
第2のバスバー21は、XY面に設置されている。
第2のバスバー21は、第1のバスバー11と同一形状の平板の電気配線である。ここでの同一形状は、厳密に同一の形状に限るものではなく、実用上問題のない範囲で、第1のバスバー11と第2のバスバー21との形状が異なっていてもよい。
第2のバスバー21の一端は、例えば、直流電源における−電極の電圧出力端子と接続されているコネクタと接続されており、第2のバスバー21の他端は、例えば、モータ駆動用の回路と接続されている。
図14に示すノイズフィルタ1では、第1のバスバー11の一端が、例えば、直流電源における+電極の電圧出力端子と接続されているコネクタと接続されている。
第1のバスバー11と第2のバスバー21とは、電気的な絶縁を保った状態で、平行に配置されている。ただし、第1のバスバー11と第2のバスバー21との配置は、厳密に平行であるものに限るものではなく、実用上問題のない範囲で、概ね平行が保たれているものであってもよい。
【0044】
第2のバスバー21は、第1の方向に周回している第3の周回配線部21aと、第2の方向に周回している第4の周回配線部21bとを有している。
第1の方向は、+Z方向から第2のバスバー21を見たときに、コネクタと接続されている側を起点として、時計回りの方向である。第2の方向は、+Z方向から第2のバスバー21を見たときに、コネクタと接続されている側を起点として、反時計回りの方向である。
また、第2のバスバー21は、第3の周回配線部21aと第4の周回配線部21bとを結んでいる第2の結合配線部21cとを有している。
図14に示すノイズフィルタ1では、第3の周回配線部21aと第4の周回配線部21bと第2の結合配線部21cとが一体的に形成されている。
図14に示すノイズフィルタ1では、第1の方向が、時計回りの方向であり、第2の方向が、反時計回りの方向であるとしている。しかし、これは一例に過ぎず、第1の方向が、反時計回りの方向であり、第2の方向が、時計回りの方向であるとしてもよい。つまり、第1のバスバー11が、反時計回りに周回している第1の周回配線部11aと、時計回りに周回している第2の周回配線部11bとを有し、第2のバスバー21が、反時計回りに周回している第3の周回配線部21aと、時計回りに周回している第4の周回配線部21bとを有していてもよい。
【0045】
第2の引き出し導体22は、平板の電気配線であり、第2の引き出し導体22の一端は、第2の結合配線部21cと接続されており、第2の引き出し導体22の他端は、プリント基板13に施されている配線パターン13dと接続されている。
第2の引き出し導体22は、第1の引き出し導体12と同様の方法で製造される。
【0046】
プリント基板13には、第1のコンデンサ14及び第2のコンデンサ23のそれぞれが実装されている。
配線パターン13dは、導電性の電気配線であり、第2の引き出し導体22の他端及び第2のコンデンサ23の一端のそれぞれと接続されている。
グラウンドパターン13eは、導電性の電気配線であり、第1のコンデンサ14の他端及び第2のコンデンサ23の他端のそれぞれと接続されている。
【0047】
第2のコンデンサ23の一端は、配線パターン13dを介して、第2の引き出し導体22の他端と接続されている。
第2のコンデンサ23の他端は、グラウンドパターン13eと接続されている。
磁性体コア18は、開口部18dに第1の結合配線部11c及び第2の結合配線部21cのそれぞれが通るように配置されている。
【0048】
図16は、
図14に示すノイズフィルタ1の等価回路である。
図16では、説明の簡単化のため、ESL及び相互インダクタンスMの記載を省略している。
第2のバスバー21における第3の周回配線部21aは、時計回りに周回しており、リアクトルL
3を形成している。
第2のバスバー21における第4の周回配線部21bは、反時計回りに周回しており、リアクトルL
4を形成している。
図16において、Bが示す実線は、リアクトルL
1,L
2とリアクトルL
3,L
4とが、磁性体コア18によって、磁界結合されていることを示している。
【0049】
次に、
図14に示すノイズフィルタ1の動作について説明する。
第1のバスバー11及び第2のバスバー21のそれぞれを流れるノイズ電流として、ノーマルモード電流とコモンモード電流とがある。
ノーマルモード電流は、第1のバスバー11を流れる方向と、第2のバスバー21を流れる方向とが逆向きである。
コモンモード電流は、第1のバスバー11を流れる方向と、第2のバスバー21を流れる方向とが同じ向きである。
ノーマルモード電流及びコモンモード電流のいずれの電流でも、第1のバスバー11を流れる電流の量と、第2のバスバー21を流れる電流の量とが同じである。
【0050】
モータ駆動用のインバータ装置等のバスバーを用いる機器では、ノーマルモード電流が数十アンペア以上の大電流になることが多い。数十アンペア以上の大電流によって生じる磁束が磁性体を通ると、磁性体が磁気飽和を起こすことがある。磁気飽和の状態では、磁性体の比透磁率が1に近くなり、磁性体のコアとしての役割がほぼ無くなる。
図14に示すノイズフィルタ1では、ノーマルモード電流が第1のバスバー11及び第2のバスバー21のそれぞれを流れても、第1のバスバー11を流れる電流と、第2のバスバー21を流れる電流とが逆向きで同じ量である。
第1のバスバー11を流れる電流と、第2のバスバー21を流れる電流とが逆向きで同じ量であるため、ノーマルモード電流が第1のバスバー11を流れることで発生する磁束Φ
aと、ノーマルモード電流が第2のバスバー21を流れることで発生する磁束Φ
a’とが、互いに打ち消し合う。また、ノーマルモード電流が第1のバスバー11を流れることで発生する磁束Φ
bと、ノーマルモード電流が第2のバスバー21を流れることで発生する磁束Φ
b’とが、互いに打ち消し合う。
したがって、
図14に示すノイズフィルタ1では、ノーマルモード電流が第1のバスバー11及び第2のバスバー21のそれぞれを流れても、磁性体コア18が磁気飽和を起こすことはほぼ無い。
【0051】
コモンモード電流では、上述したように、第1のバスバー11を流れる電流と、第2のバスバー21を流れる電流とが同じ向きで同じ量である。
したがって、コモンモード電流が第1のバスバー11を流れることで発生する磁束Φ
aと、コモンモード電流が第2のバスバー21を流れることで発生する磁束Φ
a’とが、互いに打ち消し合うことがない。また、コモンモード電流が第1のバスバー11を流れることで発生する磁束Φ
bと、コモンモード電流が第2のバスバー21を流れることで発生する磁束Φ
b’とが、互いに打ち消し合うことがない。
コモンモード電流が第1のバスバー11及び第2のバスバー21のそれぞれを流れたときに、磁束Φ
aと磁束Φ
a’とが打ち消されることがなく、磁束Φ
bと磁束Φ
b’とが打ち消されることがないため、相互インダクタンスMが発生する。
図14に示すノイズフィルタ1では、コモンモード電流による高周波ノイズ(以下、「コモンモードノイズ」と称する)の抑制効果の悪化要因となるESLを打ち消すために、相互インダクタンスMが利用される。
【0052】
図14に示すノイズフィルタ1では、ESL−M=0となる相互インダクタンスMが得られるように、第1の周回配線部11a、第2の周回配線部11b及び第1の結合配線部11cにおけるそれぞれの寸法が決定される。また、第3の周回配線部21a、第4の周回配線部21b及び第2の結合配線部21cにおけるそれぞれの寸法と、磁性体コア18の磁性体材料と、磁性体コア18の寸法とが決定される。
上記のように、寸法及び磁性体材料が決定されることで、コモンモードノイズの抑制効果が最良になる。
第1の周回配線部11a、第2の周回配線部11b及び第1の結合配線部11cにおけるそれぞれの寸法は、主に、リアクトルL
1の内径寸法及びリアクトルL
2の内径寸法である。第3の周回配線部21a、第4の周回配線部21b及び第2の結合配線部21cにおけるそれぞれの寸法は、主に、リアクトルL
3の内径寸法及びリアクトルL
4の内径寸法である。
なお、打ち消したいESLの値は、第1の引き出し導体12、第2の引き出し導体22、配線パターン13b,13d及びスペーサ16におけるそれぞれの構造に基づく電磁界解析等を実行することで求めることができる。
したがって、電磁界解析等を実行することで、相互インダクタンスMが、出来る限りESLに近くなる寸法及び磁性体材料を選定することが重要である。
【0053】
図17は、実施の形態2に係るノイズフィルタ1のノイズ抑制効果を示す説明図である。
図17に示すグラフにおいて、横軸は、周波数を示しており、縦軸は、回路側とコネクタ側との間のノイズ透過量を示している。ノイズ透過量が低いほど、ノイズフィルタ1のノイズ抑制効果が高い。
図17において、「構造あり」のノイズフィルタは、M=ESLとなるように、寸法等が決められている
図14に示すノイズフィルタ1である。
「構造無し」のノイズフィルタは、
図18に示すように、第1のバスバー11の代わりに、直線状のバスバー11’が用いられ、第2のバスバー21の代わりに、直線状のバスバー21’が用いられ、磁性体コア18が配置されていない構造のノイズフィルタである。
図18は、第1のバスバー11の代わりに、直線状のバスバー11’が用いられ、第2のバスバー21の代わりに、直線状のバスバー21’が用いられており、磁性体コア18が配置されていないノイズフィルタを示す斜視図である。
【0054】
ESLと、第1のコンデンサ14が有している静電容量Cと、第2のコンデンサ23が有している静電容量Cとの値によって決まる周波数fr’付近では、「構造あり」のノイズフィルタよりも「構造無し」のノイズフィルタの方が、ノイズ抑制効果が高い。
しかし、周波数fr’よりも、ある程度高い周波数では、「構造無し」のノイズフィルタのノイズ抑制効果が劣化している。このため、周波数fr’よりも、ある程度高い周波数では、「構造無し」のノイズフィルタよりも「構造あり」のノイズフィルタの方が、ノイズ抑制効果が高くなっている。
なお、「構造あり」のノイズフィルタが有する相互インダクタンスMが、ESLと一致していなくても、「構造あり」のノイズフィルタが、0<M<2×ESLを満足する相互インダクタンスMを有していれば、周波数fr’よりも、ある程度高い周波数では、「構造無し」のノイズフィルタよりもノイズ抑制効果が高くなる。周波数fr’よりも、ある程度高い周波数でのノイズ透過量は、「構造無し」のノイズフィルタのノイズ透過量と、M=ESLのノイズフィルタのノイズ透過量との間になる。
【0055】
以上の実施の形態2では、第1のバスバー11と同一形状の平板の電気配線であり、第1の方向に周回している第3の周回配線部21aと、第1の方向と反対の方向である第2の方向に周回している第4の周回配線部21bと、第3の周回配線部21aと第4の周回配線部21bとを結んでいる第2の結合配線部21cとを有する第2のバスバー21と、第2の結合配線部21cと一端が接続されている第2の引き出し導体22と、第2の引き出し導体22の他端と一端が接続され、グラウンドと他端が接続されている第2のコンデンサ23とを備えるように、ノイズフィルタ1を構成した。また、ノイズフィルタ1では、第1のバスバー11と第2のバスバー21とが、電気的な絶縁を保った状態で、平行に配置されており、磁性体コア18が、開口部18dに第1の結合配線部11c及び第2の結合配線部21cのそれぞれが通るように配置されている。したがって、打ち抜き又はプレス等によって製造可能な平面構造の第1のバスバー11及び第2のバスバー21のそれぞれを用いているノイズフィルタ1を実現できる。また、ノイズフィルタ1は、ノーマルモード電流による磁気飽和の発生を防止することができる。
【0056】
図14に示すノイズフィルタ1では、第1の周回配線部11aが、時計回りに周回しており、第2の周回配線部11bが、反時計回りに周回している。また、第3の周回配線部21aが、時計回りに周回しており、第4の周回配線部21bが、反時計回りに周回している。
所望の磁束Φ
aを得るには、第1のバスバー11のうち、第1の周回配線部11a及び第1の結合配線部11cを有する部分は、磁性体コア18に対して、概ね4分の3周以上周回していればよい。また、所望の磁束Φ
bを得るには、第1のバスバー11のうち、第2の周回配線部11b及び第1の結合配線部11cを有する部分は、磁性体コア18に対して、概ね4分の3周以上周回していればよい。
所望の磁束Φ
a’を得るには、第2のバスバー21のうち、第3の周回配線部21a及び第2の結合配線部21cを有する部分は、磁性体コア18に対して、概ね4分の3周以上周回していればよい。また、所望の磁束Φ
b’を得るには、第2のバスバー21のうち、第4の周回配線部21b及び第2の結合配線部21cを有する部分は、磁性体コア18に対して、概ね4分の3周以上周回していればよい。
【0057】
図14に示すノイズフィルタ1では、第1のバスバー11の一端が直流電源における+電極の電圧出力端子と接続されているコネクタと接続され、第2のバスバー21の一端が直流電源における−電極の電圧出力端子と接続されているコネクタと接続されている。しかし、これは一例に過ぎず、第1のバスバー11の一端が直流電源における−電極の電圧出力端子と接続されているコネクタと接続され、第2のバスバー21の一端が直流電源における+電極の電圧出力端子と接続されているコネクタと接続されていてもよい。
また、第1のバスバー11の一端が、単相交流の2線のうちの一方の線路と接続されているコネクタと接続され、第2のバスバー21の一端が、単相交流の2線のうちの他方の線路と接続されているコネクタと接続されていてもよい。
また、複数のバスバーの一端のそれぞれが、三相交流の3線又は三相交流の4線のうちのいずれかの線路と接続されていてもよい。複数のバスバーの一端のそれぞれが、三相交流の3線のうちのいずれかの線路と接続される場合、バスバー、引き出し導体及びコンデンサの組が、合計で3セットになる。また、複数のバスバーの一端のそれぞれが、三相交流の4線のうちのいずれかの線路と接続される場合、バスバー、引き出し導体及びコンデンサの組が、合計で4セットになる。
【0058】
実施の形態3.
実施の形態3では、磁性体の一部に、非磁性体のスペーサ40が挿入されている磁性体コア18を備えているノイズフィルタ1について説明する。
【0059】
図19は、実施の形態3に係るノイズフィルタ1を+X方向から見たYZ面図である。
図19において、
図2及び
図5と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
スペーサ40は、非磁性体材料で成形されている。
スペーサ40は、第1のコア18aの一端18a
1と、第2のコア18bの一端18b
1及び第3のコア18cの一端18c
1のそれぞれとの間に挟まれている。
また、スペーサ40は、第1のコア18aの他端18a
2と、第2のコア18bの他端18b
2及び第3のコア18cの他端18c
2のそれぞれとの間に挟まれている。
なお、スペーサ40は、非磁性体であればよく、樹脂又は金属によって成形されていてもよい。また、スペーサ40は、空気であってもよい。
【0060】
次に、
図19に示すノイズフィルタ1の動作について説明する。
図2に示すノイズフィルタ1では、磁性体コア18がスペーサ40を備えておらず、第1のコア18aと、第2のコア18b及び第3のコア18cのそれぞれとの間に、ギャップが無けられていない。
ギャップが無けられていなければ、
図8Bに示すように、磁性体コア18からの磁束Φ
aの漏れ及び磁性体コア18からの磁束Φ
bの漏れがほとんど無い。
【0061】
図19に示すノイズフィルタ1では、磁性体コア18がスペーサ40を備えており、第1のコア18aと、第2のコア18b及び第3のコア18cのそれぞれとの間に、ギャップが設けられている。
ギャップが設けられていることで、ギャップから磁束Φ
aの一部が漏れて、ギャップから磁束Φ
bの一部が漏れる。したがって、ギャップが設けられている場合、ギャップが無けられていない場合よりも、リアクトルL
1とリアクトルL
2との間の磁界結合が弱くなり、相互インダクタンスMが減少する。
また、ギャップの大きさが大きい程、相互インダクタンスMの減少量が大きくなる。
【0062】
図19に示すノイズフィルタ1では、スペーサ40の厚みを調整することで、ギャップの大きさを変えることができ、相互インダクタンスMを調整することができる。
したがって、電磁界解析等を実行することで、相互インダクタンスMが、出来る限りESLに近くなる寸法及び磁性体材料を選定する際、スペーサ40の厚みが、相互インダクタンスMの調整パラメータの1つとなる。
【0063】
図20Aは、ギャップの大きさと相互インダクタンスMとの対応関係を示す説明図である。
図20Bは、周波数fとノイズ透過量との対応関係を示す説明図である。
図20Cは、ギャップの大きさと周波数fにおけるノイズ透過量との対応関係を示す説明図である。
相互インダクタンスMは、
図20Aに示すように、ギャップの大きさが大きい程、小さくなる。
ノイズ電流I
noiseの周波数が高くなり、ノイズ電流I
noiseの周波数がfになると、
図20B及び
図20Cに示すように、M=ESLのとき、M<ESL、及び、M>ESLのときよりも、ノイズ透過量が小さくなり、ノイズの抑制効果が高くなる。
【0064】
以上の実施の形態3では、磁性体の一部に、非磁性体のスペーサ40が挿入されている磁性体コア18を備えるように、
図19に示すノイズフィルタ1を構成した。したがって、
図19に示すノイズフィルタ1は、
図2に示すノイズフィルタ1と同様に、打ち抜き又はプレス等によって製造可能な平面構造の第1のバスバー11を用いて実現される。また、
図19に示すノイズフィルタ1は、第1のバスバー11の寸法、磁性体コア18の寸法及び材質を変えることなく、ノイズの抑制効果を調整することができる。
【0065】
図19に示すノイズフィルタ1では、スペーサ40が、第1のコア18aと第2のコア18bとの間に挟まれており、また、スペーサ40が、第1のコア18aと第3のコア18cとの間に挟まれている。
しかし、これは一例に過ぎず、スペーサ40が、第1のコア18aと第2のコア18bとの間のみに挟まれていてもよいし、スペーサ40が、第1のコア18aと第3のコア18cとの間のみに挟まれていてもよい。
また、第1のコア18aと第2のコア18bとの間に挟まれているスペーサ40の厚みと、第1のコア18aと第3のコア18cとの間に挟まれているスペーサ40の厚みとが異なっていてもよい。
【0066】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。