(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
爪先と踵を含む足底とを被覆するとともに足首を露出するフットカバーであって、足底部、側辺部、踵部および足甲側の爪先を覆う爪先部で形成され、前記足底部に対して上下反対側に足を出し入れするための開口部を設け、
前記開口部の周縁に沿って単一素材で構成された伸縮性細幅生地が設けられ、
前記伸縮性細幅生地は、その少なくとも一部に伸縮性が低く伸びにくい領域を備え、
前記領域は、前記単一素材で構成された2本の伸縮性細幅生地を重ね合わせて接合した領域であって、前記2本の伸縮性細幅生地はいずれも前記足底部に当接しないで、かつ、前記2本の伸縮性細幅生地は略平行で重ね合わせられることを特徴とする、フットカバー。
【背景技術】
【0002】
素足にパンプス等の靴を履くことが、ファッションとして定着している。この場合、パンプスと足裏とが直接接していると、足に発生した汗により靴の中が蒸れてしまい不快感がある。
そこで、爪先と踵を含む足底とを被覆するとともに足甲および足首を露出するフットカバーであって、着用時にパンプスから露出することのないよう履き口が大きくカットされた薄手のフットカバーが提案されている。このフットカバーを着用してパンプスを履けば、外観上、素足にパンプスを履いているように見え、足裏とパンプスとの間にはフットカバーが介しているため、汗によって靴の中が蒸れてしまうことを防止することができる。
【0003】
なお、このような足装着具を、本明細書ではフットカバーと記載するが、ソックスカバー、インナーソックス、ヌードソックス、カバーソックス等と記載される場合もある。
このようなフットカバーはパンプスから露出しないよう履き口が大きくカットされているため、歩行中の摩擦等によって履き位置がずれたり、脱げたりすすることがある。一方、履き口を小さくしてしまうとパンプスから露出してしまう。このような問題点に鑑みて開発されたフットカバーが、以下の先行技術文献に開示されている。
【0004】
実用新案登録第3165733号公報(特許文献1)は、着用者の足に食い込まず、足に型が付いてしまったり、痛みを感じたり、不快感を与えたりしないフットカバーを開示する。このフットカバーは、着用者の足を覆う生地からなり、上側に足を出し入れするための開口部を有するフットカバーであって、開口部の周縁に沿って平ゴムを設けて一面が足に接するようにした帯状伸縮部を形成したことを特徴とする
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたフットカバーに設けられた平ゴムでは、開口部の周縁の全体に亘って平ゴムを設けているため、フットカバーを履くときに開口部が十分に開かないで履きにくい場合があったり、これを解決するために開口部が十分に開くように平ゴムの伸縮性を大きくして伸びやすくすると歩行等の動作によってフットカバーが脱げたり位置ずれしたりする問題がある。
【0007】
特に、特許文献1に開示されたフットカバーのように、開口部の周縁の全体に亘って平ゴム等で帯状伸縮部を設けた場合、その全体が均一的に伸び縮みしてしまうので、上述した2つの相反する問題、(1)平ゴムの伸縮性が小さく(低く)伸びにくいためにフットカバーを履くときに開口部が十分に開かないで履きにくい問題、(2)平ゴムの伸縮性が大きく(高く)伸びやすいために歩行等の動作によってフットカバーが脱げたり位置ずれしたりする問題、を同時に解決することは、少なくとも1つの足爪を覆い少なくとも1つの足指の付け根を覆わないような超浅履きのフットカバーでは極めて困難である。
【0008】
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、脱ぎ履き時に脱ぎ履きしやすいにも関わらず、歩行時に脱げてしまったり履き位置がずれてしまったりすることを抑制することのできるフットカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るフットカバーは以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明に係るフットカバーは、爪先と踵を含む足底とを被覆するとともに足首を露出するフットカバーであって、足底部、側辺部、踵部および足甲側の爪先を覆う爪先部で形成され、前記足底部に対して上下反対側に足を出し入れするための開口部を設け、前記開口部の周縁に沿って単一素材で構成された伸縮性細幅生地が設けられ、前記伸縮性細幅生地は、その少なくとも一部に伸縮性が低く伸びにくい領域を備える。
【0010】
好ましくは、前記領域は、前記伸縮性細幅生地を重ね合わせて接合した領域であって、前記伸縮性細幅生地の上下方向の位置を揃え、かつ、前記重ね合わせられる伸縮性細幅生地が略平行であるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記フットカバーは、第1の伸縮性編地と第2の伸縮性編地と第3の伸縮性編地とが接合されて形成され、前記第1の伸縮性編地は、前側の側辺部と前記爪先部と爪先側の開口部とを構成し、前記第2の伸縮性編地は、前記足底部を構成し、前記第3の伸縮性編地は、後側の側辺部と前記踵部と踵側の開口部とを構成し、前記爪先側の開口部の周縁に設けられた伸縮性細幅生地と前記踵側の開口部の周縁に設けられた伸縮性細幅生地とが前記第1の伸縮性編地と前記第3の伸縮性編地との境界近傍で重なるように接合されることにより形成された前記領域を備えた前記第1の伸縮性編地および前記第3の伸縮性編地が、前記第2の伸縮性編地に、接合されているように構成することができる。
【0011】
さらに好ましくは、前記領域において伸縮性細幅生地を重ね合わせる足長方向の長さは、前記フットカバーの側面視における前記伸縮性細幅生地の高さ方向の幅以上であるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記爪先部は、少なくとも1つの足爪を覆い少なくとも1つの足指の付け根を覆わないように構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のフットカバーによれば、脱ぎ履き時に脱ぎ履きしやすいにも関わらず、歩行時に脱げてしまったり履き位置がずれてしまったりすることを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係るフットカバー100を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、本実施の形態に係るフットカバー100を足Fに着用した着用状態を示す全体斜視図であって、
図2(A)は
図1に示すフットカバー100を裏返した状態における小指側の側面図、
図2(B)はその親指側の側面図、
図2(C)は
図2(A)の一部拡大図である。ここで、
図1および
図2は、着用者の足Fにこのフットカバー100を着用している状態を想定している。すなわち、本実施の形態に係るフットカバー100は、パンティストッキング等に用いられる薄手の伸縮性編地で形成されているために、このように想定して図示しない場合には縮んだ状態となり、形状を理解することが困難なため、上述のように想定している。特に、
図2においては、このフットカバー100の特徴を容易に理解できるように、実際に着用している状態よりも足底部104がよく見えるように描かれている。
【0015】
以下において、これらの図に基づいてこのフットカバー100について詳しく説明する。ここで、フットカバーの構造には様々なものがあり、本発明は特定の構造に限定されるものではなく、後述する特徴を備えたものであれば、どのようなフットカバーの構造であっても、フットカバーを構成する生地の種類、生地の型紙およびその生地の接合方法がどのようなものであっても基本的には構わない。なお、このフットカバー100においては、生地として編地を採用している。以下に示すフットカバーの構造自体は単なる例示でしかない。
【0016】
なお、このフットカバー100を形成する生地は、ベア天(ベア天竺:ポリウレタン糸を軸にして他の素材の糸(綿、ウール等)を巻きつけた糸(カバード・ヤーン等)を用いて編んだ平編みの生地)、トリコット(経編み機の一種であるトリコット機で編んだ経編みの生地)、パンティストッキング用の生地(ポリウレタン糸とナイロン糸とを含む編地)等が好ましく用いられる。特に、これらの中でもベア天は、(1)伸縮性にすぐれている点、(2)形状安定性がよく洗濯後の形状変化が少ない点、(3)風合いが柔らかくフィット感にすぐれている点、(4)シワや折り目がつきにくい点、(5)多孔性の構造なので通気性がある点、(6)綿を含む場合には肌触りおよび吸湿性がよい点、でフットカバーに好ましい。
【0017】
さらに、本実施の形態に係るフットカバー100は、爪先と踵を含む足底とを被覆するとともに足首を露出する。ここで、フットカバー100を着用した場合において足甲は露出しても露出しなくてもどちらでも構わないが、フットカバー100を着用してパンプス(履き口である甲部分が大きく開いている主として婦人用の靴)を履く場合には足甲は露出してパンプスにフットカバー100が隠れることが好ましい。さらに、本発明に係るフットカバー100は、このように足甲を露出することに加えて、足甲側の爪先を覆う爪先部102が少なくとも1つの足爪を覆い少なくとも1つの足指の付け根を覆わないほどの超浅履きタイプであることも好ましく、このような超浅履きタイプであると履き口である甲部分が極めて大きく開いているパンプスであってもパンプスにフットカバー100が隠れる点で好ましい。
【0018】
このフットカバー100は、足底部104、側辺部106(より詳しくは前側の側辺部106Aおよび後側の側辺部106B)、踵部108および足甲側の爪先を覆う爪先部102で形成され、足底部104に対して上下反対側に足Fを出し入れするための開口部118(より詳しくは(第1の伸縮性編地120により構成される)爪先側の開口部118Aおよび(第3の伸縮性編地130により構成される)踵側の開口部118B)が設けられている。
【0019】
また、限定されるものではないが、以下に示すフットカバー100は左右共用であって、左右共用であるために左右を履き間違いすることがない点で好ましい。なお、フットカバーが左右共用でない場合には、左足用と右足用とは左右対称の形状を備える。上述したようにこのフットカバー100を足Fに着用してスニーカー(男女の性別を問わないいわゆる運動靴)やパンプス(履き口である甲部分が大きくまたは極めて大きく開いている主として婦人用の靴)等の靴を履くと、靴の内側に隠れて靴からフットカバー100が露出しないのでフットカバー100が見えなくなる。ここで、着用時に靴から露出することのないとは、フットカバー100が靴に隠れて、見えなくなることも、見えにくくなることも含む。
【0020】
そして、特徴的であるのは、このフットカバーは100は、開口部118の周縁に沿って単一素材で構成された伸縮性細幅生地116(より詳しくは前側の伸縮性細幅生地116Aおよび後側の伸縮性細幅生地116B)が設けられている。さらに、この伸縮性細幅生地116は、その少なくとも一部に伸縮性が低く伸びにくい領域(より詳しくは後述する重合領域110)を備える。なお、開口部118の周縁に沿って単一素材で構成された伸縮性細幅生地116とは、素材が単一であることを示すものであって、部材として1つであることに限定されるものではなく1つ以上の部材で伸縮性細幅生地116が構成されていれば構わない。
【0021】
伸縮性が低く伸びにくい領域については、詳しくは後述するように、同じ素材で同じ寸法(ここでいう同じ寸法とは足長方向の長さ(
図2(C)に示すL)ではなくこのフットカバー100の側面視における伸縮性細幅生地116の高さ方向(短手方向)の幅(
図2(C)に示すH)またはフットカバー100に設ける前の伸縮性細幅生地116の短手方向の長さ)が略同じであることを意味する)である前側の伸縮性細幅生地116Aと後側の伸縮性細幅生地116Bとの2つの部材により伸縮性細幅生地116が構成され、重合領域110において前側の伸縮性細幅生地116Aと後側の伸縮性細幅生地116Bとが重なり合うことにより、伸縮性細幅生地116の少なくとも一部に、伸縮性が低く伸びに
くい領域(重合領域110)を実現している。
【0022】
しかしながら、本発明に係るフットカバー100における伸縮性細幅生地116の少なくとも一部が備える伸縮性が低く伸びにくい領域は、このような伸縮性細幅生地116の重合せにより実現されるものに限定されるものではない。たとえば、伸縮性細幅生地116を伸縮性編地(第1の伸縮性編地120または第3の伸縮性編地130)に伸縮性細幅生地116を(重なり合うことなく)貼り付けて、その貼り付けた一部を伸縮性編地に縫合した場合であっても(伸縮性細幅生地よりも伸縮性が高く伸びやすい縫合糸は一般的ではないので)伸縮性細幅生地を伸縮性生地に縫合したことにより伸縮性細幅生地の一部に伸びにくい領域を実現することができる。
【0023】
なお、前側の伸縮性細幅生地116A(以下において前側伸縮性細幅生地116Aと記載する場合がある)は第1の伸縮性編地120により構成される爪先側の開口部118A(以下において爪先側開口部118Aと記載する場合がある)に設けられ、後側の伸縮性細幅生地116B(以下において後側伸縮性細幅生地116Bと記載する場合がある)は第3の伸縮性編地130により構成される踵側の開口部118B(以下において踵側開口部118Bと記載する場合がある)に設けられている。
【0024】
ここで、開口部118については、このフットカバー100は(パンプスに好適な)浅履き用または超浅履き用であるために大きな開口面積になっていて足甲を(全く)覆わない。しかしながら、上述した特徴を備えた本発明に係るフットカバーはこのような浅履き用および超浅履き用に限定されるものではない。たとえば爪先側開口部118Aを足甲側へ伸ばして足甲を覆うように変更した第1の伸縮性編地120とすることにより、爪先側開口部118Aを後側(踵側)へ後退させて開口部118の開口面積を縮小することができる。このように第1の伸縮性編地120を変更することにより、本発明の特徴を備えたまま深履き用の(パンプスを履いても隠れないがスニーカーを履くと隠れる)フットカバー100を実現することが可能である。なお、この場合には、前側の側辺部106Aは足甲および足側方を覆うことになる。
【0025】
そして、好ましくは、このフットカバー100における重合領域110は、前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとを重ね合わせて接合した領域である。詳しくは、前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとで伸縮性細幅生地の上下方向の位置を揃え、かつ、重ね合わせられる前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとが略平行である。なお、
図1および
図2において示すように、前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとで伸縮性細幅生地の上下方向の位置をずれ量G分だけ(
図2(C)参照)ずらして表されているが、このような場合であっても、
図2(C)に示すHにより示される重なり部分が大きいために伸縮性が低く伸びにくい領域を伸縮性細幅生地に実現できているので、伸縮性細幅生地の上下方向の位置を揃えていることを意味する。すなわち、前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとが多少ずれていても、
図2(C)に示すHにより示される重なり部分が大きいために伸縮性が低く伸びにくい領域を伸縮性細幅生地に実現できていれば、前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとで伸縮性細幅生地の上下方向の位置を揃えていることを満足するものとする。なお、デザイン的には、前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとで伸縮性細幅生地の上下方向の位置をズレ量なく揃えることが好ましい。
【0026】
さらに好ましくは、このフットカバー100は、第1の伸縮性編地120と第2の伸縮性編地122と第3の伸縮性編地130とが接合されて形成されている。この第1の伸縮性編地120は、前側の側辺部106A(以下において前側側辺部106Aと記載する場合がある)爪先部102と爪先側開口部118Aとを構成する。この第2の伸縮性編地122は、足底部104を構成する。この第3の伸縮性編地130は、後側の側辺部106B(以下において後側側辺部106Bと記載する場合がある)と踵部108と踵側開口部118Bとを構成する。そして、上述した重合領域110は、爪先側開口部118Aの周縁に設けられた前側伸縮性細幅生地116Aと踵側開口部118Bの周縁に設けられた後側伸縮性細幅生地116Bとが第1の伸縮性編地120と第3の伸縮性編地130との境
界近傍で重なるように接合されることにより形成されている。このように形成された重合領域110を備えた第1の伸縮性編地120および第3の伸縮性編地130が、足底形状を備えた第2の伸縮性編地120に、接合されている。なお、重合領域110においては、限定されるものではなく逆でも構わないが、このフットカバー100においては、外側(足Fが接する側とは逆側:靴側)が第1の伸縮性編地120、内側(足Fが接する側:肌側)が第3の伸縮性編地130になるように重ね合わせられている。
【0027】
ここで、接合については、接着テープによる接着、接着剤による接着、縫合糸による縫着、その他の接合方法のいずれであっても構わない。すなわち、前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとの重なり領域である重合領域110においても、第1の伸縮性編地120と第3の伸縮性編地130とを接合する場合においても、第1の伸縮性編地120および第3の伸縮性編地130を足底部104を構成する第2の伸縮性編地120に接合する場合においても、いずれの接合方法であっても構わない。
【0028】
なお、本実施の形態に係るフットカバー100においては、接合方法として縫合糸による縫着を採用している。ここで、重合領域110において、前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとを重ねて接合しているために(伸縮性細幅生地の伸縮度合いが二重分になるために)、重合領域110は重合により伸びにくい領域になっている。さらに、このように接合するための縫合糸は伸縮性細幅生地116よりも伸縮性が低く伸びにくいことが一般的であるために、重合領域110は縫合により伸びにくい領域となっている。このことは、他の接合方法(接着テープによる接着、接着剤による接着)であっても同じである。
【0029】
このように、このフットカバー100は、重合領域110を備えるように、前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとを重ねて縫合して、第1の伸縮性編地120と第3の伸縮性編地130とを一体化してから、これらの一体化された第1の伸縮性編地120および第3の伸縮性編地130を第2の伸縮性編地122の全周縁と足底縫合線114で縫合することにより、立体的な形状に形成されている。
【0030】
さらに好ましくは、このフットカバー100における重合領域110において伸縮性細幅生地116を重ね合わせる足長方向の長さ(
図2(C)に示すL)は、このフットカバー100の側面視における伸縮性細幅生地116の高さ方向(短手方向)の幅(
図2(C)に示すH)よりも長い(L≧H)。なお、このような重合領域110における伸縮性細幅生地116の重なり度合いについては、基本的には
図2(C)に示すようにL≧Hであるが、伸縮性細幅生地116の伸縮性によってはL≧H/2であっても構わないし、Lの上限として2Hとすることも好ましい。すなわち、伸縮性細幅生地116を重ね合わせる足長方向の長さLについては、H/2≦L≦2Hが好ましく、特にH≦L≦2Hが好ましく、さらにはL≒Hが(デザイン的に)好ましい。
【0031】
このような特徴を備えたフットカバー100の詳細についてさらに詳しく説明する。
上述したように、足底部104に対して上下反対側に足を出し入れするために設けられた開口部118の上縁の全周に亘って伸縮性細幅生地116がその少なくとも一部に伸縮性が低く伸びにくい重合領域110を備えるように設けられている。このフットカバー100においては、前側伸縮性細幅生地116Aを第1の伸縮性編地120の爪先側開口部118Aの部分に、後側伸縮性細幅生地116Bを第3の伸縮性編地130の踵側開口部118Bの部分に、それぞれ(重なり合うことなく)貼り付けている。そして、第1の伸縮性編地120と第3の伸縮性編地130とを側部縫合線112で縫合する際に前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとを重ね合わせた重合領域110を形成している。
【0032】
このように開口部118の上縁の全周に亘って伸縮性細幅生地116を設けるだけではなく、伸縮性細幅生地116がその少なくとも一部に伸縮性が低く伸びにくい重合領域110を備えているので、このフットカバー100を履くときに伸縮性細幅生地116を伸張させると開口部118が大きく開くために履きやすく、かつ、このフットカバー100を履いた後は伸縮性細幅生地116を収縮して開口部118が小さくなるために歩行時にフットカバー100が脱げることがない。すなわち、このフットカバー100においては
、従来のフットカバーと同じく開口部118の上縁の全周に亘って伸縮性細幅生地116設けられたもののその全体が均一的に伸び縮みするのではなく、
図2(C)にの(白塗り矢示より短い)黒塗り矢示で示すように重合領域110は他の領域よりも伸び縮みしにくく、(黒塗り矢示より長い)白塗り矢示で示すように他の領域は重合領域110よりも伸び縮みしやすいという、フットカバー110の側方に部分的に伸び縮みしにくい重合領域110を備える。このフットカバー100を履くときには重合領域110以外の(伸縮性細幅生地116の大部分を占める)伸縮性細幅生地116が大きくかつ容易に伸張させることができるので開口部118が大きく開くために履きやすく、かつ、このフットカバー100を履いた後は(領域としては小さいものの)重合領域110の伸縮性細幅生地116が容易には伸張させることができないので開口部118の側方(足の側方)において足をしっかりと締め付けるために歩行時にフットカバー100がずれたり脱げたりすることがない。
【0033】
このように、このフットカバー100によると、本発明が解決しようとする課題である、2つの相反する問題、(1)平ゴムの伸縮性が小さく(低く)伸びにくいためにフットカバーを履くときに開口部が十分に開かないで履きにくい問題、(2)平ゴムの伸縮性が大きく(高く)伸びやすいために歩行等の動作によってフットカバーが脱げたり位置ずれしたりする問題を、少なくとも1つの足爪を覆い少なくとも1つの足指の付け根を覆わないような超浅履きのフットカバーであっても同時に解決することができる。
【0034】
なお、本実施の形態に係るフットカバー100においては、この開口部118の上縁の全周に亘ってフットカバー100の内側のみ(足Fが接する側:肌側)に伸縮性細幅生地116を設けている。さらに、この開口部118の上縁の全周に亘ってフットカバー100の外側(足Fが接する側とは逆側:靴側)のみ、または、外側および内側に伸縮性細幅生地116を設けるようにしても構わない。
【0035】
ここで、このように外側および内側に伸縮性細幅生地116を設ける場合においては、限定されるものではないが、(たとえば本願出願人により出願され公開された特開2014−133952号公報に記載されたように)伸縮性細幅生地116を折り返して折り返した線が開口部118の上縁に略一致するように設けるようにしても構わない。その結果、伸縮性細幅生地116の幅の略半分がフットカバー100の内側(足Fが接する側である内側:肌当接面側)に、伸縮性細幅生地116の幅のもう一方の略半分がフットカバー100の外側(足Fが接する逆側である外側:肌当接面の反対面)に、跨がって伸縮性細幅生地116が設けられている。この場合においては、フットカバー100の側面視における伸縮性細幅生地116の高さ方向の幅(
図2(C)に示すH)は、伸縮性細幅生地116の略1/2となる。この場合においても、伸縮性細幅生地116を重ね合わせる足長方向の長さ(
図2(C)に示すL)は、このフットカバー100の側面視における伸縮性細幅生地116の高さ方向の幅(
図2(C)に示すH=伸縮性細幅生地116の略1/2)よりも長い(L≧H)という条件を満足することはいうまでもない。
【0036】
さらに、このフットカバー100の踵部108の上縁におけるフットカバー100の内側(足Fが接する側:肌側)には、線状のシリコーン樹脂等やシリコーン樹脂等の薄い透明のシートで形成された踵部滑り止め150を設けることも好ましい。このフットカバーにおいてはシートではなく、波型かつ線状の3つのシリコーン樹脂を設けている。そして、この踵部滑り止め150が設けられる部分においては、伸縮性細幅生地116(より詳しくは踵側伸縮性細幅生地116B)について、フットカバー100の側面視における高さ方向(
図2(C)に示すHに平行な方向)の幅が他の部分よりも大きくなっている。このようにフットカバー100の踵部108において伸縮性細幅生地116の幅を太くして踵部滑り止め150を設けたことにより、足Fの踵との密着性を高めてフットカバー100が足Fの踵の部分からずれることをさらに防止することができる。なお、このような踵部108の構成は、本発明に係るフットカバーにおいて必須の構成ではない。
【0037】
さらに、限定されるものではないが、このフットカバー100においては、フットカバー100の着用時に発生する汗を吸湿するように、足底部104を構成する第2の伸縮性編地122が吸湿性を備えるようにすることも好ましい。たとえば、第2の伸縮性編地1
22として、第1の伸縮性編地120および/または第3の伸縮性編地130よりも吸湿性が大きく汗を吸いやすい生地を採用する。これにより、足底部104の領域全体が吸湿性を備えることができる。なお、このような吸湿性を備える領域を足底全体ではなく足底の一部に設けるようにしても構わない。
【0038】
さらに、足底部104において、足Fが接する側と反対側(靴の一例であるパンプスを履いたときにパンプスの内底に接する側)には、シリコーン樹脂等の薄いシートで形成された足底部滑り止めを設けることも好ましい。これにより、パンプスの内底との密着性を高めてパンプス内におけるフットカバー100の位置がずれることを防止できる。なお、この足底部滑り止めも、本発明に係るフットカバーにおいて必須の構成ではない。
【0039】
なお、このフットカバー100において、このフットカバー100を形成する、第1の伸縮性編地120、第2の伸縮性編地122および第3の伸縮性編地130と、伸縮性細幅生地116とが同じ共生地で形成されていても構わない。すなわち、このフットカバー100は、編地に関して全て同じ伸縮性編地(トリコット等)で形成されていても構わない。なお、このフットカバー100において、伸縮性細幅生地116は伸縮性編地に(より詳しくは、前側伸縮性細幅生地116Aは第1の伸縮性編地120に、後側伸縮性細幅生地116Bは第3の伸縮性編地130に)、熱プレス装置により加熱することにより伸縮性細幅生地116に塗布された接着剤が溶融して伸縮性編地と熱接着して接合されている。
【0040】
また、フットカバー100において、このフットカバー100を形成する第1の伸縮性編地120と第2の伸縮性編地122と第3の伸縮性編地130とが同じ生地でなく形成されていても構わないし(3つとも違う編地か2つは同じ編地)、第1の伸縮性編地120と第2の伸縮性編地122と第3の伸縮性編地130と伸縮性細幅生地116とが同じ生地でなく形成されていても構わない(4つとも違う編地か少なくとも2つは同じ編地)。
【0041】
以上のようにして、本実施の形態に係るフットカバー100によると、開口部118の周縁に沿って単一素材で構成された伸縮性細幅生地116(前側伸縮性細幅生地116Aおよび後側伸縮性細幅生地116B)が設けられ、この伸縮性細幅生地116は、その少なくとも一部に伸縮性が低く伸びにくい領域(前側伸縮性細幅生地116Aと後側伸縮性細幅生地116Bとを重ね合わせて縫合した重合領域110)を備える。このように開口部118の上縁の全周に亘って伸縮性細幅生地116を設けるだけではなく、伸縮性細幅生地116がその少なくとも一部に伸縮性が低く伸びにくい重合領域110を備えているので、このフットカバー100を履くときに伸縮性細幅生地116を伸張させると開口部118が大きく開くために履きやすく、かつ、このフットカバー100を履いた後は伸縮性細幅生地116を収縮して開口部118が小さくなるために歩行時にフットカバー100が脱げることがない。このため、少なくとも1つの足爪を覆い少なくとも1つの足指の付け根を覆わないような超浅履きのフットカバーであっても、(1)開口部の伸縮性が小さく(低く)伸びにくいためにフットカバーを履くときに開口部が十分に開かないで履きにくい問題、(2)開口部の伸縮性が大きく(高く)伸びやすいために歩行等の動作によってフットカバーが脱げたり位置ずれしたりする問題、を同時に解決することができる。
【0042】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。