(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却要素は、使用時において、前記バルーンの内面が前記バルーンの周囲の周りで前記冷却要素によって実質的に均一に冷却されるように前記バルーン内に配置される、請求項1に記載のカテーテル。
前記冷却要素の長軸に垂直な平面内で見た場合、前記冷却要素が前記バルーンの略中心に設けられるように、前記冷却要素は、前記フレキシブル熱伝達素子の内側に配置される、請求項1から5の何れか一項に記載のカテーテル。
前記フレキシブル熱伝達素子は、非対称な第1端部及び第2端部を有する実質的に円筒形のバルーンへと膨張するように構成される、請求項1から6の何れか一項に記載のカテーテル。
膨張流体を供給するために配置される前記導管、前記ガイドワイヤルーメン及び前記細長い冷却要素は、シャフトの内部に設けられ、前記フレキシブル熱伝達素子は、前記第1端部で前記シャフトに接着され、前記フレキシブル熱伝達素子は、前記第2端部で前記ガイドワイヤルーメンに接着される、請求項7に記載のカテーテル。
前記冷却要素は、第2のチューブの内部に設けられた第1のチューブを有し、前記第1のチューブは、前記第2のチューブと実質的に平行であり、前記第2のチューブは、前記第1のチューブから前記冷却要素を冷却するための冷却材の流れを受け取るように構成される、請求項1から8の何れか一項に記載のカテーテル。
使用時において、前記第1のチューブ及び前記第2のチューブは、前記第2のチューブの圧力が、前記第1のチューブより低くなるように操作される、請求項9に記載のカテーテル。
前記冷却要素は、前記第1のチューブから冷却材を受け取って前記冷却材を前記第2のチューブに提供するように構成される細長い冷却チャンバを有する、請求項9又は10に記載のカテーテル。
前記冷却要素は、前記第1のチューブから前記冷却チャンバに前記冷却材を搬送するように構成される制限チューブを更に有し、前記制限チューブは、前記第1のチューブより狭い内径を有する、請求項12に記載のカテーテル。
前記制限チューブ及び前記冷却チャンバは、前記冷却材が前記第1のチューブに沿って液体として運ばれる場合、前記冷却材の少なくとも一部は、前記制限チューブにおいて及び/又は前記冷却チャンバにおいて相変化して、前記第2のチューブを気体として通って帰還するように構成される、請求項13に記載のカテーテル。
血管に使用するとき、前記膨張したフレキシブル熱伝達素子は、前記血管の壁と前記膨張したフレキシブル熱伝達素子との間の流体流を塞ぐ、請求項1から15の何れか一項に記載のカテーテル。
前記冷却要素は、前記ガイドワイヤルーメンの端部に取り付けられておらず、前記冷却要素は、使用時において、冷却材の流れが、前記冷却要素を振動させるように構成される、請求項1から18の何れか一項に記載のカテーテル。
前記導管、前記ガイドワイヤルーメン及び前記冷却要素は、シャフトから突出しており、前記シャフトの内側で、前記冷却要素は、前記冷却要素の長軸に垂直な平面内で見た場合、平坦な円形状を有する外面を有する、請求項1から21の何れか一項に記載のカテーテル。
前記導管、前記ガイドワイヤルーメン及び前記冷却要素は、シャフトから突出しており、前記シャフトは、前記導管と、前記ガイドワイヤルーメンと、前記冷却要素との間の領域を占める固体を有する、請求項1から22の何れか一項に記載のカテーテル。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によれば、カテーテルの外面に設けられるフレキシブル熱伝達素子と、膨張したバルーンを形成するべく、フレキシブル熱伝達素子を膨張させるための膨張流体を供給するために配置される導管と、ガイドワイヤを受け入れるためのガイドワイヤルーメンと、バルーンを膨張させるための上記膨張流体を冷却するために配置される細長い冷却要素とを備え、膨張したときに、冷却要素がバルーン内の略中心にあり、上記ガイドワイヤルーメンが冷却要素に平行であり、冷却要素から半径方向にずれるように、上記冷却要素及び上記ガイドワイヤルーメンは、フレキシブル熱伝達素子の内側に配置される、カテーテルが提供される。
【0006】
好ましくは、上記冷却要素は、使用時において、バルーンの内面が、バルーンの周囲の周りで冷却要素によって実質的に均一に冷却されるように、バルーン内に配置される。
【0007】
好ましくは、細長い冷却要素は、バルーンの中心軸に平行な方向に長軸に沿って延びる。
【0008】
好ましくは、バルーンの中心軸は、細長い冷却要素の長軸から、0.1から0.5mm、より好ましくは0.2から0.4mmだけ半径方向にずれている。
【0009】
好ましくは、冷却要素の長軸に垂直な平面内で見た場合、冷却要素がバルーンの略中心に設けられるように、冷却要素は、フレキシブル熱伝達素子の内側に配置される。
【0010】
好ましくは、フレキシブル熱伝達部材は、冷却要素の長軸に垂直な平面内で見た場合、異方的に膨張して、バルーンを形成するように構成される。
【0011】
好ましくは、フレキシブル熱伝達素子は、第1の及び第2の非対称な端部を有する実質的に円筒形のバルーンへと膨張するように構成される。
【0012】
好ましくは、膨張流体を供給するために配置される導管、ガイドワイヤルーメン及び細長い冷却要素は、シャフトの内部に設けられ、フレキシブル熱伝達素子は、第1端部でシャフトに接着され、フレキシブル熱伝達素子は、第2端部でガイドワイヤルーメンに接着される。
【0013】
好ましくは、上記冷却要素は、第2のチューブの内部に設けられた第1のチューブを備え、第1のチューブは、第2のチューブと実質的に平行であり、第2のチューブは、第1のチューブから冷却要素を冷却するための冷却材の流れを受け取るように構成される。
【0014】
好ましくは、使用時において、第1のチューブ及び第2のチューブは、第2のチューブの圧力が、第1のチューブより低くなるように操作される。
【0015】
好ましくは、上記冷却要素は、第1のチューブから冷却材を受け取って上記冷却材を第2のチューブに提供するように構成される細長い冷却チャンバを備える。
【0016】
好ましくは、細長い冷却チャンバは、第2のチューブの端部と同一線上に配置されている。
【0017】
好ましくは、上記冷却要素は、第1のチューブから冷却チャンバに冷却材を搬送するように構成される制限チューブを更に備え、上記制限チューブは、第1のチューブより狭い内径を有する。
【0018】
好ましくは、制限チューブ及び冷却チャンバは、冷却材が第1のチューブに沿って液体として運ばれる場合、冷却材の少なくとも一部は、制限チューブにおいて及び/又は冷却チャンバにおいて相変化し、第2のチューブを気体として通って帰還するように構成される。
【0019】
好ましくは、上記バルーンは、実質的に円筒形状である。
【0020】
好ましくは、血管に使用するとき、膨張したフレキシブル熱伝達素子は、血管の壁と膨張したフレキシブル熱伝達素子との間の流体流を塞ぐ。
【0021】
好ましくは、導管は、フレキシブル熱伝達素子の膨張流体の帰還流を提供するように更に構成される。
【0022】
好ましくは、導管は、フレキシブル熱伝達素子の膨張流体の供給流を提供するための第3のチューブと、フレキシブル熱伝達素子の膨張流体の帰還流を提供するための第4のチューブとを備える。
【0023】
好ましくは、上記冷却要素は、ガイドワイヤルーメンの端部に取り付けられておらず、上記冷却要素は、使用時において、冷却材の流れが、冷却要素を振動させるように構成される。
【0024】
好ましくは、フレキシブル熱伝達素子は、単一壁の外側膜を有する。
【0025】
好ましくは、カテーテルは、フレキシブル熱伝達素子の膨張流体又は固化した膨張流体を加熱するためのヒーターを更に備える。
【0026】
好ましくは、導管、ガイドワイヤルーメン及び冷却要素は、シャフトから突出しており、シャフトの内側で、冷却要素は、冷却要素の長軸に垂直な平面内で見た場合、平坦な円形状を有する外面を有する。
【0027】
好ましくは、導管、ガイドワイヤルーメン及び冷却要素は、シャフトから突出しており、シャフトは、導管と、ガイドワイヤルーメンと、冷却要素との間の領域を占める固体を備える。
【発明を実施するための形態】
【0030】
身体へのカテーテルの挿入を容易にし、製造プロセスを単純化するため、既知のバルーンカテーテル、特にWO'414のそれにおいて、シャフト及びバルーンの内部の中心にガイドワイヤルーメン(GWL)を位置決めする動機付けがある。GWLは、バルーンの内部の中心に配置されるので、冷却要素は、冷却要素の長軸に垂直な平面内で見た場合、中心からずれるように設けられなければならない。バルーンが膨張される場合、バルーンの内部の流体の熱抵抗に起因して、冷却管からより遠いバルーンの表面の領域は、冷却管により近いものほど迅速に、又は効果的には冷却されない。バルーン及び任意の囲む組織の表面は、従って、不均一に冷える。
【0031】
本発明の実施形態が、バルーンカテーテルの新しく有利な設計を提供する。カテーテルの新しい設計は、冷却要素及びGWLを、フレキシブル熱伝達素子の内部に配置することによって、上記の不均一な冷却の課題を克服し、これにより、膨張する場合、冷却要素は、バルーンの内部で略中心にあり、GWLは、冷却要素に平行であり、冷却要素から半径方向にずれている。従って、バルーンを亘る熱伝達における空間的変化が、低減され、それにより、凍結療法を改善することが可能である。更になお、WO'414において開示されている冷却要素の利点は、保持されてよい。カテーテル設計は、特に冠動脈疾患の分野において広範囲の用途を有し、これは、プラーク安定化を含み得る。勿論、カテーテルのサイズは、用途に応じて調整され得、従って、カテーテルは、また、原則として、心房細動、腎交感神経焼灼術及び腫瘍切除の治療を含む他の用途に適している。
【0032】
カテーテルは、バルーンカテーテルであり、バルーン領域を除いて、共通のシャフトの内部に支持される複数のルーメンを備える。バルーン領域に、フレキシブル熱伝達素子が代わりに設けられる。フレキシブル熱伝達素子は、膨張するように構成され、バルーンを形成する。膨張流体を冷却するための冷却要素だけではなく、1又は複数のルーメンが、バルーンに膨張流体の供給及び帰還を提供するためにシャフトの内部に設けられる。冷却要素は、シャフトから延びており、バルーンの内部で支持されていないことが好ましいが、実施形態は、また、GWLに取り付けられている冷却要素を含む。
【0033】
冷却要素は、細長く、通常実質的に円筒形状であり、管状壁を備える。冷却要素は、また、好ましくは、冷却材の供給路及び帰還路を提供するための第1の及び第2のチューブを備え、第1のチューブ(本明細書では、供給ルーメンとも称される)は、より大きな第2のチューブ(本明細書では、帰還ルーメンとも称される)の内部に設けられる。第1のチューブ及び第2のチューブは、それぞれ細長く、互いに実質的に平行である軸に沿って延びる。帰還ルーメンの遠位先端は、閉じられてよく、その一方で、供給ルーメンの遠位先端は、開けられてよく、供給ルーメンの遠位先端は、冷却材が、供給ルーメンから第1の方向に帰還ルーメンへと流れ、次に、第1の方向と反対の第2の方向の流れは、帰還ルーメンに沿って戻り得るように、帰還ルーメンの端部から離れたところで停止してよい。冷却材が、供給ルーメンから帰還ルーメンに流れる場合、それは、体積が増加した領域へと移動し、結果的に、圧力が低下する。これは、冷却材における相変化を引き起こし、冷却材の少なくとも一部は、蒸発し、冷却要素の温度を減少させる。
【0034】
バルーンを膨張させるための流体の供給流及び帰還流を提供する1又は複数のルーメンは、冷却材を供給するために使用されるルーメンとは完全に別個のものであることが好ましい。バルーンの膨張及び冷却要素の冷却は、別個の機構によって実行されることが好ましく、これらの動作は、制御され互いに独立して操作され得る。
【0035】
カテーテルは、また、バルーン内部において膨張流体を加熱するための手段を含んでもよい。これは、例えば、膨張流体が治療中に凍結し、膨張流体を速やかに解凍する必要がある場合に使用され得る。そのような速やかな解凍を誘発する能力は、カテーテルが、例えば緊急状態等において動脈から迅速に取り出す必要がある場合に特に有益である。熱は、例えば、バルーンの内部だが冷却要素の外側に位置決めされ、ワイヤを介してカテーテルシャフトを下方へ流れ落ちる電流によって供給される、抵抗等の小型の電気ヒーター等、任意のタイプのヒーターによって提供され得る。加熱要素は、冷却要素の外面にプリントされた薄膜抵抗器、バルーン内部に位置決めされた個別抵抗、又は膨張流体自体によって形成され得る。膨張流体が加熱要素を形成する場合、ワイヤは、バルーンの近位端部及び遠位端部での電極に電気を供給し、膨張流体と接触しそこで終端し、これにより、AC又はDC電流がバルーン内部の膨張流体を通過し得、それを温めさせる。
【0036】
使用時において、カテーテルは、バルーン領域が、血管において冷却される組織の領域の隣に位置決めされるように、体へと挿入される。例えば、カテーテルが、凍結療法によるプラーク安定化のために代わりに使用される場合、バルーン領域は、プラークの隣に位置決めされ得る。カテーテルのバルーンは、液体によって膨張し、バルーンの外面は、組織と熱的接触する。冷却材は、冷却要素に供給され、冷却要素の温度は減少する。バルーン内の膨張液体は、冷却要素の外面に接触し、それにより冷却される。バルーンにおける気泡が、バルーンを通る熱伝導に対して影響を与えるので、膨張に先立ってバルーンから全ての気体を除去することが重要である。これは、通常、カテーテルが体へと挿入される前に真空ポンプ又はシリンジを使用して実行される。しかしながら、それは、代替として、インビボで実行されてよい。
【0037】
上記のカテーテル設計の有利な態様は、冷却要素の冷却材が、バルーンを膨張させるために使用される流体と同じではないということである。冷却要素は、冷却要素が閉じられていることから、冷却材の相変化を安全に支持し得る。冷却材は、膨張可能なフレキシブル熱伝達膜と流体連通していないので、それが、カテーテルから血管へと漏出する機会はほとんどなく、二重層のバルーンを有するという要件は、回避され得る。単一層のバルーンは、複数の膜を持つバルーンよりも、著しく操作しやすく、能率化されている。更に、カテーテル設計は、ダブルバルーンシステムを採用している既知の設計よりも簡素であり、これは、コスト及び製造の複雑さを低減する。
【0038】
冷却材帰還ルーメンの内部の冷却材供給ルーメンの配置は、冷却要素が、小さい断面積を保持することを可能にする。これは、ただ1つの冷却要素が必要とされる事実と相俟って、カテーテル(特にシャフト)が、小径を保持することを可能にする。これは、カテーテルを既知のカテーテル設計を挿入及び/又は操作することが困難である冠状動脈又はより小さい末梢血管系等、小径の動脈においての適用に特に適したものとする。
【0039】
好ましい冷却要素設計の更なる利点は、相変化に起因する冷却が、必要に応じて制御され得る明確に画定された位置において発生することである。これは、カテーテルシステムの効率を改善する、なぜなら、冷却材を搬送するルーメンは、冷却材と周囲の環境との間において高レベルの絶縁を必要としないからである。更に、供給及び帰還ルーメンの並列配置は、液体冷却剤が、カテーテルの遠位先端から戻る冷たい気体冷却材によって冷却された状態が保たれることを意味する。これは、液体冷却剤が、体の内部にある(従って、37℃にある)カテーテルのその部分へと流入する際に煮沸することを防止するのに役立つ。
【0040】
膨張したときに、冷却要素がバルーン内の略中心にあり、ガイドワイヤルーメンが冷却要素に平行であり、冷却要素から半径方向にずれるように、冷却要素及びガイドワイヤルーメンは、フレキシブル熱伝達素子の内側に配置される。バルーンの中心軸は、通常、冷却要素の長軸の方向に、細長い冷却要素を通って延びる。バルーンが細長い、例えば、実質的に円筒形状である実施形態において、バルーンの中心軸は、また、バルーンの主軸である。
【0041】
冷却要素の長軸は、一般的に、バルーンの中心軸と正確に同じではない。冷却要素とバルーンの表面との間の熱抵抗が、全ての半径方向(すなわち、冷却要素の長軸に垂直な全ての方向)において均一であるように、冷却要素を配置することが有利である。GWL(及びバルーンの内部に設けられ得る任意の他のルーメン)の存在を補償すべく、これは、冷却管が、バルーンの内部で正確にセンタリングされないことを意味し得る。冷却要素は、従って、バルーンの内部で「略中心」にあるだけである。いくつかの実施形態において、冷却要素の長軸は、バルーンの半径の0から33%のどれか、より典型的には0から20%だけ、バルーンの中心軸から遠位にずれていてよい。例えば、1mmの直径の冷却要素を有する円筒形状の3mmの直径のバルーンに関して、冷却要素の中心は、冷却要素の長軸に垂直な平面内で見た場合、バルーンの中心から0.5mmまでずれていてよい。冷却要素が、バルーンの内部で自由に振動し得るので、バルーンの内部の冷却要素の正確な位置は、使用中に僅かに変化し得る。しかしながら、GWLに対する冷却要素の配置は、同じままであるべきである。
【0042】
実施形態の更なる利点は、以下において提供される詳細な説明において提示される。
【0043】
図1は、実施形態に係るカテーテルの冷却要素105の設計の断面を示す。
図1の左側に示されるのは、冷却材の管状供給ルーメン102及び管状帰還ルーメン101である。供給ルーメン102は、実質的に同軸の構成で帰還ルーメン101の内部に位置決めされる。供給ルーメン102の端部は、制限チューブ103に接続され、それと流体連通している。制限チューブ103は、供給ルーメン102より狭い直径を有する。供給ルーメン102に接続されている帰還ルーメン101の他方の端部は、冷却要素105の円筒冷却チャンバ104において終わる。本実施形態において、冷却チャンバ104は、帰還ルーメン101より僅かに大きな直径を有し、帰還ルーメン101の外側に延びる。
【0044】
使用時において、加圧された冷却材の流れは、供給ルーメン102に入力される。冷却材は、液体又は液体及び気体の形態の冷却材の混合物であってよい。供給ルーメン102の端部における制限チューブ103は、供給ルーメン102の内においてほとんど圧力低下がなく、従って加圧された液体冷却剤のほとんど又は全てが、供給ルーメン102において液相に留まることを保証する。制限チューブ103の長さに沿って、圧力は、供給ルーメン102への接続における最大値から、冷却チャンバ104への制限チューブ103の出口におけるより低い圧力に低下する。液体冷却剤が制限チューブ103へと流入するとき、制限によって引き起こされる圧力降下は、液体の圧力が、その時点での周囲の温度におけるその蒸気圧力未満に降下することを意味する。これは、液体冷却剤の少なくとも一部が、蒸発して、気体へと相変化する原因となる。制限チューブ103から冷却チャンバ104へと流入する液体冷却剤もまた広がり、冷却チャンバ104及び/又は帰還ルーメン101の内部で蒸発する可能性がある。冷却材の拡張及び冷却材の相変化は、冷却チャンバ104の壁に対して冷却効果を有する。次に、冷却材は、液体及び/又は気体の形態で、冷却チャンバ104から帰還ルーメン101を通じて流れる。帰還ルーメン101の内部の圧力、及びそれにより冷却チャンバ104の内部の圧力は、真空ポンプによって低減されることが好ましい。後により詳細に説明される真空ポンプは、冷却要素105に接続されている帰還ルーメン101の他方の端部で動作する。圧力の減少は、拡張に起因する冷却効果及び冷却材の相変化の両方を増加させ、冷却チャンバ104における冷却材が、帰還ルーメン101へと流入することを保証する。
【0045】
図2は、
図1の冷却要素105の全体図を示す。冷却チャンバ104は、帰還ルーメン101より僅かに大きな直径を有する。より多くの冷却材が冷却チャンバ104において相変化するので、より大きな冷却効果が実現される。加えて、冷却チャンバ104の外径は、より大きな表面積を有し、従って、膨張流体を冷却することにおいてより有効である。
【0046】
好ましくは、冷却要素のルーメンは、加圧された冷却材の圧力に耐えることができるように、適度に強固な材料で作成されている。いくつかの実施形態において、これらのルーメンは、また、カテーテルが動脈のプロファイルに一致するように変形することができるような程度の柔軟性を有する。
【0047】
供給ルーメン102、帰還ルーメン101及び制限チューブ103は、ナイロン、3層の管、ポリイミド、PEBAX55D等のPEBAX(登録商標)、又は他の適している材料で作成され得る。供給ルーメン102及び帰還ルーメン101は、更なる強度及びフレキシブル特性を付加すべく、編まれた金属又はポリマーであってもよい。制限チューブ103及び供給ルーメン102は、それらが互いに一体であるか、又はそれらが別個の構成要素として構成され、次に接着剤で共に接合され得るように、同時に作成され得る。更に、冷却チャンバ104は、冷却チャンバ104が良好な熱伝導特性を有するように、全面的に又は一部分において銅で作成され得る。代替として、冷却要素105の全体は、ポリイミドで作成され得、なぜなら、この材料は、強く、壁が極めて薄く作成されることを可能にするからである。冷却要素105の全体に亘って同じ材料を使用することは、また、上記冷却要素の製造のしやすさを改善する。
【0048】
好ましくは、冷却材は、N
2Oであり、制限チューブ103に入り、全ての冷却材は実質的に液相にある。冷却材は、制限チューブ103から出てよく、一部のN
2Oは液相にあり、一部のN
2Oは気相にある。好ましくは、N
2Oのほとんどは、液相にある。
【0049】
図3に示されている実施形態は、冷却要素302の冷却チャンバ301が、帰還ルーメン101と同じ内径及び外径を有する点で、
図1に示されるものとは異なる。冷却チャンバ301は、未だに、帰還ルーメン101に接続されているものとは他方の端部で閉じられており、すなわちブロックされている。帰還ルーメン101、供給ルーメン102及び制限チューブ103の寸法及び材料は、
図1及び
図2を参照して上記と同じであってよい。冷却チャンバ301の、制限チューブ103の端部から冷却チャンバ301の閉じられた端部までの長さは、好ましくは1mmから15mmである。有利にも、冷却チャンバ301は、
図1及び
図2に示されているものより狭い。
【0050】
しかしながら、制限チューブ103及び別個の冷却チャンバ104の存在は、任意である。代替的な実施形態において、液体冷却剤は、供給ルーメン102の遠位先端(すなわち、端部)を通って、又は供給ルーメン102の壁における、その長さに沿って分布される1又は複数の開口を通っての何れかで、帰還ルーメン101へと、供給ルーメン102から直接流入し得る。この場合、冷却材の一部は、供給ルーメン102より低い圧力を有する帰還ルーメン101に入るために動く場合、相変化する場合がある。このより低い圧力は、帰還ルーメン101の環状内部体積が、供給ルーメン102の内部体積より大きいことを保証することにより、及び/又は真空ポンプを使用することにより実現され得る。
【0051】
図4は、実施形態に係るカテーテル10の透視図である。カテーテル10は、中空管状シャフト2を備え、中空管状シャフト2は、カテーテルの長さに沿って延び、バルーン領域1を除いて、内部に設けられるルーメンを包囲する。バルーン領域1に、膨張可能なフレキシブル熱伝達部材16が設けられる。シャフト2は、編まれた、又は編まれていないPEBAX55D等のPEBAX(登録商標)として、ポリエーテルブロックアミドで作成され、押出成形又は熱リフロープロセスを使用して形成される。
【0052】
シャフト2の内側は、導管18、細長い円筒冷却要素11及び円筒ガイドワイヤルーメン(GWL)17を備える。冷却要素11は、
図1から
図3において説明されている実施形態の何れかに類似していてよく、帰還ルーメン101の内部に設けられる供給ルーメン102を備える。
【0053】
冷却要素は、バルーン70へと膨張されるように構成される膜16の形態である膨張可能な熱伝達素子の内部に設けられる。冷却要素は、それがバルーンの遠位端部の近くで、好ましくは、バルーン領域1の遠位半分に沿って略中間で終端するまで、バルーン16の長軸に沿って一直線に延びる。冷却要素11は、中心に配置され、フレキシブル熱伝達部材16は、バルーン70が膨張する場合、実質的に均一な冷却分布が、バルーン70に亘って適用されるように成形される。特に、冷却要素11及びガイドワイヤルーメン(GWL)は、バルーン70の外側(すなわち、膨張可能な熱伝達膜16の表面)が、迅速にかつ均一に冷却されるように配置される。これは、
図5に関連してより詳細に後に議論される。
【0054】
GWL17は、使用時において、カテーテル10を患者の体内に位置決めするために、外科的に埋め込まれたガイドワイヤ15(
図5に示されている)を通すように構成される。GWL17は、カテーテル10の遠位先端のガイドワイヤ入口開口から、シャフト2に設けられるガイドワイヤ出口開口まで延びる(ラピッドエクスチェンジ(Rapid Exchange)カテーテルの標準である)。代替として、「オーバーザワイヤ(over the wire)」構成が使用されてよい。GWL17は、中空管であり、3層又は同種の材料で作成される。
【0055】
膨張可能な熱伝達膜16は、その近位端部でシャフト2の遠位先端に、その遠位端部でGWL17に接着されている。これらの2つの端部の間の中央領域は、実質的に細長く、実質的に円筒形状のバルーン70へと膨張されるように構成される。
図4の模式図は、シャフト2からバルーン領域1の近位端部で鋭い、一定の角度で円筒形状の領域に向かって延びる(この領域から遠位端部でGWL17に向かって戻る)膜16を示しているが、このプロファイルは、通常、テーパ状であり、その形状は、任意の内部支持部材ではなくフレキシブル熱伝達膜16の弾性及び形状によって主に決定されることを理解されたい。膜16がシャフト2からバルーン領域1の近位端部で延び、その後、バルーン領域1の遠位端部でGWL17に隣接する角度は、冷却要素11の長軸60(及びバルーンの中心軸50)の周りで変化する。
図4によって明らかであるように、これは、冷却要素11が、バルーン70の内部で中心に配置されることを保証する。これは、バルーン70の中心領域が、実質的に均一で円筒形状であるが、テーパ状の端部領域が、非対称であることを意味する。
【0056】
実施形態は、また、代替として、実質的に球状である膨張したバルーンを含む。しかしながら、バルーンの内部の冷却要素の中心位置決めを実現するべく、ある程度の非対称性が導入されてよい。導管18(本明細書では、膨張ルーメンと称される)は、膨張したバルーン70を形成するようにフレキシブル熱伝達膜16を膨張させるための膨張流体を供給するために設けられる。膨張ルーメン18は、シャフト2の内部に沿って延び、この実施形態において、シャフト2からバルーン領域1へと突出する。しかしながら、代替として、膨張ルーメンは、シャフト2の端部で終わってよい。いくつかの例において、2つ又はそれより多くの小さな膨張ルーメンの方が、1つの大きな膨張ルーメンよりもシャフト2の内部に収容することが物理的により容易であり得るので、いくつかの実施形態において、より速い膨張を可能にするべく、又はシャフト2の全体の断面積を低減するべく、複数の上記膨張ルーメンが設けられてよい。
【0057】
シャフト2、特に、シャフト2の内部に設けられるルーメン間の空間は、膨張ルーメン18における膨張流体の流れと逆方向に、バルーン70からシャフト2に沿って戻る膨張流体の流れを提供するための帰還路として機能し得る。別個の収縮管を設ける必要がないので、これは、シャフト2の内部の省スペース化を可能にする。代替として、シャフト2が、膨張ルーメンとして振る舞う間に、導管18が、収縮ルーメンとして振る舞うように、膨張流体の流れ方向は、逆転され得る。更に、シャフト2及び/又は膨張ルーメン18は、いくつかの状況において膨張ルーメン及び収縮ルーメンの両方として機能し得、その場合、圧力は、シャフト2及び/又は膨張ルーメン18の一端部で単に逆にされる。
【0058】
カテーテルが、小さな血管をより容易に通ることを可能にするように、小径を有するシャフト2を設けることが望ましい。実施形態において、これは、シャフト2の外壁が、シャフト2の内側ルーメン(膨張ルーメン18、GWL、冷却要素11、及び必要に応じて別個の収縮ルーメンを備える)の周りに押し出される、「リフロー」と称されるプロセスを使用して実現されてよく、これにより、内側ルーメンと外側表面との間の空間を完全に充填する固体を形成し、それにより、内側ルーメンを共に接合する。この複合構造は、シャフトが、内側ルーメンを囲む別個のチューブの形態で提供された場合の厚さよりも、リフローされるシャフトの壁の厚さを低減することを可能にする。通常、この低減は、シャフト5の外側チューブの厚さと等しく、これは、0.1mmと0.3mmとの間であり得る。
【0059】
代替的な実施形態において、シャフト2の全径は、シャフト2に亘って、冷却要素11の長軸に垂直な平面内で見た場合、楕円(oval)又は楕円(ellipse)等の平らな円の形態で外面を有する冷却要素11を設けることによって、低減され得る。この場合、シャフト2の内部に沿って延びる残りのルーメンは、冷却要素11のより小さな外径の周りに配置され得る。これは、そうでない場合に内側ルーメンをきつく囲むために使用される可能性があることと比べて、より小さな直径を有するチューブの形態でのシャフト2を可能にする。冷却要素11の帰還ルーメン101は、(シャフト2から突出する部分を含む)その長さに沿ってその平らな円形状の部分を維持するように形成され得る。代替として、帰還ルーメン101は、シャフト2の円形の断面の外部を維持しながら、シャフトの平らな円形の内部を形成するように、シャフト2の内部を変形させるコンプライアントの材料で形成され得る。
【0060】
実施形態において、冷却要素11は、バルーン領域1の内側でGWL17に取り付けられている。しかしながら、好ましい実施形態において、冷却要素11は、バルーン領域1の内側でGWL17に取り付けられておらず、従って、冷却チャンバは、自由に振動でき、すなわちGWL17の長軸に関して横方向に動く。
【0061】
帰還ルーメンの閉じられた遠位端部は、通常、供給ルーメンの開放された遠位端部から追加で約2.0から3.0mm延びてよい。この領域は、冷却チャンバ104と考えられ得る。
【0062】
人又は動物に対する心房細動及びプラーク安定化の治療を含み得る特定の用途のため、以下の寸法が望ましい場合がある。
冷却要素11
外径=0.35から1.0mm
外壁厚さ=0.019から0.05mm
長さ=15から30mm
帰還ルーメン101
外径=0.35から1.0mm
外壁厚さ=0.019から0.05mm
長さ=1000から1750mm
供給ルーメン102
外径=0.12から0.4mm
外壁厚さ=0.014から0.05mm
長さ=1000から1750mm
制限チューブ103
外径=0.0762から0.140mm
外壁厚さ=0.019から0.0254mm
長さ=5から50.8mm
膨張ルーメン18
外径=0.254から0.406mm
外壁厚さ=0.0191から0.0508mm
長さ=1000から1750mm
GWL17
外径=0.40から1.0mm
内径=0.35から0.95mm
長さ=650mm シャフト2
直径=1.35から3.3mm
【0063】
実施形態は、また、他の寸法、特にWO'414において提供されているような寸法を含み、それらは、参照により本明細書に組み込まれ、上記の寸法は、カテーテルが任意のサイズの血管で使用され得るように、スケールアップ又はスケールダウンされ得る。
【0064】
冷却要素は、バルーン70によって包含される。即ち、使用時において、冷却要素11は、バルーン70の膨張流体の内部にあり、膨張流体と冷却要素11との間に配置されたバルーン70の膜は存在しない。
【0065】
バルーン70は、通常15mmから30mmの長さであり、収縮する場合、好ましくは、カテーテルの外径が、収縮したバルーンによって増加されないように、シャフト2の外面と実質的に同一平面上にある。例えば、カテーテルの外径は、実質的に4Fr(すなわち1.333mm)であり得る。膨張する場合、バルーン70の外径は、2.5mmから4mmであってよい。しかしながら、心房細動の治療において、約24mm(例えば、+/−10%)の直径をもつより大きなバルーン70が必要とされる場合がある。ルーメン等のカテーテル構成要素の寸法は、用途、特に、バルーンが膨張するように構成されるサイズに応じて調整され得る。例えば、大きなバルーンをより迅速に膨張及び収縮するべく、又は、増大した冷却効果を適用するべく、より大きなルーメンが望ましい場合がある。
【0066】
バルーン70は、様々な材料で作成されてよく、有効な熱交換のために標的面積との良好なフィット及び組織周りのより均一な温度分布を確実にするべく、望ましくはコンプライアント又は半コンプライアントである。バルーン70は、また、もしこれが望ましい適用に適している場合は、ノンコンプライアントであってもよい。バルーン設計及び構造は、バルーン血管形成の分野において既知であるようになされてよい。しかしながら、実施形態において使用される膨張圧力は、血管形成において使用されるものよりも実質的に低いことから、バルーンは、強固である必要はなく、血管形成のために使用されるものほどの厚い膜を持つ必要はない。これは、バルーンは血管を拡大するために必要でないからである。実施形態におけるバルーンは、血管と良好な熱的接触をするためだけに必要であり、従って、バルーンは、好ましくは血管形成のために使用されるバルーンより薄い膜で作成される。バルーンは、コンプライアントバルーンに対してはシリコーン又はポリウレタン、ノンコンプライアントバルーンに対してはナイロン又はポリエステル等の様々な材料で作成され得る。壁の厚さもまた、実現されるべき特性に応じて変化するであろう。また、それらは、一般的に5から100ミクロンの範囲にある。バルーンは、また、熱伝達が血管の内側表面における組織から最適化されるように、実質的に滑らかな外部表面も有し得る。バルーンの材料及び厚さは、バルーンの壁を通じた熱損失を最小限にするべく、最適化され得る。
【0067】
バルーン70は、膜16から形成されてもよく、膜16は、成形され、伸張され、又はそうでなければ冷却要素の長軸に垂直な平面内で見た場合、バルーン70が、異方的に(すなわち、非対称に)膨張するように構成される。換言すると、バルーン70は、冷却要素11が、バルーン70の内部で略中心であることを保証するように、異なる量だけそれが固定されるGWL17から半径方向に拡張し得る。この例が、
図4に示されており、ここで、GWL17とバルーン70の上面Eとの間に延びるバルーン70の領域Aは、GWL17とバルーン70の下面Fとの間に延びる領域Bより大きい。
図4及び
図5の実施形態において、
図5のスケールから明らかであるように、範囲Aは、半径方向に2.3mm延び、その一方で、距離Bは、半径方向に0.2mm延びる。
【0068】
使用時において、膨張流体が、バルーン70を膨張させるべく、膨張ルーメン18に供給される。冷却要素11は、次に、上記の実施形態において記載されたような冷却材の拡張及び/又は蒸発によって冷却される。液体及び/又は気体であり得る冷却材の、供給ルーメン102から帰還ルーメン101への流入(設けられた場合、可能であれば、制限ルーメン及び冷却チャンバを介して)は、冷却要素の遠位端部を、それがGWL17に固定されていない場合、振動させる。有利にも、この冷却要素105の振動の動きは、冷却チャンバ104の上及び周りの膨張流体の撹拌を増加させ、それにより、膨張流体が冷却される速度及び膨張流体の温度均一性の両方を増加させる。膨張流体は、バルーン70の内面と接触しており、バルーン70は、それにより膨張流体が冷却されると冷却される。バルーン70の外面は、従って、冷却要素による膨張流体の冷却に起因して冷却される。オペレータが、十分な冷却がカテーテルに適用されていたと判断した場合、バルーン70は、収縮ルーメンを使用して収縮され、カテーテルが次に取り出され得る。
【0069】
カテーテルは、代替として、GWL17に固定される冷却要素11で実現され得る。しかしながら、これは、バルーンに対する冷却要素の相対位置を維持するのに役立つ。バルーンの振動は、冷却要素がGWLに固定されていない場合よりも低減され得るが、振動は、好ましくは、完全に防止されない。
【0070】
好ましくは、膨張流体は、固定された体積を有する。これは、膨張流体のカテーテルからのいかなる漏出によって引き起こされるいかなる損傷も制限する。膨張流体の任意の漏出はまた、バルーン70が膨張している場合に膨張流体の圧力を監視することによって、又は手術後の膨張流体の量が、手術の開始時の量と同じであるかを決定することによっても、検出され得る。
【0071】
膨張流体は、好ましくは、液体である。これにより、たとえカテーテルからの漏出があるとしても、その漏出は気体ではなく液体の漏出である。膨張流体は、生理食塩水等の塩化ナトリウムを含む、塩化ナトリウム濃度約0.9%の溶液、又はより高い塩化ナトリウム濃度、好ましくは25%の塩化ナトリウム濃度の溶液であってよい。膨張流体は、好ましくは、水をベースとし、凝固点を下げるべく、様々な添加剤を含み得る。添加剤は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、アンモニア、エタノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、プロパノン及びブタノンのうち1又は複数を含み得る。造影剤を含む他の添加剤もまた、使用され得る。膨張流体は、また、好ましくは無菌である。膨張流体が無菌であることを保証するべく、膨張流体は、事前にパックされた袋又はカテーテルに接続されたシリンジ等の別個の容器から提供され得る。
【0072】
膨張流体を膨張ルーメン18へと供給するための同じ装置は、それが膨張流体を除去することによってバルーン70を収縮させることもまた可能であるように、それの動作を逆にしてもよい。例えば、膨張流体は、シリンジのプランジャを押すオペレータによってルーメン18内へと注入されてよい。同じシリンジがまた、プランジャを引き抜くオペレータによって膨張流体を除去するためにも使用され得る。有利にも、そのような配置は、オペレータが、プランジャ引き抜きに続いて膨張回路における混入された気泡又は血をチェックすることによって、オペレータが、膨張流体の一部でもカテーテルから漏出していたかを容易に決定することを可能にする。
【0073】
図5は、
図4のカテーテルの、X‐X'平面に沿った断面図である。冷却要素11及びGWL17の、バルーン70の中心(すなわち、「縦」又は「主」)軸50に対する配置が、模式的に示されている。冷却要素11は、先に説明したように、帰還ルーメン101の内部に同軸に配置された供給ルーメン102を備える。冷却要素11は、バルーン70の中心軸50に平行な方向にその長軸60に沿って延びる。長軸60は、(軸50及び軸60に垂直な)半径方向に距離dだけ中心軸50から変位される。しかしながら、冷却要素11は、未だに、バルーン70の内部に略中心に配置され、バルーン70の中心軸50は、冷却要素11を通って延びている。この場合、中心軸50は、供給ルーメン101と帰還ルーメン102との間の環状領域を通って延びる。他の実施形態において、バルーン70の中心軸50は、供給ルーメン101を通って延びてよい。長軸60は、通常、中心軸50から、0.5mm未満、より典型的には0.1mmと0.4mmとの間だけ半径方向にずれている。
【0074】
バルーン70の中心軸50と、冷却要素11の長軸60との間の離間距離dは、冷却要素11が、周囲の膨張流体を冷却する場合、バルーン70の(対向する端E及び端Fを含む)表面が均一に冷却されるように、膨張流体に対するGWL17の増大した熱抵抗が補償されるように選択される。
【0075】
GWL17は、中心軸50が、GWLを通って延びないように、バルーン70に対して略中心からずれて設けられる。GWL17の外側は、通常、少なくとも0.5mm、より好ましくは0.5から1.8mmだけ中心軸50から半径方向にずれている。
【0076】
スケールが、また、
図5に示され、実施形態に係る可能な配置の例を図示する。スケールは、バルーン70の対向する端E及び端Fから延びる。この実施形態において、3mm直径の膨張したバルーン70は、1.0mm直径の帰還ルーメン101の内部に設けられる0.4mm直径の供給ルーメン102を有する冷却要素11を収容する。0.5mm直径のGWL17も設けられる。図示されているように、帰還ルーメン101は、端Eから1.3mmから2.3mmまで延び、バルーン70の端から1.8mmの距離にその長軸60を有する。バルーンは、1.5mmの半径を有し、バルーン70の中心軸50と冷却要素11の長軸60との間の距離dは、この場合0.3mmである。他の実施形態において、この離間は、0.1mmと0.5mmとの間、より好ましくは0.2mmと0.4mmとの間であり得る。
【0077】
図5に見られるように、GWL17は、それが冷却要素11の外側と接触するように、端Eから約2.3mmから2.8mmまで延びる。膨張流体が、冷却要素11及びGWL17の外側を囲み、GWL17の外側とバルーン70との間の2.8mmから3.0mmまでの領域を含む、バルーン70の内部に示されている残りの体積を満たす。代替的な実施形態において、GWL17は、バルーン70の表面を形成するフレキシブル熱伝達膜16と少なくとも部分的に接触していてよいが、しかしながら、好ましくは、GWL17は、膜16に取り付けられていない。
【0078】
図6は、血管の標的部分を冷却するべく、本明細書で記載された実施形態に従って、カテーテルを使用するための例示的なシステムの図である。具体的に記載された構成要素の幾つかは、システムの動作に必須でなくてよいが、文脈のためだけに記載されていることは理解されるであろう。適切であり、機能的に類似の又は同等の構成要素が、交換可能に使用されてよい。
【0079】
システムは:
‐冷却材シリンダー1001と、
‐圧力調整器1002と、
‐トライコネクタ1004と、
‐真空ポンプ1005と、
‐膨張デバイス1003と、
‐カテーテルシャフト1006とを備える。
【0080】
図6において図示されていないが、システムは、また、本明細書において記載される実施形態の何れかに従って、カテーテル端部も備える。
【0081】
冷却材シリンダー1001は、冷却材の供給を制御するためのディップ管及びスピゴットバルブを有する。フレキシブルな高圧ホースが、冷却材シリンダーを圧力調整器1002に接続する。圧力調整器からの注入管は、トライコネクタ1004に接続する。また、トライコネクタに接続されているのは、膨張デバイス1003に接続された膨張チューブ及び真空ポンプ1005に接続された真空管である。トライコネクタは、注入管、真空管及び膨張チューブを互いに分離するように保持する。トライコネクタは、また、カテーテルシャフト1006に接続し、それにより、カテーテルと、冷却材供給、真空ポンプ、及び膨張デバイスとの間の流体連結及び/又は気体連結をサポートする。
【0082】
システムは、また、液体冷却剤がカテーテルに入る前にそれを冷却するべく、
図6に図示されていない熱交換器を含み得る。これは、冷却材が患者の体内の温かい環境に入るにつれてそれが煮沸することを防止するであろう。熱は、冷凍回路又はペルチェクーラーを使用することによって、液体冷却剤から除去され得る。
【0083】
システムは、当該システムがソフトウェア制御され得るようにコンピュータを更に備えてよく、当該コンピュータは、1又は複数の制御、及び/又はグラフィカルユーザインタフェース等のユーザインタフェースを有する。システムは、また、1又は複数のセンサから受信される信号に基づいて、温度及び/又は圧力の監視のためのアセンブリを更に含み得る。
【0084】
膨張デバイス1003は、プランジャが押される場合に、膨張流体をカテーテルシャフト1006へと流入させることによって動作する。膨張デバイスは、また、プランジャが引き抜かれる場合に膨張流体がカテーテルからデバイスへと流れて戻ることから、収縮デバイスでもある。膨張デバイスは、代替として、電気ポンプであってよい。
【0085】
電気真空ポンプであってよい真空ポンプ1005は、冷却材の帰還ルーメンに動作する。真空ポンプ1005は、有利に、冷却要素の帰還ルーメン及び/又は冷却チャンバにおいて圧力を低下させ、それにより、発生する冷却材の相変化の量を増加させる。真空ポンプ1005は、また、(提供された)供給ルーメン及び冷却チャンバにおける冷却材が、帰還ルーメンへと流れることを保証する。
【0086】
真空ポンプ1005を帰還ルーメンに適用することの更なる利点は、帰還ルーメンの圧力が、体内の通常の血圧よりも比較的低いことである。使用時において、帰還ルーメンが漏出した場合、これは、冷却材が流れ出るよりもむしろ、血液が帰還ルーメンへと流れる結果をもたらす。真空ポンプ1005は、それにより、カテーテルの安全性を改善する。
【0087】
システムは、また、膨張デバイス1003と別個に、トライコネクタへの追加の別個の接続を通してカテーテルシャフト1006と流体連通している収縮デバイスを備えてよい。収縮デバイスは、電気真空ポンプ等の真空ポンプであってよい。
【0088】
カテーテルの動作に影響を与える変数は、膨張したバルーンの圧力及びバルーンの外面の温度である。これらの両方は、
図6のシステムが操作されるような方法によって制御可能である。バルーンの圧力は、膨張デバイス1003によって膨張流体の量、及び圧力を制御することによって制御可能である。バルーンの外面の温度は、冷却要素の温度、及び冷却要素がどのくらいの期間、膨張流体を冷却してきたかの両方に依存する。冷却要素の温度は、カテーテルへと流れる冷却材の圧力及び量を制御することによって制御可能である。膨張流体が冷却要素によって冷却される時間の長さは、いつ、システムオペレータがカテーテルへの冷却材の流れを開始し、カテーテルへの冷却材の流れを停止するかによって容易に制御される。
【0089】
好ましくは、バルーンの圧力は、5ATM(507kPa)より低く維持され、通常、3.5ATM(355kPa)と4.5ATM(456kPa)との間であるが、3ATM(304kPa)又は1ATM(101kPa)まで低くてよい。再狭窄又は閉塞をもたらす血管において起こる反応のリスクを低減するべく、有効な治療のためにバルーン圧は可能な限り低いことが望ましい場合がある。高圧凍結療法の適用に対する短期的反応は、また、平滑筋細胞の増殖であることが多く、危険な可能性がある。細胞をかなり切除することなくプラーク及び血管から熱を除去するために、組織界面温度は、所望の範囲内において維持されることが好ましい。本文献の全体に亘って、全ての圧力は、ゲージ圧として、つまり気圧を上回る圧力として与えられていることに留意されたい。
【0090】
バルーンの外面の温度は、適用を考慮して適切な範囲内に維持される。例えば、凍結療法のため、温度は、+15℃(288K)と−35度(238K)との間で維持されることが好ましく、0℃と−30℃との間(273Kから243K)で維持されることがより好ましい。心房細動(及び組織切除が必要とされる他の用途)に関して、温度は、通常約−80℃(193K)だが、だいぶより低く、例えば、−50℃と−90℃との間(223Kと183Kとの間)であってよい。
【0091】
正確な温度は、標準的技法に従って、治療用途に依存する。バルーンの種類及び熱負荷に応じて、内側バルーン温度と外側バルーン温度との間において、約10℃から40℃の温度差があってよく、これは、システムを制御する場合に補償され得る。
【0092】
好ましくは、センサが、フィードバック制御システムにおける温度及び圧力を監視し、それにより、制御するべく、バルーンにおいて、又は単にバルーンの内部等、カテーテル端部において、又はカテーテル端部の近くにおいて内部に提供される。例えば、熱電対が、GWL又は冷却材帰還管に固定され、バルーン内部の温度を測定してよい。1又は複数の更なる熱電対が、バルーン組織界面温度を測定するべく、バルーンの内面又は外面に取り付けられてよい。加えて、圧力センサが、バルーンの内部に配置され、バルーン内の圧力を正確に監視し、それにより制御してよい。圧力センサは、流れの無い開放された油圧管であってよく、或いは、インフレータの近くの膨張回路において位置決めされてもよく、そうすることによって管内の流体圧力は、カテーテルの外側で測定される。圧力センサは、また、圧電トランスデューサ、光ファイバートランスデューサ又は他の種類のセンサであってもよい。圧力センサ及び流量計もまた、圧力及び冷却材の流れを測定するべく、冷却材回路において位置決めされてもよい。
【0093】
温度及び圧力信号の両方が、バルーン圧及び/又は表面温度が所望の範囲内に留まるように、冷媒流を制御するために使用され得る。圧力トランスデューサは、また、異常圧を検知することによって、カテーテル内におけるいかなる漏出も検出するために使用されてもよい。温度センサは、また、バルーンによって血管閉塞を検出するために使用されてもよい。
【0094】
先に記載されたように、カテーテルは、また、バルーン内において、膨張流体又は固化した膨張流体を加熱するための手段も含んでよい。有利に、これは、凍結している膨張流体が、必要な場合に迅速に解凍することを可能にする。
【0095】
センサ、加熱するための手段及びカテーテルの遠位端部における任意の他のデバイスを支持するべく、システムは、電源を提供し、信号を制御し、センサ信号をデータへと変換するように構成された、1又は複数の電源、データインタフェース、又は他の信号処理ユニットへのコネクタを更に含んでよい。電気配線は、ルーメンと一緒に、又はカテーテルシャフトの外側に沿ってカテーテルシャフトに収納されてよい。
【0096】
膨張流体の体積は、固定されており、かつ、小さいことが好ましい。これは、いかなる漏出によって引き起こされる損傷も最小化する。バルーンを膨張させるための膨張流体の注入は、例えば、ボタンを押すオペレータによって、自動的に制御され、実行されてよい。代替として、膨張流体は、手動で注入されてよい。
【0097】
既知の技術に従って、カテーテルの1又は複数の部分は、X線不透過性であってよく、及び/又はX線不透過性マーカを含んでもよい。これは、カテーテルのオペレータを援助する。
【0098】
冷却要素は、通常、帰還ルーメンの内部に設けられる供給ルーメンによって特徴付けられる。供給ルーメンは、帰還ルーメンの内部に中心に位置決めされ得るが、これは、必須ではない。供給ルーメンは、代替として、帰還ルーメンの側面に沿って位置してもよく、又は、その帰還ルーメンの内部の位置が、変化し得るように、帰還ルーメンに決して固定されなくてもよい。
【0099】
本発明の更なる実施形態が、細長い冷却要素がまたガイドワイヤルーメンであるものを含む。例えば、冷却要素自体は、別個のガイドワイヤルーメンが必要とされないように、ガイドワイヤを受け入れるように構成されてよい。冷却要素が、供給ルーメンの内部に設けられた帰還ルーメンを備える実施形態において、供給ルーメン又は帰還ルーメンの何れかが、ガイドワイヤを受け入れるように配置されてよい。これは、設計を簡略化する利点を提供し、それにより、より構造的な支持を提供するだけではなく、シャフトの全体的なサイズが低減されることを可能にする。
【0100】
更なる実施形態は、上記のように、実施形態に対して作成され得る多数の修正及び変化形を含む。特に、図において提供されている全ての寸法は、おおよそであって、実施形態は、異なる寸法を持つカテーテル設計を含む。更に、寸法は、治療されている人又は動物のサイズに応じて変化してもよい。本文献の全体に亘って、様々な特徴が、ルーメン及び管として記載されている。これらの用語は、交換可能に使用されてよく、上記特徴は、また、導管として見なされてよい。
【0101】
上述の実施形態において、冷却要素は、シャフトの当接端部と実質的に直線であり、同一線上にあることが好ましい。冷却要素は、剛性及び非フレキシブルであってよい。しかしながら、冷却要素は、それが、曲がることができるように、フレキシブルであることが好ましい、なぜなら、バルーンが、動脈の湾曲部分に位置決めされる場合に適切であるからである。
【0102】
上記のシステムの動作において、動作温度及び圧力が提供される。しかしながら、実施形態は、これらの動作温度及び圧力に決して限定されない。更に、動作温度及び圧力は、応用に応じて変化してよい。特に、実施形態はカテーテル、及びカテーテルをサポートする、国際公開第2012/140439 A1においての開示に従って操作されるシステムを含み、それの全体のコンテンツが、参照することにより本明細書に取り込まれている。
【0103】
実施形態に係るバルーンは、血管形成のために使用されるバルーンより薄い膜を有し得る。しかしながら、実施形態は、また、バルーンが、冷却管における漏出の場合に二次バリアとして有利に機能するように、血管形成において使用されるものと同じ厚さのバルーンを使用することを含む。
【0104】
本発明の他の実施形態は、本明細書を考慮すること、及び本明細書で開示されている実施形態を実施することによって、当業者にとって明らかになるであろう。本明細書及び例は、以下の請求項で示される本発明の真の範囲及び主旨を持ち、例示的だけであるとして考慮されることを意図している。