特許第6972455号(P6972455)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972455天然ガスまたはメタンを蓄積するためのブロック状のナノ多孔質炭素材料、およびその材料を得るための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972455
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】天然ガスまたはメタンを蓄積するためのブロック状のナノ多孔質炭素材料、およびその材料を得るための方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/20 20060101AFI20211111BHJP
   C07C 7/12 20060101ALI20211111BHJP
   C10L 3/00 20060101ALI20211111BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20211111BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20211111BHJP
   C01B 32/15 20170101ALI20211111BHJP
【FI】
   B01J20/20 E
   C07C7/12
   C10L3/00 Z
   B01J20/28 Z
   B01J20/30
   C01B32/15
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-559822(P2018-559822)
(86)(22)【出願日】2017年6月14日
(65)【公表番号】特表2019-521837(P2019-521837A)
(43)【公表日】2019年8月8日
(86)【国際出願番号】RU2017000412
(87)【国際公開番号】WO2017222420
(87)【国際公開日】20171228
【審査請求日】2019年9月12日
(31)【優先権主張番号】2016124918
(32)【優先日】2016年6月22日
(33)【優先権主張国】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】517179767
【氏名又は名称】パブリチノエ アクツィオネルノエ オブスチェストヴォ “ガズプロム”
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194892
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 麻美
(74)【代理人】
【識別番号】100207653
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100178445
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 淳二
(72)【発明者】
【氏名】フォムキン,アナトリイ アレクセエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ツィヴァドゼ,アスラン ユスポヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】アクシウティン,オレグ イェヴゲニエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】イシコヴ,アレクサンドル ガヴリロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ストリズヘノフ,エヴゲニイ ミカイロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】シコリン,アンドレイ ヴヤチェスラヴォヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】メンシチコフ,イルヤ イェヴゲニエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】シェヴチェンコ,アレクサンドル オヌフリエヴィッチ
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−509174(JP,A)
【文献】 国際公開第94/001714(WO,A3)
【文献】 特開2011−001264(JP,A)
【文献】 特開2007−187312(JP,A)
【文献】 米国特許第04999330(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00 − 20/34
C01B 32/00 − 32/991
F17C 11/00
C07C 7/11 − 7/135
C10L 3/00 − 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガスまたはメタンを蓄積するためのブロック状のナノ多孔質炭素材料の製造方法であって、前記ナノ多孔質炭素材料の見かけ上の嵩密度が600kg/m以上であって、炭化および活性化された固体有機物由来材料から得られたナノ多孔質炭素材料が700〜1000μmの平均顆粒画分に粉砕され、3〜12重量%の高分子結合剤と5〜80重量%の蒸留水が粉砕された材料に加えられ、混合され、150kgf/cm〜3000kgf/cmの圧力で成形され、成形されたブロックが110〜150℃の温度で3〜48時間乾燥されることからなることを特徴とする天然ガスまたはメタンを蓄積するためのブロック状のナノ多孔質炭素材料の製造方法
【請求項2】
前記ナノ多孔質炭素材料が、立方体、または平行六面体、または円筒形、または球面扇形、または四面体として形成されたブロックで得られることを特徴とする請求項1記載の方法
【請求項3】
ラテックスまたはポリ酢酸ビニルが高分子結合剤として使用されことを特徴とする請求項1又は2記載の方法
【請求項4】
成形がプレス機または押出機を用いて行われことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のグループは、ナノ多孔質の複雑な系を有する活性炭材料であって、必要に応じて、天然ガスまたはメタンの貯蔵、分配、および輸送のための特殊な取り外し可能な吸着装置において、材料の最大密度充填を達成するために特定形状のブロックに形成可能な活性炭材料に関し、その製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスおよびメタンを貯蔵するための非伝統的な方法の中で、吸着法は、貯蔵システム内の特別な気候条件を維持する必要がないので、現在最も有望である。さらに、ナノ多孔質材料の合成のために新たに開発されたアプローチは、吸着剤の製造を提供しており、これは、消費者に分配される天然ガスの量に関して、(圧縮された形態での)既存の加圧天然ガス貯蔵システムと競合する。
【0003】
ナノ多孔質炭素吸着剤は、天然ガス/メタンの蓄積のための既存の吸着剤の中で最も有望である。これは、それらの吸着特性によって決定され、それらは、ガス蓄積のための最も活性な収着細孔において、拡張された多孔性および0.5〜1.0cm/gの大きな相対ナノ細孔体積を有する。大部分の炭素吸着剤における平均有効ナノ細孔サイズは、天然ガス/メタン吸着のための炭素材料において室温で良好な拡散特性を提供することができる1〜2nmまたはそれ以上である。収着−脱着プロセスは可逆的である。炭素吸着剤の高い嵩密度は、貯蔵システム内の気相体積を減少させ、その結果、蓄積ガスの体積密度を増加させる。
【0004】
大部分の炭素吸着剤は、周囲温度の変化による貯蔵システムの温度変化を減少させることができる材料自体の高い熱容量に加えて、比較的低いガス吸着熱を有する。炭素吸着剤は、天然ガス湿度に対する要求を弱めることを可能にする疎水性を有する。
【0005】
炭素吸着材の多孔質構造は、十分な強度と安定性を有し、それらは周期的負荷力に抵抗することができる。
【0006】
特殊な吸着装置を使用することにより、炭素材料に基づく吸着ガスターミナルの実施を拡大することが可能であり、その全容積は吸着材料の特定のブロックで満たされる。このようなアプローチは、除外された寄生的な気相の体積、および高容量炭素材料の使用によって、吸着ターミナルの効率を改善することができる。
【0007】
一般に、炭素多孔質材料は、様々なタイプの石炭、泥炭、石油残渣、種々のナッツの殻、木材廃棄物、およびバイオマス廃棄物を含む、固体有機材料の熱分解(炭化)の後の、蒸気、および/または二酸化炭素、および/または空気酸素によるそれの物理的活性化、または有機酸による化学的活性化によって生成される[Fenelonov V.B. Porous Carbon. - Novosibirsk, 1995, 513p.]。
【0008】
ナノ構造微多孔質炭素材料も知られており(特許RU2307704、公開日2007年10月10日)、それは、1〜2nmの大きさの1個または2個のグラファイト様単層粒子によって形成されたセルからなるナノ構造セル状システムであり、比表面積SBET=3170〜3450m/g、全細孔容積Vpor=1.77〜2.97cm/g、微細孔容積W=1.48〜1.87cm/g、および全細孔容積の特徴的なサイズ分布、を有している。材料を調製するために、籾殻を、温度550℃で、γ−AlにCuO+MgO+Cr(10〜15重量%)を塗布してなる触媒の沸騰床中で炭化する。生成物をKOH溶液と混合し、水を蒸発させ、次いで生成物を700℃の活性化反応器に入れる。この出願によれば、この材料は、大きな細孔容積および高い比表面積により、メタンおよび水素の高い吸着容量値を有する。しかし、最も効果的なガス蓄積が典型的である、7MPaまでの圧力範囲では、大きな細孔容積は、必ずしも蓄積ガス量の指標ではないが、蓄積されたガス吸着エネルギー対細孔容積の比は、重要な因子である。最初の近似では、BETに従う比表面積SBETに対する蓄積されたガス比容積の依存性は、この比の任意の材料に対する天然ガス蓄積能力への影響の推定基準とみなすことができる。SBET約1500m/gで得られた最大値の後、吸着蓄積効率は、炭素吸収剤の比表面積SBETの増加に伴って減少し、その結果、このような材料は、大量の天然ガス/メタンを貯蔵することができない。メタンのための最大収着活性細孔(d=0.5〜1.5nm)の画分が全体積の23.7%を超えない場合、広い細孔径分布は、材料の欠点にもなる。その上、この材料は、その低い嵩重量および高い粉塵形成を規定する粉末から提供され、その材料を使用する蓄積システムにおいて火災の危険性を著しく増大させる可能性がある。
【0009】
高度に微孔質の活性炭に基づく高性能吸着剤が知られており(特許RU2378046、公開日2010年1月10日)、それは、高度に微孔質であり、以下のようなパラメータ:グールビチ(Gurvich)の方法によって決定された全細孔容積が少なくとも0.7cm/gであり、20Å以下の微細孔分率が全細孔容積の少なくとも70%を占め、平均細孔径が最大30Åであり、比表面積SBETが少なくとも1500m/gである:によって特徴付けられる、好ましくは球形の離散粒子の形態の炭素材料を代表している。活性炭の離散粒子の形態の、メソ細孔およびマクロ細孔によって特徴付けられる高度に多孔性の活性炭に基づく高性能吸着剤も知られており(RU2426591)、直径が20Åを超える細孔(すなわち、メソおよびマクロ細孔)は、全細孔容積の少なくとも55%であり、吸着剤は、25Åを超える細孔径分布中心値によって特徴付けられ、BET法による比表面積は、少なくとも1250m/gである。これらの材料を得るための方法は、主として硫化されたジビニルベンゼン結合ポリスチレンの球状粒子の形態の、ゼラチン状スチレンおよびジビニルベンゼン(2〜10重量%)の硫化コポリマーの炭化とその後の活性化にある。これらの材料である高分子炭素吸着剤の特徴は、その表面構造にあり、吸着された物質分子との相互作用において主吸着場を形成する炭素原子の特定の存在量は、それらの構造中に化学的に結合した水素H原子および硫黄S原子のために(活性炭としての)いずれの炭素吸着剤よりも著しく低い。これは、メタンを含む、減少した吸着容量をもたらす。さらに、これらの材料は、天然ガス/メタンの貯蔵のためには広すぎる少なくとも18.57Åの細孔を有しており、これが低メタン吸着エネルギー、したがって貯蔵された天然ガス/メタンの低比容積を規定している。特許請求された嵩密度値は、250〜750kg/mの範囲であり、特許請求された材料が球状顆粒であることを考慮すると、狭い顆粒サイズ分布の場合、嵩密度値は約400kg/mを超えてはならず、嵩密度を増加させることは、顆粒サイズ分布を広げ、200μm未満のサイズの顆粒画分を増加させることによってのみ可能であり、それは、実際には木炭の粉塵となる。その結果、これらの材料は、嵩密度が低く、その増加は、吸着システムの運転安全性を損なう。
【0010】
問題と達成された結果によって本発明に最も類似ししているのは、炭素材料であり(特許RU2446098、公開日2012年3月27日)、これは、形成されたナノ構造の微孔質炭素吸着剤であり、リグノセルロース材料(灰分含量8〜20重量%)炭素化の後続の段階である、ナトリウムまたはカリウムの炭酸塩および/または水酸化物の存在下でのアルカリ活性化、すすぎ、結合材料との混合、および成形(押出)によって製造される。炭素化は、400〜800℃および触媒空気酸素対リグノセルロース材料炭素のモル比0.8〜3.0で、1〜60秒間、不活性媒体の沸騰床中で行われる。アルカリ活性化は、不活性または還元性雰囲気中で600〜1000℃で実施され、活性化後の製品すすぎは、酸性溶液および蒸留水を用いて実施され、成形は、変性澱粉、カオリン、またはポリウレタン接着剤を用いて実施され、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、必要に応じて、600〜100℃で0.5〜5時間焼成する。成形は、手動で、または3〜10mmのサイズのダイ穴を有する押出機を用いて行われる。結合剤対炭素材料の比は、重量で0.5〜50:1であり、溶媒は、最適な成形粘度を得るための量で用いられる。成形後乾燥は、50〜200℃で3〜48時間行われる。製造された材料は、比表面積1560〜2550m/g、全細孔容積1.0〜1.5cm/g、および微細孔容積0.6〜1.3cm/gを有する。この材料は、様々な吸着物に対して大きな比表面積および高い吸着容量値を有する。
【0011】
この発明の欠点は、天然ガス/メタンに対する吸着エネルギーが低いことであり、約10Åが必要とされる(メタンに対する最大吸着活性細孔)[Anuchin K. M., Fomkin A. A., Korotych A. P., Tolmachev A. M. Adsorptive Concentration of Methane. Dependence of Adsorbate Density on Width of Slit Micropores in Activated Carbons. // Surface Physics and Chemistry, and Material Protection. 2014, v. 50, No. 2, p. 156 - 160]のに対して、これは、吸着剤の幅広いナノ細孔によって20Åに規定されている。著者が細孔径分布に関するデータを提示しなかったにもかかわらず、比較的大きな細孔幅について間接的証拠があり、材料を成形する段階において、大きな細孔画分が結合剤で詰まり、成形段階前でVΣ=2.2cm/g、Vmic=1.9cm/g、成形段階後でVΣ=1.0〜1.5cm/g、Vmic=0.6〜1.3cm/gである。また、著者らは、成形された炭素材料の嵩密度および硬度に関するデータを提示していないため、その動作性能の推定は不可能である。
【発明の概要】
【0012】
本発明のグループの目的は、高い嵩密度(600m/kgを超える)、天然ガス/メタンの蓄積に最適な8〜14Åの平均有効ナノ細孔幅(直径)、およびVmic=0.5cm/gを超えるナノ細孔容積を有する、ブロック状のナノ多孔質炭素材料を開発することである。
【0013】
本発明のグループの技術的な結果は、貯蔵システム内の体積単位当たりの材料中に蓄積される天然ガス/メタンの量を増加させ、吸着材料の嵩密度を600kg/m以上まで増加させ、また、貯蔵システムを充填するための特殊な取り外し可能な吸着装置における吸着材料の充填密度を95%以上まで増加させ、その一方、拡散性能を保持することにある。
【0014】
本発明の技術的な結果は、天然ガス/メタンの蓄積のためのブロック状のナノ多孔質炭素材料が、0.5cm/g以上のナノ細孔容積、8〜14Åの平均有効ナノ細孔幅、600kg/m以上の見かけ上の嵩密度を有することで達成される。
【0015】
特に、天然ガス/メタンの蓄積のためのブロック状のナノ多孔質炭素材料は、立方体、または平行六面体、または円筒形、または球面扇形、または四面体として形成されたブロックを示す。
【0016】
本発明の技術的成果は、天然ガス/メタンの蓄積のためのブロック状のナノ多孔性炭素材料の製造方法が、炭化および活性化された固体有機物由来材料から得られたナノ多孔質炭素材料を使用することで達成され、それは、700〜1000μmの平均顆粒画分に粉砕され、3〜12重量%の高分子結合剤と5〜80重量%の蒸留水が粉砕された材料に加えられ、混合され、150kgf/cm〜3000kgf/cmの圧力で成形され、成形されたブロックは、110〜150℃の温度で3〜48時間乾燥される。
【0017】
ラテックスまたはポリ酢酸ビニルを高分子結合剤として使用することができる。成形は、プレス機または押出機を用いて行われる。
【0018】
製造されたナノ多孔質炭素材料のブロックは、ブロック状の立方体、または平行六面体、または円筒形、または球面扇体、または四面体の形状と、600m/kgを超える嵩(見かけ上の)密度、X=8〜14Åの平均有効ナノ細孔幅(直径)、Vmic=0.5cm/gを超えるナノ細孔容積を有する。ナノ細孔容積および平均有効ナノ細孔幅の測定は、77Kの標準的な窒素蒸気等温線によって行われ、200℃で0.1Paの圧力までの材料の予備的再生の後に行われた。多孔質構造パラメータの決定は、標準的なBET技術[Brunauer S. Adsorption of Gases and Vapours. Moscow, World Literature Publishers, 1948, v. 1, 781 p.]によって、ミクロ細孔容積充填の理論[Dubinin M. M. Adsorption and Porosity. Moscow, VAHZ, 1976]に従って行われた。材料の嵩(見かけ上の)密度の測定は、GOST R 55959「活性炭」嵩密度決定のための標準的手法−所定の体積のサンプリングのための手法を除く−に記載の手法に従って行われた。サンプリングは、材料ブロックのランダムな選択によって実施された。材料容積の決定は、GOST 166によるキャリパーゲージおよび/またはGOST 427による測定ルーラを使用した材料のパラメータの測定、、および適切な方程式による容積の計算によって行われた。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のグループについては、以下の実施例によって説明される。
【実施例1】
【0020】
炭化され活性化されたヤシ殻から製造された顆粒化ナノ多孔質炭素材料AS−1を800〜1000μmの画分に粉砕し、試料を約230gの全重量で採取し、それに12重量%のラテックスおよび60重量%の蒸留水を加え、混合し、プレス機の下に置いて10分間、300kgf/cmの圧力下で保持し、取り出し、温度130℃の乾燥室に12時間置いた。製造された材料は、0.61cm/gのナノ細孔容積、12.2Åの平均有効細孔幅、および638kg/mの嵩(見かけ上の)密度を有する。秤量された試験片に7MPaの圧力と20℃の温度で蓄積された天然ガスの体積は、吸着材料1リットル当たり164.5リットルのCHであった。このメタン蓄積量は、グラム量で得られた実験室の炭素吸着剤に相当する。吸着材料ブロックの「半有効」時間または所定の量の天然ガスが吸着されるときの半分の時間は、0.35秒(較正試験では0.33秒)であり、これは、貯蔵システムのガス動態(拡散)特性における吸着材料の多孔質構造の顕著な効果を示すことができない。
【実施例2】
【0021】
実施例1とは異なり、粉砕したナノ多孔質材料に6重量%のラテックスおよび25重量%の蒸留水を加えた。製造された材料は、0.60cm/gのナノ細孔容積、12.4Åの平均有効孔幅、および623kg/mの嵩(見かけ上の)密度を有する。秤量された試験片に7MPaの圧力と20℃の温度で蓄積された天然ガスの体積は、吸着材料1リットル当たり161.3リットルのCHであった。吸着材料ブロックの「半有効」時間は、0.34秒であった。
【実施例3】
【0022】
実施例1とは異なり、原料として、炭化され活性化された黒炭から選られたナノ多孔質材料AP−2を使用して、重量325gの試料に6重量%のラテックスと25重量%の蒸留水を加えた。製造された材料は、0.50cm/gのナノ細孔容積、14.0Åの平均有効孔幅、および703kg/mの嵩(見かけ上の)密度を有する。秤量された試験片に7MPaの圧力と20℃の温度で蓄積された天然ガスの体積は、吸着材料1リットル当たり162.1リットルのCHであった。吸着材料ブロックの「半有効」時間は、0.37秒であった。
【実施例4】
【0023】
炭化され活性化された無煙炭から得られた粉末状のナノ多孔質炭素材料ACIKを700〜900μmの画分に粉砕し、試料を約14.1gの全重量で採取し、それに3重量%のラテックスと5重量%の蒸留水を加え、混合し、プレス機の下に置いて20分間、3000kgf/cmの圧力下で保持し、取り出し、温度150℃の乾燥室に3時間置いた。製造された材料は、0.5cm/gのナノ細孔容積、8.2Åの平均有効細孔幅、および980kg/mの嵩(見かけ上の)密度を有する。秤量された試験片に10MPaの圧力と20℃の温度で蓄積された天然ガスの体積は、吸着材料1リットル当たり218.5リットルのCHであった。吸着材料ブロックの「半有効」時間または所定の量の天然ガスが吸着されるときの半分の時間は、0.4秒であった。
【実施例5】
【0024】
炭化され活性化された泥炭から得られた粉末状のナノ多孔質炭素材料AF−3を700〜1000μmの画分に粉砕し、試料を約370gの全重量で採取し、それに12重量%のラテックスと80重量%の蒸留水を加え、混合し、プレス機の下に置いて30分間、150kgf/cmの圧力下で保持し、取り出し、温度110℃の乾燥室に48時間置いた。製造された材料は、0.54cm/gのナノ細孔容積、13.0Åの平均有効細孔幅、および600kg/mの嵩(見かけ上の)密度を有する。秤量された試験片に10MPaの圧力と20℃の温度で蓄積されたメタンの体積は、吸着材料1リットル当たり160.0リットルのCHであった。吸着材料ブロックの「半有効」時間または所定の量のメタンが吸着されるときの半分の時間は、0.37秒であった。
【0025】
本発明の他の多くの実施形態は、本発明のグループの範囲内で実施することもできる。
【0026】
本発明のグループの利点は以下の通りである。記述された説明および実施例から分かるように、本材料は、天然ガス/メタンの蓄積の課題を解決するために、高い嵩密度および最適な細孔構造を有する。得られた材料は、貯蔵、流通および輸送システムにおける天然ガス/メタンの高性能蓄積材として適用することができる。