(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スケジュール制御手段は、当該室外機の状態が、冬の朝から午前の所定時までは、まず、前記第1の状態となり、その後、前記第2の状態となることを繰り返すように前記デマンド制御手段をスケジュール制御することを特徴とする請求項1に記載の空調制御システム。
前記スケジュール制御手段は、当該室外機の状態が、夏の昼から午後の所定時までは、まず、前記第1の状態となり、その後、前記第2の状態となることを繰り返すように前記デマンド制御手段をスケジュール制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の空調制御システム。
同一の建家内に設けられた複数の室内機と、該複数の室内機に冷媒回路を介してそれぞれ接続されている複数の室外機とを備えており、前記スケジュール制御手段は、前記複数の室内機及び前記複数の室外機を複数のグループに分け、該分けた複数のグループの室外機の状態が前記第1の状態及び前記第2の状態を交互に繰り返すようにローテーション運転するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の空調制御システム。
前記スケジュール制御手段は、当該室外機の状態が、春及び秋においては、まず、前記第2の状態となり、その後、前記第3の状態となることを繰り返すように前記デマンド制御手段をスケジュール制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の空調制御システム。
同一の建家内に設けられた複数の室内機と、該複数の室内機に冷媒回路を介してそれぞれ接続されている複数の室外機とを備えており、前記スケジュール制御手段は、前記複数の室内機及び前記複数の室外機を複数のグループに分け、該分けた複数のグループの室外機の状態が前記第2の状態及び前記第3の状態を交互に繰り返すようにローテーション運転するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の空調制御システム。
前記スケジュール制御手段は、当該室外機の状態が、定休日又は休業日においては、前記第1の状態となるように前記デマンド制御手段をスケジュール制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の空調制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載されている従来のスケジュール制御装置によると、室温を設定温度にスケジュール制御することは可能であるが、空調機器によって消費される総電力量を適切に削減することはできず、最適な省エネ効果を期待することができなかった。また、これら従来のスケジュール制御装置は、空調機器を製造する段階からスケジュール制御するように設計されている装置であり、このようなスケジュール制御機能を有していない既存の一般的な空調機器にスケジュール制御を適用することはできなかった。
【0007】
従って本発明の目的は、複数の空調機器を適切にスケジュール制御することにより、最適な省エネ効果を得ることができる空調制御システムを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、スケジュール制御機能を有していない一般的な空調機器についてもスケジュール制御することが可能な空調制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、空調制御システムは、少なくとも1つの室内機と、少なくとも1つの室内機に冷媒回路を介して接続されている少なくとも1つの室外機と、少なくとも1つの室外機の各々に設けられ、その室外機の状態を、電力使用量を制限しない第1の状態、電力使用量を所定割合に制限する第2の状態又は電力使用量をほぼゼロに制限する第3の状態に切り替えするためのデマンド制御手段と、あらかじめ定めたスケジュールに基づいて少なくとも1つの室外機のデマンド制御手段を制御し、少なくとも1つの室外機の電力使用量を第1の状態、第2の状態又は第3の状態に切り替え制御するスケジュール制御手段とを備えている。スケジュール制御手段は、その室外機による成績係数COPが1.0を超えるように、季節及び時刻に応じて設定された制御内容でデマンド制御手段をスケジュール制御する。
【0010】
スケジュール制御手段が室外機のデマンド制御手段を季節及び時刻に応じてスケジュール制御する際に、その室外機による成績係数COPが1.0を超えるように制御しているため、室温をスケジュールに応じた設定温度に制御できると共に、総電力量を季節及び時刻に応じて削減することができ、最適な省エネ効果を得ることが可能となる。
【0011】
スケジュール制御手段が、その室外機の状態が、冬の朝から午前の所定時までは、まず、第1の状態となり、その後、第2の状態となることを繰り返すようにデマンド制御手段をスケジュール制御することが好ましい。
【0012】
スケジュール制御手段が、その室外機の状態が、夏の昼から午後の所定時までは、まず、第1の状態となり、その後、第2の状態となることを繰り返すようにデマンド制御手段をスケジュール制御することも好ましい。
【0013】
この場合、同一の建家内に設けられた複数の室内機と、複数の室内機に冷媒回路を介してそれぞれ接続されている複数の室外機とを備えており、スケジュール制御手段は、複数の室内機及び複数の室外機を複数のグループに分け、このように分けた複数のグループの室外機の状態が第1の状態及び第2の状態を交互に繰り返すようにローテーション運転するように構成されていることがより好ましい。
【0014】
スケジュール制御手段が、その室外機の状態が、春及び秋においては、まず、第2の状態となり、その後、第3の状態となることを繰り返すようにデマンド制御手段をスケジュール制御することも好ましい。
【0015】
この場合、同一の建家内に設けられた複数の室内機と、複数の室内機に冷媒回路を介してそれぞれ接続されている複数の室外機とを備えており、スケジュール制御手段は、複数の室内機及び複数の室外機を複数のグループに分け、このように分けた複数のグループの室外機の状態が第2の状態及び第3の状態を交互に繰り返すようにローテーション運転するように構成されていることがより好ましい。
【0016】
スケジュール制御手段が、その室外機の状態が、定休日又は休業日においては、第1の状態となるようにデマンド制御手段をスケジュール制御することも好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、室温をスケジュールに応じた設定温度に制御できると共に、総電力量を季節及び時刻に応じて削減することができ、最適な省エネ効果を得ることが可能となる。しかも、スケジュール制御機能を有していない一般的な空調機器についてもスケジュール制御することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明の空調制御システムの一実施形態における全体のシステム構成を概略的に示しており、
図2は本実施形態の空調制御システムにおける各要素間の信号の流れを示している。
【0020】
図1に示すように、本実施形態における空調制御システムは、建家10内に設けられた室内機11と、屋外に設置されており、室内機11に冷媒回路12を介して接続されている室外機13とを備えている。図示の例では、建家10内に単一の室内機11が設けられ、この室内機11と室外機13とによって1つの空調機器が構成されているが、複数の室内機を単一の室外機に対応させても良い。なお、この建家10内に複数の室内機を設けると共にこれに対応する複数の室外機を屋外に設け、それらをグループ分けして別個に制御できるように(グループ制御するように)構成しても良い。本実施形態においては、図示のように、室外機13以外の複数の室外機が設けられており、各室外機は図示されていない建家に設けられた単数又は複数の室内機に冷媒回路を介して接続されている。
【0021】
建家10内には、室内温度を検知するための温度センサ14と、対応する室外機13用の分電盤15又はその入出力電線に取り付けられ、その室外機13の電力量を測定するために電流を検出する電流センサ(CTセンサ)16と、これら温度センサ14及びCTセンサ16に接続されたゲートウェイデバイス(GWデバイス)17とが設けられている。本実施形態では、温度センサ14の検出した室温情報は、無線でGWデバイス17に送信されるように構成されており、CTセンサ16の検出した電流情報は、有線でGWデバイス17に送信されるように構成されている。GWデバイス17は、LTE(次世代の高速携帯通信規格)等を採用した高速無線回線を介して、IPC(プロセス間通信)チャネルを利用したクラウド上のサーバであるIPCクラウドサーバ18に接続されている。また、室外機13を含む複数の室外機の接点制御インタフェース(例えば、デマンドアダプタ)の制御端子には、デマンド制御用の接点信号を送るデマンド制御装置19が有線で接続されている。このデマンド制御装置19は、LTE等を採用した高速無線回線を介してIPCクラウドサーバ18に接続されており、IPCクラウドサーバ18から送られてくるスケジュール制御情報と時刻とに基づいて種々の接点信号を作成し出力するコンピュータ機能を有している。
【0022】
本実施形態では、LANによって互いに接続されている2つのデマンド制御装置19が設けられており、各デマンド制御装置19は、複数の(本実施形態では最大8つの)室外機のデマンド制御端子にそれぞれ有線で接続されている。
【0023】
図2に示すように、IPCクラウドサーバ18には、本空調制御システムのスケジュール制御情報があらかじめ登録されており、さらに、制御対象となる室外機を指定する対象室外機情報等の制御用初期設定情報並びに測定対象となる温度センサ及びCTセンサを指定する情報等の測定用初期設定情報を含む初期設定情報が登録されている。このIPCクラウドサーバ18からデマンド制御装置19へは、初期設定時に対象室外機情報等の制御用初期設定情報が送付されると共に、季節毎にその室外機のスケジュール制御情報が送付されるように構成されている。逆に、デマンド制御装置19からIPCクラウドサーバ18へは、制御対象空調機器の制御状態、即ち室外機13の制御状態を表す制御状態情報が送付される。また、IPCクラウドサーバ18からGWデバイス17へは、初期設定時に対象温度センサ及びCTセンサ情報等の測定用初期設定情報が送付される。温度センサ14は、初期設定された測定対象エリア、本実施形態では室内10の温度を測定し、その測定結果はGWデバイス17からIPCクラウドサーバ18へ送付される。CTセンサは、初期設定された測定対象空調機器、本実施形態では室外機13の電流を測定し、その測定結果はGWデバイス17からIPCクラウドサーバ18へ送付される。
【0024】
IPCクラウドサーバ18は、GWデバイス17を含む複数のGWデバイス及びデマンド制御装置19を含む複数のデマンド制御装置と高速無線回線を介して情報及び指示の送受を行う無線通信装置と、サーバ本体と、サーバ本体の制御プログラム及び空調機器(室外機)毎のスケジュール制御情報を格納しているデータベースとを備えており、データベース内に格納されているあらかじめ定められたスケジュール制御情報に基づいて各室外機のデマンド制御を行う。このデマンド制御は、365日及び24時間のスケジュール制御を行うものであり、室外機の状態を、電力使用量を制限しない第1の状態(100%制御、デマンド制御無し)、電力使用量を所定割合に制限する第2の状態(例えば、40%制御)、又は電力使用量をほぼゼロに制限する第3の状態(サーモオフ)に切り替えし、各室外機による成績係数COPが1.0を超えるように、季節及び時刻に応じて設定された制御内容でスケジュール制御する。なお、本実施形態では、室外機の状態を第1の状態、第2の状態及び第3の状態の3つの状態に制御しているが、制御する状態の数はこのように3つに限定されるものではなく、4つ以上であっても良い。また、第2の状態を40%制御としているが、この割合は、0%を超えかつ100%未満の他の値であっても良い。さらに、第1の状態、第2の状態及び第3の状態の制御時間も後に述べる時間に限定されるものではない。
【0025】
図3は本実施形態の空調制御システムによって制御される空調機器(室外機、エアコン)の負荷率と成績係数COPとの関係を表している。上述のごとくあらかじめ定められたスケジュール制御情報に基づいて室外機のデマンド制御を行うことにより、エアコンを、COPが1.0以下となる効率の悪い負荷率のエリア30で動作させるのではなく、COPが1.0を超える高COPエリア(効率の良い負荷率のエリア31、負荷率が50%近辺となるエリア)で動作させることができる。
【0026】
なお、成績係数COP(Coefficient Of Performance)とは、エアコンの消費効率を示す指標であり、空気を一定温度とするのに使用した電力量を示す値であり、以下の式で求められる。
COP=(定格冷房又は暖房能力(kW))/(定格消費電力(kW))
COPの値が高ければ高いほど効率よく冷暖房が行われていることとなり、COPの値が低ければ低いほど効率が悪いこととなる。従って、COPを向上させるようにスケジュール制御すれば、空調使用電力量の削減が可能となる。即ち、COPが1.0を超えるようにスケジュール制御すれば、室温をスケジュールに応じた設定温度に制御できると共に、総電力量を季節及び時刻に応じて削減することができ、最適な省エネ効果を得ることが可能となる。
【0027】
図4は本実施形態の空調制御システムにおけるスケジュール制御の処理フローを概略的に示している。IPCクラウドサーバ18のサーバ本体はインストールされた制御プログラムに従って同図に示すようなスケジュール制御処理を実行する。
【0028】
まず、制御対象となる空調機器(室外機)を決定する(ステップS1)。次いで、データベースを参照し、その空調機器の制御対象エリアがスケジュール制御を実施すべきエリアかどうか判別する(ステップS2)。スケジュール制御を実施しないエリアの空調機器であると判別した場合(NOの場合)、100%制御(デマンド制御無し、接点0制御)を24時間実施するように指示する信号をその空調機器のデマンド制御装置へLTEを用いて送信する(ステップS3)。デマンド制御装置は、これにより、室外機のデマンド制御端子の接点0をオンにする接点0信号を24時間その制御端子へ出力する。
【0029】
ステップS2において、スケジュール制御を実施すべきエリアの空調機器であると判別した場合(YESの場合)、データベース及び現在の月日を参照し、その空調機器の制御対象エリアが定休日、休業日又は特別休業日であるかどうか判別する(ステップS4)。定休日、休業日又は特別休業日であると判別した場合(YESの場合)、前述のステップS3へ進み、100%制御(デマンド制御無し、接点0制御)を24時間実施するように指示する信号をその空調機器のデマンド制御装置へLTEを用いて送信する。デマンド制御装置は、これにより、室外機のデマンド制御端子の接点0をオンにする接点0信号を24時間その制御端子へ出力する。
【0030】
ステップS4において、定休日、休業日又は特別休業日ではないと判別した場合(NOの場合)、データベース及び現在の月日を参照し、その空調機器の1日のスケジュール制御情報を読み出してその空調機器のデマンド制御装置へLTEを用いて送信する(ステップS5)。デマンド制御装置は、これにより、時刻毎の接点信号を作成しその室外機のデマンド制御端子へ出力する。なお、デマンド制御装置は、次のスケジュール制御情報を受け取るまで、前に受け取った1日のスケジュール制御情報に基づく接点信号を作成し、デマンド制御端子へ出力するように構成されている。
【0031】
月日(季節)及び時刻に応じた空調機器のスケジュール制御例を表1に示す。
【0033】
このスケジュール制御は、例えば、月日が冬の12月10日であれば、時刻が00時から10時までは、100%制御(デマンド制御無し)を20分行った(動作1)後、40%制御(接点1制御)を10分行い(動作2)、10時まで30分毎のこの動作1及び動作2のサイクルを繰り返す。時刻が10時から24時までは、40%制御を50分行った(動作1)後、0%制御(接点2制御)を10分行い(動作2)、24時までこの動作1及び動作2のサイクルを繰り返す制御である。
【0034】
このスケジュール制御において、デマンド制御装置は、IPCクラウドサーバ18から、該当する月日における1日分スケジュール制御情報を受け取り、00時から10時までは、室外機のデマンド制御端子の接点0をオンにする接点0信号を20分間出力し、続けて接点1をオンにする接点1信号を10分間出力することを繰り返す。10時から24時までは、室外機のデマンド制御端子の接点1をオンにする接点1信号を50分間出力し、続けて接点2をオンにする接点2信号を10分間出力することを繰り返す。
【0035】
また、例えば、月日が夏の8月1日であれば、時刻が00時から16時までは、100%制御(デマンド制御無し)を20分行った(動作1)後、40%制御(接点1制御)を10分行い(動作2)、16時まで30分毎のこの動作1及び動作2のサイクルを繰り返す。時刻が16時から24時までは、40%制御を継続して行う制御である。
【0036】
このスケジュール制御において、デマンド制御装置は、IPCクラウドサーバ18から、該当する月日における1日分スケジュール制御情報を受け取り、00時から16時までは、室外機のデマンド制御端子の接点0をオンにする接点0信号を20分間出力し、続けて接点1をオンにする接点1信号を10分間出力することを繰り返す。16時から24時までは、室外機のデマンド制御端子の接点1をオンにする接点1信号を出力することを継続する。
【0037】
また、例えば、月日が春又は秋の4月又は10月であれば、時刻が00時から24時まで、40%制御(接点1制御)を40分行った(動作1)後、0%制御(接点2制御)を20分行い(動作2)、24時間、1時間毎のこの動作1及び動作2のサイクルを繰り返す制御である。
【0038】
このスケジュール制御において、デマンド制御装置は、IPCクラウドサーバ18から、該当する月日における1日分スケジュール制御情報を受け取り、00時から24時まで、室外機のデマンド制御端子の接点1をオンにする接点1信号を40分間出力し、続けて接点2をオンにする接点2信号を20分間出力することを繰り返す。
【0039】
その後、IPCクラウドサーバ18は、全ての空調機器についてスケジュール制御を行ったかどうか判別し(ステップS6)、行っていないと判別した場合(NOの場合)、ステップS1へ戻り上述の処理を繰り返す。ステップS6において、全ての空調機器についてスケジュール制御を行ったと判別した場合(YESの場合)、スケジュール制御処理を終了する。
【0040】
このようなスケジュール制御を行うことにより、以下に説明する作用効果を得ることができる。
(1)冬の立ち上がり
12月1日〜3月31日の特に07時〜10時(店舗、会社等においては、営業時間に応じて異なる時間となり得る)において、接点0(100%制御)を20分、接点1(40%制御)を10分のサイクルを繰り返し、10時以降は通常制御を行う。冬の立ち上がり時は外気温と求める室内気温との差の大きいことが多く、蓄熱されるまで熱量が必要となることから、立ち上がり時は最小限のデマンド制御として蓄熱を促進させる。その後、所定時刻(この例では10時)より、通常制御を開始することにより、快適性を保持しつつ省エネ効果を得ることができる。
(2)夏のピーク
7月1日〜9月30日の特に12時〜16時において、接点0(100%制御)を20分、接点1(40%制御)を10分のサイクルを繰り返す。夏のピーク時は外気温が高くなることから、このピーク時は最小限のデマンド制御として温度上昇を抑制し、ピーク以外では、通常制御を行うことにより、快適性を保持しつつ省エネ効果を得ることができる。
(3)春秋(端境期)
4月1日〜6月30日、及び10月1日〜11月30日の全日(24時間)において、接点1(40%制御)を40分、接点2(0%制御、サーモオフ)を20分のサイクルを繰り返す。春や秋の端境期は空調機器の負荷率が低く、COPが低下するため、この端境期はサーモオフを含む制御を行い、特に室内に複数の空調機器が設けられている場合は、ローターション運転を行うことにより、快適性を保持しつつ省エネ効果を得ることができる。
(4)定休日、休業日又は特別休業日
この日は基本的に空調を行わないため、24時間、接点0(100%制御)としてデマンド制御を行わないことで省エネ効果を得る。必要時のみ、空調機器自体の温度制御で運転を行う。
【0041】
図5は本実施形態の空調制御システムによって得られる効果を説明しており、スケジュール制御を行うことにより、余剰な空調電力量が削減できることを表している。即ち、制御前の空調電力量を例えば50%制御した場合、50%より上方の破線部分が削減され、さらに、50%より下方
のCOPが改善されることとなる。
【0042】
図6は本実施形態の空調制御システムにおける年間の空調電力量の推移を実際に測定した結果を表しており、横軸は月日を、縦軸は空調電力量をそれぞれ表している。同図に示すように、1月から3月の冬60は空調電力量が平均的にかなり大きく、そのピークは朝方である。7月から8月の夏61も空調電力量が平均的に大きく、そのピークは午後である。4月から5月の春62及び10月の秋63は空調があまり使用されず、使用時も空調電力量が低いため負荷率も低い。
【0043】
図7はスケジュール制御しなかった場合及びスケジュール制御した場合の冬の立ち上がり時の空調電力量及び室内温度の推移を表している。同図において、横軸は時刻を、縦軸は空調電力量及び室温をそれぞれ表している。また、aはスケジュール制御せず、室温が労働衛生安全法の17℃〜28℃の範囲内になるようにデマンド制御した場合の空調電力量、bはその場合の室温、cは00:00〜10:00は100%制御、10:00〜24:00は40%制御のスケジュール制御を行い、かつ室温が労働衛生安全法の17℃〜28℃の範囲内になるようにデマンド制御した場合の空調電力量、dはその場合の室温をそれぞれ表している。
【0044】
スケジュール制御しなかった場合、08:00において室温bが17.1℃となり、労働安全衛生法の室温範囲内となったため、40%制御を開始している。このようにスケジュール制御しなかった場合、40%制御となったため、室温bが上がりづらくなり、午前中は20℃に到達しなかった。20℃に到達したのは14:00であった。一方、スケジュール制御した場合、08:00において室温dが17.5℃となっている。また、09:00において、スケジュール制御した場合は室温dが20.1℃となっているが、スケジュール制御しなかった場合は室温bが17.2℃であった。10:00において、スケジュール制御した場合は室温dが21.6℃となっているが、スケジュール制御しなかった場合は室温bが17.4℃であった。スケジュール制御した場合、10:00以降は40%制御となる。
【0045】
図8はスケジュール制御しなかった場合及びローテーション運転でスケジュール制御した場合の夏のピーク時の空調電力量及び平均負荷率の推移を表している。同図において、横軸は時刻を、縦軸は空調電力量及び平均負荷率をそれぞれ表している。また、eはスケジュール制御しなかった場合の平均負荷率、fは空調機器を2つのグループに分け100%制御及び40%制御の60分間隔のローテーション運転によるスケジュール制御を行った場合の一方のグループの空調電力量をそれぞれ表している。
【0046】
スケジュール制御しなかった場合、平均負荷率eは、終日30%程度で一定である。これに対して、複数の空調機器を2つのグループに分け、100%制御及び40%制御を60分間隔でローテーション運転するスケジュール制御を行った場合、その一方のグループの空調電力量fは、平均負荷率が上昇し、省エネ効果が向上した。ローテーション運転することなく、100%制御及び40%制御の交互運転を行っても平均負荷率が上昇し、省エネ効果が向上することが確認された。
【0047】
図9はスケジュール制御しなかった場合及びローテーション運転でスケジュール制御した場合の春及び秋の空調電力量及び平均負荷率の推移を表している。同図において、横軸は時刻を、縦軸は空調電力量及び平均負荷率をそれぞれ表している。また、gはスケジュール制御しなかった場合の平均負荷率、h及びiは空調機器を2つのグループに分け100%制御及び40%制御の60分間隔のローテーション運転によるスケジュール制御を行った場合の2つのグループの空調電力量をそれぞれ表している。
【0048】
スケジュール制御しなかった場合、平均負荷率gは、終日15%程度で一定である。これに対して、複数の空調機器を2つのグループに分け、40%制御及び0%制御(サーモオフ)を30分間隔でローテーション運転するスケジュール制御を行った場合、その2つのグループの空調電力量h及びiは、平均負荷率が上昇し、省エネ効果が向上した。ローテーション運転することなく、40%制御及び0%制御の交互運転を行っても平均負荷率が上昇し、省エネ効果が向上することが確認された。
【0049】
本発明の空調制御システムにおいては、IPCクラウドサーバ18が、温度センサ14の検出した室温情報をGWデバイス17を介して受け取り、室温が規定温度範囲(例えば17℃〜28℃)外であれば、スケジュールに基づいたデマンド制御を強制的に解除し、室温がこの規定温度範囲内に戻った際にデマンド制御を再開するように構成しても良い。
【0050】
なお、上述したスケジュール制御においては、IPCクラウドサーバ18から、該当する月日における1日分スケジュール制御情報がデマンド制御装置に送られ、デマンド制御装置がこの1日分スケジュール制御情報に基づいて個々の接点信号を作成することによりデマンド制御を行っている。このような制御によれば、IPCクラウドサーバ18とデマンド制御装置との間の通信量が減少し、LTE無線回線の負荷を軽減することができる。ただし、本発明の空調制御システムにおいては、IPCクラウドサーバ18側で1日分のスケジュール制御情報に応じた個々の接点信号を作成し、この接点信号をデマンド制御装置に送信してデマンド制御を行うように構成しても良い。
【0051】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。