(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二枚の基体不織布の間に高吸収性ポリマーが固定担持されている高吸収性シートであって、少なくとも一枚の基体不織布は、片側表面において、起毛処理が施されることにより起毛しており、基体不織布の起毛した面には接着剤が塗布されており、基体不織布の起毛した面で前記高吸収性ポリマーが定量的に固定担持されており、
親水性シートにより全体が包まれており、
基体不織布は、坪量が40g/m2以上70g/m2以下、親水性シートは、坪量が8g/m2以上15g/m2以下、高吸収性ポリマーは、坪量が300g/m2以上600g/m2以下であり、
二枚の基体不織布は、エアスルー不織布であり、
二枚の基体不織布のそれぞれの嵩高な面の間に、高吸収性ポリマーが固定担持されており、
嵩高な面の両方に起毛処理が施されている、高吸収性シート。
【背景技術】
【0002】
一般に、吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、で構成されており、これにより、尿等の体液は、トップシートを通って吸収体に吸収される。これらの吸収性物品には、成人用又は幼児用であるかどうかを問わず、テープタイプの紙おむつ、パンツタイプの紙おむつ、尿取りパッド、軽失禁パッドなど、用途に応じて様々な種類が存在する。
【0003】
これら吸収性物品を構成する吸収体について、フラッフパルプと高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer、SAPとも称される)を併用することが一般的であったが、着用時の着用感、外観及び肌触り等の向上、尿の液戻り低減を目的として、基体となる不織布と高吸収性ポリマーからなる、いわゆる高吸収性シート(SAPシートとも称される)を吸収体として用いることもある。
【0004】
このような高吸収性シートにおいて、高吸収性ポリマーが、高吸収性シートを備える吸収性物品の着用時に着用者の動作により動いてしまい、高吸収性ポリマーの分布が不均一になり、吸収性が低下するという問題があった。また、特にフラッフパルプを含まない高吸収性シートでは、高吸収性ポリマーが接着剤のみで固定されるため、高吸収性ポリマーの量が増えると接着剤による高吸収性ポリマーの固定担持が困難になり、高吸収性ポリマーを均一に分布させた状態で維持することが困難であった。そこで、高吸収性シートにおいて、高吸収性ポリマーの固定担持に関する検討がなされてきた。
【0005】
このような検討がなされた高吸収性シートとして、例えば、特許文献1には、フラッフパルプを含まない高吸収性シートであって、この高吸収性シートは、二枚の不織布が不織布間に設けられた上下二層のホットメルト接着剤からなる網状体層によって接着されていると共に、ホットメルト接着剤の上下二層の網状体層の層間である厚み方向の中央付近にのみ、高吸収性ポリマーが付着してなり、二枚の不織布同士が高吸収性ポリマーの非存在部分において部分的に溶着されており、網状体層が多数の空隙を有していることを特徴とする高吸収性シートが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、第1の面が吸引室に面している第1の不織層を第1の速度で進める段階と、第1の面と反対の第1の不織層の第2の面上に、高吸収性ポリマーを分布させる段階と、速度差のある第1の不織層に対して移動可能であり、第2の面を通って第1の不織層に貫通する歯部を用いて、第1の不織層をボリュマイズする段階とを備える、高吸収性シートの製造方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の高吸収性シートでは、ホットメルト接着剤からなる網状体層に高吸収性ポリマーが固定担持されているが、網状体層により高吸収性ポリマーを固定担持すると、生産速度が低下し、生産効率の点においても満足できるものではなかった。
【0009】
また、特許文献2に記載の高吸収性シートの製造方法において、不織布へ高吸収性ポリマーを分布する前後に不織布層がボリュマイズされ、基体不織布を張り合わせる方法が開示されているが、この方法では、ボリュマイズされた不織布の中に、接着剤を使わずに高吸収性ポリマーが存在するため、使用時の高吸収性ポリマーが動いてしまうことがあった。
【0010】
したがって、本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、生産性に優れ、高吸収性ポリマーを固定担持した状態を良好に維持できる高吸収性シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、基体となる不織布の態様及び高吸収性ポリマーの固定担持の方法を工夫することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0012】
(1)本発明の第1の態様は、二枚の基体不織布の間に高吸収性ポリマーが固定担持されている高吸収性シートであって、少なくとも一枚の基体不織布は、片側表面において、起毛処理が施されることにより起毛しており、基体不織布の起毛した面には接着剤が塗布されており、基体不織布の起毛した面で前記高吸収性ポリマーが定量的に固定担持されている、高吸収性シートである。
【0013】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の高吸収性シートであって、親水性シートにより全体が包まれていることを特徴とするものである。
【0014】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の高吸収性シートであって、基体不織布は、坪量が20g/m
2以上90g/m
2以下であることを特徴とするものである。
【0015】
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の高吸収性シートであって、二枚の基体不織布は、エアスルー不織布であり、二枚の基体不織布のそれぞれの嵩高な面の間に、高吸収性ポリマーが固定担持されており、嵩高な面のいずれか一方に起毛処理が施されていることを特徴とするものである。
【0016】
(5)本発明の第5の態様は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシートとバックシートの間に配置された(1)から(4)のいずれかに記載の高吸収性シートと、を有する吸収性物品である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の高吸収性シートは、二枚の基体不織布の間に高吸収性ポリマーが固定担持されている高吸収性シートであって、少なくとも一枚の基体不織布は、片側表面において、起毛処理が施されることにより起毛しており、基体不織布の起毛した面には接着剤が塗布されており、基体不織布の起毛した面で高吸収性ポリマーが定量的に固定担持されている。そのため、高吸収性ポリマーを固定担持した状態を良好に維持できる。また、起毛処理と接着剤塗布というシンプルな構成により高吸収性ポリマーを固定担持しているため、生産性にも優れる。よって、本発明によれば、生産性に優れ、高吸収性ポリマーを固定担持した状態を良好に維持できる高吸収性シートを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<高吸収性シート>
高吸収性シート1は、成人用又は幼児用であるかどうかを問わず、テープタイプの紙おむつ、パンツタイプの紙おむつ、尿取りパッド、軽失禁パッドなど特に限定されることなく様々な吸収性物品の吸収体として用いることができる。なお、本明細書の説明において、高吸収性シート1の長手方向とは、高吸収性シート1の製造時に基体不織布2が走行する方向である。また、高吸収性シート1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、Xで示す方向である。また、高吸収性シート1の厚さ方向を図中Yで示している。
【0020】
図1及び
図2は、高吸収性シート1の幅方向断面図である。本発明の高吸収性シート1は、
図1及び
図2に示すように、二枚の基体不織布2の間に高吸収性ポリマー3が固定担持されている。また、少なくとも一枚の基体不織布2は、片側表面において、起毛処理が施されることにより起毛している。また二枚の基体不織布2を貼りあわせる面には接着剤が塗布されており、基体不織布2の接着剤が塗布された起毛した面で高吸収性ポリマー3が定量的に固定担持されている。そのため、高吸収性ポリマー3を固定担持した状態を良好に維持できる。また、起毛処理と接着剤塗布というシンプルな構成により高吸収性ポリマー3を固定担持しているため、生産性にも優れる。なお、高吸収性シート1を吸収性物品の吸収体として用いる場合、二枚の基体不織布2のうち、いずれの基体不織布2を吸収性物品の着用者の肌当接面側になるように組み込んでもよい。
【0021】
(基体不織布)
上記のとおり、二枚の基体不織布2の間に高吸収性ポリマー3が担持されている。基体不織布2としては、例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の不織布や、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布を挙げることができる。これらの不織布のうち、嵩高さの得やすいエアスルー不織布を用いることが好ましい。
【0022】
また、少なくとも一枚の基体不織布2は、片側表面において、起毛処理が施されることにより起毛している。ここで、二枚の基体不織布2のそれぞれに起毛処理が施されていてもよいし、いずれか一枚に起毛処理が施されていてもよい。
図1は、二枚の基体不織布2に起毛処理が施されている態様を示しており、
図2は一枚の基体不織布2に起毛処理が施されている態様が示されている。起毛処理により基体不織布2に不織布本来の嵩高さに加えて、適度なやわらかさが付与され、着用感を向上させることができる。
【0023】
ところで、エアスルー不織布の製造時の熱風を通す工程において、ドラムや搬送ベルトに接していない面は、嵩高いという特徴を有する。そのため、エアスルー不織布の嵩高な面で高吸収性ポリマー3を担持しやすく、エアスルー不織布は、他の不織布に比べると高吸収性ポリマー3を固定担持しやすい。そのため、基体不織布2がエアスルー不織布である場合、それぞれの嵩高な面の間に、高吸収性ポリマー3が固定担持されていることが好ましい。起毛処理することにより更に高吸収性ポリマー3を固定担持しやすくなり、より多くの高吸収性ポリマー3を分布することが可能となる。そのため、吸収性を向上させる観点においては、二枚の基体不織布2のそれぞれに起毛処理が施されており、基体不織布2の起毛した面で高吸収性ポリマー3を固定担持することが好ましい。
【0024】
ここで、後述する高吸収性シート1の製造工程において、二枚の基体不織布2のそれぞれに起毛処理を施す場合には、起毛処理を施すための装置を二台設置しなければならず、費用及び設置スペースの問題につながる場合も考えらえる。よって、基体不織布2がエアスルー不織布である場合は、二枚の基体不織布2のうちいずれか一枚の基体不織布2に起毛処理が施されておらず、起毛処理が施されていない基体不織布2の嵩高な面と、起毛処理が施された基体不織布2の起毛した面との間に高吸収性ポリマー3が固定担持されていても、吸収性能と経済面でのバランスを良好に維持するという点で優れている。
【0025】
基体不織布2の厚さは、着用感及び吸収性能のバランスの観点から、0.3mm以上5.0mm以下であることが好ましい。また、基体不織布2の坪量は、20g/m
2以上90g/m
2以下であることが好ましく、40g/m
2以上70g/m
2以下であることがより好ましい。20g/m
2より小さくなると加工工程でかかる張力により変形しやすくなり、製造効率が著しく低下し、90g/m
2より大きくなると高吸収性シート1が厚くなりすぎるため、吸収性物品に組み込んで使用したときに、着用者に違和感が生じやすくなる。
【0026】
さらに、基体不織布2を構成する繊維の太さは、1.6dtex以上14dtex以下であることが好ましく、1.8dtex以上9.0dtex以下であることがより好ましく、2.0dtex以上6.0dtex以下であることが更に好ましい。このように上記の範囲で基体不織布2を構成する繊維の太さを調整することにより、基体不織布2の起毛した部分の繊維間に高吸収性ポリマー3を分散させて固定担持しやすくすることができる。
【0027】
基体不織布2の起毛した面には接着剤が塗布されている。基体不織布2の起毛した面に接着剤が塗布されていることにより、高吸収性ポリマー3を固定担持した状態を維持することができる。接着剤の種類は高吸収性ポリマー3を担持することができるものであれば特に限定されないが、汎用性の高いホットメルト接着剤であることが好ましい。ホットメルト接着剤としては、融点が100℃以上180℃以下の、スチレン−ブタジエン−スチレン系共重合体やスチレン−イソプレン−スチレン系共重合体など合成ゴム系、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系のホットメルト接着剤を用いることができる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法など公知の方法が利用できる。接着剤の塗布量は、高吸収性ポリマー3を固定担持するための塗布量を確保しつつ、製造工程において各ロールへの転写による汚れを防止するために、高吸収性ポリマー3の単位面積あたりの重量の5%以上30%以下であることが好ましい。
【0028】
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマー3としては、尿を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン−アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。また、高吸収性ポリマー3の坪量は、各種の吸収性物品に要求される吸収性能を確保するために、200g/m
2以上900g/m
2以下とすることが好ましい。また、吸収性能、吸収後の肌触り及び着用者の動きやすさをより向上させる観点から、高吸収性ポリマー3の坪量は、300g/m
2以上600g/m
2以下とすることがより好ましい。
【0029】
また、粉体としての流動性が悪い微粉末を避けることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、高吸収性シート1が硬くなることにより発生するごつごつとした触感を低減する観点から、高吸収性ポリマー3の中位粒子径は、50μm以上600μm以下であることが好ましく、100μm以上500μm以下であることがより好ましい。
【0030】
(親水性シート)
本発明の高吸収性シート1は、高吸収性シート1の断面から固定されていない高吸収性ポリマー3の流出を防ぐために、親水性シート4により全体が包まれていることが好ましい。また、親水性シート4により全体が包まれていることにより、着用時の肌触りも向上することができる。
図1及び
図2に示すように、親水性シート4が折り込まれることにより全体が包まれていてもよいし、あらかじめ二枚の基体不織布2のそれぞれに親水性シート4を貼付し、その状態で高吸収性シート1を作製してもよい。
【0031】
親水性シート4としては、ティシュ、吸収紙、スパンボンド不織布やエアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができることができ、入手性やコストの観点から親水性不織布又はティシュを用いることが好ましく、親水性シート4の坪量は、7g/m
2以上45g/m
2以下とすることが好ましく、8g/m
2以上15/m
2以下とすることがより好ましい。なお、親水性シート4を、ホットメルト接着剤や熱エンボス加工により固定することが好ましい。
【0032】
(高吸収性シートの製造方法)
本発明の高吸収性シート1の製造方法について説明する。ここで、上記のとおり、本発明の高吸収性シート1において、二枚の基体不織布2のそれぞれに起毛処理が施されていてもよいし、いずれか一枚に起毛処理が施されていてもよい。二枚の基体不織布2のそれぞれに起毛処理を施す場合と、いずれか一枚に起毛処理を施す場合とに分けて、本発明の高吸収性シート1の製造方法について説明する。なお、高吸収性シート1の製造方法を説明するにあたり、それぞれの基体不織布2を、第一の基体不織布と第二の基体不織布として記載する。
【0033】
まず、基体不織布2のいずれか1枚に起毛処理を施す場合における、高吸収性シート1の製造方法について説明する。起毛処理される第一の基体不織布は、第一の基体不織布のライン速度V1より遅い回転速度V2でラインと同方向に回転し、刃先が第一の基体不織布の表面に接する回転刃により起毛される。起毛はV1とV2の速度差により生じる刃先からの第一の基体不織布への負荷により起こる。一方、第二の基体不織布の嵩高な面に、接着剤が塗布される。第一の基体不織布の起毛した面に、接着剤が塗布されたのち、起毛処理が施されていない第二の基体不織布と貼りあわされる。このとき第一の基体不織布と第二の基体不織布の間に高吸収性ポリマー3が定量的に挿入され、さらに親水性シート4で包むことにより高吸収性シート1を製造することができる。尚、親水性シート4と基体不織布2はホットメルトにより接着される。
【0034】
次に、二枚の基体不織布2のそれぞれに起毛処理を施す場合における、高吸収性シート1の製造方法について説明する。起毛処理までの方法は、上記と同様である。起毛処理された、第一の基体不織布及び第二の基体不織布の起毛した面に、それぞれ接着剤が塗布されたのち、高吸収性ポリマー3が定量的に挿入され、それぞれの起毛した面同士が面するように貼りあわせられ、高吸収性シート1を製造することができる。
【0035】
高吸収性ポリマー3を基体不織布2の間に散布する方法としては、特に限定されず、スクリューフィーダー、ロータリーフィーダー、振動フィーダーなど粉体に使用できる公知のフィーダーを使用することができる。例えば、特許6180215号に開示された方法を使用すると高速で多量の高吸収性ポリマー3を安定的に供給できることから好ましい。
【0036】
このようにして作製された高吸収性シート1は、吸収体として吸収性物品のトップシートとバックシートに挟持され、吸収性物品に組み込まれる。高吸収性シート1は、最終的に組み込む吸収性物品の大きさに合わせてカットされるため、高吸収性シート1を作製する過程で、
図3のように、カット幅Lに合わせて流れ方向に、高吸収性ポリマー未挿入部100と、高吸収性ポリマー挿入部200を設けることが好ましい。
【0037】
<吸収性物品>
本発明の別の実施形態は、本発明の高吸収性シート1を備える吸収性物品である。吸収性物品としては、成人用又は幼児用であるかどうかを問わず、テープタイプの紙おむつ、パンツタイプの紙おむつ、尿取りパッド、軽失禁パッドなど用途に応じて様々なタイプが挙げられる。吸収性物品は、身体側に配された液透過性のトップシートと、トップシートに対向して配置された液不透過性のバックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置された高吸収性シート1と、を備える。これにより、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟まれた構造となり、尿等の体液は、トップシートを通って吸収体に吸収される。その他、吸収性物品の用途やタイプに応じて、立体ギャザー、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を適宜設けることができる。なお、二枚の基体不織布2のうち、いずれの基体不織布2を吸収性物品の着用者の肌当接面側になるように組み込んでもよい。
【0038】
(トップシート)
トップシートは、高吸収性シート1に向けて体液を速やかに通過させるものであり、吸収体を挟んで、バックシートに対向して配置される。トップシートは、肌と当接するシートとなることから、トップシートには、柔らかな感触で、肌に刺激を与えないような性質を有する、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いて、エアスルー法、サーマルボンド法、スパンレース法、スパンボンド法等の公知の加工法によって得られた親水性不織布又はこれらを積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等を用いることができる。また、トップシートには、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシートには、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
【0039】
強度、加工性及び液戻り量の点から、トップシートの坪量は、15g/m
2以上200g/m
2以下であることが好ましい。トップシートの形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体へと誘導するために必要とされる、高吸収性シート1を覆う形状であればよい。
【0040】
(バックシート)
バックシートは、吸収体が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0041】
強度及び加工性の点から、バックシートの坪量は、15g/m
2以上40g/m
2以下であることが好ましい。また、装着時の蒸れを防止するため、バックシートには、通気性を持たせることが好ましい。バックシートに通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシートに穿孔のためにエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0042】
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品の製造方法としては、上記のようにして得られた高吸収性シート1をトップシートとバックシートとの間に挟持し、トップシートとバックシートとを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定することで製造することができる。そして、これを包装体に個別包装した後、長手方向に3つ折りにして折り畳めばよい。また、立体ギャザー、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を必要に応じて設けることができる。また、特にテープタイプの紙おむつ、パンツタイプの紙おむつ、尿取りパッド、など面積の広い吸収性物品のときには、フラッフパルプと高吸収性ポリマー3からなる吸収体と高吸収性シート1を組み合わせることが好ましい。その場合、高吸収性シート1をフラップパルプと高吸収性ポリマー3からなる吸収体の上または下のどちらに重ねてもよい。
【0043】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例】
【0044】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0045】
(実施例1及び
参考例1)
まず、第一の基体不織布及び第二の基体不織布として、幅方向の寸法が120mm、坪量が40g/m
2のエアスルー不織布を、高吸収性ポリマーとして市販のポリアクリル酸ナトリウム系の高吸収性ポリマーを、親水性シートとして、幅方向の寸法が290mm、坪量が8g/m
2のスパンボンド不織布を、それぞれ用意し、その後、上記した製造方法により、実施例1及び
参考例1の高吸収性シートを得た。なお、ホットメルト接着剤を第一の基体不織布、第二の基体不織布それぞれに1.5g/m
2塗布した。各基体不織布における起毛処理の有無については表1に記載した。また、高吸収性ポリマーは、第一の基体不織布及び第二の基体不織布それぞれの幅方向中央部において、幅方向10cm×ライン方向35cmの領域に20g挿入した。また、高吸収性ポリマー挿入部分の流れ方向端部から5cm間隔で設けた高吸収性ポリマー未挿入部分の長手方向中央で長手方向の寸法が40cmとなるようにカットした。
(
参考例2)
第一の基体不織布として、幅方向の寸法が120mm、坪量が90g/m
2のエアスルー不織布、第二の基体不織布として、幅方向の寸法が120mm、坪量が20g/m
2のエアスルー不織布を用い、第一の基体不織布にのみ起毛処理を行った点以外は、実施例1及び
参考例1と同様の方法により、
参考例2の高吸収性シートを得た。
(比較例1及び2)
比較例1については、いずれの基体不織布にも起毛処理を施さなかった点、比較例2については、第二の基体不織布を設けなかった点以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1及び比較例2の高吸収性シートを得た。
【0046】
(評価方法)
まず、第一の基体不織布と当接する親水性シートを、長手方向に4等分する位置において3箇所はさみでカットした。その後、あらかじめ重量を測定したステンレス製の容器の上で、切り口を下にして、手で30秒間振った後に、上記のステンレス製の容器に流出した高吸収性ポリマーの重量を測定した。
【0047】
【表1】
【0048】
以上より、本発明によれば、生産性に優れ、高吸収性ポリマーを固定担持した状態を良好に維持できる高吸収性シートを得ることができる。