(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記対応関係情報に基づいて、複数の前記決済方法のうちの、ユーザにより指定された一の決済方法に対応付けられた前記変化態様を、手の動きを表す情報に変換して出力する出力部を更に含む、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のユーザ端末装置。
前記制御部は、前記筋電位情報に基づいてユーザの所定動作が検出された場合に、スタンバイ状態に移行し、前記スタンバイ状態において取得される前記筋電位情報に基づいて、前記第1決済可能状態を形成する、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載のユーザ端末装置。
複数の前記決済方法のうちの、決済が可能とされた前記決済方法を、ユーザの属性に応じた報知態様で報知する第2報知部を更に含む、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載のユーザ端末装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施例によるユーザ端末装置10の外観を示す説明図である。
図1には、外部端末90が併せて示されている。外部端末90は、例えば、店舗側の決済端末である。例えば、外部端末90は、FeliCa(登録商標)用のリーダである。
【0011】
ユーザ端末装置10は、ユーザの手首に装着可能であり、リング状の形態を有する。ユーザ端末装置10は、以下で説明する決済機能(「フィンガーペイ機能」と称する)の専用の端末であってもよいし、電話や、メール、時計、ゲーム等のようなアプリケーションが実行可能であってもよい。
【0012】
ユーザ端末装置10は、後で詳説するが、外部端末90と通信を行うことで、決済を実現する。すなわち、ユーザが、ユーザ端末装置10を外部端末90に近づけると、ユーザ端末装置10と外部端末90との通信が実行され、通信結果に応じて店舗での支払いが実現される。なお、このような決済態様は、おサイフケータイ(登録商標)やApple Pay(登録商標)という名前で広く知られている。以下で説明するフィンガーペイ機能は、このような近距離通信による決済(以下、単に「近距離通信決済」と称する)を利用する。
【0013】
フィンガーペイ機能とは、ユーザが手首にユーザ端末装置10を装着した状態で、手を動かすこと(指を動かすことを含む)で、登録した複数種類の決済方法のうちの、手の動きに応じた種類の決済方法による近距離通信決済が可能となる機能である。
【0014】
決済方法には、クレジットカードによる決済や、電子マネーによる決済、プリペイドカードによる決済、デビットカードによる決済等があり、これらは異なる種類となる。また、クレジットカードによる決済については、クレジットカードの種類によって決済方法の種類が異なり、電子マネーやプリペイドカード等についても同様である。
【0015】
ユーザ端末装置10は、筋電位センサ61と、静脈センサ62と、加速度センサ63と、GPS(Global Positioning System)受信機64と、入力装置68と、出力装置69と、処理装置100とを含む。なお、本実施例においては、加速度センサ63やGPS受信機64は省略されてもよい。なお、加速度センサ63やGPS受信機64は、後述の変形例1や変形例2で利用される。
【0016】
筋電位センサ61は、リング状の形態のユーザ端末装置10の内周面に設けられる。筋電位センサ61は、ユーザにユーザ端末装置10が装着された状態では、ユーザにおけるユーザ端末装置10の被装着部位(手首)に当接する。筋電位センサ61は、被装着部位に係る表面筋電位信号を取得する。表面筋電位信号は、収縮中の筋線維の電気的活動によって生成され、被装着部位の皮膚表面上で検出される。
【0017】
静脈センサ62は、リング状の形態のユーザ端末装置10の内周面に設けられる。静脈センサ62は、ユーザにユーザ端末装置10が装着された状態では、ユーザにおけるユーザ端末装置10の被装着部位(手首)に当接又は対向する。静脈センサ62は、近赤外線を照射したときの被装着部位の画像(近赤外線画像)を取得し、近赤外線画像に基づいて、静脈の模様(静脈パターン)を取得する。
【0018】
加速度センサ63は、ユーザ端末装置10の動きを表す加速度信号を取得する。加速度センサ63は、ユーザ端末装置10に対して固定された3軸(互いに直交する3軸)に沿った加速度信号を取得する。
【0019】
GPS受信機64は、GPS衛星からの衛星信号を受信し、衛星信号の受信結果に基づいて測位を行う。
【0020】
入力装置68は、例えばタッチパネルである。入力装置68は、マイクロフォンと音声認識エンジン等により実現されてもよい。
【0021】
出力装置69は、例えば表示装置であり、例えば液晶ディスプレイ装置である。出力装置69は、スピーカのような音出力装置や、光を出力する装置(例えば複数の色の光を選択的に出力可能な装置)、振動を発生する装置等を含んでもよい。
【0022】
図2は、処理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2には、処理装置100のハードウェア構成に関連付けて、処理装置100に接続される電子機器60が模式的に図示されている。電子機器60は、ユーザ端末装置10に含まれる各種電子部品、すなわち筋電位センサ61、加速度センサ63、静脈センサ62、GPS受信機64、入力装置68、及び出力装置69を含む。
【0023】
処理装置100は、バス19で接続されたCPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、補助記憶装置14、ドライブ装置15、及び通信インターフェース17、並びに、通信インターフェース17に接続された有線送受信部25及び無線送受信部26(通信部の一例)を含む。
【0024】
補助記憶装置14は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)などであり、アプリケーションソフトウェアなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。
【0025】
有線送受信部25は、有線ネットワークを利用して通信可能な送受信部を含む。有線送受信部25には、電子機器60が接続される。ただし、電子機器60の一部又は全部は、バス19に接続されてもよいし、無線送受信部26に接続されてもよい。
【0026】
無線送受信部26は、FeliCa(登録商標)のような近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)部を含み、その他、Bluetooth(登録商標)通信部、Wi−Fi(Wireless−Fidelity)送受信部、赤外線送受信部などを含んでもよい。また、無線送受信部26は、無線ネットワークを利用して通信可能な送受信部である。無線ネットワークは、携帯電話の無線通信網、インターネット、VPN(Virtual Private Network)、WAN(Wide Area Network)等を含んでよい。
【0027】
なお、処理装置100は、記録媒体16と接続可能であってもよい。記録媒体16は、所定のプログラムを格納する。この記録媒体16に格納されたプログラムは、ドライブ装置15を介して処理装置100の補助記憶装置14等にインストールされる。インストールされた所定のプログラムは、処理装置100のCPU11により実行可能となる。例えば、記録媒体16は、CD(Compact Disc)−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等であってよい。
【0028】
図3は、フィンガーペイ機能を実現するための処理装置100の機能構成の一例を示す機能ブロックである。
図4は、筋電位情報の一例を示す説明図である。
図5は、対応関係情報の一例を示す説明図である。
図6は、基本ジェスチャーデータの一例を示す説明図である。
【0029】
処理装置100は、センサ情報取得部110と、認証部120と、制御部130と、決済実行部140と、登録情報出力部150(出力部の一例)と、報知部160と、登録処理部170と、登録情報記憶部172とを含む。センサ情報取得部110、認証部120、制御部130、決済実行部140、登録情報出力部150、報知部160、及び登録処理部170は、CPU11がROMのような記憶装置内のプログラムを実行することで実現できる。登録情報記憶部172は、補助記憶装置14により実現できる。
【0030】
センサ情報取得部110は、各種センサ情報を取得する。センサ情報取得部110は、筋電位情報を取得する筋電位情報取得部111(第1取得部の一例)と、静脈情報を取得する静脈情報取得部112(第2取得部の一例)とを含む。
【0031】
筋電位情報取得部111は、筋電位センサ61から筋電位情報を取得する。ここでは、筋電位情報は、一例として、
図4に示すように、表面筋電位信号の時系列波形である。
【0032】
静脈情報取得部112は、静脈センサ62から静脈情報を取得する。ここでは、静脈情報は、一例として、静脈パターンである。
【0033】
認証部120は、生体情報に基づいて認証を行う。認証部120は、第1認証部121と、第2認証部122とを含む。
【0034】
第1認証部121は、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報と、登録情報記憶部172に記憶される登録筋電位情報とを比較することで、ユーザ認証を行う。登録筋電位情報と比較する筋電位情報は、所定期間ΔT1で取得された筋電位情報である。所定期間ΔT1は、任意であるが、本実施例では、一例として、後述のスタンバイ状態が形成されている期間内の一部又は全部の期間である。登録筋電位情報は、あらかじめユーザにより登録される情報であり、ユーザがユーザ端末装置10を装着した状態において、ユーザが手で所定の動作を行った際に得られる筋電位情報に基づいて生成されてよい。
【0035】
第2認証部122は、静脈情報取得部112により取得された静脈情報と、登録情報記憶部172に記憶されるマスタ静脈情報とを比較することで、ユーザ認証を行う。マスタ静脈情報と比較する静脈情報は、所定期間ΔT2で取得された静脈情報である。所定期間ΔT2は、任意であるが、本実施例では、一例として、後述のスタンバイ状態が形成されている期間内の一部又は全部の期間である。マスタ静脈情報は、あらかじめユーザにより登録される情報であり、ユーザがユーザ端末装置10を装着した状態において得られる静脈情報に基づいて生成されてよい。
【0036】
以下では、区別する際は、第1認証部121による認証処理を「第1認証処理」とも称し、第2認証部122による認証処理を「第2認証処理」とも称し、区別しない場合は、単に「認証処理」とも称する。
【0037】
制御部130は、認証部120による認証が成功した場合に、登録情報記憶部172内の対応関係情報(
図5参照)と、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報とに基づいて、近距離通信決済が可能な状態(以下、「決済可能状態」と称する)(第1決済可能状態の一例)を形成する。例えば、制御部130は、第1認証部121及び第2認証部122のいずれによる認証も成功した場合に、決済可能状態を形成してもよい。
【0038】
制御部130は、決済可能状態では、あらかじめ登録された複数の決済方法のうちの、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報に応じた決済方法による近距離通信決済を可能とする。
【0039】
この際、制御部130は、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報に応じた決済方法を、登録情報記憶部172内の対応関係情報に基づいて、決定する。対応関係情報は、筋電位の変化態様及び決済方法の複数組の対応関係を表す情報である。筋電位の変化態様とは、筋電位が変化する際の変化態様であり、具体的には、筋電位の時系列の変化パターンである。
【0040】
ここで、筋電位の変化態様は、手の動きが異なれば異なる。例えば、ユーザが、ユーザ端末装置10の装着状態で、グー、チョキ、パーという順で手を動かす場合と、チョキ、パー、グーという順で手を動かす場合とで、筋電位の変化態様が異なる。また、筋電位の変化態様は、同じ手の動かし方であっても、ユーザごとに異なる。例えば、
図4に示す例では、筋電位の変化態様400は、あるユーザAのデータであり、筋電位の変化態様401は、他のユーザBのデータであり、両データは同じ手の動きをしたときのデータである。また、筋電位の変化態様403は、筋電位の変化態様400と同じユーザAのデータであるが、筋電位の変化態様400とは異なる手の動きをしたときのデータである。この点を考慮して、本実施例では、筋電位の変化態様に基づいて、ユーザ認証と、決済方法の選択の双方を実現する。
【0041】
図5に示す例では、決済方法は、クレジットカードCAと電子マネーMAとデビットカードDCの3種類あり、それぞれに、筋電位の変化態様(生データ)と、筋電位の変化態様(変換値)とが対応付けられている。
図5に示す例は、ユーザAに係る対応関係情報であるものとする。ユーザ端末装置10が複数のユーザにより使用される場合は、対応関係情報は、ユーザごとに設定されてもよい。
【0042】
筋電位の変化態様(生データ)は、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報自体であるが、加工されたデータであってもよい。加工されたデータとしては、例えば、ノイズ等が除去されたデータや、特徴点が抽出されたデータ等であってもよい。
【0043】
筋電位の変化態様(変換値)は、筋電位の変化態様(生データ)に対応する手の動きを表す。すなわち、筋電位の変化態様(変換値)は、筋電位の変化態様(生データ)を、手の動きを表す情報に変換したものである。例えば、登録データA1は、ユーザAが「サムアップ(親指を立てるジェスチャー)」を行った際の筋電位の変化態様を表すデータであり、登録データA1を、手の動きを表す情報に変換すると、「サムアップ(親指を立てるジェスチャー)」となる。このように、筋電位の変化態様(変換値)は、登録データに対応する手の動きを表し、以下、「種類指定ジェスチャー」と称する。
【0044】
種類指定ジェスチャーは、基本の手の動き(グー、チョキ、パー、サムアップなどの、1つずつの手の動き)(以下、「基本ジェスチャー」と称する)の1つ以上の組み合わせからなる。
【0045】
図5に示す例では、クレジットカードCAには、単一の基本ジェスチャー“サムアップ”に係る種類指定ジェスチャーが対応付けられ、電子マネーMAには、“チョキ”と“サムアップ”の2つの基本ジェスチャーの組み合わせに係る種類指定ジェスチャーが対応付けられ、デビットカードDCには、“パー”と“サムアップ”の2つの基本ジェスチャーの組み合わせに係る種類指定ジェスチャーが対応付けられる。なお、変形例では、ある決済方法に対して、3つ以上の基本ジェスチャーの組み合わせに係る種類指定ジェスチャーが対応付けられてもよい。
【0046】
なお、筋電位の変化態様(生データ)から種類指定ジェスチャーを特定するためには、ユーザが基本の手の動き(すなわち基本ジェスチャー)を行ったときの筋電位の変化態様(生データ)が有用である。以下、このようなユーザが基本ジェスチャーを行ったときの筋電位の変化態様(生データ)を、「基本ジェスチャーデータ」と称する。基本ジェスチャーデータは、初期登録の際にユーザにより登録されてよい。この場合、基本ジェスチャーデータは、登録情報記憶部172に記憶されてよい。
図6には、基本ジェスチャーデータの一例が示される。
図6では、4つの基本ジェスチャー“グー”、“チョキ”、“パー”、及び“サムアップ”に対応する各登録データX1〜X4が示される。なお、基本ジェスチャーの数は、5つ以上であってもよいし、3つ以下であってもよい。また、基本ジェスチャーは、“グー”や“チョキ”、“パー”等のような指の動きだけでなく、手首の動き等を含んでもよい。
【0047】
図5に示す例では、制御部130は、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報と、対応関係情報に係る筋電位の変化態様(生データ)との相関性に基づいて、3種類の決済方法のうちから、筋電位情報に応じた一の決済方法を決定する。例えば、制御部130は、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報と登録データA1とが相関する場合に、クレジットカードCAによる決済可能状態を形成する。また、同様に、制御部130は、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報と登録データA2とが相関する場合に、電子マネーMAによる決済可能状態を形成する。同様に、制御部130は、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報と登録データA3とが相関する場合に、デビットカードDCによる決済可能状態を形成する。なお、制御部130は、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報に相関する登録データが存在しない場合は、クレジットカードCA等による決済可能状態を形成しない。なお、2つのデータが“相関する”とは、2つのデータの相関度合いが所定閾値以上となる状態を表す。所定閾値は、試験結果等に応じて適合されてよい。
【0048】
あるいは、制御部130は、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報と、登録されている基本ジェスチャーデータとに基づいて、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報が表す手の動きを導出し、導出した手の動きに対応する種類指定ジェスチャーを特定してもよい。この場合、制御部130は、導出した手の動きに対応する種類指定ジェスチャーに対応付けられた決済方法を、筋電位情報に応じた決済方法として決定する。
【0049】
制御部130は、好ましくは、筋電位情報に基づいてユーザのスタンバイ移行動作(所定動作の一例)が検出された場合に、スタンバイ状態に移行する。制御部130は、スタンバイ状態において取得される筋電位情報に基づいて、決済可能状態を形成する。すなわち、決済可能状態は、スタンバイ状態から遷移される。スタンバイ状態を設けることで、ユーザによる意図しない手の動きに起因して決済可能状態が不必要に形成されてしまう可能性を低減できる。なお、スタンバイ状態に移行する前の状態(待機状態)では、制御部130は、筋電位情報に基づいてユーザのスタンバイ移行動作が検出されるか否かを監視する。
【0050】
スタンバイ移行動作は、任意であり、例えば手でグーにした状態を5秒間維持することである。ただし、ユーザによる意図しない手の動きに起因して決済可能状態が不必要に形成されてしまう可能性を最大限に低減する観点からは、スタンバイ移行動作は、通常的に実行しないような手の動きであることが望ましい。例えば、スタンバイ移行動作は、両手を使って初めて実現可能な指の動作であり、例えば特定の指を45度以上反らせるような動作である。
【0051】
決済実行部140は、決済可能状態において、ユーザ端末装置10が外部端末90に近接する際に、無線送受信部26を介して近距離通信決済に係る決済処理を実行する。決済実行部140は、決済可能状態では、筋電位情報に応じた決済方法による近距離通信決済を実現することになる。
【0052】
登録情報出力部150は、登録情報記憶部172内の対応関係情報に基づいて、複数の決済方法のうちの、ユーザにより指定された一の決済方法に対応付けられた変化態様を、手の動きを表す情報に変換して出力する。ユーザによる一の決済方法の指定は、例えば入力装置68を介して実現できる。
図5に示す例では、登録情報出力部150は、ユーザが“クレジットカードCA”を指定した場合、クレジットカードCAに対応付けられた変化態様(登録データA1)を、手の動きを表す情報に変換して出力する。すなわち、登録情報出力部150は、登録データA1に係る筋電位の変化態様(変換値)である“サムアップ”を出力する。これにより、ユーザは、“クレジットカードCA”に対応付けられた手の動きを忘れてしまった場合でも、“クレジットカードCA”を指定すると、登録情報出力部150の出力に基づいて、“クレジットカードCA”に対応付けられた手の動きを知ることができる。
【0053】
報知部160は、出力装置69を介してユーザに対して各種報知を行う。報知部160は、第1報知部161と、第2報知部162とを含む。
【0054】
第1報知部161は、スタンバイ状態への移行を、音、表示、振動、光又はこれらの任意の組み合わせで報知する。スタンバイ状態は、上述のように、待機状態においてスタンバイ移行動作が検出された場合に移行される。これにより、スタンバイ移行動作を行ったユーザは、ユーザ端末装置10によりスタンバイ移行動作が検出されたか否かを、第1報知部161からの報知に基づいて判断し易くなる。例えば音や振動で報知を行う場合は、視覚に障害があるユーザにとっても、スタンバイ状態への移行を認識し易くなる。また、表示や振動、光で報知を行う場合は、聴覚に障害があるユーザにとっても、スタンバイ状態への移行を認識し易くなる。
【0055】
第1報知部161は、好ましくは、ユーザの属性に応じた報知態様で、スタンバイ状態への移行を報知する。ユーザの属性に応じた報知態様は、当該ユーザにより事前に選択されてもよいし、自動的に設定されてもよい。例えば、視覚に障害があるユーザには、音や振動を用いる報知態様が対応付けられてもよい。
【0056】
第2報知部162は、登録された複数の決済方法のうちの、決済可能状態において近距離通信決済が可能とされた決済方法を、音、表示、振動、光又はこれらの任意の組み合わせで報知する。これにより、ユーザは、決済を行う前に、意図した決済方法で決済が行われるか否かを、第1報知部161からの報知に基づいて確認し易くなる。例えば、複数の決済方法のそれぞれごとに異なる報知音が割り当てられる。この場合、ユーザは、報知音の種類に応じて特定の一の決済方法を理解できる。表示や、振動、光等の場合も同様である。同様に、例えば音や振動で報知を行う場合は、視覚に障害があるユーザにとっても、決済可能状態において近距離通信決済が可能とされた決済方法を認識し易くなる。また、表示や振動、光で報知を行う場合は、聴覚に障害があるユーザにとっても、決済可能状態において近距離通信決済が可能とされた決済方法を認識し易くなる。
【0057】
第2報知部162は、好ましくは、ユーザの属性に応じた報知態様で、近距離通信決済が可能とされた決済方法を報知する。ユーザの属性に応じた報知態様は、当該ユーザにより事前に選択されてもよいし、自動的に設定されてもよい。例えば、聴覚に障害があるユーザには、光や振動を用いる報知態様が対応付けられてもよい。
【0058】
登録処理部170は、登録情報記憶部172内の各種情報を登録する登録処理を行う。例えば、登録処理部170は、上述したマスタ静脈情報や、対応関係情報、基本ジェスチャーデータ等の登録処理を行う。この際、登録処理部170は、ガイダンスを出力装置69を介して出力しながら、ユーザによる登録作業を支援する。例えば、基本ジェスチャーデータの登録の際、登録処理部170は、“手でグーをしてください”といった趣旨のガイダンスを出力する。そして、登録処理部170は、“グー”に係るデータを複数回取得し、一定の特徴(傾向)を検出した場合に、“登録完了”の報知を行うこととしてよい。
【0059】
対応関係情報の登録は、ユーザ端末装置10以外のユーザ端末装置(例えばスマートフォンやタブレット端末)や、他のコンピュータ(例えばパーソナルコンピュータ)等を用いて実現されてもよい。ユーザは、まず、例えばスマートフォンに複数の決済方法を登録し、次いで、スマートフォンから決済方法の登録情報を送信して、ユーザ端末装置10の無線送受信部26に受信させることとしてもよい。なお、この際の無線通信は、Bluetooth(登録商標)に基づき実現されてもよい。
【0060】
登録処理部170は、決済方法の登録情報を受信すると、決済方法ごとに、対応付けられるべき手の動きをユーザに要求し、その際に得られる筋電位情報(筋電位の変化態様)を登録する。この際、登録処理部170は、決済方法ごとに、筋電位情報を複数回取得し、一定の特徴(傾向)を検出した場合に、“登録完了”の報知を行うこととしてよい。
【0061】
登録情報記憶部172には、上述した対応関係情報(
図5)や基本ジェスチャーデータ(
図6)等が記憶(登録)される。なお、対応関係情報や基本ジェスチャーデータ等は、上述のようにユーザごとに登録されてもよい。
【0062】
次に、
図7を参照して、ユーザ端末装置10の使用方法(フィンガーペイ機能)について概説する。
【0063】
図7は、ユーザ端末装置10の使用方法の説明図であり、3つのシーン701、702、及び703が示される。ここでは、一例として、
図5に示す対応関係情報が登録されているものとする。また、ここでは、ユーザは、正当なユーザであり、認証部120による認証が成功するものとする。
【0064】
シーン701では、手首にユーザ端末装置10を装着したユーザ(手のみ図示)は、ある店舗で買い物の決済を行う際、クレジットカードCAで支払いを希望している。この場合、ユーザは、スタンバイ移行動作を行ってスタンバイ状態に移行させた後(S0参照)、クレジットカードCAに対応する種類指定ジェスチャーを行う(S1参照)。なお、スタンバイ状態に移行すると、第2認証部122による第2認証処理(静脈情報による認証処理)が実行されてもよい。ただし、変形例では、第2認証部122による第2認証処理の実行タイミングは、後述する種類指定ジェスチャーが検出された後であってもよいし、スタンバイ状態に移行する前であってもよい。
【0065】
シーン701では、ユーザは、クレジットカードCAで支払いを希望しているので、ユーザが行うべき種類指定ジェスチャーは、クレジットカードCAに対応する種類指定ジェスチャーであり、具体的には、図示のように、“サムアップ”である。なお、ユーザは、クレジットカードCAに対応する種類指定ジェスチャーを忘れてしまった場合は、例えば、「クレジットカードCAを呼び出す種類指定ジェスチャーを教えて」と音声によりユーザ端末装置10に問い合わせる(すなわちクレジットカードCAを指定する)。この場合、上述のように、登録情報出力部150は、例えば表示装置の形態の出力装置69上に、“サムアップ”を表す画像を出力する。なお、この出力方法は、音声等の他の方法により実現されてもよい。
【0066】
シーン701では、ユーザが、クレジットカードCAに対応する種類指定ジェスチャーを行うと、第1認証部121による認証が成功し、ユーザ端末装置10では、クレジットカードCAによる決済可能状態が形成される(S2参照)。この際、第2報知部162は、表示装置の形態の出力装置69上に、クレジットカードCAを表す画像G1を出力してもよい(S2参照)。なお、第2報知部162は、その他、音声等により“クレジットカードCA”の情報をユーザに伝達してもよい。ユーザは、例えば画像G1を目視で確認してから、外部端末90にユーザ端末装置10をかざすことで(S3参照)、クレジットカードCAによる決済を実現する。ただし、ユーザは、種類指定ジェスチャーをしながら外部端末90にユーザ端末装置10をかざしてもよい。この場合、クレジットカードCAによる決済可能状態が形成されると略同時にクレジットカードCAによる決済が実現されることになる。
【0067】
シーン702では、手首にユーザ端末装置10を装着したユーザ(手のみ図示)は、ある店舗で買い物の決済を行う際、電子マネーMAで支払いを希望している。この場合、ユーザは、スタンバイ移行動作を行ってスタンバイ状態に移行させた後(S10参照)、電子マネーMAに対応する種類指定ジェスチャーを行う(S11参照)。この場合、電子マネーMAに対応する種類指定ジェスチャーは、図示のように、“チョキ”と“サムアップ”の組み合わせである。なお、ユーザは、電子マネーMAに対応する種類指定ジェスチャーを忘れてしまった場合は、例えば、「電子マネーMAを呼び出す種類指定ジェスチャーを教えて」と音声によりユーザ端末装置10に問い合わせる(すなわち電子マネーMAを指定する)。この場合、上述のように、登録情報出力部150は、例えば表示装置の形態の出力装置69上に、“チョキ”と“サムアップ”の組み合わせを表す画像を出力する。なお、この出力方法は、音声等の他の方法により実現されてもよい。
【0068】
シーン702では、ユーザが、電子マネーMAに対応する種類指定ジェスチャーを行うと、第1認証部121による認証が成功し、ユーザ端末装置10では、電子マネーMAによる決済可能状態が形成される(S12参照)。この際、第2報知部162は、表示装置の形態の出力装置69上に、電子マネーMAを表す画像G2を出力してもよい(S12参照)。なお、第2報知部162は、その他、音声等により“電子マネーMA”の情報をユーザに伝達してもよい。ユーザは、例えば画像G2を目視で確認してから、外部端末90にユーザ端末装置10をかざすことで(S13参照)、電子マネーMAによる決済を実現する。
【0069】
シーン703でも同様であり、手首にユーザ端末装置10を装着したユーザ(手のみ図示)は、ある店舗で買い物の決済を行う際、デビットカードDCで支払いを希望している。この場合、ユーザは、スタンバイ移行動作を行ってスタンバイ状態に移行させた後(S20参照)、デビットカードDCに対応する種類指定ジェスチャーを行う(S21参照)。この場合、デビットカードDCに対応する種類指定ジェスチャーは、図示のように、“パー”と“サムアップ”の組み合わせである。デビットカードDCに対応する種類指定ジェスチャーを行うと、第1認証部121による認証が成功し、ユーザ端末装置10では、デビットカードDCによる決済可能状態が形成される(S22参照)。その後、ユーザは、例えば“デビットカードDC”に係る画像G3を目視で確認してから、外部端末90にユーザ端末装置10をかざすことで(S23参照)、デビットカードDCによる決済を実現する。
【0070】
このようにして、本実施例によれば、ユーザは、手の動き(ここでは、指の動き)で所望の決済方法による決済を実現できる。従って、本実施例によれば、ユーザは、所望の決済方法をスワイプ等の操作により選択しかつ指紋等の認証情報を入力する作業に代えて、スタンバイ移行動作後に種類指定ジェスチャーを行うだけで、所望の決済方法による決済を実現できるので、利便性が向上する。また、本実施例では、上述のように、一連の手の動きの最中に又はその前後に自動的に認証部120による認証処理が実行されるので、指紋等の認証情報を入力する作業のような、生体情報を入力するための特別な作業が必要でなく、利便性が向上する。
【0071】
なお、種類指定ジェスチャーは、他人に見られる環境で実行されるので、他人に知られてしまう可能性があるが、この点は大きな問題とならない。種類指定ジェスチャーが他人に知られたとしても、上述のように同じ手の動きであっても人によって筋電位情報が異なることから、他人により決済可能状態が形成される可能性は低いためである。
【0072】
また、本実施例によれば、筋電位情報や静脈情報を利用して認証処理が実行されるので、セキュリティを高めることができる。特に、筋電位情報と静脈情報の双方を利用する場合は、2つの異なる生体情報が利用されることになるので、セキュリティを更に高めることができる。
【0073】
このようにして、本実施例によれば、複数の決済方法を選択的に利用可能としつつ、利便性やセキュリティの向上を図ることができる。
【0074】
また、本実施例によれば、ユーザが種類指定ジェスチャーを行う際に得られる筋電位情報を利用して認証処理が実行されるので、種類指定ジェスチャー以外の認証処理用のジェスチャーをユーザに別途行わせる場合に比べて、ユーザが行うべき作業が減り、利便性が向上する。
【0075】
次に、
図8〜
図10のフローチャートを参照して、ユーザ端末装置10の動作例について説明する。なお、以降の処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
【0076】
図8は、待機状態において、ユーザ端末装置10の処理装置100により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0077】
ステップS800では、処理装置100は、今回周期の表面筋電位信号を取得する。
【0078】
ステップS802では、処理装置100は、ステップS800で取得した表面筋電位信号の値を所定記憶領域に記憶する。所定記憶領域は、例えば補助記憶装置14に設定される。表面筋電位信号は、例えばFIFO(First In、 First Out)形式で、所定時間T1(図示せず)分が記憶されてよい。
【0079】
ステップS804では、処理装置100は、所定記憶領域内に記憶されている表面筋電位信号の時系列(すなわち筋電位情報)に基づいて、ユーザによりスタンバイ移行動作が実行されたか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合は、ステップS806に進み、それ以外の場合は、ステップS800からの処理を繰り返す。
【0080】
ステップS806では、処理装置100は、待機状態からスタンバイ状態に移行する。
【0081】
ステップS808では、処理装置100は、所定記憶領域内の表面筋電位信号の時系列をリセットして、待機状態を終了する。
【0082】
図9は、スタンバイ状態において、ユーザ端末装置10の処理装置100により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0083】
ステップS820では、処理装置100は、静脈情報を取得する。
【0084】
ステップS822では、処理装置100は、ステップS820で取得した静脈情報に基づいて、第2認証処理を実行する。第2認証処理の結果、認証が成功した場合(ステップS824の“YES”)は、ステップS828に進み、それ以外の場合(ステップS824の“NO”)は、ステップS826に進む。
【0085】
ステップS826では、処理装置100は、リトライ回数が上限値に達したか否かを判定する。なお、上限値は、1以上の任意の数であってよい。判定結果が“YES”の場合は、ステップS846に進み、それ以外の場合は、第2認証処理のリトライのために、ステップS820からの処理を繰り返す。
【0086】
ステップS828では、処理装置100は、所定時間T2でタイムアウトするタイマを起動する。所定時間T2は、種類指定ジェスチャーの入力待ち時間の上限値に対応し、適宜、設定される。
【0087】
ステップS830では、処理装置100は、今回周期の表面筋電位信号を取得する。
【0088】
ステップS832では、処理装置100は、ステップS830で取得した表面筋電位信号の値を所定記憶領域に記憶する。
【0089】
ステップS834では、処理装置100は、種類指定ジェスチャーを検出するために、所定記憶領域内に記憶されている表面筋電位信号の時系列(すなわち筋電位情報)と、対応関係情報に係る筋電位の変化態様との間の相関性を評価する。相関性の評価の結果、対応関係情報に係る筋電位の各種の変化態様の中に、筋電位情報に相関がある筋電位の変化態様が存在する場合、すなわち種類指定ジェスチャーを検出した場合(ステップS836の“YES”)は、ステップS838に進み、それ以外の場合(ステップS836の“NO”)は、ステップS842に進む。
【0090】
ステップS838では、処理装置100は、所定記憶領域内の筋電位情報に基づいて、第1認証処理を実行する。なお、ステップS840の処理は、ステップS834の処理により実現されてもよい。すなわち、相関するか否かの判定基準(相関度合いに対する所定閾値)を厳しくすることで、相関することが、第1認証処理による認証の成功を意味するようにしてもよい。第1認証処理の結果、認証が成功した場合(ステップS840の“YES”)は、ステップS844に進み、それ以外の場合(ステップS840の“NO”)は、ステップS842に進む。
【0091】
ステップS842では、処理装置100は、タイマがタイムアウトしたか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合は、ステップS846に進み、それ以外の場合は、ステップS830からの処理を繰り返す。
【0092】
ステップS844では、処理装置100は、ステップS834で検出した種類指定ジェスチャーに応じた決済方法による決済可能状態を形成する。すなわち、処理装置100は、スタンバイ状態から、ステップS834で検出した種類指定ジェスチャーに応じた決済方法による決済可能状態に移行する。
【0093】
ステップS846では、処理装置100は、スタンバイ状態から待機状態に移行する。
【0094】
図10は、決済可能状態(ステップS834で検出した種類指定ジェスチャーに応じた決済方法による決済可能状態)において、ユーザ端末装置10の処理装置100により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0095】
ステップS860では、処理装置100は、外部端末90との通信が確立したか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合は、ステップS864に進み、それ以外の場合は、ステップS862に進む。
【0096】
ステップS862では、処理装置100は、所定の終了条件が成立したか否かを判定する。所定の終了条件は、例えば決済可能状態が所定時間T3以上継続した場合等に成立してよい。所定時間T3は、決済可能状態の適正な持続時間に対応する。判定結果が“YES”の場合は、ステップS866に進み、それ以外の場合は、ステップS860からの処理を繰り返す。
【0097】
ステップS864では、処理装置100は、無線送受信部26を介して近距離通信決済に係る決済処理を実行する。すなわち、処理装置100は、ステップS834で検出した種類指定ジェスチャーに応じた決済方法による決済を実現する。なお、決済方法が、クレジットカードによる決済である場合は、対応するクレジットカードの会社が管理する決済用サーバ(図示せず)に決済情報が外部端末90から送信され、当該決済用サーバにおいて決済が完了する。決済方法が、電子マネーによる決済である場合は、外部端末90において決済が完了する。なお、決済用サーバ(図示せず)で残高等が管理されるタイプの電子マネーの場合は、当該決済用サーバに決済情報が外部端末90から送信され、当該決済用サーバにおいて決済が完了する。決済方法が、デビットカードによる決済である場合は、対応する金融機関が管理する決済用サーバ(図示せず)に決済情報が外部端末90から送信され、当該決済用サーバにおいて決済が完了する。
【0098】
ステップS866では、処理装置100は、決済可能状態から待機状態に移行する。
【0099】
図8〜
図10に示す処理によれば、待機状態において所定動作が検出された場合に限ってスタンバイ状態に移行するので、待機状態から決済可能状態に直接的に遷移可能な構成に比べて、ユーザが意図しないときに決済可能状態が形成されてしまう可能性を低減できる。また、種類指定ジェスチャーに応じた決済方法による決済可能状態が形成されるので、複数の決済方法のうちの、ユーザの意図に適合する決済方法による決済可能状態を形成できる。
【0100】
なお、
図8〜
図10に示す処理では、第1認証処理は、スタンバイ状態において実行されているが、これに代えて又は加えて、待機状態において実行されてもよい。この場合、例えばスタンバイ移行動作に係る筋電位情報に基づいて第1認証処理が実行されてもよい。この場合、第1認証処理による認証が成功しない場合は、スタンバイ状態へ移行されないこととしてもよい。
【0101】
また、
図8〜
図10に示す処理では、第2認証処理は、スタンバイ状態において実行されているが、これに代えて又は加えて、待機状態において実行されてもよい。この場合、第2認証処理による認証が成功しない場合は、スタンバイ状態へ移行されないこととしてもよい。
【0102】
次に、
図11以降を参照して、上述した実施例に対する各種の変形例を説明する。
【0103】
<変形例1>
変形例1は、上述した実施例に対して、加速度情報を更に用いて、決済可能状態を形成する点が異なる。本変形例において、上述した実施例と同じであってよい構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0104】
図11は、本変形例によるフィンガーペイ機能を実現するための処理装置100Aの機能構成の一例を示す機能ブロックである。
図12は、本変形例による対応関係情報の説明図である。
【0105】
本変形例による処理装置100Aは、上述した実施例による処理装置100に対して、
図11に示すように、センサ情報取得部110がセンサ情報取得部110Aで置換され、制御部130が制御部130Aで置換され、かつ、登録情報記憶部172が登録情報記憶部172Aで置換された点が主に異なる。
【0106】
センサ情報取得部110Aは、加速度情報(動き情報の一例)を取得する加速度情報取得部113(第3取得部の一例)を更に含む点が、上述した実施例によるセンサ情報取得部110と異なる。
【0107】
加速度情報取得部113は、加速度センサ63から加速度情報を取得する。ここでは、加速度情報は、一例として、加速度信号の時系列波形である。
【0108】
制御部130Aは、認証部120による認証が成功した場合に、登録情報記憶部172A内の対応関係情報(
図12参照)と、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報と、加速度情報取得部113により取得された加速度情報とに基づいて、近距離通信決済が可能な状態(決済可能状態)(第1決済可能状態の一例)を形成する。
【0109】
この際、制御部130Aは、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報及び加速度情報取得部113により取得された加速度情報に応じた決済方法を、登録情報記憶部172A内の対応関係情報に基づいて、決定する。対応関係情報は、筋電位の変化態様及び加速度の変化態様と決済方法との複数組の対応関係を表す情報である。加速度の変化態様とは、加速度が変化する際の変化態様であり、具体的には、加速度の時系列の変化パターンである。
【0110】
図12に示す例では、決済方法は、クレジットカードCAと電子マネーMAとデビットカードDCの3種類あり、それぞれに、筋電位の変化態様(生データ)と、筋電位の変化態様(変換値)と、加速度の変化態様とが対応付けられている。すなわち、本変形例では、筋電位の変化態様は、ユーザ端末装置10の加速度(すなわちユーザ端末装置10の被装着部位の加速度)との組み合わせで、決済方法に対応付けられる。
【0111】
図12に示す例では、制御部130Aは、筋電位情報取得部111により取得された筋電位情報と、対応関係情報に係る筋電位の変化態様(生データ)との相関性、及び、加速度情報取得部113により取得された加速度情報と、対応関係情報に係る加速度の変化態様との相関性に基づいて、3種類の決済方法のうちから、筋電位情報及び加速度情報に応じた1つの決済方法を決定する。例えば、登録データA1に相関する筋電位情報が取得されかつ登録データB1に相関する加速度情報が取得された場合に、クレジットカードCAによる決済可能状態を形成する。
【0112】
ここで、加速度情報は、筋電位情報とは異なり、認証に好適な情報ではないが、筋電位情報と同様、手の動きに応じて異なる情報である。本変形例によれば、決済方法に、加速度情報と筋電位情報との組み合わせを対応付けることで、決済方法の多様化に更に対応できる。
【0113】
なお、本変形例では、加速度センサからの加速度情報が利用されているが、加速度センサに代えて又は加えて、ジャイロセンサからの角速度情報(動き情報の他の一例)が利用されてもよい。
【0114】
<変形例2>
変形例2は、上述した実施例に対して、位置情報を更に用いて、決済可能状態を形成する点が異なる。本変形例において、上述した実施例と同じであってよい構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0115】
図13は、本変形例によるフィンガーペイ機能を実現するための処理装置100Bの機能構成の一例を示す機能ブロックである。
図14は、推奨決済方法情報の説明図である。
【0116】
本変形例による処理装置100Bは、上述した実施例による処理装置100に対して、
図13に示すように、センサ情報取得部110がセンサ情報取得部110Bで置換され、第2制御部130B及び第2登録処理部170Bが追加され、かつ、登録情報記憶部172が登録情報記憶部172Bで置換された点が主に異なる。
【0117】
センサ情報取得部110Bは、位置情報を取得する位置情報取得部114(第4取得部の一例)を更に含む点が、上述した実施例によるセンサ情報取得部110と異なる。
【0118】
位置情報取得部114は、GPS受信機64から位置情報を取得する。なお、位置情報の情報源は、GPS受信機64からの位置情報に限らない。携帯電話の基地局や、Wi−Fiを用いて位置情報を取得する方法が利用されてもよい。
【0119】
第2制御部130Bは、制御部130が機能しないときに機能する。すなわち、第2制御部130B及び制御部130は、いずれか一方が機能する。本変形例では、一例として、通常モードでは、制御部130が機能し、自動モードでは制御部130Bが機能する。なお、通常モードと自動モードとの間の切替は、ユーザからの指示(例えば入力装置68を介した指示)により実現されてもよい。
【0120】
第2制御部130Bは、認証部120による認証が成功した場合に、登録情報記憶部172B内の推奨決済方法情報(
図14参照)と、位置情報取得部114により取得された位置情報とに基づいて、決済可能状態(第2決済可能状態の一例)を形成する。
【0121】
推奨決済方法情報は、
図14に示すように、決済方法に位置範囲が対応付けられている。具体的には、決済方法“クレジットカードCB”には、複数の位置範囲C1、C2、・・・が対応付けられている。位置範囲C1は、例えば座標(緯度、経度)を中心とした所定半径の範囲で規定されてよい。同様に、決済方法“電子マネーMA”には、複数の位置範囲D1、D2、・・・が対応付けられ、決済方法“デビットカードDC”には、複数の位置範囲E1、E2、・・・が対応付けられている。
【0122】
図14に示す例では、第2制御部130Bは、位置情報が位置範囲C1内である場合、クレジットカードCBによる決済可能状態を形成する。また、同様に、第2制御部130Bは、位置情報が位置範囲D1内である場合、電子マネーMAによる決済可能状態を形成する。
【0123】
第2登録処理部170Bは、推奨決済方法情報を登録情報記憶部172B内に記憶(登録)する。第2登録処理部170Bは、例えばユーザからの指示に従って、推奨決済方法情報を生成した上で、推奨決済方法情報を記憶してもよい。あるいは、第2登録処理部170Bは、学習等により自動的に推奨決済方法情報を生成した上で、推奨決済方法情報を記憶してもよい。この場合、事後的な学習により登録情報記憶部172B内の推奨決済方法情報を更新してもよい。具体的には、第2登録処理部170Bは、通常モードでのユーザの決済方法の選択履歴に基づいて、過去の決済方法の選択履歴に適合するように登録情報記憶部172B内の推奨決済方法情報を更新してもよい。例えば、位置範囲F1でのクレジットカードCAの利用頻度が高い場合に、第2登録処理部170Bは、クレジットカードCAに位置範囲F1が対応付けられる推奨決済方法情報を記憶(更新)する。
【0124】
また、第2登録処理部170Bは、ポイントの付きやすさの観点から、自動的に推奨決済方法情報を生成した上で、推奨決済方法情報を記憶してもよい。例えば、ある系列の店舗では、クレジットカードCAを使う方が、電子マネーMAを使うよりもポイントがお得であるとする。この場合、第2登録処理部170Bは、当該系列の店舗が存在する位置範囲がクレジットカードCAに対応付けられる推奨決済方法情報を記憶(更新)してもよい。
【0125】
なお、本変形例では、決済方法が位置範囲に対応付けられているが、これに限られない。例えば、ポイントカードが位置範囲に対応付けられてもよい。ポイントカードは、店舗等で提示したり、磁気的又は光学的に読み取られたりする等することで、所定のポイントが付与されるカードである。ポイントについても、決済方法と同様、多様化しており、多様な種類のポイントがある。例えば、あるポイントは、系列P1の店舗では付与されるが、他のポイントが、系列P2の店舗では付与されるといった具合である。従って、付与されるポイント(提示されるべきポイントカード)が位置範囲に対応付けられてよい。この場合、第2制御部130Bは、位置範囲に応じたポイントカードを決定し、決定したポイントカードを提示可能な状態を形成する。なお、ポイントカードに係るポイントの付与についても、クレジットカードや電子マネー等と同様、ユーザ端末装置10と外部端末90との間の無線送受信部26を介した近距離通信により可能とされてもよい。
【0126】
また、本変形例は、上述の変形例1と組み合わせることができる。すなわち、上述の変形例1において、第2制御部130B等が設けられてもよい。
【0127】
<変形例3>
変形例3は、上述した実施例に対して、フィンガーペイ機能に係る処理の一部をサーバが実行する点が異なる。
【0128】
図15は、サーバ200とユーザ端末装置10との関係を概略的に示す図である。
図16は、サーバ200とユーザ端末装置10との情報のやり取りの一例を示すタイミングチャートである。
【0129】
サーバ200は、例えばサーバコンピュータにより形成される。サーバ200は、複数種類のサーバコンピュータにより実現されてもよい。例えば、サーバ200は、各種決済方法に対応付けられた決済用サーバ(後出の変形例4参照)を含んでもよい。
【0130】
サーバ200とユーザ端末装置10とは、ネットワーク4を介して双方向に通信可能である。ネットワーク4は、インターネット、WAN(Wide Area Network)、無線通信網、有線ネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせ等を含んでもよい。
【0131】
本変形例では、
図3に示した処理装置100の機能の一部が、サーバ200により実現される。サーバ200により実現される機能は、処理装置100の機能の任意の一部であり、例えば制御部130の一部の機能であってもよい。
【0132】
例えば、
図16に示すように、ユーザ端末装置10は、センサ情報取得部110が各種センサ情報(筋電位情報や静脈情報等)を取得し(ステップS161)、各種センサ情報をサーバ200に送信する(ステップS162)。サーバ200は、マスタ静脈情報や、対応関係情報、基本ジェスチャーデータ等を保持しており、各種センサ情報を受信すると(ステップS163)、認証処理を行うとともに(ステップS164)、対応関係情報に基づいて、受信した筋電位情報に応じた決済方法を特定する(ステップS165)。特定した決済方法による決済可能状態を形成するように、ユーザ端末装置10に指令を送信する(ステップS166)。ユーザ端末装置10は、指令を受信すると(ステップS167)、指令に従って、決済方法による決済可能状態を形成し(ステップS168)、外部端末90との通信が確立すると近距離通信決済に係る決済処理を実行する(ステップS169)。
【0133】
図16に示す例によれば、サーバ200側で認証処理や、筋電位情報に応じた決済方法を特定する処理が実行されるので、ユーザ端末装置10の処理負荷を低減できる。
【0134】
<変形例4>
変形例4は、上述した実施例に対して、決済情報をユーザ端末装置10がサーバに送信する点が異なる。具体的には、上述した実施例では、決済を完了させる際に、必要に応じて、外部端末90から決済情報が決済用サーバ(図示せず)に送信される。
【0135】
これに対して、変形例4では、必要に応じて、外部端末90と通信したユーザ端末装置10から決済情報が決済用サーバ(図示せず)に送信される。具体的には、ユーザ端末装置10は、ユーザが外部端末90に手をかざすと、外部端末90との通信により支払い金額を外部端末90から取得する。ユーザ端末装置10は、支払い金額を外部端末90から取得すると、当該支払い金額と、筋電位情報に応じた決済方法の情報とを含む決済情報を、対応する決済用サーバ(筋電位情報に応じた決済方法に対応付けられた決済用サーバ)に送信する。例えば、決済方法が、クレジットカードによる決済である場合は、対応するクレジットカードの会社が管理する決済用サーバ(図示せず)に決済情報がユーザ端末装置10から送信され、当該決済用サーバにおいて決済が完了する。決済方法が、電子マネーによる決済である場合であって、決済用サーバ(図示せず)で残高等が管理されるタイプの電子マネーの場合は、当該決済用サーバに決済情報がユーザ端末装置10から送信され、当該決済用サーバにおいて決済が完了する。決済方法が、デビットカードによる決済である場合は、対応する金融機関が管理する決済用サーバ(図示せず)に決済情報がユーザ端末装置10から送信され、当該決済用サーバにおいて決済が完了する。
【0136】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0137】
例えば、上述した実施例では、好ましい例として、処理装置100は、登録情報出力部150や報知部160を備えるが、登録情報出力部150及び報知部160の少なくともいずれか一方は省略されてもよい。
【0138】
また、上述した実施例では、好ましい例として、対応関係情報は、決済方法に、筋電位の変化態様(生データ)及び筋電位の変化態様(変換値)が対応付けられているが、これに限られない。例えば、筋電位の変化態様(生データ)及び筋電位の変化態様(変換値)のうちの一方は省略されてもよい。筋電位の変化態様(生データ)及び筋電位の変化態様(変換値)は、基本ジェスチャーデータを介して一方から他方へ導出可能であるためである。また、上述したように登録情報出力部150が省略される場合は、基本ジェスチャーデータも不要であり、対応関係情報は、決済方法に、筋電位の変化態様(生データ)が対応付けられてよい。
【0139】
また、上述した実施例では、決済可能状態とされる決済方法が筋電位情報に応じて選択されているが、これに限られない。例えば、提示可能な状態とされるポイントカードが、筋電位情報に応じて選択されてもよい。
【0140】
また、上述した実施例では、筋電位情報は、決済可能状態とされる決済方法を選択するために使用されるが、操作指示のために利用されてもよい。例えば、開閉制御が可能な扉に対する開閉操作に関して、ユーザ端末装置10は、扉の開放に対応付けられた筋電位情報を検出した場合に、扉の開を指示する指令を、扉の制御装置(図示せず)に対して送信してもよい。
【0141】
また、上述した実施例において、スタンバイ移行動作が、両手を使って初めて実現可能な指の動作である場合は、ユーザは、事前にその旨を処理装置100に通知してもよい。かかる通知は、特殊な入力であってよく、例えば、同様に、両手を使って初めて実現可能な指の動作であってよい。この場合、ユーザが意に反して他人に手の形(スタンバイ移行動作に係る手の形)を強制させられている場合でも、スタンバイ状態への移行が難しくなり、防犯上、有効である。
【0142】
また、上述した実施例では、スタンバイ状態は、1種類しかないが、2種類上のスタンバイ状態が形成可能であってもよい。この場合、スタンバイ状態ごとに、実現可能な決済方法が異なってもよい。例えば、第1スタンバイ状態では、低額決済用の決済方法が対応付けられ、第2スタンバイ状態では、高額決済用の決済方法が対応付けられてもよい。この場合、スタンバイ移行動作も、移行対象のスタンバイ状態ごとに異なることになる。
【0143】
また、上述した実施例では、手の筋電位情報が利用されるが、これに代えて又は加えて、足や他の部位の筋電位情報が利用されてもよい。例えば、足の場合でも、片足に体重をかけたり前後左右に傾けたり体重移動をするだけで筋電位は変化する。足に装着した場合は外部端末90を足元に置くようにしてもよい。また、手の筋電位情報と足の筋電位情報との組み合わせを決済方法に対応付けることで、セキュリティを更に高めるようにしてもよい。
【0144】
また、上述した実施例において、ユーザ端末装置10が装着される手は、ユーザの利き手であってもよいし、利き手でない方の手であってもよい。また、ユーザは、利き手にユーザ端末装置10を装着する場合と、利き手でない方の手にユーザ端末装置10を装着する場合とを、選択的に使い分けることも可能である。利き手と、利き手でない方の手とでは、同じ手の動きであっても筋電位の変化態様が異なる傾向があるためである。例えば、ユーザは、利き手にユーザ端末装置10を装着する場合は低額決済用とし、利き手でない方の手にユーザ端末装置10を装着する場合は高額決済用として利用してもよいし、その反対でもよい。