(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ビームの照射範囲に位置する受電機に向けた方向を特定し、特定した方向に前記ビームを照射して前記受電機に給電を可能とする給電機に接続された給電管理サーバであって、
前記受電機を識別する受電機識別情報を受信する通信装置と、
前記通信装置により受信された受電機識別情報が給電を許可された受電機を識別する受電機識別情報である場合、前記給電機に前記受電機に向けてビームを照射することを指示する制御装置と、
を具備する給電管理サーバであって、
前記通信装置は、前記受電機に対する給電を自動的に開始する条件である給電開始条件を受信し、
前記制御装置は、前記給電開始条件を充足する場合、前記給電機に前記受電機に向けてビームの照射を指示する、
給電管理サーバ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
<1.給電システムの構成>
図1は、本発明の実施形態に係る給電システム1の構成を示すブロック図である。給電システム1は、給電管理サーバ10と、インターネットまたはLANなどの通信網NETと、通信網NETを介して給電管理サーバ10と接続された第1給電機20A、第2給電機20B…と、複数の受電機30a1、30a2…および30b1、30b2…とを備える。給電システム1は、第1給電機20A、第2給電機20Bといったように複数の給電機を備えるが、給電機は一つであってもよい。また、個別の給電機を区別する必要が無い場合には、複数の給電機のうち一つの給電機を、給電機20と称する。この例の給電システム1は受電機30a1、受電機30a2…といったように複数の受電機を備えるが、受電機は一つであってもよい。また、個別の受電機を区別する必要が無い場合には、複数の受電機のうち一つの受電機を、受電機30と称する。
【0010】
給電システム1は、ワイヤレスで電力を伝送する給電サービスに用いられる。この給電サービスでは、給電サービスに加入した受電機30は様々な給電場所に配置された給電機20から電力を受電することが可能となる。
図2は、給電場所の一例を示す説明図である。この例では、2つの給電機20が天井に配置されたカフェにおいて、複数の受電機30に対して給電を行っている。
【0011】
<1−1:給電管理サーバ>
図1に示す給電管理サーバ10は、給電サービスに加入している受電機30への給電を管理する。
給電機20は所定範囲に位置する受電機30へビームを照射することによって、受電機30に給電する。給電機20が照射するビームは、エネルギーを伝送でき且つ指向性を有するものであれば、どのようなものであってもよい。そのようなビームは、電磁波ビームと超音波ビームとを含む。更に、電磁波ビームは、レーザービーム、赤外線ビーム、マイクロ波ビーム、および微弱電波ビームを含む。微弱電波ビームは指向性を有するGHz帯の電波である。以下、給電機20が照射するビームとして赤外線ビームを例示して説明する。
受電機30は、例えば携帯電話機、スマートフォンまたはタブレット端末等の可搬型の装置であり、赤外線ビームを電力に変換する受電モジュールを備える。以下の説明では、受電機30はスマートフォンである場合を想定する。
【0012】
図3は給電管理サーバ10の構成を示すブロック図である。給電管理サーバ10は、制御装置11、記憶装置12、通信装置13、および表示装置14を備える。給電管理サーバ10の各要素は、単体または複数のバスで相互に接続される。なお、本願における「装置」という用語は、回路、デバイスまたはユニット等の他の用語に読替えてもよい。また、給電管理サーバ10の各要素は、単数または複数の機器で構成され、給電管理サーバ10の一部の要素を省略してもよい。
【0013】
制御装置11は、給電管理サーバ10の全体を制御するプロセッサであり、例えば単数または複数のチップで構成される。制御装置11は、例えば、周辺装置とのインターフェース、演算装置およびレジスタ等を含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成される。なお、制御装置11の機能の一部または全部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで実現してもよい。制御装置11は、各種の処理を並列的または逐次的に実行する。
【0014】
記憶装置12は、制御装置11が読取可能な記録媒体であり、制御装置11が実行する複数のプログラム、制御装置11が使用する各種のデータ、管理テーブルTBLa、および給電機テーブルTBLbを記憶する。記憶装置12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)等の記憶回路の1種類以上で構成される。
【0015】
管理テーブルTBLaには、受電機識別情報、給電機識別情報、給電開始条件、給電終了条件、および給電状態情報が対応付けられて記憶されている。
図4に管理テーブルTBLaの記憶内容の一例を示す。
受電機識別情報とは、受電機30を一意に識別する情報であり、例えば、受電モジュールに一意に割り当てられた受電モジュール番号が該当する。但し、管理テーブルTBLaに記憶される受電機識別情報は、給電サービスに加入することによって、給電が許可された受電機30に割り当てられた受電機識別情報である。従って、管理テーブルTBLaを参照すれば、給電の対象となる受電機30の受電機識別情報を知ることができる。換言すれば、管理テーブルTBLaに記憶されていない受電機識別情報が割り当てられた受電機30は給電されない。
【0016】
給電機識別情報とは、給電機20を一意に識別する情報である。管理テーブルTBLaに受電機識別情報と給電機識別情報とが対応付けられて記憶されることにより、受電機30にどの給電機20が給電するかを知ることができる。
図1に示す第1給電機20Aは、受電機30a1および受電機30a2に給電する。ここで、第1給電機20Aの給電機識別情報が「PS0701」、受電機30a1の受電機識別情報が「AH9600」、受電機30a2の受電機識別情報が「AS5963」である場合を想定する。この場合、管理テーブルTBLaには、
図4に示すように受電機識別情報「AH9600」と給電機識別情報「PS0701」とが対応付けられて記憶され、受電機識別情報「AH5963」と給電機識別情報「PS0701」とが対応付けられて記憶される。
また、管理テーブルTBLaにおいて受電機識別情報に対応する給電機識別情報が無い場合には、受電機識別情報に対応する受電機30は給電が許可されているが、いずれの給電機20の照射範囲内に当該受電機30が位置しないことを意味する。例えば、
図4に示す受電機識別情報「AS0101」には給電機識別情報が対応付けられていないので、受電機識別情報「AS0101」に対応する受電機30は、給電可能な状態に無いことが分かる。
【0017】
給電開始条件とは、給電機20が自動で給電を開始する条件である。また、給電終了条件とは、給電機20が自動で給電を停止する条件である。なお、利用者が受電機30を手動で操作することにより給電が開始される場合がある。同様に利用者が受電機30を手動で操作することにより給電が終了する場合がある。
図4に示す例では、受電機識別情報「AS0005」に対応して、給電開始条件が「充電率30%未満」となっており、給電停止条件が「充電率95%以上」となっている。従って、給電機20は受電機識別情報「AS0005」が割り当てられた受電機30に対して、充電率が30%未満になると給電を開始し、充電率が95%以上になると給電を終了する。
【0018】
給電状態情報は、受電機30における給電の状態を示している。給電状態には、給電機20から受電機30に向けてビームを照射して給電している「給電中」、受電機30が給電開始要求を受け付けているが受電機30に対する給電を待機している「待機中」、待機中で無く、受電機30が受電機30に向けてビームを照射しておらず給電していない「停止中」、がある。
給電状態情報は、「給電中」であることを示す給電中フラグ、「停止中」であることを示す停止中フラグ、および「待機中」であることを示す待機中フラグを含む。各フラグは「1」で有効となり、「0」で無効となる。停止中フラグが「1」となるのは、受電機30が給電機20の照射範囲に位置しない場合、または受電機30が給電機20の照射範囲内に位置するが給電の要望が無い場合である。
また、給電の待機中となるのは、給電機20の状態が、同時に給電可能な受電機30の上限に達しており、直ちに給電を開始できない場合である。
【0019】
給電機テーブルTBLbには、給電機識別情報、給電機が設置される店舗名を示す店舗名情報、店舗の位置を示す店舗位置情報、および店舗の地図を表示させるリンク情報とが対応付けられて記憶されている。
図5に給電機テーブルTBLbの記憶内容の一例を示す。
【0020】
<1−2:給電機>
図6は給電機の構成を示すブロック図である。給電機20は、処理装置21、ビーム照射装置22、ビーム方向特定装置23、通信装置24、近距離無線装置25、および記憶装置26を備える。給電機20の各要素は、単体または複数のバスで相互に接続される。給電機20の各要素は、単数または複数の機器で構成され、給電機20の一部の要素を省略してもよい。
【0021】
処理装置21は、給電機20の全体を制御するプロセッサであり、例えば単数または複数のチップで構成される。処理装置21は、例えば、周辺装置とのインターフェース、演算装置およびレジスタ等を含む中央処理装置で構成される。なお、処理装置21の機能の一部または全部を、給電管理サーバ10の制御装置11と同様にハードウェアで実現してもよい。
【0022】
記憶装置26は、処理装置21が読取可能な記録媒体であり、処理装置21が実行する複数のプログラム、処理装置21が使用する各種のデータ、および受電機テーブルTBLcを記憶する。記憶装置26は、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、RAM等の記憶回路の1種類以上で構成される。
【0023】
ビーム照射装置22は、赤外線ビームを照射する。ビーム照射装置22は、赤外線ビームを照射する方向を可変することができる。ビーム照射装置22が照射方向を可変することによって、赤外線ビームを照射可能な範囲を照射範囲と称する。ビーム照射装置22は処理装置21から供給される制御データに基づいて赤外線ビームの方向を制御する。
【0024】
ビーム照射装置22が同時に照射可能な赤外線ビームの数は2以上であってもよいし、一つでもよい。ビーム照射装置22が一つの赤外線ビームを照射し、照射範囲内に受電機30a1と受電機30a2とが位置しこれらに給電することを想定する。ビーム照射装置22から受電機30a1へ向かう方向を第1方向、ビーム照射装置22から受電機30a2へ向かう方向を第2方向としたとき、処理装置21はビーム照射装置22に対して、第1方向を指定する制御データと第2方向を指定する制御データとを時分割で供給する。照射範囲に位置する複数の受電機30に対して給電する場合、各受電機30に向けて赤外線ビームを時分割で照射することによって、ビーム照射装置22が同時に照射可能な赤外線ビームの数が一つであっても複数の受電機30に給電することが可能となる。
【0025】
ビーム方向特定装置23は、ビーム照射装置22から照射範囲内に位置する受電機30へ向けて照射する赤外線ビームの方向を特定し、特定した方向を示すビーム方向情報を生成する。ビーム方向特定装置23は、赤外線ビームの方向を特定できるのであれば、どのようなものであってもよい。例えば、ビーム照射装置22から赤外線ビームの方向を制御して照射範囲を走査する赤外線ビームを照射し、ビーム方向特定装置23において反射光を検出し、検出結果に基づいて赤外線ビームの方向を特定してもよい。
【0026】
また、ビーム方向特定装置23は、撮像素子を備え、撮像素子で撮像した画像のデータを解析して赤外線ビームの方向を特定してもよい。より具体的には、受電機30は、赤外線ビームを電気エネルギーに変換するソーラーパネル等の光電変換パネル32A(
図9参照)を備え、光電変換パネル32Aの周辺に特定のマークを設ける。ビーム方向特定装置23は、画像解析によって特定のマークを検出し、マークの画像上の座標に基づいて赤外線ビームの方向を特定してもよい。
【0027】
通信装置24は通信網NETを介して他の装置と通信する機器である。通信装置24は、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカードまたは通信モジュールとも表記される。具体的には、通信装置24は通信網NETを介して給電管理サーバ10との間で通信を実行する。近距離無線装置25は受電機30との間で無線通信を行う。近距離無線の通信方式としては、例えば、Bluetooth(登録商標)が該当する。
【0028】
図7に記憶装置26に記憶された受電機テーブルTBLcの記憶内容の一例を示す。受電機テーブルTBLcには照射範囲内に位置する受電機30の受電機識別情報と、ビーム方向情報とが対応付けて記憶される。ビーム方向情報は、偏角θと偏角φを示している。
図8を参照して、偏角θおよび偏角φを説明する。同図の示す原点Oにはビーム照射装置22が位置する。また、受電機30が点Qに位置する。この場合、矢印で示すビーム方向は、X軸を基準としてXY平面上の偏角φと、Z軸を基準としてビーム方向とZ軸とを含む平面上の偏角θとで与えられる。
【0029】
<1−3:受電機>
図9は受電機の構成を示すブロック図である。受電機30は、処理装置31、受電モジュール32、記憶装置33、通信装置34、表示装置35、操作装置36、2次電池37、およびGPS装置38を備える。受電機30の各要素は、単体または複数のバスで相互に接続される。受電機30の各要素は、単数または複数の機器で構成され、受電機30の一部の要素を省略してもよい。
【0030】
処理装置31は、受電機30の全体を制御するプロセッサであり、例えば単数または複数のチップで構成される。処理装置31は、例えば、周辺装置とのインターフェース、演算装置およびレジスタ等を含む中央処理装置で構成される。なお、処理装置31の機能の一部または全部を、給電管理サーバ10の制御装置11と同様に他のハードウェアで実現してもよい。
【0031】
記憶装置33は、処理装置31が読取可能な記録媒体であり、処理装置31が実行する給電アプリケーションを含む複数のプログラム、処理装置31が使用する各種のデータを記憶する。記憶装置26は、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、RAM等の記憶回路の1種類以上で構成される。
給電システム1を利用して受電機30が給電されるためには、給電サービスに加入する必要がある。給電アプリケーションは、給電サービスの案内、加入、および運用に用いられる。また、給電アプリケーションは、所定のサイトからダウンロードすることによって、受電機30にインストールされる。
【0032】
受電モジュール32は、給電機20から照射される赤外線ビームを電気エネルギーに変換して得た信号を出力する光電変換パネル32Aと給電機20と近距離無線通信を行う近距離無線装置32Bと不揮発性のメモリ32Cとを備える。この例の受電モジュール32は受電機30に組み込まれているが、受電モジュール32が受電機30から着脱自在に構成されてもよい。受電機30がスマートフォンの場合、受電モジュール32はマイクロUSB形式などの充電端子と接続可能な端子を備えるものであってもよい。メモリ32Cには受電機30を一意に識別する受電機識別情報が記憶されている。
【0033】
通信装置34は、移動体通信網またはインターネット等の通信網NETを介して他の装置と通信する機器である。通信装置34は、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカードまたは通信モジュールとも表記される。例えば、給電管理サーバ10から通信網NETを介して通信装置34が受信したアプリケーションが記憶装置33に記憶される。ダウンロードしたアプリケーションには、給電アプリケーションが含まれる。
【0034】
表示装置35は、処理装置31による制御のもとで各種の画像を表示可能である。例えば液晶表示パネル、有機EL表示パネル等の各種の表示パネルが表示装置35として好適に利用される。
【0035】
操作装置36は、利用者の指示を入力するための機器である。操作装置36は、利用者による操作を受付ける。具体的には、操作装置36は、数字および文字等の符号を入力するための操作と、表示装置35が表示する画像を選択するための操作とを受付ける。例えば、表示装置35の表示面に対する接触を検出するタッチパネルが操作装置36として好適である。なお、利用者が操作可能な複数の操作子を操作装置36が含んでもよい。
【0036】
2次電池37は、充電端子から供給される電力、または受電モジュール32から供給される電力によって充電される。また、2次電池37は受電機30の各要素に電力を供給する電源として機能する。
【0037】
GPS装置38は複数の衛星からの電波を受信し、受信した電波から位置情報を生成する。位置情報は、位置を特定できるのであれば、どのような形式であってもよい。位置情報は、例えば、受電機30の緯度と経度とを示す。この例では、位置情報はGPS装置38から得られることを例示するが、受電機30は、どのような方法で位置情報を取得してもよい。例えば、受電機30の通信先となる基地局に割り当てられたセルIDを用いて位置情報を取得してもよい。さらに、受電機30が無線LANのアクセスポイントと通信する場合には、アクセスポイントに割り当てられたネットワーク上の識別アドレス(MACアドレス)と実際の住所(位置)とを対応付けたデータベースを参照して位置情報を取得してもよい。
【0038】
受電機30において、給電アプリケーションを起動すると、表示装置35に給電サービスの案内が表示される。この案内には、給電機20の設置場所および料金プランが含まれている。また、案内画面には加入に進むボタンが設けられており、利用者がこのボタンを押し下げると、加入のための画面が表示されるようになっている。そして、利用者が給電サービスの加入を選択すると、処理装置31は、メモリ32Cから受電機識別情報を読み出し、読み出した受電機識別情報を通信装置34により給電管理サーバ10へ送信する。給電管理サーバ10は、受電機識別情報を給電が許可された受電機30を特定する情報として、管理テーブルTBLaに記憶する。更に、利用者が操作装置36を用いて入力した給電開始条件と給電終了条件とが給電管理サーバ10へ送信することが可能である。給電管理サーバ10は、受電機識別情報と紐づけて、給電開始条件および給電終了条件を管理テーブルTBLaに記憶する。なお、給電開始条件および給電終了条件の入力は任意である。従って、管理テーブルTBLaには、受電機識別情報が記憶されていても、これに対応する給電開始条件および給電終了条件が記憶されていない場合がある。
【0039】
<2.給電システムの動作>
次に、給電システム1の動作について、通常時の動作、通信不良時の動作、競合時の動作、および案内時の動作に分けて説明する。
【0040】
<2−1:通常時>
図10は給電システム1の通常時の動作を説明するためのシーケンスチャートである。
給電機20は、ビーム照射装置22から照射する赤外線ビームの方向を照射範囲内を走査するように制御する。ビーム方向特定装置23は、上述した走査に同期して赤外線ビームの反射光の光量を検出し、検出結果を分析することによって、受電機30に向かう赤外線ビームの方向を示すビーム方向情報を生成する(S1)。これによって、受電機30に向かうビームの方向を特定することができる。以上の処理は、所定の周期で実行する。従って、照射範囲外から照射範囲内に新たに受電機30が移動してきた場合、移動してきた受電機30に給電のために照射すべき赤外線ビームの方向を特定することができる。
【0041】
この後、給電機20と受電機30との間で近距離無線の通信を確立する。次に、給電機20は近距離無線を用いて受電機情報要求を受電機30へ送信する。受電機情報要求は、通信先の受電機30に対して受電機識別情報の返信を要求するものである。
【0042】
受電機30の近距離無線装置32Bが受電機情報要求を受信すると、処理装置31は受電モジュール32のメモリ32Cから受電機識別情報を読み出し、受電機識別情報を含む受電機情報応答を生成する。この後、処理装置31は受電機情報応答を給電機20へ送信する。
【0043】
給電機20は受電機情報応答を受信すると、処理装置21は受信した受電機識別情報とステップS1で生成したビーム方向情報とを対応付けて受電機テーブルTBLcに書き込むことによって、受電機テーブルTBLcの記憶内容を更新する(S2)。この後、処理装置21は、更新に用いた受電機識別情報と記憶装置26から読み出した給電機識別情報とを含む登録要求を生成し、通信装置24を用いて登録要求を給電管理サーバ10へ送信する。
【0044】
登録要求を給電管理サーバ10の通信装置13が受信すると、制御装置11は登録要求に含まれる受電機識別情報が、管理テーブルTBLaに記憶されている給電が許可された受電機識別情報に含まれるか否かを判定する(S3)。判定結果が肯定である場合、制御装置11は管理テーブルTBLaに給電機識別情報を受電機識別情報に対応付けて記憶する(S4)。これによって、管理テーブルTBLaを参照すれば、給電が許可された受電機30がどの給電機20から給電可能であるかを知ることができる。
【0045】
この後、制御装置11は給電を開始する開始条件が充足されるか否かを判定し(S5)、開始条件が充足された場合、給電開始要求を給電機20へ送信する。
開始条件は、給電開始条件と強制開始条件を含む。制御装置11は、ステップS5の判定において、給電開始条件または強制開始条件の何れが充足されるか否かを判定する。給電開始条件は、上述したように、利用者が予め登録しておくことによって、給電が自動的に開始される条件である。一方、強制開始条件は、給電開始条件が充足されない場合であっても利用者の希望によって給電が開始される条件である。
【0046】
給電開始条件は、例えば、
図4に示されるように「充電率30%未満」である。これを判定するためには、受電機30の充電率を給電管理サーバ10で把握する必要がある。このため、受電機30は給電管理サーバ10に充電率を所定の時間間隔で通知する。この場合、充電率の通知は給電アプリケーションを用いて実行される。但し、給電アプリケーションがインストールされているが、給電サービスに加入していない受電機30は、充電率を給電管理サーバ10に通知しない。また、給電サービスに加入している受電機30が充電率を給電管理サーバ10に通知するのは、上述した受電機情報要求を受電機30が給電機20から受信し、受電機30が給電機20の赤外線ビームの照射範囲内に位置することが確認された後に開始される。即ち、受電機30が赤外線ビームによる給電を実行可能な状態にあることが通知の条件となる。このような条件の下に受電機30は通信網NETを介して給電管理サーバ10に受電機30の充電に関する状態を通知するので、給電管理サーバ10の処理負荷を低減することができる。
【0047】
強制開始条件が充足される場合は、具体的には、利用者がスマートフォンである受電機30を操作して、給電アプリケーションを起動し、手動で給電開始を入力した場合である。手動で給電開始を入力すると、給電機識別情報と受電機識別情報とを含む給電要求が受電機30から通信網NETを介して給電管理サーバ10へ送信される。給電管理サーバ10の通信装置13が給電要求を受信すると、制御装置11は、受信した受電機識別情報が管理テーブルTBLaに記憶されているか否か判定し、記憶されている場合に強制開始条件を充足すると判定する。
【0048】
ステップS5の判定結果が肯定である場合、給電管理サーバ10は受信した給電機識別情報に対応する給電機20へ受電機識別情報を含む給電開始要求を送信する。
【0049】
給電機20が給電開始要求を受信すると、給電機20は赤外線ビームの照射を開始する(S6)。具体的には、給電機20の処理装置21は、受電機テーブルTBLcを参照して、給電開始要求に含まれる給電機識別情報に対応するビーム方向情報を読み出し、読み出したビーム方向情報をビーム照射装置22に供給する。ビーム照射装置22は、ビーム方向情報の示す方向に赤外線ビームを照射する。これによって、受電機30の受電モジュール32は電圧を出力し、2次電池37に充電を開始する(S7)。
【0050】
給電機20は給電を開始したことを示す給電開始応答を給電管理サーバ10へ送信する。給電開始応答は、給電を開始した受電機30の受電機識別情報と給電機20の給電機識別情報を含む。なお、給電機20が給電開始要求を受信した時点で、給電機20の状態が同時に給電可能な受電機30の上限に達している場合には、給電機20は給電開始応答の替わりに給電を待機中であることを示す待機中通知を給電管理サーバ10へ送信する。
待機中通知は、給電を待機している受電機30の受電機識別情報と給電機20の給電機識別情報を含む。
【0051】
給電開始応答または待機中通知を給電管理サーバ10が受信すると、制御装置11は、受信した給電開始応答または待機中通知に基づいて、管理テーブルTBLaに記憶されている給電状態情報を更新する(S8)。給電開始応答を受信した場合、制御装置11は受信した受電機識別情報に対応する停止中フラグを「1」から「0」に更新し、給電中フラグを「0」から「1」に更新する。一方、待機中通知を受信した場合、制御装置11は受信した受電機識別情報に対応する停止中フラグを「1」から「0」に更新し、待機中フラグを「0」から「1」に更新する。
【0052】
給電機20は受電機30が照射範囲に位置するか判定する(S9)。具体的には、給電機20のビーム方向特定装置23は、受電機30の位置を常時監視し、受電機30の位置が変化するとビーム方向情報を出力し、受電機テーブルTBLcに記憶されるビーム方向情報を更新する。処理装置21は受電機テーブルTBLcに記憶されるビーム方向情報が照射範囲外である場合に、受電機30が照射範囲に位置しないと判定する。この場合、給電機20は給電が終了したことを示す給電終了通知を給電管理サーバ10へ送信する。給電終了通知には受電機識別情報と給電機識別情報とを含む。
【0053】
次に、制御装置11は終了条件を充足するか否かを判定する(S10)。終了条件は、給電終了条件、第1強制終了条件、および第2強制終了条件を含む。制御装置11は、ステップS10の判定において、給電終了条件、第1強制終了条件、または第2強制終了条件の何れが充足されるか否かを判定する。給電終了条件は、上述したように、利用者が予め登録しておくことによって、給電が自動的に終了される条件である。一方、第1強制終了条件は、給電終了条件が充足されない場合であっても利用者の希望によって給電が終了される条件である。第2強制終了条件は、給電終了条件が充足されない場合であっても給電不能によって給電が終了される条件である。
給電終了条件は、例えば、
図4に示されるように「充電率95%以上」である。これを判定するためには、受電機30の充電率を給電管理サーバ10で把握する必要がある。充電率を把握するために2つの態様があることは、給電開始条件と同様である。
【0054】
第1強制開始条件が充足される場合は、具体的には、利用者がスマートフォンである受電機30を操作して、給電アプリケーションを起動し、手動で給電停止を入力した場合である。手動で給電停止を入力すると、給電機識別情報と受電機識別情報とを含む給電停止要求が受電機30から通信網NETを介して給電管理サーバ10へ送信される。給電管理サーバ10の通信装置13が給電停止要求を受信すると、制御装置11は、受信した受電機識別情報が管理テーブルTBLaに記憶されているか否か判定し、記憶されている場合に第1強制開始条件を充足すると判定する。
【0055】
第2強制開始条件が充足される場合は、給電中の受電機30が赤外線ビームの照射範囲内から照射範囲外に移動した場合である。この場合、給電管理サーバ10は給電終了通知を受信するので、制御装置11は給電終了通知を受信したか否かによって第2強制終了条件を充足したか否かを判定する。
【0056】
終了条件を充足する場合、給電管理サーバ10は給電を終了すること指示する給電終了要求を給電機20へ送信する。給電終了要求は受電機識別情報を含む。但し、第2強制終了条件を充足する場合、既に給電機20は給電を終了しているので、給電管理サーバ10は給電終了要求を給電機20へ送信しない。
次に、制御装置11は管理テーブルTBLaの記憶内容を更新する(S11)。具体的には、制御装置11は、給電が終了した受電機30に対応する受電機識別情報に対応付けられた給電状態情報を更新する。即ち、停止中フラグを「1」に設定し、給電中フラグおよび待機中フラグを「0」に設定する。
【0057】
給電機20において、給電終了要求を受信した場合、またはステップS10の判定結果が否定である場合、処理装置21は、受電機テーブルTBLcから給電を終了すべき受電機30の受電機識別情報および対応するビーム方向情報を削除して、受電機テーブルTBLcの記憶内容を更新する(S12)。
この後、処理装置21は削除した受電機識別情報に対応する受電機30に対する赤外線ビームの照射を終了するようにビーム照射装置22を制御する。ビーム照射装置22は、給電終了となる受電機30への赤外線ビームの照射を終了する(S13)。
受電機30は、赤外線ビームの照射が終了すると、2次電池37への充電が終了する(S14)。
【0058】
<2−2:通信不良時>
上述した通常時の動作は、給電管理サーバ10と給電機20との間の通信、および給電機20と受電機30との間の通信が正常であることを前提としている。しかしながら、通信不良が発生することがある。この場合、給電管理サーバ10の給電状態情報は給電中を示しているにも拘わらず、給電機20から受電機30へ赤外線ビームが照射されていないことがあり得る。
【0059】
上述したように給電の開始は、給電管理サーバ10において給電開始条件を充足した判定した場合に自動で給電を開始する態様と、利用者が受電機30を操作して給電の要求を給電管理サーバ10に通知する態様がある。特に、後者の場合、受電機30から給電開始の要求を送信したにも拘わらず給電が開始されないのは問題である。
【0060】
そこで、本実施形態では、給電状態を受電機30において監視し、給電開始の要求と実際の給電状態が不一致の場合には、再度、給電開始の要求を給電管理サーバへ送信する。
即ち、受電機30は、給電開始を給電管理サーバ10に要求してから、ビームによる給電を監視し、給電がなされていない場合、再度、給電開始を給電管理サーバ10に要求する。
【0061】
ビームによる給電の監視は、処理装置31が光電変換パネル32Aの出力電圧を監視することによって実行する。処理装置31は出力電圧が所定電圧以下である場合、給電がなされていないと判断し、通信装置34を用いて、給電開始要求を給電管理サーバ10へ送信する。給電開始の要求には受電機30に割り当てられた受電機識別情報が含まれている。
【0062】
給電管理サーバ10の制御装置11は、通信装置13が、受電機30から、受電機識別情報を含む給電開始の要求を受信した場合、受電機識別情報と対応付けられた給電機識別情報が割り当てられた給電機20に、受電機30に向けてビームを照射することを指示する。制御装置11は、まず、管理テーブルTBLaを参照して、給電開始の要求に含まれる受電機識別情報に対応する給電機識別情報を特定する。次に、制御装置11は、給電機識別情報に対応する給電機20に対して、受電機識別情報を含む給電開始要求を送信するように通信装置13を制御する。なお、給電開始の要求は、受電機30から近距離無線通信を用いて給電機20へ送信し、給電機20から給電管理サーバ10へ給電開始の要求を送信してもよい。
【0063】
以上、説明したように、受電機30は、給電開始を給電管理サーバ10に要求してから、ビームによる給電を監視し、給電がなされていない場合、再度、給電開始を給電管理サーバ10に要求し、給電管理サーバ10の制御装置11は、通信装置13が、受電機30から受電機識別情報を含む給電開始の要求を受信した場合、受電機識別情報と対応付けられた給電機識別情報が割り当てられた給電機20に、受電機30に向けてビームを照射することを指示する。これにより、通信不良に起因する不給電を回避することができる。また、給電管理サーバ10は、通信不良を考慮して給電状態を受電機30または給電機20に問い合わせる必要がないので給電管理サーバ10の処理負荷を低減することができる。
【0064】
<2−3:競合時>
公共施設あるいはカフェなど店舗において、給電システム1を導入する場合、2以上の給電機20を配置して広範囲に給電を可能とすることが好ましい。複数の給電機20を配置する場合、照射範囲が重なることがある。
【0065】
以下の説明では、
図11に示すように、第1照射範囲W1に赤外線ビームを照射可能な第1給電機20Aと、第2照射範囲W2に赤外線ビームを照射可能な第2給電機20Bと、第1照射範囲W1および第2照射範囲W2とが重なる重複範囲Zに受電機30が位置する場合を想定する。
【0066】
図12に、受電機30が重複範囲Zに位置する場合に給電する給電機20を決定するまでのシーケンスチャートを示す。
給電管理サーバ10は、管理テーブルTBLaを用いて、受電機30がどの給電機20から給電可能かを管理している。給電管理サーバ10の制御装置11は、第1給電機20Aと第2給電機20Bの双方から登録要求を受信した場合に、競合を検出する(S20)。
【0067】
制御装置11は、競合を検出すると、第1給電機20Aに給電開始要求を送信する。給電開始要求には、重複範囲Zに位置する受電機30の受電機識別情報が含まれている。
【0068】
第1給電機20Aは給電開始要求を受信すると、受電機30に対して赤外線ビームを照射して給電を開始する(S21)。第1給電機20Aは給電を開始したことを示す給電開始応答を給電管理サーバ10へ送信する。
給電管理サーバ10は給電開始応答を受信すると、受電機30において検出された第1給電機20Aから照射される赤外線ビームの強度を示す第1強度情報を報告することを要求する検出強度要求を受電機30へ送信する。
【0069】
検出強度要求を受電機30が受信すると、処理装置21は光電変換パネル32Aの出力電圧を第1強度情報として検出し(S22)、検出した第1強度情報を含む検出強度応答を給電管理サーバ10へ送信する。検出強度応答には、第1強度情報の他に、受電機識別情報が含まれる。
【0070】
給電管理サーバ10が検出強度応答を受信すると、制御装置11は第1強度情報を第1給電機20Aの給電機識別情報と対応付けて記憶装置12に記憶する。
【0071】
この後、給電管理サーバ10は第1給電機20Aに対して受電機識別情報を含む給電停止要求を送信する。第1給電機20Aは給電停止要求を受信すると、給電停止要求に含まれる給電機識別情報に対応する受電機30に対する給電を停止する(S23)。
【0072】
第1給電機20Aは、受電機識別情報を含む給電停止応答を給電管理サーバ10へ送信する。給電停止応答を給電管理サーバ10が受信すると、給電管理サーバ10は第2給電機20Bに対して給電機識別情報を含む給電開始要求を送信する。
【0073】
第2給電機20Bは給電開始要求を受信すると、受電機30に給電を開始し(S24)、給電開始応答を給電管理サーバ10へ送信する。給電管理サーバ10は給電開始応答を受信すると、受電機30において検出された第2給電機20Bから照射される赤外線ビームの強度を示す第2強度情報を報告することを要求する検出強度要求を受電機30へ送信する。
【0074】
検出強度要求を受電機30が受信すると、処理装置21は光電変換パネル32Aの出力電圧を第2強度情報として検出し(S25)、検出した第2強度情報を含む検出強度応答を給電管理サーバ10へ送信する。検出強度応答には、第2強度情報の他に、受電機識別情報が含まれる。
【0075】
給電管理サーバ10が検出強度応答を受信すると、制御装置11は、第2強度情報と記憶装置12に記憶されている第1強度情報とを比較し、強度の大きい方を受電機30に給電する給電機20として決定する。
【0076】
給電管理サーバ10の通信装置13は、受電機30において検出した第1給電機20Aから照射されるビームの強度を示す第1強度情報と、受電機30において検出した第2給電機20Bから照射されるビームの強度を示す第2強度情報とを受信する。そして、制御装置11は、第1強度情報の示す強度が第2強度情報の示す強度よりも大きい場合、第1給電機20Aに受電機30に向けてビームを照射することを指示し、第2給電機20Bに受電機30に向けてビームを照射しないことを指示する。
【0077】
このように受電機30においてビームの強度を検出し、検出結果に基づいてビームを照射すべき給電機20を決定したので、電力を効率良く伝送することができる。また、ビームの強度を検出する場合に、第1給電機20Aからのビームの照射と、第2給電機20Bからのビームの照射が排他的になるように制御したので、ビームの強度を正確に検出することができる。
【0078】
<2−4:案内時>
外出先で受電機30の電池残量が少なくなると、給電システム1を利用して受電機30に充電したくなることがある。しかしながら、給電機20の設置場所を利用者が予め把握しておくのは容易でない。
【0079】
そこで、本実施形態では、給電アプリケーションを実行することによって、最寄の給電機20の設置場所を利用者に知らせるとともに、給電サービスに未加入の利用者に加入を促すようにしている。
スマートフォンなどの情報処理装置である受電機30は、上述したようにGPS装置38により位置情報を取得可能である。給電アプリケーションを起動して、給電場所の表示を選択すると、受電機30の処理装置31は、GPS装置38から出力される位置情報と受電機識別情報を含む案内要求を給電管理サーバ10へ送信する。
【0080】
案内要求を給電管理サーバ10の通信装置13が受信すると、制御装置11は給電機テーブルTBLbを参照して、案内要求に含まれる位置情報に近い順に1または複数の受電機30に関する設置情報を抽出する。設置情報は給電機20の設置に関する情報であり、
図5に示す店舗名情報、店舗位置情報、またはリンク情報が含まれ得る。制御装置11は、通信装置13を用いて、設置情報を含む案内応答を受電機30へ送信する。
【0081】
受電機30は案内応答を受信すると、設置情報に基づいて受電機30の近くの給電場所を表示装置35に表示させる。これによって利用者は、どこで給電サービスを利用できるかを知ることができる。
【0082】
ところで、給電アプリケーションがインストールされている受電機30であっても、利用者が操作装置36を操作して給電サービスに加入しない限り、給電サービスを利用することはできない。未加入の利用者が給電場所の案内を希望する場合は、給電サービスへの加入を希望している可能性が高い。
【0083】
そこで、給電管理サーバ10の制御装置11は、案内要求を受信すると、案内要求に含まれている受電機識別情報が管理テーブルTBLaに記憶された受電機識別情報に含まれているかを判定し、含まれている場合には、案内応答に給電サービスへの加入を促す加入案内情報を含ませて受電機30へ送信する。
【0084】
案内応答を受電機30が受信すると、加入案内情報に基づいて給電サービスへの加入を促す画像を表示装置35に表示させる。これにより、利用者は給電サービスの理解を深めることができ、加入の是非を検討するのが容易になる。
【0085】
このように給電管理サーバ10の制御装置11は、給電機20の設置場所を示す設置情報を管理しており、通信装置13により受電機30の位置情報を含む要求が受信された場合、通信装置13を用いて位置情報に応じた給電機20の設置情報を受電機30へ送信する。従って、受電機30の利用者は、給電機20の設置場所を知ることができ、利便性が向上する。
【0086】
また、要求には受電機30の受電機識別情報が含まれており、制御装置11は、要求に含まれる受電機識別情報が給電を許可された受電機の受電機識別情報でない場合、給電サービスへの加入を促す加入案内情報を受電機30へ送信する。これによって、給電サービスに未加入の受電機30に給電サービスへの加入を促すことができ、給電サービスに加入済の受電機に対しては、加入案内情報を送信しないので、給電管理サーバの処理負荷を削減することができる。
【0087】
上述した実施形態において、給電機20は、ビームの照射範囲に位置する受電機30に向けた方向を特定し、特定した方向にビームを照射して受電機30に給電を可能とした。そして、給電管理サーバ10は、給電機20と接続されており、給電管理サーバ10の通信装置13は、受電機30を一意に識別する受電機識別情報を受信し、制御装置11は、通信装置13により受信された受電機識別情報が給電を許可された受電機を識別する受電機識別情報である場合、給電機20に受電機30に向けてビームの照射することを指示する。この給電管理サーバ10によれば、給電機20のビームの照射範囲に給電が許可された受電機30と、給電が許可されていない受電機30とが位置する場合、給電が許可された受電機30に限って給電を行うことができる。また、給電機20から照射されるビームは指向性を有するので、無指向性の電磁波を用いたワイヤレスの電力伝送と比較して電力の伝送効率を向上させることができる。加えて、無指向性の電磁波を用いると、給電を許可していない受電機30において電磁波を受信すれば電力を受け取ることができてしまう。本実施形態のようにビームを用いることにより、給電が許可されていない受電機30の盗電を防止することが可能となる。
【0088】
給電管理サーバ10の通信装置13は、受電機の方向を特定した給電機20に割り当てられた給電機識別情報を複数の給電機20から受信し、制御装置11は、通信装置13により受信された受電機識別情報が給電を許可された受電機30の受電機識別情報である場合、通信装置13により受信された給電機識別情報に対応する給電機20に、受電機識別情報に対応する受電機30に向けてビームを照射することを指示する。この給電管理サーバ10によれば、給電を許可された受電機30は、複数の受電機30のいずれからも給電を受けることができる。
【0089】
通信装置13は、受電機30に対する給電を自動的に開始する条件である給電開始条件を受信し、制御装置11は、給電開始条件を充足する場合、給電機20に受電機30に向けてビームの照射を指示する。給電管理サーバ10は給電開始条件を管理するので、受電機30は給電の開始を要求しなくても、予め設定された給電開始条件に従って給電を受けることができる。
【0090】
通信装置13は、受電機30に対する給電を自動的に終了する条件である給電終了条件を受信し、制御装置11は、給電終了条件を充足する場合に、受電機30にビームを照射している給電機20に受電機30に向けたビームの照射を終了することを指示する。給電管理サーバ10は給電終了条件を管理するので、受電機30は給電の終了を要求しなくても、予め設定された給電開始条件に従って給電を受けることができる。
【0091】
制御装置11は、給電が許可された受電機30の受電識別情報と受電機30の給電状態を示す給電状態情報とを関連付けて管理し、給電が許可された受電機30の要求に基づいて給電が開始された場合、または給電が許可された受電機30の要求に基づいて給電が終了された場合、給電状態情報を更新した。即ち、給電が許可された受電機の給電状態を示す給電状態情報を給電管理サーバ10において管理するので、給電管理サーバにおいて、受電機30の給電状態を受電機に問い合わせなくても把握することができる。この結果、受電機30において、給電管理サーバ10からの問い合わせに応じて、給電状態を検出するための信号処理を削減して処理負荷を低減することができる。
【0092】
<変形例>
本発明は、以上に例示した実施形態に限定されない。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を併合してもよい。
【0093】
(1)上述した実施形態において給電機20のビーム方向特定装置23は赤外線ビームの反射光を検出し、検出結果に基づいてビームの方向を特定したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、受電機30で取得される位置情報を受電機30へ近距離無線装置32Bを用いて送信し、受電機30のビーム方向特定装置23が位置情報に基づいてビーム方向を算出してもよい。なお、受電機30の位置情報は予め記憶装置26に記憶されている。
【0094】
また、
図13に示すように受電機30がビーコン信号BSを送信し、これを給電機20で受信することによって、受電機30に照射するビームBEの方向を特定してもよい。この場合、上述したビーム方向特定装置23はビーコン信号BSを受信して、ビーコン信号BSの方向を特定する。
図13に示す例では、給電機20と受電機30との間に障害物50が位置してとしても、ビーコン信号BSは壁60で反射して給電機20に伝送される。同様に給電機20から照射されるビームBEも壁60で反射され受電機30に伝送される。このように反射を利用して、直接見えない場所に位置する受電機30に給電することも可能である。
【0095】
(2)上述した実施形態では、受電機30は給電管理サーバ10と通信して給電サービスに加入することとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図14に示すように情報処理装置100を用いて、受電機30Xの受電機識別情報を給電管理サーバ10へ送信してもよい。受電機30Xは、
図9に示す通信装置34を備えていない。情報処理装置100は、例えばスマートフォンである。
【0096】
情報処理装置100が受電機30Xの受電機識別情報を取得するには、以下の態様がある。
第1の態様は、受電機30Xに受電機識別情報を示すQRコード(登録商標)が表示されており、QRコード(登録商標)を情報処理装置100で読み取ることによって、受電機識別情報を取得する。
第2の態様は、近接場型無線通信を用いて受電機30Xの受電機識別情報を情報処理装置100で読み取るものである。
第3の態様は、受電機30Xに表示されている受電機識別情報を利用者が情報処理装置100に手動で入力するものである。
【0097】
このように情報処理装置100を用いることによって、給電管理サーバ10との間で通信する機能が無い受電機30Xであっても給電サービスを利用できるようになる。
【0098】
(3)上述した実施形態では、
図10を参照して説明したように、受電機識別情報は給電機20を経由して給電管理サーバ10に伝送されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、受電機30から給電管理サーバ10へ送信してもよい。
また、受電機識別情報は、受電機30を一意に識別する情報であったが、本発明はこれに限定されず、受電機30を識別する情報であってもよい。例えば、複数の受電機30に共通する受電機識別情報を割り当ててもよい。一人の利用者が複数の装置に対して給電サービスを利用する場合に共通の受電機識別情報を割り当てることにより、複数の装置に対する給電を一元的に管理することが可能になる。あるいは、家族に共通の受電機識別情報を割り当て、各人の装置において給電サービスを利用してもよい。
【0099】
(4)上述した実施形態において、給電管理サーバ10の記憶装置12は管理テーブルTBLaと給電機テーブルTBLbとを記憶したが、本発明はこれに限定されるものではない。これらのテーブルは、給電管理サーバ10と通信網NETを介して接続された他のサーバに格納されるものであってもよい。
【0100】
(5)上述した実施形態では、記憶装置12は、制御装置11が読取可能な記録媒体であり、ROMおよびRAMなどを例示したが、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、CD−ROM(Compact Disc−ROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ、データベース、サーバその他の適切な記憶媒体である。また、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。また、プログラムは、電気通信回線を介して通信網から送信されてもよい。
【0101】
(6)上述した実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT−Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステムおよび/またはこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0102】
(7)上述した実施形態において、説明した情報および信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、またはこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0103】
(8)上述した形態において、入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0104】
(9)上述した形態において、判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0105】
(10)上述した形態において例示したフローチャートにおいて、各ステップの順序を変更してもよい。すなわち、本発明の好適な態様における各処理の順序は、特定の順序に限定されない。
【0106】
(11)上述した形態で例示したプログラムは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称によって呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順または機能等を意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペアおよびデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術および/または赤外線、無線およびマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術および/または無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0107】
(12)本明細書で使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0108】
(13)上述した形態において、受電機30および情報処理装置100は、移動局である場合が含まれる。移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0109】
(14)上述した形態において、「接続された(connected)」という用語、またはこれらのあらゆる変形は、2またはそれ以上の要素間の直接的または間接的なあらゆる接続または結合を意味し、互いに「接続」された2つの要素間に1またはそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1またはそれ以上の電線、ケーブルおよび/またはプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域および光(可視および不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」されると考えることができる。
【0110】
(15)上述した形態において、「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0111】
(16)「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0112】
(17)本願の全体において、例えば、英語におけるa、anおよびtheのように、翻訳によって冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数を含む。
【0113】
(18)本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されないことは当業者にとって明白である。本発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて定まる本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく修正および変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示的な説明を目的とし、本発明に対して何ら制限的な意味を有さない。また、本明細書に例示した態様から選択された複数の態様を組合わせてもよい。