特許第6972497号(P6972497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972497
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】印刷データ修正装置および印刷システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20211111BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20211111BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H04N1/387
   B41J5/30 C
   G06F3/12 344
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-84450(P2017-84450)
(22)【出願日】2017年4月21日
(65)【公開番号】特開2018-182687(P2018-182687A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121599
【弁理士】
【氏名又は名称】長石 富夫
(72)【発明者】
【氏名】岡島 良介
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−123556(JP,A)
【文献】 特開2013−256106(JP,A)
【文献】 特開2004−114391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/38− 1/393
B41J 5/30
G06F 3/12
G06T 1/00
G06T 11/60−11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1印刷部による本身データに基づく印刷と第2印刷部による特殊版データに基づく印刷のうち何れか一方の印刷を記録媒体に行った後、他方の印刷を前記記録媒体に行うための前記本身データおよび前記特殊版データのうちの少なくとも一方を修正する印刷データ修正装置であって、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとの上下関係を設定する上下関係設定部と、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとが重なり合う領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部によって前記重なり合う領域が特定された場合、前記上下関係設定部によって設定された前記上下関係を含む所定の判定条件に基づいて、前記本身データの各オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かを判断する白抜き判断部と、
前記本身データおよび前記特殊版データを、前記白抜き判断部で白抜きにすると判断された画素が白抜きになるように修正する白抜き処理部と、
を有し、
前記所定の判定条件は、前記上下関係と、前記本身データに基づく印刷と前記特殊版データに基づく印刷の順序と、前記順序における追い刷りの可否と、を含む、
ことを特徴とする印刷データ修正装置。
【請求項2】
前記白抜き判断部は、前記本身データのオブジェクトと前記特殊版データの特殊版オブジェクトうち下に位置する方の印刷を上に位置する方の印刷より後に行う場合、前記下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きすると判断し、
前記下に位置する方の印刷を前記上に位置する方の印刷より先に行う場合、前記上に位置する方を前記下に位置する方の上に重ねて印刷する追い刷りが可能でないとき、下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きすると判断する
ことを特徴とする請求項に記載の印刷データ修正装置。
【請求項3】
前記第2印刷部が前記特殊版データに基づく印刷を行った後、前記第1印刷部が前記本身データに基づく印刷を行う場合であって、前記特殊版オブジェクトが前記オブジェクトより下に位置するように前記上下関係が設定される場合、
前記白抜き判断部は、前記第1印刷部が前記オブジェクトを前記第2印刷部によって印刷された前記特殊版オブジェクトの上に重ねて印刷する追い刷りが可能であるとき、前記特殊版オブジェクトの前記重なり合う領域内の画素を白抜きにしないと判断する、
ことを特徴とする請求項に記載の印刷データ修正装置。
【請求項4】
第1印刷部による本身データに基づく印刷と第2印刷部による特殊版データに基づく印刷のうち何れか一方の印刷を記録媒体に行った後、他方の印刷を前記記録媒体に行うための前記本身データおよび前記特殊版データのうちの少なくとも一方を修正する印刷データ修正装置であって、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとの上下関係を設定する上下関係設定部と、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとが重なり合う領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部によって前記重なり合う領域が特定された場合、前記上下関係設定部によって設定された前記上下関係を含む所定の判定条件に基づいて、前記本身データの各オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かを判断する白抜き判断部と、
前記本身データおよび前記特殊版データを、前記白抜き判断部で白抜きにすると判断された画素が白抜きになるように修正する白抜き処理部と、
を有し、
前記第1印刷部が前記本身データに基づく印刷を行った後、前記第2印刷部が前記特殊版データに基づく印刷を行う場合であって、前記本身データの各オブジェクトが前記特殊版オブジェクトより下に位置するように前記上下関係が設定される場合、
前記白抜き判断部は、前記本身データの各オブジェクトの前記重なり合う領域内の画素を白抜きにしないと判断する、
ことを特徴とする印刷データ修正装置。
【請求項5】
前記所定の判定条件は、前記上下関係と、前記本身データに基づく印刷と前記特殊版データに基づく印刷の順序と、前記順序における追い刷りの可否と、を含む、
ことを特徴とする請求項に記載の印刷データ修正装置。
【請求項6】
前記上下関係設定部は、前記本身データのうち、前記特殊版データのオブジェクトより上に位置するオブジェクトの属性の指定を受け付け、前記指定に従って前記上下関係を設定する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置。
【請求項7】
前記上下関係設定部は、前記本身データの各オブジェクトが前記特殊版オブジェクトより上に位置する範囲を受け付け、前記範囲内では、前記本身データの各オブジェクトが前記特殊版オブジェクトより上に位置するように前記上下関係を設定する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置。
【請求項8】
前記白抜き判断部は、前記本身データのオブジェクトにバリアブルデータが含まれるとき、前記バリアブルデータと重なり合う前記特殊版オブジェクトの前記重なり合う領域内の画素を白抜きにすると判断する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置。
【請求項9】
第1印刷部による本身データに基づく印刷と第2印刷部による特殊版データに基づく印刷のうち何れか一方の印刷を記録媒体に行った後、他方の印刷を前記記録媒体に行うための前記本身データおよび前記特殊版データのうちの少なくとも一方を修正する印刷データ修正装置であって、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとの上下関係を設定する上下関係設定部と、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとが重なり合う領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部によって前記重なり合う領域が特定された場合、前記上下関係設定部によって設定された前記上下関係を含む所定の判定条件に基づいて、前記本身データの各オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かを判断する白抜き判断部と、
前記本身データおよび前記特殊版データを、前記白抜き判断部で白抜きにすると判断された画素が白抜きになるように修正する白抜き処理部と、
を有し、
前記上下関係設定部は、前記本身データのうち、前記特殊版データのオブジェクトより上に位置するオブジェクトの属性の指定を受け付け、前記指定に従って前記上下関係を設定する
ことを特徴とする印刷データ修正装置。
【請求項10】
第1印刷部による本身データに基づく印刷と第2印刷部による特殊版データに基づく印刷のうち何れか一方の印刷を記録媒体に行った後、他方の印刷を前記記録媒体に行うための前記本身データおよび前記特殊版データのうちの少なくとも一方を修正する印刷データ修正装置であって、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとの上下関係を設定する上下関係設定部と、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとが重なり合う領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部によって前記重なり合う領域が特定された場合、前記上下関係設定部によって設定された前記上下関係を含む所定の判定条件に基づいて、前記本身データの各オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かを判断する白抜き判断部と、
前記本身データおよび前記特殊版データを、前記白抜き判断部で白抜きにすると判断された画素が白抜きになるように修正する白抜き処理部と、
を有し、
前記上下関係設定部は、前記本身データの各オブジェクトが前記特殊版オブジェクトより上に位置する範囲を受け付け、前記範囲内では、前記本身データの各オブジェクトが前記特殊版オブジェクトより上に位置するように前記上下関係を設定する
ことを特徴とする印刷データ修正装置。
【請求項11】
第1印刷部による本身データに基づく印刷と第2印刷部による特殊版データに基づく印刷のうち何れか一方の印刷を記録媒体に行った後、他方の印刷を前記記録媒体に行うための前記本身データおよび前記特殊版データのうちの少なくとも一方を修正する印刷データ修正装置であって、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとの上下関係を設定する上下関係設定部と、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとが重なり合う領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部によって前記重なり合う領域が特定された場合、前記上下関係設定部によって設定された前記上下関係を含む所定の判定条件に基づいて、前記本身データの各オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かを判断する白抜き判断部と、
前記本身データおよび前記特殊版データを、前記白抜き判断部で白抜きにすると判断された画素が白抜きになるように修正する白抜き処理部と、
を有し、
前記白抜き判断部は、前記本身データのオブジェクトにバリアブルデータが含まれるとき、前記バリアブルデータと重なり合う前記特殊版オブジェクトの前記重なり合う領域内の画素を白抜きにすると判断する
ことを特徴とする印刷データ修正装置。
【請求項12】
前記特殊版データは、前記記録媒体に箔を施すためのトナーを使用して前記特殊版オブジェクトを印刷するためのデータである
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置。
【請求項13】
前記特殊版データは、前記記録媒体にニスを施す箇所を指定したデータである
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置と、
前記本身データに基づく印刷を行う第1印刷部と、
前記特殊版データに基づく印刷を行う第2印刷部と、
を有する
ことを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本身データと特殊版データとを組み合わせて印刷を行う印刷データ修正装置および印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷システムには、図13のように、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)等の色を有するトナーを使用して通常印刷されるべきオブジェクトを含む本身データと、箔押し時に糊として利用されるトナー(以後、箔押し用トナーともいう)を使用して印刷されるべき箔押し用オブジェクトを含む箔押し用データとを組み合わせて、これらデータに従って一つの記録媒体に文書等を印刷するものがある。
【0003】
このような印刷システムでは、箔押し用トナーを使用して印刷される箇所に箔押しが施されるので、通常、図14のように、箔押し用データに基づく印刷、箔押し、本身データに基づく印刷の順に、文書等が作成される。このとき、箔押しが施される箇所と、本身データのオブジェクトが印刷されるべき箇所が重なる場合、図15のように、本身データのラスタライズ時に、本身データのオブジェクトから重なる領域を削る必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、フルカラー画像の上に特色画像を重ねて印刷する場合、下地にプロセスカラーが印刷されていると、特色画像が下地の色に影響されるので、特色画像が印刷される箇所においては、常にフルカラー画像のデータを白抜きにする技術が開示されている。
【0005】
一方、図16に示される最終印刷物(仕上がりイメージ)のように、箔押しが施される領域内に本身データのオブジェクトが印刷される場合、当該オブジェクトを適切に印刷するために、箔押し用データにおいて、当該オブジェクトが印刷されるべき箇所を予め白抜きする必要がある。
【0006】
また、特許文献2には、特定の版のオブジェクト同士が重なる部分の色を、それらオブジェクト同士の色が多重的に合成された色とならないように基本色で表現する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−188956号公報
【特許文献2】特開2015−188212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本身データの中にバリアブルデータなどページ毎に変化するオブジェクトが存在し、このオブジェクトを箔押しが施される領域内に印刷する場合、ユーザは、図17のように、本身データのオブジェクトの変化に応じて、箔押し用データをページ毎に用意する必要があった。これにより、ユーザは、箔押し用データの準備に手間がかかっていた。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、本身データのオブジェクトが印刷されるべき箇所と、特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトの箇所とが重なる場合、当該オブジェクトと当該特殊版オブジェクトのうち何れか一方を適切に白抜きにする印刷データ修正装置および印刷システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0011】
[1]第1印刷部による本身データに基づく印刷と第2印刷部による特殊版データに基づく印刷のうち何れか一方の印刷を記録媒体に行った後、他方の印刷を前記記録媒体に行うための前記本身データおよび前記特殊版データのうちの少なくとも一方を修正する印刷データ修正装置であって、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとの上下関係を設定する上下関係設定部と、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとが重なり合う領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部によって前記重なり合う領域が特定された場合、前記上下関係設定部によって設定された前記上下関係を含む所定の判定条件に基づいて、前記本身データの各オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かを判断する白抜き判断部と、
前記本身データおよび前記特殊版データを、前記白抜き判断部で白抜きにすると判断された画素が白抜きになるように修正する白抜き処理部と、
を有し、
前記所定の判定条件は、前記上下関係と、前記本身データに基づく印刷と前記特殊版データに基づく印刷の順序と、前記順序における追い刷りの可否と、を含む、
ことを特徴とする印刷データ修正装置。
【0012】
上記発明では、本身データのオブジェクトと特殊版オブジェクトが重なり合う領域があるときに、これらオブジェクトの上下関係等に基づいて、オブジェクトと特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かが判断される。そして、当該画素を白抜きにすることが判断された場合、本身データと特殊版データのうち下に位置する方の重なり合う領域内の画素が白抜きにされる。
【0014】
上記発明では、本身データの各オブジェクトと特殊版オブジェクトとの上下関係、本身データに基づく印刷と特殊版データに基づく印刷の順序、前記順序における追い刷りの可否に基づいて、オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かが判断される。
【0015】
]前記白抜き判断部は、前記本身データのオブジェクトと前記特殊版データの特殊版オブジェクトうち下に位置する方の印刷を上に位置する方の印刷より後に行う場合、前記下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きすると判断し、
前記下に位置する方の印刷を前記上に位置する方の印刷より先に行う場合、前記上に位置する方を前記下に位置する方の上に重ねて印刷する追い刷りが可能でないとき、下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きすると判断する
ことを特徴とする[]に記載の印刷データ修正装置。
[3]前記第2印刷部が前記特殊版データに基づく印刷を行った後、前記第1印刷部が前記本身データに基づく印刷を行う場合であって、前記特殊版オブジェクトが前記オブジェクトより下に位置するように前記上下関係が設定される場合、
前記白抜き判断部は、前記第1印刷部が前記オブジェクトを前記第2印刷部によって印刷された前記特殊版オブジェクトの上に重ねて印刷する追い刷りが可能であるとき、前記特殊版オブジェクトの前記重なり合う領域内の画素を白抜きにしないと判断する、
ことを特徴とする[1]に記載の印刷データ修正装置。
上記発明では、特殊版データに基づく印刷の後に本身データに基づく印刷を行う場合であって、特殊版オブジェクトが本身データのオブジェクトより下に位置するよう印刷される場合、本身データのオブジェクトを特殊版オブジェクトの上に重ねて印刷する追い刷りが可能であるとき、本身データのオブジェクトと特殊版オブジェクトが重なり合う領域においては、特殊版オブジェクトの画素を白抜きにしない。
【0016】
[4]第1印刷部による本身データに基づく印刷と第2印刷部による特殊版データに基づく印刷のうち何れか一方の印刷を記録媒体に行った後、他方の印刷を前記記録媒体に行うための前記本身データおよび前記特殊版データのうちの少なくとも一方を修正する印刷データ修正装置であって、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとの上下関係を設定する上下関係設定部と、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとが重なり合う領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部によって前記重なり合う領域が特定された場合、前記上下関係設定部によって設定された前記上下関係を含む所定の判定条件に基づいて、前記本身データの各オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かを判断する白抜き判断部と、
前記本身データおよび前記特殊版データを、前記白抜き判断部で白抜きにすると判断された画素が白抜きになるように修正する白抜き処理部と、
を有し、
前記第1印刷部が前記本身データに基づく印刷を行った後、前記第2印刷部が前記特殊版データに基づく印刷を行う場合であって、前記本身データの各オブジェクトが前記特殊版オブジェクトより下に位置するように前記上下関係が設定される場合、
前記白抜き判断部は、前記オブジェクトの前記重なり合う領域内の画素を白抜きにしないと判断する、
ことを特徴とする印刷データ修正装置。
【0017】
上記発明では、本身データに基づく印刷の後に特殊版データに基づく印刷を行う場合であって、本身データのオブジェクトが特殊版オブジェクトより下に位置するよう印刷される場合、本身データのオブジェクトと特殊版オブジェクトが重なり合う領域においては、本身データのオブジェクトの画素を白抜きにしない。
【0018】
[5]前記所定の判定条件は、前記上下関係と、前記本身データに基づく印刷と前記特殊版データに基づく印刷の順序と、前記順序における追い刷りの可否と、を含む、
ことを特徴とする[4]に記載の印刷データ修正装置。
【0019】
上記発明では、本身データの各オブジェクトと特殊版オブジェクトとの上下関係、本身データに基づく印刷と特殊版データに基づく印刷の順序、前記順序における追い刷りの可否に基づいて、オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かが判断される。
【0020】
[6]前記上下関係設定部は、前記本身データのうち、前記特殊版データのオブジェクトより上に位置するオブジェクトの属性の指定を受け付け、前記指定に従って前記上下関係を設定する
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置。
【0021】
上記発明では、特殊版オブジェクトより上に位置すべき本身データのオブジェクトの属性を指定することにより、本身データのオブジェクトと特殊版オブジェクトとの上下関係が設定される。
【0022】
[7]前記上下関係設定部は、前記本身データの各オブジェクトが前記特殊版オブジェクトより上に位置する範囲を受け付け、前記範囲内では、前記本身データの各オブジェクトが前記特殊版オブジェクトより上に位置するように前記上下関係を設定する
ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置。
【0023】
上記発明では、本身データのうち指定された範囲においては、本身データの各オブジェクトが特殊版オブジェクトより上に位置するように上下関係が設定される。
【0024】
[8]前記白抜き判断部は、前記本身データのオブジェクトにバリアブルデータが含まれるとき、前記バリアブルデータと重なり合う前記特殊版オブジェクトの前記重なり合う領域内の画素を白抜きにすると判断する
ことを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置。
【0025】
上記発明では、本身データのオブジェクトがバリアブルデータである場合、バリアブルデータと重なり合う特殊版オブジェクトのうち、バリアブルデータと特殊版オブジェクトとが重なり合う領域の画素を白抜きにすると判断される。
[9]第1印刷部による本身データに基づく印刷と第2印刷部による特殊版データに基づく印刷のうち何れか一方の印刷を記録媒体に行った後、他方の印刷を前記記録媒体に行うための前記本身データおよび前記特殊版データのうちの少なくとも一方を修正する印刷データ修正装置であって、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとの上下関係を設定する上下関係設定部と、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとが重なり合う領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部によって前記重なり合う領域が特定された場合、前記上下関係設定部によって設定された前記上下関係を含む所定の判定条件に基づいて、前記本身データの各オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かを判断する白抜き判断部と、
前記本身データおよび前記特殊版データを、前記白抜き判断部で白抜きにすると判断された画素が白抜きになるように修正する白抜き処理部と、
を有し、
前記上下関係設定部は、前記本身データのうち、前記特殊版データのオブジェクトより上に位置するオブジェクトの属性の指定を受け付け、前記指定に従って前記上下関係を設定する
ことを特徴とする印刷データ修正装置。
上記発明では、特殊版オブジェクトより上に位置すべき本身データのオブジェクトの属性を指定することにより、本身データのオブジェクトと特殊版オブジェクトとの上下関係が設定される。
[10]第1印刷部による本身データに基づく印刷と第2印刷部による特殊版データに基づく印刷のうち何れか一方の印刷を記録媒体に行った後、他方の印刷を前記記録媒体に行うための前記本身データおよび前記特殊版データのうちの少なくとも一方を修正する印刷データ修正装置であって、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとの上下関係を設定する上下関係設定部と、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとが重なり合う領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部によって前記重なり合う領域が特定された場合、前記上下関係設定部によって設定された前記上下関係を含む所定の判定条件に基づいて、前記本身データの各オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かを判断する白抜き判断部と、
前記本身データおよび前記特殊版データを、前記白抜き判断部で白抜きにすると判断された画素が白抜きになるように修正する白抜き処理部と、
を有し、
前記上下関係設定部は、前記本身データの各オブジェクトが前記特殊版オブジェクトより上に位置する範囲を受け付け、前記範囲内では、前記本身データの各オブジェクトが前記特殊版オブジェクトより上に位置するように前記上下関係を設定する
ことを特徴とする印刷データ修正装置。
上記発明では、本身データのうち指定された範囲においては、本身データの各オブジェクトが特殊版オブジェクトより上に位置するように上下関係が設定される。
[11]第1印刷部による本身データに基づく印刷と第2印刷部による特殊版データに基づく印刷のうち何れか一方の印刷を記録媒体に行った後、他方の印刷を前記記録媒体に行うための前記本身データおよび前記特殊版データのうちの少なくとも一方を修正する印刷データ修正装置であって、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとの上下関係を設定する上下関係設定部と、
前記本身データの各オブジェクトと、前記特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトとが重なり合う領域を特定する領域特定部と、
前記領域特定部によって前記重なり合う領域が特定された場合、前記上下関係設定部によって設定された前記上下関係を含む所定の判定条件に基づいて、前記本身データの各オブジェクトと前記特殊版オブジェクトのうち下に位置する方の前記重なり合う領域内の画素を白抜きにするか否かを判断する白抜き判断部と、
前記本身データおよび前記特殊版データを、前記白抜き判断部で白抜きにすると判断された画素が白抜きになるように修正する白抜き処理部と、
を有し、
前記白抜き判断部は、前記本身データのオブジェクトにバリアブルデータが含まれるとき、前記バリアブルデータと重なり合う前記特殊版オブジェクトの前記重なり合う領域内の画素を白抜きにすると判断する
ことを特徴とする印刷データ修正装置。
上記発明では、本身データのオブジェクトがバリアブルデータである場合、バリアブルデータと重なり合う特殊版オブジェクトのうち、バリアブルデータと特殊版オブジェクトとが重なり合う領域の画素を白抜きにすると判断される。
【0026】
12]前記特殊版データは、前記記録媒体に箔を施すためのトナーを使用して前記特殊版オブジェクトを印刷するためのデータである
ことを特徴とする[1]乃至[11]のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置。
【0027】
13]前記特殊版データは、前記記録媒体にニスを施す箇所を指定したデータである
ことを特徴とする[1]乃至[11]のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置。
【0028】
14][1]乃至[13]のいずれか1つに記載の印刷データ修正装置と、
前記本身データに基づく印刷を行う第1印刷部と、
前記特殊版データに基づく印刷を行う第2印刷部と、
を有する
ことを特徴とする印刷システム。
【0029】
上記発明では、印刷データ修正装置によって修正された本身データおよび特殊版データに基づいて印刷が行われる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る印刷データ修正装置および印刷システムによれば、本身データのオブジェクトが印刷されるべき箇所と、特殊版データに基づいて印刷されるべき特殊版オブジェクトの箇所とが重なる場合、当該オブジェクトと当該特殊版オブジェクトのうち何れか一方を適切に白抜きにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施の形態に係る印刷システムを示す概略図である。
図2】プリンタの概略構成を示すブロック図である。
図3】プリンタコントローラの概略構成を示すブロック図である。
図4】プリンタドライバの箔押し用データ保存設定画面を示す図である。
図5】プリンタドライバの箔押しデータ選択画面を示す図である。
図6】プリンタドライバの箔押し上位オブジェクト選択画面を示す図である。
図7】本身データのオブジェクトと箔押し用オブジェクトのうち下に位置する方の重なり合う領域内の画素を白抜きにする白抜き処理を示すフローチャートである。
図8】プリンタドライバの本身データ上位設定範囲受付画面を示す図である。
図9】プリンタドライバの箔押し順設定画面を示す図である。
図10】白抜き処理要否判定処理を示すフローチャートである。
図11】各画素が本身データ上位設定範囲に属するか否かを判定する設定範囲属否判断処理を示すフローチャートである。
図12】対象画素の本身データ上位設定範囲の属否に応じて一方のページデータの対象画素を白抜きにする白抜き処理を示すフローチャートである。
図13】本身データ、箔押し用データ及び文書の仕上がりイメージを示す図である。
図14】箔押しデータに基づく印刷、箔押し、本身データに基づく印刷の順番で文書を印刷する工程を示す説明図である。
図15】本身データのラスタライズ時に、本身データのオブジェクトにおいて削る必要のある領域を示す説明図である。
図16】本身データにバリアブルデータが含まれる文書を印刷する工程を示す説明図である。
図17】本身データにバリアブルデータが含まれる文書を印刷するときに必要とされる本身データと箔押し用データ及び文書の仕上がりイメージを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷システム5の概略図を示す。印刷システム5は、プリンタ10と、箔押し機50とを有する。プリンタ10と箔押し機50は、両者間で用紙(記録媒体)を搬送することができるように物理的に接続されている。また、印刷システム5は、図示しない複数のクライアントPC(Personal Computer)とネットワークを介して接続される。
【0034】
プリンタ10は、第1印刷部として、クライアントPCから送信されるジョブに含まれる本身データ、あるいは、プリンタ10に予め保存されている本身データに基づいて、当該本身データに含まれるオブジェクトを用紙に印刷する。さらに、プリンタ10は、第2印刷部として、用紙に箔を施すための箔押し用データ(特殊版データ)に基づいて、箔押し用トナーを使用して箔押し用オブジェクト(特殊版オブジェクト)を印刷する。
【0035】
箔押し機50は、プリンタ10において箔押し用トナーを使用して箔押し用オブジェクトが印刷された用紙に箔押しを施す。具体的には、箔押し機50は、箔押し用データに基づいて印刷された箔押し用オブジェクトに使用されている箔押し用トナーを加熱し、融解した箔押し用トナーを糊として使用することにより、箔を用紙に圧着させる。これにより、箔押し用データに基づいて印刷された箔押し用オブジェクトに箔が施される。
【0036】
次に、図1の印刷システム5において箔が施される文書を印刷する方法の概略について説明する。
【0037】
まず、プリンタ10は、箔押し用データに基づいて、箔押し用トナーを使用して箔押し用オブジェクトを用紙に印刷する(工程1)。このとき、当該箔押し用オブジェクトの印刷については、K版が使用される。その後、プリンタ10は、当該箔押し用オブジェクトを印刷した用紙を箔押し機50へ搬送する。
【0038】
箔押し機50は、プリンタ10から搬送された用紙を加熱して、印刷された箔押し用オブジェクトに使用される箔押し用トナーを融解させるとともに、箔を用紙に圧着させる。その後、用紙に圧着されていない部分の箔をローラ等で巻き取ることにより、箔押し用トナーを使用して印刷された部分に箔が施される(工程2)。
【0039】
箔押し機50は、工程2で箔が施された用紙をプリンタ10に搬送する(工程3)。
【0040】
プリンタ10は、箔押し機50から搬送された用紙に対して、本身データに基づく印刷(以後、通常印刷ともいう)を行う(工程4)。通常印刷については、カラー印刷ならば、CMYKなどのトナーが使用され、モノクロ印刷であれば、K版が使用される。
【0041】
その後、プリンタ10は、通常印刷がされた用紙を出力する。図1の印刷システム5は、プリンタ10によって通常印刷された用紙を、箔押し機50を介して出力する(工程5)。このとき、箔押し機50は、当該用紙に対して箔押しを行わない。
【0042】
印刷システムは、以下のような手順で文書を印刷するものであってもよい。(1)プリンタが箔押し用データに基づいて用紙に印刷を行った後、作業者が印刷した用紙を手作業で箔押し機に給紙する。(2)そして、箔押し機によって当該用紙に箔が施されると、作業者は、箔が施された用紙を手作業でプリンタに給紙し、プリンタは、本身データに基づいてその用紙に印刷を行う。
【0043】
あるいは、プリンタ10と箔押し機50が物理的にも接続されておらず、ネットワークを介しても接続されていない印刷システムにおいては、可搬メモリ(例えば、USBメモリ、SDカードなど)を使用して本身データ及び箔押し用データを入力してもよい。
【0044】
また、印刷システムは、他に、通常印刷、箔押しデータに基づく印刷(以後、箔押し印刷ともいう)、箔押しの順番で文書を印刷するように、プリンタと箔押し機との配置を適宜変更してもよい。
【0045】
次に、プリンタ10の構成について説明する。
【0046】
図2は、プリンタ10の概略構成を示すブロック図である。
【0047】
プリンタ10は、当該プリンタ10の動作全体を制御する制御部11を有する。CPU(Central Processing Unit)等を含む制御部11には、バスを通じて、記憶部12と、プリンタコントローラ13と、操作パネル14と、プリントエンジン15とが接続されている。
【0048】
制御部11は、OS(Operating System)プログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどを実行する。
【0049】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、不揮発メモリと、ハードディスク装置などを有する。ROMには、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従って制御部11が各種処理を実行することでプリンタ10の各機能が実現される。
【0050】
RAMは、制御部11がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0051】
不揮発メモリは、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)であり、各種設定情報の保存などに使用される。ハードディスク装置は、大容量の不揮発の記録装置であり、OSプログラムや各種アプリケーションプログラム、印刷データや画像データ、ジョブに係る情報履歴などが保存される。
【0052】
プリンタコントローラ13は、クライアントPCから送信されたジョブ等に含まれる本身データに基づいて、当該本身データに含まれるオブジェクトを用紙に印刷するようにプリントエンジン15を制御する。さらに、プリンタコントローラ13は、箔押し用データに基づいて、当該箔押し用データに含まれる箔押し用オブジェクトを用紙に印刷するようプリントエンジン15を制御する。また、プリンタコントローラ13は、上記印刷を行うために、本身データおよび箔押し用データを修正する印刷データ修正装置としての機能を果たす。
【0053】
操作パネル14は、表示部21と、操作部22とを備えている。このうち操作部22は、スタートボタンなどのスイッチ群とタッチパネルとを備えている。表示部21は、液晶ディスプレイなどで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。
【0054】
プリントエンジン15は、本身データや箔押し用データなどの画像データに応じたオブジェクト等の画像を用紙に印刷する機能を果たす。ここでは、プリントエンジン15は、用紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着部とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂、レーザープリンタとして構成されている。
【0055】
図3は、プリンタコントローラ13の概略構成を示すブロック図である。プリンタコントローラ13は、CPU31と、RAM32と、ハードディスク装置33と、NIC(Network Interface Card)等を使用したネットワークI/F(Interface)部34と、エンジンI/F部35と、転送用バッファ36などを有する。
【0056】
CPU31は、プリンタコントローラ13の動作全体を制御するとともに、本身データに含まれるオブジェクトや箔押し用データに含まれる箔押し用オブジェクトの拡大縮小、回転などの処理のほか、印刷データをイメージデータ(ページデータ)に変換するラスタライズ処理、画像データの圧縮、伸張処理などを行う。
【0057】
RAM32は、CPU31が処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0058】
ハードディスク装置33は、大容量の不揮発の記録装置であり、各種アプリケーションプログラム、本身データ、箔押し用データなどが保存されている。
【0059】
ネットワークI/F部34は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて複数のクライアントPCやその他の外部装置との間でデータを通信する機能を果たす。特に、ネットワークI/F部34は、クライアントPCから、本身データ等を含む印刷ジョブを受信する。さらに、ネットワークI/F部34は、箔押し用データをハードディスク装置33等に保存するために、外部装置等から当該箔押し用データを受信する。
【0060】
エンジンI/F部35は、プリントエンジン15に印刷を実行させるに必要なデータを、制御部11を介してプリントエンジン15に送信する。さらに、エンジンI/F部35は、プリントエンジン15から送信された信号(例えば、トナー残量やプリントエンジン15の稼働状態などを示す信号等)を受信する。特に、エンジンI/F部35は、CPU31によってラスタライズ処理等がなされた本身データや箔押し用データをプリントエンジン15に送信する。
【0061】
転送用バッファ36は、本身データや箔押し用データなどの印刷データに対してラスタライズ処理等の画像処理を行うために、各種のデータを一時的に格納するワークメモリや、画像データなどを格納する画像メモリとして使用される。
【0062】
次に、箔押し用データをプリンタ10に保存する方法について説明する。
【0063】
まず、ユーザは、クライアントPC等の表示部に、図4に示されるプリンタドライバの設定画面を表示させ、この設定画面中の保存設定を「箔押しデータ保存」に設定する。そして、ユーザは、プリンタ10に保存されるべき箔押し用データを選択し、この箔押しデータのデータ名を入力する。その後、設定画面中のOKボタン61が押下されると、クライアントPC等は、選択された箔押し用データをプリンタ10に送信し、プリンタ10は、その箔押し用データを保存する。このとき、プリンタコントローラ13は、箔押し用データを、RIP(Raster Image Processor)処理前のPDL(Page-Description Language)形式で保存してもよいし、箔押し用データに対してラスタライズ処理をすることにより得られたページデータとして保存してもよい。
【0064】
次に、箔が施される文書の印刷設定時における箔押し用データの選択方法について説明する。
【0065】
ユーザは、箔が施される文書を印刷するための印刷指示(印刷ジョブ)をプリンタ10に送信するときに、クライアントPC等の表示部に、図5に示されるプリンタドライバの設定画面を表示させ、この設定画面中の箔押し設定にチェックを入れる。箔押し設定にチェックが入ると、プリンタ10に保存されている箔押し用データのリスト71が設定画面の左側に表示され、ユーザは、リスト71から一の箔押し用データを指定する。このとき、指定された箔押し用データのサムネイル72が設定画面の右側に表示される。
【0066】
その後、この設定画面中のOKボタン73が押下されると、印刷に使用されるべき箔押し用データが確定される。
【0067】
次に、本身データの各オブジェクトと箔押し用データの箔押し用オブジェクトとの上下関係の設定方法について説明する。
【0068】
まず、ユーザは、クライアントPC等の表示部に、図6に示されるプリンタドライバの設定画面を表示させ、この設定画面中の箔押し上位オブジェクト選択において、箔押し用オブジェクトより上に位置すべき本身データのオブジェクトの種類(属性)を上下関係情報として指定する。
【0069】
図6の例では、文字オブジェクトとバリアブルデータが、箔押し用オブジェクトより上に位置すべきオブジェクトとして指定される。その後、設定画面中のOKボタン81が押下されると、クライアントPC等は、本身データと、箔押し用データの指定情報と、本身データの各オブジェクトと箔押し用データの箔押し用オブジェクトとの上下関係情報と、必要に応じて後処理(ステイプルやパンチなど)に関する設定等を含む印刷ジョブを作成し、この印刷ジョブをプリンタ10に送信する。
【0070】
プリンタ10のプリンタコントローラ13は、クライアントPC等から送信された印刷ジョブを受け付ける。プリンタコントローラ13のCPU31は、上下関係設定部として、上下関係情報に基づき、本身データの各オブジェクトと箔押し用データの箔押し用オブジェクトとの上下関係を設定する。
【0071】
次に、プリンタコントローラ13により実行される本身データ又は箔押し用データの白抜き処理方法について説明する。
【0072】
プリンタコントローラ13のCPU31は、クライアントPC等から送信された印刷ジョブを受信すると、印刷ジョブに含まれる本身データに対してラスタライズ処理を行う。そして、CPU31は、当該ラスタライズ処理で生成されたページデータと、箔押し用データに対してラスタライズ処理をすることにより生成されたページデータとを画素単位で重ね合わせ、領域特定部として、本身データの各オブジェクトと箔押し用データの箔押し用オブジェクトとが重なり合う領域を特定する。
【0073】
そして、プリンタコントローラ13のCPU31は、この重なり合う領域を特定すると、白抜き判断部として、本身データの各オブジェクトと箔押し用データの箔押し用オブジェクトとの上下関係等に基づいて、本身データのオブジェクトと箔押し用オブジェクトのうち下に位置する方の重なりあう領域内の画素を白抜きにするか否かを判断する。そして、CPU31は、白抜き処理部として、本身データおよび箔押し用データを、白抜きにすると判断された画素が白抜きになるよう修正する。プリンタコントローラ13は、この白抜き処理を文書の全ページに対して行う。
【0074】
プリンタコントローラ13は、白抜き処理された双方のページデータをプリントエンジン15に送信する。その後、プリントエンジン15がこれらデータに基づいて印刷を行い、箔押し機50が箔押しを行うことで、箔が施された文書が作成される。
【0075】
図7は、本身データのオブジェクトと箔押し用オブジェクトのうち下に位置する方の重なり合う領域内の画素を白抜きにする白抜き処理を示すフローチャートである。
【0076】
まず、プリンタコントローラ13は、クライアントPC等から印刷ジョブを受信すると、ラスタライズ処理された箔押し用のページデータを取得するとともに、当該印刷ジョブに含まれる本身データに対してラスタライズ処理を行い(ステップS001)、本身データのページデータを生成する。このとき、プリンタコントローラ13は、各画素について、文字、写真などのオブジェクトの属性を記憶する。さらに、オブジェクトがバリアブルデータである場合、プリンタコントローラ13は、このオブジェクトに属する画素がバリアブルデータに属する画素であることを記憶する。
【0077】
バリアブルデータに関しては、例えば、PDF(Portable Document Format)/VT(Variable Transactional)等の規格によって作成された本身データの場合、当該本身データは、本体PDFファイルと、バリアブルデータのみが格納されたバリアブル用PDFファイルに分かれている。本体PDFファイルには、PDFコマンドで参照するバリアブル用PDFファイルのファイル名とオブジェクト番号が記載されている。ラスタライズ処理の際に、バリアブルデータについては、バリアブル用PDFファイルのオブジェクトを参照してページデータを作成する。
【0078】
その後、プリンタコントローラ13は、本身データのページデータと箔押し用データのページデータを重ねた場合、各画素位置において、箔押し用オブジェクトに属する画素と、本身データのオブジェクトに属する画素が重なっているか否かを判断する(ステップS002)。このとき、判断対象の画素位置において、本身データのページデータの画素と、箔押し用データのページデータの画素がそれぞれ0(白)以外の画素値を有するか否かで、箔押し用オブジェクトに属する画素と、本身データのオブジェクトに属する画素が重なっているか否かを判断する。
【0079】
判断対象の画素位置において両者の画素が重なっていないと判断した場合(ステップS002;No)、この画素位置においては、本身データに対するラスタライズ処理の結果及び箔押し用データに対するラスタライズ処理の結果をそのまま適用する(ステップS003)。すなわち、当該画素位置においては、本身データのページデータの画素値及び箔押し用データのページデータの画素値がそのまま使用される。
【0080】
両者の画素が重なっていると判断した場合(ステップS002;Yes)、プリンタコントローラ13は、まず、印刷ジョブに含まれる上下関係情報から、本身データのバリアブルデータが箔押し用データの箔押し用オブジェクトより上に位置するよう設定されているか否かを判断する(ステップS004)。
【0081】
バリアブルデータが箔押し用オブジェクトより上に位置するよう設定されていない場合(ステップS004;No)、本処理はステップS006へ進む。
【0082】
バリアブルデータが箔押し用オブジェクトより上に位置するよう設定されている場合(ステップS004;Yes)、ステップS002で箔押し用オブジェクトに属する画素と重なっていると判断された本身データのオブジェクトに属する画素がバリアブルデータに属する画素であるか否かを判断する(ステップS005)。
【0083】
当該画素がバリアブルデータに属する画素である場合(ステップS005;Yes)、本処理はステップS009へ進む。
【0084】
当該画素がバリアブルデータに属する画素ではない場合(ステップS005;No)、本処理はステップS006へ進む。
【0085】
ステップS006では、プリンタコントローラ13は、印刷ジョブに含まれる上下関係情報を参照し、本身データのオブジェクトの属性ごとに、本身データの各オブジェクトと箔押し用データの箔押し用オブジェクトとの上下関係を判断する。例えば、図6のように箔押し上位オブジェクト選択が設定されている場合、本身データのオブジェクトの属性が文字であるとき、当該オブジェクトは箔押し用オブジェクトより上に位置するように設定されていると判断される。一方、本身データのオブジェクトの属性が写真であるとき、当該オブジェクトは箔押し用オブジェクトより下に位置するように設定されていると判断される。
【0086】
そして、プリンタコントローラ13は、ステップS006で判断された上下関係が白抜き処理において有効であるか否かを判断する(ステップS007)。この上下関係が有効でない場合には(ステップS007;No)、プリンタコントローラ13は、本身データのすべてのオブジェクトが箔押し用オブジェクトより下に位置するように設定されていると判断し、本処理はステップS010へ進む。
【0087】
一方、この上下関係が有効である場合には(ステップS007;Yes)、プリンタコントローラ13は、本身データのページデータの各画素について記憶されたオブジェクトの属性とステップS006で判断された上下関係とを参照して、各画素位置において、本身データのオブジェクトに属する画素が箔押し用オブジェクトに属する画素より上に位置するように設定されているか否かを判断する(ステップS008)。
【0088】
当該画素位置において、オブジェクトに属する画素が箔押し用オブジェクトに属する画素より上に位置するように設定されている場合(ステップS008;Yes)、プリンタコントローラ13は、箔押しデータのページデータの当該画素位置における画素を白抜きにし(ステップS009)、本処理を終了させる。
【0089】
一方、当該画素位置において、オブジェクトに属する画素が箔押し用オブジェクトに属する画素より下に位置するように設定されている場合(ステップS008;No)、プリンタコントローラ13は、本身データのページデータの当該画素位置における画素を白抜きにし(ステップS010)、本処理を終了させる。
【0090】
次に、本身データと箔押し用データが予めプリンタ10に保存されている場合における文書印刷の設定方法について説明する。
【0091】
まず、ユーザは、クライアントPC等からプリンタドライバ等を使用して、プリンタ10に本身データを保存するために、プリンタ10に本身データを送信する。クライアントPC等から本身データを受信したプリンタ10は、その本身データにPJL(Printer Job Language)等で保存指示があるとき、この本身データに対してラスタライズ処理を行い、ラスタライズ処理によって生成された本身データのページデータをプリンタコントローラ13のハードディスク装置33等に保存する。このとき、プリンタコントローラ13は、本身データのサムネイル画像等を作成する。
【0092】
ページデータとして保存された本身データ等を使用して箔が施される文書を印刷するとき、プリンタ10において、後処理設定等を含む印刷指示が操作パネル14を通じて行われる。まず、プリンタ10は、プリンタ10に保存されている本身データのリストと箔押し用データのリストを操作パネル14に表示させ、それぞれのリストから印刷に使用されるべき本身データと箔押し用データの選択を受け付ける。
【0093】
それぞれのデータが選択されると、図8のように、操作パネル14に表示される設定画面のプレビュー表示エリアにそれぞれのデータのサムネイル画像が表示される。
【0094】
その後、プリンタ10は、マウス等のポインティングデバイスを使用することにより、本身データの各オブジェクトが箔押し用データの箔押し用オブジェクトより上に位置する範囲(以後、本身データ上位設定範囲という)を受け付ける。このとき、図8のように、本身データのサムネイル画像と箔押し用データのサムネイル画像の上に、本身データ上位設定範囲91、92がそれぞれ点線で表示される。それぞれのデータ上に表示された本身データ上位設定範囲91、92は、一方を移動させると他方が連動して移動するように表示されてもよい。
【0095】
本身データ上位設定範囲91、92が決定されると、次にプリンタ10は、図9に示された設定画面を介して、箔押し印刷と通常印刷との印刷順番設定(箔押し順設定)を受け付ける。
【0096】
通常、箔押しの際にトナーを糊として使用する場合には、箔押し順設定を箔押し→通常印刷に設定する。一方、トナーではなく専用の糊を箔押し用データに基づいて塗布(糊印刷)して箔押しを行う場合や、ニスをニス印刷用データ(特殊版データ)に基づいて塗布(ニス印刷)する場合には、箔押し順設定を通常印刷→箔押しの順に設定する。
【0097】
さらに、箔の種類のうち箔の上から通常印刷が可能である箔が使用される場合、すなわち、印刷された箔押し用オブジェクトの上に重ねて本身データのオブジェクトを印刷することが可能である場合には、箔種別の「追い刷り可能」にチェックを入れる。
【0098】
そして、設定画面中の設定ボタン93が押下されると、文書を印刷するための印刷指示が確定され、プリンタ10はこの印刷指示に従って印刷を行う。
【0099】
次に、本身データと箔押し用データが予めプリンタ10に保存されている場合における本身データのページデータと箔押し用データのページデータのうち一方に対して行う白抜き処理について説明する。
【0100】
図10は、白抜き処理要否判定処理を示すフローチャートである。
【0101】
まず、プリンタコントローラ13は、プリンタ10が印刷指示を受け付けると、印刷指示の中で選択された本身データのページデータと箔押し用データのページデータとを重ね合わせ、各画素位置において、箔押し用オブジェクトに属する画素と、本身データのオブジェクトに属する画素が重なっているか否かを判断する(ステップS101)。
【0102】
判断対象の画素位置において、両者の画素が重なっていないと判断した場合(ステップS101;No)、この画素位置においては、本身データに対するラスタライズ処理の結果及び箔押し用データに対するラスタライズ処理の結果をそのまま適用し(ステップS102)、本処理を終了する。すなわち、当該画素位置においては、本身データのページデータの画素値及び箔押し用データのページデータの画素値がそのまま使用され、白抜き処理は必要ない。
【0103】
一方、両者の画素が重なっていると判断した場合(ステップS101;Yes)、本処理は、図12に示される白抜き処理に移行する(ステップS103)。
【0104】
図11は、各画素が本身データ上位設定範囲91、92に属するか否かを判定する設定範囲属否判断処理を示すフローチャートである。
【0105】
まず、プリンタコントローラ13は、印刷指示で設定された本身データ上位設定範囲91、92を認識する(ステップS201)。そして、プリンタコントローラ13は、ページデータの各画素が本身データ上位設定範囲91、92に属するか否かを判断する(ステップS202)。
【0106】
判断対象の画素が本身データ上位設定範囲91、92に属すると判断した場合(ステップS202;Yes)、その画素の位置においては、本身データのオブジェクトに属する画素が箔押し用オブジェクトに属する画素より上に位置するように設定されていると判断する(ステップS203)。
【0107】
一方、判断対象の画素が本身データ上位設定範囲91、92に属しないと判断した場合(ステップS202;No)、その画素の位置においては、本身データのオブジェクトに属する画素が箔押し用オブジェクトに属する画素より下に位置するように設定されていると判断する(ステップS204)。
【0108】
図12は、対象画素の本身データ上位設定範囲91、92の属否に応じて、一方のページデータの対象画素を白抜きにする白抜き処理を示すフローチャートである。この白抜き処理は、少なくとも本身データの各オブジェクトと箔押し用オブジェクトが重なる領域内の全ての画素に対して実行される。
【0109】
まず、プリンタコントローラ13は、図11の設定範囲属否判定処理(ステップS301)による判断結果から、本身データのオブジェクトと箔押し用データの箔押し用オブジェクトとの対象画素の位置における上下関係を認識する(ステップS302)。
【0110】
本身データのオブジェクトが箔押し用オブジェクトより上に位置する場合(ステップS302;本身データ有効)、プリンタコントローラ13は、印刷指示において設定された印刷順番を認識する(ステップS303)。
【0111】
この印刷順番が通常印刷→箔押しである場合(ステップS303;通常印刷)、本処理はステップS305へ進む。
【0112】
この印刷順番が箔押し→通常印刷である場合(ステップS303;箔押し)、プリンタコントローラ13は、印刷されるべき箔押し用オブジェクトの上に重ねて本身データのオブジェクトを印刷することが可能であるか否か、すなわち、追い刷り可能か否かを印刷指示から認識する(ステップS304)。
【0113】
追い刷り印刷が可能である場合(ステップS304;Yes)、箔押しデータのページデータの対象画素を白抜きにしなくとも本身データのオブジェクトを印刷することができるので、プリンタコントローラ13は、箔押しデータのページデータの当該画素を白抜きにせず、本処理を終了させる。当該画素を白抜きにしないことにより、箔押し印刷の後に通常印刷を行った際に箔押し用オブジェクトと本身データのオブジェクトとの間に位置ずれが発生した場合でも、白抜きによって印刷されない領域が発生しなくなる。
【0114】
一方、追い刷り印刷が不可能である場合(ステップS304;No)、には、箔押しオブジェクトの上に重ねて本身データのオブジェクトを印刷することができないので、プリンタコントローラ13は、箔押しデータのページデータの当該画素を白抜きにして(ステップS305)、本処理を終了させる。
【0115】
あるいは、印刷順番が通常印刷→箔押しである場合(ステップS303;通常印刷)には、本身データのオブジェクトの上に箔押しが施されてしまうので、プリンタコントローラ13は、箔押しデータのページデータの当該画素を白抜きにして(ステップS305)、本処理を終了させる。
【0116】
また、本身データのオブジェクトが箔押し用オブジェクトより下に位置する場合(ステップS302;箔押し用データ有効)、プリンタコントローラ13は、印刷指示において設定された印刷順番を認識する(ステップS306)。
【0117】
この印刷順番が箔押し→通常印刷である場合(ステップS306;箔押し)、箔押し用オブジェクトの上に本身データのオブジェクトが印刷されてしまうので、プリンタコントローラ13は、本身データのページデータの当該画素を白抜きにして(ステップS307)、本処理を終了させる。
【0118】
一方、この印刷順番が通常印刷→箔押しである場合(ステップS306;通常印刷)、本身データのオブジェクトが印刷されてもその上に箔押しを施すことができるので、プリンタコントローラ13は、本身データのページデータの当該画素を白抜きにせず、本処理を終了させる。当該画素を白抜きにしないことにより、通常印刷の後に箔押し印刷を行った際に箔押し用オブジェクトと本身データのオブジェクトとの間に位置ずれが発生した場合でも、白抜きによって印刷されない領域が発生しなくなる。
【0119】
本身データ上位設定範囲91、92を指定することにより本身データのオブジェクトと箔押し用データの箔押し用オブジェクトとの上下関係を設定する技術は、本身データのバリアブルデータに対して特に有効である。その理由として、バリアブルデータが印刷される範囲を本身データ上位設定範囲に指定することで、図17のように、バリアブルデータに応じて、箔押し用データをページ毎に用意する必要がなくなる。
【0120】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0121】
また、本実施の形態に係る印刷システム5のプリンタ10は、箔押し印刷と通常印刷の両方を行っているが、箔押し用データに基づいて印刷を行うプリンタと、本身データに基づいて印刷を行うプリンタは、それぞれ別々のプリンタであってもよい。
【0122】
また、本実施の形態では、一の本身データ上位設定範囲91、92を指定していたが、複数の本身データ上位設定範囲を指定してもよい。
【0123】
また、本実施の形態では、特殊版データに基づく印刷として、箔押し印刷が例示されているが、他に、特色印刷、糊印刷、ニス印刷等も挙げられる。
【0124】
また、本実施の形態では、本身データのオブジェクトや箔押し用オブジェクトを用紙に印刷しているが、印刷に使用される記録媒体として、例えば、布、プラスチック、木材など、印刷可能なものであってもよい。
【0125】
また、本実施の形態では、プリンタ10は、制御部11とプリンタコントローラ13が別々のユニットとして構成されているが、制御部11がプリンタコントローラ13の機能を有してもよい。
【0126】
また、本発明は、印刷データ修正装置として情報処理装置を機能させるプログラムとされてもよい。
【符号の説明】
【0127】
5…印刷システム
10…プリンタ
11…制御部
12…記憶部
13…プリンタコントローラ
14…操作パネル
15…プリントエンジン
21…表示部
22…操作部
31…CPU
32…RAM
33…ハードディスク装置
34…ネットワークI/F部
35…エンジンI/F部
36…転送用バッファ
50…箔押し機
61…OKボタン
71…リスト
72…サムネイル
73…OKボタン
81…OKボタン
91…本身データ上位設定範囲
92…本身データ上位設定範囲
93…設定ボタン
図1
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図3
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