特許第6972500号(P6972500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日油株式会社の特許一覧

特許6972500アルミニウム石鹸、その製造方法および液状油組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972500
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】アルミニウム石鹸、その製造方法および液状油組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 9/00 20060101AFI20211111BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20211111BHJP
   C11D 9/22 20060101ALI20211111BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20211111BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   C11D9/00
   C11D1/04
   C11D9/22
   A61K8/36
   A61Q19/10
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-250405(P2017-250405)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-116538(P2019-116538A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2020年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】吉村 健司
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 真子
【審査官】 柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06248699(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0146466(US,A1)
【文献】 特公昭46−000820(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
A61K 8/00
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソステアリン酸のアルミニウム石鹸であって、イソステアリン酸に由来するアシル基のアルミニウムに対するモル比が1.1以上、2.5以下であり、25℃でのヘキサンに対する溶解度が0.5g/L以上、100g/L以下であることを特徴とする、アルミニウム石鹸。
【請求項2】
請求項1記載のアルミニウム石鹸および液状油を含有することを特徴とする、液状油組成物。
【請求項3】
イソステアリン酸および炭素数1〜6のアルミニウムトリアルコキシドを原料とし、前記アルミニウムトリアルコキシド1モルに対してイソステアリン酸を1.4〜2.7モル反応させることによって、アルミニウム石鹸を得ることを特徴とする、アルミニウム石鹸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な飽和脂肪酸アルミニウム石鹸に関し、炭化水素油、エステル油、シリコーン油等の常温で透明な液状油と併用すると、透明性を維持しつつ、とろみを有し、温度変化に対して粘度変化の少ない安定な増粘物を得ることに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭化水素油、エステル油などの比較的極性の低い油の増粘剤・ゲル化剤、W/O型の乳化剤、安定剤として、金属石鹸、特にステアリン酸アルミニウム(モノ、ジ、トリ塩)やステアリン酸マグネシウムが知られている。従来より、これらの脂肪酸金属石鹸は、有機酸のアルカリ塩の水溶液(有機酸ナトリウム塩、有機酸カリウム塩、有機酸アンモニウム塩)とアルミニウム塩、マグネシウム塩の水溶液とを金属塩交換反応(複分解反応、湿式反応)することにより製造されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、十分な糸引き性を有し、ロング効果だけでなく保存安定性にも優れた油性睫毛用化粧料として、ステアリン酸アルミニウムの記載がある。
【0004】
そこで、特許文献2には、常温で液状を呈する有機媒体を含有する化粧料において、イソステアリン酸アルミニウムを単独またはその他の脂肪酸金属石鹸と併用して配合したことを特徴とする化粧料の製造方法の記載がある。
【0005】
また、特許文献3には、2−エチルヘキサン酸アルミニウム石鹸を製造するに当たり、2−エチルヘキサン酸のアルカリ金属塩とアルミニウム塩とを、式HO・Al(RCOO)で示されるジソープ10質量部に対し式Al(RCOO)で示されるトリソープ1〜3質量部が生成する割合で反応させ、生成した2−エチルヘキサン酸アルミニウム石鹸について品温50℃を越えない温度で乾燥することで、2−エチルヘキサン酸アルミニウム石鹸を製造する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−129282号公報
【特許文献2】特開昭54−64645号公報
【特許文献3】特開平3−11034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来より化粧料用原料として一般に知られている金属石鹸(例えば特許文献1)では、低添加量で高いゲル化能を有するものの、室温で析出するなど、温度に対する安定性が低く、透明性が高い増粘物やゲル化物を得ることは非常に困難であった。
【0008】
特許文献2記載のイソステアリン酸アルミニウムは、原料となるアルミニウム塩の1種である硫酸アルミニウムを用いて金属塩交換反応(複分解反応、湿式反応)によって得られるものであり、透明性を付与できるものの増粘効果は得られにくいという問題があった。
【0009】
また、特許文献3記載の製造法も、金属塩交換反応(複分解反応、湿式反応)で製造していることから、透明性は付与できるものの少量の添加による高い増粘効果は得られないという問題がある。
【0010】
以上述べたように、常温で液状の油と混合したときに、透明性を維持しつつ粘度の高い安定な増粘物が得られるような金属石鹸が望まれる。
【0011】
さらに、添加量を増大させたり、他の増粘剤と組み合わせたりすることにより、粘度を高めることはできるものの、従来のアルミニウム石鹸は温度変化に対する粘度変化が大きく、低温になったときに急激に増粘して取り扱い性や使用感を損なったり、高温になったときに急に粘度が低下して垂れを生じたりする場合があった。そのため、増粘効果が高く、かつ温度変化に対しても粘度変化が小さい安定な増粘剤が求められる。
【0012】
本発明の課題は、常温で液状の油と混合したときに、透明性を維持しつつ粘度の高い安定な増粘物が得られるような金属石鹸を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、イソステアリン酸からなり、特定のヘキサンに対する溶解度有するアルミニウム石鹸が、炭化水素油、エステル油、シリコーン油等の常温で液状の油と併用した際に、溶解性が高く透明で安定性が高い増粘物を得られることを見出し、本発明に至った。
【0014】
すなわち、本発明は以下のものである。
[1] イソステアリン酸のアルミニウム石鹸であって、イソステアリン酸に由来するアシル基のアルミニウムに対するモル比が1.1以上、2.5以下であり、25℃でのヘキサンに対する溶解度が0.5g/L以上、100g/L以下であることを特徴とする、アルミニウム石鹸。

[2] [1]のアルミニウム石鹸および液状油を含有することを特徴とする、液状油組成物。

[3] イソステアリン酸および炭素数1〜6のアルミニウムトリアルコキシドを原料とし、前記アルミニウムトリアルコキシド1モルに対してイソステアリン酸を1.4〜2.7モル反応させることによって、アルミニウム石鹸を得ることを特徴とする、アルミニウム石鹸の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のアルミニウム石鹸によれば、流動点が25℃以下の油(以下、液状油と呼ぶ)と混合することで、透明性を維持した増粘物を得ることができる。また、本発明の製造方法で得られるイソステアリン酸アルミニウム石鹸は、液状油と混合することで、透明性を維持した増粘物を得ることができる。このため、本発明は、透明性が求められる化粧品材料、塗料材料などに好適である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について順次説明する。
本発明に係るアルミニウム石鹸は、イソステアリン酸のアルミニウム石鹸であって、飽和脂肪酸に由来するアシル基のアルミニウムに対するモル比が1.1以上、2.5以下であり、25℃でのヘキサンに対する溶解度が0.5g/L以上である。
【0017】
こうした飽和脂肪酸アルミニウム石鹸は、イソステアリン酸と炭素数1〜6のアルミニウムトリアルコキシドを原料とし、アルミニウムトリアルコキシド1モルに対してイソステアリン酸を1.5〜2.7モル反応させることによって得られる。
【0018】
イソステアリン酸
イソステアリン酸を用いることで、アルミニウム石鹸の増粘剤としての効果が得られ、アルミニウムトリアルコキシドとの反応性が低くならない
【0019】
イソステアリン酸は、分岐飽和脂肪酸である。
【0020】
本発明で用いる飽和脂肪酸としては、イソステアリン酸であり、構造の違い等の限定は特にない。
【0021】
イソステアリン酸とは、分岐したステアリン酸の1種、または2種以上の混合物を意味する。例えば、5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−オクタン酸は、イソブチレン2量体のオキソ反応により炭素数9の分岐アルデヒドとし、次いでこのアルデヒドのアルドール縮合により炭素数18の分岐不飽和アルデヒドとし、次いで水素添加、酸化することにより製造することができ(以下、「アルドール縮合型」と略記する)、これは例えば日産化学工業社より市販されている。
【0022】
2−ヘプチルウンデカン酸は、ノニルアルコールをガーベット反応(Guerbet反応、ゲルベ反応ともいう)により二量化し、酸化することにより製造することができ、これは例えば三菱化学社より市販されている。分岐位置の若干異なる類似混合物として、日産化学工業社より市販され、さらに出発アルコールが直鎖飽和ではない2箇所メチル分岐したタイプも同様に日産化学工業社より市販されている(以下、「ガーベット反応型」と略記する)。また、メチル分岐イソステアリン酸は、例えばオレイン酸のダイマー製造時の副産物として得られるもので〔例えばJ.Amer.Oil Chem.Soc.51,522(1974)に記載〕、例えば米国エメリー社などから市販されているものがあげられる(以下、「エメリー型」と略記する)。エメリー型イソステアリン酸の出発物質であるダイマー酸のさらに出発物質は、オレイン酸だけでなく、リノール酸、リノレン酸等も含まれる場合がある。脂肪酸アルミニウム石鹸を構成するイソステアリン酸として特に限定はなく、上記構造の違ういずれの型のものも使用可能であるが、とりわけエメリー型のイソステアリン酸が好ましい。
【0023】
〈アルミニウムトリアルコキシド〉
アルミニウムトリアルコキシドは、炭素数1〜6のアルコキシドからなり、3つのアルコキシドは互いに同一でも異なっていてもよいが、入手の容易さなどの点から、同一のものが好ましく用いられる。アルコキシドの炭素数は2〜5が好ましく、3〜4がさらに好ましい。該アルミニウムトリアルコキシドの例として、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリn−プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド、アルミニウムトリn−ペントキシド、アルミニウムトリn−ヘキソキシドなどが挙げられる。
【0024】
〈仕込み量〉
アルミニウムは、一般的に3つの結合を形成することができるが、立体障害等の理由から脂肪酸との反応では、2つまでの結合が主たる生成物となる。そのため、アルミニウムトリアルコキシド1モルに対するイソステアリン酸の仕込み量は1.4〜2.7モルが好ましく、1.5〜2.5がより好ましく、1.5〜2.3がさらに好ましい
【0025】
イソステアリン酸の仕込み量が1.4モル未満であると、灰分量が大きくなって炭化水素油、エステル油、シリコーン油等の液状油への相溶性が低下し、沈殿等を生じやすくなる。イソステアリン酸の仕込み量が2.7モルよりも高くなると、アルミニウムトリアルコキシドと反応しないイソステアリン酸量が多くなり、増粘効果が低下する。
【0026】
〈反応温度〉
アルミニウムトリアルコキシドと飽和脂肪酸との反応温度は85〜120℃であり、90〜110℃が好ましい。この反応温度が85℃未満であると反応が遅くなる。反応温度が110℃よりも高温であると飽和脂肪酸アルミニウム石鹸の高分子量化が進み沈殿を生じさせ、また、製品が着色しやすくなる。
【0027】
(炭化水素アシル基のアルミニウムに対するモル比)
本発明のアルミニウム石鹸は、飽和脂肪酸に由来するアシル基を有する。そして、このアシル基のアルミニウムに対するモル比が1.1以上、2.5以下である。アシル基のアルミニウムに対するモル比が1.1未満であると、液状油への相溶性が低下し沈殿等を生じやすくなるので、1.1以上とするが、1.2以上とすることが更に好ましい。また、アシル基のアルミニウムに対するモル比が2.5よりも高くなると、増粘効果が低下するので、2.5以下とするが、2.2以下が更に好ましい。
【0028】
(A値)
好適な実施形態においては、本発明のアルミニウム石鹸の灰分比A値(実測灰分/理論灰分)については、0.80≦A≦0.95とする。尚、実測灰分は、本発明で得られた試料の実測定値(酸化アルミニウムの質量)であり、理論灰分値は、アルミニウム石鹸の原料である飽和脂肪酸とアルミニウムアルコキシドの仕込みモル比から得られる理論値の値である。灰分比A値が上述の範囲であれば、本発明の効果が十分に得られるため好ましく、0.82≦A≦0.93がより好ましい。
【0029】
(溶解度)
本発明のアルミニウム石鹸の25℃でのヘキサンに対する溶解度が0.5g/L以上であり、1.0g/L以上であることがより好ましい。0.5g/Lであることにより炭化水素油、エステル油、シリコーン油等の液状油と高添加量で併用した際に、溶解安定性が高い透明の増粘物を得られる。また、本発明のアルミニウム石鹸の25℃でのヘキサンに対する溶解度の上限は限定する必要は特にないが、増粘効果の高さの観点から、100g/L以下とすることが好ましい。
【0030】
本発明のアルミニウム石鹸は、メルトフローレート(MFR)が、5(g/10分)以上〜30(g/10分)以下であることが好ましい。MFRが上記範囲にあるアルミニウム石鹸は、一定の柔らかさを有していることから、液状油に溶解しやすいとともに、増粘効果が高い。MFRは、10(g/10分)以上〜30(g/10分)以下であることが更に好ましい。尚、アルミニウム石鹸についても、MFRとは、JIS K7210に準拠して測定される、荷重21.18N、190℃での10分間の流出量(g/10分)である。
【0031】
また、本発明は、前記アルミニウム石鹸および液状油を含有する液状油組成物を提供する。本発明のアルミニウム石鹸は、化粧品、塗料などそれぞれの用途、処方に応じて、溶解させる液状油の種類やアルミニウム石鹸の添加量を任意に変更して、増粘剤として用いることができる。
【0032】
本発明のアルミニウム石鹸を溶解させる液状油としては、流動点が25℃以下である油(25℃で液状である油)であれば特に限定されないが、25℃で液体状の炭化水素油、25℃で液体状のエステル油、25℃で液体状のトリグリセリド、25℃で液体状の動植物油、25℃で液体状のシリコーン油、および脂肪酸エステルが特に好ましい。これらの中で、脂肪酸エステル、炭化水素油が特に好ましい。
【0033】
本発明の製造方法では、アルミニウム石鹸と同時に、飽和脂肪酸とアルコキシドによる飽和脂肪酸エステルが生成するため、飽和脂肪酸アルミニウムと飽和脂肪酸エステルの混合物が得られる。この飽和脂肪酸エステルは、飽和脂肪酸アルミニウム石鹸を常温で透明な液状を有する液状油、特に炭化水素油、エステル油、シリコーン油等の液状油に溶解させる際に、素早く安定に溶解させる助剤として好適である。
【0034】
25℃で液体状の炭化水素油としては、流動パラフィン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン、スクワレン、プリスタン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、テトラデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン、α−オレフィンオリゴマー等を挙げることが出来る。
【0035】
25℃で液体状のエステル油としては、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、等が挙げられる。
【0036】
25℃で液体状のトリグリセリドとしては、グリセリンとカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2−エチルヘキサン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、エイコサン酸、オレイン酸のエステルなどがあげられる。
【0037】
25℃で液体状の動植物油脂としてはオリーブ油、ヒマワリ油、サフラワー油、ヒマシ油、ツバキ油等が挙げられる。
【0038】
25℃で液体状のシリコーン油としてはジメチコン、シクロメチコン、フェニルジメチコンなどが挙げられる。
【0039】
アルミニウム石鹸と液状油との質量比(両者の合計質量を100とする)は、1:99から70:30が好ましい。アルミニウム石鹸の質量比を1以上とすることによって、液状油中のアルミニウム分が高く、充分な増粘効果が得られ易い。この観点からは、アルミニウム石鹸と液状油の質量比を10以上:90以下とすることが更に好ましい。また、アルミニウム石鹸の質量比を80以下とすることによって、液状油への溶解安定性を向上する。この観点からアルミニウムと液状油の質量比を10以上:90以下とすることが更に好ましい。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
温度計を取り付けた加熱式混練ニーダーにイソステアリン酸(クローダジャパン(株) Prisorine 3503、酸価189mgKOH/g)500.0g(1.68mol)を加え、95℃まで加熱した。そこに、アルミニウムトリイソプロポキシド(キシダ化学(株)試薬1級)を229.3g(1.12mol)を加え、加熱混練した。反応によって生成するイソプロピルアルコールの留出がなくなった時点で反応を停止し、粘稠性固体のイソステアリン酸アルミニウム石鹸を得た。
【0042】
(実施例2)
温度計を取り付けた加熱式混練ニーダーにイソステアリン酸(クローダジャパン(株) Prisorine 3503、酸価189mgKOH/g)500.0g(1.68mol)を加え、95℃まで加熱した。そこに、アルミニウムトリイソプロポキシド(キシダ化学(株)試薬1級)を149.6g(0.73mol)を加え、加熱混練した。反応によって生成するイソプロピルアルコールの留出がなくなった時点で反応を停止し、粘稠性固体のイソステアリン酸アルミニウム石鹸を得た。
【0043】
(比較例1)
8Lセパラブルフラスコにイソステアリン酸(クローダジャパン(株) Prisorine 3503、酸価189mgKOH/g)300g、および水2500g
を仕込み、60℃ まで昇温した。次いで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を84.2g加え、同温度(60℃)にて1時間攪拌し、イソステアリン酸アルカリ化合物塩水溶液を得た。その後、60℃に保持したまま、20質量%硫酸アルミニウム水溶液1728.5gを60分かけてイソステアリン酸アルカリ化合物塩水溶液に滴下した。滴下終了後、60℃に保持して10分間攪拌して熟成した。得られたイソステアリン酸アルミニウム石鹸水溶液スラリーに水1500gを加え、40℃以下まで冷却した。その後、吸引濾過機でろ過し、1000gの水で2回水洗し、得られたケーキを棚段乾燥機で乾燥してイソステアリン酸脂肪酸アルミニウム石鹸を得た。
【0044】
(比較例2)
8Lセパラブルフラスコにイソステアリン酸(クローダジャパン(株) Prisorine 3503、酸価189mgKOH/g) 300g、および水2500g
を仕込み、60℃ まで昇温した。次いで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を84.2g加え、同温度(60℃)にて1時間攪拌し、イソステアリン酸アルカリ化合物塩水溶液を得た。その後、60℃に保持したまま、20質量%硫酸アルミニウム水溶液1296.4gを60分かけてイソステアリン酸アルカリ化合物塩水溶液に滴下した。滴下終了後、60℃に保持して10分間攪拌して熟成した。得られたイソステアリン酸アルミニウム石鹸水溶液スラリーに水1500gを加え、40℃以下まで冷却した。その後、吸引濾過機でろ過し、1000gの水で2回水洗し、得られたケーキを棚段乾燥機で乾燥してイソステアリン酸脂肪酸アルミニウム石鹸を得た。
【0045】
(比較例3)
温度計を取り付けた加熱式混練ニーダーにイソステアリン酸(クローダジャパン(株) Prisorine 3503、酸価189mgKOH/g)500.0g(1.68mol)を加え、95℃まで加熱した。そこに、アルミニウムトリイソプロポキシド(キシダ化学(株)試薬1級)を1146.7g(5.61mol)を加え、加熱混練した。反応によって生成するイソプロピルアルコールの留出がなくなった時点で反応を停止し、粘稠性固体のイソステアリン酸アルミニウム石鹸を得た。
【0046】
(比較例4)
温度計を取り付けた加熱式混練ニーダーにイソステアリン酸(クローダジャパン(株) Prisorine 3503、酸価189mgKOH/g)500.0g(1.68mol)を加え、95℃まで加熱した。そこに、アルミニウムトリイソプロポキシド(キシダ化学(株)試薬1級)を114.7g(0.56mol)を加え、加熱混練した。反応によって生成するイソプロピルアルコールの留出がなくなった時点で反応を停止し、粘稠性固体のイソステアリン酸アルミニウム石鹸を得た。
【0047】
(比較例5)
8Lセパラブルフラスコにイソステアリン酸(クローダジャパン(株) Prisorine 3503、酸価189mgKOH/g) 300g、および水2500gを仕込み、60℃まで昇温した。次いで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を84.2
g加え、同温度(60℃)にて1時間攪拌し、イソステアリン酸アルカリ化合物塩水溶液を得た。その後、60℃に保持したまま、20質量%硫酸アルミニウム水溶液743.3gを60分かけてイソステアリン酸アルカリ化合物塩水溶液に滴下した。滴下終了後、60℃に保持して10分間攪拌して熟成した。得られたイソステアリン酸アルミニウム石鹸水溶液スラリーに水1500gを加え、40℃以下まで冷却した。その後、吸引濾過機でろ過し、1000gの水で2回水洗し、得られたケーキを棚段乾燥機で乾燥してイソステアリン酸脂肪酸アルミニウム石鹸を得た。
【0048】
(比較例6)
8Lセパラブルフラスコにステアリン酸(日油(株) NAA−180、酸価196mgKOH/g)300g、および水2500gを仕込み、60℃
まで昇温した。次いで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を84.2g加え、同温度(60℃)にて1時間攪拌し、イソステアリン酸アルカリ化合物塩水溶液を得た。その後、60℃に保持したまま、20質量%硫酸アルミニウム水溶液1792.5gを60分かけてイソステアリン酸アルカリ化合物塩水溶液に滴下した。滴下終了後、60℃に保持して10分間攪拌して熟成した。得られたイソステアリン酸アルミニウム石鹸水溶液スラリーに水1500gを加え、40℃以下まで冷却した。その後、吸引濾過機でろ過し、1000
gの水で2回水洗し、得られたケーキを棚段乾燥機で乾燥してイソステアリン酸脂肪酸アルミニウム石鹸を得た。
【0049】
<アシル基のアルミニウムに対するモル比>
得られた各例のアルミニウム石鹸について、アシル基のアルミニウムに対するモル比を以下のようにして測定した。
所定量のアルミニウム石鹸に塩酸を加えて酸分解し、ヘキサンを加えて脂肪酸を抽出し、ヘキサン層を蒸発乾固させてカルボン酸量を定量した。一方、水層に関してアルミニウム量を原子吸光光度法から定量し、両者のモル比を求めた。
【0050】
<実測灰分>
試料約1gを磁器製ルツボにて精秤し、始めは低温で加熱して揮発分を揮発させ、試料に着火させて加熱し、煙がなくなるまで焼いた。650℃の電気炉内に1時間保持して完全に灰化させた後、電気炉から取り出し、5分間放冷後、デシケーター中で60分間放置し、強熱残分を精秤した。以下の式より算出した。

実測灰分(%)=(強熱残分(g)/試料(g))×100
【0051】
<理論灰分>
以下の式により算出した。

理論灰分(%)={102/[78+(M−18)×A]}×100

・102・・・酸アルミニウムの分子量
・78 ・・・水酸化アルミニウムの分子量
・M ・・・用いた脂肪酸の分子量(56110/酸価)
・A ・・・アルミニウム化合物に対する脂肪酸の仕込みモル比
【0052】
<ヘキサンへの溶解度>
25℃にしたヘキサンにアルミニウム石鹸を所定量入れ、スターラーで混合して、1時間後の状態を目視で確認した。溶解した量を測定値とした。
【0053】
各サンプルに関して、液状油として水素化ポリイソブチレン(日油(株)製;パールリーム6)を用いて、サンプル/液状油=90/10(質量比)になるように所定量ビーカーに仕込み、90±2℃で加熱して溶解して混合物を得た。得られたサンプルについて、溶解性、粘度を測定した。
<溶解性>

完全に溶解している・・・○
不溶分が残存している・・・×

<粘度および温度変化に対する粘度変化率>
各所定温度(25℃、65℃)におけるB型粘度計による測定値
および25℃に対する65℃の粘度の変化率を算出した。

粘度変化率
=(25℃の粘度-65℃の粘度)/25℃の粘度
【0054】
各実施例、比較例の原料、脂肪酸とアルミニウム化合物とのモル比、アシル基のアルミニウムに対するモル比、実測灰分、理論灰分、A値、MFR、粘度、粘度変化率の測定結果を表1、表2、表3に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
表1からわかるように、本発明例のアルミニウム石鹸では、有機溶媒と混合することで、透明性を維持した増粘物を得ることができ、しかも増粘物の粘度変化率を小さくすることができる。
【0059】
一方、比較例1(特開昭54−64645号に記載にされたアルミニウム化合物)はヘキサンへの溶解度が低く、液状油に対しては増粘効果が見られなかった。
比較例2では、アルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いており、ヘキサンへの溶解度が低く、液状油に対しては増粘効果が見られなかった。
比較例3では、アシル基/アルミニウムのモル比が0.3/1と低くなっておりヘキサンへの溶解度が低く、液状油に対しては増粘効果が見られなかった。
【0060】
比較例4では、アシル基/アルミニウムのモル比が3.0/1と高くなっており、本発明の上限値2.5を超えているため、
液状油に対してはある程度の増粘効果は見られたものの、粘度の温度変化に対して十分な安定性を有していなかった。
比較例5では、アルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いており、ヘキサンへの溶解度が低く、液状油に対しては増粘効果が見られなかった。
比較例6では、アルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いており、ヘキサンへの溶解度が低く、液状油に対しては増粘効果が見られなかった。