特許第6972507号(P6972507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6972507-混油防止装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972507
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】混油防止装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20211111BHJP
【FI】
   B67D7/32 C
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-88820(P2019-88820)
(22)【出願日】2019年5月9日
(65)【公開番号】特開2020-183267(P2020-183267A)
(43)【公開日】2020年11月12日
【審査請求日】2020年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100087974
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 尚彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】瀧 小緒里
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−132460(JP,A)
【文献】 特開2003−132399(JP,A)
【文献】 特開昭60−010479(JP,A)
【文献】 特開2007−001662(JP,A)
【文献】 特表2005−501319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/32
B67D 7/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油槽所のローディングアーム又はタンクローリの各ハッチにタグ読取り機を、またタンクローリの各ハッチ又はローディングアームにタグを設けて、タグ読取り機にタグを挿入して誤荷積みを防止するとともに、タンクローリの荷卸し用ホースにタグ読取り機を、また給油所の貯油タンクの注油口にタグを設けて、前記タグ読取り機に前記タグを挿入して誤荷卸しを防止する混油防止装置において、
前記タグは同一形状の基体に情報記憶手段、磁性片、またはICタグの何れか一種類を備えており、また前記タグ読取り機は複数種のタグの基体が挿入可能な一つの挿入口を備えるとともに前記タグの情報記憶手段、磁性片、またはICタグの読み取りに適した複数種類の読取り手段を一つの基板に設けて構成されている混油防止装置。
【請求項2】
前記タグ読取り機の基板の一方の面には磁気センサが、他方の面にはICタグセンサが設けられている請求項1に記載の混油防止装置。
【請求項3】
前記タグの磁性片又はICタグは前記基体に埋設されている請求項1に記載の混油防止装置。
【請求項4】
前記挿入口に続く導電性ガイド部には前記ICタグとの通信を規制するための窓が設けられている請求項1に記載の混油防止装置。
【請求項5】
前記タグの基体の一方の面には凹部が設けられ、また前記タグの基体が既定の位置に挿入されたとき前記凹部に嵌入するローラ部材が前記タグの基体を読取り手段側に押圧するように配設されている請求項1に記載の混油防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油槽所でタンクローリに燃料油を荷積みしてこの荷積みした燃料油を給油所の貯油タンクに荷卸しする作業に伴う混油を防止する混油防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油槽所から給油所に配送を担うタンクローリは、油槽所では複数のハッチにガソリン、軽油、灯油等の油種を取り違えることなく積み込み、また、給油所の地下タンクに荷卸しする際は油種ごとに設けた地下タンクに各ハッチの燃料油を間違いなく荷卸するために混油を防止することが必要である。
このような荷積み、荷卸しに際しての混油を防止するため例えば特許文献1に記載されているシステムが提案されている。
【0003】
これによれば、磁性片を情報に対応して配置したタイプのタグとICチップに情報を記憶させたタイプのタグとの何れにも対応できるものの、1台の読取り機にそれぞれのタイプのタグ専用の異なるタグ挿入口が2つ設けられているため、大型化したり、挿入間違いが生じるなどの問題がある。
【特許文献1】特開2007-1662号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記した従来技術の問題点に鑑みて提案されたもので、種類の異なる被検出器を同一の挿入口に挿入しても情報を確実に読み取ることができる燃料油配送システムに適した混油防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を達成するために本発明の混油防止装置は、油槽所のローディングアーム又はタンクローリの各ハッチにタグ読取り機を、またタンクローリの各ハッチ又はローディングアームにタグを設けて、タグ読取り機にタグを挿入して誤荷積みを防止するとともに、タンクローリの荷卸し用ホースにタグ読取り機を、また給油所の貯油タンクの注油口にタグを設けて、前記タグ読取り機に前記タグを挿入して誤荷卸しを防止する混油防止装置において、前記タグは同一形状の基体に情報記憶手段、磁性片、またはICタグの何れか一種類を備えており、また前記タグ読取り機は複数種のタグの基体が挿入可能な一つの挿入口を備えるとともに前記タグの情報記憶手段、磁性片、またはICタグの読み取りに適した複数種類の読取り手段を一つの基板に設けて構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、異なる種類のセンサを備えたタグであっても同一のタグ読取り機の共通の挿入口に装填するだけで確実に情報を読み取ることができ、作業の簡素化とミスの防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のタグ読取り機とこれにより読み取られる2種類のタグとの一実施例の概要を示す図。
図2】図(A)は外殻ケースを外して示す上記タグ読取り機の断面図、及び図(B)はタグの断面図。
図3】タグがタグ読取り機の読取り可能位置に装填された状態を示す断面図。
図4】ガイド部材の一実施例を示す図。
図5】タグの挿入過程を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
そこで以下に、本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1は、油槽所のローディングアーム又はタンクローリの各ハッチに備えられるタグ読取り機と、またタンクローリの各ハッチ又はローディングアームに設けられるタグであって、タグ読取り機にタグを挿入して誤荷積みを防止するとともに、タンクローリの荷卸し用ホースにタグ読取り機を、また給油所の貯油タンクの注油口にタグを設けて、タグ読取り機にタグを挿入して誤荷卸しを防止する混油防止装置に用いる本発明の混油防止装置の一実施例を示すものである。
【0009】
タグ読取り機1は、一端に図示しない制御手段に接続するケーブル2を、他端に1つの共通の挿入口3を備え、外形が同一に形成されたタグの基体8に設けられている異なる種類のセンサ、つまりICタグや磁性片を読み取る読取り手段4,5を内蔵して構成されている。
【0010】
図2は、上記タグ読取り機及び被検出器であるタグの断面構造を外殻ケース1aを取り外して示すものであって、タグ6はその基体8の一方の面、つまりタグ読取り機内の読取り手段4,5が配置されている面に対向する面とは異なる面に山形の凸部9と、この凸部9を越えた後端側に凹部10とが設けられている。なお、図1の符号1bは補強用のリブを示す。
【0011】
ローラ部材11は、図3に示したようにタグ6(7)の基体8の裏面、つまり凸部9及び凹部10が形成されている面に接し、正規の読取り位置にタグ6(7)が装填された時にタグの凹部10と勘合するとともに読取り手段4,5側に常時付勢された状態で配置されている。
【0012】
また、タグ読取り機1は、内部に基板12が収容されていてこれにはタグ6(7)の情報記憶手段、磁性片又はICタグを読み取るための2種類の読取り手段4,5、この実施例では磁性体センサ及びICタグセンサ(無線IDチップ読取り器)が、この実施例では表裏に設けられている。
【0013】
なお、基板12のスペース等の関係で2種類の読取り手段4,5を同一面に配置できる場合には、これら2種の読取り手段4,5を基板12の一方の面にまとめて配置してもよいことは言うまでもない。
この実施例によれば基板12の一面だけでメンテナンス作業ができるので作業効率が良くなる。
【0014】
このように同一の基板12に複数種類の読取り手段を設けるため小型化と、基板の共通化による部品点数の節減を図ることができる。
【0015】
また、挿入口3には図4に示したように好ましくは非磁性で電磁波遮蔽性の材料、アルミやその合金、真鍮で製作され、タグ6,7の裏面と両側面とを規制して所定位置に案内可能なように断面「コ」字型の形成されたガイド部材13が挿入されている。
【0016】
このガイド部材13は、タグ6,7が正規の読取り領域に位置したときだけ電磁波での交信が可能となり、それ以外の位置では交信不能となる検出領域を制限するための遮蔽部材として機能するもので、ガイド部材13の窓14がその機能を奏する。このガイド部材13の窓14により不適正な位置での読取りによるエラーを防止して確実、正確に基体のICタグの情報を読み取ることができる。
【0017】
なお、図中符号15、16は、それぞれ基板の一方の面に設けられた磁性体センサ、及びICタグを読み取るためのICタグセンサを構成するアンテナを示す。
【0018】
また、タグに磁性体を使用したものに対しては検出可能領域が狭くて適正位置に装填された状態でしか検出できないため、上述のような検出領域制限手段は必要としない。
【0019】
この実施例において第一タイプのタグ7に例にとって説明するが、他の種類のタグ6についても同様であるので説明は省略する。
タグ7を挿入口3に挿入して奥に押し込むと基体の表面はローラ部材11により読取り手段4,5の側に押し付けられ、また両側面をガイド部材13に規制されて奥の規定位置に移動する。
【0020】
この挿入過程でローラ部材11が基体の凸部9の登り斜面に乗り上げこれに当接する(図5参照)。凸部9の頂上を越えない中途半端な段階でタグ7から手を離すと、ローラ部材11の弾圧力により発生した分力によりタグ7は挿入口側に押し戻される。つまり、この挿入過程では、電磁波はガイド部材13により検出領域を制限され、相互の交信は不可能となる。
【0021】
一方、ローラ部材11が凸部9の頂点を過ぎるまでタグ7が押し込まれると、凸部9の下り斜面にローラ部材11による分力がタグ7を引き込む方向に作用するため、凹部10にローラ部材11が嵌入し、既定の位置、すなわち正規の読取り位置にタグが固定される(図3参照)。つまり、この過程になると、検出領域の制限がなくなり、交信は可能となる。
【0022】
読取りが終了した後に、タグ7が何らかの原因で引き出されるとローラ部材11が斜面に沿って持ち上げられて凸部9を乗り越えて読取り可能領域の外側まで移動する。
これにより、荷卸し中の荷卸しホースの外れを検出することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 タグ読取り機 2 ケーブル 3 挿入口 4,5 センサの読取り手段 6,7 タグ(被検出器) 8 タグの基体 9 凸部 10 凹部 11 ローラ部材 12 基板 13 ガイド部材 14 窓 15 磁性体センサ 16 アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5