特許第6972511号(P6972511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972511
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】樹脂成形品
(51)【国際特許分類】
   F16K 37/00 20060101AFI20211111BHJP
   B29C 45/37 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   F16K37/00 C
   B29C45/37
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-167482(P2020-167482)
(22)【出願日】2020年10月2日
(62)【分割の表示】特願2017-70270(P2017-70270)の分割
【原出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2021-4676(P2021-4676A)
(43)【公開日】2021年1月14日
【審査請求日】2020年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】深尾 洋一
(72)【発明者】
【氏名】永原 稔久
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0290248(US,A1)
【文献】 特開2000−167850(JP,A)
【文献】 特開2014−074464(JP,A)
【文献】 特開平07−192909(JP,A)
【文献】 特開平09−151631(JP,A)
【文献】 米国特許第04577831(US,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0036959(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
F16K 31/44−31/62
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に沿って往復動可能に設けられることにより調節対象を調節する調節部材を構成する樹脂成形品であって、
前記所定の方向に沿って並設された複数の押出痕により構成されるとともに前記調節部材による調節の向きを表示する押出痕群を有し、
前記調節部材は軸線を中心に回動可能に設けられるものであり、
前記押出痕群は、前記調節部材の軸線方向の端面に形成されており、軸線周りに並設され、
前記調節部材の前記端面には、同端面の中心を通って直線状に延在する操作溝が形成され、
前記端面において前記操作溝を挟んだ両側にそれぞれ形成された2つの前記押出痕群を有し、
前記2つの押出痕群は軸線を中心とした点対称に配置されている、
樹脂成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の方向に往復動可能に設けられることにより調節対象を調節する調節部材を構成する樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上下方向の操作により開閉を行う一方、水平回転方向の操作により湯水の混合比を変更するシングルレバー式の水栓が開示されている。同文献の水栓のハンドル部は、ハンドル本体と、ハンドル本体の上面に形成されてハンドルによる上記混合比の調節の向きを表示する表示部とを有している。ハンドル本体は合成樹脂により形成されており、その上面には、ハンドル本体の中心軸に対して斜めに交わる方向に複数個の凹部が2列設けられている。上記複数個の凹部には、合成樹脂が充填されている。表示部の一方の列には、赤色系に着色されて赤色に発光する蓄光体材料が混ぜられている。また、表示部の他方の列には、青色系に着色されて青色に発光する蓄光体材料が混ぜられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−12646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の水栓の場合、射出成形によりハンドル本体が形成された後、射出成形によりハンドル本体の凹部と成形型の空洞部との間に、蓄光体材料が混ぜられた合成樹脂を射出することにより表示部が形成される。このように二色成形により表示部を形成する場合や、別体の部品をハンドル本体に取り付けることにより表示部を形成する場合などには、表示部を形成する工程が別途必要となり、ハンドル部の製造工程が煩雑になりやすい。
【0005】
なお、こうした問題は、水栓のハンドル部に限定されるものではなく、所定の方向に沿って往復動可能に設けられることにより調節対象を調節する調節部材及び調節部材と隣り合って配置される部材の少なくとも一方を構成する樹脂成形品においては共通して生じるものである。
【0006】
本発明の目的は、調節部材による調節の向きを表示する表示部を容易に形成できる樹脂成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための樹脂成形品は、所定の方向に沿って往復動可能に設けられることにより調節対象を調節する調節部材を構成するものであって、前記所定の方向に沿って並設された複数の押出痕により構成されるとともに前記調節部材による調節の向きを表示する押出痕群を有し、前記調節部材は軸線を中心に回動可能に設けられるものであり、前記押出痕群は、前記調節部材の軸線方向の端面に形成されており、軸線周りに並設され、前記調節部材の前記端面には、同端面の中心を通って直線状に延在する操作溝が形成され、前記端面において前記操作溝を挟んだ両側にそれぞれ形成された2つの前記押出痕群を有し、前記2つの押出痕群は軸線を中心とした点対称に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、調節部材による調節の向きを表示する表示部を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】樹脂成形品の一実施形態について、樹脂成形品としてのスピンドルを備えた止水栓の斜視図。
図2】同実施形態の止水栓の断面図。
図3】同実施形態のスピンドルの側面図。
図4】同実施形態のスピンドルの正面図。
図5】同実施形態のスピンドルを成形する金型の断面図。
図6図5の6−6線に沿った断面図。
図7】同実施形態の射出成形装置の押出ピンとキャビティとの関係を示す斜視図。
図8】変形例のスピンドルの正面図。
図9】樹脂成形品の他の変形例について、樹脂成形品としてのパネル部材及びパネル部材と隣り合って配置された音量調節スイッチ用の調節ノブを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図7を参照して、調節部材を構成する樹脂成形品を、止水栓10のスピンドル50として具体化した一実施形態について説明する。
まず、止水栓10の構成について説明する。
【0011】
図1及び図2に示すように、止水栓10は、略T字状をなす樹脂製の止水栓本体12を有しており、同一軸線上に位置する第1端部及び第2端部には、いずれも円筒状の第1の接続部14及び第2の接続部16がそれぞれ設けられている。止水栓本体12における第1の接続部14と第2の接続部16との間には、上記スピンドル50を収容する円筒状の収容部22が分岐して設けられている。収容部22は、第1の接続部14及び第2の接続部16の軸線方向に対して直交して延びている。
【0012】
図2に示すように、第1の接続部14には、継手40が接続されている。継手40は、いずれも樹脂製の外筒42及び外筒42の内周面に固定された内筒44を有している。
外筒42の内端側の外周面には、環状の突条42aが形成されている。第1の接続部14の内周面に形成された環状の凹溝14aに対して上記突条42aが嵌合されることにより、継手40の抜け止めがなされている。
【0013】
内筒44の内端側の外周面には、環状溝44aが形成されている。環状溝44aに嵌められたシールリング70によって、内筒44(継手40)と第1の接続部14(止水栓本体12)との間がシールされている。
【0014】
外筒42の外端部には、樹脂製のキャップ46が被せられている。外筒42の外端面と、同外端面に対向するキャップ46の対向面とにより、抜け止めリング48が介設されている。抜け止めリング48によって、外筒42の内周面と内筒44の外周面との間に挿入された樹脂製の第1の配管101の抜け止めがなされている。
【0015】
第1の接続部14の外周面には、ステンレス鋼製の第1のカバー30が被せられている。これにより、第1の接続部14の径方向外側への変形が規制されている。
第2の接続部16は、内筒部18及び内筒部18の外周に設けられた外筒部20を有しており、内筒部18と外筒部20との間に、止水栓本体12とは別体の第1の筒体34がインサート成形により介設されている。第1の筒体34の外端部の外周面には、雄ねじ34aが形成されている。第1の筒体34の内端部の外周面には、2つの環状の凸部34bが軸線方向において間隔をおいて形成されている。これにより、第2の接続部16からの第1の筒体34の抜け止めがなされている。第1の筒体34の雄ねじ34aに対して、例えばユニオン継手(図示略)を連結することにより、第2の接続部16に第2の配管102が接続される。
【0016】
図2に示すように、収容部22の外端部の内周には、止水栓本体12とは別体の第2の筒体36がインサート成形により一体に設けられている。第2の筒体36の内周面には、雌ねじ36aが形成されている。第2の筒体36の外周面には、複数の凸部36bが周方向に間隔をおいて形成されている。これにより、収容部22からの第2の筒体36の抜け止めがなされるとともに、第2の筒体36の回転が規制されている。
【0017】
収容部22は、止水栓本体12の内部に突出する筒状の突出部24を有している。突出部24の底壁の中心部には、第1の接続部14に連通する第1の連通孔26が形成されている。突出部24の内底面には、内端側ほど縮径された傾斜面26aが形成されている。突出部24の側壁には、第2の接続部16の内筒部18内に連通する第2の連通孔28が形成されている。
【0018】
収容部22には、樹脂製のスピンドル50が収容されている。
図2及び図3に示すように、スピンドル50の基端部52の端面(外端面)には、同端面の中心を通って直線状に延在する操作溝52aが形成されている。
【0019】
スピンドル50における基端部52よりも先端側の部分の外周面には、第2の筒体36の雌ねじ36aに螺合される雄ねじ54が形成されている。スピンドル50における雄ねじ54よりも先端側の部分には、環状溝56が形成されている。
【0020】
図2に示すように、環状溝56に嵌められたOリング72によって、スピンドル50と収容部22(止水栓本体12)との間がシールされている。
図2及び図3に示すように、スピンドル50の先端部58は、基端側の部分よりも縮径されている。先端部58の先端には、先端部58における基端側の部分よりも拡径された拡径部58aが形成されている。先端部58における基端側の部分には、ゴム製の環状のパッキン74が取り付けられている。パッキン74の先端側の外周面には、先端側ほど縮径された傾斜面74aが形成されている。
【0021】
収容部22にスピンドル50が収容された状態において、収容部22の外周面及び外端面、第2の筒体36の外端面、及びスピンドル50の雄ねじ54を覆う第2のカバー32が被せられており、スピンドル50の抜け止めがなされている。
【0022】
こうした構成を備える止水栓10において、マイナスドライバーなどの工具を操作溝52aに係合させて、正面視時計回りの向きにスピンドル50を回転させると、収容部22内をスピンドル50が前進する。そして、パッキン74の傾斜面74aが突出部24の内底面の傾斜面26aに密接することにより、第1の連通孔26と第2の連通孔28との連通が遮断される。これにより、第1の接続部14と第2の接続部16との間での水の流通が阻止される(止水状態)。
【0023】
一方、正面視反時計回りの向きにスピンドル50を回転させると、収容部22内をスピンドル50が後退する。そして、パッキン74の傾斜面74aが突出部24の内底面の傾斜面26aから離間することにより、第1の連通孔26と第2の連通孔28とが連通状態となる。これにより、第1の接続部14と第2の接続部16との間での水の流通が許容される。
【0024】
スピンドル50を反時計回りの向きに更に回転させると、パッキン74の傾斜面74aと突出部24の内底面の傾斜面26aとの距離が拡大されることにより、第1の接続部14と第2の接続部16との間を流通する水量が大きくなる。
【0025】
ここで、図1及び図4に示すように、スピンドル50の基端部52の端面には、スピンドル50による水量の調節の向きを表示する表示部60が形成されている。
図4に示すように、表示部60は、スピンドル50の回動方向に沿って並んで凹設された都合8つの円形の押出痕61〜64により構成されている。
【0026】
本実施形態の表示部60は、操作溝52aを挟んだ両側にそれぞれ形成された2つの押出痕群60aを有している。2つの押出痕群60aは軸線を中心とした点対称に配置されている。各押出痕群60aは、4つの押出痕61〜64からなり、押出痕61を基準として反時計回りに向かうほど押出痕61〜64の大きさ(面積)が徐々に大きくされている。
【0027】
次に、スピンドル50を製造する射出成形装置について説明する。
図5及び図6に示すように、射出成形装置には、スピンドル50を成形するキャビティ80aを有する金型80が設けられている。
【0028】
金型80は、固定型82と、固定型82に対して近接及び離間自在に設けられた可動型84とを備えている。
固定型82には、キャビティ80aのうちスピンドル50の先端部58の拡径部58aに対応する空間と、同空間に対して溶融樹脂を供給するランナ82aとが形成されている。固定型82には、可動型84に向けて突出するとともに固定型82から離間するほどキャビティ80aの外周側に位置するように傾斜して延在する一対のアンギュラピン82bが固定されている。
【0029】
可動型84は、キャビティ80aのうち基端部52に対応する空間が形成されたベース部86と、キャビティ80aのうち拡径部58a及び基端部52以外の部位に対応する空間が形成された一対のスライド部88とを備えている。
【0030】
なお、図6では、アンギュラピン82b及びスライド部88の一方のみが示されている。
図5に示すように、ベース部86には、都合8つの押出孔86aがキャビティ80aの軸線方向を中心とした周方向に間隔をおいて、且つ同軸線方向に沿って形成されている。なお、同図では、一対の押出孔86aのみが示されている。
【0031】
各押出孔86aには、押出ピン91〜94(図7参照)がベース部86に対して上記軸線方向に沿って相対移動可能に挿通されている。各押出ピン91〜94の押出面91a〜94aは、キャビティ80aの一部を構成しており、キャビティ80a内に突出している。
【0032】
各スライド部88には、アンギュラピン82bが挿通されたスライド孔88aが形成されている。
こうした射出成形装置では、固定型82と可動型84とが型閉じされている状態において、ランナ82aを通じてキャビティ80a内に溶融樹脂が射出される。これにより、キャビティ80aの形状に沿ったスピンドル50が成形される。このとき、複数の押出ピン91〜94の押出面91a〜94aによって、スピンドル50の基端部52の端面に複数の押出痕61〜64がそれぞれ成形される。
【0033】
キャビティ80a内に射出された樹脂が冷却して硬化された後に、固定型82から可動型84を離間させていくと、ランナ82aとキャビティ80aとの境界部分で樹脂が破断する。そして、一対のスライド部88が、アンギュラピン82bの軸線方向に沿ってキャビティ80aの外周側に向けて徐々にスライドされる。
【0034】
最後に、押出ピン91〜94によりスピンドル50の基端部52の端面を押圧することにより、ベース部86からスピンドル50が押し出される。
以上説明した本実施形態に係る樹脂成形品、樹脂成形品の製造方法、及び樹脂成形品の製造装置によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
【0035】
(1)樹脂成形品としてのスピンドル50は、軸線を中心に回動可能に設けられることにより第1の接続部14と第2の接続部16との間を流通する水量を調節するものであり、上記回動方向に沿って並設された複数の押出痕61〜64により構成されるとともにスピンドル50による調節の向きを表示する押出痕群60a(表示部60)を有する。
【0036】
こうした構成によれば、スピンドル50に上記押出痕群60a(表示部60)が設けられている。このため、使用者は、水量を調節すべくスピンドル50を回動操作する際に、複数の押出痕61〜64により構成される押出痕群60a(表示部60)を目視することでスピンドル50による調節の向きを容易に把握することができる。
【0037】
また、上記構成によれば、押出痕群60a(表示部60)を構成する複数の押出痕61〜64を、金型80からスピンドル50を取り出す際に用いられる複数の押出ピン91〜94の押出面91a〜94aによって成形することができる。このため、表示部60を設けるために別途、別体の表示部品を取り付けたり、スピンドル50の基端部52の端面に対して印刷や着色等を施したりする場合に比べて、スピンドル50を容易に形成することができる。
【0038】
したがって、スピンドル50による調節の向きを表示する押出痕群60a(表示部60)を容易に形成できる。
(2)押出痕群60a(表示部60)は、4つの押出痕61〜64からなるとともにスピンドル50の回動方向のうちの一方から他方に向けて当該押出痕61〜64の大きさが徐々に大きくされた2つの押出痕群60aを有している。
【0039】
こうした構成によれば、押出痕61〜64の大きさが徐々に大きくなる向きと、水量が徐々に大きくなるスピンドル50による調節の向きとを一致させることにより、使用者は、スピンドル50による調節の向きを直感的に把握することが可能となる。
【0040】
(3)スピンドル50は軸線を中心に回動可能に設けられるものであり、押出痕群60a(表示部60)は、スピンドル50の軸線方向の端面に形成されており、軸線周りに並設されている。
【0041】
こうした構成によれば、使用者は、スピンドル50を回動操作する際に軸線方向の端面に形成された押出痕群60a(表示部60)を目視することにより、スピンドル50による調節の向きを容易に把握することができる。
【0042】
また、スピンドル50の場合、通常、金型80から樹脂成形品であるスピンドル50を取り出す際に、スピンドル50の軸線方向の端面を押出ピン91〜94の押出面91a〜94aによって押し出す。
【0043】
上記構成によれば、既存の押出ピン91〜94の押出面91a〜94aの大きさを互いに異ならせるだけで上記効果(1)及び(2)を奏することができる。
(4)スピンドル50の製造方法は、スピンドル50を成形する金型80のキャビティ80aの一部を構成するとともに金型80からスピンドル50を取り出す際にスピンドル50を押し出す複数の押出ピン91〜94を用いて押出痕群60aを成形する成形工程を備える。
【0044】
こうした方法によれば、押出痕群60aを構成する複数の押出痕61〜64が複数の押出ピン91〜94によってそれぞれ成形されるため、上記効果(1)と同様な効果を奏することができる。
【0045】
(5)スピンドル50の製造装置は、スピンドル50を成形するキャビティ80aを有する金型80と、金型80に対して相対移動可能に設けられ、キャビティ80aの一部を構成するとともに金型80からスピンドル50を取り出す際にスピンドル50を押し出す複数の押出ピン91〜94とを備えている。複数の押出ピン91〜94の押出面91a〜94aにより押出痕群60aを成形する。
【0046】
こうした構成によれば、金型80を用いてスピンドル50が成形される際に、金型80に対して相対移動可能に設けられ、上記キャビティ80aの一部を構成する複数の押出ピン91〜94の押出面91a〜94aによって上記押出痕群60aが成形される。このため、上記効果(1)と同様な効果を奏することができる。
【0047】
<変形例>
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・複数の押出痕61〜64に対して塗料を塗布するなどして着色してもよい。この場合、押出痕61〜64によって着色する部分の外縁が明確になるため、着色作業が容易となる。
【0048】
・押出痕群を構成する押出痕の数は3つ以上であればよく、例えば図8に示すように、各押出痕群60aが3つの押出痕61〜63によって構成されていてもよい。
・押出痕の形状は円形に限定されるものではなく、例えば図8に示すように、略四角形状など円形以外の形状にしてもよい。
【0049】
・表示部60は、複数の押出痕群60aを有するものに限定されない。上記実施形態や、図8に示す変形例において一方の押出痕群60aを省略することもできる。
・上記実施形態及び変形例では、スピンドル50の基端部52の端面に複数の押出痕が凹設された例について説明したが、同端面に複数の押出痕を突設するようにしてもよい。この場合、各押出ピンの押出面を押出孔内に後退させた状態で射出成形を行えばよい。更に、突出痕に対して塗料を塗布するなどして着色してもよい。
【0050】
・本発明を、止水栓10のスピンドル50以外の樹脂成形品に対して適用することもできる。例えば、図9に示すように、スライド式の音量調節スイッチを構成する調節ノブ120と隣り合って配置される樹脂製のパネル部材110の意匠面に対して、三角形状の複数の押出痕61〜65により構成される押出痕群60a(表示部60)を形成するようにしてもよい。同図の例では、押出痕61〜65の大きさが、音量の大きくなる上側ほど徐々に大きくされている。また、上記音量調節スイッチを構成する調節ノブ120の意匠面、及び調節ノブ120と隣り合って配置されるパネル部材110の意匠面の双方に対して調節ノブ120による音量の調節の向きを表示する押出痕群を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…止水栓12…止水栓本体、14…第1の接続部、14a…凹溝、16…第2の接続部、18…内筒部、20…外筒部、22…収容部、24…突出部、26…第1の連通孔、26a…傾斜面、28…第2の連通孔、30…第1のカバー、32…第2のカバー、34…第1の筒体、34a…雄ねじ、34b…凸部、36…第2の筒体、36a…雌ねじ、36b…凸部、40…継手、42…外筒、42a…突条、44…内筒、44a…環状溝、46…キャップ、48…抜け止めリング、50…スピンドル(調節部材、樹脂成形品)、52…基端部、52a…操作溝、54…雄ねじ、56…環状溝、58…先端部、58a…拡径部、60…表示部、60a…押出痕群、61〜65…押出痕、70…シールリング、72…Oリング、74…パッキン、74a…傾斜面、80…金型、80a…キャビティ、82…固定型、82a…ランナ、82b…アンギュラピン、84a…可動型、86…ベース部、86a…押出孔、88…スライド部、88a…スライド孔、91〜94…押出ピン、91a〜94a…押出面、101…第1の配管、102…第2の配管、110…パネル部材(樹脂成形品)、112…スライド孔、120…調節ノブ(調節部材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9