(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基体と前記機能部との並び方向から見た平面視で、前記機能部の周囲の少なくとも一部を覆うように配置され、弾性を有する第3部材を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1の装置固定用バンドでは、装置固定部に筋電検出装置が固定されてしまうため、腕に装着したときに、筋電検出装置を腕の表面形状に追従させることができず、筋電検出装置を腕に十分に密着(接触)させることが困難である。
【0005】
本発明の目的は、対象物(例えば生体)の表面に追従させ易い機能部を有する電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電子機器は、基体と、
機能部と、
前記基体と前記機能部とを接続する第1部材および第2部材と、を有し、
前記第1部材の弾性率と、前記第2部材の弾性率とが異なることを特徴とする。
【0007】
これにより、第1、第2部材が弾性変形することで、機能部が基体に対して姿勢変化し易くなり、機能部が対象物(例えば生体)の表面に追従し易くなる。そのため、対象物の表面に追従させ易い機能部を有する電子機器を提供することができる。
【0008】
本発明の電子機器では、前記第1部材の弾性率は、前記第2部材の弾性率よりも大きく、
前記基体と前記機能部との並び方向から見た平面視で、前記第1部材の少なくとも一部は、前記第2部材よりも前記機能部の中心側に位置していることが好ましい。
これにより、機能部が対象物の表面にさらに追従し易くなる。
【0009】
本発明の電子機器では、前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方は、弾性率の勾配を有していることが好ましい。
これにより、機能部が対象物の表面にさらに追従し易くなる。
【0010】
本発明の電子機器では、前記基体と前記機能部との並び方向から見た平面視で、前記機能部の周囲の少なくとも一部を覆うように配置され、弾性を有する第3部材を有することが好ましい。
これにより、機能部を保護することができる。
【0011】
本発明の電子機器では、前記第3部材の弾性率は、前記第2部材の弾性率よりも小さいことが好ましい。
【0012】
これにより、第3部材によって機能部が基体に対して姿勢変化し難くなることを抑制することができる。
【0013】
本発明の電子機器は、基体と、
機能部と、
前記基体と前記機能部とを接続する第1部材および第2部材と、を有し、
前記第1部材の柔軟性と、前記第2部材の柔軟性とが異なることを特徴とする。
【0014】
これにより、第1、第2部材が弾性変形することで、機能部が基体に対して姿勢変化し易くなり、機能部が対象物(例えば生体)の表面に追従し易くなる。そのため、対象物の表面に追従させ易い機能部を有する電子機器を提供することができる。
【0015】
本発明の電子機器では、前記第2部材は、導電性を有し、
前記機能部は、前記第2部材により前記基体と電気的に接続されていることが好ましい。
【0016】
これにより、第2部材で電気経路の一部を構成することができ、装置の簡易化を図ることができる。
【0017】
本発明の電子機器では、複数の前記第2部材が、互いに離間して配置されていることが好ましい。
これにより、第2部材によって複数の電気経路を形成することができる。
【0018】
本発明の電子機器では、前記第1部材は、絶縁性を有していることが好ましい。
これにより、例えば、第2部材が複数配置されている場合等に、これらが第1部材を介して短絡してしまうことを抑制することができる。
【0019】
本発明の電子機器では、前記第1部材または前記第2部材は、内部に気泡を含んでいることが好ましい。
これにより、第1部材や第2部材がより変形し易くなる。
【0020】
本発明の電子機器では、前記基体は、可撓性を有する可撓部と、前記可撓部よりも硬質な硬質部と、を有し、
前記硬質部に前記第1部材および前記第2部材を介して前記機能部が接続されていることが好ましい。
【0021】
これにより、基部が変形することによって、基部から第1、第2部材が剥離してしまうのを抑制することができる。
【0022】
本発明の電子機器では、前記機能部は、前記生体の生体情報を取得することが好ましい。
これにより、利便性の高い電子機器となる。
【0023】
本発明の電子機器では、生体に装着して用いられることが好ましい。
これにより、利便性の高い電子機器となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の電子機器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図2および
図3は、それぞれ、
図1に示す電子機器の断面図である。
図4は、
図1に示す電子機器が有する接着剤層を示す平面図である。
図5および
図6は、それぞれ、リジッド基板に対する生体情報取得部の変位を示す断面図である。
【0026】
図1に示す電子機器1は、生体H(人間)に装着して用いられ、その生体Hの生体情報(例えば、心電、筋電、体温、血圧、心拍等)を取得することのできる生体情報計測ウェアラブル端末である。このような構成とすることで、利便性の高い電子機器1となる。
【0027】
このような電子機器1は、
図2に示すように、基体2と、機能部としての生体情報取得部3と、基体2と生体情報取得部3とを接続する第1部材としての第1接着剤41および第2部材としての第2接着剤42と、を有している。また、第1接着剤41の弾性率と、第2接着剤42の弾性率が異なっている。言い換えると、第1接着剤41の柔軟性と、第2接着剤42の柔軟性が異なっている。このような構成によれば、第1接着剤41および第2接着剤42が弾性変形することで、基体2に対する生体情報取得部3の姿勢変化を許容することができるため、生体情報取得部3を生体Hの表面(皮膚)に追従させ易くなる。そのため、生体情報取得部3を生体Hの表面に十分に密着させることができ、生体情報取得部3から生体Hの生体情報をより精度よく取得することができる。特に、第1接着剤41と第2接着剤42の弾性率を異ならせているため、第1接着剤41および第2接着剤42からなる接着剤層4の構成をより高度に設計することができるため、例えば、生体情報取得部3を生体Hの表面(皮膚)により追従させ易くなったり、接着剤層4の強度を高めることができたりする。なお、前記「柔軟性」とは、弾性率または硬度で表すことができ、第1接着剤41と第2接着剤42とは、弾性率が異なっているとも言えるし、硬度が異なっているとも言える。また、ここでいう弾性率は、例えば、ヤング率、剛性率、ポアソン比、あるいは体積変化率である。以下、このような電子機器1について詳細に説明する。
【0028】
図2に示すように、電子機器1は、基体2と、生体情報取得部3と、少なくとも一部が基体2と生体情報取得部3との間に位置し、これらを接続している接着剤層4と、基体2に設けられている一対の電極パッド51、52と、を有している。そして、このような電子機器1は、生体情報取得部3を生体H側に向けて生体Hに装着される。なお、基体2には、粘着性(貼着性)を有する図示しない貼着部を有しており、生体Hに貼り付けることができるようになっている。以下、これら基体2、生体情報取得部3、接着剤層4および電極パッド51、52について順次説明する。
【0029】
基体2は、可撓性を有する可撓部としてのバンド部21と、バンド部21よりも硬質な(ヤング率が大きい)硬質部としてのリジッド基板22と、を有している。そして、リジッド基板22に接着剤層4(第1接着剤41および第2接着剤42)を介して生体情報取得部3が接続されている。ここで、リジッド基板22は、使用中に生じ得る想定される範囲内の応力によっては、ほとんど変形(弾性変形)が生じない程度に硬質となっている。このように、生体情報取得部3が接着剤層4を介してリジッド基板22に接続されていることで、リジッド基板22からの接着剤層4の剥離を抑制することができる。例えば、リジッド基板22の替りに可撓性や伸縮性を有する基板を用いた場合には、基板がその面方向に伸縮したり、圧方向に撓んだりすることで、基板と接着剤層4との接合面に応力が加わり、基板から接着剤層4が剥離するおそれがある。これに対して、硬質で実質的に変形しないリジッド基板22を用いることで、リジッド基板22と接着剤層4との接合面に前述した応力が加わり難くなる。そのため、リジッド基板22と接着剤層4との接合状態が良好に保たれ、リジッド基板22からの接着剤層4の剥離を効果的に抑制することができる。
【0030】
なお、このようなリジッド基板22としては、硬質であってもフレキシブルであっても、伸縮性を有していなければ、特に限定されず、例えば、プリント配線基板で用いられるようなガラスエポキシ基板、ガラスコンポジット基板、セラミックス基板等や、フレキシブル性を有するポリイミドフィルム、PETフィルム、PENフィルム、LCPフィルム、紙等を用いることができる。
【0031】
また、バンド部21は、可撓性および伸縮性を有しており、装着時に、生体Hの表面(皮膚)に倣って変形、伸縮することができる。このようなバンド部21は、2つのバンド片211、212を有しており、これら2つのバンド片211、212がリジッド基板22の両側に接続されている。このようなバンド部21(バンド片211、212)としては、可撓性および伸縮性を有していれば特に限定されず、例えば、エポキシ系、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種樹脂系接着剤、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ゴム等の各種ゴム系接着剤、熱可塑性エラストマー等を用いることができる。また、セルロースナノファイバー、カーボンナノファイバーなども添加することで、樹脂の補強となり、断線し難い配線61が得られる。なお、バンド部21としては、本実施形態のように、可撓性および伸縮性を共に有していることがより好ましいが、少なくとも可撓性を有していればよい。可撓性さえ有していれば、バンド部21は、生体Hの表面に倣って変形することができる。このように、バンド部21が伸縮性を有しない場合には、バンド部21として、例えば、プリント配線基板で用いられるようなフレキシブル基板(ポリイミド、ポリエステル等で形成された絶縁性のフィルム状の基板)を用いることができる。
【0032】
以上、基体2について説明した。このような基体2には複数の配線61が設けられている。これら配線61は、生体情報取得部3と電極パッド51、52とを電気的に接続するための配線であり、一端がリジッド基板22上に位置し、他端がバンド部21の自由端部(リジッド基板22と反対側の端部)に位置している。
【0033】
ここで、バンド部21が伸縮性を有していることから、各配線61は、伸縮性を有しており、バンド部21の伸張によっても断線しない構成となっている。このような配線61としては、例えば、例えば、エポキシ系、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種樹脂系接着剤、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ゴム等の各種ゴム系接着剤、熱可塑性エラストマー等の各種樹脂材料に、金属系(例えば、Au、Ag、Cu、Ni、Zn、Al)、金属酸化物系(例えば、SnO
2/Sbドープ、In
2O
3/Snドープ、ZnO/Alドープ)、カーボン系(例えば、導電性カーボンブラック、グラファイト)の各種導電性フィラーを混ぜ合わせた導電性樹脂材料で形成することができる。特に、各配線61は、バンド部21よりもヤング率の小さい樹脂材料を用いて形成することが好ましい。これにより、より柔軟な配線61となり、バンド部21の伸長によってもより断線し難い配線61が得られる。また、セルロースナノファイバー、カーボンナノファイバーなども添加することで、樹脂の補強となり、断線し難い配線61が得られる。
【0034】
一対の電極パッド51、52のうちの一方の電極パッド51は、一方のバンド片211の自由部(リジッド基板22と反対側の端部)に配置されており、配線61と電気的に接続されている。一方、他方の電極パッド52は、他方のバンド片212の自由端部に配置されており、配線61と電気的に接続されている。これら電極パッド51、52は、生体Hの心電を取得するための電極であり、配線61および第2接着剤42を介して生体情報取得部3と電気的に接続されている。
【0035】
生体情報取得部3は、生体Hの生体情報を取得することができる。これにより、利便性の高い電子機器1となる。ここで、生体情報としては、例えば、心電、筋電、体温、血圧、心拍等が挙げられ、本実施形態の生体情報取得部3は、これらのうちの心電と体温とに関する情報を取得できるようになっている。ただし、生体情報取得部3で取得できる生体情報の種類や数は、特に限定されず、必要に応じて適宜設定すればよい。
【0036】
生体情報取得部3は、前述した電極パッド51、52間から心電(心臓内の電気の流れ)を取得することができる。例えば、心臓は胸部の中央からやや左側に位置し、心臓の先端部(心尖部)を下にして横に傾いた状態で存在する。そして、心臓内の電気は、上部右心房に位置する洞結節から、ほぼ中央に存在する房室結節を介して心室の下部心尖部方向に向かって流れるため、電気軸としては左斜め下方向となる。この向きと同じ方向に心臓を挟むようにして電極パッド51、52を取り付ければ、これら電極パッド51、52の間から心電を取得することができる。また、生体情報取得部3は、例えば、サーミスタ、サーモパイル、熱電対、赤外線温度センサー等の感温素子31を有しており、この感温素子31によって、生体Hの体温を検知できるようになっている。
【0037】
また、生体情報取得部3には、例えば、電源となるバッテリー71、制御回路であるIC72、取得した生体情報(心電波形や体温)を記憶する記憶部73、取得した生体情報を外部へ出力する通信部74等が内蔵されている。記憶部73としては、特に限定されず、例えば、フラッシュメモリー等を用いることができる。また、通信部74の通信手段としては、特に限定されず、有線、無線を問わないが、例えば、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を用いることが好ましい。
【0038】
以上、生体情報取得部3について説明した。次に、このような生体情報取得部3をリジッド基板22に接続している接着剤層4について説明する。
図3に示すように、接着剤層4は、リジッド基板22と生体情報取得部3との間に配置された第1接着剤41および第2接着剤42を有している。また、第1接着剤41の弾性率(ヤング率)は、第2接着剤42の弾性率(ヤング率)よりも大きく、
図4に示すように、基体2(リジッド基板22)と生体情報取得部3との並び方向から見た平面視(以下、単に「平面視」とも言う)で、第1接着剤41の少なくとも一部は、第2接着剤42よりも生体情報取得部3の中心O側に位置している。より具体的には、平面視で、第2接着剤42は、生体情報取得部3の外縁部と重なるように配置されており、生体情報取得部3と重なる領域のうち第2接着剤42が配置されていない領域のほぼ全域にわたって第1接着剤41が配置されている。そのため、第1接着剤41は、平面視で、生体情報取得部3の中央部と重なる部分を有しており、当該部分が第2接着剤42よりも生体情報取得部3の中心O側に位置していると言える。なお、本実施形態では、第1接着剤41と第2接着剤42とは接触して設けられており、実質的に、これらの間に隙間が形成されていない。そして、これら第1、第2接着剤41、42によって、リジッド基板22と生体情報取得部3とに挟まれた空間のほぼ全域が埋められている。
【0039】
また、本実施形態では、複数の第2接着剤42が、互いに離間して配置されている。具体的には、複数の第2接着剤42は、平面視で、生体情報取得部3の外縁部に沿って互いに離間して配置されており、生体情報取得部3の中央部を囲むように配置されている。また、平面視で、生体情報取得部3の中心Oと交わり、互いに直交するX軸およびY軸を設定した時、X軸の両側のそれぞれに少なくとも1つの第2接着剤42が配置されており、Y軸の両側のそれぞれに少なくとも1つの第2接着剤42が配置されている。ただし、第2接着剤42の数や配置は、特に限定されない。例えば、第2接着剤42が1つだけ配置されていてもよいし、複数の第2接着剤42が生体情報取得部3に対して偏在して配置されていてもよい。
【0040】
このように、硬い第1接着剤41を中心O側に配置すると共に、柔らかい第2接着剤42を外縁側に配置することで、接着剤層4の中央部よりも外縁部の方が変形し易くなるため、
図5や
図6に示すように、生体情報取得部3の中央部を支点のようにして、生体情報取得部3をシーソー揺動のようにリジッド基板22に対して姿勢変化させることができる。そのため、電子機器1を生体Hに装着した際の生体情報取得部3の生体Hの表面への追従性が向上する。特に、前述したように複数の第2接着剤42を生体情報取得部3の中心Oを囲むように配置することで、生体情報取得部3をどの方向にも(3次元的に)シーソー揺動のようにリジッド基板22に対して姿勢変化させることができ、電子機器1を生体Hに装着した際の生体情報取得部3の生体Hの表面への追従性がさらに向上する。
【0041】
ここで、第1接着剤41および第2接着剤42としては、第1接着剤41が第2接着剤42よりも硬ければ、すなわち、第1接着剤41の弾性率が第2接着剤42の弾性率より大きければ特に限定されない。例えば、第1接着剤41が鉛筆硬度で3B未満であることが好ましく、第2接着剤42が鉛筆硬度で3B以上であることが好ましい。さらには、第1接着剤41と第2接着剤42の鉛筆硬度が1段階以上離れていることが好ましい(例えば、第1接着剤41の鉛筆硬度がHBであれば、第2接着剤42の鉛筆硬度がB以上)。第1、第2接着剤41、42をこのような硬さとすることで、上述したような生体情報取得部3の姿勢変化をより生じさせ易くなり、生体情報取得部3の生体Hの表面への追従性がより向上する。
【0042】
また、本実施形態では、各第2接着剤42は、導電性を有し、生体情報取得部3は、第2接着剤42により基体2と電気的に接続されている。具体的には、
図3および
図4に示すように、各第2接着剤42は、生体情報取得部3の裏面に配置された所定の接続パッド39と配線61とに接触している。これにより、複数の第2接着剤42によって電極パッド51、52と生体情報取得部3とを電気的に接続することができる。このように、第2接着剤42に導電性を付与することで、第2接着剤42を電極パッド51、52と生体情報取得部3とを電気的に接続する電気経路の一部として利用することができるため、第2接着剤42とは別に配線61と接続パッド39とを電気的に接続する部材(例えば、リード線)を配置する場合と比較して、電子機器1の構成が簡単なものとなると共に、電子機器1の小型化を図ることができる。また、複数の第2接着剤42を設けることで、複数の電気経路を形成することができ、電極パッド51、52と生体情報取得部3との電気的な接続をより確実に行うことができる。
【0043】
また、第2接着剤42は、配線61と同じ材料であり、配線61と一体的に構成されている。そのため、第2接着剤42と配線61とを一括で形成することができ、電子機器1の製造が容易となる。ただし、第2接着剤42は、配線61と別体で形成されていてもよい。
【0044】
なお、全ての第2接着剤42が電極パッド51、52と生体情報取得部3との電気的な接続に利用されていてもよいが、一部の第2接着剤42のみが電極パッド51、52と生体情報取得部3との電気的な接続に利用されていてもよい。この場合には、電極パッド51、52と生体情報取得部3との電気的な接続に利用されていない第2接着剤42については導電性を有していなくてもよい。また、全ての第2接着剤42が電極パッド51、52と生体情報取得部3との電気的な接続に利用されていなくてもよい。この場合には、例えば、生体情報取得部3と配線61とをリード線で電気的に接続すればよいし、各第2接着剤42は、導電性を有していなくてもよい。
【0045】
一方、第1接着剤41は、絶縁性を有している。これにより、第2接着剤42同士が第1接着剤41を介して電気的に接続されてしまうこと(すなわち、短絡が生じてしまうこと)を効果的に抑制することができる。
【0046】
また、第1接着剤41または第2接着剤42は、内部に気泡を含んでいることが好ましい。これにより、第1接着剤41や第2接着剤42(気泡を含んでいる接着剤)の柔軟性が高まって変形し易くなり、電子機器1を生体Hに装着した際の生体情報取得部3の生体Hの表面への追従性がさらに向上する。なお、第1接着剤41および第2接着剤42のうちでも、特に、第1接着剤41に気泡が含まれていることが好ましい。これにより、上述の効果がより顕著となる。
【0047】
以上、第1接着剤41および第2接着剤42について説明した。このような第1接着剤41および第2接着剤42としては特に限定されず、例えば、エポキシ系、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種樹脂系接着剤、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ゴム等の各種ゴム系接着剤、熱可塑性エラストマー等を用いることができる。また、セルロースナノファイバー、カーボンナノファイバーなども添加することで、樹脂の補強となり、材料強度を得ることができる。また、第2接着剤42については、導電性を得るために、上述した各種樹脂系接着剤に、金属系(例えば、Au、Ag、Cu、Ni、Zn、Al)、金属酸化物系(例えば、SnO
2/Sbドープ、In
2O
3/Snドープ、ZnO/Alドープ)、カーボン系(例えば、導電性カーボンブラック、グラファイト)の各種導電性フィラーを添加したものを用いることができる。
【0048】
また、第1接着剤41と第2接着剤42との柔軟性を異ならせる方法としては、特に限定されず、例えば、異なる種類の材料を用いてもよいし、同じ材料を用い、添加する添加剤の量を異ならせてもよい。前者の場合には、例えば、比較的硬いエポキシ系、アクリル系の接着剤の第1接着剤41として用い、比較的柔らかいウレタン系、シリコーン系の接着剤を第2接着剤42として用いてもよい。また、セルロースナノファイバー、カーボンナノファイバーなども添加することで、硬度を調整してもよい。
【0049】
また、接着剤層4の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、10μm以上1000μm以下であることが好ましい。接着剤層4をこのような厚さとすることで、接着剤層4の過度な厚肉化を防止しつつ、上述した接着剤層4の効果を十分に発揮することができる。
【0050】
なお、第1接着剤41は、面方向(リジッド基板22と生体情報取得部3の並び方向に直交する方向)において弾性率の勾配を有しておらず、全域でほぼ同じ弾性率を有している。第2接着剤42についても同様である。このような本実施形態の変形例として、第1接着剤41および第2接着剤42の少なくとも一方が、面方向において弾性率の勾配を有していてもよい。すなわち、第1接着剤41および第2接着剤42の少なくとも一方が、面方向において弾性率の異なる領域を有していてもよい。例えば、第1接着剤41の弾性率が生体情報取得部3の中心Oから外縁部に向かうに連れて漸減する構成であってもよい。また、第1接着剤41が、平面視で生体情報取得部3の中央部に位置する中央部と、この中央部の周囲を覆うように位置する周辺部と、を有し、中央部の弾性率が周辺部の弾性率よりも大きい構成であってもよい。このような構成によっても、生体情報取得部3がリジッド基板22に対して姿勢変化し易くなり、電子機器1を生体Hに装着した際の生体情報取得部3の生体Hの表面への追従性が向上する。
【0051】
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態に係る電子機器の断面図である。
【0052】
本実施形態は、接着剤層の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
【0053】
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、
図7において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0054】
図7に示すように、本実施形態の電子機器1では、リジッド基板22と生体情報取得部3との間に第1接着剤41が設けられており、生体情報取得部3の周囲に第2接着剤42が設けられている。具体的には、第1接着剤41は、リジッド基板22と生体情報取得部3との間の空間の全域を埋めるように配置され、第2接着剤42は、生体情報取得部3および第1接着剤41の側面を介して、生体情報取得部3の表面とリジッド基板22とに跨って配置されている。また、第2接着剤42は、生体情報取得部3の表面に配置された接続パッド39と、リジッド基板22に配置された配線61とに接触しており、生体情報取得部3と配線61とを電気的に接続している。
【0055】
このような第2実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0056】
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態に係る電子機器の平面図である。
図9は、リジッド基板に対する生体情報取得部の変位を示す断面図である。
【0057】
本実施形態は、接着剤層の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
【0058】
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、
図8において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0059】
図8に示すように、本実施形態の電子機器1では、平面視で、全ての第2接着剤42が生体情報取得部3の一方の端部に偏在して配置されている。言い換えると、平面視で、全ての第2接着剤42は、生体情報取得部3の外縁部全周のうちの一部の領域内に偏在して位置している。より具体的には、平面視で、全ての第2接着剤42は、生体情報取得部3のX軸方向一方側の外縁部と重なるように位置し、かつ、外縁部に沿って並んで配置されている。さらには、本実施形態では、前述した第1実施形態とは逆に、第1接着剤41よりも第2接着剤42が硬くなっている。すなわち、第2接着剤42の方が、第1接着剤41よりも弾性率が高くなっている。
【0060】
このように、第1接着剤41よりも硬い第2接着剤42を外縁側に偏在させて配置することで、
図9に示すように、生体情報取得部3の外縁部(第2接着剤42が偏在している領域)を支点のようにして、生体情報取得部3をシーソー揺動のようにリジッド基板22に対して姿勢変化させることができる。そのため、電子機器1を生体Hに装着した際の生体情報取得部3の生体Hの表面への追従性が向上する。
【0061】
このような第3実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0062】
<第4実施形態>
図10は、本発明の第4実施形態に係る電子機器の断面図である。
【0063】
本実施形態は、バッテリーおよびICが生体情報取得部と別体として設けられていること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
【0064】
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、
図10において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0065】
図10に示すように、本実施形態の電子機器1では、バッテリー71およびIC72が生体情報取得部3と別体となっており、リジッド基板22の裏面(生体情報取得部3が配置されている面とは反対側の面)に配置されている。そのため、バッテリー71およびIC72は、リジッド基板22を介して生体情報取得部3と対向して設けられている。なお、バッテリー71、IC72および生体情報取得部3は、リジッド基板22に設けられた配線(図示しない内部配線やリジッド基板22の表面に位置する端子等)や第2接着剤42を介して電気的に接続されている。
【0066】
このように、バッテリー71、IC72、記憶部73および通信部74を生体情報取得部3と別体として配置することで、生体情報取得部3を小型化することができ、生体情報取得部3を生体Hの表面により密着させることができる。特に、バッテリー71、IC72、記憶部73および通信部74をリジッド基板22の裏面に配置することで、リジッド基板22の両面を有効に利用することができる。
【0067】
このような第4実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0068】
<第5実施形態>
図11は、本発明の第5実施形態に係る電子機器の断面図である。
本実施形態は、基体の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
【0069】
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、
図11において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0070】
図11に示すように、本実施形態の基体2は、バンド部21と、バンド部21の中央部と重なるようにしてバンド部21に接合されているリジッド基板22とを有している。バンド部21は、前述した第1実施形態のように2つのバンド片には分割されておらず、1本の長尺状の部材で構成されている。そして、バンド部21のリジッド基板22と接合されている領域(平面視で、リジッド基板22と重なっている領域)を領域Sとしたとき、この領域Sにおいて、生体情報取得部3が接着剤層4(第1接着剤41および第2接着剤42)を介してバンド部21に接合されている。領域Sでは、バンド部21にリジッド基板22と接合されているため、リジッド基板22によってバンド部21の変形が規制されている。そのため、このような構成によっても、前述した第1実施形態と同様に、バンド部21と接着剤層4との接合面が良好に保たれ、バンド部21からの接着剤層4の剥離を効果的に抑制することができる。
【0071】
このような第5実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0072】
<第6実施形態>
図12は、本発明の第6実施形態に係る電子機器の断面図である。
図13は、
図12に示す電子機器の変形例を示す断面図である。
本実施形態は、基体の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
【0073】
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、
図12において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0074】
図12に示すように、本実施形態の電子機器1では、平面視(基体2と生体情報取得部3との並び方向から見た平面視)で、生体情報取得部3の周囲の少なくとも一部を覆うように配置され、弾性を有する第3部材としての被覆部8を有している。特に、本実施形態の被覆部8は、生体情報取得部3および接着剤層4の全周を覆うように設けられている。このような被覆部8を設けることで、生体情報取得部3や接着剤層4を衝撃や埃から保護することができ、電子機器1の故障の可能性を低減することができる。ここで、被覆部8は、防湿性を有していることが好ましく、これにより、さらに、生体情報取得部3や接着剤層4を水分から保護することができる。なお、被覆部8の配置としては、平面視で、生体情報取得部3の周囲の少なくとも一部を覆っていれば特に限定されず、例えば、生体情報取得部3の上面(生体H側の面)を覆っていなくてもよい。すなわち、生体情報取得部3の上面が被覆部8から露出していてもよい。
【0075】
また、被覆部8の弾性率は、第2接着剤42の弾性率よりも小さくなっている。このように、被覆部8を第2接着剤42よりも柔らかくすることで、被覆部8によって生体情報取得部3がリジッド基板22に対して姿勢変化し難くなることを抑制することができる。そのため、生体情報取得部3の生体Hの表面への追従性を高く維持しつつ、上述した被覆部8のメリットを発揮することができる。
【0076】
なお、被覆部8としては、第2接着剤42よりも柔らかければ、すなわち、被覆部8の弾性率が第2接着剤42の弾性率より小さければ特に限定されない。例えば、前述したように、第2接着剤42が鉛筆硬度で6B未満であること好ましいため、被覆部8としては、さらに柔らかい9B未満であることが好ましい。被覆部8をこのような硬さとすることで、上述した効果をより好適に発揮することができる。
【0077】
このような被覆部8の構成材料としては、特に限定されず、例えば、エポキシ系、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種樹脂材料を用いることができる。また、これら樹脂材料の中でも、生体Hとの相性が良い点から、特に、シリコーン系樹脂を用いることが好ましい。
【0078】
このような第6実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、本実施形態の変形例として、例えば、
図13に示すように、被覆部8が基体2および生体情報取得部3の全域を覆って配置されていてもよい。このような構成によれば、被覆部8によって、さらに、配線61や電極パッド51、52を衝撃、埃、水分等から保護することができる。
【0079】
<第7実施形態>
図14は、本発明の第7実施形態に係る電子機器の断面図である。
本実施形態は、基体の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
【0080】
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、
図14において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0081】
図14に示すように、本実施形態の電子機器1では、基体2が互いに離間して配置された3つのリジッド基板221、222、223を有している。そして、中央に位置するリジッド基板222には生体情報取得部3が配置されており、その一方側に位置するリジッド基板221にはバッテリー71が配置されており、他方側に位置するリジッド基板223にはIC72、記憶部73および通信部74が配置されている。このような配置とすることで、生体情報取得部3と、バッテリー71と、IC72とを、例えば前述した第1、第4実施形態と比較してより離間させて配置することができ、その分、生体情報取得部3が取得する信号にノイズが乗り難くなる。そのため、より精度のよい生体情報を取得することができる。
【0082】
また、バンド部21は、リジッド基板221よりも端側に位置し、一端部がリジッド基板221に接続されているバンド片211と、リジッド基板221、222の間に位置し、これらを接続しているバンド片212と、リジッド基板221、223の間に位置し、これらを接続しているバンド片213と、リジッド基板223よりも端側に位置し、一端部がリジッド基板223に接続されているバンド片214と、を有している。そして、バンド片211に電極パッド51が配置されており、バンド片214に電極パッド52が配置されている。
【0083】
このような構成の基体2には、複数の配線61が設けられており、これら配線61を介して、生体情報取得部3、バッテリー71、IC72および電極パッド51、52が電気的に接続されている。なお、各リジッド基板221、222、223には図示しない内部配線が設けられており、この内部配線を介して上面に位置する配線61と下面に位置する配線とを電気的に接続している。
【0084】
このような第7実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、本実施形態では、基体2がリジッド基板を3枚有しているが、リジッド基板の数としては、特に限定されない。
【0085】
以上、本発明の電子機器を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0086】
また、前述した実施形態では、基体に貼着部が設けられており、この貼着部を生体に貼り付けることにより、電子機器を生体に固定することができるようになっている構成について説明したが、電子機器を生体に固定する方法としては、特に限定されない。例えば、バンド部を生体の腕などにかけ回すことで、電子機器を生体に固定できるようになっていてもよいし、電子機器自体は貼着部を有しておらず、貼着テープ等の貼着部材を用いて電子機器を生体に固定できるようになっていてもよい。
【0087】
また、前述した実施形態では、電子機器をウェアラブル端末に適用した構成について説明したが、電子機器としては、ウェアラブル端末に限定されない。また、機能部として生体情報を取得する生体情報取得部を用いた構成について説明したが、機能部の構成としては、特に限定されず、例えば、所定時刻となったときに、経皮的に投薬を行うことのできる投薬部(例えば、所定時刻となると穿刺針が飛び出して生体に穿刺され、そこからインシュリン等の薬液が投薬されるような構成)であってもよい。
【0088】
また、前述した実施形態では、電子機器を人間に用いる構成について説明したが、電子機器を用いる対象は、生体に限定されず、例えば、死体であってもよいし、人間以外の各種動物、昆虫等であってもよいし、植物であってもよい。また、生命体以外の各種人工物であってもよい。
【0089】
また、前述した実施形態では、第1接着剤の弾性率が第2接着剤の弾性率よりも大きい構成について説明したが、第1接着剤の弾性率と第2接着剤の弾性率とが異なっていれば、特に限定されない。また、前述した実施形態では、基体がリジッド基板(硬質部)およびバンド部(可撓部)を有する構成について説明したが、基体の構成としては、特に限定されず、例えば、可動部で構成されていてもよいし、硬質部で構成されていてもよい。