(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
(電子部品の構成)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。
図1Aは、第1の実施形態に係る電子部品10a〜10gの等価回路図である。
【0011】
電子部品10aは、複数の受動素子により構成されているローパスフィルタを含む電子部品であり、
図1Aに示すように、LC並列共振器LC1,LC2、コンデンサC3〜C5(受動素子の一例)及び外部電極14a〜14cを備えている。外部電極14a,14bは、高周波信号が入出力する入出力外部電極であり、外部電極14cは、グランド電位に接続されるグランド外部電極である。
【0012】
LC並列共振器LC1,LC2は、外部電極14aと外部電極14bとの間においてこの順に直列に接続されている。LC並列共振器LC1は、インダクタL1(受動素子の一例)及びコンデンサC1(受動素子の一例)を含んでいる。インダクタL1とコンデンサC1とは互いに並列に接続されている。LC並列共振器LC2は、インダクタL2(受動素子の一例)及びコンデンサC2(受動素子の一例)を含んでいる。インダクタL2とコンデンサC2とは互いに並列に接続されている。
【0013】
コンデンサC3の一方の電極は、外部電極14aに接続され、コンデンサC3の他方の電極は、外部電極14cに接続されている。コンデンサC4の一方の電極は、LC並列共振器LC1とLC並列共振器LC2との間に接続され、コンデンサC4の他方の電極は、外部電極14cに接続されている。コンデンサC5の一方の電極は、外部電極14bに接続され、コンデンサC4の他方の電極は、外部電極14cに接続されている。
【0014】
次に、電子部品10aの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
図1Bは、電子部品10aの外観斜視図である。
図2Aは、電子部品10aの分解斜視図である。
図2Aでは、理解の容易のために、グランド導体層50,52a〜52dにハッチングを施した。
図2Bは、積層体12及びシールド電極13の断面構造図である。以下では、電子部品10aの積層方向を上下方向(又は上面と底面を繋ぐ方向)と定義し、上側から見たときに、電子部品10aの長辺が延在している方向を左右方向と定義し、上側から見たときの電子部品10aの短辺が延在している方向を前後方向と定義する。上下方向、左右方向及び前後方向は直交している。
【0015】
電子部品10aは、
図1B及び
図2Aに示すように、積層体12(本体の一例)、シールド電極13、外部電極14a〜14c、インダクタ導体層18a〜18c,38a〜38c、コンデンサ導体層20a,20b,22a,22b,26,32,40a,40b,42a,42b,46、接続導体層34,35、グランド導体層24,30a,30b,44,50,52a〜52d、方向識別マーク60及びビアホール導体v1〜v6,v11〜v14を備えている。
【0016】
積層体12は、
図2Aに示すように、複数の絶縁体層16a〜16oが上側から下側に向かってこの順に並ぶように積層されて構成され、直方体状をなしている。
図2Aでは表現されていないが、積層体12にはバレル加工が施されることにより、面取りが施されている。従って、積層体12の角及び稜線は丸みを帯びている。積層体12は、上面、底面及び4つの側面(前面、後面、右面及び左面)を有している。絶縁体層16a〜16oは、長方形状の誘電体層である。以下では、絶縁体層16a〜16oの上側の主面を表面と呼び、絶縁体層16a〜16oの下側の主面を裏面と呼ぶ。
【0017】
外部電極14a,14c,14bは、長方形状をなしており、積層体12の底面において左側から右側へとこの順に並ぶように設けられている。外部電極14a〜14cは、積層体12の底面のみに設けられており、積層体12の前面、後面、左面及び右面には設けられていない。外部電極14a〜14cは、Ag又はCuからなる下地電極上にNiめっき及びSnめっき又はAuめっきが下層側から上層側へとこの順に施されることにより作製される。
【0018】
シールド電極13は、積層体12の4つの側面(前面、後面、右面及び左面)の全面を覆うことにより四角筒状をなしている。これにより、シールド電極13における前面に設けられた部分とシールド電極13における左面に設けられた部分とが、前面と左面との稜線において繋がっている。シールド電極13における左面に設けられた部分とシールド電極13における後面に設けられた部分とが、左面と後面との稜線において繋がっている。シールド電極13における後面に設けられた部分とシールド電極13における右面に設けられた部分とが、後面と右面との稜線において繋がっている。シールド電極13における右面に設けられた部分とシールド電極13における前面に設けられた部分とが、右面と前面との稜線において繋がっている。ただし、シールド電極13は、積層体12の上面及び底面には設けられていない。よって、シールド電極13は、四角筒状をなしている。
【0019】
また、シールド電極13は、いずれの外部電極14a〜14cとも積層体12の表面(すなわち、上面、底面、前面、後面、右面及び左面)において物理的に接続されていない。従って、
図1Bに示すように、積層体12の底面において、シールド電極13と外部電極14a〜14cとの間には隙間が存在している。シールド電極13は、
図2Bに示すように、Cu層72及びステンレス鋼層74(第1のステンレス鋼層の一例)を有している。Cu層72及びステンレス鋼層74は、下層側から上層側へとこの順に重なっている。Cu層72及びステンレス鋼層74はそれぞれ、積層体12の4つの側面にスパッタ法により形成される。シールド電極13がスパッタ法により形成される場合には、積層体12の上面及び底面にはマスクが施される。なお、ステンレス鋼層74の代わりに、Ni層が設けられてもよい。このNi層も、ステンレス鋼層74と同様に、スパッタ法により形成される。
【0020】
コンデンサ導体層20a,20b及びグランド導体層24は、コンデンサC3に含まれている。コンデンサ導体層20a,20bはそれぞれ、絶縁体層16l,16nの表面の左半分の領域に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層20a,20bは、上側から見たときに、重なっている。
【0021】
グランド導体層24は、絶縁体層16mの表面の左半分の領域に設けられている。グランド導体層24は、上側から見たときに、コンデンサ導体層20a,20bと重なっている。これにより、グランド導体層24は、絶縁体層16lを介してコンデンサ導体層20aと対向し、絶縁体層16mを介してコンデンサ導体層20bと対向している。
【0022】
また、グランド導体層24の左端は、絶縁体層16mの左側の短辺に位置している。これにより、グランド導体層24の左端は、積層体12の左面において積層体12外に露出し、シールド電極13に接続されている。
【0023】
コンデンサC3の一方の電極(コンデンサ導体層20a,20b)は、ビアホール導体v1,v2を介して外部電極14aに接続されている。ビアホール導体v1は、絶縁体層16n,16oを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層20bと外部電極14aとを接続している。ビアホール導体v2は、絶縁体層16d〜16mを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層20aとコンデンサ導体層20bとを接続している。これにより、外部電極14aとコンデンサ導体層20a,20bとが電気的に接続されている。
【0024】
コンデンサC3の他方の電極(グランド導体層24)は、グランド導体層30b及びビアホール導体v6を介して外部電極14cに接続されている。グランド導体層30bは、絶縁体層16mの表面の中央に設けられている長方形状の導体層である。グランド導体層24の右端は、グランド導体層30bに接続されている。ビアホール導体v6は、絶縁体層16k〜16oを上下方向に貫通しており、グランド導体層30bと外部電極14cとを接続している。これにより、外部電極14cとグランド導体層24とが電気的に接続されている。
【0025】
また、グランド導体層30bは、絶縁体層16mの前側の長辺及び後ろ側の長辺に引き出されている。これにより、グランド導体層30bは、積層体12の前面及び後面において積層体12外に露出し、シールド電極13に接続されている。
【0026】
以上のように、グランド導体層24,30b及びビアホール導体v6(内部導体の一例)は、シールド電極13と外部電極14cとを電気的に接続している。
【0027】
インダクタ導体層18a〜18c及びビアホール導体v3,v4は、インダクタL1に含まれている。インダクタ導体層18a〜18cはそれぞれ、絶縁体層16d〜16fの表面の左半分の領域に設けられており、長方形状の環状の一部が切り欠かれた線状の導体層である。インダクタ導体層18a〜18cは、上側から見たときに、互いに重なり合って長方形状の環状の軌道を形成している。以下では、インダクタ導体層18a〜18cの時計回り方向の上流側の端部を上流端と呼び、インダクタ導体層18a〜18cの時計回り方向の下流側の端部を下流端と呼ぶ。
【0028】
ビアホール導体v3は、絶縁体層16dを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層18aの下流端とインダクタ導体層18bの上流端とを接続している。ビアホール導体v4は、絶縁体層16eを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層18bの下流端とインダクタ導体層18cの上流端とを接続している。これにより、インダクタL1は、上側から見たときに、時計回り方向に周回しながら上側から下側へと進行する螺旋状をなしている。
【0029】
コンデンサ導体層22a,22b,26は、コンデンサC1に含まれている。コンデンサ導体層22a,22bは、絶縁体層16g,16iの表面の左半分の領域に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層22a,22bは、同じ形状をなしており、上側から見たときに、一致した状態で重なっている。
【0030】
コンデンサ導体層26は、絶縁体層16hの表面の左半分の領域に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層26は、上側から見たときに、コンデンサ導体層22a,22bと重なっている。これにより、コンデンサ導体層26は、絶縁体層16gを介してコンデンサ導体層22aと対向し、絶縁体層16hを介してコンデンサ導体層22bと対向している。
【0031】
ビアホール導体v2は、コンデンサ導体層22a,22b及びインダクタ導体層18aの上流端に接続されている。また、ビアホール導体v2は、コンデンサ導体層20a,20b及びビアホール導体v1を介して外部電極14aに接続されている。従って、コンデンサ導体層22a,22b及びインダクタ導体層18aの上流端は、外部電極14aに電気的に接続されている。
【0032】
接続導体層34は、絶縁体層16hの表面の中央に設けられており、左右方向に延在する帯状の導体層である。接続導体層34の左端は、コンデンサ導体層26に接続されている。接続導体層35は、絶縁体層16fの表面の中央に設けられており、左右方向に延在する帯状の導体層である。接続導体層35の左端は、インダクタ導体層18cの下流端に接続されている。ビアホール導体v5は、絶縁体層16f〜16iを上下方向に貫通している。ビアホール導体v5は、接続導体層34,35に接続されている。従って、コンデンサ導体層26とインダクタ導体層18cの下流端とは、互いに電気的に接続されている。
【0033】
グランド導体層30a,コンデンサ導体層32は、コンデンサC4に含まれている。グランド導体層30aは、絶縁体層16kの表面の中央に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層32は、絶縁体層16jの表面の中央に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層32は、上側から見たときに、グランド導体層30aと重なっている。これにより、コンデンサ導体層32は、絶縁体層16jを介してグランド導体層30aと対向している。
【0034】
コンデンサC4の一方の電極(コンデンサ導体層32)とインダクタL1の他端(インダクタ導体層18cの下流端)とは、接続導体層35及びビアホール導体v5を介して互いに接続されている。より詳細には、ビアホール導体v5は、コンデンサ導体層32に接続されている。また、ビアホール導体v5は、接続導体層35を介してインダクタ導体層18cの下流端と接続されている。従って、コンデンサ導体層32とインダクタ導体層18cの下流端とは、互いに電気的に接続されている。
【0035】
コンデンサC4の他方の電極(グランド導体層30a)は、ビアホール導体v6を介して外部電極14cに接続されている。
【0036】
ところで、インダクタL1及びコンデンサC1,C3とインダクタL2及びコンデンサC2,C5とは、上側から見たときに、積層体12の上面の対角線の交点に関して点対称な関係を有している。点対称な関係とは、積層体12の上面の対角線の交点を中心として、インダクタL1及びコンデンサC1,C3を180°回転させると、インダクタL2及びコンデンサC2,C5と一致することを意味する。より詳細には、インダクタ導体層38a〜38cとインダクタ導体層18a〜18cとは点対称な関係にある。コンデンサ導体層20a,20b,22a,22b,26及びグランド導体層24とコンデンサ導体層40a,40b,42a,42b,46及びグランド導体層44とは点対称な関係にある。ビアホール導体v1〜v4とビアホール導体v11〜v14とは点対称な関係にある。インダクタL2及びコンデンサC2,C5のこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0037】
グランド導体層50(第1のグランド導体層の一例)は、インダクタL1,L2及びコンデンサC1〜C5(受動素子の一例)よりも積層体12の上面の近くに位置する絶縁体層16b(第1の絶縁体層の一例)の表面上に設けられている。グランド導体層50は、絶縁体層16bの表面の一部を覆っており、本実施形態では、絶縁体層16bの表面の略全面を覆っている。ただし、グランド導体層50は、絶縁体層16bの4辺の中央においてのみ、該4辺に接している。すなわち、絶縁体層16bの4辺の中央以外の部分において、グランド導体層50の外縁と絶縁体層16bの4辺との間には隙間が存在している。これにより、グランド導体層50は、積層体12の前面、後面、右面及び左面において積層体12外に露出し、シールド電極13に接続されている。なお、グランド導体層50は、積層体12の上面から200μm以内の位置に設けられることが好ましいが、積層体12の上面から300μ又は400μmの位置に設けられてもよい。
【0038】
グランド導体層52a〜52d(第2のグランド導体層の一例)は、グランド導体層50が設けられている絶縁体層16b(第2の絶縁体層の一例)とは異なり、かつ、インダクタL1,L2及びコンデンサC1〜C5(受動素子の一例)よりも積層体12の上面の近くに位置する絶縁体層16cの表面上に設けられている。グランド導体層52a〜52dはそれぞれ、絶縁体層16cの表面の一部を覆っており、L字型をなしている。グランド導体層52aは、絶縁体層16cの左側の短辺の後ろ半分と後ろ側の長辺の左半分とに沿っている。グランド導体層52bは、絶縁体層16cの左側の短辺の前半分と前側の長辺の左半分とに沿っている。グランド導体層52cは、絶縁体層16cの右側の短辺の後ろ半分と後ろ側の長辺の右半分とに沿っている。グランド導体層52dは、絶縁体層16cの右側の短辺の前半分と前側の長辺の右半分とに沿っている。これにより、グランド導体層52a〜52dは、積層体12の前面、後面、右面及び左面において積層体12外に露出し、シールド電極13に接続されている。更に、上側から見たときに、グランド導体層50とグランド導体層52a〜52dとが組み合わさって、積層体12の上面の全体と重なっている。
【0039】
方向識別マーク60は、積層体12の上面(絶縁体層16aの表面)に設けられている円形の導体層である。方向識別マーク60は、電子部品10aの方向を識別する際に用いられる。
【0040】
インダクタ導体層18a〜18c,38a〜38c、コンデンサ導体層20a,20b,22a,22b,26,32,40a,40b,42a,42b,46、接続導体層34,35、グランド導体層24,30a,30b,44,50,52a〜52d、方向識別マーク60及びビアホール導体v1〜v6,v11〜v14は、例えば、Cu等の導電性材料により作製されている。 ここで、シールド電極13は、Cu層72及びステンレス鋼層74を有している。よって、シールド電極13は、インダクタ導体層18a〜18c,38a〜38c、コンデンサ導体層20a,20b,22a,22b,26,32,40a,40b,42a,42b,46、接続導体層34,35、グランド導体層24,30a,30b,44,50,52a〜52d、方向識別マーク60及びビアホール導体v1〜v6,v11〜v14の材料と異なる材料の層を有している。
【0041】
(効果)
本実施形態に係る電子部品10aによれば、以下に説明するように、他の電子部品と近接させた状態で回路基板に電子部品10aを実装できる。電子部品10aでは、シールド電極13は、いずれの外部電極14a〜14cとも積層体12の表面において物理的に接続されていない。従って、積層体12の底面において、シールド電極13と外部電極14a〜14cとの間には隙間が存在している。そのため、電子部品10aを回路基板にはんだを用いて実装した場合に、外部電極14a〜14cに付与されたはんだがシールド電極13に付着することが抑制される。すなわち、積層体12の側面にはんだが濡れ上がることが抑制される。これにより、他の電子部品が電子部品10aに近接しても、はんだが他の電子部品に接触することが抑制される。その結果、他の電子部品と近接させた状態で回路基板に電子部品10aを実装できる。
【0042】
また、電子部品10aによれば、高いシールド効果を得ることができるので、外部からノイズが侵入することを抑制できると共に、外部にノイズが放射することを抑制できる。より詳細には、電子部品10aでは、シールド電極13は、積層体12の4つの側面の略全面を覆っている。これにより、電子部品10aの側面から電子部品10a内にノイズが侵入することが抑制されると共に、電子部品10aの側面から電子部品10a外にノイズが放射することが抑制される。更に、電子部品10aでは、インダクタL1,L2及びコンデンサC1〜C5よりも積層体12の上面の近くにグランド導体層50,52a〜52dが設けられている。グランド導体層50とグランド導体層52a〜52dとは、上側から見たときに、互いに組み合わさって、積層体12の上面の全体と重なっている。これにより、電子部品10aの上面からインダクタL1,L2及びコンデンサC1〜C5にノイズが侵入することが抑制されると共に、電子部品10aの上面からインダクタL1,L2及びコンデンサC1〜C5にノイズが放射することが抑制される。
【0043】
また、電子部品10aでは、グランド導体層50が絶縁体層16bの表面の全面を覆っておらず、グランド導体層52a〜52dが絶縁体層16cの表面の全面を覆っていない。そのため、グランド導体層50が存在しない部分において、絶縁体層16aと絶縁体層16bとが接触するようになる。同様に、グランド導体層52a〜52dが存在しない部分において、絶縁体層16bと絶縁体層16cとが接触するようになる。その結果、絶縁体層16aと絶縁体層16bとの間、及び、絶縁体層16bと絶縁体層16cとの間において、層間剥離が発生することが抑制される。
【0044】
また、電子部品10aでは、電子部品10aを回路基板に実装する際に、電子部品10aの吸着ミスの発生を抑制できる。より詳細には、シールド電極13の表面粗さは、積層体12の表面粗さよりも大きい。そのため、シールド電極13を吸着すると、電子部品10aの吸着ミスが発生するおそれがある。そこで、電子部品10aでは、積層体12の上面にはシールド電極13が設けられていない。これにより、積層体12の上面を吸着することが可能となり、電子部品10aの吸着ミスの発生が抑制される。
【0045】
また、電子部品10aでは、積層体12の上面にシールド電極13が設けられていないので、積層体12の上面に方向識別マーク60を設けることができる。これにより、電子部品10aの方向の識別を容易に行うことが可能となる。
【0046】
また、電子部品10aでは、積層体12の上面にシールド電極13が設けられていない。そのため、電子部品10aでは、積層体12の上面がシールド電極13に覆われている電子部品に比べて、焼成時における積層体12の上面近傍の収縮量と積層体12の底面近傍の収縮量とを近づけることができる。その結果、焼成後に電子部品10aに反りが発生することが抑制される。
【0047】
また、電子部品10aでは、シールド電極13は、Cu層72及びステンレス鋼層74が下層側から上層側へとこの順に重なった構造を有している。そのため、シールド電極13の腐食が抑制される。
【0048】
また、電子部品10aでは、ローパスフィルタの通過帯域外の減衰量を大きくすることができる。より詳細には、電子部品10aでは、シールド電極13は、グランド外部電極である外部電極14cと接続され、更に、積層体12の側面を覆っている。これにより、グランド電極(シールド電極)を大きくすることができるため、寄生のインダクタ成分を低減することができるため、ローパスフィルタの通過帯域外の減衰量を改善することができる。
【0049】
ここで、本願発明者は、ローパスフィルタの通過帯域外の減衰量が大きくなることを確認するために、以下に説明するコンピュータシミュレーションを行った。本願発明者は、
図1及び
図2Aに示す電子部品10aにおいてシールド電極13が設けられていないモデルを第1のモデル(比較例)として作成し、
図1及び
図2Aに示す電子部品10aのモデルを第2のモデル(実施例)として作成した。そして、第1のモデル及び第2のモデルにおいて通過特性をコンピュータに演算させた。
図3Aは、第1のモデルのシミュレーション結果を示したグラフである。
図3Bは、第2のモデルのシミュレーション結果を示したグラフである。縦軸は通過特性を示し、横軸は周波数を示す。
【0050】
図3Aと
図3Bとを比較すると、2GHz以上の帯域において、第2のモデルの減衰量の方が第1のモデルの減衰量よりも大きくなっていることが分かる。よって、コンピュータシミュレーションより、シールド電極13が設けられることにより、ローパスフィルタの通過帯域外の減衰量が大きくなることが分かる。
【0051】
また、電子部品10aでは、シールド電極をグランド電極として使用することで、グランド電極に発生する寄生インダクタを低減することができるため、通過帯域外の減衰量を改善することができる。 従って、ローパスフィルタの通過帯域外の減衰量が改善する。
【0052】
なお、電子部品10aにおいて、グランド導体層50,52a〜52d(特に、グランド導体層52a〜52d)は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0053】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。
図4は、第2の実施形態に係る電子部品10bの外観斜視図である。電子部品10bの等価回路図及び分解斜視図は、電子部品10aのこれらの図面と同じであるので
図1A及び
図2Aを援用する。
【0054】
電子部品10bは、シールド電極13の形状において、電子部品10aと相違する。以下に、かかる相違点を中心に電子部品10bについて説明する。
【0055】
図4に示すように、電子部品10bでは、シールド電極13は、積層体12の上面及び底面に接していない。すなわち、シールド電極13と積層体の上面との間には隙間が存在し、シールド電極13と積層体の底面との間には隙間が存在する。
【0056】
以上のような電子部品10bは、電子部品10aと同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
また、電子部品10bでは、製造時にシールド電極13が積層体12の上面に形成されることが抑制される。これにより、積層体12の上面に凹凸が形成されることが抑制され、電子部品10bの吸着ミスの発生が抑制される。
【0058】
また、電子部品10bでは、製造時にシールド電極13が積層体12の底面に形成されることが抑制される。その結果、シールド電極13と外部電極14a〜14cとが短絡することが抑制される。
【0059】
なお、シールド電極13は、積層体12の上面又は底面のいずれか一方に接していなくてもよい。
【0060】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。
図5は、第3の実施形態に係る電子部品10cの外観斜視図である。電子部品10cの等価回路図は、電子部品10aの等価回路図と同じであるので
図1Aを援用する。
【0061】
電子部品10cは、シールド電極13の形状、及び、グランド導体層50,52a〜52dの有無において、電子部品10aと相違する。以下に、かかる相違点を中心に電子部品10cについて説明する。
【0062】
図5に示すように、シールド電極13は、積層体12の4つの側面に加えて、積層体12の上面にも設けられている。本実施形態では、シールド電極13は、積層体12の上面の全面を覆っている。このようなシールド電極13は、例えば、スパッタ法により形成することができる。
【0063】
また、電子部品10cでは、積層体12の上面がシールド電極13により覆われているので、グランド導体層50,52a〜52d及び絶縁体層16b,16cが設けられていない。
【0064】
以上のような電子部品10cは、電子部品10aと同様の作用効果を奏することができる。
【0065】
また、電子部品10cでは、シールド電極13が積層体12の上面に設けられることにより、グランド導体層50,52a〜52dが不要となる。これにより、積層体12の積層数を低減でき、積層体12の低背化を図ることができる。
【0066】
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。
図6Aは、第4の実施形態に係る電子部品10dの断面構造図である。電子部品10dの等価回路図及び分解斜視図は、電子部品10aの等価回路図と同じであるので
図1A及び
図2Aを援用する。
【0067】
電子部品10dは、樹脂層62を更に備えている点において、電子部品10aと相違する。樹脂層62は、
図6Aに示すように、シールド電極13の表面を覆っている。
【0068】
以上のような電子部品10dでは、はんだがシールド電極13に濡れ上がることを抑制できる。より詳細には、導電性ペーストが塗布されることによりシールド電極13が形成された場合には、外部電極14a〜14cに対してNiめっき及びSnめっきが施される際に、シールド電極13の表面にもNiめっき及びSnめっきが施されてしまう。Niめっき及びSnめっきははんだ濡れ性に優れているので、シールド電極13のはんだ濡れ性も向上してしまう。すなわち、電子部品10dの側面にはんだが濡れ上がるおそれがある。
【0069】
そこで、電子部品10dでは、樹脂層62がシールド電極13の表面を覆っている。樹脂層62のはんだ濡れ性はNiめっき及びSnめっきのはんだ濡れ性に比べて低い。従って、樹脂層62(すなわち、電子部品10dの側面)上にはんだが濡れ上がることが抑制される。
【0070】
(第5の実施形態)
以下に、本発明の第5の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。
図6Bは、第5の実施形態に係る電子部品10eの断面構造図である。電子部品10dの等価回路図及び分解斜視図は、電子部品10aの等価回路図と同じであるので
図1A及び
図2Aを援用する。
【0071】
電子部品10eは、シールド電極13が3層構造を有している点において、電子部品10aと相違する。電子部品10eのシールド電極13は、Cu層72の下層側にステンレス鋼層76(第2のステンレス鋼層の一例)が更に重なった構造を有している。すなわち、シールド電極13は、ステンレス鋼層76、Cu層72及びステンレス鋼層74が下層側から上層側へとこの順に重なった構造を有している。ステンレス鋼層76、Cu層72及びステンレス鋼層74は、いずれもスパッタ法により形成される。
【0072】
また、電子部品10eは、電子部品10aと同じ作用効果を奏することができる。
【0073】
なお、シールド電極13は、Cu層、Ni層及びステンレス鋼層が下層側から上層側へとこの順に重なった構造を有していてもよい。また、シールド電極13は、Ni層、Cu層及びステンレス鋼層が下層側から上層側へとこの順に重なった構造を有していてもよい。シールド電極13は、ステンレス鋼層、Cu層及びNi層が下層側から上層側へとこの順に重なった構造を有していてもよい。いずれの層も、スパッタ法により形成される。
【0074】
(第6の実施形態)
以下に、本発明の第6の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。
図6Cは、第6の実施形態に係る電子部品10fの断面構造図である。電子部品10fの等価回路図及び分解斜視図は、電子部品10aの等価回路図と同じであるので
図1A及び
図2Aを援用する。
【0075】
電子部品10fは、シールド電極13が4層構造を有している点において、電子部品10aと相違する。電子部品10fのシールド電極13は、Cu層72、ステンレス鋼層74、Ni層78及びSn層80が下層側から上層側へとこの順に重なった構造を有している。Cu層72及びステンレス鋼層74は、スパッタ法により形成される。Ni層78及びSn層80は、めっき法により形成される。すなわち、Ni層78及びSn層80は、めっき層である。
【0076】
以上のような電子部品10fでは、以下の手順により各層を形成する。まず、積層体12の底面にAg又はCuの下地層90を形成する。次に、積層体12の上面及び底面を覆った状態で、スパッタ法によりCu層72を形成する。次に、スパッタ法によりステンレス鋼層74を形成する。次に、ステンレス鋼層74及び下地層90上に、Niめっきを行ってNi層78,92を形成する。最後に、Ni層78,92上にSnめっきを行ってSn層80,94を形成する。
【0077】
以上のような電子部品10fは、電子部品10aと同じ作用効果を奏することができる。
【0078】
なお、Sn層80の代わりに、Au層が設けられてもよい。Au層はめっき法により形成される。また、Cu層72の下層側に、更にステンレス鋼層が設けられてもよい。ステンレス鋼層はスパッタ法により形成される。
【0079】
(第7の実施形態)
以下に、本発明の第7の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。
図6Dは、第7の実施形態に係る電子部品10gの断面構造図である。電子部品10gの等価回路図及び分解斜視図は、電子部品10aの等価回路図と同じであるので
図1A及び
図2Aを援用する。
【0080】
電子部品10gは、シールド電極13のCu層72、ステンレス鋼層74、Ni層78及びSn層80の積層順において、電子部品10fと相違する。電子部品10gのシールド電極13は、Ni層78、Sn層80、Cu層72及びステンレス鋼層74がこの順に下層側から上層側へと重なった構造を有している。より詳細には、電子部品10gでは、グランド導体層24,30a,30b,50,52a〜52dが積層体12の側面から積層体12外に露出している。Ni層78及びSn層80は、グランド導体層24,30a,30b,50,52a〜52dが積層体12から露出している部分及びその近傍を覆っている。また、Cu層72は、Sn層80及び積層体12の4つの側面を覆っている。ステンレス鋼層74は、Cu層72を覆っている。Ni層78及びSn層80は、めっき法により形成される。すなわち、Ni層78及びSn層80は、めっき層である。Cu層72及びステンレス鋼層74は、スパッタ法により形成される。
【0081】
以上のような電子部品10gでは、以下の手順により各層を形成する。まず、積層体12の底面にAg又はCuの下地層90を形成する。次に、グランド導体層24,30a,30b,50,52a〜52dが積層体12から露出している部分及び下地層90上に、Niめっきを行ってNi層78,92を形成する。更に、Ni層78,92上にSnめっきを行ってSn層80,94を形成する。次に、積層体12の上面及び底面を覆った状態で、スパッタ法によりCu層72を形成する。最後に、積層体12の上面及び底面を覆った状態で、スパッタ法によりステンレス鋼層74を形成する。
【0082】
以上のような電子部品10gは、電子部品10fと同じ作用効果を奏することができる。更に、電子部品10fでは、ステンレス鋼層74がシールド電極13の表面に位置するので、シールド電極13の腐食が抑制される。
【0083】
なお、Sn層80の代わりに、Au層が設けられてもよい。Au層はめっき法により形成される。また、Cu層72の下層側に更にステンレス鋼層が設けれてもよい。ステンレス鋼層はスパッタ法により形成される。
【0084】
(その他の実施形態)
本発明に係る電子部品は、電子部品10a〜10gに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
【0085】
なお、電子部品10a〜10gの構成を任意に組み合わせてもよい。
【0086】
なお、電子部品10a〜10gは、一例として、ローパスフィルタを内蔵しているが、他の回路又は受動素子を内蔵していてもよい。電子部品10a〜10gが内蔵する回路は受動素子の組み合わせからなる回路である。従って、電子部品10a〜10gは、能動素子を内蔵することはない。電子部品10a〜10gが内蔵する受動素子としては、例えば、コイル、インダクタ、抵抗等が挙げられる。また、電子部品10a〜10gが内蔵する回路としては、例えば、ダイプレクサ、カプラ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ等が挙げられる。
【0087】
なお、電子部品10a〜10gは、所謂チップ部品であり、モジュール部品ではない。チップ部品とは、導体層やビアホール導体等の組み合わせにより受動素子や受動素子の組み合わせからなる回路が構成されている小型の電子部品を意味する。従って、回路基板上に半導体集積回路等の能動素子が実装され、半導体集積回路が樹脂により封止されたモジュール部品は、本願におけるチップ部品には含まれない。
【0088】
なお、電子部品10aにおいて、グランド導体層52a〜52dは、一つにつながって環状をなしていてもよい。