【実施例】
【0029】
[実施例1〜10]
表1に示す組成の調味液を調製し、該調味液50重量%を固形分50重量%と混合し、おにぎり用冷凍具材を調製した。その際、表2に示す増粘剤とゲル化剤とを、調味液に対して表2に示す含有量および含有量比となるように添加して加熱後冷却し、ポリプロピレン製の直径55mmの半球状トレーに25gずつ充填して冷凍し、それぞれ実施例1〜3とした。
また、増粘剤としてウェランガム、ゲル化剤として低分子量寒天を、調味液に対して表3に示す含有量および含有量比となるように添加し、実施例1〜3と同様におにぎり用冷凍具材を調製して、実施例4〜10とした。
なお、表2および3に示す増粘剤およびゲル化剤として、下記の原料を使用した。
(1)ウェランガム:「ビストップW」、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
(2)ローカストビーンガム:「LBG−3」、株式会社タイショーテクノス製
(3)低分子量寒天:「ウルトラ寒天UX−30」、伊那食品工業株式会社製、重量平均分子量=50,000〜100,000
(4)一般寒天:「伊那寒天 UZ−5」、伊那食品工業株式会社製、重量平均分子量=200,000〜400,000
【0030】
実施例1〜10のおにぎり用冷凍具材のそれぞれについて、3名のパネラーに米飯を用いておにぎりを調製して喫食させ、米飯へのしみ込みにくさ、トレーからの取り出し易さ、具材のまとまりおよび品質(食感)について、それぞれ下記の評価基準に従って評価させた。評価結果は、3名のパネラーの総合評価にて、表2および3に併せて示した。なお、実施例1〜10のおにぎり用冷凍具材は、すべて米飯中にて溶け易いものであった。
また、上記評価結果を総合して、おにぎりの具材として好ましいかどうかを評価し、下記評価基準に従って評価し、評価結果は、表2および3に併せて示した。
【0031】
<米飯へのしみ込みにくさ>
5点:米飯へのしみ込みが非常に少なく、液状部分がほぼ残っている。
4点:米飯へのしみ込みが少なく、液状部分が残っている。
3点:米飯へのしみ込みがあるが、ある程度液状部分が残り、許容の範囲内である。
2点:米飯へのしみ込みが多く、液状部分があまり残っていない。
1点:米飯へのしみ込みが非常に多く、液状部分がほぼ残っていない。
【0032】
<容器からの取り出し易さ>
5点:容器への付着性がほぼなく、取り出しが非常に容易である。
4点:容器への付着性が低く、取り出しが容易である。
3点:容器への付着性があるが、ある程度は取り出し易く、許容の範囲内である。
2点:容器への付着性が高く、取り出しが困難である。
1点:容器への付着性が非常に高く、取り出しが不可能である。
【0033】
<具材のまとまり>
5点:具材と液状部分が一体になっており、非常に分離しがたい。
4点:具材と液状部分が一体になっており、分離しがたい。
3点:具材と液状部分がある程度は一体になっており、少し分離するが許容の範囲内
である。
2点:具材と液状部分があまり一体になっておらず、分離し易い。
1点:具材と液状部分が一体になっておらず、非常に分離し易い。
【0034】
<品質(食感)>
5点:適度な粘性を有し、かつ口中における広がりが非常によい。
4点:ほぼ適度な粘性を有し、かつ口中における広がりがよい。
3点:液状部分の粘性はやや高いが、ある程度口中において広がり、許容の範囲内
である。
2点:液状部分の粘性(保形性)が高く、口中において広がりにくい。
1点:液状部分の粘性(保形性)が非常に高く、口中において広がらない。
【0035】
<おにぎり用具材としての好ましさ>
◎:各要素をバランスよく満たし、おにぎり用具材として好ましい。
○:一部の要素については満たしていないが、おにぎり用具材としては許容範の囲内
である。
△:複数の要素において満足できず、おにぎり用具材として好ましくない。
×:複数の要素における評価が劣り、おにぎり用具材として非常に好ましくない。
【0036】
さらに、実施例4〜10のおにぎり用冷凍具材については、解凍後において、下記に示す機器を用い、下記に示す条件下にて、粘性および粘着性の測定を行い、実施例4および6のおにぎり用冷凍具材については、下記の通り剥離性の測定も行った。
粘性および粘着性についての測定結果は、表3に併せて示した。また、剥離性についての測定結果は、表4に示した。
【0037】
<粘性の測定>
(1)使用機器
動的粘弾性測定装置:NDS−1000(株式会社MKTタイセー)
(2)測定条件
測定温度:25℃
モード:圧縮
振幅:40μm
周波数:2.0Hz
センサー面積:176.715mm
2
反復数:3回
(3)サンプル条件
トレーに入ったサンプルを25℃のインキュベーターに入れて解凍、調温し、分析 直前にこれを取り出し、機器にセットして分析した。
【0038】
<粘着性の測定>
(1)使用機器
測定装置:テクスチャーアナライザーTA.XT.plus(英弘精機株式会社)
プランジャー:P/20 20mmアルミニウム
(2)測定条件
測定温度:25℃
プランジャー下降速度:20mm/s
試料への侵入速度:1mm/s
試料への侵入後のプランジャーの上昇速度:20mm/s
試料への侵入距離:5mm
試料接触後の上昇距離:90mm
(3)サンプル条件
トレーに入ったサンプルを25℃のインキュベーターに入れて解凍、調温し、分析 直前にこれを取り出し、機器にセットして分析した。
(4)解析条件
プランジャーを引き上げる際の負のピークトップの応力の絶対値を粘着性とした。
【0039】
<剥離性の測定>
(1)使用機器
測定装置:テクスチャーアナライザーTA.XT.plus(英弘精機株式会社)
プランジャー:P/25 25mmアルミニウム
(2)測定条件
測定温度:25℃
プランジャー下降速度:20mm/s
試料への侵入速度:2mm/s
試料への侵入後のプランジャーの上昇速度:20mm/s
試料への侵入距離:10mm
試料接触後の上昇距離:90mm
(3)サンプル条件
トレーに入ったサンプルを−18℃のインキュベーターに入れて調温し、分析直前 にこれを取り出し、トレーを37℃のウォーターバスに10秒浸け、充填口を下にし て機器にセットし分析した。
(4)解析条件
得られた波形の最初のピークの最大応力を、おにぎり用冷凍具材をトレーから剥離 する為に必要な力として解析した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
表2に示されるように、増粘剤としてウェランガムまたはローカストビーンガムを用い、ゲル化剤として低分子量寒天を用いた場合には、米飯へのしみ込みにくさ、トレーからの取り出し易さ、具材のまとまりの要件をほぼ満たし、品質(食感)も良好で、おにぎり用の具材として適すると評価された。
増粘剤としてウェランガムを用い、ゲル化剤として一般寒天を用いた場合には、米飯へのしみ込みにくさ、トレーからの取り出し易さ、具材のまとまりの要件はほぼ満たすが、品質(食感)において、液状部分の粘性がやや高いと評価された。
増粘剤としてウェランガムを用い、ゲル化剤として低分子量寒天を用いた場合には、米飯へのしみ込みにくさ、トレーからの取り出し易さ、具材のまとまりの要件をすべてバランスよく満たし、また品質(食感)が非常に良好であり、おにぎり用具材として好ましいと評価された。
【0045】
さらに表3に示されるように、ウェランガムと低分子量寒天とを、これらの総量で、具材の液体含有量に対し1.0重量%〜4.0重量%含有し、これらを3:1〜1:4の重量比で用いた場合には、米飯へのしみ込みにくさ、トレーからの取り出し易さ、具材のまとまり、および品質(食感)のすべてにおいて良好であると評価された。
また、表3に示された結果から、おにぎり用冷凍具材の米飯へのしみ込みにくさ、トレーからの取り出し易さ、具材のまとまり、および品質(食感)は、おにぎり用冷凍具材の解凍後の粘性および粘着性により、制御され得ることが示唆された。
さらに表4に示され結果から、増粘剤としてウェランガムを用い、ゲル化剤として低分子量寒天を用いた場合には、解凍後に適度な剥離性を示すおにぎり用冷凍具材が得られ、トレーからの取り出し易さが良好となることが示唆された。