(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保護分子は、前記1級アミノ基が前記銀ナノ粒子を構成する銀原子に選択的に配位し、前記3級アミノ基が前記銀ナノ粒子側とは反対側を向くようにして、前記銀ナノ粒子の表面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の銀ナノ粒子積層体。
前記アルキルジアミンは、N,N−ジメチル−1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、または、N,N−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の銀ナノ粒子積層体。
基材上に、銀ナノ粒子と分散溶媒とを含む銀ナノ粒子膜層用組成物からなる層と、分子内に少なくとも2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物と、光重合開始剤と、溶剤とを含むオーバーコート層用組成物からなる層とを、この順に同時に形成する工程と、
前記銀ナノ粒子膜層用組成物からなる層と、前記オーバーコート層用組成物からなる層とを、同時に乾燥させる工程と、
乾燥させた前記オーバーコート層用組成物からなる層を硬化させてオーバーコート層を形成する工程と、を有し、
前記銀ナノ粒子膜層用組成物は、不飽和二重結合を有した化合物をさらに含み、
前記銀ナノ粒子膜層用組成物に含まれる前記銀ナノ粒子の表面は保護分子により覆われており、
前記銀ナノ粒子膜層用組成物からなる層を乾燥させて銀ナノ粒子膜層を形成した後も前記銀ナノ粒子は、前記保護分子により表面が覆われており、
前記保護分子は、1級アミノ基と3級アミノ基とを有するアルキルジアミンを主成分として含むことを特徴とする銀ナノ粒子積層体の製造方法。
前記溶剤は、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アセトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、2−プロパノール、または1−ブタノールを含むことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の銀ナノ粒子積層体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態に係る銀ナノ粒子積層膜、銀ナノ粒子積層体及び銀ナノ粒子積層膜の製造方法について説明する。ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
(銀ナノ粒子積層体10の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る銀ナノ粒子積層体10の構成を模式的に示す断面図である。
図1に示す銀ナノ粒子積層体10は、基材1と、基材1上に形成され、銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子膜層2と、銀ナノ粒子膜層2上に形成されたオーバーコート層3と、を少なくとも備えている。以下、上述した各層の詳細について説明する。
【0015】
[基材1]
基材1は、銀ナノ粒子膜層2を支持する部材である。このため、銀ナノ粒子膜層2を支持し形成することが可能であれば、基材の種類を問わない。本実施形態では、基材1としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを使用することができる。
【0016】
[銀ナノ粒子膜層2]
銀ナノ粒子膜層2は、基材1上に形成され、且つ銀ナノ粒子(図示せず)を含んだ層である。銀ナノ粒子膜層2に含まれる銀ナノ粒子の表面は、例えば、1級アミノ基と3級アミノ基とを有するアルキルジアミンを主成分として含む保護分子により覆われている。また、上述の銀ナノ粒子は、有機溶剤に分散可能であり、その平均粒径は、例えば30nm以下である。
【0017】
[オーバーコート層3]
オーバーコート層3は、銀ナノ粒子膜層2上に形成され、電離放射線照射により得られる三次元架橋構造を含んだ層である。より詳しくは、オーバーコート層3は、分子内に少なくとも2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物(以下、単に「重合性化合物」とも称する)が重合し三次元架橋構造を有する樹脂、特にウレタン結合を有する三次元架橋構造を有する樹脂を含んだ層である。なお、オーバーコート層3は、例えば、光重合開始剤を含んでいてもよい。
また、上述の重合性化合物は、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーの少なくとも一方を主成分として含んだ化合物である。なお、本実施形態で使用可能な重合性化合物の具体例については、後述する。
また、上述の光重合開始剤は、上述の重合性化合物を光重合させるための開始剤である。このため、当該化合物を光重合させることが可能であれば、その種類を問わない。なお、本実施形態で使用可能な光重合開始剤の具体例については、後述する。
【0018】
(銀ナノ粒子積層体10の製造方法)
[銀ナノ粒子の合成]
銀ナノ粒子を構成する銀の原料としては、含銀化合物のうちで、加熱により容易に分解して金属銀を生成する銀化合物が好ましく使用される。このような銀化合物としては、例えば、蟻酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、安息香酸、フタル酸などのカルボン酸と銀が化合したカルボン酸銀の他、塩化銀、硝酸銀、炭酸銀等を用いることができる。そして、それらの銀化合物の中でも、分解により容易に金属を生成し、かつ、銀以外の不純物を生じにくい観点からシュウ酸銀が好ましく用いられる。シュウ酸銀は、銀含有率が高いとともに、加熱によりシュウ酸イオンが二酸化炭素として分解除去される。このために、還元剤を必要とせず熱分解により金属銀がそのまま得られ、不純物が残留しにくい点で有利といえる。
【0019】
本実施形態では、上記銀化合物に所定のアルキルジアミンを加えて、銀化合物と当該アミンとの錯化合物を生成させる。この錯化合物には、銀、アルキルジアミン及びシュウ酸イオンが含まれる。この錯化合物においては、銀化合物に含まれる各銀原子に対してアミンに含まれる窒素原子がその非共有電子対を介して配位結合することにより、錯化合物を生成しているものと推察される。この時、アミノ基は1級であるRNH
2(Rは炭化水素基)であることが好ましく、3級アミノ基となった場合は空間的に銀原子への配位が困難となる。このため、アルキルジアミンが1級と3級のアミノ基であれば、1級アミノ基が選択的に銀原子に配位し、3級アミノ基は分子鎖に応じて外側を向くことになる。なお、2級アミノ基は、配位可能であるが、合成上の問題で高価であることと、反応性が1級よりも落ちるため、1級アミノ基及び3級アミノ基の使用が好ましい。
【0020】
このように生成するジアミンが配位した金属銀原子は、その生成後に速やかに凝集し、相互に金属結合を生成して結合して銀ナノ粒子を形成する。この際に、各銀原子に配位したジアミンが銀ナノ粒子の表面に保護膜を形成するため、一定の銀原子が集合して銀ナノ粒子を形成した後は、当該ジアミンの保護膜によってそれ以上の銀原子が結合することが困難と考えられる。このため、錯化合物に含まれる銀化合物の分解と銀ナノ粒子の生成を、溶媒が存在せず銀原子が極めて高密度に存在する状態で行った場合でも、典型的には、粒径が30nm以下で粒径の揃った銀ナノ粒子が安定して得られるものと考えられる。
【0021】
銀化合物とジアミンとの錯化合物の生成において、銀原子とジアミンとのモル比を1:1〜1:4とすることが好ましく、1:2〜1:4とすることがより好ましい。銀化合物とジアミンとの錯化合物の生成においてジアミンの量が上記の範囲を超えて少なくなると、ジアミンが配位していない銀原子の割合が増加し、得られる銀ナノ粒子が肥大するようになる。また、銀原子の2倍量以上のジアミンが存在することにより、平均粒径がほぼ30nm以下の銀ナノ粒子が安定して得られるようになることから、この程度のジアミン量により確実にすべての銀原子がジアミンにより配位可能になるものと考える。また、ジアミンが銀原子の4倍量以上になると、反応系における銀原子の密度が低下して、最終的な銀の回収歩留まりが低下するため、ジアミンの使用量は、銀原子の4倍量以下とすることが好ましい。また、銀原子とジアミンのモル比を1:1程度とする場合には、全てのアミンが銀原子に配位して錯化合物を形成して反応系を保持する分散溶媒が存在しないこととなるため、必要に応じてメタノール等の反応溶媒を混合することも好ましい。
【0022】
銀化合物とジアミンとの錯化合物を攪拌しながら加熱すると、青色光沢を呈する懸濁液が得られる。この懸濁液から過剰のジアミン等を除去することによって、本実施形態に係る保護分子で表面が被覆された銀ナノ粒子(以下、単に「被覆銀ナノ粒子」とも称する)が得られる。銀化合物とジアミンとの錯化合物を加熱して被覆銀ナノ粒子を得る際の条件は、使用する銀化合物やジアミンの種類に応じて、熱分解を行う際の温度、圧力、雰囲気などの条件を適宜選択できる。この際に、生成する被覆銀ナノ粒子が、熱分解を行う雰囲気との反応により汚染されたり、銀ナノ粒子の表面を覆う保護膜が分解されたりすることを防止する観点から、アルゴン雰囲気などの不活性雰囲気内で銀化合物の熱分解を行うことが好ましい。一方、銀化合物としてシュウ酸銀を用いる場合には、シュウ酸イオンの分解によって発生する二酸化炭素により反応空間が保護されるため、大気中においてシュウ酸銀とジアミンとの錯化合物を加熱することでシュウ酸銀の熱分解が可能である。
【0023】
銀化合物の熱分解のために銀化合物とジアミンとの錯化合物を加熱する温度は、ジアミンの脱離を防止する観点から概ね使用するジアミンの沸点以下が好ましい。本実施形態では、一般的に80〜130℃程度に加熱することで、ジアミンで形成された保護膜を有する被覆銀ナノ粒子を得ることができる。
【0024】
上記の通り、一般に、銀に対して過剰量のアルキルアミンを必要とする他の被覆銀ナノ粒子の合成法に比べて、本実施形態では、銀原子:ジアミンの総量が1:1(モル比)でも被覆銀ナノ粒子が高収率で合成できるため、アルキルジアミンの使用量を削減できる。また、シュウ酸イオンの熱分解で生じる二酸化炭素は、反応系外に容易に除去されるため、還元剤に由来する副生成物がなく、反応系から被覆銀ナノ粒子の分離も簡単にでき、被覆銀ナノ粒子の純度も高い。
【0025】
銀ナノ粒子は黄色の鮮明な色材として期待されているが、一般に、その表面プラズモンバンドの極大吸収波長が400nmよりも長波長側に現れるため、鮮明な黄色の色材として課題がある。これに対して、本実施形態のシュウ酸イオン・アルキルジアミン・銀錯化合物の熱分解では、表面プラズモンバンドの極大吸収波長が400nmよりも短波長側にある被覆銀ナノ粒子を得ることが容易であり、装飾品等の色材としても有用である。
【0026】
本実施形態に係る被覆銀ナノ粒子が400nmよりも短波長側に表面プラズモンバンドの極大吸収波長を有することは、当該銀ナノ粒子を構成する銀原子が電気的に中性な金属塩からなることを示しており、被覆を構成するジアミンが配位結合により金属銀に結合していることを示すものである。
【0027】
本実施形態に係る被覆銀ナノ粒子を分散溶媒として用いられる溶剤等に分散させる際には、銀ナノ粒子の保護膜を脱離させないような条件で、保護膜を形成する際に用いた過剰のアルキルジアミン等を除去すると共に使用する溶剤で置換することで、被覆銀ナノ粒子が分散した分散液を得ることが好ましい。特に、本実施形態に係る被覆銀ナノ粒子を大気等に晒した場合には、低温でもその保護膜が脱離して銀ナノ粒子の凝集焼結が開始される。このため、被覆銀ナノ粒子をアルキルジアミン等から適宜の溶剤に置換する際には、被覆銀ナノ粒子が大気等に晒されない条件を選択して置換を行うことが好ましい。
【0028】
なお、本実施形態に係る被覆銀ナノ粒子を適宜の揮発性の分散溶媒に分散させた分散液を用いて、スピンコート法やインクジェット法によって所望の基材1上に塗布し塗膜を形成して、色材や光機能性膜として適応する場合、銀のみからなる成分だけでは、膜強度や基材1との密着性が弱く、触れただけで取れてしまう。そこで、銀ナノ粒子膜層2の強度や銀ナノ粒子膜層2と基材1との密着性を上げる成分を加える必要がある。膜特性の向上には、幾つかの手法があるが、熱重合や光重合を利用することが簡便である。このため、不飽和二重結合やオキソラン環を有した化合物を塗工液に添加する手法が好ましい。しかし、上述の化合物は添加できる量が限られているため、銀濃度、添加物濃度の一方を下げざるを得ず、高銀濃度での膜強度や膜と基材との密着性を上げるには、機能分離して銀ナノ粒子膜層2上に後述するオーバーコート層3を設けることが必須となる。
【0029】
以下、本実施形態について更に詳細に説明する。
<シュウ酸銀>
シュウ酸銀は、銀含有率が高く、通常200℃で熱分解する。熱分解すると、シュウ酸イオンが二酸化炭素とし除去されて金属塩がそのまま得られる。このため、還元剤を必要とせず、不純物が残留しにくい点で有利である。このような理由から、本実施形態において被覆銀ナノ粒子を得るための銀の原料となる銀化合物としてはシュウ酸銀を好ましく用いられる。以下、銀化合物としてシュウ酸銀を用いた場合について説明する。但し、上記のように、銀化合物と所定のジアミンとの間で生成する錯化合物において、当該ジアミンが銀原子に配位した状態であればシュウ酸銀に限定されずに用いられることは言うまでもない。
【0030】
本実施形態で用いられるシュウ酸銀として制限はなく、例えば、市販のシュウ酸銀を用いることができる。また、シュウ酸銀のシュウ酸イオンの20モル%以下を、例えば炭酸イオン、硝酸イオン及び酸化物イオンの少なくとも1種以上で置換しても良い。特に、シュウ酸イオンの20モル%以下を炭酸イオンで置換した場合、シュウ酸銀の熱的安定性を高める効果がある。置換量が20モル%を超えると前記錯化合物が熱分解しにくくなる場合がある。特に、沸点が250℃以下のアルキルジアミンを含んだシュウ酸イオン・アルキルジアミン・銀錯化合物では、100℃以下の低い温度での熱分解で被覆銀ナノ粒子を高効率で得ることができる。
【0031】
<アルキルジアミン>
本実施形態で用いられるアルキルジアミンは、特に、その構造に制限はない。アルキルジアミンは、シュウ酸銀と反応して、上述の錯化合物を形成するため、少なくともひとつのアミノ基が1級アミノ基、或いは2級アミノ基であることが必要であり、1級アミノ基であることが好ましい。さらに、非極性の分散溶媒との親和性を高めるため、もう一方のアミノ基は3級アミノ基であることが望ましい。アルキルジアミンとしては、例えば、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、N,N−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン等が挙げられるが、この限りではない。また、複数の異なるアルキルジアミンを同時にシュウ酸銀と反応させても良い。
【0032】
[オーバーコート層用組成物の調製]
本実施形態では、オーバーコート層用組成物は、分子内に少なくとも2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物(重合性化合物)を含んでいる。そして、その化合物としては、例えば、1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が、2個以上の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっているものが好ましい。その他には、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリロイル基が結合されたものをはじめとして、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及びポリエーテル(メタ)アクリレートなどを上述の化合物として用いることができる。また、メラミンやイソシアヌル酸などの剛直な骨格にアクリロイル基を結合させたものも用いることができる。それらの化合物の中でも、本実施形態では、特にウレタン(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーの少なくとも一方を用いると、オーバーコート層3の硬度ならびに可撓性を著しく向上させることができる。なお、本実施形態において、「(メタ)アクリルモノマー」とは「アクリルモノマー」と「メタクリルモノマー」の両方を示している。
【0033】
本実施形態で好ましい、分子内に少なくとも2個以上の重合性不飽和二重結合を有するウレタン(メタ)アクリレートとしては、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、あるいはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを反応させ形成されるものを挙げることができる。
【0034】
具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサジアミンイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサジアミンイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジアミンイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。また、これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、これらは、モノマーであってもよいし、一部が重合したオリゴマーであってもかまわない。これらの樹脂は、例えば、熱、紫外線、電子線等のエネルギーを加えることで架橋するものである。これらの化合物を、膜強度、基材との密着性、カール量を考慮しながら適宜選択する。
【0035】
市販されているウレタン(メタ)アクリレートとしては、ナガセケムテック社;(商品名“デナコール”シリーズ等)、新中村化学社;(商品名“NKエステル”シリーズ等)、DIC社(商品名“UNDIC”シリーズ等)、日本油脂社;(商品名“ブレンマー”シリーズ等)、日本化薬社;(商品名“KAYARAD”シリーズ等)、共栄社化学社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズ等)、ダイセル・オルネクス社;(商品名“Ebecryl”シリーズ等)、根上工業社;(商品名“アートレジン”シリーズ等)、日本合成化学工業社;(商品名;“紫光”紫シリーズ等)等の製品を利用することができる。
【0036】
具体的には、新中村化学社のU−4HA、U−6HA、UA−100A、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、UA−33H、UA−53H、U−324A等、共栄社化学社のUA−306H、UA−306T、UA−306I等、日本合成化学工業社のUV−1700B、UV−6300B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、ダイセル・オルネクス社のEbecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社のUN−3220H、UN−3220HB、UN−3220HS等を挙げることができるが、この限りではない。
【0037】
本実施形態のオーバーコート層用組成物を構成する重合性化合物の使用割合(含有量比)は、組成物中の50%以上95%以下の範囲内が好ましく、必要に応じて、(メタ)アクリレートモノマーや溶剤で希釈しても構わない。
【0038】
本実施形態のオーバーコート層用組成物を構成する光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−ヒドロキシケトン、ベンジルメチルケタール、α―アミノケトン、モノアシルフォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド等を単独或いは混合して用いる。具体的には、BASF社のIrgacure 184、Irgacure 651、Irgacure 1173、Irgacure 907、Irgacure 369、Irgacure 819、Irgacure TPO、ランバルティ社のEsacure KIP−150、Esacure ONE等を挙げることができるが、この限りではない。
【0039】
[銀ナノ粒子積層体10の製造工程]
銀ナノ粒子積層体10を製造するための第1〜第5の工程について、以下説明する。
第1の工程は、上述した被覆銀ナノ粒子を溶剤等に分散し、濃度、粘度を調整した塗液を作成する工程である。
第2の工程は、第1の工程で作成した塗液をフィルム基材やガラス基材に塗工して、
図2(a)に示すように、被覆銀ナノ粒子と分散溶媒とを含む銀ナノ粒子膜層用組成物からなる層2aを形成する工程である。
第3の工程は、層2aを乾燥させて銀ナノ粒子膜層2を形成する工程である。
第4の工程は、上述したオーバーコート層用組成物を溶剤等に溶解し粘度を調整した塗液を、第3の工程で形成した銀ナノ粒子膜層2の上に塗布し乾燥させて、
図2(b)に示すように、オーバーコート層用組成物からなる層3aを形成する工程である。
第5の工程は、層3aに対して紫外線照射等の電離放射線照射処理を行い、
図2(c)に示すように、層3aを硬化させてオーバーコート層3を形成する工程である。
上記第1〜第5の工程を経て、本実施形態に係る銀ナノ粒子積層体10が得られる。
【0040】
上記第1の工程で用いる被覆銀ナノ粒子分散液の溶剤としては、例えば、トルエン、日本テルペン化学社製のターピネオールC、ジヒドロターピネオール、テルソルブTHA−90等を挙げることができる。また、これらの溶剤のうち、数種類を混合して用いても良い。上述の溶剤は、組成物中に、組成物全体の95重量%までの量で存在できる。また、該溶剤は、被覆銀ナノ粒子分散液を基材1に塗布し乾燥させる際に実質的に除去される。
また、オーバーコート層用組成物に用いられる溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール等を用いることができる。なお、溶剤は1種類に限定されるものでなく、複数の溶剤を混合して用いてもよい。また、これらの溶剤を80wt%以上含むことが好ましい。
【0041】
本実施形態において、上述した成分以外に、必要に応じて相溶性のある添加物、例えば、可塑剤、安定剤、界面活性剤、レベリング剤、カップリング剤などを、本実施形態の目的を損なわない範囲で添加することができる。但し、カールを抑制するため、或いは硬度を上げるためのフィラー類は、透過率の低下や分散性に不具合を生じるため加えないことが好ましい。
【0042】
このように各成分を適宜選択し、任意の割合で混合して得た塗液を、例えばロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、バーコーター、ダイコーター、ディップコーター等の公知の塗工手段を用いて基材1に塗布し乾燥させた後、UV(ultraviolet)を照射する。また、重層ダイコーターを用いて、2層を一度に塗布してもよい。以下、この方法について、詳しく説明する。
【0043】
図3(a)は、被覆銀ナノ粒子と分散溶媒とを含む銀ナノ粒子膜層用組成物からなる層2aと、オーバーコート層用組成物からなる層3aの2層を一度に塗布した状態を示す。
重層ダイコーターを用いて、2層を一度に塗布した場合には、例えば、層2aと層3aとを同時に乾燥させる。こうして、銀ナノ粒子膜層2を形成する。
その後、層3aに対して紫外線照射等の電離放射線照射処理を行い、
図3(b)に示すように、層3aを硬化させてオーバーコート層3を形成する。
【0044】
以上のように、従来の問題点を鑑みて、鋭意研究した結果、銀の原料となる銀化合物を分解して銀ナノ粒子を製造する際に、1級アミンと3級アミンを有するアルキルジアミンを介在させて用いると、50wt%以上の濃度でもトルエン等の有機溶剤に分散できる被覆銀ナノ粒子が得られる。また、その被覆銀ナノ粒子の分散液濃度を変えると濃度に応じた色の塗膜が得られる。しかしながら、被覆銀ナノ粒子のみで製膜したものは、指で触れるだけで基材から剥離してしまい膜強度や基材との密着性を上げるための成分を加えないと機能膜として成り立たない。そこで、膜強度や基材との密着性を上げるために、他の成分を添加すると添加物濃度に応じて分散性が悪化し、被覆銀ナノ粒子が高濃度での塗膜を得ることができない。高濃度銀塗膜でかつ膜強度や基材への密着性を上げるためには、銀ナノ粒子膜層2とオーバーコート層3からなる多層構成が必要となる。より詳しくは、銀の原料となる銀化合物として、例えば、シュウ酸銀を用いると共に、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンを介在させることによってシュウ酸銀に含まれる銀原子に当該アルキルジアミンの1級アミノ基部分が配位した錯化合物を調製し、この状態でシュウ酸銀を構成するシュウ酸イオンの部分を熱分解することにより、被覆銀ナノ粒子を高収率で調製することができる。当該被覆銀ナノ粒子は、錯形成しない3級アミノ基が粒子の最外面を向くため、トルエン等の非極性溶媒への分散性が良好で、しかも50wt%という高濃度でも分散液として調製することができる。このように分散液濃度や塗布膜厚を変えることで、種々の光学的特性を有する機能層が得られた。一方、オーバーコート層3としては、いわゆるハードコート剤と呼ばれる電離放射線、特に紫外線照射により硬化できるものを前記被覆銀ナノ粒子からなる銀ナノ粒子膜層2上に塗布硬化すれば、膜強度が高く基材密着性の強い硬化膜4を得ることができた。被覆銀ナノ粒子は、メチルエチルケトンや酢酸エチルには分散しないので、オーバーコート層3に用いるハードコート剤の溶剤として用いれば、下層の銀ナノ粒子膜層2を乱すことなく積層できる。
【0045】
(本実施形態の効果)
(1)本実施形態に係る銀ナノ粒子積層体10は、基材1と、基材1上に形成され、銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子膜層2と、銀ナノ粒子膜層2上に形成され、電離放射線照射により得られる三次元架橋構造を含むオーバーコート層3と、を備えている。
このような構成であれば、オーバーコート層3を備えているため、銀ナノ粒子積層体10の耐擦傷性を高めることができる。
【0046】
(2)また、本実施形態に係る銀ナノ粒子膜層2に含まれる銀ナノ粒子は、保護分子により覆われ、その保護分子は、1級アミノ基と3級アミノ基とを有するアルキルジアミンを主成分として含むものであってもよい。
このような構成であれば、銀ナノ粒子をトルエン等の非極性溶媒に分散させた場合には、その分散性が良好となる。
【0047】
(3)また、本実施形態に係る銀ナノ粒子積層体10に含まれるオーバーコート層3は、ウレタン結合を有する三次元架橋構造を有する樹脂を含むものであってもよい。
このような構成であれば、オーバーコート層3の膜強度や銀ナノ粒子膜層2との密着性をさらに高めることができる。よって、銀ナノ粒子積層体10の耐擦傷性をさらに高めることができる。
【0048】
(4)また、本実施形態に係る銀ナノ粒子膜層2に含まれる銀ナノ粒子の平均粒径は、30nm以下であってもよい。
このような構成であれば、銀ナノ粒子を溶媒中に分散させた場合には、その分散性が良好となる。
【0049】
(5)また、本実施形態に係る銀ナノ粒子膜層2に含まれる銀ナノ粒子は、有機溶剤に分散可能であってもよい。
このような構成であれば、銀ナノ粒子を有機溶剤中に分散させた場合には、その分散性が良好となる。
【0050】
(6)また、本実施形態に係る銀ナノ粒子積層体10に含まれるオーバーコート層3は、光重合開始剤を含んでもよい。
このような構成であっても、銀ナノ粒子積層体10の耐擦傷性は高まる。
【0051】
(7)本実施形態に係る銀ナノ粒子積層体10の製造方法は、銀ナノ粒子と分散溶媒とを含む組成物を基材上に塗布し乾燥させて銀ナノ粒子膜層2を形成する工程と、分子内に少なくとも2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物と、光重合開始剤と、溶剤とを含むオーバーコート層用組成物を銀ナノ粒子膜層2上に塗布し乾燥させた後に、オーバーコート層用組成物を硬化させてオーバーコート層3を形成する工程と、を有する。
このような構成であれば、オーバーコート層3を備えているため、銀ナノ粒子積層体10の耐擦傷性を高めることができる。
【0052】
(8)本実施形態に係る銀ナノ粒子積層体10の別の製造方法は、基材1上に、銀ナノ粒子と分散溶媒とを含む銀ナノ粒子膜層用組成物からなる層2aと、分子内に少なくとも2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物と、光重合開始剤と、溶剤とを含むオーバーコート層用組成物からなる層3aとを、この順に同時に形成する工程と、銀ナノ粒子膜層用組成物からなる層2aと、オーバーコート層用組成物からなる層3aとを、同時に乾燥させる工程と、乾燥させたオーバーコート層用組成物からなる層3aを硬化させてオーバーコート層3を形成する工程と、を有する。
このような構成であれば、オーバーコート層3を備えているため、銀ナノ粒子積層体10の耐擦傷性を高めることができる。
【0053】
(9)また、本実施形態に係る銀ナノ粒子積層体10の製造方法において、溶剤は、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びそれらの混合物、或いは、メチルエチルケトン或いは酢酸エチルを80wt%以上含んだものであってもよい。
このような構成であれば、分子内に少なくとも2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物を容易に溶解させることができる。
【0054】
以上のように、本実施形態であれば、上述した従来技術の問題点を解決して、その製造過程や保存中においては十分に銀ナノ粒子が分散状態にあり、その凝集が防止される。また、その銀ナノ粒子を用いて製膜した銀ナノ粒子膜層2に、膜強度や銀ナノ粒子膜層2との密着性が良好なオーバーコート層3を積層してなる銀ナノ粒子積層膜4、銀ナノ粒子積層膜4を備えた銀ナノ粒子積層体10及び銀ナノ粒子積層体10の製造方法を提供することができる。
【0055】
(変形例)
本実施形態では、表面を保護分子で被覆した銀ナノ粒子である被覆銀ナノ粒子を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。保護分子で被覆しない銀ナノ粒子であっても、分散性は被覆銀ナノ粒子に比べて劣るものの、上述した銀ナノ粒子積層体10に用いることができる。
【0056】
以下に、実施例として、銀ナノ粒子の製造方法及び溶媒への分散性、塗膜形成用塗液の調液、塗膜の物性などの評価を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
[実施例]
(実施例1〜実施例7)
〔シュウ酸銀の合成〕
シュウ酸二水和物(関東化学社)9.92gに蒸留水60mLを加え加温しながら溶解させ、110℃のオイルバス中で攪拌しながら、硝酸銀(関東化学社)26.7gに20mLの蒸留水を加え加温しながら溶解させたものを加え、1時間加熱攪拌を続けた。析出したシュウ酸銀を自然ろ過で回収し、さらに熱水200mL、メタノール(関東化学社)50mLでろ過洗浄した後、遮光デシケーター内で減圧しながら室温乾燥した。こうして得たシュウ酸銀の収量は、21.6g(収率90.4%)であった。
【0058】
〔被覆銀ナノ粒子の合成〕
N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン(東京化成社)3.26gにオレイン酸0.13gを加えたところに、上述の工程で得たシュウ酸銀1.90gを加え、110℃のオイルバスで加熱攪拌した。1分以内で二酸化炭素の発泡が起こり、数分後に褐色の懸濁液に変化した。5分間加熱後、冷却したところにメタノール30mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると青色固形物1.48g(銀基準収率97.0)を得た。
【0059】
得られた被覆銀ナノ粒子を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社、SEM S−4800)を用いてS−TEMモード(加速電圧30kV)で観察したところ、粒径が5〜20nm程度の球状粒子が観察された。その結果を
図4に示す。より詳しくは、
図4は、実施例1で得た被覆銀ナノ粒子のトルエン溶媒分散液を基板(銅メッシュ・マイクログリッド)に垂らし乾燥させた後に観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像である。
【0060】
次に、得られた被覆銀ナノ粒子の溶媒への分散性を評価した。その結果、トルエン、ターピネオールC(日本テルペン化学社)、ジヒドロターピネオール(日本テルペン化学社)、及び、これらを主剤としたヘキサン等との混合溶媒に良好に分散した。そのトルエン分散溶液の動的光散乱粒度測定(日機装社、Nanotrac UPA−EX150)により、得られた被覆銀ナノ粒子は平均粒径15nmで良好に分散していることがわかった。その結果を
図5に示す。また、
図5に示した実線は、累積度数(%)を示している。
【0061】
〔銀ナノ粒子積層膜4の形成〕
上述の工程で得た青色固形物をトルエン(関東化学社)4.0gに分散させよく攪拌したものを塗液とした。
【0062】
上述の工程で得た被覆銀ナノ粒子を含む塗液を、#3バーコーターを用い、75μm厚PETフィルム(ルミラーT60、東レ社)に塗布後、90℃1分間オーブンにて溶剤を揮発させた。
【0063】
次に、ウレタンアクリレートオリゴマーUA306I(共栄社化学社)9.5g、開始剤としてイルガキュアー184(BASF社)0.50gをメチルエチルケトン12.0gに溶解させたもの(A)を、上述のPETフィルムに塗布乾燥した被覆銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子膜層2上に#10バーコーターで塗布し乾燥させた。その後、その塗布フィルムをパージボックスに入れ窒素ガスを封入してから、UVコンベアー(ヘリウス社、CV−110Q−G型、光源:ライトハンマー10MerkII、Hバルブ)にて180mJ/cm
2で露光し、上記「A」を硬化させてオーバーコート層3を形成した。こうして得た銀ナノ粒子積層膜(以下、単に「硬化膜」とも称する)4は金属光沢を示すが、透過光は赤紫色を呈した。なお、
図6は、実施例1〜実施例7で得られた銀ナノ粒子膜層2/オーバーコート層3(硬化膜4)の透過スペクトル(島津製作所社、紫外可視分光光度計
UV−2600、透過モード)をそれぞれ示す図である。また、この硬化膜4の評価結果を表1に示す。具体的には、密着性試験として、セロテープ(登録商標)を貼って剥がし、剥離の有無(PET基材から剥がれなしでオーバーコート層/銀ナノ粒子膜層間も剥がれなし「◎」、PET基材から一部剥がれありでオーバーコート層/銀ナノ粒子膜層間で剥がれなし「○」、オーバーコート層/銀ナノ粒子膜層間で一部剥がれあり「△」、剥がれあり「×」)と、耐擦傷試験として、#0000のスチールウールを用いて250g/cm
2の荷重を掛けながら10往復した時の傷の有無を調べた(500g荷重傷なし「◎」、250g荷重傷なし「◎」、傷あり「×」)。さらに、カール試験として、UV硬化後の1フィルムを100mm角に切り出し、片辺を抑えた時の対辺の浮き上がりを調べた(10mm未満「○」、10mm以上「×」)。
【0064】
(実施例8)
実施例1で用いた「A」(オーバーコート層用組成物)のうち、ウレタンアクリレートオリゴマーUA306I(共栄社化学社)9.5gの代わりに、UV−1700B(日本合成化学社)9.0gとライトアクリレートPE−3A(ペンタエリスリトールトリアクリレート、共栄社化学社)1.0gの混合物(B)を使用した以外は実施例1と同等に操作し硬化膜層(オーバーコート層3)を得た。実施例8に係る銀ナノ粒子積層膜4の評価結果を表1に示した。なお、実施例8で得られた銀ナノ粒子膜層2/オーバーコート層3(硬化膜4)の透過スペクトルについては、
図6への記載を省略した。
【0065】
(実施例9)
実施例1で用いた「A」(オーバーコート層用組成物)のうち、ウレタンアクリレートオリゴマーUA306I(共栄社化学社)9.5gの代わりに、UA−33H(新中村化学社)9.0gとライトアクリレートPE−3A(ペンタエリスリトールトリアクリレート、共栄社化学社)1.0gの混合物(C)を使用した以外は実施例1と同等に操作し硬化膜層(オーバーコート層3)を得た。実施例9に係る銀ナノ粒子積層膜4の評価結果を表1に示した。なお、実施例9で得られた銀ナノ粒子膜層2/オーバーコート層3(硬化膜4)の透過スペクトルについては、
図6への記載を省略した。
【0066】
(比較例1)
実施例1で用いた「A」(オーバーコート層用組成物)を用いずに被覆銀ナノ粒子塗液のみをPET基材に塗布し乾燥させた。比較例1に係る塗布膜の評価結果を表1に示した。
【0067】
(比較例2)
実施例1で用いた「A」(オーバーコート層用組成物)のうち、ウレタンアクリレートオリゴマーUA306I(共栄社化学社)9.5gの代わりに、ライトアクリレートDPE−6A(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、共栄社化学社)9.5gを混合させた混合物(D)を使用した以外は実施例1と同等に操作し硬化膜層(オーバーコート層3)を得た。こうして得た銀ナノ粒子積層膜4の評価結果を表1に示した。
【0069】
表1に示した結果から、実施例1〜実施例9の銀ナノ粒子積層膜4は、密着性及び耐擦傷性が優れていることがわかる。
また、実施例1〜実施例9の銀ナノ粒子積層体10は、フィルムに形成してもカールしにくいことがわかる。
また、実施例1〜実施例7の銀ナノ粒子積層膜4は、耐擦傷性が特に優れていることがわかる。
また、実施例1〜実施例3の銀ナノ粒子積層膜4は、耐擦傷性と密着性の両方が特に優れていることがわかる。
また、全ての実施例、比較例の可視光透過率は銀ナノ粒子濃度により制御できることがわかる。
【0070】
上述のように、表1に示した結果から、実施例1〜実施例9の銀ナノ粒子積層膜4は、それぞれ密着性が高いことがわかる。より詳しくは、実施例4〜実施例7の銀ナノ粒子積層膜4は密着性が高く、実施例1〜実施例3の銀ナノ粒子積層膜4はさらに密着性が高いことがわかる。この結果を、
図7を参照しつつ説明する。
図7(a)は、実施例1〜実施例3の銀ナノ粒子積層膜4を備えた銀ナノ粒子積層体10の構成を模式的に示す断面図である。また、
図7(b)は、実施例4〜実施例7の銀ナノ粒子積層膜4を備えた銀ナノ粒子積層体10の構成を模式的に示す断面図である。表1に示すように、実施例1〜実施例3の銀ナノ粒子積層膜4は、実施例4〜実施例7の銀ナノ粒子積層膜4に比べて、銀ナノ粒子の含有量が少ない。この場合、銀ナノ粒子膜層2に含まれる銀ナノ粒子5同士の間隔は比較的広いため、
図7(a)に示すように、オーバーコート層3の樹脂成分は銀ナノ粒子5間に潜り込んで基材1の表面に達し、銀ナノ粒子積層膜4の密着性が高まったと考えられる。これに対し、実施例4〜実施例7の銀ナノ粒子積層膜4は、実施例1〜実施例3の銀ナノ粒子積層膜4に比べて、銀ナノ粒子の含有量が多い。この場合、銀ナノ粒子膜層2に含まれる銀ナノ粒子5同士の間隔は比較的狭いため、
図7(b)に示すように、オーバーコート層3の樹脂成分は銀ナノ粒子5間に潜り込めず基材1の表面に達する当該樹脂成分の量は少なくなり、相対的に銀ナノ粒子積層膜4の密着性が低くなったと考えられる。