(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。
【0014】
<本実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図1は、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た構成図、
図2は、本実施の形態の鉄筋結束機の要部構成の一例を示す側面から見た構成図である。
【0015】
本実施の形態の鉄筋結束機1Aは、ワイヤWを、一の方向である正方向に送り、結束物である鉄筋Sの周囲に巻き回した後、正方向とは逆方向に引戻して鉄筋Sに巻き付ける。そして、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWの一部を把持して捩じることによって鉄筋SをワイヤWで結束する。
【0016】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤWが収納される収納部であるマガジン2Aと、ワイヤWを送るワイヤ送り部3Aと、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す経路を構成するカールガイド部5Aと、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWを切断する切断部6Aと、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる結束部7Aを備える。また、ワイヤWを正方向に送る場合におけるワイヤ送り部3Aの上流側には、ワイヤ送り部3Aに送り込まれるワイヤWをガイドする第1のワイヤガイド4A
1を備え、ワイヤWを正方向に送る場合におけるワイヤ送り部3Aの下流側には、ワイヤ送り部3Aから送り出されるワイヤWをガイドする第2のワイヤガイド4A
2を備える。
【0017】
マガジン2Aは、長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収納される。本実施の形態の鉄筋結束機1Aは、2本のワイヤWで鉄筋Sを結束できるようにするため、リール20には2本のワイヤWが繰り出し可能に巻かれる。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤ等が使用される。
【0018】
図3及び
図4は、ワイヤ送り部の一例を示す構成図であり、次に、ワイヤ送り部3Aの構成について説明する。ワイヤ送り部3Aは、並列された2本のワイヤWを挟持して送る一対の送り部材として、回転動作でワイヤWを送る第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rを備える。
【0019】
第1の送りギア30Lは、駆動力の伝達を行う歯部31Lを備える。歯部31Lは、本例では平歯車を構成する形状で、第1の送りギア30Lの外周の全周に形成される。また、第1の送りギア30Lは、ワイヤWが入る溝部32Lを備える。溝部32Lは、本例では断面形状が略V字形状の凹部で構成され、第1の送りギア30Lの外周の全周に、円周方向に沿って形成される。
【0020】
第2の送りギア30Rは、駆動力の伝達を行う歯部31Rを備える。歯部31Rは、本例では平歯車を構成する形状で、第2の送りギア30Rの外周の全周に形成される。また、第2の送りギア30Rは、ワイヤWが入る溝部32Rを備える。溝部32Rは、本例では断面形状が略V字形状の凹部で構成され、第2の送りギア30Rの外周の全周に、円周方向に沿って形成される。
【0021】
ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lの溝部32Lと第2の送りギア30Rの溝部32Rを対向させて、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rが、ワイヤWの送り経路を挟んで設けられる。
【0022】
ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWを挟持するため、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rが互いに近づくに押圧される。これにより、ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lの溝部32Lと第2の送りギア30Rの溝部32Rとの間にワイヤWを挟持する。
【0023】
また、ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lの溝部32Lと第2の送りギア30Rの溝部32Rとの間にワイヤWを挟持した状態で、第1の送りギア30Lの歯部31Lと第2の送りギア30Rの歯部31Rが噛み合う。これにより、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間で回転による駆動力が伝達される。第1の送りギア30Lの歯部31Lと第2の送りギア30Rの歯部31Rは、送り部材間駆動力伝達部の一例である。
【0024】
ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの一方、本例では第1の送りギア30Lを駆動するワイヤ送り駆動部の一例である送りモータ33と、送りモータ33の駆動力を第1の送りギア30Lに伝達する駆動力伝達機構34を備える。
【0025】
駆動力伝達機構34は、送りモータ33の軸に取り付けられた小ギア33aと、小ギア33aとかみ合う大ギア33bを備える。また、駆動力伝達機構34は、大ギア33bから駆動力が伝達され、第1の送りギア30Lとかみ合う送り小ギア34aを備える。小ギア33a、大ギア33b及び送り小ギア34aは、それぞれ平歯車で構成される。
【0026】
第1の送りギア30Lは、送りモータ33の回転動作が駆動力伝達機構34を介して伝達されて回転する。第2の送りギア30Rは、第1の送りギア30Lの回転動作が歯部31Lと歯部31Rとの噛み合いにより伝達され、第1の送りギア30Lに従動して回転する。
【0027】
これにより、ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に挟持したワイヤWを、ワイヤWの延在方向に沿って送る。2本のワイヤWを送る構成では、第1の送りギア30Lの溝部32Lと一方のワイヤWとの間に生じる摩擦力、第2の送りギア30Rの溝部32Rと他方のワイヤWとの間に生じる摩擦力、及び、一方のワイヤWと他方のワイヤWとの間に生じる摩擦力により、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。
【0028】
ワイヤ送り部3Aは、送りモータ33の回転方向の正逆を切り替えることで、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの回転方向が切り替えられ、ワイヤWの送り方向の正逆が切り替えられる。
【0029】
図5及び
図6は、本実施の形態ワイヤ送り部の詳細を示す構成図であり、次に、ワイヤWの装填を容易かつ確実に行えるようにするため、ワイヤWと送りモータ33との間で第1の送りギア30Lを介した駆動力の伝達の有無を切り替える構成の一例について説明する。
【0030】
ワイヤ送り部3Aでは、送りモータ33から第1の送りギア30Lへの駆動力の伝達の有無を切り替えることで、ワイヤWと送りモータ33との間で第1の送りギア30Lを介した駆動力の伝達の有無を切り替える。
【0031】
そこで、駆動力伝達機構34は、第1の送りギア30Lを介してワイヤWに作用する送りモータ33の負荷を軽減し、又は取り除くクラッチ35を備える。クラッチ35は負荷軽減部の一例で、大ギア33bに連動して送り小ギア34aが回転する駆動力伝達状態と、大ギア33bに対して送り小ギア34aが自在に回転する駆動力切断状態を切り替える。
【0032】
クラッチ35は、このような機能を実現するため、本例では、大ギア33bの軸に取り付けられる連結部35aと、送り小ギア34aの送りギア軸34bに取り付けられる被連結部35bを備える。連結部35aは、大ギア33bの軸を中心とした回転動作で、大ギア33bと一体に回転する。また、被連結部35bは、送り小ギア34aの送りギア軸34bを中心とした回転動作で、送り小ギア34aと一体に回転する。
【0033】
連結部35aは、大ギア33bと同軸上に配置される。また、被連結部35bは、送り小ギア34aと同軸上に配置される。送り小ギア34aと大ギア33bは、送り小ギア34aの送りギア軸34bが、大ギア33bの図示しない軸とはつながっていない状態で、同軸上に配置される。これにより、連結部35aと被連結部35bは、大ギア33b及び送りギア軸34bと同軸上に配置され、連結部35aと被連結部35bが互いの軸方向に対向する。
【0034】
連結部35aは、被連結部35bと対向する面に、被連結部35b方向に突出する連結凸部35a1を備える。また、被連結部35bは、連結部35aと対向する面に、連結部35a方向に突出する被連結凸部35b1を備える。
【0035】
連結凸部35a1は、連結部35aの回転動作の中心から所定の距離離れた位置に設けられ、連結部35aの回転動作で、連結部35aの回転動作の中心から所定の距離離れた軌跡を通る。連結凸部35a1は、円周方向の幅Eaが、連結部35aの円周方向の全周の長さより狭く構成される。
【0036】
被連結凸部35b1は、被連結部35bの回転動作の中心から所定の距離離れた位置に設けられ、連結部35aの回転による連結凸部35a1の軌跡上に位置する。被連結凸部35b1は、円周方向の幅Ebが、被連結部35bの円周方向の全周の長さより狭く構成される。
【0037】
これにより、クラッチ35は、連結部35aの連結凸部35a1の幅Eaと、被連結部35bの被連結凸部35b1の幅Ebに応じて、相対的な空転領域Ecが設定される。連結部35aの回転が停止している状態では、被連結部35bが空転領域Wcでは自在に回転可能であり、被連結部35bの回転が停止している状態では、連結部35aが空転領域Wcでは自在に回転可能である。そして、連結部35aの連結凸部35a1と、被連結部35bの被連結凸部35b1は、連結部35aと被連結部35bの相対的な回転で、円周方向に沿った側面同士が接触、あるいは離間する。なお、被連結部35bが自在に回転可能な状態では、ギア軸34bと、ギア軸34bを支持する部位での摩擦、送り小ギア34aと第2の送りギア30Lとの噛み合いによる摩擦等、各部で発生する摩擦等に応じた負荷は生じる。このため、クラッチ35を備えることで、第1の送りギア30Lを介してワイヤWに作用する送りモータ33の負荷が軽減される。なお、摩擦等による負荷は、送りモータ33を回転させようとする負荷に比べれば十部に小さく、クラッチ35を備えることで、負荷が取り除かれるともいえる。
【0038】
クラッチ35は、上述した構成により、送りモータ33の駆動力を第1の送りギア30Lに伝達すると共に、送りモータ33の駆動を停止させた状態で、第1の送りギア30Lを所定量自在に回転可能とする。
【0039】
すなわち、送りモータ33が駆動されることで、小ギア33a及び大ギア33bにより駆動力が連結部35aに伝達され、連結部35aが回転する。連結部35aが回転すると、連結部35aの連結凸部35a1が被連結部35bの被連結凸部35b1の一方の側面に接し、被連結凸部35b1を円周方向に押す。
【0040】
これにより、被連結部35bが連結部35aと一体的に回転する。被連結部35bが回転することで、送り小ギア34aが回転し、送り小ギア34aとかみ合う第1の送りギア30Lが回転する。
【0041】
これに対し、送りモータ33の駆動を停止させた状態で、手動によるワイヤWの送りにより、第1の送りギア30Lを回転させる力が加わると、第1の送りギア30Lとかみ合う送り小ギア34aを回転させる力が加わる。送り小ギア34aを回転させる力が加わると、被連結部35bの被連結凸部35b1が連結部35aの連結凸部35a1の一方の側面から離れる。これにより、第1の送りギア30Lが空転領域Ecの範囲で自在に回転可能である。つまり、クラッチ35の構成において、送りモータ33から駆動力が伝達される大ギア33bの伝達軸側に設けてある連結部35aは、第1の送りギア30L側の送りギア軸34bに対して空転可能であり、送りギア軸34bに取り付けられた被連結部35bと、接触または離間する構成となっている。そして、連結部35aと被連結部35bとの間における空転可能な空転領域Ecは、相対的に回転する状態で、連結部35aと被連結部35bとの一方の側面が接触した位置から離間し所定回転して他方の側面が接触するまでの回転量で設定されている。
【0042】
次に、ワイヤWの装填を容易かつ確実に行えるようにするため、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rを離間させる構成について説明する。ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWを挟持すると共に、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWを装填できるようにするため、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rが互いに離接する方向に変位可能に構成される。本例では、送りモータ33の駆動力を第1の送りギア30Lから受け、送りモータ33の駆動力が直接伝達されない第2の送りギア30Rを、第1の送りギア30Lに対して変位させる。
【0043】
そこで、ワイヤ送り部3Aは、第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lに対して接近及び離間させる方向に変位させる第1の変位部材36を備える。また、第1の変位部材36を変位させる第2の変位部材37を備える。
【0044】
第1の変位部材36は支持部の一例で、一方の端部側に第2の送りギア30Rが軸300Rにより回転可能に支持される。また、第1の変位部材36は、ワイヤ送り部3Aの支持部材301に、他方の端部が軸36aを支点として回転可能に支持される。
【0045】
第1の変位部材36は、回転動作の支点となる軸36aが、第2の送りギア30Rの軸300Rと平行な向きである。これにより、第1の変位部材36は、軸36aを支点とした回転動作により矢印V1、V2で示す方向に変位し、第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lに対して離接させる。
【0046】
第1の変位部材36は、第2の変位部材37から押圧される被押圧部36bを一方の端部側に備える。被押圧部36bは、第2の送りギア30Rの軸300Rを支持する部位の側方に設けられる。
【0047】
第2の変位部材37は、ワイヤ送り部3Aの支持部材301に、軸37aを支点として回転可能に支持される。また、第2の変位部材37は、軸37aを挟んだ一方の端部側に、第1の変位部材36の被押圧部36bを押圧する押圧部37bを備える。更に、第2の変位部材37は、軸37aを挟んだ他方の端部側に、図示しない操作ボタンに押圧される被押圧部37cを備える。
【0048】
第2の変位部材37は、軸37aを支点とした回転動作により矢印W1、W2で示す方向に変位し、押圧部37bが第1の変位部材36の被押圧部36bを押圧、及び、押圧部37bによる被押圧部36bの押圧を解除する。
【0049】
ワイヤ送り部3Aは、第2の送りギア30Rを第1の送りギア30Lに押圧するバネ38を備える。バネ38は、例えば圧縮コイルバネで構成され、第2の変位部材37の軸37aを挟んだ他方の端部側を押圧する。
【0050】
第2の変位部材37は、バネ38による押圧により、軸37aを支点とした回転動作で矢印W1方向に変位し、押圧部37bが第1の変位部材36の被押圧部36bを押圧する。第2の変位部材37の押圧部37bが第1の変位部材36の被押圧部36bを押圧すると、第1の変位部材36は、軸36aを支点とした回転動作で矢印V1方向に変位する。これにより、第2の送りギア30Rは、バネ38の力で第1の送りギア30L方向に押圧される。
【0051】
第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWが装填されている場合、第1の送りギア30Lの溝部32Lと第2の送りギア30Rの溝部32Rとの間にワイヤWが挟持される。
【0052】
また、第1の送りギア30Lの溝部32Lと第2の送りギア30Rの溝部32Rとの間にワイヤWを挟持した状態で、第1の送りギア30Lの歯部31Lと第2の送りギア30Rの歯部31Rが噛み合う。
【0053】
これに対し、第2の変位部材37は、被押圧部37cが押圧されてバネ38を圧縮させる方向の力を受けると、軸37aを支点とした回転動作で、押圧部37bが第1の変位部材36の被押圧部36bから離れる矢印W2方向に変位する。
【0054】
第2の変位部材37の押圧部37bが第1の変位部材36の被押圧部36bから離れる矢印W2方向に変位すると、第1の変位部材36は、軸36aを支点とした回転動作で、矢印V2方向に変位可能になる。これにより、第2の送りギア30Rは、第1の送りギア30Lから離間する方向に自在に変位可能となる。
【0055】
なお、ワイヤ送り部3Aは、図示しないが、第2の変位部材37の被押圧部37cを押圧する操作ボタンと、操作ボタンのロック及びロックの解除を行う解除レバーを備え、バネ38を圧縮させた方向に変位した第2の変位部材37を保持可能に構成される。
【0056】
次に、ワイヤWの送りをガイドするワイヤガイドについて説明する。
図2に示すように、第1のワイヤガイド4A
1は、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対し、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの上流側に配置される。また、第2のワイヤガイド4A
2は、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対し、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの下流側に配置される。
【0057】
第1のワイヤガイド4A
1及び第2のワイヤガイド4A
2は、ワイヤWが通るガイド穴40Aを備える。ガイド穴40Aは、ワイヤWの径方向の位置を規制する形状を有する。2本のワイヤWを送る構成では、第1のワイヤガイド4A
1及び第2のワイヤガイド4A
2は、2本のワイヤWを並列させて通る形状のガイド穴40Aが形成される。
【0058】
第1のワイヤガイド4A
1及び第2のワイヤガイド4A
2は、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間を通るワイヤWの送り経路L上にガイド穴40Aが設けられる。第1のワイヤガイド4A
1は、ガイド穴40Aを通るワイヤWを、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間の送り経路Lに誘導する。
【0059】
第1のワイヤガイド4A
1及び第2のワイヤガイド4A
2は、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対してガイド穴40Aの上流側であるワイヤ導入部は、下流側に比べて開口面積が大きくした円錐形状または角錐形状等のテーパ状となっている。これにより、第1のワイヤガイド4A
1及び第2のワイヤガイド4A
2に対するワイヤWの導入が容易になる。
【0060】
次に、ワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回すワイヤWの送り経路を構成するカールガイド部5Aについて説明する。カールガイド部5Aは、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWに巻き癖をつけるカールガイド50と、カールガイド50から送り出されたワイヤWを結束部7Aに誘導する誘導ガイド51を備える。
【0061】
カールガイド50は、ワイヤWの送り経路を構成するガイド溝52と、ガイド溝52との協働でワイヤWに巻き癖をつけるガイド部材としての第1のガイドピン53a及び第2のガイドピン53bを備える。
【0062】
第1のガイドピン53aは、カールガイドにおいて第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWの導入部側に設けられ、ガイド溝52によるワイヤWの送り経路に対して、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の内側に配置される。第1のガイドピン53aは、ガイド溝52に沿って送られるワイヤWが、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の内側に入り込まないように、ワイヤWの送り経路を規制する。
【0063】
第2のガイドピン53bは、カールガイド50において第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWの排出部側に設けられ、ガイド溝52によるワイヤWの送り経路に対して、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側に配置される。
【0064】
カールガイド部5Aは、第1のガイドピン53aを退避させる退避機構53を備える。退避機構53は、ワイヤWが鉄筋Sに巻き回された後、結束部7Aの動作と連動して変位し、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けるタイミングの前に、第1のガイドピン53aをワイヤWが移動する経路から退避させる。
【0065】
誘導ガイド51は、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの径方向の位置を規制する第1のガイド部54と、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った位置を規制する第2のガイド部55を備える。
【0066】
第1のガイド部54は、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側に、ワイヤWの送り方向に沿って延在する面による壁面54aが設けられる。第1のガイド部54は、鉄筋SにワイヤWが巻き回されるときに、壁面54aで、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの径方向の位置を規制する。
【0067】
第2のガイド部55は、ワイヤWの導入側に設けられ、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った両側に、ループRuの径方向の内側に向けて壁面54aから立ち上がる面による壁面55aが設けられる。第2のガイド部55は、鉄筋SにワイヤWが巻き回されるときに、壁面55aで、鉄筋Sに巻き回されるワイヤWにより形成されるループRuの軸方向Ru1に沿った位置を規制する。
【0068】
これにより、カールガイド50から送り出されたワイヤWは、鉄筋Sに巻き回されるループRuの軸方向Ru1の位置が第2のガイド部55の壁面55aで規制され、第2のガイド部55で第1のガイド部54に誘導される。
【0069】
誘導ガイド51は、本例では、第1のガイド部54が鉄筋結束機1Aの本体部10Aに固定され、第2のガイド部55が、軸55bを支点として回転可能な状態で第1のガイド部54に支持される。第2のガイド部55は、カールガイド50から送り出されたワイヤWが入る導入側が、カールガイド50に対して離接する方向に開閉可能に構成される。これにより、鉄筋SをワイヤWで結束した後、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sから抜く動作で第2のガイド部55を退避させて、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sから抜く動作を容易にしている。
【0070】
次に、ワイヤWに巻き癖を付ける構成について説明する。第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWは、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側の2点と、この2点の間の内側の1点の少なくとも3点で、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の位置が規制されることで、ワイヤWに巻き癖が付けられる。
【0071】
本例では、正方向に送らされるワイヤWの送り方向に対し、第1のガイドピン53aの上流側に設けられる第2のワイヤガイド4A
2と、第1のガイドピン53aの下流側に設けられる第2のガイドピン53bの2点で、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側の位置が規制される。また、第1のガイドピン53aで、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の内側の位置が規制される。
【0072】
次に、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWを切断する切断部6Aについて説明する。切断部6Aは、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する可動刃部61と、結束部7Aの動作を可動刃部61に伝達する伝達機構62を備える。固定刃部60は、ワイヤWが通る開口60aを備え、開口60aにワイヤWを切断可能なエッジ部を設けて構成される。
【0073】
固定刃部60は、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対して第2のワイヤガイド4A
2の下流側に設けられ、開口60aが第3のワイヤガイドを構成する。
【0074】
可動刃部61は、固定刃部60を支点とした回転動作で、固定刃部60の開口60aを通るワイヤWを切断する。伝達機構62は、結束部7Aの動作と連動して変位し、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けた後、ワイヤWを捩じるタイミングに合わせて可動刃部61を回転させ、ワイヤWを切断する。
【0075】
図7及び
図8は、結束部の一例を示す構成図で、次に、ワイヤWで鉄筋Sを結束する結束部7Aについて説明する。
【0076】
結束部7Aは、ワイヤWを把持する把持部70と、ワイヤWの一方の端部WS側と他方の端部WE側を、鉄筋S側へ曲げる折り曲げ部71を備える。
【0077】
把持部70は、固定把持部材70Cと、第1の可動把持部材70Lと、第2の可動把持部材70Rを備える。第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rは、固定把持部材70Cを介して左右方向に配置される。具体的には、第1の可動把持部材70Lは、固定把持部材70Cに対し、巻き回されるワイヤWの軸方向に沿った一方の側に配置され、第2の可動把持部材70Rは、他方の側に配置される。
【0078】
第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cは、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cの先端側の間にワイヤWが通る。また、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cは、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cの先端側の間にワイヤWが通る。
【0079】
固定把持部材70Cは、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rを回転可能に支持する軸76を備える。固定把持部材70Cは、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rの後端側を軸76で支持する。これにより、第1の可動把持部材70Lは、軸76を支点とした回転動作で、先端側が固定把持部材70Cに対して離接する方向に開閉する。また、第2の可動把持部材70Rは、軸76を支点とした回転動作で、先端側が固定把持部材70Cに対して離接する方向に開閉する。
【0080】
折り曲げ部71は、把持部70の周囲を覆う形状を有し、結束部7Aの軸方向に沿って移動可能に設けられる。折り曲げ部71は、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rを開閉する開閉ピン71aを備える。第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rは、開閉ピン71aの動作で第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rを開閉する開閉ガイド孔77を備える。
【0081】
開閉ピン71aは、折り曲げ部71の内部を貫通して、折り曲げ部71の移動方向に直交する。開閉ピン71aは、折り曲げ部71に固定されており、折り曲げ部71の移動に連動して移動する。
【0082】
開閉ガイド孔77は、開閉ピン71aの移動方向に沿って延在し、開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸76を支点とした第2の可動把持部材70Rの回転による開閉動作に変換する開閉部78を備える。開閉ガイド孔77は、折り曲げ部71の移動方向に沿って第1の待機距離延在する第1の待機部770と、折り曲げ部71の移動方向に沿って第2の待機距離延在する第2の待機部771を備える。開閉部78は、第1の待機部770の一の端部から斜め外側方向に屈曲して延在し、第2の待機部771と繋がる。なお、
図7(a)、
図7(b)では、第2の可動把持部材70Rに設けられた開閉ガイド孔77を図示しているが、第1の可動把持部材70Lにも左右対称の形状で同様な開閉ガイド孔77が設けられる。
【0083】
把持部70は、
図7(a)に示すように、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cから離れる方向に移動していることで、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cとの間にワイヤWが通る送り経路が形成される。
【0084】
第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWは、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通り、カールガイド部5Aに誘導される。カールガイド部5Aで巻き癖が付けられたワイヤWは、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間を通る。
【0085】
鉄筋結束機1Aにおいて、
図1に示すカールガイド部5Aが設けられている側を前側とした場合に、折り曲げ部71が、
図8に矢印Fで示す前方向に移動することで、開閉ピン71aが開閉ガイド孔77の開閉部78を押すと、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rは、軸76を支点とした回転動作で、固定把持部材70Cに近づく方向に移動する。
【0086】
図7(b)に示すように、第1の可動把持部材70Lが固定把持部材70Cに近づく方向に移動することで、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間にワイヤWが把持される。また、第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cに近づく方向に移動することで、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cとの間でワイヤWが通る部位には、ワイヤWを送ることが可能な間隔が形成される。
【0087】
折り曲げ部71は、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間に把持されたワイヤWの一方の端部WS側を押す曲げ部71b1を備える。また、折り曲げ部71は、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cとの間に把持されたワイヤWの他方の端部WE側を押す曲げ部71b2を備える。
【0088】
折り曲げ部71は、矢印Fで示す前方向に移動することで、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで把持されたワイヤWの一方の端部WS側を曲げ部71b1で押して、鉄筋S側へ曲げる。また、折り曲げ部71は、矢印Fで示す前方向に移動することで、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間通されたワイヤWの他方の端部WE側を曲げ部71b1で押して、鉄筋S側へ曲げる。
【0089】
結束部7Aは、
図2に示すように、ワイヤWの一方の端部WSの位置を規制する長さ規制部74を備える。長さ規制部74は、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間を通過したワイヤWの送り経路に、ワイヤWの一方の端部WSが突き当てられる部材を設けて構成される。
【0090】
更に、結束部7Aは、回転軸82と、回転軸82の回転動作で変位する被動作部材である可動部材83と、回転軸82の回転動作と連動した可動部材83の回転を規制する回転規制部材84を備える。また、鉄筋結束機1Aは、結束部7Aを駆動する駆動部8Aを備える。駆動部8Aは、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。回転軸82は、減速機81を介してモータ80に駆動される。
【0091】
回転軸82と可動部材83は、回転軸82に設けたネジ部と、可動部材83に設けたナット部により、回転軸82の回転動作が、可動部材83の回転軸82に沿った前後方向への移動に変換される。結束部7Aは、折り曲げ部71が可動部材83と一体に設けられ、可動部材83の前後方向への移動で、折り曲げ部71が前後方向に移動する。
【0092】
可動部材83及び折り曲げ部71と、折り曲げ部71に支持された把持部70は、把持部70でワイヤWを把持及び折り曲げ部71でワイヤWを折り曲げる動作域では、回転規制部材84に係止されることで、回転規制部材84により回転動作が規制された状態で前後方向に移動する。また、可動部材83及び折り曲げ部71と把持部70は、回転規制部材84の係止から抜けることで、回転軸82の回転動作で回転する。
【0093】
把持部70は、可動部材83及び折り曲げ部71の回転と連動して、ワイヤWを把持した固定把持部材70C、第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rが回転する。
【0094】
上述した第1のガイドピン53aの退避機構53は、可動部材83の前後方向への移動を第1のガイドピン53aの変位に変換するリンク機構で構成される。また、可動刃部61の伝達機構62は、可動部材83の前後方向への移動を可動刃部61の回転動作に変換するリンク機構で構成される。
【0095】
次に、鉄筋結束機1Aの操作部について説明する。鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態であり、本体部10Aとハンドル部11Aを備える。ハンドル部11Aには前側にトリガ12Aが設けられ、トリガ12Aの操作で押されるスイッチ13Aの状態に応じて、制御部14Aが送りモータ33とモータ80を制御する。また、ハンドル部11Aの下部にバッテリ15Aが着脱可能に取り付けられる。
【0096】
<本実施の形態の鉄筋結束機の動作例>
図9は、ワイヤを装填する動作の一例を示す動作説明図で、次に、各図を参照して、本実施の形態の鉄筋結束機1AにワイヤWを装填する動作について説明する。
【0097】
第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWを装填する動作では、図示しない操作ボタンの操作で、
図5に示す第2の変位部材37の被押圧部37cを、バネ38を圧縮させる方向に押す。第2の変位部材37は、バネ38を圧縮させる方向に押す方向の力を受けると、軸37aを支点とした回転動作で、押圧部37bが第1の変位部材36の被押圧部36bから離れる矢印W2方向に変位する。
【0098】
第2の変位部材37の押圧部37bが第1の変位部材36の被押圧部36bから離れる矢印W2方向に変位すると、第1の変位部材36は、軸36aを支点とした回転動作で、矢印V2方向に変位可能になる。これにより、第2の送りギア30Rは、第1の送りギア30Lから離間する方向に自在に変位可能となる。
【0099】
バネ38を圧縮させる方向に第2の変位部材37を押した状態として、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWが挿入されると、第2の送りギア30RがワイヤWに押されて、
図9に示すように、第1の送りギア30Lから離間する方向に変位し、ワイヤWの送り経路Lから退避する。
【0100】
また、第2の送りギア30Rが第1の送りギア30Lから離間する方向に変位することで、第1の送りギア30Lの歯部31Lと第2の送りギア30Rの歯部31Rとの噛み合いが外れる。これにより、第2の送りギア30Rは、自在に回転可能となる。
【0101】
ワイヤガイド4A
1は、ワイヤWを第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間を通る送り経路Lへガイドする。また、第1の送りギア30Lは、ワイヤWの送り経路Lから退避しない。これにより、ワイヤガイド4A
1を通して第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に装填されるワイヤWは、第1の送りギア30Lと接する。
【0102】
送りモータ33の駆動を停止させた状態で、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWが挿入されると、手動によるワイヤWの送りにより、ワイヤWが接する第1の送りギア30Lを回転させる力が加わる。
【0103】
送りモータ33の駆動を停止させた状態で、第1の送りギア30Lを回転させる力が加わると、第1の送りギア30Lとかみ合う送り小ギア34aを回転させる力が加わる。送り小ギア34aを回転させる力が加わると、被連結部35bの被連結凸部35b1が連結部35aの連結凸部35a1の側面から離れることで、第1の送りギア30Lが自在に回転可能となる。
【0104】
これにより、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの間にワイヤWを装填する動作で、ワイヤWと接する第1の送りギア30Lがクラッチ35の機能で自在に回転可能であるので、第1の送りギア30LがワイヤWの装填の妨げになることはない。また、第2の送りギア30Rは、第1の送りギア30Lから離間することで自在に回転可能である。従って、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rの両方が自在に回転可能であるので、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間の所定の位置までワイヤWを確実に装填できる。
【0105】
第1の送りギア30Lは、上述したクラッチ35の機能により、連結部35a及び被連結部35bの空転領域Ecの範囲で自在に回転可能である。第1の送りギア30Lの空転領域Ecによる回転可能量は、ワイヤWの先端が、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間の挟持位置に到達してから、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間でワイヤWを挟持可能な位置に到達するまで、第1の送りギア30Lが回転可能となるように設定される。
【0106】
第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWを装填した後、バネ38を圧縮させる方向への第2の変位部材37の押圧が解除されると、第2の変位部材37は、バネ38による押圧により、軸37aを支点とした回転動作で矢印W1方向に変位し、押圧部37bが第1の変位部材36の被押圧部36bを押圧する。
【0107】
第2の変位部材37の押圧部37bが第1の変位部材36の被押圧部36bを押圧すると、第1の変位部材36は、軸36aを支点とした回転動作で矢印V1方向に変位する。これにより、第2の送りギア30Rは、バネ38の力で第1の送りギア30L方向に押圧される。
【0108】
これにより、第1の送りギア30Lの溝部32Lと第2の送りギア30Rの溝部32Rとの間にワイヤWが挟持される。また、第1の送りギア30Lの溝部32Lと第2の送りギア30Rの溝部32Rとの間にワイヤWを挟持した状態で、第1の送りギア30Lの歯部31Lと第2の送りギア30Rの歯部31Rが噛み合う。
【0109】
2本のワイヤWを並列させて、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に装填する動作では、ワイヤガイド4A
1によるガイドにより、一方のワイヤWが第1の送りギア30Lと接し、他方のワイヤWが第2の送りギア30Rと接する。
【0110】
第1の送りギア30Lから離間した第2の送りギア30Rが自在に回転可能であるのに対し、第1の送りギア30Lが自在に回転できない構成では、第2の送りギア30Rと接する他方のワイヤWは、所定の位置まで装填可能であるのに対し、第1の送りギア30Lと接する一方のワイヤWは、第1の送りギア30Lが送りの抵抗となって、所定の位置まで装填できない可能性がある。よって、1本しかワイヤWの送りができない可能性がある。
【0111】
これに対し、一方のワイヤWが接する第1の送りギア30Lが、上述したクラッチ35の機能により、ワイヤWの送りに従動して回転可能であるので、第1の送りギア30Lが手動によるワイヤWの送りの抵抗になることはない。これにより、2本のワイヤWを並列させた状態で、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間で挟持可能、かつ、送り可能な所定の位置に、確実に装填することができる。
【0112】
図10は、ワイヤを把持して捩じる動作の一例の詳細を示す動作説明図で、次に、各図を参照して、本実施の形態の鉄筋結束機1Aにより鉄筋Sを2本のワイヤWで結束する動作について説明する。
【0113】
鉄筋結束機1Aは、上述した装填動作でワイヤWが第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に挟持され、このワイヤWの先端が、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの挟持位置から、切断部6Aの固定刃部60との間に位置した状態が待機状態となる。また、鉄筋結束機1Aは、待機状態では、
図7(a)に示すように、第1の可動把持部材70Lが固定把持部材70Cに対して開き、第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cに対して開いた状態である。
【0114】
鉄筋Sがカールガイド部5Aのカールガイド50と誘導ガイド51の間に入れられ、トリガ12Aが操作されると、送りモータ33が正回転方向に駆動され、送りモータ33の駆動力がクラッチ35を介して第1の送りギア30Lに伝達されて、第1の送りギア30Lが正転すると共に、第1の送りギア30Lに従動して第2の送りギア30Rが正転する。これにより、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に挟持された2本のワイヤWが正方向に送られる。
【0115】
正方向に送られるワイヤWの送り方向に対し、ワイヤ送り部3Aの上流側に第1のワイヤガイド4A
1が設けられ、下流側に第2のワイヤガイド4A
2が設けられることで、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。
【0116】
ワイヤWが正方向に送られると、ワイヤWは固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rの間を通り、カールガイド部5Aのカールガイド50のガイド溝52を通過する。これにより、ワイヤWは、第2のワイヤガイド4A
2と、カールガイド50の第1のガイドピン53a及び第2のガイドピン53bの3点で、鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
【0117】
カールガイド50から送り出されたワイヤWは、誘導ガイド51で固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lの間に誘導される。そして、ワイヤWの先端が長さ規制部74に突き当てられる位置まで送られると、送りモータ33の駆動が停止される。これにより、ワイヤWが、
図10(a)に示すように、鉄筋Sの周囲にループ状に巻き回される。
【0118】
ワイヤWの送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動されることで、モータ80は、可動部材83を前方向である矢印F方向に移動させる。すなわち、可動部材83は、モータ80の回転に連動した回転動作が、回転規制部材84により規制されて、モータ80の回転が直線移動に変換される。これにより、可動部材83は前方向に移動する。
【0119】
可動部材83が前方向に移動する動作に連動して、可動部材83と一体に折り曲げ部71が回転せずに前方向に移動する。折り曲げ部71が前方向に移動すると、
図7(b)に示すように、開閉ピン71aが開閉ガイド孔77の開閉部78を通過する。
【0120】
これにより、第1の可動把持部材70Lは、軸76を支点とした回転動作で、固定把持部材70Cに近づく方向に移動する。よって、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cの間に、ワイヤWの一方の端部WS側が把持される。また、第2の可動把持部材70Rは、軸76を支点とした回転動作で、固定把持部材70Cに近づく方向に移動する。よって、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cの間でワイヤWが通る部位には、ワイヤWを送ることが可能な間隔が形成される。
【0121】
更に、可動部材83が前方向に移動すると、可動部材83の動作が退避機構53に伝達され、第1のガイドピン53aが退避する。
【0122】
第1の可動把持部材70L及び第2の可動把持部材70Rの開閉動作でワイヤWを把持する位置まで可動部材83を前進させた後、モータ80の回転を一時停止し、送りモータ33を逆回転方向に駆動する。
送りモータ33が逆回転すると、クラッチ35の連結部35aは、連結凸部35a1が被連結部35bの被連結凸部35b1から離れ、空転領域Ecで空転した後、連結凸部35a1が被連結凸部35b1と接して、再度駆動力が伝達される。これにより、第1の送りギア30Lが逆転すると共に、第1の送りギア30Lに従動して第2の送りギア30Rが逆転する。
【0123】
よって、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に挟持されたワイヤWが逆方向に送られる。ワイヤWを逆方向に送る動作で、
図10(b)に示すように、ワイヤWは鉄筋Sに密着されるようにして巻き付けられる。ワイヤWの送りの逆転でワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける動作では、上述したクラッチ35における空転領域Ecを考慮して、送りモータ33の回転量が決定される。なお、ワイヤWを正方向に搬送して鉄筋Sに巻き回す動作、ワイヤWを逆方向に搬送して鉄筋Sに巻き付ける動作では、予め決められた所定量ワイヤWを送るため、空転領域Ecに応じて送りモータ33の回転量が設定されていても良い。これに対し、送りモータ33を駆動する電流の変化から、送りモータ33を停止させるタイミングを判断しても良い。
【0124】
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて、送りモータ33の逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、可動部材83を前方向に移動させる。可動部材83が前方向に移動する動作が伝達機構62で切断部6Aに伝達されることで可動刃部61が回転し、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cで把持されたワイヤWの他方の端部WE側が、固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。
【0125】
本例のように2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する場合、従来のように1本のワイヤで鉄筋Sを結束する場合と同等の結束強度を得るのであれば、ワイヤWの直径を従来より細くすることができる。このため、ワイヤWを曲げやすく、小さい力でワイヤWを鉄筋Sに密着させることができる。従って、小さい力でワイヤWを確実に鉄筋Sに巻き付けることができる。また、ワイヤWの切断時の負荷低減を図ることができる。これに伴い、鉄筋結束機1Aの各モータの小型化、機構部位の小型化による本体部全体の小型化が可能である。また、モータの小型化、負荷の低減により消費電力の低減が可能である。
【0126】
ワイヤWを切断した後、可動部材83を更に前方向に移動させることで、
図10(c)に示すように、可動部材83と一体で折り曲げ部71が前方向に移動する。折り曲げ部71が、矢印Fで示す前方向である鉄筋Sに接近する方向へ移動することで、固定把持部材70Cと第1の可動把持部材70Lで把持されたワイヤWの一方の端部WS側を、曲げ部71b1で鉄筋S側へ押圧して、把持位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。折り曲げ部71が更に前方向に移動することで、第1の可動把持部材70Lと固定把持部材70Cとの間に、ワイヤWの一方の端部WS側が把持された状態で保持される。
【0127】
また、折り曲げ部71が、矢印Fで示す前方向である鉄筋Sに接近する方向へ移動することで、固定把持部材70Cと第2の可動把持部材70Rで把持されたワイヤWの他方の端部WE側を、曲げ部71b2で鉄筋S側へ押圧して、把持位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。折り曲げ部71が更に前方向に移動することで、第2の可動把持部材70Rと固定把持部材70Cとの間に、ワイヤWが支持される。
【0128】
ワイヤWの端部を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、モータ80は、可動部材83を更に前方向である矢印F方向に移動させる。可動部材83が矢印F方向の所定の位置まで移動することで、可動部材83は回転規制部材84の係止から抜け、可動部材83の回転規制部材84による回転の規制が解除される。
【0129】
これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、ワイヤWを把持している把持部70が折り曲げ部71と一体に回転し、
図10(d)に示すように、ワイヤWを捩じる。
【0130】
ワイヤWを捩じった後、モータ80が逆回転方向に駆動されることで、モータ80は、可動部材83を矢印Rで示す後方向に移動させる。すなわち、可動部材83は、モータ80の回転に連動した回転動作が、回転規制部材84により規制されて、モータ80の回転が直線移動に変換される。
【0131】
これにより、可動部材83が後方向に移動する。可動部材83が後方向に移動する動作に連動して、第1の可動把持部材70Lと第2の可動把持部材70Rが固定把持部材70Cから離れる方向に変位し、把持部70はワイヤWを離す。
【0132】
<本実施の形態の鉄筋結束機の変形例>
図11及び
図12は、他の実施の形態のワイヤ送り部の詳細を示す構成図であり、次に、ワイヤWの装填を容易かつ確実に行い、ワイヤWの送りができるようにするため、第1の送りギア30Lを介してワイヤWに作用する送りモータ33の負荷を軽減し、又は取り除く構成の他の実施の形態について説明する。なお、
図11及び
図12では、
図3〜
図6で説明したワイヤ送り部3Aと同等の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0133】
他の実施の形態のワイヤ送り部3Bでは、送りモータ33から駆動力が伝達される第1の送りギア30Lを第2の送りギア30Rから離間させることで、第1の送りギア30Lを介してワイヤWに作用する送りモータ33の負荷を軽減し、又は取り除く。
【0134】
そこで、ワイヤ送り部3Bは、第1の送りギア30Lを第2の送りギア30Rに対して接近及び離間させる方向に変位させる変位部材39を備える。変位部材39は負荷軽減部の一例で、送り小ギア34aの送りギア軸34bと同軸の軸39aを支点に回転可能に支持される。変位部材39は、軸39aを挟んで一方の端部側に、第1の送りギア30Lの軸300Lを支持する。また、変位部材39は、軸39aを挟んで他方の端部側に被押圧部39bを備える。
【0135】
変位部材39は、
図11に示すように、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWを挟持し、かつ、第1の送りギア30Lの歯部31Lと第2の送りギア30Rの歯部31Rがかみ合う位置から、
図12に示すように、第1の送りギア30Lが第2の送りギア30Rから離間する位置まで、第1の送りギア30Lを変位させる。なお、変位部材39による第1の送りギア30Lの変位と、第1の変位部材36による第2の送りギア30Rの変位を連動させてもよい。
【0136】
変位部材39は、送り小ギア34aの送りギア軸34bと同軸の軸39aを支点に回転するので、第1の送りギア30Lが変位しても、送り小ギア34aと第1の送りギア30Lのかみ合わせに変化は生じない。
【0137】
第1の送りギア30Lを第2の送りギア30Rから離間させると、第1の送りギア30LがワイヤWの送り経路Lから退避する。これにより、第1のワイヤガイド4A
1でガイドされて第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に送られるワイヤWと第1の送りギア30Lが接しない。
【0138】
ワイヤWと第1の送りギア30Lが接しない状態で、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間にワイヤWが挿入されると、手動によるワイヤWの送りにより第1の送りギア30Lを回転させる力が加わらない。
【0139】
これにより、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの間にワイヤWを装填する動作で、第1の送りギア30LがワイヤWの送りの妨げになることはない。また、第2の送りギア30Rは、第1の送りギア30Lが離間することで自在に回転可能である。従って、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間の所定の位置までワイヤWを確実に装填できる。
【0140】
2本のワイヤWを並列させて、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に装填する動作では、ワイヤガイド4A
1によりガイドされる一方のワイヤWが第1の送りギア30Lと接しない。これにより、第1の送りギア30Lが手動によるワイヤWの送りの抵抗になることはく、2本のワイヤWを並列させた状態で、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間で挟持可能、かつ、送り可能な所定の位置に、確実に装填することができる。
【0141】
図13は、更に他の実施の形態のワイヤ送り部の詳細を示す構成図である。
図11及び
図12のワイヤ送り部3Bでは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの両方を変位させる構成としたが、
図13のワイヤ送り部3Cでは、変位部材39で第1の送りギア30Lのみを変位させる構成としてもよい。
【0142】
ワイヤ送り部3Cでは、
図13に示すように、変位部材39の回転で第1の送りギア30Lを第2の送りギア30Rから離間させると、第1の送りギア30LがワイヤWの送り経路Lから退避する。これにより、第1のワイヤガイド4A
1でガイドされて第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に送られるワイヤWと第1の送りギア30Lが接しない。また、第1の送りギア30Lの歯部31Lと第2の送りギア30Rの歯部31Rとの噛み合いが外れる。これにより、第2の送りギア30Rは、自在に回転可能となる。
【0143】
従って、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの間にワイヤWを装填する動作で、第1の送りギア30LがワイヤWの装填の妨げになることはなく、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間の所定の位置までワイヤWを確実に装填できる。ワイヤが2本の場合も同様である。