(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
プラスチック材料を用いた包装袋は、さまざまな食品や菓子類、洗剤などの生活用品やその他の物品、液体などの用途に幅広く用いられている。
【0003】
また、近年では、ライフスタイルの多様化に伴い、ひとつの商品ブランドで数多くのアイテムが展開されており、その結果、消費者がパッケージに記載されている印刷表示を見ただけでは、内容物がなんであるのか、特に高齢者などにとっては判りづらく、間違った商品を購入してしまうという問題も発生している。
【0004】
このため、パッケージの外側から内容物を部分的に見えるようにしたいという要望が生じてきた経緯がある。
【0005】
一方で、各商品を他社商品と差別化するために、パッケージにより高級感を持たせたものとしたいという要望も多くあり、そのための手段として、パッケージの全面にアルミ蒸着を施す方法などが取られる場合がある。
【0006】
パッケージの素材が透明である場合には、印刷の絵柄にインキの存在しない部分を設けることにより、容易に窓部を形成することが可能であるが、パッケージの全面にアルミ蒸着を施した場合には、単に印刷の絵柄を抜くだけでは、内容物を視認可能とする窓部を形成することはできない。
【0007】
そこで、アルミ蒸着膜を部分的に設けるための手法として、予め基材上にアルミ蒸着膜が形成されたフィルムを用意し、その上からパターン状に耐アルカリ塗膜を形成し、その後アルカリによる化学処理を施すことにより、耐アルカリ塗膜で保護された部分以外のアルミ蒸着膜を除去する化学的エッチング方法や、基材上に予め水溶性塗膜をパターン状に設け、その上からアルミ蒸着膜を全面に形成し、その後水洗処理を施すことにより、水溶性塗膜とその上のアルミ蒸着膜を取除く水性エッチング方法(例えば、特許文献1)などが用いられてきた。
【0008】
また特許文献2では、レーザビームを照射することにより、照射箇所の蒸着層のみを除去する方法なども提案されている。
【0009】
しかし、これらの手法は、いずれもアルミなどの金属蒸着層を用いることから、加工工程などにおいて、絶縁層であるプラスチック素材の間に導電層である金属薄膜層が形成された構造となるため、極めて帯電しやすい構造となり、ラミネート加工時などに、放電による発火などを引き起こす危険性があった。
【0010】
このため、静電気を除去するために加工工程での工夫や、フィルム層構成での工夫が必須となっていた。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、図中共通する項目については、同一の番号を附している。
【0021】
図1並びに
図2は、本発明のパウチ用積層シートの構成例を示す断面図であり、主に中間層12部分に違いを有している。
【0022】
図1は、中間層基材121に対し、全面に高輝度銀インキ層1(122)と白インキ層123が設けられている例を示しており、
図2にでは、光透過性窓部14を有する例として、中間層12側から、外層11に向かって、高輝度銀インキ層122、白インキ層123、接着層114、高輝度銀インキ層1(122)、白インキ層123、接着層114、高輝度銀インキ層2(113)、印刷層112の構成からなるパウチ用積層シート1の例を示している。
【0023】
まず、外層基材111は、各種基材を任意に選定することが可能であるが、本発明においては、実質的に透明なプラスチックフィルムであることが望ましく、そのようなプラスチックフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、6−ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどが挙げられるが、機械的強度や寸法安定性を有するものであれば、特に限定されるものではないものの、二軸延伸されたフィルムなどが好ましいと言える。これら外層基材111の表面には、予めコロナ処理やオゾン処理といった易接着処理が施されてあってもよい。
【0024】
また、外層基材111には、必要に応じて適宜絵柄印刷層112が設けられる。絵柄印刷層112としては、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系など従来公知のバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料および可塑剤、乾燥剤、安定剤などが任意に添加されてなるインキなどを用いて構成することができる。
【0025】
印刷方法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷など従来公知の手法を任意に用いることができる。
【0026】
また、絵柄印刷層112には、各色インキによって文字情報なども含む絵柄模様を形成した後、最終層として前記絵柄模様を覆うように白インキによる印刷が施されていても良く、特にグラビア印刷法などを用いる場合には、2回以上重ねて白インキを印刷することが望ましい。
【0027】
また、外層基材111の絵柄印刷層112の反対側の面には、必要に応じて適宜各種印刷や加飾加工が施されてあっても良い。加飾加工の例としては、例えば、マット化処理、箔押し、エンボス形成などを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0028】
中間層12である中間層基材121は、上述の外層基材111と同様に、本発明においては、実質的に透明なプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0029】
そのようなプラスチックフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、6−ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。これら中間層基材121の表面には、予めコロナ処理やオゾン処理といった易接着処理などが施されてあってもよい。
【0030】
高輝度銀インキ層1、2(122、113)は、アルミニウムなどの金属類を鱗片状の特殊顔料として添加したインキなどが好適に用いられる。
【0031】
このような高輝度銀インキを用いることにより、アルミ蒸着膜のような金属の連続膜による導電性を示すことがなく、積層シートへの帯電を低減することができる。
【0032】
印刷方法としては、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法など公知印刷法を用いて形成することができる。
【0033】
また、高輝度銀インキ層1、2(122、113)は、中間層基材121や印刷層112を有する外層基材111の全面に設けられていても良いが、
図2に見られるように光透過性窓部14を形成するように、一部に高輝度銀インキ層1、2(122、113)を設けない方法が取られても良い。
【0034】
特に、パウチの中身を外側から観察できるようにするためには、少なくとも一部に光透過性窓部14を設けることが望ましい。
【0035】
また、光透過性窓部14の形状は、矩形などに限定されず、任意の形状に設けられてあってよい。
【0036】
上述のように、高輝度銀インキ層1(122)や高輝度銀インキ層2(113)を印刷方法によって設けることにより、従来のアルミ蒸着膜に対して窓部を設ける際に必要であった複数の加工工程が、印刷工程のみで形成されることから、工程の簡略化、ならびに不良発生の低減を図ることが可能となる。
【0037】
また、特に高輝度銀インキ層122を形成する場合には、印刷を施す面に凹凸があると十分な輝度感を得ることができないため、平滑な面上に印刷形成することが望ましい。
【0038】
また、
図1および
図2に示すとおり、高輝度銀インキ層1(122)と外層基材11との間には、白インキ層123が設けられてあっても良い。
【0039】
白インキ層123は、高輝度銀インキ層122の隠蔽性や高輝度性を、より向上させるために設けるもので、インキ層中に含まれる白色顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、リトポン、鉛白などに例示される公知白色顔料をいずれも用いることができる。
【0040】
また、前記高輝度銀インキ層122と中間層基材121との間には、着色層などが設けられてあっても良い。
【0041】
着色層を設けることにより、光透過性窓部を有するパウチとした際に、前記窓部から中を見た際に、内容物に合わせて任意の高輝度を有する背景色を設けることが可能となり、意匠性を更に高めることができる。
【0042】
従来の加工方法においては、金属光沢を有する高輝度パウチを作製しようとする場合、中間層12として、主に、予めアルミ蒸着膜を設けたポリエチレンテレフタレートフィルム(VMPET)が用いられていた。
【0043】
しかし、この方法では、アルミ蒸着膜と基材となるポリエチレンテレフタレートフィルムとの間に任意に着色層を設けることが困難であることから、アルミ蒸着膜が形成された面とは反対側の面に着色層を設けることとなるために、着色層上に更に保護用フィルムを設ける必要があった。
【0044】
従って、従来の方法では、層構成が増え、コスト面などから、着色層を設けることが難しいものであった。
【0045】
また、本発明における中間層12には、バリア層が設けられてあっても良く、バリア層は従来公知のバリア性を有するものであればいずれも用いることができるが、例えば、無機酸化物からなる薄膜などを有する構成となっていても良い。
【0046】
このような無機酸化物の例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムなどの金属酸化物などを挙げることができる。
【0047】
本発明における内面層13、すなわちシーラント層131は、ポリオレフィン系樹脂を用いることができ、具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、ポリプロピレン(PP)などを例として、挙げることができる。
【0048】
シーラント層131は、必ずしも1層である必要はなく、2層以上の積層から構成されてあっても良い。
【0049】
シーラント層の形成方法としては、押出し機などによって製膜形成する方法などを用いることができる。
【0050】
また、外層11、中間層12、内層13の各層間のいずれかの層には、必要に応じて、適宜接着層が設けられてあっても良い。
図2では、白インキ層123と高輝度銀インキ層2(113)の層間に接着層114を設けた例が示されている。
【0051】
接着層に用いられる材料としては、パウチを含む包装材料などに従来用いられている公知接着剤をいずれも用いることができるが、例えば、2液硬化型のウレタン樹脂系接着剤などを好適に用いることができる。
【0052】
以上のようにして得られた外層11、中間層12、内層13をそれぞれ重ね合わせラミネートすることにより、パウチ用積層シート1が形成される。
【0053】
ラミネート加工は、3種類の層を同時に実施することもできるが、例えば外層11と中間層12をラミネートした後に、中間層12側と内層13とをラミネートするなどの方法が取られても良い。
【0054】
図3は、このようにして得られたパウチ用積層シートを用いて作製されるパウチの一例を示す平面図である。
【0055】
パウチの表側には光透過性窓部14が設けられ、外側から内容物を観察することができ、内容物の後側に高輝度銀インキ層が観察されることから、パウチ裏面側の印刷画像に邪魔されず、内容物の高級感を引き立てることができる。
【0056】
パウチは、外層11、中間層12、内層13のいずれか、または2層以上に切り取り線などの傷加工が施されてあっても良い。これにより、内容物の取り出しを容易にすることが可能となる。
【0057】
傷加工は、レーザによる加工や金属刃による機械的な加工など、従来公知の手法をいずれも用いることができる。
【0058】
傷加工によって形成される切り取り線がシール部22に係る場合には、切り取り線の概ね延長にあたるシール部22の端部に切込みなどが形成されてあってもよい。
【0059】
切込みの形状としては、特に限定されるものではなく、直線、半円形、三角形(V字)、U字形、四角形、五角形など、任意の形状に設けることが可能である。
【0060】
また、
図3では、底テープ21を有するスタンディングパウチ形状を例として示しているが、必ずしもこの形状に限定するものではなく、三方シール袋や四方シール袋など任意の形状として用いることが可能である。
【0061】
以上のように、本発明のパウチ用積層シートを用いることにより、積層シート加工時の加工工程の簡素化や、積層シートへの帯電などといった加工時不具合の低減などを図ることができると同時に、極めて意匠性の高い高輝度パウチを提供することが可能となる。
【実施例】
【0062】
(実施例1)
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)フィルムからなる外層基材の片面に、LG−NT高輝度銀I(東京インキ株式会社製)インキを印刷、乾燥し、高輝度銀インキ層2を得た。
【0063】
次に、高輝度銀インキ層の上に、ベルカラーHS165(サカタインクス株式会社製)インキを2回印刷、乾燥し、白インキ層を得た。また、外層基材の反対側の面に文字印刷を施した。
【0064】
続いて、厚さ12μmのPETフィルムからなる中間層基材の片面に、LG−NT高輝度銀Iインキ(東京インキ株式会社製)を印刷、乾燥し、高輝度銀インキ層1を得た。
【0065】
上述の外層基材と中間層基材の高輝度銀インキ層を設けた面同士を対向配置し、2液硬化型ウレタン樹脂を用いてラミネートすると共に、中間層基材の反対側の面に、厚さ60μmの直鎖低密度ポリエチレンからなるシーラント層を積層して、実施例1のパウチ用積層シートを得た。
【0066】
(比較例1)
LG−NT高輝度銀I(東京インキ株式会社製)インキをTP01(東洋インキ株式会社製)インキに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のパウチ用積層シートを得た。
【0067】
(比較例2)
高輝度銀インキ層1を、外層基材の白インキ層の上に設け、何も印刷されていない中間層基材と、外層基材の高輝度銀インキ層を設けた側とを対向配置し、2液硬化型ウレタン樹脂を用いてラミネートした以外は、実施例1と同様にして、比較例2のパウチ用積層シートを得た。
【0068】
(比較例3)
中間層基材として、厚さ12μmのアルミ蒸着PETを用い、中間層基材側には、高輝度銀インキ層を設けず、それ以外は、実施例1と同様にして、比較例3のパウチ用積層シートを得た。
【0069】
(比較例4)
外層基材側の白インキ層を除くと共に、中間層基材側の高輝度インキ層1を除いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4のパウチ用積層シートを得た。
【0070】
(評価方法)
光沢度計を用いて、JIS Z8741(60°/60°)の条件にて、シーラント層側からの光沢度を測定し、光沢度を得た。
【0071】
また、シーラント層側から見て、外層基材側に設けられた文字印刷層を目視観察し、文字が透けて見えるかどうかを判定し、隠蔽性評価を実施した。
【0072】
隠蔽性評価では、目視観察により文字が透けて見える場合を×とし、文字が透けて見えない場合を○とした。
【0073】
(評価結果)
各評価結果を表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
表1の結果より、比較例1から、高輝度銀インキを輝度の低い銀インキであるTP01に変更した場合には、充分な光沢度が得られないことが判った。
【0076】
また、比較例2から、高輝度インキ1を白インキ層のような比較的平滑度の低い印刷面上に設けると、充分な光沢度が得られないことが判った。
【0077】
比較例3から、アルミ蒸着PETを中間層として用いた場合には、充分な光沢度と隠蔽性を得られることが判る。
【0078】
しかしながらアルミ蒸着PETを用いた場合には、光透過性窓部を設ける際に、マスク層の印刷やエッチング加工などの加工工程を要すると共に、先に述べたように、アルミ蒸着層とPET層との間に着色層を設ける事ができないため、着色光沢層を得るためには、アルミ蒸着PETの裏面に、着色層と保護用フィルムを設ける必要があり、結果的に、製造コストの増大を招くこととなる。また、加工工程中での帯電により、積層シートの取扱いが困難なものとなる。
【0079】
比較例4から、外層基材側にのみ高輝度銀インキ層を設けた場合には、充分な光沢度は得られるものの、隠蔽性が不十分なものとなることが判った。
【0080】
また、外層基材には、意匠性の観点から何らかの印刷が施される場合が多く、また印刷絵柄の耐久性を考慮すると、外層基材の最外面よりは、内面側に設けることが望ましいと言える。内面側に印刷が施された場合には、比較例2に見られるように、印刷層上への高輝度銀インキ層だけでは、充分な光沢度を得ることができない。
【0081】
従って、中間層側に、高輝度銀インキ層が設けられていることが望ましいと言える。
【0082】
以上のように、本発明のパウチ用積層シートを用いることにより、積層シート加工時の加工工程の簡素化や、積層シートへの帯電などといった加工時不具合の低減などを図ることができると同時に、極めて意匠性の高い高輝度パウチを提供することが可能となる。