特許第6972559号(P6972559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972559廃液収容体及び廃液収容体のアタッチメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972559
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】廃液収容体及び廃液収容体のアタッチメント
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20211111BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B41J2/17 203
   B41J2/175 175
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-3965(P2017-3965)
(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公開番号】特開2018-111279(P2018-111279A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】平澤 雄輔
【審査官】 高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−245652(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/198852(WO,A1)
【文献】 特開平06−015835(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/082836(WO,A1)
【文献】 特開2008−132789(JP,A)
【文献】 特開2015−208991(JP,A)
【文献】 特開2016−083836(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02939837(EP,A2)
【文献】 米国特許第06059402(US,A)
【文献】 特開2010−247521(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0245468(US,A1)
【文献】 米国特許第07976121(US,B2)
【文献】 米国特許第08651638(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する外面である装着面、側面及び底面を有する廃液収容容器と、
前記装着面に配置される廃液導入部と、
前記側面に沿って配置される接続端子を有する回路基板と、
係合凸部と、を備え、
前記廃液収容容器は、
前記廃液導入部より下方で前記装着面及び前記底面に開口する第1凹部と、
前記装着面及び前記側面に開口する第2凹部と、
前記第2凹部よりも低い位置に設けられるとともに、前記装着面及び前記側面に開口する第3凹部と、を有し、
前記装着面及び前記底面の双方が延びる方向を幅方向としたときに、
前記第1凹部は、前記幅方向において前記廃液導入部と前記接続端子との間に配置され、
前記回路基板は前記第2凹部内に配置され、
前記係合凸部は前記第3凹部内に設けられる
ことを特徴とする廃液収容体。
【請求項2】
前記回路基板は、前記第2凹部内において前記接続端子が前記幅方向における外側を向くように配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の廃液収容体。
【請求項3】
前記廃液収容体は、前記廃液導入部と接続可能な廃液排出部及び前記接続端子と電気的に接続可能な基板接続部を有する装着部に対して、前記装着面と交差する移動方向への移動に伴って着脱可能に装着され、
前記第1凹部は、前記移動方向に沿って延設される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の廃液収容体。
【請求項4】
前記側面を第1側面としたときに、前記廃液収容容器は、前記第1側面の反対側の外面である第2側面を有し、
前記廃液導入部より下方で前記装着面及び前記第2側面に開口する凹みを備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の廃液収容体。
【請求項5】
前記側面を第1側面としたときに、前記廃液収容容器は、前記第1側面の反対側の外面である第2側面と、前記装着面の反対側の外面である前面と、前記廃液収容容器の角を切り欠く態様で形成される外面として、前記底面、前記第1側面、前記第2側面及び前記前面と交差する切欠面と、を有し、
前記前面に設けられる把持部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の廃液収容体。
【請求項6】
互いに交差する外面である装着面、側面及び底面を有する枠体と、
前記装着面に配置される廃液導入部と、
前記側面に沿って配置される接続端子を有する回路基板と、
係合凸部と、を備え、
前記枠体は、
前記廃液導入部より下方で前記装着面及び前記底面に開口する第1凹部と、
前記装着面及び前記側面に開口する第2凹部と、
前記第2凹部よりも低い位置に設けられるとともに、前記装着面及び前記側面に開口する第3凹部と、を有し
記装着面及び前記底面の双方が延びる方向を幅方向としたときに、
前記第1凹部は、前記幅方向において前記廃液導入部と前記接続端子との間に配置され、
前記回路基板は前記第2凹部内に配置され、
前記係合凸部は前記第3凹部内に設けられる
ことを特徴とする廃液収容体のアタッチメント。
【請求項7】
前記回路基板は、前記第2凹部内において前記接続端子が前記幅方向における外側を向くように配置される
ことを特徴とする請求項6に記載の廃液収容体のアタッチメント。
【請求項8】
前記側面を第1側面としたときに、前記枠体は、前記第1側面の反対側の外面である第2側面を有し、
前記廃液導入部より下方で前記装着面及び前記第2側面に開口する凹みを備える
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の廃液収容体のアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液収容体及びアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
廃液収容体の一例として、廃インクの排出口に接続される接続口と、装置側接続端子に接続される回収体側接続端子とを備え、プリンターから排出される廃インクを接続口を通じて導入するように構成された廃液回収体がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−269209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の接続口から垂れ落ちた廃インクが回収体側接続端子に付くと、装置側接続端子との間での通電が妨げられ、接続不良が生じることがある。本発明の課題は、廃液の付着に起因する接触不良が生じにくい廃液収容体及びアタッチメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する廃液収容体は、互いに交差する外面である装着面、側面及び底面を有する廃液収容容器と、前記装着面に配置される廃液導入部と、前記側面に沿って配置される接続端子を有する回路基板と、前記廃液導入部より下方で前記装着面及び前記底面に開口する凹部と、を備え、前記装着面及び前記底面の双方が延びる方向を幅方向としたときに、前記凹部は、前記幅方向において前記廃液導入部と前記接続端子との間に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】廃液収容体が装着される液体噴射装置の全体構成図。
図2図1の液体噴射装置が備える装着部の斜視図。
図3】廃液収容体の一実施形態の分解斜視図。
図4図3の廃液収容体の分解斜視図。
図5図3の廃液収容体の斜視図。
図6図3の廃液収容体の正面図。
図7図3の廃液収容体の背面図。
図8図3の廃液収容体の斜視図。
図9図3の廃液収容体の左側面図。
図10図3の廃液収容体の右側面図。
図11図2の装着部に図3の廃液収容体を装着するときの底面図。
図12図2の装着部に図3の廃液収容体を装着するときの平面図。
図13図2の装着部に図3の廃液収容体を装着したときの断面図。
図14】アタッチメントの一実施形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、液体噴射装置に装着可能な廃液収容体及びアタッチメントの実施形態について、図を参照して説明する。液体噴射装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを噴射することによって記録(印刷)を行うインクジェット式のプリンターである。廃液収容体は液体噴射装置から排出される廃液を収容する容器である。
【0008】
図1に示すように、液体噴射装置11は、使用場所に設置された状態で、高さ、奥行及び幅としてそれぞれ所定の長さを有する筐体12を備える。筐体12は、底壁13と、前壁14と、後壁15と、奥行方向及び重力方向に沿って延びる側壁16,17と、を有する。
【0009】
本実施形態において、幅方向と奥行方向は実質的に水平であり、筐体12が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示す。奥行方向の奧側(後側)から手前側(前側)に向かう方向(前方)をY軸で示す。幅方向は、Z軸及びY軸と交差するX軸で示す。すなわち、幅方向、重力方向及び奥行方向は互いに異なる向きを示し、X軸、Z軸及びY軸は、それぞれ幅、高さ及び奥行の長さを示す座標軸となる。
【0010】
筐体12の幅方向の一端側(図1では右端側となる側壁16側)には、前方に向けて突出する態様で収容部18が配置される。本実施形態において、幅方向の一端側をホーム側といい、他端側(側壁17側)を反ホーム側という。収容部18には、液体を収容可能な液体収容体20が幅方向に並ぶ態様で複数収容される。液体収容体20は、前側が後側よりも階段状に高くなっている。液体収容体20には、液体を注入可能な注入口20aを設けてもよい。注入口20aは、液体収容体20において、前壁14より前方に突出する部分に設けると、注入の作業がしやすくなる。
【0011】
筐体12内には、液体噴射ヘッド23と、液体噴射ヘッド23を保持するキャリッジ24と、キャリッジ24の幅方向への往復移動を案内するガイド軸25と、キャリッジ24と液体収容体20をつなぐ供給流路26と、メンテナンス装置30と、装着部40と、制御部100と、が収容される。液体噴射ヘッド23は複数のノズル22と、ノズル22が開口する開口面23aとを有して、前方に向けて搬送される媒体Sに対して、液体を噴射するように構成される。制御部100は、液体噴射ヘッド23の液体噴射動作やメンテナンス装置30のメンテナンス動作を制御する。
【0012】
筐体12内において、幅方向の中央付近には、媒体Sの搬送路27が形成される。搬送路27において、液体噴射ヘッド23が液体を噴射する領域には、媒体Sを支持可能な支持台28が配置される。前壁14には、印刷済みの媒体Sを筐体12の外に排出するための排出口14aが形成される。
【0013】
メンテナンス装置30は、支持台28よりホーム側に配置される。メンテナンス装置30の前方には収容部18が配置され、メンテナンス装置30の後方には装着部40が配置される。
【0014】
メンテナンス装置30は、キャップ31と、キャップ31に上流端が接続される排出流路32と、排出流路32の途中に配置される吸引機構33と、開口面23aを払拭可能な払拭部材34と、キャップ31を保持するスライダー35と、支持部材36と、を備える。吸引機構33は、キャップ31内を吸引する吸引動作を実行可能に構成される。スライダー35は、その下方に配置される支持部材36に対して相対移動可能に設けられる。
【0015】
スライダー35は、幅方向におけるホーム側の端に、上方に突出する係合突部35aを有する。そして、ホーム側に向けて移動するキャリッジ24が係合突部35aに係合すると、キャリッジ24の移動に伴ってスライダー35が斜め上に移動し、キャップ31が液体噴射ヘッド23に接触して、ノズル22が開口する閉空間を形成する。このようにキャップ31が閉空間を形成する動作をキャッピングという。キャッピング時のキャップ31及びスライダー35の位置を図1において二点鎖線で示す。キャッピング時に吸引機構33が駆動すると、ノズル22を通じて液体噴射ヘッド23内が吸引される。このように、ノズル22を通じて吸引を行い、液体噴射ヘッド23内の液体を排出する動作を、吸引クリーニングという。
【0016】
装着部40には、廃液収容体50が着脱可能に装着される。廃液収容体50は、吸引動作により排出される廃液(例えば、廃インク)を収容可能な容器である。後壁15には、廃液収容体50を筐体12内に挿入するための挿入口15aが開口する。廃液収容体50は、図1に二点鎖線で示すように、後方から前方に向けて移動しながら筐体12内に挿入されて、装着部40に装着される。
【0017】
装着部40は、排出流路32の下流端が接続される廃液排出部41と、廃液排出部41を保持するホルダー42と、ホルダー42から後方に突出する基板接続部43と、を有する。基板接続部43は、制御部100と電気的に接続されている。
【0018】
図2に示すように、装着部40は、係止部44と、ホルダー42から後方に向けて突出する第1突部45、第2突部46、第3突部47及び第4突部48を有する。係止部44は、例えば板ばねからなる。廃液排出部41は、幅方向において第1突部45と第4突部48の間から後方に向けて突出する。
【0019】
第1突部45は、幅方向において廃液排出部41と第3突部47の間に位置する。第2突部46は、基板接続部43を保持して、第3突部47の上方に配置される。基板接続部43は、廃液排出部41の方に向く態様で第2突部46に保持される。第2突部46は廃液排出部41とほぼ同じ高さに配置され、第1突部45、第3突部47及び第4突部48は、第2突部46及び廃液排出部41よりも下方に配置される。第1突部45は、その両側に位置する第3突部47及び第4突部48よりも下端位置が低く、かつ、上端位置が高い。
【0020】
次に、廃液収容体50の構成について詳述する。
図3に示すように、廃液収容体50は、廃液を収容可能な廃液収容容器51と、廃液収容容器51に取り付けられる蓋52と、廃液収容容器51内に収容される廃液を吸収可能な複数の吸収体53と、廃液導入部55と、接続端子56aを有する回路基板56と、を備える。
【0021】
回路基板56は、例えば薄板状のICチップであって、一面側に複数の接続端子56aが配置されている。回路基板56は、廃液収容体50に関する情報を記憶した記憶部(図示略)を有する。
【0022】
廃液収容容器51内には、複数の仕切板51aが立設され、一部の吸収体53には仕切板51aが挿入される切込み53aが形成される。仕切板51aにより、廃液収容容器51内での吸収体53の移動が抑制される。吸収体53の廃液導入部55に接する部分には、廃液を導入するための導入空間59(図13参照)を形成する第1切欠き53bを設けることが好ましい。
【0023】
図4に示すように、吸収体53の下部には、廃液を流動させるための流路を形成する第2切欠き53cを設けることが好ましい。この流路は、第1切欠き53bが形成する空間と連通するように形成するとよい。
【0024】
廃液収容容器51は、互いに交差する外面である装着面61、側面63及び底面65を有する。側面63を第1側面63としたときに、廃液収容容器51は、第1側面63の反対側の外面である第2側面64と、装着面61の反対側の外面である前面62と、廃液収容容器51の角を切り欠く態様で形成される外面である切欠面66と、を有する。切欠面66は、底面65、第1側面63、第2側面64及び前面62と交差する。
【0025】
廃液導入部55は装着面61に配置される。廃液導入部55には、シール部材57を挟んで円環状の蓋体58を取り付けるとよい。廃液収容体50は、廃液導入部55より下方で装着面61及び底面65に開口する凹部75を備える。
【0026】
図5に示すように、装着面61及び底面65の双方が延びる幅方向(方向X)において、凹部75は、廃液導入部55と接続端子56aとの間に配置される。凹部75は、装着面61と交差する移動方向(方向Y)に沿って所定の長さを有するように延設するとよい。
【0027】
凹部75を第1凹部75とするときに、廃液収容体50は、装着面61及び第1側面63に開口する第2凹部76を有することが好ましい。この場合、回路基板56を第2凹部76内に配置することが好ましい。さらに、回路基板56は、第2凹部76内において、接続端子56aが幅方向における外側を向くように配置するとよい。
【0028】
廃液収容体50は、第2凹部76より下方で装着面61及び第1側面63に開口する第3凹部77を備えることが好ましい。第3凹部77内には、装着面61側に位置する係合凹部77aと、係合凹部77aより前面62側に位置する係合凸部77bとを設けるとよい。さらに、廃液収容体50は、廃液導入部55より下方で装着面61及び第2側面64に開口する凹みである第4凹部78を備えることが好ましい。
【0029】
図6に示すように、廃液収容体50の底面65にレール状をなす一対の突部65aを設け、挿入口15aに突部65aと係合する凸部15bを設けると、着脱時の廃液収容体50の移動を案内することができる。また、廃液収容体50が上下逆に誤装着されないようにすることができる。
【0030】
図7図10に示すように、廃液収容体50は、前面62に設けられる把持部67を備えるとよい。特に、把持部67が前面62から突出していると、廃液収容体50を装着部40から取り外すときに、ユーザーが把持部67を把持しやすい。また、把持部67が前面62に沿って折りたためる構成にすると、把持部67をコンパクトに収容することが可能になる。
【0031】
次に、以上のように構成された廃液収容体50の作用及び効果について説明する。
図11及び図12に示すように、廃液収容体50は、装着部40に対して、装着面61と交差する移動方向(方向Y)への移動に伴って着脱可能に装着される。
【0032】
例えば、廃液収容体50が装着部40に装着されるときには、廃液収容体50が前方への移動に伴って装着部40に装着される。このとき、ホルダー42に近づいた廃液収容体50の底部付近にある第1凹部75に第1凹部75が挿入されることによって、廃液収容体50の幅方向における位置決めがされる。そして、このように位置決めされた廃液収容体50の廃液導入部55に廃液排出部41が接続される。また、第2凹部76内にホルダー42から突出する第2突部46が挿入されて、第2凹部76内に配置された接続端子56aが基板接続部43と接続される。さらに、廃液収容体50の係合凸部77bに係止部44が引っかかって、廃液収容体50の後方への移動が抑制される。これにより、廃液収容体50の装着部40への装着が完了する。
【0033】
廃液収容体50の装着部40への装着時には、廃液収容体50の幅方向の両端にある係合凹部77aと第4凹部78に、それぞれ第3突部47と第4突部48が挿入される。これにより、廃液導入部55を中心とした廃液収容体50の回転が抑制される。その結果、接続端子56aと基板接続部43の適切な接続が維持される。接続端子56aが基板接続部43に接続されると、回路基板56の記憶部が記憶した情報等が、基板接続部43を通じて制御部100との間で授受される。
【0034】
図13に示すように、廃液収容体50が装着部40に装着されると、廃液排出部41が廃液導入部55を通じて廃液収容容器51内に挿入される。このとき、廃液排出部41の先端は、吸収体53の第1切欠き53bにより形成される導入空間59内に位置する。そのため、吸引クリーニングなどの吸引動作によって液体噴射装置11から排出された廃液は、廃液排出部41を通じて、導入空間59に導入される。すると、導入空間59に連通する流路(第2切欠き53cにより形成される)を通じて、廃液が廃液収容容器51の内底面沿いに流れながら、吸収体53に吸収される。
【0035】
装着部40に装着された廃液収容体50は、後方への移動に伴って装着部40から取り外される。装着部40への着脱時などには、廃液排出部41または廃液導入部55から廃液が漏出することがある。そして、漏出した廃液が接続端子56aまたは基板接続部43に付くと、基板接続部43に対する接続端子56aの接続不良が生じて、情報の授受が行えなくなるおそれがある。
【0036】
その点、本実施形態の廃液収容体50においては、廃液導入部55から漏出した廃液が装着面61を伝って底面65の方に流れ、さらに底面65に沿って幅方向に流れると、底面65に開口する第1凹部75内に廃液が溜まる。そのため、廃液が第1側面63及び第2側面64の方に流れにくい。
【0037】
仮に、底面65に沿って流れた廃液が第1側面63または第2側面64に到達したとしても、その廃液は第3凹部77または第4凹部78に入るので、その上方には廃液が至りにくい。廃液収容体50の装着部40への装着時に、回路基板56及び基板接続部43は第3凹部77より上方の第2凹部76内に収容されているので、廃液が付着しにくい。
【0038】
さらに、第2凹部76内において、回路基板56は接続端子56aが幅方向における外側を向くように配置されているので、装着面61の方を向いている場合よりも廃液が付着しにくい。
【0039】
第1凹部75は廃液収容体50の移動方向に所定の長さを有するので、ホルダー42から突出する針状の廃液排出部41から廃液が垂れ落ちたとしても、その廃液を収容することができる。なお、底面65に沿って前面62の方まで廃液が流れたとしても、廃液収容体50の後端下部には、切欠面66を設けたことによる空間が形成されるので、その空間に廃液を留めることができる。これにより、その上方に位置する把持部67に廃液が付きにくい。そのため、ユーザーが把持部67を把持して廃液収容体50の着脱操作をするときに、ユーザーの手が廃液で汚れない。
【0040】
上記実施形態は、以下に示す変更例のように変更してもよい。また、上記実施形態に含まれる構成と下記変更例に含まれる構成とを任意に組み合わせてもよいし、下記変更例に含まれる構成同士を任意に組み合わせてもよい。なお、以下の説明において、既出の構成要素と同様の機能を有するものには同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0041】
・廃液収容体50は、装着部40に着脱可能に装着されるアタッチメントに変更することができる。アタッチメントは、廃液収容体50と同様の外形を有して、廃液収容体50と交換可能な態様で装着部40に装着されてもよいし、廃液収容体50とは別の装着部を液体噴射装置11に設けて、その別の装着部にアタッチメントを装着するようにしてもよい。
【0042】
例えば、図14に示すように、液体噴射装置11の装着部40に対して、廃液チューブ82を介して廃液タンク81に接続されたアタッチメント80を装着する。このアタッチメント80は、廃液収容容器51に代えて、少なくとも互いに交差する外面である装着面61、側面63及び底面65を有する枠体83と、廃液チューブ82に接続される廃液導入部55と、を備える。この枠体83内には、吸収体53を備えなくてもよい。この場合、液体噴射装置11において吸引動作により排出される廃液は、アタッチメント80に接続された廃液チューブ82を介して、廃液タンク81に収容される。
【0043】
図14に示す変更例のように、液体収容体20はキャリッジ24が保持してもよい。
・液体噴射ヘッド23が噴射する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などであってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射して記録を行う構成にしてもよい。
【0044】
・媒体Sは用紙に限らず、プラスチックフィルムや薄い板材などでもよいし、捺染装置などに用いられる布帛であってもよい。また、媒体SはTシャツなど、任意の形状の衣類等であってもよいし、食器または文具のような任意の形状の立体物であってもよい。
【0045】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
[思想1]
互いに交差する外面である装着面、側面及び底面を有する廃液収容容器と、
前記装着面に配置される廃液導入部と、
前記側面に沿って配置される接続端子を有する回路基板と、
前記廃液導入部より下方で前記装着面及び前記底面に開口する凹部と、
を備え、
前記装着面及び前記底面の双方が延びる方向を幅方向としたときに、
前記凹部は、前記幅方向において前記廃液導入部と前記接続端子との間に配置される
ことを特徴とする廃液収容体。
【0046】
この構成によれば、廃液導入部から漏れた廃液が装着面を伝って底面の方に流れたとしても、その廃液が凹部内に留まることにより、廃液が接続端子の方に流れにくくなる。そのため、廃液の付着に起因する接続端子の接触不良が生じにくい。
【0047】
[思想2]
前記凹部を第1凹部とするときに、前記装着面及び前記側面に開口する第2凹部を有し、
前記回路基板は前記第2凹部内に配置される
ことを特徴とする[思想1]に記載の廃液収容体。
【0048】
この構成によれば、接続端子が収容される第2凹部は底面に開口していないので、底面の方に流れた液体は第2凹部内に回り込みにくい。そのため、第2凹部内に配置された接続端子に対する廃液の付着が抑制される。
【0049】
[思想3]
前記回路基板は、前記第2凹部内において前記接続端子が前記幅方向における外側を向くように配置される
ことを特徴とする[思想2]に記載の廃液収容体。
【0050】
この構成によれば、接続端子は幅方向における外側を向いているので、装着面の方を向いている場合よりも、廃液が付着しにくい。
[思想4]
前記第2凹部より下方で前記装着面及び前記側面に開口する第3凹部を備える
ことを特徴とする[思想2]または[思想3]に記載の廃液収容体。
【0051】
この構成によれば、第2凹部より底面に近い位置に第3凹部があるので、底面に沿って流れる廃液が第3凹部に入ることによって、第2凹部内への廃液の到達を遅らせることができる。
【0052】
[思想5]
前記廃液収容体は、前記廃液導入部と接続可能な廃液排出部及び前記接続端子と電気的に接続可能な基板接続部を有する装着部に対して、前記装着面と交差する移動方向への移動に伴って着脱可能に装着され、
前記凹部は、前記移動方向に沿って延設される
ことを特徴とする[思想1]から[思想4]のうちいずれか1つに記載の廃液収容体。
【0053】
この構成によれば、装着部に対する着脱時に、廃液導入部または廃液排出部から漏れた廃液が移動方向に流れたとしても、移動方向に延びる凹部内に廃液を収容することによって、幅方向への廃液の拡散が抑制される。
【0054】
[思想6]
前記側面を第1側面としたときに、前記廃液収容容器は、前記第1側面の反対側の外面である第2側面を有し、
前記廃液導入部より下方で前記装着面及び前記第2側面に開口する凹みを備える
ことを特徴とする[思想1]から[思想5]のうちいずれか1つに記載の廃液収容体。
【0055】
この構成によれば、接続端子が配置される第1側面から離れた位置に廃液が留まる凹みを配置することによって、第1側面の方に流れる廃液を少なくすることができる。
[思想7]
前記側面を第1側面としたときに、前記廃液収容容器は、前記第1側面の反対側の外面である第2側面と、前記装着面の反対側の外面である前面と、前記廃液収容容器の角を切り欠く態様で形成される外面として、前記底面、前記第1側面、前記第2側面及び前記前面と交差する切欠面と、を有し、
前記前面に設けられる把持部を備える
ことを特徴とする[思想1]から[思想6]のうちいずれか1つに記載の廃液収容体。
【0056】
この構成によれば、底面に沿って前面まで液体が流れたとしても、廃液収容容器の角を切り欠いた空間に液体が留まることによって、把持部に液体が付着しにくくなる。
[思想8]
互いに交差する外面である装着面、側面及び底面を有する枠体と、
前記装着面に配置される廃液導入部と、
前記側面に沿って配置される接続端子を有する回路基板と、
前記廃液導入部より下方で前記装着面及び前記底面に開口する凹部と、
を備え、
前記装着面及び前記底面の双方が延びる方向を幅方向としたときに、
前記凹部は、前記幅方向において前記廃液導入部と前記接続端子との間に配置される
ことを特徴とするアタッチメント。
【0057】
この構成によれば、廃液導入部から漏れた廃液が装着面を伝って底面の方に流れたとしても、その廃液が凹部内に留まることにより、廃液が接続端子の方に流れにくくなる。そのため、廃液の付着に起因する接続端子の接触不良が生じにくい。
【0058】
[思想9]
前記凹部を第1凹部とするときに、前記装着面及び前記側面に開口する第2凹部を有し、
前記回路基板は前記第2凹部内に配置される
ことを特徴とする[思想8]に記載のアタッチメント。
【0059】
この構成によれば、接続端子が収容される第2凹部は底面に開口していないので、底面の方に流れた液体は第2凹部内に回り込みにくい。そのため、第2凹部内に配置された接続端子に対する廃液の付着が抑制される。
【0060】
[思想10]
前記回路基板は、前記第2凹部内において前記接続端子が前記幅方向における外側を向くように配置される
ことを特徴とする[思想9]に記載のアタッチメント。
【0061】
この構成によれば、接続端子が幅方向における外側を向いているので、装着面の方を向いている場合よりも、廃液が付着しにくい。
[思想11]
前記第2凹部より下方で前記装着面及び前記側面に開口する第3凹部を備える
ことを特徴とする[思想9]または[思想10]に記載のアタッチメント。
【0062】
この構成によれば、装着部に対する着脱時に、廃液導入部または廃液排出部から漏れた廃液が移動方向に沿って垂れ落ちたとしても、移動方向に延びる凹部内に廃液を収容することによって、幅方向への廃液の拡散が抑制される。
【0063】
[思想12]
前記側面を第1側面としたときに、前記枠体は、前記第1側面の反対側の外面である第2側面を有し、
前記廃液導入部より下方で前記装着面及び前記第2側面に開口する凹みを備える
ことを特徴とする[思想8]から[思想11]のうちいずれか1つに記載のアタッチメント。
【0064】
この構成によれば、接続端子が配置される第1側面から離れた位置に廃液が留まる凹みを配置することによって、第1側面の方に流れる廃液を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0065】
11…液体噴射装置、12…筐体、13…底壁、14…前壁、14a…排出口、15…後壁、15a…挿入口、15b…凸部、16…側壁、17…側壁、18…収容部、20…液体収容体、20a…注入口、22…ノズル、23…液体噴射ヘッド、23a…開口面、24…キャリッジ、25…ガイド軸、26…供給流路、27…搬送路、28…支持台、30…メンテナンス装置、31…キャップ、32…排出流路、33…吸引機構、34…払拭部材、35…スライダー、35a…係合突部、36…支持部材、40…装着部、41…廃液排出部、42…ホルダー、43…基板接続部、44…係止部、45…第1突部、46…第2突部、47…第3突部、48…第4突部、50…廃液収容体、51…廃液収容容器、51a…仕切板、52…蓋、53…吸収体、53a…切込み、53b…第1切欠き、53c…第2切欠き、55…廃液導入部、56…回路基板、56a…接続端子、57…シール部材、58…蓋体、59…導入空間、61…装着面、62…前面、63…第1側面、64…第2側面、65…底面、65a…突部、66…切欠面、67…把持部、75…第1凹部(凹部)、76…第2凹部、77…第3凹部、77a…係合凹部、77b…係合凸部、78…第4凹部(凹み)、80…アタッチメント、100…制御部、S…媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
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図14