特許第6972565号(P6972565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972565情報処理装置、情報処理装置の制御方法、および、制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972565
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、および、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   G05B23/02 301V
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-16235(P2017-16235)
(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公開番号】特開2018-124785(P2018-124785A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】許 自強
(72)【発明者】
【氏名】水本 寛仁
(72)【発明者】
【氏名】氏家 哉
(72)【発明者】
【氏名】上村 敦史
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/096959(WO,A1)
【文献】 特開2016−012172(JP,A)
【文献】 特開2016−146014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ装置によって収集された、マスタスレーブ制御システムにおいて発生する所定のイベントを記録するイベントログを処理する情報処理装置であって、該イベントログは、発生したイベントの内容を示す情報を少なくとも含んでおり、イベントごとにログ記憶部に記憶されるものであり、
1以上の前記イベントログを表示部に表示させる表示制御部と、
表示されたイベントログのうち、操作部を介してユーザにより指定されたイベントログを注目イベントログとして特定する特定部と、
前記注目イベントログに記録された注目イベントに関連する関連イベントを、所定の規則に基づいて特定し、該関連イベントの発生を記録した関連イベントログを、前記ログ記憶部から抽出する抽出部とを備え、
前記表示制御部は、前記注目イベントログおよび抽出された前記関連イベントログを、前記表示部に表示させ
前記イベントログは、イベントが発生した日時を示す情報を含み、
前記特定部は、さらに、関連イベントログの候補と非関連イベントログとを、前記日時の時系列に基づいて隔てる境界イベントログを特定し、
前記抽出部は、前記境界イベントログに記録された日時より後、かつ、前記注目イベントログに記録された日時より前の日時が記録された関連イベントログを、前記ログ記憶部から抽出することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出部は、特定された前記注目イベントに関連する関連イベントを、予め定められた対応関係に基づいて特定し、該関連イベントの関連イベントログを、前記ログ記憶部から抽出し、
前記表示制御部は、前記注目イベントログおよび抽出された前記関連イベントログを、その他のイベントログとは異なる表示態様で表示させることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、
前記注目イベントと該注目イベントの発生に関与する関連装置との、予め定められた対応関係に基づいて、前記注目イベントの関連装置を特定し、
特定した前記関連装置に関して発生するイベントのうち、関連イベントの候補と非関連イベントとを、前記日時の時系列に基づいて隔てる境界イベントを、予め定められた関連装置と境界イベントとの対応関係に基づいて特定し、
特定した前記境界イベントを記録するイベントログを前記境界イベントログとして特定することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記注目イベントログおよび抽出された前記関連イベントログを、その他のイベントログとは異なる色で表示させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
マスタ装置によって収集された、マスタスレーブ制御システムにおいて発生する所定のイベントを記録するイベントログを処理する情報処理装置であって、該イベントログは、発生したイベントの内容を示す情報を少なくとも含んでおり、イベントごとにログ記憶部に記憶されるものであり、
1以上の前記イベントログを表示部に表示させる表示制御部と、
表示されたイベントログのうち、操作部を介してユーザにより指定されたイベントログを注目イベントログとして特定する特定部と、
前記注目イベントログに記録された注目イベントに関連する関連イベントを、所定の規則に基づいて特定し、該関連イベントの発生を記録した関連イベントログを、前記ログ記憶部から抽出する抽出部とを備え、
前記表示制御部は、前記注目イベントログおよび抽出された前記関連イベントログを、前記表示部に表示させ、
前記イベントログは、前記イベントが発生した日時を示す情報をさらに含んでおり、
前記抽出部は、イベントログに含まれる日時が、前記注目イベントログの日時から前後所定時間以内であるイベントログを、関連イベントログとして抽出し、
前記表示制御部は、前記注目イベントログおよび抽出された前記関連イベントログを、その他のイベントログを除き、前記表示部に表示させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
マスタ装置によって収集された、マスタスレーブ制御システムにおいて発生する所定のイベントを記録するイベントログを処理する情報処理装置の制御方法であって、該イベントログは、発生したイベントの内容を示す情報を少なくとも含んでおり、イベントごとにログ記憶部に記憶されるものであり、該情報処理装置は、表示部と、操作部とを備えており、
1以上の前記イベントログを前記表示部に表示させる第1表示制御ステップと、
表示されたイベントログのうち、前記操作部を介してユーザにより指定されたイベントログを注目イベントログとして特定する特定ステップと、
前記注目イベントログに記録された注目イベントに関連する関連イベントを、所定の規則に基づいて特定し、該関連イベントの発生を記録した関連イベントログを、前記ログ記憶部から抽出する抽出ステップと、
前記注目イベントログおよび抽出された前記関連イベントログを、前記表示部に表示させる第2表示制御ステップとを含み、
前記イベントログは、イベントが発生した日時を示す情報を含み、
前記特定ステップでは、さらに、関連イベントログの候補と非関連イベントログとを、前記日時の時系列に基づいて隔てる境界イベントログを特定し、
前記抽出ステップでは、前記境界イベントログに記録された日時より後、かつ、前記注目イベントログに記録された日時より前の日時が記録された関連イベントログを、前記ログ記憶部から抽出することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記表示制御部、前記特定部および前記抽出部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタスレーブ制御システムにおけるマスタ装置によって収集される情報を処理する情報処理装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場などに設置される生産設備のデータ収集および制御を行うスレーブ装置と、複数のスレーブ装置を集中管理するマスタ装置とを含む産業用ネットワークシステムが多数考案されている。産業用ネットワークシステムにおいて、マスタ装置は、自装置が管理する複数のスレーブ装置から、多くのイベントログを収集する。収集されたイベントログは、システムで所定のイベントが発生した場合に、発生原因をユーザが把握するために利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2002/061514(2002年8月8日国際公開)
【特許文献2】特開2013−3203(2013年1月7日公開)
【特許文献3】特開2014−235710(2014年12月15日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術においては、収集されるイベントログが、非常に膨大な量になる。そのために、前記システムを熟知した経験者または有識者などではない一般のユーザ(以下、非熟練者)は、イベントログの解析に非常に時間がかかるか、あるいは、解析ができない。また、いくつかのイベントが複雑に関連し合うようなケースでは、非熟練者は、これらすべてのイベントの真因となる根本のイベントを特定することがより一層困難であり、不可能に近い。このように非熟練者にとって、膨大な量のイベントログから、ある注目しているイベントと関連する別のイベントを特定することには、非常に困難が伴うという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、非熟練者であっても、関連するイベントを、収集されたイベントログから容易かつ短期に特定することを可能にする情報処理装置などを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、マスタ装置によって収集された、マスタスレーブ制御システムにおいて発生する所定のイベントを記録するイベントログを処理する情報処理装置であって、該イベントログは、発生したイベントの内容を示す情報を少なくとも含んでおり、イベントごとにログ記憶部に記憶されるものであり、1以上の前記イベントログを表示部に表示させる表示制御部と、表示されたイベントログのうち、操作部を介してユーザにより指定されたイベントログを注目イベントログとして特定する特定部と、前記注目イベントログに記録された注目イベントに関連する関連イベントを、所定の規則に基づいて特定し、該関連イベントの発生を記録した関連イベントログを、前記ログ記憶部から抽出する抽出部とを備え、前記表示制御部は、前記注目イベントログおよび抽出された前記関連イベントログを、前記表示部に表示させる。
【0007】
前記の構成によれば、ユーザが注目するイベントログを1つ選択すると、そのイベントログに関連するイベントログが所定の規則に基づいて抽出される。ユーザによって注目されている注目イベントログと抽出された関連イベントログとが、前記表示部に表示される。
【0008】
したがって、ユーザは、その他のイベントログと区別して、注目イベントログおよび関連イベントログを一目で認識することができる。結果として、非熟練者であっても、関連するイベントを、収集されたイベントログから容易かつ短期に特定することが可能になるという効果を奏する。
【0009】
本発明の一態様に係る情報処理装置において、前記抽出部は、特定された前記注目イベントに関連する関連イベントを、予め定められた対応関係に基づいて特定し、該関連イベントの関連イベントログを、前記ログ記憶部から抽出し、前記表示制御部は、前記注目イベントログおよび抽出された前記関連イベントログを、その他のイベントログとは異なる表示態様で表示させる。
【0010】
したがって、ユーザは、その他のイベントログと区別して、注目イベントログおよび、注目イベントと対応関係を有する関連イベントの関連イベントログを一目で認識することができる。結果として、非熟練者であっても、関連するイベントを、収集されたイベントログから容易かつ短期に特定することが可能になるという効果を奏する。
【0011】
本発明の一態様に係る情報処理装置において、前記イベントログは、イベントが発生した日時を示す情報を含み、前記特定部は、さらに、関連イベントログの候補と非関連イベントログとを、前記日時の時系列に基づいて隔てる境界イベントログを特定し、前記抽出部は、前記境界イベントログに記録された日時より後、かつ、前記注目イベントログに記録された日時より前の日時が記録された関連イベントログを、前記ログ記憶部から抽出してもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る情報処理装置において、前記特定部は、前記注目イベントと該注目イベントの発生に関与する関連装置との、予め定められた対応関係に基づいて、前記注目イベントの関連装置を特定し、特定した前記関連装置に関して発生するイベントのうち、関連イベントの候補と非関連イベントとを、前記日時の時系列に基づいて隔てる境界イベントを、予め定められた関連装置と境界イベントとの対応関係に基づいて特定し、特定した前記境界イベントを記録するイベントログを前記境界イベントログとして特定してもよい。
【0013】
前記の構成によれば、注目イベントと無関係のイベントが記録されたイベントログ(非関連イベントログ)を、境界イベントログの日時に基づいて、抽出集合から排除することができる。具体的には、境界イベントログの日時以前の非関連イベントログを排除することができる。さらに、注目イベントの日時に基づいて、非関連イベントログを抽出集合から排除することができる。具体的には、注目イベントログの日時以降の非関連イベントログを排除することができる。
【0014】
これにより、ユーザが注目しているイベントに、まったく無関係なイベントが抽出集合から排除され、注目イベントに本当に関連しているイベントのみが、関連イベントログとしてユーザに情報提供される。結果として、非熟練者であっても、関連するイベントを、収集されたイベントログから容易かつ短期に特定することが可能になるという効果を奏する。
【0015】
本発明の一態様に係る情報処理装置において、前記表示制御部は、前記注目イベントログおよび抽出された前記関連イベントログを、その他のイベントログとは異なる色で表示させてもよい。
【0016】
したがって、ユーザは、その他のイベントログと区別して、注目イベントログおよび関連イベントログを一目で認識することができる。結果として、非熟練者であっても、関連するイベントを、収集されたイベントログから容易かつ短期に特定することが可能になるという効果を奏する。
【0017】
本発明の一態様に係る情報処理装置において、前記イベントログは、前記イベントが発生した日時を示す情報をさらに含んでおり、前記抽出部は、イベントログに含まれる日時が、前記注目イベントログの日時から前後所定時間以内であるイベントログを、関連イベントログとして抽出し、前記表示制御部は、前記注目イベントログおよび抽出された前記関連イベントログを、その他のイベントログを除き、前記表示部に表示させる。
【0018】
前記の構成によれば、ユーザが注目するイベントログを1つ選択すると、そのイベントログの日時から前後所定時間以内に発生したイベントのイベントログが、関連イベントログとして抽出される。短い期間にまとめて発生したイベントは、互いに関連し合っている可能性が高い。そして、ユーザによって注目されている注目イベントログおよび近いタイミングで発生したイベントの関連イベントログだけが、前記表示部に表示される。
【0019】
したがって、ユーザは、注目イベントログおよび近いタイミングで起こった関連イベントのログを、その他のイベントログと区別して、一目で認識することができる。結果として、非熟練者であっても、関連するイベントを、収集されたイベントログから容易かつ短期に特定することが可能になるという効果を奏する。
【0020】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る方法は、マスタ装置によって収集された、マスタスレーブ制御システムにおいて発生する所定のイベントを記録するイベントログを処理する情報処理装置の制御方法であって、該イベントログは、発生したイベントの内容を示す情報を少なくとも含んでおり、イベントごとにログ記憶部に記憶されるものであり、該情報処理装置は、表示部と、操作部とを備えており、1以上の前記イベントログを前記表示部に表示させる第1表示制御ステップと、表示されたイベントログのうち、前記操作部を介してユーザにより指定されたイベントログを注目イベントログとして特定する特定ステップと、前記注目イベントログに記録された注目イベントに関連する関連イベントを、所定の規則に基づいて特定し、該関連イベントの発生を記録した関連イベントログを、前記ログ記憶部から抽出する抽出ステップと、前記注目イベントログおよび抽出された前記関連イベントログを、前記表示部に表示させる第2表示制御ステップとを含んでいる。
【0021】
本発明の各態様に係る情報処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記情報処理装置が備える各部(ソフトウェア要素、例えば、表示制御部、特定部および抽出部)として動作させることにより前記情報処理装置をコンピュータにて実現させる情報処理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、非熟練者であっても、関連するイベントログを、容易かつ短期に特定することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム管理装置の要部構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るイベントログDBの一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るルールテーブルの一例を示す図であり、(a)は、FAシステムにおいて発生し得るイベントのうち、イベントログとして記録すべき対象となっている所定のイベントの一覧を示すテーブルであり、(b)は、関連装置と境界イベントとの対応関係を示すテーブルであり、(c)は、注目イベントと関連イベントとの対応関係を示すテーブルである。
図5】本発明の実施形態1に係るシステム管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】前記処理にしたがって表示部に表示されるGUI画面の一具体例を示す図である。
図7】前記処理にしたがって表示部に表示されるGUI画面の別の具体例を示す図である。
図8】本発明の実施形態2に係るシステム管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】前記処理にしたがって表示部に表示されるGUI画面の一具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔実施形態1〕
(システム概要)
本発明の実施形態1について図1から図7に基づいて詳細に説明する。実施形態1では、一例として、FA(Factory Automation)システムを管理するための情報処理システムに、本発明に係る情報処理装置の構成を適用したものとして説明する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム100の概要を示す図である。情報処理システム100は、1以上のFAシステム8と、それぞれのFAシステム8と広域ネットワーク9を介して通信することにより、FAシステム8を統括して管理するサーバ2とを含む。
【0026】
FAシステム8は、工場内に設置される複数の機械から成る生産設備を機能ごとにまとめた単位であり、工場製造工程の自動化を実現するシステムである。本実施形態では、例えば、FAシステム8は、マスタスレーブ制御システムによって実現される。一例として、FAシステム8は、少なくとも1つのシステム管理装置1、マスタ装置3、スレーブ装置4およびデバイス5を含む。前記マスタスレーブ制御システムにおいては、マスタ装置3とスレーブ装置4とを接続するネットワーク上をデータフレームが順次転送されることで、両装置の間でデータが送受信される。
【0027】
マスタ装置3は、ネットワーク(例えばFAシステム8内のローカルエリアネットワーク)を介して、スレーブ装置4との間のデータ伝送を管理する。マスタ装置3は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)などである。
【0028】
スレーブ装置4は、マスタ装置3の制御にしたがって製造工程に関する1または複数の機能を実行する。スレーブ装置4としては、第1に、ネットワークを介して、マスタ装置3と通信し、マスタ装置3の制御下でデバイス5の駆動を制御するスレーブ装置4aがある。1以上のスレーブ装置4aは、例えば、通信ケーブルを介して、マスタ装置3にデイジーチェーン接続される。さらに、スレーブ装置4aには、通信ケーブルを介して、1つ以上のデバイス5が接続される。すなわち、スレーブ装置4aは、マスタ装置3とデバイス5との間でデータの送受信を行なうための中継装置として機能する。スレーブ装置4aは、例えば、ECATスレーブなどである。第2に、スレーブ装置4として、マスタ装置3に付属して所定の機能を実行する付属スレーブ装置4bがある。付属スレーブ装置4bは、例えば、Busユニットなどで実現される。
【0029】
デバイス5は、製造装置または検査装置などの機械である。デバイス5は、例えば、センサ(温度センサ、光センサなど)、スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)のような入力機器であってもよいし、または、アクチュエータ、リレー、電磁弁、表示器などのような出力機器であってもよい。FAシステム8においては、マスタ装置3が、スレーブ装置4aを介して、デバイス5の動作制御およびデバイス5の出力データの受信を行う。
【0030】
より具体的には、マスタ装置3は、センサなどの入力機器であるデバイス5からの情報を入力データとして取得し、予め組み込まれたユーザプログラムに従って、デバイス5からの入力データを用いて演算処理を実行する。マスタ装置3は、実行結果に基づいて、アクチュエータなどの出力機器であるデバイス5への制御内容を決定し、その制御内容に対応する制御データを、スレーブ装置4aを介して、デバイス5へ出力する。
【0031】
スレーブ装置4aは、例えば、マスタ装置3からの制御指示を出力先のデバイス5に与える出力ユニットとしてのモータ制御装置として機能してもよいし、または、マスタ装置3が入力元のデバイス5の状態を取り込むための入力ユニットとしてのデバイス通信管理ユニットとして機能してもよい。
【0032】
マスタ装置3とスレーブ装置4aとを接続するネットワークは、マスタ装置3が受信する各種データ、または、マスタ装置3が送信する各種データを伝送する。該ネットワークは、例えば、EtherCAT(登録商標)、PROFINET(登録商標)、MECHATROLINK(登録商標)−III、Powerlink、SERCOS(登録商標)−III、CIP Motionなどである。また、該ネットワークは、例えば、EtherNet/IP(登録商標)、DeviceNet、CompoNet(登録商標)などであってもよい。
【0033】
なお、「マスタ装置」および「スレーブ装置」は、マスタ装置3とスレーブ装置4とを接続するネットワーク上のデータ伝送の制御機能に着目して定義されるものであり、各装置間でどのような情報が送受信されるかについては、特に限定されない。
【0034】
また、マスタ装置3とスレーブ装置4aとを接続するネットワークと、スレーブ装置4aとデバイス5とを接続するネットワークとを区別するために、前者を「上位バス(上位通信ネットワーク)」と称し、後者を「下位バス(下位通信ネットワーク)」と称する。
【0035】
FAシステム8において、FAシステム8内のローカルエリアネットワークを介して、システム管理装置1が接続されている。システム管理装置1は、ローカルエリアネットワークを介して、マスタ装置3と通信することができる。システム管理装置1は、人が、FAシステム8内の各種機械(マスタ装置3、スレーブ装置4およびデバイス5)と情報をやり取りするための手段である。具体的には、システム管理装置1は、人が機械を操作したり、機械に指示を与えたりするための入力手段と、人が機械の現在の状態または処理結果を機械から取得するための出力手段とを備えている。システム管理装置1は、例えば、PC(Personal Computer)などであり、前記入力手段として、例えば、スイッチ、ボタン、ハンドル、ダイヤル、ペダル、リモコン、マイク、キーボード、マウスなどを有する。また、システム管理装置1は、前記出力手段として、例えば、液晶画面、メーター、ランプ、スピーカーなどを有する。
【0036】
本実施形態では、システム管理装置1は、とりわけ、FAシステム8内の各種機械またはこれらを接続するネットワークにおいて発生したイベントのイベントログを、ユーザの指示にしたがって提示する機能を備えている。この機能は、例えば、FAシステム8内で何らかのエラーが生じた場合に、その真因を特定するために必要な情報をユーザに提供するために利用される。
【0037】
本実施形態では、情報処理システム100において、個々のFAシステム8においてマスタ装置3が収集したイベントログは、広域ネットワーク9を介してサーバ2に集約される。サーバ2は、各FAシステム8のマスタ装置3から受信したイベントログを、FAシステム8ごとに、イベントログデータベース20(以下、イベントログDB20)に集約する。
【0038】
システム管理装置1は、必要に応じて、自装置が管理するFAシステム8のイベントログをサーバ2のイベントログDB20からダウンロードし、前述の出力手段(例えば、液晶画面など)に出力する。これにより、ユーザは、FAシステム8のイベントログを液晶画面から確認することができる。
【0039】
さらに、システム管理装置1は、膨大な量のイベントログの中から、FAシステム8内で発生した特定のエラーに関連するイベントログのみを抽出して前記出力手段を介して出力することができる。システム管理装置1は、サーバ2のルールテーブル21に格納されているルールを取得して、ルールにしたがって必要なイベントログを抽出することができる。本発明の一実施形態に係るイベントログの抽出機能について、以下で詳細に説明する。
【0040】
(システム管理装置の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム管理装置1の要部構成を示すブロック図である。システム管理装置1は、制御部10、操作部11、通信部12、記憶部13および表示部14を備えている。なお、発明の理解を容易にするため、システム管理装置1が有する一般的なPCとしてのその他の機能については、図示を省略している。
【0041】
操作部11は、ユーザがシステム管理装置1を操作するための指示信号を入力するためのものであり、前述の入力手段として機能する。操作部11は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどである。
【0042】
通信部12は、所定の通信方式にしたがう通信ネットワークを介して外部装置と通信する。外部装置との通信を実現する本質的な機能が備わってさえいればよく、通信回線、通信方式、または通信媒体などは限定されない。例えば、通信部12は、広域ネットワーク9を介して、サーバ2と通信してもよいし、FAシステム8内のローカルエリアネットワークを介して、マスタ装置3と通信してもよい。
【0043】
記憶部13は、ROM(read only memory)、NVRAM(non-Volatile random access memory)、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成され、システム管理装置1が処理する各種情報を記憶する。
【0044】
表示部14は、システム管理装置1が処理する情報、例えば、GUI(Graphical User Interface)画面などを表示するものであり、前述の出力手段として機能する。表示部14は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)などの表示装置で実現される。具体的には、表示部14には、システム管理装置1が管理するFAシステム8のイベントログのテーブルが表示される。
【0045】
制御部10は、システム管理装置1が有する各種の機能を統括的に制御する。制御部10は、機能ブロックとして、特定部30、抽出部31および表示制御部32を含んでいる。上述した制御部10の各機能ブロックは、例えば、CPU(central processing unit)などが、ROM(read only memory)、NVRAM(non-Volatile random access memory)などで実現された記憶装置(記憶部13)に記憶されているプログラムを不図示のRAM(random access memory)などに読み出して実行することで実現できる。
【0046】
特定部30は、条件指定イベントログを、イベントログDB20から特定する。条件指定イベントログとは、目的のイベントログを抽出するための条件を指定するイベントログのことを指す。本実施形態では、条件指定イベントログは、具体的には、注目イベントログおよび境界イベントログである。
【0047】
注目イベントログとは、表示部14に表示されているイベントログのうち、ユーザが操作部11を操作して選択したイベントログを指す。イベントのログの選択は、例えば、ユーザが、表示部14に表示されているカーソルを選択したいイベントログに当てて、クリックすることによって実施される。この場合、特定部30は、クリック操作が入力されたときに、カーソルが当たっているイベントログを注目イベントログとして特定してもよい。
【0048】
境界イベントログとは、前記注目イベントログに示された注目イベントに無関係なイベントログと、関係があるかもしれないイベントログとを、時系列に基づいて隔てているイベントログを指す。すなわち、境界イベントログは、発生日時の時系列に基づいて、関連イベントログの候補と、非関連イベントログとの境界にあり、両者を隔てている。なお、以下では、関連イベントの候補と、非関連イベントとを日時の時系列に基づいて隔てるイベントを境界イベントと称する。
【0049】
例えば、注目イベントがマスタ装置3の故障に関するイベントであるとすると、マスタ装置3の電源が投入される前に起こったイベントは、該注目イベントと無関係であると言える。そこで、注目イベントがマスタ装置3の故障に関するイベントである場合、特定部30は、「マスタ装置3の電源投入」を境界イベントとして特定する。そして、特定部30は、前記注目イベントログからさかのぼって、マスタ装置3の電源が投入されたことを示す直近のイベントログを、境界イベントログとして特定してもよい。
【0050】
上述のように特定部30が境界イベントログを特定するためのルールは、後述するルールテーブル21に記憶されている。特定部30は、通信部12を介して、ルールをルールテーブル21から取得することができる。
【0051】
抽出部31は、特定部30によって特定された条件指定イベントログが指定する条件にしたがって、注目イベントに関連する関連イベントを示した関連イベントログをイベントログDB20から抽出する。
【0052】
具体的には、抽出部31は、まず、通信部12を介して関連イベントログを抽出するためのルールを取得する。前記ルールは、どのイベントがどのイベントに関連するのかを示すイベント間の関連性を示す情報を含んでいる。次に、抽出部31は、前記注目イベントに関連ありとされる関連イベントを前記ルールにしたがって特定する。そして、抽出部31は、特定した関連イベントの発生を示すイベントログを関連イベントログとして抽出する。
【0053】
さらに、抽出部31は、必要に応じて、境界イベントログに基づいて、抽出した関連イベントログをさらに絞り込んでもよい。すなわち、抽出部31は、抽出した関連イベントログのうち、前記境界イベントよりも後に発生した関連イベントを示す関連イベントログのみを抽出しなおすことができる。
【0054】
なお、抽出部31は、前記注目イベントよりも前に発生したイベントを関連イベントとして抽出するものとする。当然のことながら、注目イベントよりも後に発生したイベントが、該注目イベントの発生の要因になることはないと考えられるからである。
【0055】
表示制御部32は、制御部10に含まれる上流の各部によって処理された情報をGUI画面として表示部14に表示させる。表示制御部32は、抽出部31がイベントログDB20から取得した、自装置が管理するFAシステム8のイベントログを、表示部14に表示させてもよい。さらに、表示制御部32は、抽出部31によって最終的に抽出された関連イベントログと、注目イベントログとをグルーピングして、これらのイベントログを他のイベントログと区別して強調表示させてもよい。例えば、表示制御部32は、グルーピングした各イベントログに同じ色を付して表示させてもよい。さらに、表示制御部32は、特定部30によって特定された注目イベントログおよび境界イベントログがそれぞれどこになるのかが一目で分かるように、これらのイベントログの表示態様を、他のイベントログと異ならせてもよい(太枠を付して表示する、特別な色で表示する、など)。
【0056】
(イベントログDB)
図3は、イベントログDB20の一例を示す図である。サーバ2は、FAシステム8ごとに、イベントログDBを有する。図3に示すのは、1つのFAシステム8についてのイベントログDBの一例である。
【0057】
イベントログDBにおいて、1つのイベントの発生を示すイベントログは、例えば、「エントリNo.」、「日時」、「重要度」、「発生源」、「発生源詳細」、「イベント名」および「イベントコード」の各項目を含む。「エントリNo.」は、該イベントログがイベントログDB20に登録された順番に一意に付与される番号である。「日時」は、該イベントログに示されたイベントが発生した日時を示す情報である。「重要度」は、発生したイベントの種別またはエラーの深刻度を示す情報である。「発生源」は、該イベントが発生した場所を示す情報である。「発生源詳細」は、発生した場所がFAシステム8内のいずれかの機械である場合に、その機械を一意に特定する情報である。「イベント名」は、発生したイベントの名称を示す情報である。イベント名には、イベントの内容が端的に表現され、ユーザがイベントの内容を想起しやすい言葉が用いられることが好ましい。「イベントコード」は、情報処理システム100の各装置が、イベントを一意に識別するための識別情報である。
【0058】
抽出部31は、自装置が管理するFAシステム8のイベントログDBを、サーバ2のイベントログDB20から取得する。表示制御部32は、取得されたイベントログDBを、図3に示すように、表示部14に表示させる。
【0059】
(ルールテーブル)
図4は、ルールテーブル21の一例を示す図である。ルールテーブルは、FAシステム8を所有する顧客の要望に応じて、FAシステム8ごとに作成されてもよいし、すべての顧客(FAシステム8)に共通する1つのルールテーブルが作成されてもよい。
【0060】
図4の(a)は、FAシステム8において発生し得るイベントのうち、イベントログとして記録すべき対象となっているイベントの一覧を示すテーブルである。該テーブルは、「イベントコード」、「イベント名」、および、「関連装置」の項目を有する。「関連装置」は、該イベントの発生に密接に関与する装置を示す情報である。例えば、イベントコード「0x01」の「タスク実行タイムアウト」という名称のイベントに密接に関与するのは、FAシステム8を構成する機械の中で、特に「マスタ装置3」である。
【0061】
図4の(b)は、関連装置と境界イベントとの対応関係を示すテーブルである。該テーブルにおいて、「関連装置」の項目に、「境界イベント」の項目が対応付けられている。「境界イベント」は、注目イベントに密接に関与する関連装置のどのイベントを境界にして、抽出対象をさらに絞り込むのかを示す情報である。例えば、注目イベントの関連装置がマスタ装置3である場合、特定部30は、図4の(b)に示すテーブルを参照して、マスタ装置3の電源投入イベントを境界イベントとして特定する。そして、特定部30は、注目イベントログからさかのぼって、直近のマスタ装置3の電源投入イベントを示すイベントログを境界イベントログとして特定する。抽出部31は、前記境界イベントログの日時以降に発生したイベントのイベントログに限定して、関連イベントログを抽出することができる。
【0062】
図4の(c)は、注目イベントと関連イベントとの対応関係を示すテーブルである。該テーブルにおいて「注目イベント」の項目に、「関連イベント」の項目が対応付けられている。各イベントの項目は、「イベントコード」だけであってもよいし、「イベント名」だけであってもよい。注目イベントと関連イベントとの対応関係は、1対1である必要はなく、ルール2〜ルール5に示されているとおり、1つの注目イベントに、複数の関連イベントが対応付けられていてもよい(1対多)。あるいは、1つの関連イベントは、複数の注目イベントに対応付けられていてもよい(多対1)。
【0063】
例えば、注目イベントが「タスク実行タイムアウト」である場合、抽出部31は、ルール1にしたがって、「ネットワーク構成照合異常」のイベントを、関連イベントとしてイベントログDBから抽出する。
【0064】
(処理フロー)
図5は、実施形態1のシステム管理装置1の処理の流れを示すフローチャートである。図6および図7は、前記処理にしたがって表示部14に表示されるGUI画面の一具体例を示す図である。
【0065】
まず、操作部11を介して、FAシステム8のイベントログDBを表示する旨の指示が入力されると、抽出部31は、サーバ2に対して、自装置が管理するFAシステム8に係るイベントログDBを要求する。表示制御部32は、抽出部31によって取得されたイベントログDBを、例えば図3に示すように表示部14に表示させる(S11)。表示制御部32は、初期位置となるイベントログの位置に、カーソルを表示してもよい。
【0066】
図3に示すイベントログのうち、いずれか1つにカーソルが当たっている状態で、操作部11を介してクリック操作がなされると(S12でYES)、特定部30は、カーソルが当たっているイベントログを注目イベントログとして特定する(S13)。
【0067】
次に、抽出部31は、ルールテーブル21から図4の(c)に示すテーブルを読み出す(S14)。抽出部31は、該テーブルを参照して、S13にて特定された注目イベントログに対応する関連イベントログを、S11で取得されたイベントログDBから抽出する(S15)。
【0068】
一方、特定部30は、図4の(a)に示すテーブルをルールテーブル21から取得して参照し、注目イベントに密接に関与する関連装置を特定する(S16)。次に、特定部30は、図4の(b)に示すテーブルをルールテーブル21から取得して参照し、特定した関連装置に対応付けられた境界イベントを示す境界イベントログを、前記イベントログDBの中から特定する(S17)。
【0069】
抽出部31は、S15にて抽出した関連イベントログから、S17にて特定された境界イベントログの日時よりも後の日時を有する関連イベントログのみに絞り込む(S18)。表示制御部32は、S13にて特定された注目イベントログと、S18にて絞り込まれた関連イベントログとをグルーピングし、これらのイベントログを、それ以外のイベントログと区別して、強調表示する(S19)。例えば、表示制御部32は、注目イベントログと関連イベントログとのみに共通する色を付してもよい。
【0070】
図6は、エントリNo.「0663」のレコードが注目イベントログである場合に、表示部14に表示されるGUI画面の一例を示す。「0663」のレコードがクリックされると、特定部30は、注目イベントを「タスク実行タイムアウト」と特定する。抽出部31は、図4の(c)に示すルール1に基づいて、「ネットワーク構成照合異常」を示す関連イベントログをイベントログDBから抽出する。図3に示す例では、エントリNo.「0349」、「0320」、「0252」および「0248」のレコードが抽出される。
【0071】
特定部30は、図4の(a)および(b)に示す各テーブルに基づいて、前記注目イベントに対応する境界イベントは、「マスタ装置3の電源投入」であると特定する。特定部30は、注目イベントログ「0663」からさかのぼって、直近の「マスタ装置3の電源投入」のイベントを示すイベントログ(エントリNo.「0333」)を境界イベントログとして特定する。先に抽出された関連イベントログ(エントリNo.「0349」、「0320」、「0252」および「0248」)のうち、「0333」の境界イベントログの日時以降に発生したものは、エントリNo.「0349」のレコードだけである。そこで、抽出部31は、絞り込み結果(エントリNo.「0349」のレコード)を表示制御部32に出力する。
【0072】
表示制御部32は、エントリNo.「0663」の注目イベントログと、エントリNo.「0349」の関連イベントログとをグルーピングし、これらのイベントログに特定の色を付けて表示部14に表示させる(図6)。さらに、表示制御部32は、エントリNo.「0663」のレコードが注目イベントログであることを示す太枠(カーソル)を該イベントログに当てて表示してもよい。さらに、表示制御部32は、エントリNo.「0333」のレコードが境界イベントログであることを示すために境界イベントログの表示態様を他のイベントログと異ならせてもよい。図6に示す例では、表示制御部32は、さらに別の色で境界イベントログを表示させる。図6に示されているとおり、イベントログが日時の降順でソートされて表示されている場合、関連イベントログは、注目イベントログと境界イベントログとの間にあるということが分かる。
【0073】
図7は、エントリNo.「0328」のレコードが注目イベントログである場合に、表示部14に表示されるGUI画面の一例を示す。「0328」のレコードがクリックされると、特定部30は、注目イベントを「PLCシステム処理異常」と特定し、境界イベントを「マスタ装置3の電源投入」と特定する。抽出部31は、ルール2〜5にしたがって、注目イベントログ「0328」から境界イベントログ「0254」までの間にある、関連イベントを抽出する。具体的には、エントリNo.「0255」、「0325」、「0326」および「0327」のレコードが抽出される。表示制御部32は、エントリNo.「0328」の注目イベントログと、エントリNo.「0255」、「0325」、「0326」および「0327」の関連イベントログとをグルーピングし、これらのイベントログに特定の色を付けて表示部14に表示させる(図7)。
【0074】
前述の構成および方法によれば、ユーザは、境界イベントログと注目イベントログとではさまれているイベントログのうち、注目イベントログと同じ色が付された関連イベントログをまず確認すればよいということが一目で分かる。さらに、グルーピングに基づいて色分けしておけば、注目イベントログから離れたところにある関連イベント(例えば、図7のエントリNo.「0255」のイベントログなど)についても、それが関連しているということをユーザは一目で理解することができる。つまり、ユーザは、非熟練者であっても、注目イベント(故障のイベント)と関係がある関連イベントを、膨大な量のイベントログの中から、容易かつ短期に特定することが可能となる。特に、マスタスレーブ制御システムにおいては、下位のスレーブ装置4およびデバイス5、ならびに、これらをつなぐネットワークに関するすべてのイベントが、上位のマスタ装置3によって収集されるので、イベントログの数は、非常に膨大になる。そのため、前述の構成および方法をマスタスレーブ制御システムに適用することの効果は非常に大きい。
【0075】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について図8および図9に基づいて詳細に説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。実施形態2では、システム管理装置1は、注目イベントが発生した日時に着目して関連イベントを抽出する。
【0076】
図8は、実施形態2のシステム管理装置1の処理の流れを示すフローチャートである。図9は、前記処理にしたがって表示部14に表示されるGUI画面の一具体例を示す図である。
【0077】
S21〜S23は、実施形態1のS11〜S13と同様である。次に、抽出部31は、S23にて特定された注目イベントログの日時を参照し、該日時の付近で短時間に発生したイベントのイベントログを抽出する(S24)。例えば、抽出部31は、注目イベントログの日時の前後1分以内に発生したイベントのイベントログを抽出してもよい。あるいは、閾値は、「前後1分以内」に限らず、例えば、「前後1秒以内」であってもよい。閾値は、抽出したいイベントの性質に合わせて適切な値が設定される。
【0078】
表示制御部32は、S23にて特定された注目イベントログと、S24にて抽出された関連イベントログとをグルーピングし、これらのイベントログを、それ以外のイベントログと区別して表示する(S25)。例えば、表示制御部32は、グルーピングしたイベントログのみを、表示部14に表示させてもよい。
【0079】
図9は、エントリNo.「0328」のレコードが注目イベントログである場合に、表示部14に表示されるGUI画面の一例を示す。「0328」のレコードがクリックされると、抽出部31は、該レコードの日時「2016/10/13 18:16:26」の前後1分以内に発生したイベントのイベントログを関連イベントログとして抽出する。具体的には、エントリNo.「0325」、「0326」および「0327」のレコードが抽出される。表示制御部32は、エントリNo.「0328」の注目イベントログと、エントリNo.「0325」、「0326」および「0327」の関連イベントログとをグルーピングし、これらのイベントログを表示部14に表示させる(図9)。
【0080】
前述の構成および方法によれば、ユーザは、短期間(例えば、注目イベントの発生日時から前後1分間)に発生したイベントだけが列挙されたリストを得ることができる。短期間にまとめて発生した各イベントは、1つの真因に基づいて、互いに関連している可能性が高い。したがって、ユーザは、非熟練者であっても、注目イベント(故障のイベント)と関係がある関連イベントを、膨大な量のイベントログの中から、容易かつ短期に特定することが可能となる。
【0081】
〔変形例〕
情報処理システム100は、FAシステム8内に、HMI(Human Machine Interface)を含んでいてもよい。HMIは、マスタ装置3の動作をユーザが制御するためのユーザインターフェースであり、例えば、タッチパネルで実現される。HMI(情報処理装置)は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して、マスタ装置3に接続されてもよいし、システム管理装置1と同様に、FAシステム8におけるローカルエリアネットワークなどを介して、マスタ装置3に接続されてもよい。
【0082】
システム管理装置1、サーバ2、マスタ装置3、または、前記HMIのうちの1台が、本発明に係る情報処理装置として機能してもよいし、システム管理装置1、サーバ2、マスタ装置3および前記HMIのうちの少なくとも複数台が、本発明に係る情報処理装置として機能してもよい。すなわち、本発明に係る情報処理装置が備える、イベントログDB20、ルールテーブル21、特定部30、抽出部31、および、表示制御部32は、それぞれ、システム管理装置1、サーバ2、マスタ装置3および前記HMIのいずれに設けられていてもよい。
【0083】
具体的には、ルールテーブル21は、マスタ装置3または前記HMIが保持していてもよいし、システム管理装置1が、記憶部13に記憶していてもよい。
【0084】
イベントログDB20は、マスタ装置3が保持していてもよい。あるいは、システム管理装置1が、ローカルエリアネットワークを介して、定期的にマスタ装置3またはサーバ2に問い合わせて、常に最新のイベントログDB20を記憶部13に記憶していてもよい。あるいは、前記HMIが必要に応じてマスタ装置3から読み出す構成であってもよい。いずれの場合においても、イベントログDB20は、システム管理装置1が管理する1つのFAシステム8についてのイベントログDBである。
【0085】
特定部30は、サーバ2に備えられていてもよいし、マスタ装置3に備えられていてもよいし、前記HMIに備えられていてもよい。抽出部31は、サーバ2に備えられていてもよいし、マスタ装置3に備えられていてもよいし、前記HMIに備えられていてもよい。特定部30および抽出部31は、同一の装置に備えられていてもよいし、それぞれ異なる装置に備えられていてもよい。
【0086】
例えば、特定部30および抽出部31がサーバ2に備えられている場合、システム管理装置1または前記HMIの制御部10は、操作部11を介して受け付けたクリック操作に基づいて、選択されたイベントログをクエリとして、抽出結果を要求するリクエストをサーバ2に送信する。サーバ2の特定部30および抽出部31が実施形態1または実施形態2に記載した方法を実行することにより、関連イベントログが抽出される。システム管理装置1または前記HMIの表示制御部32は、抽出された関連イベントログをサーバ2からレスポンスとして受信して、これらのイベントログを表示部14に強調表示させる。
【0087】
〔ソフトウェアによる実現例〕
システム管理装置1の制御ブロック(特に、特定部30、抽出部31および表示制御部32)は、集積回路(ICチップ)などに形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0088】
後者の場合、システム管理装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、前記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波など)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0089】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1 システム管理装置(情報処理装置)
2 サーバ(情報処理装置)
3 マスタ装置(情報処理装置)
4a スレーブ装置
4b 付属スレーブ装置(スレーブ装置)
5 デバイス
8 FAシステム(マスタスレーブ制御システム)
9 広域ネットワーク
10 制御部
11 操作部
12 通信部
13 記憶部
14 表示部
20 イベントログDB(ログ記憶部)
21 ルールテーブル
30 特定部
31 抽出部
32 表示制御部
100 情報処理システム(情報処理装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9