特許第6972617号(P6972617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972617パン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972617
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】パン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物
(51)【国際特許分類】
   A23D 7/005 20060101AFI20211111BHJP
   A23D 7/00 20060101ALI20211111BHJP
   A21D 2/36 20060101ALN20211111BHJP
   A21D 2/26 20060101ALN20211111BHJP
【FI】
   A23D7/005
   A23D7/00 506
   !A21D2/36
   !A21D2/26
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-70105(P2017-70105)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-170967(P2018-170967A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2020年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】315015162
【氏名又は名称】不二製油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】古谷 憲一
(72)【発明者】
【氏名】円谷 恭子
(72)【発明者】
【氏名】城谷 直紀
(72)【発明者】
【氏名】田上 孝一
【審査官】 緒形 友美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−113088(JP,A)
【文献】 特開平09−094052(JP,A)
【文献】 特開平09−233993(JP,A)
【文献】 特開2003−180233(JP,A)
【文献】 特開2001−327248(JP,A)
【文献】 特開平10−234290(JP,A)
【文献】 特開平08−196198(JP,A)
【文献】 特開2016−174577(JP,A)
【文献】 小林功,加工デンプンの特性と食品への利用方法,独立行政法人 農畜産業振興機構ホームページ,2015年10月09日,https://www.alic.go.jp/joho-d/joho08_000553.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/005
A23D 7/00
A21D 2/36
A21D 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂7〜40質量%、澱粉2〜15質量%、蛋白質2〜10質量%、水分を含み、かつ下記A)〜C)の特徴を有するパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物。
A)蛋白質含有素材として、全脂大豆からの水抽出物であって、炭水化物に対する蛋白質の重量比が100〜200質量%である大豆抽出物を含むこと、
B)酸を含むこと、
C)性状が可塑性を有すること
【請求項2】
油脂を10〜40質量%含む、請求項1記載のパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物。
【請求項3】
蛋白質含有素材として、該大豆抽出物と、さらに他の大豆蛋白素材を含む、請求項1又は2記載のパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物。
【請求項4】
該大豆蛋白素材が、分離大豆蛋白である、請求項3記載のパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載のパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物をパン生地に練り込むことを特徴とする、パンの製造法。
【請求項6】
該パン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物をパン生地に加えるタイミングが、油脂以外の原料を先に混練してグルテンを形成させた後に、油脂を加えるタイミングである、請求項5記載のパンの製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パンは、元来穀物の加工形態として創出され、通常原料として小麦粉、イースト、食塩、水に、砂糖、乳製品、油脂、その他の副原料を配合し、または食品添加物を加え混合し
た生地を発酵・膨化させ焼成して作られる。
ところで、最近の消費者のパンの嗜好傾向の一つとして、ソフトな食感に加えて、もっちりとした食感のパンを嗜好する傾向にある。パンにもっちりとした食感を付与する方法として、特許文献1には高度分岐環状デキストリンをパン生地に添加する方法が提供されている。
また、特許文献2には、油脂、糖アルコール、澱粉、蛋白質および増粘剤を含む水中油型乳化油脂組成物を、パン生地に添加する方法が提供されている。
また、特許文献3には、湯種製法において、有機酸を水中油型に乳化した、酸性水中油型乳化油脂組成物を湯種生地に添加する方法が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−87513号公報
【特許文献2】特開平10−234290号公報
【特許文献3】特開2009−201468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、もっちりとした食感を有しつつ、かつ、歯切れの良い食感を有するパンを製造することができる、パン生地に練り込んで使用する新素材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の構成を包含する。
(1)油脂、澱粉、蛋白質、水分を含み、かつ下記A)〜C)の特徴を有するパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物。 A)蛋白質含有素材として、全脂大豆からの水抽出物であって、炭水化物に対する蛋白質の重量比が100〜200質量%である大豆抽出物を含むこと、 B)酸を含むこと、 C)性状が可塑性を有すること、
(2)油脂を5〜40質量%含む、前記(1)記載のパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物、
(3)澱粉を2〜15質量%含む、前記(1)又は(2)記載のパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物、
(4)蛋白質を1〜10質量%含む、前記(1)〜(3)の何れか1項記載のパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物、
(5)蛋白質含有素材として、該大豆抽出物と、さらに他の大豆蛋白素材を含む、前記(1)〜(4)の何れか1項記載のパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物、
(6)該大豆蛋白素材が、分離大豆蛋白である、前記(5)記載のパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によって提供される水中油型乳化油脂組成物をパン生地に練り込んでパンを製造することにより、もっちりとした食感を有しつつ、かつ、歯切れの良い食感を有するパンを製造することができるを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のパン生地練り込み用水中油型乳化油脂組成物(以下、単に「水中油型乳化油脂組成物」と称する場合がある。)は、油脂、澱粉、蛋白質、水分を含み、かつ、A)蛋白質含有素材として、全脂大豆からの水抽出物であって、炭水化物に対する蛋白質の重量比が100〜200質量%である大豆抽出物を含むこと、B)少なくとも蛋白質を含む原料の一部又は全部が乳酸発酵されていること、および、C)性状が可塑性 あることを特徴とする。以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0008】
(油脂)
本発明の水中油型乳化油脂組成物に用いられる油脂としては、食用として用いられているものであれば植物性油脂、動物性油脂の何れを用いてもよく、例えば、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂、又はこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組合せて用いることもできる。
【0009】
本発明の水中油型乳化油脂組成物中の油脂の含量は、上記油脂以外の原料中に含まれる脂質も含めた脂質含量として、5質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上又は10質量%以上などとすることができる。また、さらに40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下又は26質量%以下などとすることができる。
【0010】
(澱粉)
本発明の水中油型乳化油脂組成物に用いられる澱粉としては、食用として用いられているものであれば何れを用いてもよく、例えば、小麦澱粉、米澱粉、モチ米澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等の生澱粉や、これらに架橋処理、α化処理、エーテル化処理、エステル化処理、分解処理等の処理が施された化工澱粉等が挙げられる。
【0011】
本発明の水中油型乳化油脂組成物中の澱粉の含量は、2質量%以上、3質量%以上、3.5質量%以上、4質量%以上又は4.5質量%以上などとすることができる。また、さらに15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下又は7.5質量%以下などとすることができる。
【0012】
(蛋白質)
本発明の水中油型乳化油脂組成物に用いられる蛋白質としては、主に蛋白質含有素材の配合に由来する。
蛋白質含有素材として、少なくとも上記A)の特定の大豆抽出物(以下、「本抽出物」と称する場合がある。)を用いることを特徴とする。本発明の水中油型乳化油脂組成物中の総蛋白質における本抽出物由来の蛋白質の割合は、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上又は100質量%とすることができる。
【0013】
(大豆抽出物)
以下、本抽出物の態様について説明する。
本抽出物の原料となる大豆は、全脂大豆である。全脂大豆は、圧搾やロールによる物理的処理や有機溶剤処理などにより大豆油の抽出処理がされていないものをいう。脂質含量は特に限定されないが、抽出処理がされていない全脂大豆では固形分中15質量%を超えるのが通常であり、多くは18質量%以上である。分離大豆蛋白や醤油の製造などに使用されているような脱脂大豆を原料とした場合は、本発明の効果を奏しにくい。
【0014】
本抽出物の原料となる全脂大豆は未粉砕のままでも良いし、水性溶媒により抽出する前に予め砕かれていても良い。全脂大豆を予め砕く場合の粒子径は任意であり、粗砕でも粉砕でも良い。
【0015】
また全脂大豆は生のままでも良いが、水性溶媒により抽出される前に、予め加熱処理されていることがより好ましい。特に全脂大豆を砕く場合においては、砕く前に予め加熱処理を行っておくのがより好ましい。全脂大豆の加熱処理の方法は特に限定されず、例えば乾熱処理、水蒸気処理、過熱水蒸気処理、マイクロ波処理等を用いることができる。また水に浸漬した後、抽出前に加熱処理することもできる。
【0016】
加熱処理の程度は抽出物に焦げ臭が付与されない程度が好ましい。加熱の程度は蛋白質
の変性度合を表すNSI(水溶性窒素指数)により表すことができ、NSIは15〜77が好ましく、40〜70がより好ましい。かかる範囲に加熱することにより、より低脂質の大豆抽出物を得ることができる。加熱処理の条件は加熱処理装置により異なるため特に限定されず、NSIが上記範囲となるように適宜設定すれば良い。例えば乾熱加熱処理を行う場合、その処理条件は製造環境にも影響されるため一概に言えないが、例えば120〜250℃の過熱水蒸気を用いて1秒〜10分の間で加熱処理後の大豆のNSIが上記範囲となるように処理条件を適宜選択すれば良く、処理条件の決定に特段の困難は要しない。
【0017】
なお、NSIは所定の方法に基づき、全窒素量に占める水溶性窒素(粗蛋白)の比率(質量%)で表すことができ、本発明においては以下の方法に基づいて測定された値とする。
すなわち、試料2.0gに100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得る。残った沈殿に再度100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分遠心分離し、上清2を得る。上清1および上清2を合わせ、さらに水を加えて250mlとする。No.5Aろ紙にてろ過したのち、ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒素に対する割合を質量%として表したものをNSIとする。
【0018】
本発明の有効成分を抽出するための水性溶媒は、水や含水アルコール等を用いることができ、水や含水エタノールが食品製造上好ましい。
【0019】
本抽出物は、一つの好ましい態様として、固形分中の脂質含量が15質量%以下であることができ、さらに12質量%以下、10質量%以下がより好ましい。なお、本発明において、脂質含量は酸分解法により測定される。
かかる態様の場合、例えば全脂大豆から抽出した通常の脂質含量の高い全脂豆乳や、脱脂大豆から抽出した脱脂豆乳とは明確に区別されるものである。本抽出物は、いわゆる「低脂肪豆乳」が典型的には包含されるが、全脂大豆からの水性溶媒抽出物であって脂質含量が上記範囲である限り、これらの呼称に限定されるものではない。
大豆を水性溶媒で抽出する際の加水量、抽出温度、抽出時間等の抽出条件は特に限定されず、例えば加水量は大豆に対して2〜15重量倍、抽出温度は20〜99℃、抽出時間は20分〜14時間などで設定すればよい。本抽出物は液状、固形状、粉末状の何れの形態もとり得る。
【0020】
本抽出物に含まれる脂質以外の成分は、水可溶性の成分が主体であり、炭水化物と蛋白質を主体としてその他のミネラル、イソフラボン、サポニン等の微量成分が含まれる。
ここで、本抽出物中の炭水化物に対する蛋白質含量(以下、「P/C含量」と称する場合がある。)は、100〜200質量%であることが重要である。さらに120質量%以上、130質量%以上や140質量%以上の範囲、またさらに190質量%以下、180質量%以下や170質量%以下の範囲を選択することができる。ちなみに全脂豆乳や脱脂豆乳粉末は、P/C含量が200質量%を大きく超え、相対的に高蛋白質含量であり、本抽出物とは異なる。
【0021】
また上述した分離大豆蛋白などのような、蛋白質が固形分中90質量%程度も含まれるような大豆蛋白質素材は、貯蔵蛋白質が主成分であり炭水化物が微量しか含まれないため、P/C含量が過剰であり、これも本抽出物とは異なるものである。全脂豆乳、脱脂豆乳粉末、分離大豆蛋白のように、P/C含量が比較的高い範囲の蛋白質含有素材を多く使用しすぎると、もっちりとした食感と歯切れの良い食感が両立したパンを得ることが困難となる。また大豆蛋白に由来する特有の青臭みや渋みにより、好ましくない風味となってしまう。
なお、本発明において、蛋白質含量はケルダール法により測定される。また炭水化物含
量は、固形分から脂質、蛋白質及び灰分の含量の和を引いた計算値とする。
【0022】
○低脂肪豆乳
本抽出物の一形態である低脂肪豆乳は、固形分中の脂質含量とP/C含量が上記範囲にあるものである。ちなみに全脂大豆から公知の方法で抽出して得たスラリー(大豆粉砕液)から不溶性画分であるオカラを除去して得られる一般の豆乳(全脂豆乳)では、固形分中の脂質含量が上記範囲よりも高くなり、20質量%以上となる。またP/C含量も250を超える。低脂肪豆乳を得るには、スラリーや全脂豆乳から高速遠心分離等により脂質を分離する方法や、該スラリーからオカラを分離する際に脂質をオカラ側に移行させる方法を用いることができる。より好ましい態様として、上記の通り予め加熱処理された全脂大豆、好ましくはNSI15〜77、より好ましくはNSI40〜70の全脂大豆を原料とすることによって、より本発明の効果を向上させることができる。この方法は例えば特開2012-16348号公報に記載の方法を参照することができる。
【0023】
本発明の水中油型乳化油脂組成物に用いられる蛋白質には、本抽出物と共にその他の蛋白質含有素材を用いることができる。例えば大豆,エンドウ,緑豆等の豆類や、小麦,米等の穀類由来の植物性蛋白素材、乳蛋白やゼラチン等の動物性蛋白素材等を用いることができる。例えば大豆蛋白素材としては、分離大豆蛋白又はその加水分解物、濃縮大豆蛋白、全脂豆乳や脱脂豆乳(本抽出物に含まれないもの)、大豆粉等を用いることができる。乳蛋白素材としては、ホエー蛋白、カゼイン又はその塩、全脂粉乳、脱脂粉乳、TMP、MPC等を用いることができる。一つの態様として、植物性であり、本抽出物と併用してもパン生地への練り込み性等の物性を阻害しにくい点で、大豆蛋白素材を用いることが好ましい。特に大豆蛋白素材のうち、分離大豆蛋白がより好ましい。
【0024】
本発明の水中油型乳化油脂組成物中の蛋白質の含量は、上記蛋白質含有素材以外の原料中に含まれる蛋白質も含めた蛋白質含量として、1質量%以上、1.5質量%以上又は2質量%以上などとすることができる。またさらに10質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下又は4.5質量%以下などとすることができる。
【0025】
(水分)
本発明の水中油型乳化油脂組成物で用いることができる水分としては、飲用に適する限り特に限定されず、水道水、蒸留水、ミネラルウォーター等を用いることができる。本発明の水中油型乳化油脂組成物の水分含量は、上記水以外の原料中に含まれる水分も含めた水分含量として、40〜80質量%が好ましく、50〜70質量%がより好ましく、55〜65質量%がさらに好ましい。
【0026】
(他の原料)
本発明の水中油型乳化油脂組成物で用いることができる、その他の原料としては、ゲル化剤、安定剤、乳化剤、食物繊維、糖類、甘味料、塩類等が挙げられる。
【0027】
ゲル化剤や安定剤としては、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラヤガム、グアーガム、タマリンドシードガム、カシアガム、トラガントガム、タラガム、HMペクチン、LMペクチン、ファーセルラン、アラビアガム、グルコマンナン、寒天、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性大豆多糖類、難消化性デキストリン、アルギン酸、アルギン酸塩等が挙げられる。
【0028】
乳化剤としては、レシチン、酵素処理レシチン等の天然乳化剤、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の合成乳化剤が挙げられる。
【0029】
糖類としては、ブドウ糖、果糖、乳糖、キシロース等の単糖、ショ糖、麦芽糖、トレハロース、異性化液糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース等のオリゴ糖、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール、還元水飴等の糖アルコールが挙げられる。
【0030】
甘味料としては、アスパルテーム、スクラロース、ステビア、アセスルファムカリウム、等が挙げられる。
【0031】
(酸)
本発明の水中油型乳化油脂組成物に用いられる酸としては、食用として用いられているものであれば無機酸、有機酸の何れを用いてもよく、例えば、リン酸等の無機酸や、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、グルコン酸等の有機酸が挙げられる。本発明においては、これらの酸を単独で用いることもでき、又は2種以上を組合せて用いることもできる。また乳酸を用いる場合、乳酸を添加する代わりに、以下のように乳酸菌を原料に添加して乳酸発酵させて乳酸を生成させても良い。また該乳酸発酵と酸の添加を併用することもできる。
【0032】
(乳酸発酵)
本発明の水中油型乳化油脂組成物では、酸を含有させる好ましい態様として、上記の通り、少なくとも蛋白質を含む原料の一部又は全部を乳酸発酵させることができる。特に蛋白質を含む原料として本抽出物が乳酸発酵されていることが好ましく、他の蛋白質を含む原料が用いられる場合には、全ての蛋白質を含む原料が乳酸発酵されていることが好ましい。
蛋白質以外の油脂、澱粉や他の原料は、蛋白質を含む原料と共に乳酸発酵されていてもよい。例えば蛋白質と油脂を共に乳酸発酵する場合には、蛋白質と油脂との乳化物を乳酸発酵することができる。
乳酸発酵に使用される乳酸菌は特に限定はされず、通常の発酵乳に使用する一般的な乳酸菌、例えば、ラクトバチルス・ブルガリクス、ストレプコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベチカス、ラクトバチルス・ラクチス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・サンフランシスコ、ラクトバチルス・パネックス、ラクトバチルス・コモエンシス、ラクトバチルス・カルバタス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ヒルガルディ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ルテリ、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・ジアセチルラクチス、ロイコノストック・メセンテロイデス、ロイコノストック・クレモリス、ビフィドバクテリム属等の単独または混合物を使用することができる。
【0033】
酸の添加や乳酸発酵を経ることにより、本発明の酸を含む水中油型乳化油脂組成物のpHは、3.5以上7未満の所望のpHにすることができる。より好ましくは、pH4〜6.5、pH4.5〜6.5又はpH5〜6.5にすることができる。その際、該水中油型乳化油脂組成物には、乳酸発酵物の発酵停止時のpHに寄っては、必要により乳酸やクエン酸等の有機酸、あるいは逆にアルカリ剤を添加し、適宜目的とするpHに調整することができる。
【0034】
(性状)
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、その性状が可塑性を有することを特徴とする。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、可塑性を有し、かつ5℃におけるレオメーター測定値による硬さが200〜400g/19.6mm(直径30mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分)であるのが好ましい。
かかる硬さを有する可塑性の水中油型乳化油脂組成物は、パン生地へ練り込む際、特に穀粉を水で一定時間混練し、ある程度グルテンが形成された後のタイミングで加える場合に、均一に生地に練り込みやすい物性を有する。
【0035】
(水中油型乳化油脂組成物の製造)
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、例えば全原料を混合、乳化して得た原料液に、酸を添加するか乳酸発酵することにより製造できる。また、例えば蛋白質を含む原料の一部又は全部を混合し、必要により油脂と乳化して得た原料液に酸を添加するか乳酸発酵した後、残りの原料を混合し、必要により油脂と乳化することにより製造できる。酸の添加又は乳酸発酵の前後には、必要により加熱殺菌を行うこともできる。また乳化はホモゲナイザー等により行うことができ、必要により乳化の前に予め撹拌機等により水相と油相を予備乳化させておいてもよい。
【0036】
(パン)
本発明の水中油型乳化油脂組成物をパン生地に均一に練り込むことにより、もっちりとした食感と、歯切れのある食感が両立したパンを得ることができる。
本発明において、パンとは、食パン,クロワッサン,デニッシュペーストリー,フランスパン,チャバタ,フォカッチャ,ナン,ピザ,ベーグル,イングリッシュマフィン,パイ,菓子パン、イーストドーナツ等をいう。
パンの製造法は常法に則ればよく、一般的には、小麦粉、全粒粉、米粉等の穀粉、水、イースト、糖類、食塩、油脂等を主成分とする原料を混練して生地を調製し、所望の形状に成形した後に、オーブン等により焼成したり、フライ等することにより製造される。
パン生地を調製する際に上記原料を加える順番としては、全原料を一緒に配合する直捏法(ストレート法)により生地を調製する方法でも良いし、中種法や湯種法のように、一部の原料から先に種生地を調製後、残りの原料を加えて本生地を調製する方法でも良い。
ここで、本発明の水中油型乳化油脂組成物を配合するタイミングは特に限定されず、他の原料と一緒に配合することができる。特に好ましい態様として、穀粉、水、イースト、糖類、食塩等の油脂以外の原料を先に混練してグルテンを形成させた後、マーガリン等の油脂を加える製法が知られており、その油脂を加えるタイミングで本発明の水中油型乳化油脂組成物を加えることが好ましい。これにより、本発明の食感発現の効果をより強く発揮させることができる。
【0037】
本発明の水中油型乳化油脂組成物のパン生地への添加量は、特に限定されないが、穀粉に対して蛋白質量として0.05〜3質量%又は0.1〜2質量%が好ましい。
【実施例】
【0038】
以下、実施例等により本発明の実施形態についてさらに具体的に記載する。なお、以下「%」及び「部」は特に断りのない限り「質量%」及び「質量部」を意味するものとする。
【0039】
○水中油型乳化油脂組成物の製造
(実施例1)
菜種硬化油20部を60℃に加温し、水20部と低脂肪豆乳「美味投入(R)」(不二製油(株)製)50部を混合して50℃に加温した。そこに糖類5部、デキストリン5部を混合し、50℃で加熱撹拌して予備乳化した後、該予備乳化液を2MPaの圧力にてホモゲナイザーで均質化し、70〜80℃で殺菌後24℃まで冷却した。
次に、該乳化液に対してラクトバチルス・ブルガリカス及びストレプトコッカス・サーモフィラスを混合した乳酸菌スターターを0.01%添加して37〜40℃で約5時間発酵させた。発酵液のpHは4.5であった。
得られた発酵液80部に対して、菜種硬化油10部、加工澱粉5部、増粘安定剤1部、さらに水を加えて100部とし、50℃で撹拌しながらアルカリでpHを5.5に調整後、80〜90℃で加熱撹拌して殺菌し、次いで2MPaの圧力にてホモゲナイザーで均質化し、冷却して本発明の「水中油型乳化油脂組成物P」を得た。該組成物Pは、脂質含量が8%、澱粉含量が5%、蛋白質含量が2%、水分含量が57%であり、性状は可塑性であり、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが280g/19.6mm(直径30mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分)である、
なお、本実施例で用いた低脂肪豆乳は、NSIが20〜77の範囲となるように加熱処理された全脂大豆からの抽出物であり、特開2012-16348号公報に記載される方法で製造されている。本製品の固形分9.7%、脂質含量(固形分中)5.0%、蛋白質含量54.6%(固形分中)、炭水化物含量34.1%(固形分中)であり、P/C含量が160%である。
【0040】
(比較例1)
実施例1で使用した低脂肪豆乳に代えて、市販の低脂肪牛乳を使用した以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、比較例の「水中油型乳化油脂組成物C1」を得た。
なお、本比較例で用いた低脂肪牛乳は、固形分11.2%、脂質含量8.9%(固形分中)、蛋白質含量33.9%(固形分中)、炭水化物含量49.1%(固形分中)であり、P/C含量が69.1%である。
【0041】
(比較例2)
実施例1で使用した低脂肪豆乳に代えて、全脂豆乳「無調整豆乳」(不二製油(株)製)を使用した以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、比較例の「水中油型乳化油脂組成物C2」を得た。
なお、本比較例で用いた全脂豆乳は、全脂大豆からの抽出物であり、固形分9.7%、脂質含量38.0%(固形分中)、蛋白質含量48.5%(固形分中)、炭水化物含量17.2%(固形分中)であり、P/C含量が281%である。
【0042】
(比較例3)
実施例1で使用した低脂肪豆乳に代えて、脱脂豆乳粉末「ソヤフィット2000」(不二製油(株)製)を使用した以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、比較例の「水中油型乳化油脂組成物C3」を得た。
なお、本比較例で用いた脱脂豆乳粉末は、脱脂大豆からの抽出物であり、固形分94.9%、脂質含量0.1%(固形分中)、蛋白質含量66.2%(固形分中)、炭水化物含量29.3%(固形分中)であり、P/C含量が226%である。
【0043】
(比較例4)
実施例1で使用した澱粉を無添加とし、その減量分だけ油脂を増量した以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、比較例の「水中油型乳化油脂組成物C4」を得た。
【0044】
(比較例5)
実施例1で行っている乳酸発酵の工程を省略し、pH調整も行わない以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、比較例の「水中油型乳化油脂組成物C5」を得た。
【0045】
(実施例2)
実施例1で使用したデキストリンに代えて、分離大豆蛋白「フジプロCL」(不二製油(株)製)を使用した以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、本発明の「水中油型乳化油脂組成物Q」を得た。該組成物Qの蛋白質含量は組成物Pの約2倍となった。
【0046】
実施例1,2および比較例1〜4で得られた水中油型乳化油脂組成物P,Q,C1〜C5の組成及び物性を表1にまとめた。
【0047】
(表1)
【0048】
以上の通り、澱粉を配合していない組成物C4の性状が、離水が多く硬さもやわらかく、パン生地に練り込みにくい物性であり、好ましくなかった。組成物C4以外の組成物はいずれも性状は可塑性を有する適度な硬さを有しており、良好であった。
【0049】
(試験例1)パンへの添加試験(各種水中油型乳化油脂組成物の品質評価)
実施例1,2及び比較例1〜5により得られた各水中油型乳化油脂組成物P,Q,C1〜C5を食パン生地に練り込み、パンを製造し、これらの品質評価を行った。
【0050】
○対照区
強力粉100部、上白糖6部、食塩2部、脱脂粉乳2部、イースト3部、イーストフード0.1部及び水68部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で4分、中速で3分ミキシングした。ここで、練り込み油脂(水分含量15%、油分含量82%のマーガリン)5部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で2分ミキシングを行ない、食パン生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は26℃であった。
ここで、発酵室(温度29℃、湿度70%)でフロアタイムを60分とった後、220gに分割し丸めを行った。
次いで、ベンチタイムを20分とった後、モルダー成形し、U字型に入れ、38℃、相対湿度80%で50分ホイロをとった後、焼成温度を上火230℃/下火200℃に設定した固定窯に入れ、40分焼成して食パンを得た。
【0051】
○試験区P,Q,C1〜C5
対照区にて配合している練り込み油脂5部の代わりに、水中油型乳化油脂組成物P,Q,C1〜C5のうち1つを30部配合する以外は、対照区の配合及び製法と同様にして、食パンを得た。各試験区をそれぞれ試験区P,Q,C1〜C5とした。なお、生地作製の際、ミキシング時の各水中油型乳化油脂組成物の練り込み易さを確認した。
【0052】
得られた食パンを20℃で保管し、保管開始から2日後の食感(もっちり感及び歯切れ)について、下記評価基準に従って5段階で評価を行った。
【0053】
○官能評価(n=20)
対照区及び各試験区で調製した食パンを20名のパネラーに試食してもらい、食感(もっちり感と歯切れ)について、下記評価基準により官能評価を実施し、採点をしてもらった。
【0054】
(評価基準)
・食感(もっちり感)
5点:非常に良好(もっちり感が強く感じられる)
4点:良好
3点:許容できる
2点:やや不良(もっちり感が弱い)
1点:不良(もっちり感がない、又はもっちり感とは異なる)

・食感(歯切れ)
5点:非常に良好
4点:良好
3点:許容できる
2点:やや不良(ややねちゃつく)
1点:不良(ねちゃつきが多い)
【0055】
各パネラーの評点の平均値を求めた。そして平均値より、
A:4.5点以上
B:3.5点以上4.5点未満
C:2.5点以上3.5点未満
D:1.5点以上2.5点未満
E:1.5点未満
の5段階で評価付けを行い、もっちり感と歯切れがどちらもC評価以上のものを合格品質とした。結果を表2に示した。
【0056】
(表2)官能評価結果
【0057】
以上の通り、低脂肪豆乳を用いた組成物P,Qをパン生地に練り込むことにより、いずれももっちり感と歯切れの両立したパンが得られた。試験区C1〜C3のように水中油型乳化油脂組成物に低脂肪豆乳を用いない場合、試験区C4のように水中油型乳化油脂組成物に澱粉を配合しない場合、試験区C5のように水中油型乳化油脂組成物が乳酸発酵を経ていない場合、いずれも目的とする品質のパンが得られなかった。また、試験区C4では組成物C4を生地に練り込む際、離水が多かったため、均一に練り込むのに時間を要し、練り込み性が非常に悪かった。
【0058】
(試験例2)パンへの添加試験2(本発明の水中油型乳化油脂組成物の配合量の変更)
○試験区P2〜P5
試験区Pにて配合している本発明の水中油型乳化油脂組成物Pの配合量を30部から5部(試験区P2)、10部(試験区P3)、20部(試験区P4)、50部(試験区P5)に変更し、それ以外は試験区Pの配合及び製法と同様にして、食パンを得た。
【0059】
得られた各食パンを20℃で保管し、保管開始から2日後の食感(もっちり感及び歯切れ)について、試験例1と同じ評価基準に従って官能評価を行い、A〜Eの5段階で評価付けを行った。結果を対照区、試験区Pと比較して表3に示した。
【0060】
(表3)
【0061】
(実施例3)
実施例1において、発酵液に油脂等を混合した後のpH調整を行わず、発酵液のpHを4.5のままとする以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、本発明の水中油型乳化油脂組成物Rを得た。該組成物Rの性状は可塑性であり、硬さが220g/19.6mmであった。
【0062】
(実施例4)
実施例1において、発酵液に油脂等を混合した後に調整するpHを5.5から6.5に変更する以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、本発明の水中油型乳化油脂組成物Sを得た。該組成物Sの性状は可塑性であり、硬さが300g/19.6mmであった。
【0063】
(試験例3)パンへの添加試験3(本発明の水中油型乳化油脂組成物のpHの変更)
○試験区R,S
試験区Pにて配合している水中油型乳化油脂組成物Pの代わりに、実施例3,4で得られた水中油型乳化油脂組成物R,Sのうち1つを配合する以外は、試験区Pの配合及び製法と同様にして、食パンを得た。
【0064】
得られた各食パンを20℃で保管し、保管開始から2日後の食感(もっちり感及び歯切れ)について、試験例1と同じ評価基準に従って官能評価を行い、A〜Eの5段階で評価付けを行った。結果を対照区、試験区Pと比較して表4に示した。
【0065】
(表4)
【0066】
以上の通り、本発明の練り込み用水中油型乳化油脂組成物は、乳酸発酵工程を必須とするが、そのpHは4.5よりも高いことが望ましいことが示された。
【0067】
(試験例4)パンへの添加試験4(本発明の水中油型乳化油脂組成物のパン生地への添加タイミングの変更)
○試験区P6
試験区Pで使用する原材料(本発明の水中油型乳化油脂組成物Pを含む)を全てミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で2分ミキシングを行ない、食パン生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は26℃であった。これ以降は試験区Pと同様にして、オールイン配合による食パンを得た。
【0068】
得られた各食パンを20℃で保管し、保管開始から2日後の食感(もっちり感及び歯切れ)について、試験例1と同じ評価基準に従って官能評価を行い、A〜Eの5段階で評価付けを行った。結果を対照区、試験区Pと比較して表5に示した。
【0069】
(表5)
【0070】
以上の通り、本発明の練り込み用水中油型乳化油脂組成物は、小麦粉等の他の原料と同時期に配合するオールイン配合でパン生地を調製するよりも、小麦粉生地を作成した後、マーガリンを配合するのと同じ後添加による方が望ましいことが示された。
【0071】
(実施例6) −乳酸発酵から乳酸添加への変更−
実施例1において、調製した予備乳化液を乳酸発酵する代わりに、乳酸を添加して該予備乳化液のpHを5.5に調整する以外は、実施例1と同様にして、本発明の「水中油型乳化油脂組成物T」を得た。該組成物Tの性状は可塑性であり、硬さが320g/19.6mmであった。
また、該組成物Tを試験例1と同様にして食パン生地に練り込み、パンを製造した。得られた食パンを20℃で保管し、保管開始から2日後の食感(もっちり感及び歯切れ)について、試験例1と同じ評価基準に従って官能評価を行い、これらの品質評価を行った。
その結果、もっちり感の評価はB、歯切れの評価はBであった。
なお、乳酸の代わりにクエン酸を添加して同様に得た水中油型乳化油脂組成物Uを得た場合も、もっちり感と歯切れの評価は同様であった。