(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る車両用携帯機100の構成を示す図である。車両用携帯機100は、車両を撮像するカメラ10と、制御部11と、通信部40とを備えている。車両用携帯機100は、例えばカメラ機能を有する車両のキーやスマートフォンである。車両用携帯機100は、車両のドライバが携帯しているものとする。
【0017】
制御部11は、エッジ検出部20と、車両判断部30と、停止部50とを備えている。また、制御部11は、図示しないCPU、RAM、ROMなどを備えている。制御部11は、CPUにおいて制御プログラムを実行することにより、エッジ検出部20と、車両判断部30と、停止部50とをソフトウェアによって仮想的に実現する。尚、これらエッジ検出部20と、車両判断部30と、停止部50とは、例えばハードウェアで実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせて実現してもよい。
【0018】
エッジ検出部20は、車両の特徴部分を検出するために、周知のエッジ検出処理を行う。エッジ検出部20は、エッジ検出処理により撮像データ内のエッジを検出する。撮像データは、カメラ10により撮像された画像(以下、カメラ画像)を表すデータである。
【0019】
特徴部分とは、車両用携帯機100と対応する予め登録された車両である自車両Vを見つけるためのものであり、自車両Vと他の車両とを区別できる自車両Vが持つ特徴のことである。特徴部分は、例えば自車両Vの形状の一部または自車両V全体の形状、若しくは、ナンバープレートの数字である。また、自車両Vの外形形状の一部または全部と自車両Vの色とを自車両Vの特徴部分としてもよい。検出されたエッジは、車両判断部30へと出力される。
【0020】
尚、車両は大量生産品であり、自車両Vと同じ外形形状の車両は、他にも多数存在する。しかし、自車両Vの周囲に、自車両Vと同じ車種の他車両が存在していることは、それほど多くない。そこで、便宜上、自車両Vの外形形状の一部または全部を、自車両Vの特徴部分とすることができるのである。
【0021】
エッジ検出部20は、カメラ画像内のエッジを検出するが、検出したエッジが車両の特徴部分を示すエッジか否かを判断することはできない。車両の特徴部分を示すエッジか否かは後述する車両判断部30での判断結果により判明する。
【0022】
エッジ検出部20は、カメラ画像内のエッジを検出できなかった場合、エッジを検出できなかった旨を、車両判断部30へと出力する。
【0023】
車両判断部30は、カメラ画像に自車両Vの特徴部分と一致する部分が存在するか否かを判断する。車両判断部30は、自車両Vの特徴部分と一致する部分が存在するか否かを判断するために、エッジ検出部20で検出されたエッジが、自車両Vの特徴部分を示すエッジと一致するか否かを判断する。
【0024】
エッジ検出部20が検出したエッジのうち、自車両Vの特徴部分を示すエッジと一致する部分があった場合、自車両Vの特徴部分がカメラ画像に存在すると判断できる。
【0025】
車両判断部30は、自車両Vの形状を示すエッジが存在するか否かを判断するために、周知のパターンマッチングを行う。予め自車両Vの形状を示すエッジのテンプレートを用意し、テンプレートとエッジ検出部20が検出したカメラ画像のエッジとをマッチングさせることで、自車両Vの形状を示すエッジが存在するか否かを判断する。
【0026】
また、車両判断部30は、エッジ検出部20で検出されたカメラ画像内のエッジのうち、自車両Vの特徴部分であるナンバープレートの数字を示すエッジが存在するか否かも判断する。車両判断部30は、ナンバープレートの数字を示すエッジが存在するか否かを判断するために、周知のパターンマッチングを行う。予め設定された対象とするナンバープレートの数字を示すエッジのテンプレートとして用意し、テンプレートとカメラ画像内のエッジとをマッチングさせることで、ナンバープレートの数字を示すエッジが存在するか否かを判断する。
【0027】
自車両Vの特徴部分は、自車両V全体の形状またはナンバープレートの数字すべてである必要はなく、自車両V以外の他の車両と、自車両Vとを区別できるように適宜設定すればよい。例えば、自車両Vの特徴部分は、自車両Vの形状の一部またはナンバープレートの数字の一部であってもよい。
【0028】
エッジ検出部20で検出されたエッジが、自車両Vの特徴部分を示すエッジと一致した場合、ドライバは、自車両Vを撮像したと判断できる。一方、エッジ検出部20で検出されたエッジが、自車両Vの特徴部分を示すエッジと一致しなかった場合、ドライバは、自車両Vを撮像できていないと判断できる。
【0029】
尚、車両判断部30は、エッジ検出部20がカメラ画像内にエッジを検出できなかった場合も、カメラ画像内に自車両Vの特徴部分が存在しなかったと判断する。
【0030】
通信部40は、後述する車載制御部60との通信を行う。通信部40は、LF受信部41と、RF通信部42とを備えている。LF受信部41は、LF帯域の無線信号を受信する機能を有する。RF通信部42は、RF帯域のRF信号の送受信の機能を有する。
【0031】
車載制御部60は、
図2に示すように自車両Vに搭載されており、自車両Vの移動を制御する。ここでの自車両Vの移動は、自動的に自車両Vが駐車可能な領域へ自車両Vを移動させることを示す。駐車可能な領域は、予め登録された地点であり、緯度経度の位置情報で登録されている。駐車可能な領域は、自車両Vが継続して駐車することができるエリアを指し、たとえば、自車両Vの駐車場が、自車両Vが駐車可能な領域に該当する。車載制御部60は、自車両Vが備えている図示しないGPSから自車両Vの位置情報を取得し、予め登録された地点に自車両Vを移動させる制御を行う。
【0032】
尚、予め登録された地点は、車両用携帯機100により指定されるようにしてもよい。この場合、通信部40から車載制御部60へと指定した緯度経度の位置情報を送信し、車載制御部60は、指定された地点に自車両Vを移動させる制御を行う。
【0033】
車載制御部60は、予め登録された地点まで自車両Vを移動させる制御を行っている間は、自車両Vの駆動源や制動部を制御して自車両Vを移動させる。また、移動中は、自車両Vに備えられている図示しない周辺監視装置から情報を取得して、自車両Vが周囲の障害物に接触しないように自車両Vを移動させる。しかし、周辺監視装置からの情報による周辺監視のみではなく、ドライバも、自車両Vが自動的に移動しているときは、自車両Vの周辺を監視することが好ましい。そこで、本実施形態では、後述する
図3に示す処理を実行する。
【0034】
また、自車両Vは、車載制御部60に加え、車載通信部63を備えている。車載通信部63は、LF送信部61と、RF通信部62とを備えている。LF送信部61は、LF帯域の無線信号を送信する機能を有する。RF通信部62は、RF帯域のRF信号の送受信の機能を有する。
【0035】
車載制御部60は、移動指示を取得すると自車両Vの自動移動を開始し、自車両Vを駐車可能な領域に移動させ終わった場合、自車両Vの移動が完了した旨を、車載通信部63を介して通信部40へと送信する。
【0036】
車両判断部30により、カメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在すると判断された場合、自車両Vの外に存在するドライバが、自車両Vを認識できる地点に存在すると判断できる。通信部40は、車両判断部30が、カメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在すると判断した場合、自車両Vが駐車可能な領域へ自車両Vを移動させる指示である移動指示を、車載制御部60へと送信する。
【0037】
尚、通信部40は、車両判断部30により、カメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在すると判断された場合に、自動的に移動指示を送信する。しかし、車両判断部30により、カメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在すると判断された場合、さらに車両用携帯機100が備えている図示しない自車両Vの移動を開始させる移動開始ボタンを押すことで、移動指示を送信するとしてもよい。
【0038】
通信部40は、車載制御部60へ移動指示を送信するために、移動指示を自車両VのRF通信部62へ、RF帯の電波にて送信する。そして移動指示を受信したRF通信部62は、移動指示を車載制御部60へと送信する。
【0039】
車載制御部60は、移動指示を受信した場合、駐車可能な領域へ自車両Vを移動させる。
【0040】
車両判断部30により、カメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在しないと判断された場合、ドライバが自車両Vを認識できる地点に存在していないと判断できる。
【0041】
車両判断部30により、カメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在しないと判断された場合、通信部40から移動指示は送信されない。
【0042】
停止部50は、駐車可能な領域へと移動中の自車両Vの移動を停止させる停止指示を、通信部40に送信させる命令を出力する。停止部50は、ドライバが停止操作を行った場合に、停止指示を通信部40に送信させる命令を出力する。よって、駐車可能な領域へ移動中の自車両Vが、自車両Vの周辺に存在する障害物と接触する可能性がある場合、ドライバは、停止操作をすることで自車両Vの移動を停止させることができる。ここでの障害物は、人または動物の移動体、並びに、移動しない物体である。
【0043】
尚、ドライバが行う停止操作は、例えば、車両用携帯機100が備える図示しないボタンまたはタッチパネルである入力部を入力する操作、並びに、図示しないドライバの音声を検出する音声検出部に、予め設定された音声をドライバが発音する操作である。ドライバが入力部である停止ボタンを押した場合、停止部50は、停止指示を通信部40に送信させる命令を出力する。この命令を受信した通信部40は、停止指示を送信する。
【0044】
(フローチャート)
以降では、
図3に示すフローチャートを用いて、車両用携帯機100が実行する処理について説明する。
【0045】
開始ボタンの操作など、所定の開始操作が行われた場合に、
図3に示す処理が開始される。一方、移動指示により、自車両Vが駐車可能な領域へと移動し、自車両Vの移動が終了した時点で本フローは終了となる。つまり、車載制御部60により、自車両Vの移動が完了した旨が通信部40へと送信された場合、本フローを終了する。
【0046】
まず、ステップS1では、ドライバが自車両Vの外からカメラ10を用いて、自車両Vを撮像する。カメラ10で撮像された撮像データは、エッジ検出部20へと出力される。ステップS1は撮像データがカメラ10から入力されたか否かを判断する処理であるとも言える。ステップS1は、エッジ検出部20が行う。ステップS1を実行後はステップS2へと移行する。
【0047】
ステップS2では、エッジ検出部20により、撮像データが表すカメラ画像内のエッジを検出する。検出されたエッジは、車両判断部30へと出力され、ステップS3へと移行する。
【0048】
ステップS3では、車両判断部30により、ステップS2で検出されたエッジが表す形状に、自車両Vの特徴部分が存在するか否かを判断する。エッジが表す形状に自車両Vの特徴部分が存在しない場合、ドライバは、自車両Vを撮像できていないと判断する。そのため、ドライバが自車両Vを認識できる地点に存在していないと判断できる。ドライバが自車両Vを認識できる地点に存在していないため、通信部40は、移動指示を車載制御部60へ送信せず、本フローは終了する。
【0049】
エッジが表す形状に自車両Vの特徴部分が存在する場合、ドライバは、自車両Vを撮像したと判断し、ステップS4へと移行する。
【0050】
ステップS4へ移行する場合には、自車両Vの特徴部分と一致する特徴部分が存在するため、ドライバが自車両Vを認識できる地点に存在すると判断できる。ステップS4では、通信部40により、駐車可能な領域へ自車両Vを移動させる移動指示が、車載制御部60へと送信され、ステップS5へと移行する。
【0051】
ステップS5では、停止部50により、停止指示を通信部40に送信させる命令が出力されるドライバの操作があったか否かを判断する。ドライバの操作があった場合、ステップS6へと移行する。ドライバの操作がない場合、再度ステップS5へと移行する。
【0052】
ステップS6では、通信部40により、車載制御部60へ停止指示が送信され、本フローは終了する。
【0053】
以上により、第1実施形態では、車両用携帯機100を所持しているドライバが、カメラ10で車両を撮像し、カメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在するか否かを判断する。カメラ画像に自車両Vの特徴部分があれば、ドライバが自車両Vを認識できる地点に存在していると判断できる。
【0054】
よって、移動指示を送信する時点では、ドライバは自車両Vを認識できる地点に存在している。そのため、駐車可能領域へ自車両Vが自動で移動しているとき、ドライバは、自車両Vが自車両Vの周辺に存在する障害物と接触する恐れがあることに気付くことができる可能性が高くなる。
【0055】
これにより、駐車可能な領域へ移動中の自車両Vが、自車両Vの周辺に存在する障害物と接触するおそれがあった場合に、ドライバが停止指示を、車載制御部60へ送信することができる可能性が高くなる。
【0056】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図面に基づいて説明する。
図4は、第2実施形態に係る車両用携帯機200を示すブロック図である。第2実施形態では、第1実施形態の車両用携帯機100が備える構成に加え、制御部11は、車両用携帯機200と自車両Vとの距離を推定する距離推定部70をさらに備えている。
【0057】
第2実施形態では、自車両Vの周辺に存在する障害物と接触するおそれがあった場合に、ドライバが停止指示を、車載制御部60へ送信することができる可能性をより高くすることができる。
【0058】
第2実施形態では、車両判断部30により、カメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在すると判断され、かつ、距離推定部70で推定された車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値以内であった場合、移動指示を、車載制御部60へと送信する。
【0059】
距離推定部70は、車両用携帯機200と自車両Vとの距離を推定する。距離推定部70は、カメラ画像に存在する特徴部分のカメラ画像全体に対する大きさ、および、カメラ画像全体に対する特徴部分の大きさから自車両Vまでの距離が定まる予め記憶されている関係に基づいて、車両用携帯機200と自車両Vの距離を推定する。
【0060】
車両側面全体、車両側面のある定められた一部分、車両前端面全体、車両前端面のある定められた一部分、テールランプなどが特徴部分の一例となるが、どの特徴部分であっても大きさは既知である。一方、カメラ画像内の特徴部分の大きさは、車両用携帯機200と自車両Vとの距離が遠くなるに従って小さくなる。そのため、画像全体に対する特徴部分の大きさから自車両Vまでの距離が定まる関係を予め決めておくことができる。
【0061】
通信部40は、車両判断部30により、カメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在すると判断され、かつ、距離推定部70で推定された車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値以内であった場合、移動指示を、自車両VのRF通信部62へ、RF帯の電波にて送信する。RF通信部62が移動指示を受信した場合、その移動指示を車載制御部60へ出力する。カメラ画像に自車両Vの特徴部分が撮像されていることにより、ドライバが自車両Vを確認できる位置にあることが推定できても、ドライバと自車両Vとの距離が遠すぎると、ドライバは自車両Vの周囲を確認することが困難になる。そこで、本実施形態では、車両用携帯機200と自車両Vとの距離を閾値と比較する。したがって、ここでの閾値は、ドライバが自車両Vの周辺を確認しやすい距離であればよい。この距離は、経験や実験に基づいて、適宜設定する。
【0062】
通信部40は、車両判断部30により、カメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在すると判断されても、距離推定部70で推定された車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値より長い場合、移動指示を、車載制御部60へと送信しない。車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値より長い場合、ドライバは、自車両Vが見えているが、自車両Vの周辺を確認しやすい距離には存在しないと判断できるからである。
【0063】
第2実施形態の制御部11は、CPUにおいて制御プログラムを実行することにより、距離推定部70をソフトウェアによって仮想的に実現する。尚、距離推定部70は、例えば、ハードウェアで実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせて実現してもよい。
【0064】
(フローチャート)
以降では、
図5に示すフローチャートを用いて、第2実施形態に係る車両用携帯機200が実行する処理について説明する。
図5のフローチャートに示す処理は、
図3に示すフローチャートに代えて実行する。
【0065】
第2実施形態では、ステップS3の処理のあと、ステップS7へと移行する。ステップS7では、距離推定部70により、車両用携帯機200と自車両Vとの距離が推定され、ステップS8へと移行する。
【0066】
ステップS8では、距離推定部70で推定された車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値以内か否かを判断する。車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値以内の場合、ドライバが自車両Vの近くに存在すると判断し、ステップS4へと移行する。
【0067】
車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値より長い場合、ドライバが自車両Vの近くに存在しない。そのため、ドライバが自車両Vの周辺に存在する障害物を確認しやすい距離に存在していないと判断できる。ドライバが自車両Vの周辺に存在する障害物を確認しにくい距離に存在しているため、通信部40は、移動指示を車載制御部60へ送信せず、本フローは終了する。
【0068】
以上により、第2実施形態では、車両判断部30により、カメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在すると判断され、かつ、距離推定部70で推定された車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値以内であった場合、移動指示を、車載制御部60へと送信する。これにより、ドライバが自車両Vを認識できる地点に存在し、かつ、ドライバが自車両Vの近くに存在する場合に、駐車可能な領域への自車両Vの移動を開始させることが可能となる。
【0069】
移動指示を車載制御部60へと送信する時点において、ドライバが自車両Vの近くに存在することで、自車両Vの周辺に存在する障害物を確認しやすくなる。そのため、ドライバは、駐車可能な領域へ移動中の自車両Vが、自車両Vの周辺に存在する障害物と接触するおそれがあったとしても、そのことに気づくことができる可能性がより高くなる。
【0070】
これにより、移動指示を車載制御部60へと送信する時点において、ドライバが自車両Vの近くに存在することで、駐車可能な領域に移動中の自車両Vが、自車両Vの周辺に存在する障害物と接触するおそれがあった場合に、ドライバが停止指示を、車載制御部60へ送信することができる可能性がより高くなる。
【0071】
また、第2実施形態では、車両判断部30で判断された自車両Vの特徴部分のカメラ画像全体に対する大きさに基づいて、車両用携帯機200と自車両Vとの距離を推定する。通信による距離の推定と異なり、通信部40と自車両Vとの通信が不安定なことで、距離の推定を行えない場合でも、車両用携帯機200と自車両Vとの距離を推定することができる。
【0072】
(第3実施形態)
第3実施形態における停止部50は、移動指示が車載制御部60へと送信された後、距離推定部70で推定された車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値よりも長くなった場合、ドライバの操作がなくても、車載制御部60へ、停止指示を通信部40に送信させる命令を出力する。
【0073】
距離推定部70は、所定の周期で車両用携帯機200と自車両Vとの距離を推定する。所定の周期は、自車両Vが一定距離を移動する時間に基づいて設定する。自車両Vが一定距離を移動する時間は、一定距離を自動走行中の走行速度で割ることで求められる。ただし、所定の周期は短いほど好ましい。
【0074】
尚、所定の周期で車両用携帯機200と自車両Vとの距離を推定するために、カメラ画像に存在している自車両Vの特徴部分の大きさを用いる場合、ドライバは上記所定の周期に合わせて自車両Vを撮像する。所定の周期になったことをドライバが判断するのは困難であることから、表示器やスピーカなど図示しない所定の報知部から、所定の周期になったことをドライバに報知してもよい。また、ドライバが、車両用携帯機200が自車両Vを撮影できる状態を保持し続けることを標準操作とし、所定の周期になったときに、自動でカメラ画像を撮像する制御になっていてもよい。
【0075】
ドライバが上記所定の周期において自車両Vを撮像しなかったために、所定の周期において、カメラ画像が取得できなかった場合、ドライバが自車両Vの近くに存在するか否かが判断できなくなる。
【0076】
停止部50は、所定の周期において、距離推定部70で車両用携帯機200と自車両Vとの距離が推定されなかった場合にも、車載制御部60へ、停止指示を通信部40に送信させる命令を出力する。つまり、ドライバが自車両Vの近くに存在するか否かが判断できない場合も、距離推定部70で推定された車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値よりも長くなった場合として処理を行う。
【0077】
(フローチャート)
以降では、
図6に示すフローチャートを用いて、第3実施形態において制御部11が実行する処理について説明する。
図6のフローチャートに示す処理は、
図5に示すフローチャートに代えて実行する。
【0078】
第3実施形態におけるステップS5は、判断内容は
図3のステップS5と同じであり、停止部50により、停止指示を通信部40に送信させる命令が出力されるドライバの操作があったか否かを判断する。ドライバの操作があった場合、ステップS6へと移行する。
図6では、ドライバの操作がない場合が
図3と相違しており、ステップS9へと移行する。
【0079】
ステップS9では、停止部50が、距離推定部70で推定された車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値以内か否かを判断する。車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値以内の場合、ドライバが自車両Vの近くに存在すると判断し、ステップS5へと移行する。
【0080】
車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値より長い場合、ドライバが自車両Vの近くに存在しないと判断する。そのため、このステップS9を実行した時点では、自車両Vの外に存在するドライバが、自車両Vの周辺に存在する障害物を確認しやすい地点に存在していないと判断できる。ドライバは、駐車可能な領域へ移動中の自車両Vが、自車両Vの周辺に存在する障害物と接触するおそれがあったとしても、そのことに気づくことができない可能性が高い。
【0081】
そのため、停止部50は、駐車可能な領域へ移動中の自車両Vを停止させるために、車載制御部60へ、停止指示を通信部40に送信させる命令を出力する。上記出力により、ステップS6へと移行し、通信部40は、停止指示を車載制御部60へと送信する。
【0082】
以上により、第3実施形態では、停止部50は、移動指示を車載制御部60へと送信した後、距離推定部70で推定された車両用携帯機200と自車両Vとの距離が閾値よりも長くなった場合、車載制御部60へ、停止指示を通信部40に送信させる命令を出力する。これにより、ドライバが自車両Vを認識できる地点に存在している状態で、移動指示を車載制御部60へ送信した後も、ドライバは、駐車可能な領域へ自車両Vが移動するまでの間、自車両Vを認識できる地点に存在し、かつ、自車両Vの近くに存在する必要がある。
【0083】
よって、駐車可能な領域へ自車両Vが移動するまでの間、ドライバが自車両Vの近くに存在することで、ドライバは、自車両Vが、自車両Vの周辺に存在する障害物と接触するおそれがあった場合に、そのことに気づくことができる可能性がより高くなる。
【0084】
駐車可能な領域へ自車両Vが移動するまでの間、ドライバが自車両Vの近くに存在することになるので、駐車可能な領域に移動中の自車両Vが、自車両Vの周辺に存在する障害物と接触するおそれがあった場合に、ドライバが停止指示を、車載制御部60へ送信することができる可能性がより高くなる。
【0085】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図面に基づいて説明する。
図7は、第4実施形態に係る車両用携帯機300を示すブロック図である。第4実施形態では、第2実施形態の車両用携帯機200が備える構成に加え、制御部11は、撮像継続判断部90をさらに備えている。
【0086】
第4実施形態では、移動指示を送信した後、駐車可能な領域に移動中の自車両Vをドライバがカメラ10で撮像し続けているか否かを判断する。そしてドライバが自車両Vを撮像し続けていないと判断された場合、停止指示を車載制御部60へと送信する。
【0087】
撮像継続判断部90は、ドライバがカメラ10で自車両Vを撮像し続けているか否かを判断する。撮像継続判断部90は、ドライバがカメラ10で自車両Vを撮像し続けているか否かを判断するために、車両判断部30でカメラ画像に自車両Vの特徴部分が存在すると判断されたか否かの判断結果を、周期的に車両判断部30に送信させる。
【0088】
第4実施形態における停止部50は、移動指示が車載制御部60へ送信された後、撮像継続判断部90により、自車両Vが撮像され続けていないと判断された場合、車載制御部60へ、停止指示を通信部40に送信させる命令を出力する。上記の場合、ドライバが、自車両Vの周囲をドライバの目で確認していないと判断できる。
【0089】
一方、停止部50は、移動指示が車載制御部60へ送信された後、撮像継続判断部90により、自車両Vが撮像され続けていると判断された場合、車載制御部60へ、停止指示を通信部40に送信させる命令を出力しない。上記の場合、自車両Vの外に存在するドライバが、自車両Vの周囲をドライバの目で確認していると判断できる。
【0090】
第4実施形態の制御部11は、CPUにおいて制御プログラムを実行することにより、撮像継続判断部90をソフトウェアによって仮想的に実現する。尚、撮像継続判断部90は、例えば、ハードウェアで実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせて実現してもよい。
【0091】
(フローチャート)
以降では、
図8に示すフローチャートを用いて、第4実施形態に係る車両用携帯機300が実行する処理について説明する。
図8のフローチャートに示す処理は、
図6に示すフローチャートに代えて実行する。
【0092】
第4実施形態では、ステップS9の処理のあと、ステップS10へと移行する。ステップS10では、撮像継続判断部90により、自車両Vの特徴部分と一致する車両を撮像し続けているか否かを判断する。撮像継続判断部90により、自車両Vが撮像され続けていると判断された場合、自車両Vの外に存在するドライバが、自車両Vの周囲をドライバの目で確認していると判断し、ステップS5へと移行する。
【0093】
撮像継続判断部90により、自車両Vが撮像され続けていないと判断された場合、自車両Vの外に存在するドライバが、自車両Vの周囲をドライバの目で確認していないと判断し、ステップS6へと移行する。
【0094】
以上により、第4実施形態では、移動指示を送信した後、駐車可能な領域に移動中の自車両Vをドライバがカメラ10で撮像し続けているか否かを判断する。そしてドライバが自車両Vを撮像し続けていないと判断された場合、停止指示を車載制御部60へと送信する。
【0095】
これにより、ドライバが自車両Vを認識できる地点に存在している状態で、移動指示を送信した後も、自車両Vを移動させるためには、ドライバは、駐車可能な領域へ自車両Vが移動するまでの間、自車両Vを撮像し続ける必要がある。カメラ10を用いて、自車両Vを撮像し続けることで、ドライバが自車両Vの周囲をドライバの目で確認していると判断することができる。
【0096】
さらに、第4実施形態では、停止部50は、移動指示が車載制御部60へ送信された後、自車両Vが撮像され続けていないと判断された場合、車載制御部60へ、停止指示を通信部40に送信させる命令を出力する。つまり、駐車可能な領域へ移動している自車両Vを停止させたい場合、ドライバは、撮像し続けるために自車両Vに向けたカメラ10を、自車両Vが撮像されない向きに向けるというドライバの操作を行うことで自車両Vの移動を停止させることができる。よって、ドライバは、自車両Vを停止させるために、別途ボタンまたはタッチパネルである入力部を操作する必要がない。
【0097】
自車両Vを停止させるために、入力部を操作する場合、ドライバが目で入力部を確認する必要がある。しかし、第4実施形態では、自車両Vが撮像されない向きにカメラ10を向ける操作を行うことで、ドライバは目で入力部を確認する必要がなく容易に自車両を停止させることができる。
【0098】
以上、発明の好ましい実施形態について説明したが、発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、以下に例示するように種々変形して実施することが可能である。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0099】
(変形例1)
第4実施形態では、撮像継続判断部90により、移動指示を送信した後、駐車可能な領域に移動中の自車両Vを、ドライバがカメラ10で撮像し続けているか否かを判断する。撮像継続判断部90により、ドライバは、撮像し続けるために自車両Vに向けられたカメラ10を、自車両Vが撮像されない向きに向けるというドライバの操作を行うことで自車両Vの移動を停止させることができる。そのため、フローチャートにおけるステップS5で行われる、停止部50により、ドライバの操作があったか否かを判断する処理をなくしてもよい。
【0100】
(変形例2)
第2実施形態では、距離推定部70により、カメラ画像における自車両Vの特徴部分の大きさに基づいて、車両用携帯機200と自車両Vとの距離を推定した。しかし、距離推定部70は、車両用携帯機200が備える図示しないGPSと自車両Vが備える図示しないGPSとから、車両用携帯機200と自車両Vとの距離を推定してもよい。
【0101】
この場合、たとえば次の順序で処理を実行する。車載制御部60は、自車両Vが備える図示しないGPSから自車両Vの位置情報を検出する。RF通信部62は、自車両Vの位置情報を、通信部40のRF通信部42へ、RF帯の電波にて送信する。距離推定部70は、RF通信部42から自車両Vの位置情報を取得し、自車両Vの位置情報と車両用携帯機200が備える図示しないGPSで検出した車両用携帯機200の位置情報とから距離を計算する。
【0102】
また、距離推定部70は、RSSI(Received Signal Strength Indication)の値から車両用携帯機200と自車両Vとの距離を推定してもよい。車載制御部60は所定の周期で自車両Vが移動しているか否かの判断結果をRF信号で送信し、通信部40がこの判断結果を受信している。通信部40が受信するこのRF信号のRSSIを利用して距離を推定する。この場合、予めRSSIの値に対応する車両用携帯機200と自車両Vとの距離を設定しておくことで、距離を推定する。
【0103】
(変形例3)
本実施形態では、自車両Vから車両用携帯機100への送信は、自車両Vが備えるLF送信部61と車両用携帯機100が備えるLF受信部41とで行う構成とし、車両用携帯機100から自車両Vへの送信は、車両用携帯機100が備えるRF通信部42と自車両Vが備えるRF通信部62とで行う構成を示した。しかし、自車両Vから車両用携帯機100への送信、および、車両用携帯機100から自車両Vへの送信の両方ともを、自車両Vが備えるRF通信部62と車両用携帯機100が備えるRF通信部42とを用いる構成としてもよい。