(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のマルチホップ型の無線通信ネットワークそれぞれについて、無線通信ネットワーク内の通信状態および無線通信ネットワークの構成に係わる情報を含むネットワーク固有情報を記憶する記憶部と、
前記ネットワーク固有情報に基づいて、各無線通信ネットワークについて、前記無線通信ネットワーク内の通信状態または無線通信ネットワークの構成の少なくとも一方に係わる所定の特徴を抽出し、前記所定の特徴の類似度に従って前記複数の無線通信ネットワークを複数のネットワークグループにグルーピングするグループ形成部と、
通信パラメータの設定値をネットワークグループ毎に設定するパラメータ設定部と、を備え、
前記ネットワーク固有情報は、各無線通信ネットワークについて、無線通信ネットワークに含まれる複数のノード間の受信電界強度を表す情報および各ノードが設定されている位置を表す情報を含み、
前記所定の特徴は、ノード間の距離と受信電界強度との関係を表し、
前記グループ形成部は、ノード間の距離の増加に対して受信電界強度が減衰していくパターンが互いに類似する無線通信ネットワークをグルーピングする
ことを特徴とする、通信パラメータ設定装置。
前記パラメータ設定部は、所定周期又は任意のタイミングで計測された前記無線ネットワーク性能情報に基づいて前記通信パラメータの前記設定値を前記ネットワークグループ毎に再設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信パラメータ設定装置。
前記ネットワーク固有情報は、無線通信ネットワークに含まれる複数のノード間の結合度情報と、前記複数のノードそれぞれの設置環境情報と、前記無線通信ネットワークの構成情報と、前記無線通信ネットワークに対する前記通信パラメータの既定値を含む
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の通信パラメータ設定装置。
前記通信パラメータ設定装置は、所定周期又は任意のタイミングで計測された前記無線ネットワーク性能情報に基づいて前記通信パラメータの前記設定値を前記ネットワークグループ毎に再設定する
ことを特徴とする請求項7に記載の無線通信システム。
前記ネットワーク固有情報は、無線通信ネットワークに含まれる複数のノード間の結合度情報と、前記複数のノードそれぞれの設置環境情報と、前記無線通信ネットワークの構成情報と、前記無線通信ネットワークに対する前記通信パラメータの既定値を含む
ことを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の無線通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態に従った無線通信システムの構成例を示す図である。
図1に示す構成例では、無線通信システム1は、通信パラメータ設定装置2及び無線通信ネットワーク3を含む。なお、
図1に示す一例では、無線通信システム1には1つの無線通信ネットワーク3が含まれているが、無線通信システム1には複数の無線通信ネットワーク3が含まれてよい。
【0012】
無線通信ネットワーク3は集約器4及び複数のノード5(5−1〜5−4)を含む。なお、
図1に示す一例では、無線通信ネットワーク3には4つのノード5−1〜5−4が含まれているが、無線通信ネットワーク3には2つ以上の任意の数のノード5が含まれてよい。
【0013】
無線通信ネットワーク3は、マルチホップ型の無線通信ネットワークであり、集約器4と直接通信するノード5だけでなく、中継する他のノード5を介して集約器4と通信するノード5を含む無線通信ネットワークである。
図1に示す一例では、複数のノード5の内、ノード5−1及びノード5−2は、集約器4と直接通信する。一方、ノード5−3及びノード5−4は、中継する他のノード5を介して集約器4と通信する。以下では、例示的に無線通信ネットワーク3をセンサネットワークとして説明する。
【0014】
<ノード>
ノード5は、例えば、センサノードである。ノード5は、無線通信を用いて集約器4との間でデータを送受信する。
図2は、実施形態に従ったノードの構成例を示す図である。
図2に示す構成例では、ノード5は、計測部51及び無線通信部52を含む。
【0015】
計測部51は、例えば、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、雨量センサ、音量センサ、及び/又は圧力センサ等の各種センサである。計測部51は、該計測部51が設置された位置において対象物を所定周期又は任意のタイミングで計測し、計測データを無線通信部52へ出力する。
【0016】
無線通信部52は、計測部51による計測データ等のデータを集約器4と送受信する。無線通信部52は、記憶部521、制御部522、送信部523、受信部524、及びタイマ525を含む。
【0017】
記憶部521は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成される。記憶部521は、当該ノード5の識別子や集約器4の識別子等を記憶する。
【0018】
制御部522は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)等)等により構成される。制御部522は、例えば、以下に説明するような処理を実行する。
【0019】
制御部522は、計測部51による計測データを含むパケットを生成する。生成されるパケットのヘッダには、当該ノード5の識別子と、パケットの宛先である集約器4の識別子とが含まれる。また、生成されるパケットのデータ部には、タイマ525により計測された現在時刻が更に含まれてもよい。生成されたパケットは送信部523から集約器4に向けて送信される。送信部523は、例えば、無線送信機等により構成される。
【0020】
また、制御部522は、受信部524が受信したパケットの宛先を判別する。受信部524は、例えば、無線受信機等により構成される。受信したパケットの宛先が当該ノード5である場合、制御部522は、受信したパケットのデータに従った処理を実行する。パケットの宛先が他のノード5である場合、制御部522は、受信したパケットを、送信部523を介して該他のノード5に向けて送信する。
【0021】
更に、
図3に示すように、制御部522は、受信部524が受信した電波であって、他のノード(集約器4及びノード5)から送信された該電波の受信電界強度を所定周期又は任意のタイミングで計測する。
図3は、実施形態に従ったノードによる受信電界強度の計測を説明する図である。受信電界強度は、当該電波を計測したノード5と当該電波を送信したノードとの結合度を表し、受信電界強度が高い程、結合度が強いと評価され得る。
図3には、ノード5−1の周辺に存在する集約器4及びノード5−2〜5−4からそれぞれ送信された電波の受信電界強度をノード5−1の制御部522が計測する一例が示されている。ノード5−2〜5−4のそれぞれの制御部522においても同様に、周辺に存在するノード(集約器4及びノード5)から送信された電波の受信電界強度が計測される。
【0022】
他のノード(集約器4及びノード5)から送信される電波が含む情報には、該ノードのユニークな識別子が含まれている。
図4に示すように、制御部522は、受信した電波を送信したノード(集約器4又はノード5)の識別子と、計測された該電波の受信電界強度を対応付けて記憶部521に記憶する。
図4は、実施形態に従ったノードにより計測及び記憶される受信電界強度の一例を示す図である。
図4には、ノード5−1の周辺に存在する集約器4及びノード5−2〜5−4からそれぞれ送信された電波の受信電界強度が、対応する識別子と共にノード5−1の記憶部521に記憶される一例が示されている。ノード5−2〜5−4のそれぞれの記憶部521においても同様に、周辺に存在する集約器4及びノード5からそれぞれ送信された電波の受信電界強度が、対応する識別子と共に記憶される。
【0023】
制御部522は、記憶部521に記憶された受信電界強度に関するデータ(例えば、
図4)を含むパケットを生成する。生成されるパケットのヘッダには、当該ノード5の識別子と、パケットの宛先である集約器4の識別子とが含まれる。制御部522は、生成されたパケットを、送信部523を介して集約器4に向けて送信する。
【0024】
<集約器>
集約器4は、無線通信ネットワーク3と広域ネットワーク6とを接続する中枢ノード(例えば、ゲートウェイ)である。広域ネットワーク6は、インターネットといった有線又は無線の通信ネットワークである。例えば、
図1に示す構成例では、集約器4は、配下のノード5−1〜5−4から受信したデータを、広域ネットワーク6を介して通信パラメータ設定装置2へ転送する。
【0025】
図5は、実施形態に従った集約器の構成例を示す図である。
図5に示す構成例では、集約器4は、無線通信部41及び情報処理部42を含む。
【0026】
無線通信部41は、無線通信を用いてノード5との間でデータを送受信する。無線通信部41は、制御部411、送信部412、受信部413、及びタイマ414を含む。制御部411は、例えば、CPU、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイス(FPGAやPLD等)等により構成される。送信部412は、例えば、無線送信機等により構成される。受信部413は、例えば、無線受信機等により構成される。
【0027】
制御部411は、ノード5へ送信するパケットを生成し、生成したパケットを、送信部412を介して該パケットの宛先であるノード5へ向けて送信する。また、制御部411は、ノード5から送信されたパケットを、受信部413を介して受信し、受信したパケットを処理する。例えば、受信したパケットのデータがノード5による計測データ、すなわち、計測部51による計測データ又は制御部522による受信電界強度の計測データである場合、制御部411は、受信したパケットのデータを情報処理部42へ出力する。
【0028】
更に、制御部411は、受信部413が受信した電波であって、集約器4の周辺に存在するノード5から送信された該電波の受信電界強度を所定周期又は任意のタイミングで計測する。制御部411が実行する計測処理は、
図3を参照しながら前述した制御部522が実行する計測処理と同様であってもよい。前述したように、各ノード5から送信される電波には、各ノード5のユニークな識別子が含まれている。制御部411は、受信した電波を送信したノード5の識別子と共に、計測された該電波の受信電界強度を情報処理部42へ出力する。
【0029】
また、制御部411は、集約器4と各ノード5との間の通信品質、すなわち、無線ネットワーク性能を所定周期又は任意のタイミングで計測する。例えば、無線ネットワーク性能は、当該ノード5から送信されたデータが集約器4に正常に到達する確率であってもよい。また、無線ネットワーク性能は、計測データが当該ノード5から送信されてから集約器4に到達するまでの遅延時間等であってもよく、例えば、受信したパケットに含まれるパケット送信時刻とタイマ414の現在時刻とを用いて計測されてもよい。制御部411は、計測したノード5の識別子と共に、集約器4と該ノード5との間の通信品質を情報処理部42へ出力する。
【0030】
情報処理部42は、例えば、広域ネットワーク6を介して通信パラメータ設定装置2とデータを送受信する。情報処理部42は、例えば、ボードコンピュータ等により構成される。情報処理部42は、処理部421、記憶部422、及び通信部423を含む。処理部421は、例えば、CPU、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイス(FPGAやPLD等)等により構成される。記憶部422は、例えば、RAMやROM等により構成される。通信部423は、例えば、有線及び/又は無線の通信インタフェース装置等により構成される。
【0031】
処理部421は、無線通信部41を介してノード5と送受信するデータや、通信部423を介して通信パラメータ設定装置2と送受信するデータを処理する。
【0032】
例えば、
図6に示すように、処理部421は、ノード5による計測データを、制御部411を介して受信する。後述するように、受信電界強度といった制御部522による計測データは、ネットワーク固有情報の1つとして通信パラメータ設定装置2が用いる。そこで、処理部421は、受信電界強度といった計測データを、通信部423を介して通信パラメータ設定装置2へ転送する。なお、温度、湿度、照度、雨量、音量、及び/又は圧力といった計測部51による計測データは、計測データ処理装置(図示せず)が処理する。そこで、処理部421は、計測部51による計測データを計測データ処理装置へ転送する。
【0033】
図6は、実施形態に従った集約器によるデータ転送を説明する図である。
図6に示す一例では、ノード5−4から送信された計測データ(例えば、受信電界強度)は、
図6中の矢印で示されるように、ノード5−3及びノード5−1を介して、集約器4の受信部413により受信される。そして、受信された計測データは、制御部411から処理部421へ出力され、処理部421は、
図6中の矢印で示されるように、該計測データを、通信部423を介して通信パラメータ設定装置2へ転送する。他のノード5から送信された計測データも同様に、集約器4を介して通信パラメータ設定装置2へ転送される。
【0034】
また、
図7に示すように、処理部421は、制御部411により計測された受信電界強度及び無線ネットワーク性能を記憶部422に記憶する。
図7は、実施形態に従った集約器4により計測及び記憶される情報の一例を示す図である。
図7に示す一例では、ノード5の識別子と、該ノード5から送信された電波の受信電界強度と、該ノード5に関する無線ネットワーク性能と、該ノード5と集約器4との間で送受信されるパケットの実ホップ数とがノード5毎に記憶される。処理部421は、記憶部422に記憶された情報(例えば、
図7に示される情報)を、通信部423を介して通信パラメータ設定装置2へ送信する。
【0035】
<通信パラメータ設定装置>
通信パラメータ設定装置2は、無線通信ネットワーク3に対する通信パラメータを設定する装置である。
図1に示した一例では、通信パラメータ設定装置2と集約器4とは広域ネットワーク6を介して接続される。
【0036】
図8は、実施形態に従った通信パラメータ設定装置の構成例を示す図である。
図8に示す構成例では、通信パラメータ設定装置2は、記憶部21、処理部22、入力部23、出力部24、通信部25、及び記憶媒体読み書き部26を含む。記憶部21は、例えば、RAMやROM等により構成される。処理部22は、例えば、CPU、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイス(FPGAやPLD等)等により構成される。入力部23は、例えば、キーボード、マウス、及びタッチパッド等により構成される。出力部24は、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)等により構成される。通信部25は、例えば、有線及び/又は無線の通信インタフェース装置等により構成される。記憶媒体読み書き部26は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又はフラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体からデータを読み取り、該可搬型記憶媒体にデータを書き込む装置により構成される。
【0037】
<<ネットワーク固有情報>>
記憶部21は、ネットワーク固有情報を複数の無線通信ネットワーク3に対して記憶する。
図9は、実施形態に従った通信パラメータ設定装置に記憶されるネットワーク固有情報の一例を示す図である。
図9には、管理対象ノードとして集約器4及び4つのノード5−1〜5−4を含む
図1に示した無線通信ネットワーク3に対するネットワーク固有情報の一例が示されている。
図9に示す一例では、ネットワーク固有情報は、結合度情報、設置環境情報、無線ネットワーク性能情報、構成情報、及び通信パラメータの既定値からなる。ネットワーク固有情報は、無線通信ネットワーク3の特徴を示す情報である。
【0038】
結合度情報は、各ノード(集約器4及びノード5)により計測された受信電界強度である。
図9の例に示されるように、受信電界強度は周辺ノード(集約器4及びノード5)の識別子に対応付けられる。前述したように、結合度情報は、集約器4及び各ノード5により所定周期又は任意のタイミングで計測され、集約器4から通信パラメータ設定装置2へ送信される。集約器4から送信された結合度情報は、通信部25を介して処理部22により受信され、処理部22は、受信した結合度情報を記憶部21に記憶する。
【0039】
設置環境情報は、無線通信ネットワーク3に含まれるノード(集約器4及びノード5)が設置された環境に関する情報である。設置環境情報は、例えば、当該ノードが設置された場所の緯度及び経度情報であり、他のノード5や集約器4までの距離は該設置環境情報から計算可能である。また、設置環境情報は、当該ノードが設置された場所の状況を含んでもよく、例えば、工場地帯、道路、住宅地、商業地、都会、中都市、及び閑散地等の分類を含んでもよい。更に、設置環境情報は、例えば、当該ノードの設置高や設置面の材質(例えば、コンクリートや金属等)を含んでもよい。設置環境情報は、入力部23を介して通信パラメータ設定装置2に入力され、記憶部21に記憶されるように構成される。或いは、設置環境情報は、他の情報処理装置(図示せず)から通信部25を介して受信され、記憶部21に記憶されるように構成される。或いは、設置環境情報は可搬型記憶媒体に記憶され、該可搬型記憶媒体に記憶された設置環境情報が記憶媒体読み書き部26を介して記憶部21に記憶されるように構成される。
【0040】
無線ネットワーク性能情報は、集約器4と各ノード5との間の通信品質に関する情報である。前述したように、例えば、無線ネットワーク性能情報は、当該ノード5から送信されたデータが集約器4に正常に到達する確率である。また、無線ネットワーク性能情報は、センサによる計測データといったデータが当該ノード5から送信されてから集約器4に到達するまでの遅延時間である。前述したように、無線ネットワーク性能は、集約器4により所定周期又は任意のタイミングで計測され、集約器4から通信パラメータ設定装置2へ送信される。集約器4から送信された無線ネットワーク性能は、通信部25を介して処理部22により受信され、処理部22は、受信した無線ネットワーク性能を記憶部21に記憶する。
【0041】
構成情報は、無線通信ネットワーク3の構成に関する情報である。構成情報は、例えば、集約器4配下のノード5の数や、集約器4から各ノード5までの距離である。構成情報としての距離は、物理的な距離であってもよいし、集約器4から各ノード5までの中継段数(ホップ数)であってもよい。なお、
図9には、集約器4から各ノード5までのホップ数が構成情報の一例として示されている。構成情報は、設置環境情報と同様に、入力部23、通信部25、或いは記憶媒体読み書き部26を介して記憶部21に記憶されるように構成される。
【0042】
通信パラメータの既定値は、当該無線通信ネットワーク3の通信パラメータの初期値又は現在値である。通信パラメータは、無線通信条件、通信方式、及び計測方式を含む。無線通信条件は、例えば、結合度の閾値である。通信方式は、例えば、通信リトライ回数及びデータサイズといった通信プロトコルや、電波の出力及び周波数といった電波方式である。計測方式は、例えば、各ノード5による計測周期である。なお、
図9に示す一例では、集約器4固有の通信パラメータの既定値と、各ノード5に共通の通信パラメータの既定値とに分けて通信パラメータの既定値が示されている。通信パラメータの既定値は、当該無線通信ネットワークの設置者又は運用者により決定されてもよい。通信パラメータの既定値は、入力部23或いは記憶媒体読み書き部26を介して記憶部21に記憶されるように構成される。或いは、通信パラメータの既定値は、各無線通信ネットワーク3の集約器4から通信部25を介して取得され、記憶部21に記憶されるように構成される。
【0043】
記憶部21は、
図9に示すようなネットワーク固有情報を複数の無線通信ネットワーク3に対して記憶する。記憶部21には、運用が既に開始されている複数の既設の無線通信ネットワーク3のネットワーク固有情報が記憶されてもよい。また、既設の無線通信ネットワークのネットワーク固有情報に加えて、運用が開始されていない新設の無線通信ネットワークのネットワーク固有情報が記憶部21に記憶されてもよい。
処理部22は、グループ形成部221及びパラメータ設定部222を含む。
【0044】
<<ネットワークグループの形成>>
グループ形成部221は、複数の無線通信ネットワーク3に対するネットワーク固有情報を用いて、複数の無線通信ネットワーク3を複数のネットワークグループにグルーピング(グループ分け)する。例えば、グループ形成部221は、
図10に示すような処理を実行する。
【0045】
図10は、実施形態に従ったネットワークグループの形成処理の例示的なフローを示す図である。
図10に示すようなネットワークグループの形成処理は、実施形態に従った通信パラメータ設定方法に含まれる。
【0046】
ステップS101において、グループ形成部221は、カウンタ値iを初期値0(ゼロ)に設定する。ステップS102において、グループ形成部221は、記憶部21に記憶された複数の無線通信ネットワーク3に対するネットワーク固有情報に基づいて所定の特徴を抽出する。
【0047】
抽出される特徴は、結合度情報、設置環境情報、構成情報、及び通信パラメータの既定値の中から抽出される。例えば、結合度情報と通信パラメータの既定値とに基づいて、所定の閾値以上の結合度を有するノード数が所定の特徴として抽出されてもよく、設置環境情報に基づいて、ノード5間の距離が所定の特徴として抽出されてもよい。また、
図11に示すように、結合度情報及び設置環境情報に基づいて、ノード5間の距離と受信電界強度との関係が所定の特徴として抽出されてもよい。
図11は、実施形態に従ったネットワーク固有情報から抽出される特徴の一例を示す図である。
図11には、12個の無線通信ネットワーク3−1〜3−12それぞれに対して、ノード5間の距離と受信電界強度との関係が所定の特徴として示されている。
【0048】
ステップS103において、グループ形成部221は、抽出した所定の特徴の類似度に従って、複数の無線通信ネットワーク3を複数のネットワークグループにグルーピングする。例えば、グループ形成部221は、所定の特徴をクラスタとするクラスタ分析を用いて、複数の無線通信ネットワーク3を複数のネットワークグループにグルーピングしてもよい。クラスタ分析は、クラスタ間の距離が近ければクラスタ同士の類似度が高いと判定し、クラスタ間の距離が遠ければクラスタ同士の類似度が低いと判定する分析手法である。クラスタ間の距離は、例えば、ユークリッド距離等である。
【0049】
例えば、
図11に示す一例では、ノード5間の距離の増加に従い受信電界強度が減衰する特徴の類似度に従って、9つの無線通信ネットワーク3−1〜3−12は6つのネットワークグループG1〜G6にグルーピングされる。類似度に従ったグルーピングの結果、ネットワークグループG1にグルーピングされた3つの無線通信ネットワーク3−1〜3−3は、例えば、閑散した戸建ての住宅地に敷設された無線通信ネットワークであり得る。ネットワークグループG2にグルーピングされた3つの無線通信ネットワーク3−4〜3−6は、例えば、密集した戸建ての住宅地に敷設された無線通信ネットワークであり得る。ネットワークグループG3にグルーピングされた3つの無線通信ネットワーク3−7〜3−9は、例えば、集合住宅に敷設された無線通信ネットワークであり得る。なお、
図11に示す一例では、3つの無線通信ネットワーク3−10〜3−12は、ステップS102で抽出された所定の特徴に関して他の無線通信ネットワーク3と類似性がないため、ネットワークグループG4〜G6にそれぞれ単独でグルーピングされている。
【0050】
ステップS104において、グループ形成部221は、カウンタ値iをインクリメントする。そして、ステップS105において、グループ形成部221は、カウンタ値iが所定の閾値ith以下であるか否かを判定する。
【0051】
カウンタ値iが所定の閾値ithを超える場合(ステップS105で“NO”)、グループ形成部221は、ネットワークグループを形成する一連の処理を終了する。一方、カウンタ値iが所定の閾値ith以下である場合(ステップS105で“YES”)、一連の処理はステップS106に進む。
【0052】
ステップS106において、グループ形成部221は、同一のネットワークグループにグルーピングされた無線通信ネットワーク3に対する無線ネットワーク性能情報が類似するか否かを判定する。無線ネットワーク性能情報の類似度は、例えば、前述したようなクラスタ分析を用いて判定されてもよい。
【0053】
無線ネットワーク性能情報が類似する場合(ステップS106で“YES”)、グループ形成部221は、ネットワークグループを形成する一連の処理を終了する。一方、無線ネットワーク性能情報が類似しない場合(ステップS106で“NO”)、一連の処理はステップS102に戻る。
【0054】
一連の処理がステップS102に戻された場合、グループ形成部221は、複数の無線通信ネットワーク3に対するネットワーク固有情報に基づいて、カウンタ値i回目までに抽出された所定の特徴以外の特徴を新たに抽出する。そして、ステップS103において、グループ形成部221は、カウンタ値i回目までに抽出された所定の特徴の類似度に加えて、新たに抽出された特徴の類似度に従って複数の無線通信ネットワークを複数のネットワークグループにグルーピングする。
【0055】
例えば、
図11に示す一例において、無線通信ネットワーク3−1〜3−3に対する無線ネットワーク性能情報が類似しない場合、新たに抽出された特徴の類似度に従ってネットワークグループG1は2つのネットワークグループに細分化され得る。また、無線通信ネットワーク3−10〜3−12は、新たに抽出された特徴の類似度に従って、新たに形成された1つのネットワークグループにグルーピングされ得る。
【0056】
このように、
図10に示すようなネットワークグループの形成処理を通じて、複数の無線通信ネットワーク3は複数のネットワークグループにグルーピングされる。
【0057】
なお、無線通信ネットワーク3が新設の無線通信ネットワークである場合には、無線ネットワーク性能情報は集約器4により未だ計測されていない。そこで、例えば、記憶部21に記憶されたネットワーク固有情報が新設の無線通信ネットワーク3のネットワーク固有情報である場合には、ステップS106の処理はスキップされてもよい。
【0058】
<<通信パラメータの設定>>
次に、パラメータ設定部222は、グループ形成部221により形成されたネットワークグループ毎に通信パラメータの設定値を設定する。
図12は、実施形態に従った通信パラメータの設定処理の例示的なフローを示す図である。
図12に示すような通信パラメータの設定処理は、実施形態に従った通信パラメータ設定方法に含まれる。
【0059】
ステップS201において、パラメータ設定部222は、グループ形成部221により形成された複数のネットワークグループの中から1つのネットワークグループを選択する。ステップS202において、パラメータ設定部222は、選択されたネットワークグループにグルーピングされた無線通信ネットワーク3それぞれに対する設定対象の通信パラメータの1つを選択する。前述したように、通信パラメータは、無線通信条件、通信方式、及び計測方式を含む。無線通信条件は、例えば、結合度の閾値であり、通信方式は、例えば、通信リトライ回数及びデータサイズといった通信プロトコルや、電波の出力及び周波数といった電波方式である。計測方式は、例えば、各ノード5による計測周期である。
【0060】
ステップS203において、パラメータ設定部222は、選択された通信パラメータの設定値を、選択されたネットワークグループにグルーピングされた無線通信ネットワーク3に対して同様に設定する。設定される通信パラメータの設定値は、選択されたネットワークグループに含まれる無線通信ネットワーク3それぞれに対する該通信パラメータの既定値の平均値又は中央値であってもよい。
【0061】
ステップS204において、パラメータ設定部222は、
図13に示すように、選択されたネットワークグループにグルーピングされた各無線通信ネットワーク3のノード5へ通信パラメータの設定値を送信し、該設定値をノード5に設定させる。
図13は、実施形態に従った通信パラメータ設定装置による通信パラメータの設定を説明する図である。
図13に示す一例では、パラメータ設定部222により設定された通信パラメータの設定値は、集約器4、ノード5−1、及びノード5−3を介して通信パラメータ設定装置2からノード5−4へ送信され、ノード5−4は、受信した該設定値を設定する。なお、ステップS204において通信パラメータの設定値が設定されるノード5は、当該無線通信ネットワーク3に含まれる全てのノード5であってもよい。また、ステップS204において通信パラメータの設定値が設定されるノード5は、
図13に示す一例のように特定のノード5であってもよい。
【0062】
パラメータ設定部222は、所定時間待機し(ステップS205)、通信パラメータの設定値が設定されたノード5に対して計測された無線ネットワーク性能を、通信部25を介して集約器4から受信して読み出す(ステップS206)。そして、ステップS207において、パラメータ設定部222は、今回読み出した無線ネットワーク性能が前回読み出した無線ネットワーク性能よりも向上したか否かを判定する。
【0063】
今回読み出した無線ネットワーク性能が前回読み出した無線ネットワーク性能よりも向上した場合(ステップS207で“YES”)、通信パラメータの一連の設定処理はステップS208へ進む。なお、ステップS204において通信パラメータの設定値が一部のノード5にのみ設定された場合には、パラメータ設定部222は、該設定値が未設定のノード5へ該設定値を送信し、該設定値が未設定のノード5に該設定値を設定させる。
【0064】
一方、今回読み出した無線ネットワーク性能が前回読み出した無線ネットワーク性能よりも向上しない場合(ステップS207で“NO”)、通信パラメータの一連の設定処理はステップS203へ戻る。一連の処理がステップS203へ戻される場合、パラメータ設定部222は、無線ネットワーク性能が向上するまで(ステップS207で“YES”)、通信パラメータの設定値を再設定する(ステップS203)。すなわち、パラメータ設定部222は、通信パラメータの設定値を上又は下に微調整する。
【0065】
ステップS208において、パラメータ設定部222は、設定対象の全ての通信パラメータが設定済みか否かを判定する。設定対象の全ての通信パラメータが設定済みである場合(ステップS208で“YES”)、通信パラメータの一連の設定処理はステップS209へ進む。一方、設定対象の通信パラメータの中に未設定の通信パラメータがある場合(ステップS208で“NO”)、通信パラメータの一連の設定処理はステップS202へ戻り、パラメータ設定部222は、未設定の通信パラメータを設定する。
【0066】
ステップS209において、パラメータ設定部222は、全てのネットワークグループに対して通信パラメータが設定済みか否かを判定する。通信パラメータが未設定のネットワークグループがある場合(ステップS209で“NO”)、通信パラメータの一連の処理はステップS201へ戻る。そして、通信パラメータが未設定のネットワークグループに対する通信パラメータの設定処理が継続される。一方、全てのネットワークグループに対して通信パラメータが設定済みである場合、通信パラメータの一連の設定処理は終了する。
【0067】
このように、実施形態に従った通信パラメータ設定方法によれば、無線通信ネットワークにおいて、複数のノード間の通信品質と、無線ネットワーク性能とに従って各種の通信パラメータを設定することができる。また、実施形態に従った通信パラメータ設定方法によれば、各ノードの環境条件や無線通信ネットワークの構成に従って各種の通信パラメータを設定することができる。したがって、実施形態に従った通信パラメータ設定方法によれば、無線通信ネットワークに対する適切な通信パラメータを設定することができる。
【0068】
また、実施形態に従った通信パラメータ設定方法によれば、類似する特徴を有する無線通信ネットワークに対して同様の通信パラメータを設定できる。したがって、実施形態に従った通信パラメータ設定方法によれば、複数の無線通信ネットワークそれぞれに対して通信パラメータを個別に探索しなくても適切な通信パラメータを設定することができ、無線通信ネットワークの敷設及び運用作業を容易にすることができる。
【0069】
<変形例>
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0070】
<<変形例1>>
例えば、ネットワーク固有情報は、
図9を参照しながら上述した各種情報以外の情報であってもよい。具体的には、例えば、ネットワーク固有情報は、受信電波レベルの中央値(累積分布の50[%]の値)を含んでもよい。受信電波レベルの中央値は、集約器4及びノード5により所定周期又は任意のタイミングで計測されてもよく、集約器4から通信パラメータ設定装置2へ送信されてもよい。また、グループ形成部221は、ネットワーク固有情報に含まれる受信電波レベルの中央値に基づいて、複数の無線通信ネットワーク3それぞれの受信電波レベルの中央値変動を所定の特徴として抽出してもよい。そして、グループ形成部221は、距離的変動の傾きの大きさといった中央値変動の類似度に従って複数の無線通信ネットワーク3を複数のネットワークグループに分割してもよい。
【0071】
<<変形例2>>
例えば、
図10に示しながら前述したような処理を通じてネットワークグループが既に形成されている場合、グループ形成部221は、
図14に示すような処理を通じて、新たな無線通信ネットワーク3を既存のネットワークグループに含めてもよい。ここで、新たな無線通信ネットワーク3とは、所属するネットワークグループが決定されていない無線通信ネットワークを指し、既存のネットワークグループにグルーピングされていない無線通信ネットワークである。新たな無線通信ネットワーク3は、既設の無線通信ネットワークであってもよいし、新設の無線通信ネットワークであってもよい。
【0072】
図14は、実施形態に従ったネットワークグループの設定処理の例示的なフローを示す図である。
図14に示すようなネットワークグループの設定処理は、実施形態に従った通信パラメータ設定方法に含まれる。
【0073】
ステップS301において、グループ形成部221は、新たな無線通信ネットワーク3のネットワーク固有情報から所定の特徴を抽出する。そして、ステップS302において、抽出された所定の特徴と類似する特徴を有する既存のネットワークグループがあるか否かを判定する。抽出された所定の特徴の類似度は、前述したようなクラスタ分析を用いて判定されてもよい。
【0074】
抽出された所定の特徴と類似する特徴を有する既存のネットワークグループがある場合(ステップS302で“YES”)、グループ形成部221は、該既存のネットワークグループに新たな無線通信ネットワーク3をグルーピングする(ステップS303)。一方、抽出された所定の特徴と類似する特徴を有する既存のネットワークグループがない場合(ステップS302で“NO”)、グループ形成部221は、新たな無線通信ネットワーク3に対して新たなネットワークグループを形成する(ステップS304)。
【0075】
新たな無線通信ネットワーク3に対するネットワークグループが上述のように設定されると、パラメータ設定部222は、新たな無線通信ネットワーク3に対する通信パラメータの設定値を設定する。具体的には、パラメータ設定部222は、新たな無線通信ネットワーク3がグルーピングされたネットワークグループの通信パラメータの設定値に従って新たな無線通信ネットワーク3の通信パラメータの設定値を設定する。
【0076】
このように、実施形態に従った通信パラメータ設定方法によれば、新たな無線通信ネットワークに対して、該新たな無線通信ネットワークの特徴と類似する特徴を有する既知のネットワークグループと同様の通信パラメータを設定できる。したがって、実施形態に従った通信パラメータ設定方法によれば、新たな無線ネットワークに対して通信パラメータを新たに探索しなくても適切な通信パラメータを設定することができ、無線通信ネットワークの敷設及び運用作業を容易にすることができる。
【0077】
<<変形例3>>
上述したような実施形態に従った通信パラメータ設定方法は、実施形態に従った通信パラメータ設定方法の手順を規律する通信パラメータ設定プログラムを実行する情報処理装置(コンピュータ)によっても実施可能である。
図15は、実施形態に従った通信パラメータ設定プログラムを実行する情報処理装置の構成例を示す図である。
【0078】
図15に示す構成例では、情報処理装置7は、プロセッサの一例であるCPU71と、RAM等の主記憶装置72と、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置73とを含む。また、情報処理装置7は、キーボードやマウス等の入力装置74と、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等の出力装置75とを更に含む。また、情報処理装置7は、可搬型記憶媒体へデータを書き込み且つ可搬型記憶媒体からデータを読み取る可搬型記憶媒体読み書き装置76と、インターネット等の通信ネットワークと接続する通信インタフェース装置77とを更に含む。情報処理装置7に含まれるこれらの構成要素71〜77は、バス78を介して相互に接続される。
【0079】
実施形態に従った通信パラメータ設定プログラムは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又はフラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体に記憶されてもよい。可搬型記憶媒体に記憶された通信パラメータ設定プログラムは、可搬型記憶媒体読み書き装置76を介して読み取られ、補助記憶装置73にインストールされる。また、実施形態に従った通信パラメータ設定プログラムは、他の情報処理装置(図示せず)に格納された通信パラメータ設定プログラムを、通信インタフェース装置77を介して情報処理装置7が取得することによって、補助記憶装置73にインストールされてもよい。CPU71は、通信パラメータ設定プログラムを補助記憶装置73から主記憶装置72に読み出して通信パラメータ設定プログラムを実行することによって、実施形態に従った通信パラメータ設定方法を実行する。
【0080】
実施形態に従った通信パラメータ設定プログラムを情報処理装置に実行させることによっても、実施形態に従った通信パラメータ設定方法から得られる上述の効果を得ることができる。