(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の付属装置(201〜204)と、前記複数の付属装置がそれぞれ着脱可能に装着され、各付属装置と通信を行なって制御する本体装置(100、100a)と、を備える組立体(10)であって、
複数の付属装置は、それぞれ
自身が前記本体装置に装着された場合に前記本体装置と電気的に接続され、自身の通信用識別子を設定するために用いられる第1識別子設定用端子(25i)と、
前記第1識別子設定用端子における信号の電気的特性を特定し、特定された前記電気的特性に基づき、自身の前記通信用識別子を設定する識別子設定部(223)と、
を有し、
前記本体装置は、前記複数の付属装置が装着された場合に各付属装置の前記第1識別子設定用端子とそれぞれ電気的に接続され、各前記第1識別子設定用端子における前記電気的特性を、前記複数の付属装置が装着される前に比べて変化させ、且つ、互いに異なるように変化させる電気的特性変更部(R21〜R24、160)を有し、
前記付属装置は、
電源部(212)と、
前記電源部と前記第1識別子設定用端子との間の第1導通経路(r11)と、
前記第1導通経路に設けられた第1抵抗器(R10)と、
をさらに備え、
前記本体装置は、
前記本体装置に前記複数の付属装置が装着された場合に各付属装置の前記第1識別子設定用端子と接触して電気的に接続される複数の第2識別子設定用端子(15i)と、
前記複数の第2識別子設定用端子のそれぞれと接地部との間に設けられた複数の第2導通経路(r21、r29、r20)と、
を備え、
前記電気的特性変更部は、前記複数の第2導通経路にそれぞれ設けられた互いに電気抵抗値が異なる複数の第2抵抗器(R21〜R24)を有し、
前記複数の付属装置の前記識別子設定部は、前記第1導通経路において前記第1抵抗器と前記第1識別子設定用端子との間の位置の電圧値に応じて、自身の前記通信用識別子を設定し、
前記付属装置は、プロペラ(250)と、前記プロペラを駆動するモータ(211)と、を有するプロペラアームであり、
前記組立体は、飛翔体である、
組立体。
複数の付属装置(201〜204)がそれぞれ着脱可能に自身に装着されることで組立体(10)を構成し、各付属装置と通信を行なって制御する本体装置(100、100a)であって、
前記複数の付属装置が装着された場合に、各付属装置が有する第1識別子設定用端子であって各付属装置が前記本体装置に装着された場合に前記本体装置と電気的に接続されて各付属装置の通信用識別子を設定するために用いられる第1識別子設定用端子(25i)と、それぞれ電気的に接続され、各第1識別子設定用端子における信号の電気的特性を、前記複数の付属装置が装着される前に比べて変化させる電気的特性変更部(R21〜R24、160)を備え、
各付属装置は、電源部(212)と、前記電源部と前記第1識別子設定用端子との間の第1導通経路(r11)と、前記第1導通経路に設けられた第1抵抗器(R10)と、をさらに有し、
前記本体装置に前記複数の付属装置が装着された場合に各付属装置の前記第1識別子設定用端子と接触して電気的に接続される複数の第2識別子設定用端子(15i)と、
前記複数の第2識別子設定用端子のそれぞれと接地部との間に設けられた複数の第2導通経路(r21、r29、r20)と、
をさらに備え、
前記電気的特性変更部は、前記複数の第2導通経路にそれぞれ設けられた互いに電気抵抗値が異なる複数の第2抵抗器(R21〜R24)を有し、
前記複数の付属装置は、前記第1導通経路において前記第1抵抗器と前記第1識別子設定用端子との間の位置の電圧値に応じて、自身の前記通信用識別子を設定し、
前記付属装置は、プロペラ(250)と、前記プロペラを駆動するモータ(211)と、を有するプロペラアームであり、
前記組立体は、飛翔体である、
本体装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.第1実施形態:
A1.全体構成:
図1に示す飛翔体10は、本体装置100と4つのプロペラアーム201、202、203、204を備え、各プロペラアーム201〜204の回転により生じる飛翔力により、空中を飛翔する。飛翔体10は、例えば、空中での撮影や、空中での農薬の散布や、貨物の運搬等に利用され得る。
【0013】
本体装置100は、飛翔体10の中央に位置し、4つのプロペラアーム201〜204への電力供給や制御、また、利用者が有する図示しないリモートコントローラーとの間での無線通信などを行う。本体装置100には、4つのスロットが設けられており、これら4つのスロットに4つのプロペラアーム201〜204が着脱可能に装着され得る。
図1では、4つのプロペラアーム201〜204が本体装置100に装着された状態を示す。本体装置100と各プロペラアーム201〜204とは、有線通信を行う。これにより、本体装置100は、各プロペラアーム201〜204を制御すると共に、各プロペラアーム201〜204の状態を特定する。本実施形態では、本体装置100と各プロペラアーム201〜204との間の有線通信は、CAN(Controller Area Network)により実現される。したがって、各プロペラアーム201〜204には、CAN通信用の通信識別子(CAN−ID)が予め設定される。
【0014】
4つのプロペラアーム201〜204は、上述のCAN−IDを除き、互いに同じ構成を有する。本体装置100における互いに対向する位置(スロット)に装着された2つのプロペラアームの有するプロペラは、互いに同一の方向に回転する。但し、本体装置100において直交する位置(スロット)に装着されたプロペラアームの有するプロペラは、互いに反対方向に回転する。なお、4つのプロペラアーム201〜204の外径方向に、4つのプロペラアーム201〜204を周方向に囲むようにバンパーを設けてもよい。かかるバンパーは、4つのプロペラアーム201〜204に取り付けられて支持されてもよい。
【0015】
A2.本体装置の構成:
図2に示すように、本体装置100は、4つのスロットSL1、SL2、SL3、SL4と、主制御部110と、バッテリ130と、4つの抵抗器R21、R22、R23、R24とを備える。
【0016】
4つのスロットSL1〜SL4には、4つのプロペラアーム201〜204のうちのいずれか1つのプロペラアームが装着される。具体的には、スロットSL1には、プロペラアーム201が装着される。同様に、スロットSL2にはプロペラアーム202が、スロットSL3にはプロペラアーム203が、スロットSL4にはプロペラアーム204が、それぞれ装着される。
【0017】
4つのスロットSL1〜SL4は、互いに同じ構成を有するので、スロットSL1を代表して説明する。スロットSL1は、CAN用のバス配線121、122に接続するための2つのコネクタ15p、15nを備えている。
【0018】
また、スロットSL1は、CAN−ID設定用の2つのコネクタ15i、15gを備えている。後述するように、本実施形態では、各プロペラアーム201〜204が本体装置100に装着された際に、CAN−ID設定処理が実行されて各プロペラアーム201〜204にCAN−IDが設定される。上述の2つのコネクタ15i、15gは、このCAN−ID設定処理において用いられる。CAN−ID設定処理の詳細手順については後述する。
【0019】
スロットSL1のコネクタ15iは、導線r21を介して共通導線r29に接続されている。導線r21には、抵抗器R21が配置されている。同様に、スロットSL2のコネクタ15iは、導線r22を介して共通導線r29に接続されている。導線r22には、抵抗器R22が配置されている。スロットSL3のコネクタ15iは、導線r23を介して共通導線r29に接続されている。導線r23には、抵抗器R23が配置されている。スロットSL4のコネクタ15iは、導線r24を介して共通導線r29に接続されている。導線r24には、抵抗器R24が配置されている。
【0020】
本実施形態において、上述した4つの抵抗器R21〜R24は、互いに電気抵抗値が異なる。具体的には、抵抗器R21の電気抵抗値は287KΩ(キロオーム)であり、抵抗器R22の電気抵抗値は1.21KΩであり、抵抗器R23の電気抵抗値は3.32KΩであり、抵抗器R24の電気抵抗値は14.0KΩである。本実施形態では、これらの4つの抵抗器R21〜R24を「第2抵抗器」とも呼ぶ。
【0021】
共通導線r29は、共通導線r20に接続されている。共通導線r20は、バッテリ130の負極に接続されており、接地されているとみなすことができる。
【0022】
スロットSL1のコネクタ15gは、上述の共通導線r20に接続されている。したがって、上述のコネクタ15iと同様に、共通導線r20を介してバッテリ130の負極に接続されている。なお、他のスロットSL2〜SL4が有するコネクタ15gも同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0023】
主制御部110は、本体装置100を制御すると共に、装着された各プロペラアーム201〜204をCAN通信を行って制御する。本体装置100の制御とは、例えば、リモートコントローラーとの間の無線通信の制御、バッテリ130から各プロペラアーム201〜204への給電制御、慣性計測などが該当する。各プロペラアーム201〜204の制御とは、例えば、各プロペラアーム201〜204が有するアーム制御部(後述のアーム制御部220)に対して目標回転数を指示したり、各プロペラアーム201〜204の実際の回転数を特定したりする処理が該当する。本実施形態において、主制御部110は、CPU、ROM、RAMを備えるECUにより構成されている。かかるECUが備えるCPUが、予めROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより、主制御部110は、通信制御部111として機能する。通信制御部111は、主制御部110と各プロペラアーム201〜204との間でCAN通信を実行する。主制御部110には、CAN通信を行うために、図示しないトランシーバを介してバス配線121、122が接続されている。
【0024】
バッテリ130は、本実施形態では、二次電池により構成され、本体装置100が図示しないドックに接続された場合に、外部電源からの給電により充電される。上述のように、バッテリ130の負極は、共通導線r20に接続されている。
【0025】
A3.プロペラアームの構成:
上述のように、4つのプロペラアーム201〜204は、設定されているCAN−IDを除き、互いに同じ構成を有するので、プロペラアーム201を代表して、構成を説明する。
図3に示すように、プロペラアーム201は、プロペラ部250と、アーム部230と、本体部210とを備える。プロペラ部250は、
図1に示すように、本体部210の上方側に配置されている。
【0026】
アーム部230の一端は、プロペラアーム201が本体装置100に装着された状態において、本体装置100のスロットSL1に接続される。アーム部230の他端には、本体部210が連なっている。アーム部230は、CAN用のバス配線121、122に接続するための2つのコネクタ25p、25nを備えている。
図3に示すように、プロペラアーム201が本体装置100に装着された状態において、コネクタ25pは、本体装置100のコネクタ15pと接続し、また、コネクタ25nは、本体装置100の15nと接続する。
【0027】
また、アーム部230は、CAN−ID設定用の2つのコネクタ25i、25gを備えている。プロペラアーム201が本体装置100に装着された状態において、コネクタ25iは、本体装置100のコネクタ15iと接続し、コネクタ25gは、本体装置100のコネクタ15gと接続する。
【0028】
コネクタ25iは、導線r11を介して電源部212に接続されている。導線r11には、抵抗器R10が設けられている。本実施形態において、抵抗器R10の電気抵抗値は、2.00KΩである。なお、この抵抗器R10の電気抵抗値は、本体装置100における4つの抵抗器R21〜R24とは異なり、4つのプロペラアーム201〜204において互いに等しい。本実施形態において、この抵抗器R10を「第1抵抗器」とも呼ぶ。導線r11において、抵抗器R10とコネクタ25iとの間の位置に、後述のアーム制御部220のA/Dポート(アナログ/デジタル変換ポート)が電気的に接続されている。また、導線r11において、電源部212と抵抗器R10との間の位置に、後述のアーム制御部220の電源ポートVCCが電気的に接続されている。なお、電源部212には、図示しない給電経路を介して本体装置100のバッテリ130から給電が行なわれる。
【0029】
コネクタ25gは、アーム制御部220の接地ポートVSSと接続されている。上述のように、コネクタ25gとコネクタ15gとが接続されると、接地ポートVSSは、2つのコネクタ25g、15gおよび共通導線r20を介してバッテリ130の負極(接地部)と電気的に接続される。
【0030】
本体部210は、プロペラアーム201における本体装置100と接続する側の端部とは反対側の端部に配置されている。本体部210は、モータ211と、アーム制御部220とを備える。モータ211は、電源部212からの供給電力により駆動し、プロペラ部250を回転させる。
【0031】
アーム制御部220は、CAN通信によって本体装置100から受信する指示に従い、モータ211の駆動を制御する。アーム制御部220は、CPU、ROM、RAMを備えるECUにより構成されている。かかるECUが備えるCPUが、予めROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより、アーム制御部220は、モータ制御部221、通信制御部222および識別子設定部223として機能する。モータ制御部221は、モータ制御部221の駆動を制御する。通信制御部222は、プロペラアーム201(アーム制御部220)と本体装置100(主制御部110)との間のCAN通信を実行する。識別子設定部223は、後述のCAN−ID設定処理を実行して、自らのCAN−IDを設定する。主制御部110が有するROMには、予め閾値電圧テーブル224が記憶されている。閾値電圧テーブル224には、CAN−ID設定処理において用いられる閾値となる電圧値が予め設定されている。閾値電圧テーブル224の具体的な設定内容については、後述する。
【0032】
アーム制御部220は、所定の時間間隔ごとに、上述のA/Dポートから入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して、導線r11において抵抗器R10とコネクタ25iとの間の位置の電圧値(以下、「参照電圧値」と呼ぶ)を求め、アーム制御部220内の図示しないROMに記憶している。
【0033】
上述の飛翔体10は、発明の概要欄における組立体の下位概念に相当する。また、4つのプロペラアーム201〜204は発明の概要欄における複数の付属装置の下位概念に、コネクタ25iは発明の概要欄における第1識別子設定用端子の下位概念に、4つの抵抗器R21〜R24は発明の概要欄における電気的特性変更部および複数の第2抵抗器の下位概念に、導線r11は発明の概要欄における第1導通経路の下位概念に、R10は発明の概要欄における第1抵抗器の下位概念に、コネクタ15iは発明の概要欄における第2識別子設定用端子の下位概念に、4つの導線r21〜r24は発明の概要欄における複数の第2導通経路の下位概念に、それぞれ相当する。
【0034】
A4.CAN−ID設定処理:
4つのプロペラアーム201〜204のいずれかが本体装置100に装着され、かかるプロペラアームに対して本体装置100から給電が行なわれると、かかるプロペラアームにおいてCAN−ID設定処理が実行される。
【0035】
CAN−ID設定処理とは、既設の他のプロペラアームに設定されているCAN−IDと重複しないCAN−IDを自動的に設定するための処理である。本体装置100に未装着状態のプロペラアーム、より具体的には、製造後において本体装置100に一度も装着されていなプロペラアームには、CAN−IDとしてデフォルト値(例えば、0H(16進表記))が設定されている。このようなプロペラアームが本体装置100に装着された後にCAN−ID設定処理が実行されると、デフォルト値から他の値に変更されて設定される。また、故障修理の等理由により本体装置100から取り外したプロペラアームには、装着されていた際に設定されたCAN−IDが設定されている。このようなプロペラアームが本体装置100に装着された後にCAN−ID設定処理が実行されると、場合によっては(取り外したスロットと異なるスロットに装着されると)、異なるCAN−IDが設定される。
【0036】
なお、各プロペラアーム201〜204が本体装置100に装着されると、各プロペラアーム201〜204の各コネクタ25i、25g、25p、25nは本体装置100の対応するコネクタ(コネクタ15i、15g、15p、15n)と接続される。また、各プロペラアーム201〜204の電源部212には、本体装置100から電力が供給される。
【0037】
図4に示すように、まず、識別子設定部223は、参照電圧値(導線r11において抵抗器R10とコネクタ25iとの間の位置の電圧値)を、図示しないROMから読み込む(ステップS105)。
図2および
図3に示すように、プロペラアームと本体装置100とが接続されると、電源部212と接地部(本体装置100が備えるバッテリ130の負極)との間には、第1抵抗器(
図3に示すプロペラアーム201の抵抗器R10)と、第2抵抗器(
図2に示す抵抗器R21)とが存在することとなる。このため、参照電圧値は、電源部212における電圧値から第1抵抗器で分圧された電圧値となる。
【0038】
図4に示すように、識別子設定部223は、閾値電圧テーブル224を参照して、参照電圧値が第1閾値電圧値よりも小さいか否かを判定する(ステップS110)。閾値電圧テーブル224には、第1閾値電圧値、第2閾値電圧値、および第3閾値電圧値の合計3つの閾値電圧値が設定されている。具体的には、本実施形態では、第1閾値電圧値として0.83Vが設定されている。また、第2閾値電圧値として1.65Vが、第3閾値電圧値として2.48Vが、それぞれ設定されている。
【0039】
参照電圧値が第1閾値電圧値よりも小さいと判定された場合(ステップS110:YES)、識別子設定部223は、装着されたプロペラアーム用のCAN−IDとして、「10H」を設定する(ステップS115)。他方、参照電圧値が第1閾値電圧値よりも小さくないと判定された場合(ステップS110:NO)、識別子設定部223は、参照電圧値が第2閾値電圧値よりも小さいか否かを判定する(ステップS120)。
【0040】
参照電圧値が第2閾値電圧値よりも小さいと判定された場合(ステップS120:YES)、識別子設定部223は、装着されたプロペラアーム用のCAN−IDとして、「20H」を設定する(ステップS125)。他方、参照電圧値が第2閾値電圧値よりも小さくないと判定された場合(ステップS120:NO)、識別子設定部223は、参照電圧値が第3閾値電圧値よりも小さいか否かを判定する(ステップS130)。
【0041】
参照電圧値が第3閾値電圧値よりも小さいと判定された場合(ステップS130:YES)、識別子設定部223は、装着されたプロペラアーム用のCAN−IDとして、「30H」を設定する(ステップS135)。他方、参照電圧値が第3閾値電圧値よりも小さくないと判定された場合(ステップS130:NO)、識別子設定部223は、装着されたプロペラアーム用のCAN−IDとして、「40H」を設定する(ステップS140)。上述のステップS115、S125、S135、およびS140がそれぞれ完了した後、CAN−ID設定処理は完了する。
【0042】
図5に示す例では、アーム番号に示すプロペラアームが本体装置100に装着された場合の、第1抵抗器の抵抗値、第2抵抗器の抵抗値、参照電圧値例、閾値電圧値、およびCAN−ID設定例が表わされている。アーム番号として、スロットSL1に装着されるプロペラアーム、すなわちプロペラアーム201に対して「1」が、スロットSL2に装着されるプロペラアーム202に対して「2」が、スロットSL3に装着されるプロペラアーム203に対して「3」が、スロットSL4に装着されるプロペラアーム204に対して「4」が、それぞれ設定されている。
【0043】
図5に示すように、各プロペラアーム201〜204が本体装置100に装着された場合、各プロペラアーム201〜204の第2抵抗器(抵抗器R21〜R24)の抵抗値がそれぞれ異なるため、参照電圧値は、互いに異なることとなる。ここで、3つの閾値電圧値は、各プロペラアーム201〜204の参照電圧値のうち、互いに最も近い値の2つの電圧値の間の電圧値となるように、予め設定されている。例えば、プロペラアーム201とプロペラアーム202で検出される2つの参照電圧値は、各プロペラアーム201、202の第1抵抗器の抵抗値および第2抵抗器の抵抗値と、電源部212の電圧値とから算出できる。そして、算出された2つの参照電圧値の間の電圧値として、第1電圧値が設定されている。同様に、第2閾値電圧値は、プロペラアーム202とプロペラアーム203で検出される2つの参照電圧値の間の電圧値として算出され、予め設定されている。また、第3閾値電圧値は、プロペラアーム203とプロペラアーム204で検出される2つの参照電圧値の間の電圧値として算出され、予め設定されている。
【0044】
このように第1ないし第3閾値電圧値が設定されているため、
図5に示すように、プロペラアーム201で検出された参照電圧値(実測値)が0.41Vの場合、第1閾値電圧値(0.83V)よりも小さい値であることから、CAN−IDとして「10H」が設定される。すなわち、プロペラアーム201に本体装置100が装着された場合には、ステップS110の後、ステップS115が実行され、CAN−IDとして「10H」が設定されてCAN−ID設定処理は終了する。
【0045】
同様に、プロペラアーム201を除く他の3つのプロペラアーム202〜204がそれぞれ本体装置100に装着された場合に設定されるCAN−IDについて説明する。プロペラアーム202が本体装置100に装着され、ステップS105で読み込まれた参照電圧値が
図5に示すように1.24Vの場合、第1閾値電圧値(0.83V)と第2閾値電圧値(1.65V)との間であるため、CAN−IDとして「20H」が設定される。また、プロペラアーム203が本体装置100に装着され、ステップS105で読み込まれた参照電圧値が2.06Vの場合、第2閾値電圧値(1.65V)と第3閾値電圧値(2.48V)との間であるため、CAN−IDとして「30H」が設定される。また、プロペラアーム204が本体装置100に装着され、ステップS105で読み込まれた参照電圧値が2.89Vの場合、第3閾値電圧値(2.48V)よりも大きな値であることから、CAN−IDとして「40H」が設定される。
【0046】
このように、各プロペラアーム201〜204が本体装置100に装着された場合、それぞれのプロペラアームに対して、互いに異なるCAN−IDが設定されることとなる。
【0047】
以上説明した第1実施形態の飛翔体10によれば、各プロペラアーム201〜204が本体装置100に装着された場合に、各プロペラアーム201〜204の参照電圧値、すなわち、抵抗器R10とコネクタ15iとの間の位置における電圧値を装着前に比べて変化させ、且つ、互いに異ならせることができるので、各プロペラアーム201〜204においてかかる参照電圧値に基づきCAN−IDを設定する際に、互いに異なるCAN−IDを設定することができ、新たに追加しようとするプロペラアームに対するCAN−IDの設定を容易に実現できる。より具体的には、プロペラアーム201が本体装置100に装着された場合に、本体装置100の接地部とプロペラアーム201の電源部212との間には、導線r11、導線r21、共通導線r20とからなる導電経路が形成される。ここで、各第2導電経路(導線r21〜r24)に設けられた第2抵抗器(抵抗器R21〜R24)の電気抵抗値は互いに異なるため、導線r11において第1抵抗器(抵抗器R10)とコネクタ25iとの間の位置の電圧値(参照電圧値)を互い異ならせることができる。4つのプロペラアーム201〜204の識別子設定部223は、このように互いに異なる参照電圧値に応じてCAN−IDを設定するので、電圧値の相違に基づき、互いに異なるCAN−IDを、各プロペラアーム201〜204に容易に設定できる。
【0048】
したがって、例えば、本体装置100が各プロペラアーム201〜204に対してそれぞれCAN−IDを設定する構成に比べて、本体装置100におけるCAN−IDの設定に要する処理負荷が増大することを抑制できる。また、例えば、予め各プロペラアーム201〜204にCAN−IDを設定しておかずに済むため、かかる事前設定のための作業負担が増大することを抑制できると共に、誤設定を抑制できる。さらには、予めCAN−IDをプロペラアームに設定しておかずに済むため、4つのプロペラアーム201〜204の予備品として、プロペラアーム201〜204の合計数の4つよりも少ない数(例えば、1つ)の予備品のプロペラアームを用意しておけば足りるため、運用コストの上昇を抑制できる。また、例えば、プロペラアーム201をスロットSL1から取り外した後に、本体装置100の他のスロット、例えばスロットSL2に取り付けた場合には、プロペラアーム201に対して、CAN−IDとして「20H」を自動的に設定できる。つまり、各プロペラアーム201〜204を取り付けるスロットが限定されないため、飛翔体10の運用を容易に行うことができる。
【0049】
B.第2実施形態:
第2実施形態の飛翔体では、各プロペラアームにおいて、コネクタ25iに入力される信号の周波数に応じてCAN−IDが設定される。以下、
図6〜
図9を用いて詳細を説明する。第2実施形態の飛翔体の概略構成は、
図1に示す第1実施形態の飛翔体10と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図6に示す第2実施形態の本体装置100aは、カウンタ160を備える点と、第2抵抗器(抵抗器R21〜R24)が省略されている点とにおいて、第1実施形態の本体装置100と異なる。
【0051】
カウンタ160は、16Hzの入力信号ISを分周して、1Hzの信号と、2Hzの信号と、4Hzの信号と、8Hzの信号とを、それぞれ出力する。
【0052】
スロットSL1のコネクタ15iには、導線r21を介してカウンタ160が接続され、カウンタ160から1Hzの信号が入力される。また、スロットSL2のコネクタ15iには、導線r22を介してカウンタ160が接続され、カウンタ160から2Hzの信号が入力される。また、スロットSL3のコネクタ15iには、導線r23を介してカウンタ160が接続され、カウンタ160から4Hzの信号が入力される。また、スロットSL4のコネクタ15iには、導線r24を介してカウンタ160が接続され、カウンタ160から8Hzの信号が入力される。このように、各スロットSL1〜Sl4のコネクタ15iには、それぞれ異なる周波数の信号が入力される。
【0053】
図7に示す第2実施形態のプロペラアーム201aは、抵抗器R10を備えていない点と、コネクタ25iが電源部212と電気的に接続されていない点と、閾値電圧テーブル224に代えて閾値周波数テーブル225を備える点とにおいて、
図3に示す第1実施形態のプロペラアーム201と異なる。第2実施形態のプロペラアーム201aにおけるその他の構成は、第1実施形態のプロペラアーム201と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、第2実施形態における他のプロペラアーム、すなわち、第1実施形態のプロペラアーム202〜204に対応する3つのプロペラアームは、いずれも設定されるCAN−IDを除き、プロペラアーム201aと同じ構成を有する。
【0054】
プロペラアーム201aが本体装置100aに装着されると、
図7に示すように、コネクタ25iとコネクタ15iとが接続され、カウンタ160から出力された1Hzの信号がプロペラアーム201aのアーム制御部220に入力される。なお、スロットSL2にプロペラアームが装着されると、カウンタ160から出力された2Hzの信号が新たに装着されたプロペラアームのアーム制御部220に入力される。同様に、スロットSL3にプロペラアームが装着されると、カウンタ160から出力された4Hzの信号が新たに装着されたプロペラアームのアーム制御部220に入力される。また、スロットSL4にプロペラアームが装着されると、カウンタ160から出力された8Hzの信号が新たに装着されたプロペラアームのアーム制御部220に入力される。
【0055】
閾値周波数テーブル225には、CAN−ID設定処理において用いられる閾値となる周波数が設定されている。閾値周波数テーブル225の具体的な設定内容については、後述する。
【0056】
上述のカウンタ160は、発明の概要欄における電気的特性変更部の下位概念に相当する。
【0057】
図8に示す第2実施形態のCAN−ID設定処理は、第1実施形態と同じ契機で実行される。まず、識別子設定部223は、コネクタ25iから入力される信号の周波数(以下、「参照周波数」と呼ぶ)を特定する(ステップS205)。
【0058】
識別子設定部223は、閾値周波数テーブル225を参照して、参照周波数が第1閾値周波数よりも小さいか否かを判定する(ステップS210)。閾値周波数テーブル225には、第1閾値周波数、第2閾値周波数、および第3閾値周波数の合計3つの閾値周波数が設定されている。具体的には、本実施形態では、第1閾値周波数として1.5Hzが設定されている。また、第2閾値周波数として3.0Hzが、第3閾値周波数として6.0Hzが、それぞれ設定されている。
【0059】
参照周波数が第1閾値周波数よりも小さいと判定された場合(ステップS210:YES)、識別子設定部223は、装着されたプロペラアーム用のCAN−IDとして、「10H」を設定する(ステップS215)。他方、参照周波数が第1閾値周波数よりも小さくないと判定された場合(ステップS210:NO)、識別子設定部223は、参照周波数が第2閾値周波数よりも小さいか否かを判定する(ステップS220)。
【0060】
参照周波数が第2閾値周波数よりも小さいと判定された場合(ステップS220:YES)、識別子設定部223は、装着されたプロペラアーム用のCAN−IDとして、「20H」を設定する(ステップS225)。他方、参照周波数が第2閾値周波数よりも小さくないと判定された場合(ステップS220:NO)、識別子設定部223は、参照周波数が第3閾値周波数よりも小さいか否かを判定する(ステップS230)。
【0061】
参照周波数が第3閾値周波数よりも小さいと判定された場合(ステップS230:YES)、識別子設定部223は、装着されたプロペラアーム用のCAN−IDとして、「30H」を設定する(ステップS235)。他方、参照周波数が第3閾値周波数よりも小さくないと判定された場合(ステップS230:NO)、識別子設定部223は、装着されたプロペラアーム用のCAN−IDとして、「40H」を設定する(ステップS240)。上述のステップS215、S225、S235、およびS240がそれぞれ完了した後、CAN−ID設定処理は完了する。
【0062】
図9に示す例では、アーム番号に示すプロペラアームが本体装置100aに装着された場合の、参照周波数例、閾値周波数、およびCAN−ID設定例が表わされている。アーム番号は、
図5に示すアーム番号と同じであるので、説明を省略する。
【0063】
図5に示すように、各プロペラアームが本体装置100aに装着された場合、各プロペラアームのコネクタ25iに入力される信号の周波数は互いに異なるため、参照周波数は互いに異なることとなる。ここで、3つの閾値周波数は、各プロペラアームの参照周波数のうち、互いに最も近い値の2つの周波数の間の周波数となるように、予め設定されている。
【0064】
このように第1ないし第3閾値周波数が設定されているため、
図9に示すように、プロペラアーム201aで検出された参照周波数が1.1Hzの場合、第1閾値電圧値(1.5Hz)よりも小さい値であることから、CAN−IDとして「10H」が設定される。すなわち、プロペラアーム201aに本体装置100aが装着された場合には、ステップS215が実行され、CAN−IDとして「10H」が設定されてCAN−ID設定処理は終了する。
【0065】
スロットSL2に第1実施形態のプロペラアーム202に対応するプロペラアームが装着され、ステップS205で特定された参照周波数が
図9に示すように2.0Hzの場合、第1閾値周波数(1.5Hz)と第2閾値周波数(3.0Hz)との間の値であるため、CAN−IDとして「20H」が設定される。また、スロットSL3に第1実施形態のプロペラアーム203に対応するプロペラアームが装着され、ステップS205で特定された参照周波数が
図9に示すように4.3Hzの場合、第2閾値周波数(3.0Hz)と第3閾値周波数(6.0Hz)との間の値であるため、CAN−IDとして「30H」が設定される。また、スロットSL4に第1実施形態のプロペラアーム204に対応するプロペラアームが装着され、ステップS205で特定された参照周波数が
図9に示すように7.9Hzの場合、第3閾値周波数(6.0Hz)よりも大きな値であることから、CAN−IDとして「40H」が設定される。
【0066】
このように、各プロペラアームが本体装置100aに装着された場合、第1実施形態と同様に、それぞれのプロペラアームに対して、互いに異なるCAN−IDが設定されることとなる。
【0067】
以上説明した第2実施形態の飛翔体は、第1実施形態の飛翔体10と同様な効果を有する。加えて、本体装置100aのカウンタ160は、本体装置100aに複数のプロペラアームが装着された場合に、各プロペラアームのコネクタ25iに対して互いに異なる周波数の信号を出力し、各プロペラアームの識別子設定部223は、それぞれ対応するコネクタ25iから入力される信号の周波数に応じて自身のCAN−IDを設定するので、かかる周波数の相違に基づき、互いに異なるCAN−IDを各付属装置に容易に設定できる。
【0068】
上述の第1および第2実施形態からも理解できるように、複数のプロペラアームが本体装置に装着された場合に、各プロペラアームのコネクタ25iとそれぞれ電気的に接続され、コネクタ25iにおける電気的特性を、装着前に比べて変化させ、且つ、互いに異なるように変化させる電気的特性変更部を有する本体装置を、本発明に適用してもよい。
【0069】
C.変形例:
C1.変形例1:
第1実施形態における第1ないし第3閾値電圧値は、一例に過ぎず、互いに異なる他の任意の電圧値としてもよい。同様に、第2実施形態における第1ないし第3閾値周波数も、互いに異なる任意の周波数としてもよい。
【0070】
C2.変形例2:
各実施形態において、アーム制御部220は、モータ211の直下、すなわちプロペラアーム201〜204、201aの端部に配置されていたが、アーム部230に配置されていてもよい。
【0071】
C3.変形例3:
各実施形態では、本発明を飛翔体に適用していたが、飛翔体に限らず、複数の付属装置と、複数の付属装置がそれぞれ着脱可能に装着され、各付属装置と通信を行って制御する本体装置とを備える任意の組立体に、本発明を適用してもよい。例えば、複数のドアミラー装置と車両本体とを備える組立体としての車両に、本発明を適用してもよい。また、例えば、複数のドア装置と車両本体とを備える組立体としての車両に、本発明を適用してもよい。また、例えば、複数のヘッドライト装置と車両本体とを備える組立体としての車両に、本発明を適用してもよい。
【0072】
C4.変形例4:
第1実施形態では、各スロットSL1〜SL4のコネクタ15iと接続された第2抵抗器の数は、それぞれ1つであったが、2つ以上の任意の数であってもよい。この構成においても、各スロットに対応する抵抗器の合計抵抗値を互いに異ならせることにより、第1実施形態と同様な効果を奏する。なお、この構成において、各スロットSL1〜SL4のうち、少なくとも2つについて、接続された第2抵抗器の数を互いに異ならせてもよい。
【0073】
C5.変形例5:
第1実施形態では、各スロットSL1〜SL4のコネクタ15iの数は、それぞれ1つであったが、2つ以上の任意の数であってもよい。加えて、この構成において、各スロットの複数のコネクタ15iを、互いに並列接続または直列接続させてもよい。この構成においても、各スロットに対応する抵抗器の合計抵抗値を互いに異ならせることにより、第1実施形態と同様な効果を奏する。また、各スロットSL1〜SL4がそれぞれ第2抵抗器を複数備えることで、各スロットSL1〜SL4に対応する抵抗器の合計抵抗値のバリエーションを増やすことができ、多数のスロットを備える飛翔体にも、本発明を適用できる。なお、かかる構成において、各スロットSL1〜SL4のうち、少なくとも2つについて、コネクタ15iの数を互いに異ならせてもよい。
【0074】
C6.変形例6:
各実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、通信制御部111と、モータ制御部221と、通信制御部222と、識別子設定部223とのうちの少なくとも1つの機能部を、集積回路、ディスクリート回路、またはそれらの回路を組み合わせたモジュールにより実現してもよい。また、本開示の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピューター読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピューター内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピューターに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、データパケットを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。
【0075】
本発明は、上述の実施形態および変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する本実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。