(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して説明する。以下は、本発明の一実施形態であって、本発明を限定するものではない。なお、以下の各図においては、説明を分かりやすくするため、実際とは異なる尺度で記載している場合がある。また、図面に付記する座標においては、Z軸方向が上下方向、+Z方向が上方向、X軸方向が前後方向、−X方向が前方向、Y軸方向が左右方向、+Y方向が左方向、X−Y平面が水平面としている。
【0026】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る印刷システム1の構成を示す正面図、
図2は、同ブロック図である。
印刷システム1は、プリンター100、および、プリンター100に接続される制御装置110によって構成されている。
印刷システム1は、本願発明における「印刷装置」であり、制御装置110は、本願発明における「制御部」である。
プリンター100は、制御装置110から受信する印刷データに基づいて、ロール状に巻かれた状態で供給される長尺状の「印刷媒体」としてのロール紙5に所望の画像を印刷するインクジェットプリンターである。
【0027】
<制御装置の基本構成>
制御装置110は、プリンター制御部111、入力部112、表示部113、記憶部114などを備え、プリンター100に印刷を行わせる印刷ジョブの制御を行う。制御装置110は、好適例としてパーソナルコンピューターを用いて構成している。
制御装置110が動作するソフトウェアには、印刷する画像データを扱う一般的な画像処理アプリケーションソフトウェア(以下アプリケーションと言う)や、プリンター100の制御や、プリンター100に印刷を実行させるための印刷データを生成するプリンタードライバーソフトウェア(以下プリンタードライバーと言う)が含まれる。
すなわち、制御装置110は、画像データに基づく印刷画像をプリンター100に印刷させるための印刷データを介してプリンター100を制御する。
なお、プリンタードライバーは、ソフトウェアによる機能部として構成される例に限定するものではなく、例えば、ファームウェアによって構成されても良い。ファームウェアは、例えば、制御装置110において、SOC(System on Chip)に実装される。
【0028】
プリンター制御部111は、CPU115や、ASIC116、DSP117、メモリー118、プリンターインターフェイス部(I/F)119などを備え、印刷システム1全体の集中管理を行う。
入力部112は、ヒューマンインターフェイスとして情報入力手段である。具体的には、例えば、キーボードや情報入力機器が接続されるポートなどである。
表示部113は、ヒューマンインターフェイスとしての情報表示手段(ディスプレー)であり、プリンター制御部111の制御の基に、入力部112から入力される情報や、プリンター100に印刷する画像、印刷ジョブに関係する情報などが表示される。
記憶部114は、ハードディスクドライブ(HDD)やメモリーカードなどの書き換え可能な記憶媒体であり、制御装置110が動作するソフトウェア(プリンター制御部111で動作するプログラム)や、印刷する画像、印刷ジョブに関係する情報などが記憶される。
メモリー118は、CPU115が動作するプログラムを格納する領域や動作する作業領域などを確保する記憶媒体であり、RAM、EEPROMなどの記憶素子によって構成される。
【0029】
<プリンター100の基本構成>
プリンター100は、印刷部10、移動部20、制御部30などから構成されている。制御装置110から印刷データを受信したプリンター100は、制御部30によって印刷部10、移動部20を制御し、ロール紙5に画像を印刷(画像形成)する。
印刷データは、画像データを、制御装置110が備えるアプリケーションおよびプリンタードライバーによってプリンター100で印刷できるように変換処理した画像形成用のデータであり、プリンター100を制御するコマンドを含んでいる。
画像データには、例えば、デジタルカメラなどによって得られた一般的なフルカラーのイメージ情報やテキスト情報などが含まれる。
【0030】
印刷部10は、ヘッドユニット11、インク供給部12などから構成されている。
移動部20は、主走査部40、副走査部50などから構成されている。主走査部40は、キャリッジ41、ガイド軸42、キャリッジモーター(図示省略)などから構成されている。副走査部50は、供給部51、収納部52、搬送ローラー53、プラテン55などから構成されている。
【0031】
ヘッドユニット11は、「液体」としての印刷用インク(以下インクと言う)をインク滴として吐出する複数のノズル(ノズル群)を有する印刷ヘッド13およびヘッド制御部14を備えている。ヘッドユニット11は、キャリッジ41に搭載され、主走査方向(
図1に示すX軸方向)に移動するキャリッジ41に伴って主走査方向に往復移動する。ヘッドユニット11(印刷ヘッド13)が主走査方向に移動しながら制御部30の制御の下に、プラテン55に支持されるロール紙5にインク滴を吐出することによって、主走査方向に沿ったドットの列(ラスタライン)がロール紙5に形成される。
【0032】
インク供給部12は、インクタンクおよびインクタンクから印刷ヘッド13にインクを供給するインク供給路(図示省略)などを備えている。インクタンク、インク供給路、および同一インクを吐出するノズルまでのインク供給経路は、インク毎に独立して設けられている。
【0033】
インクには、例えば、濃インク組成物からなるカラーインクセットとして、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色のインクセットにブラック(K)を加えた4色のインクセットなどがある。また、例えば、それぞれの色材の濃度を淡くした淡インク組成物からなるライトシアン(Lc)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトイエロー(Ly)、ライトブラック(Lk)などのインクセットを加えた8色のカラーインクセットなどがある。
【0034】
また、プリンター100が使用するインクには、これらのカラー印刷用のインクセットに加え、印刷品質や画像品位を向上させるための作用液(OP)が含まれる。作用液(OP)としては、例えば、上記のインクセットに含まれる色材を凝集させてインクの定着性を高めるための反応液、透明の印刷媒体に対して下地の白色層(あるいは着色層)を形成するための下地インク、カラーインクの滲みを抑制するための下地を形成するチキソ性液体、印刷画像の発色性や光沢度を高めるためのクリアインクなどがある。
【0035】
インク滴を吐出する方式(インクジェット方式)には、ピエゾ方式を用いている。ピエゾ方式は、圧力室に貯留されたインクに圧電素子(ピエゾ素子)により印刷情報信号に応じた圧力を加え、圧力室に連通するノズルからインク滴を噴射(吐出)し印刷する方式である。
なお、インク滴を吐出する方式は、これに限定するものではなく、インクを液滴状に噴射させ、印刷媒体上にドット群を形成する他の印刷方式であってもよい。例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極間の強電界でノズルからインクを液滴状に連続噴射させ、インク滴が飛翔する間に偏向電極から印刷情報信号を与えて印刷を行う方式、またはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインクに圧力を加え、ノズルを水晶振動子などで機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式、インクを印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射し印刷を行う方式(サーマルジェット方式)などであってもよい。
【0036】
移動部20(主走査部40、副走査部50)は、制御部30の制御の下に、ロール紙5をヘッドユニット11(印刷ヘッド13)に対し相対移動させる。
ガイド軸42は、主走査方向に延在しキャリッジ41を摺接可能な状態で支持し、また、キャリッジモーターは、キャリッジ41をガイド軸42に沿って往復移動させる際の駆動源となる。つまり、主走査部40(キャリッジ41、ガイド軸42、キャリッジモーター)は、制御部30の制御の下にキャリッジ41を(つまりは、印刷ヘッド13を)ガイド軸42に沿って主走査方向に移動させる。
【0037】
供給部51は、ロール紙5がロール状に巻かれたリールを回転可能に支持し、ロール紙5を搬送経路に送り出す。収納部52は、ロール紙5を巻き取るリールを回転可能に支持し、印刷が完了したロール紙5を搬送経路から巻き取る。
搬送ローラー53は、ロール紙5を主走査方向と交差する副走査方向(
図1に示すY軸方向)に移動させる駆動ローラーやロール紙5の移動に伴って回転する従動ローラーなどから成り、ロール紙5を供給部51から印刷部10の印刷領域(プラテン55の上面で印刷ヘッド13が主走査移動する領域)を経由し、収納部52に搬送する搬送経路を構成する。
【0038】
制御部30は、インターフェイス部(I/F)31、CPU32、メモリー33、駆動制御部34などを備え、プリンター100の制御を行う。
インターフェイス部31は、制御装置110のプリンターインターフェイス部119に接続され、制御装置110とプリンター100との間でデータの送受信を行う。制御装置110とプリンター100との間は、直接、ケーブル等で接続してもよいし、ネットワーク等を介して間接的に接続してもよい。また、無線通信を介して、制御装置110とプリンター100との間でデータの送受信を行ってもよい。
CPU32は、プリンター100全体の制御を行うための演算処理装置である。
メモリー33は、CPU32が動作するプログラムを格納する領域や動作する作業領域などを確保する記憶媒体であり、RAM、EEPROMなどの記憶素子によって構成される。
CPU32は、メモリー33に格納されているプログラム、および制御装置110から受信した印刷データに従って、駆動制御部34を介して印刷部10、移動部20を制御する。
【0039】
駆動制御部34は、CPU32の制御に基づいて、印刷部10(ヘッドユニット11、インク供給部12)、移動部20(主走査部40、副走査部50)の駆動を制御する。駆動制御部34は、移動制御信号生成回路35、吐出制御信号生成回路36、駆動信号生成回路37を備えている。
移動制御信号生成回路35は、CPU32からの指示に従って、移動部20(主走査部40、副走査部50)を制御する信号を生成する回路である。
吐出制御信号生成回路36は、印刷データに基づき、CPU32からの指示に従って、インクを吐出するノズルの選択、吐出する量の選択、吐出するタイミングの制御などをするためのヘッド制御信号を生成する回路である。
駆動信号生成回路37は、印刷ヘッド13の圧電素子を駆動する駆動信号を含む基本駆動信号を生成する回路である。
駆動制御部34は、ヘッド制御信号と基本駆動信号とに基づいて、各ノズルのそれぞれに対応する圧電素子を選択的に駆動する。
【0040】
以上の構成により、制御部30は、副走査部50(供給部51、搬送ローラー53)によって印刷領域に供給されたロール紙5に対し、ガイド軸42に沿って印刷ヘッド13を支持するキャリッジ41を主走査方向(X軸方向)に移動させながら印刷ヘッド13からインク滴を吐出(付与)するパス動作と、副走査部50(搬送ローラー53)により主走査方向と交差する副走査方向(Y軸方向)にロール紙5を移動(副走査)させる搬送動作(送り動作)とを繰り返すことにより、ロール紙5に所望の画像を形成(印刷)する。
【0041】
<プリンタードライバーの基本機能>
図3は、プリンタードライバーの基本機能の説明図である。
ロール紙5への印刷は、制御装置110からプリンター100に印刷データが送信されることにより開始される。印刷データは、プリンタードライバーによって生成される。
以下、従来技術における印刷データの生成処理について、
図3を参照しながら説明する。
【0042】
プリンタードライバーは、アプリケーションから画像データを受け取り、プリンター100が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データをプリンター100に出力する。アプリケーションからの画像データを印刷データに変換する際に、プリンタードライバーは、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理、コマンド付加処理などを行う。
【0043】
解像度変換処理は、アプリケーションから出力された画像データを、ロール紙5に印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションから受け取ったベクター形式の画像データを720×720dpiの解像度の、ビットマップ形式の画像データに変換する。解像度変換処理後の画像データの各画素データは、マトリクス状に配置された画素から構成される。各画素はRGB色空間の例えば256階調の階調値を有している。つまり、解像度変換後の画素データは、対応する画素の階調値を示すものである。
マトリクス状に配置された画素の内の、所定の方向に並ぶ1列分の画素に対応する画素データを、ラスタデータと言う。なお、ラスタデータに対応する画素が並ぶ所定の方向は、画像を印刷するときの印刷ヘッド13の移動方向(主走査方向)と対応している。
【0044】
色変換処理は、RGBデータをCMYK色系空間のデータに変換する処理である。CMYK色とは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)であり、CMYK色系空間の画像データは、プリンター100が有するインクの色に対応したデータである。従って、例えば、プリンター100がCMYK色系の10種類のインクを使用する場合には、プリンタードライバーは、RGBデータに基づいて、CMYK色系の10次元空間の画像データを生成する。
この色変換処理は、RGBデータの階調値とCMYK色系データの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)に基づいて行われる。なお、色変換処理後の画素データは、CMYK色系空間により表される例えば256階調のCMYK色系データである。
【0045】
ハーフトーン処理は、高階調数(256階調)のデータを、プリンター100が形成可能な階調数のデータに変換する処理である。このハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、例えば、2階調(ドット有り、無し)を示す1ビットデータや、4階調(ドット無し、小ドット、中ドット、大ドット)を示す2ビットデータなど、ドットの形成状態を決定するハーフトーンデータに変換される。具体的には、階調値(0〜255)とドット生成率が対応したドット生成率テーブルから、階調値に対応するドットの生成率(例えば、4階調の場合は、ドット無し、小ドット、中ドット、大ドットのそれぞれの生成率)を求め、得られた生成率において、ディザ法・誤差拡散法などを利用して、ドットが分散して形成されるように画素データが作成される。このように、ハーフトーン処理では、同色(あるいは同種)のインクを吐出するノズル群が形成するドットの形成状態を決定するハーフトーンデータが生成される。
【0046】
ラスタライズ処理は、マトリクス状に並ぶ画素データ(例えば上記のように1ビットや2ビットのハーフトーンデータ)を、印刷時のドット形成順序に従って並べ替える処理である。ラスタライズ処理には、ハーフトーン処理後の画素データ(ハーフトーンデータ)によって構成される画像データを、印刷ヘッド13(ノズル列)が主走査移動しながらインク滴を吐出する各パス動作に割り付ける割り付け処理が含まれる。割り付け処理が完了すると、マトリクス状に並ぶ画素データは、各パス動作において、印刷画像を構成する各ラスタラインを形成する実際のノズルに割り付けられる。
【0047】
コマンド付加処理は、ラスタライズ処理されたデータに、印刷方式に応じたコマンドデータを付加する処理である。コマンドデータとしては、例えば印刷媒体(ロール紙5)の搬送仕様(副走査方向(Y軸方向)への移動量や速度など)に関わる搬送データなどがある。
プリンタードライバーによるこれらの処理は、CPU115の制御の元にASIC116およびDSP117(
図2参照)によって行われ、生成された印刷データは、印刷データ送信処理により、プリンターインターフェイス部119を介してプリンター100に送信される。
【0048】
<印刷ヘッド(従来技術)>
図4は、従来技術の印刷ヘッド(以下、本実施形態の印刷ヘッド13と区別するために印刷ヘッド13cと言う)におけるノズルの配列の例を示す模式図である。
図4は、印刷ヘッド13cの下面から見た様子を示している。
図4に示すように、印刷ヘッド13cは、各インクを吐出するための複数のノズルが所定のノズルピッチで並んで形成された7つのノズル列130(作用液ノズル列OP、ブラックインクノズル列K、シアンインクノズル列C、マゼンタインクノズル列M、イエローインクノズル列Y、ライトマゼンタインクノズル列LM、ライトシアンインクノズル列LC)を備えている。ノズル列130は、副走査方向(Y軸方向)と交差する方向(X軸方向)に沿って、一定の間隔(ノズル列ピッチ)で、各ノズル列130が平行になるように整列して並んでいる。
【0049】
ノズル列130は、Y軸方向に延在し連なって並ぶ2つのノズルチップ131から成り、ノズルチップ131は、それぞれ副走査方向(Y軸方向)に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ)で整列して並ぶ♯1〜♯200の200個のノズルを有している。
ノズルチップ131は、例えばシリコンウエハーを基本材料として、半導体プロセスを応用したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)製造プロセスによって製造され、ノズルチップ131が有する200個のノズルは、インク吐出特性が同一の、あるいは近似する「ノズルグループ」を構成している。
すなわち、「ノズル群」を構成する印刷ヘッド13cは、複数の「ノズルグループ」としてのノズルチップ131によって構成されている。
また、各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子(前述したピエゾ素子などの圧電素子)が設けられている。
【0050】
<従来技術における課題>
このような従来技術におけるノズル列の構成では、作用液(OP)の吐出タイミングと、それ以外のインクの吐出タイミングに、充分な時間差を設ける必要が有る場合には、ロール紙5を移動させる搬送動作(送り動作)を行わずに、異なるパス動作に分けて作用液(OP)の吐出とそれ以外のインクの吐出とを行うようにする必要があった。
例えば、下地層を形成し、下地層がある程度硬化し定着した後に、カラーインクの吐出を行う必要がある場合には、先のパス動作で下地層を形成し、ロール紙5の送り動作を行わずに、次のパス動作でカラーインクの吐出を行うなどの方法である。
【0051】
しかしながら、このような方法では、印刷に必要なパス動作数が倍増してしまうため、印刷スピード(印刷の生産性)が低下(半減)してしまうという課題があった。
一方、ロール紙5(印刷媒体)の種類によっては(材質の違いや、表面処理の有無などによって)、下地層の形成に時間を要さない場合や、作用液(OP)の付与から時間が経過すると作用液(OP)の効果が低下してしまう場合などもあり、印刷媒体の種類や作用液(OP)の種類によって、作用液(OP)を用いる仕様(使用のタイミングや使用量やなど)を、より簡便に変更可能とするなど、多様化する印刷媒体に対して、より最適な印刷を適用させるためには、更なる改善を行う余地があった。
【0052】
これに対し、本実施形態の印刷システム1は、ロール紙5にインクを付与する第1ノズル群および第2ノズル群を有する印刷ヘッド13と、ロール紙5に対して印刷ヘッド13を主走査方向に相対移動させる主走査部40と、印刷ヘッド13に対してロール紙5を主走査方向と交差する副走査方向(Y軸方向)に相対移動させる副走査部50と、ロール紙5の属性情報に基づいて、副走査方向(Y軸方向)における第1ノズル群に含まれるノズルの使用領域と第2ノズル群に含まれるノズルの使用領域との相対位置の制御を行う制御装置110と、を備えることを特徴としている。
【0053】
また、本実施形態の印刷方法としては、ロール紙5にインクを付与するカラーノズル列201および作用液ノズル列202を有する印刷ヘッド13と、ロール紙5に対して印刷ヘッド13を主走査方向(X軸方向)に相対移動させる主走査部40と、印刷ヘッド13に対してロール紙5を主走査方向(X軸方向)と交差する副走査方向(Y軸方向)に相対移動させる副走査部50と、を備える印刷システム1における印刷方法であって、ロール紙5の属性情報に基づいて、副走査方向(Y軸方向)におけるカラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域と作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域との相対位置の制御を行うことを特徴としている。
以下に具体的に説明する。
【0054】
図5は、本実施形態の印刷ヘッド13におけるノズルの配列の例を示す模式図である。
図4と同様に、印刷ヘッド13の下面から見た様子を示している。
印刷ヘッド13は、「第1ノズル群」として、ブラックインクノズル列K、シアンインクノズル列C、マゼンタインクノズル列M、イエローインクノズル列Y、ライトマゼンタインクノズル列LM、ライトシアンインクノズル列LCの6つのノズル列130からなるカラーノズル列201、および「第2ノズル群」として、1つの作用液ノズル列OPからなる作用液ノズル列202(つまり、作用液ノズル列202=作用液ノズル列OP)を備えている。
【0055】
作用液ノズル列202は、カラーノズル列201に対して、1つのノズルチップ131分の長さだけ副走査方向(Y軸方向)の上流側(−Y方向)にずれた位置に設けられている。この点を除き印刷ヘッド13は、従来技術における印刷ヘッド13cと同じである。
制御装置110は、このような構成の印刷ヘッド13を備えるプリンター100に対し、ロール紙5の属性情報に基づいて、副走査方向(Y軸方向)におけるカラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域と作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域との相対位置の制御を行う。作用液ノズル列202を、カラーノズル列201に対して、1つのノズルチップ131分の長さだけ副走査方向(Y軸方向)の上流側(−Y方向)にずれた位置に設けることで、この相対位置の制御幅を広くしている。
制御内容について、以下に具体的に説明する。
【0056】
ロール紙5の属性情報には、ロール紙5にインクが浸透する浸透速度に係る情報が含まれる。例えば、浸透速度が高いロール紙5(本願発明における「第2の印刷媒体」)に対しては、カラーノズル列201に含まれるノズルによりインクを付与するタイミングと、作用液ノズル列202に含まれるノズルによりインクを付与するタイミングとの時間差がより小さくなるように、副走査方向(Y軸方向)におけるカラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域と作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域との相対位置の制御を行う。
また、逆に、浸透速度が低いロール紙5(本願発明における「第1の印刷媒体」)に対しては、カラーノズル列201に含まれるノズルによりインクを付与するタイミングと、作用液ノズル列202に含まれるノズルによりインクを付与するタイミングとの時間差がより大きくなるように、副走査方向(Y軸方向)におけるカラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域と作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域との相対位置の制御を行う。
【0057】
<第2の印刷媒体に対する制御>
液体(作用液(OP)やカラーインク)の浸透速度が比較的高い(あるいは浸透性のある)ロール紙5(例えば、普通紙など)は、ロール紙5の表面にある程度の量の作用液(OP)が残る状態でカラーインクを付与することが好ましい場合が多い。そのため、制御装置110は、作用液(OP)を付与してから時間を置かず(長い時間が経過してしまわないうちに)にカラーインクの付与を行うように制御する。
より具体的には、作用液(OP)を付与したパス動作と同一のパス動作において、また少なくとも次のパス動作においては、カラーインクの付与が完了するように制御する。例えば、作用液(OP)の付与は、Y軸方向に延在し連なって並ぶ2つのノズルチップ131(ノズルチップ131Aおよびノズルチップ131B)からなる作用液ノズル列202において、カラーインクの付与と同じパス動作で同じロール紙5の領域に吐出することが可能なノズルチップ131Aを用いる(
図5参照)。
【0058】
図6は、この方法による印刷の一例を示す説明図であり、ロール紙5の搬送方向(+Y方向)への移動と、パス動作において使用するノズル領域の関係を示している。
図6では、理解を簡単にするため、印刷ヘッド13の内、作用液ノズル列202については、作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域であるノズルチップ131Aのみを示し、カラーノズル列201については、6つのノズル列130をまとめて1つのカラーノズル列201として示している。また、
図6の縦軸は副走査方向(Y軸)であり、横軸は時間(t軸)である。
図6に示すFは、パス動作間の副走査における送り量である。つまり、
図6では印刷ヘッド13が−Y方向に移動しているように描かれているが、実際にはロール紙5が+Y方向に移動する。
【0059】
図6に示す例は、作用液(OP)が1つのパス動作でその領域に対する付与が完了し、カラーインクは、2つのパス動作で同じ領域に対する画像の形成が完了する例である。また、説明を簡単にするため、往復移動する走査移動の内、作用液(OP)およびカラーインクの付与は、往路のみで行い、1つのパス動作では、先に作用液(OP)が付与され、追ってカラーインクが付与される場合について説明する。
【0060】
最初のパス動作では、まず、ノズルチップ131Aにより作用液(OP)が付与され、追ってノズルチップ131AにX軸方向において隣接するカラーノズル列201のノズルチップ131C(
図5参照)から、同じパス動作の中で(時間T1後に)カラーインクが付与される。
次に、ロール紙5を送り、合わせて印刷ヘッド13を復路移動させ、次のパス動作で、ロール紙5の新たな領域にノズルチップ131Aにより作用液(OP)が付与され、追ってノズルチップ131AにX軸方向において隣接するカラーノズル列201のノズルチップ131Cから、同じパス動作の中で(時間T1後に)カラーインクが付与される。また同時に、ノズルチップ131AにX軸方向において隣接していないカラーノズル列201のノズルチップ131Dから、先のパス動作で画像が形成された領域にカラーインクが付与され(つまり、先のパス動作で作用液(OP)が付与されたタイミングから時間T1+T2後に付与され)、その領域での画像が完成する。
次にロール紙5を送り、合わせて印刷ヘッド13を復路移動させ、以下、同様の動作を繰り返す。
【0061】
このように、カラーノズル列201と同一のパス動作において作用液(OP)の付与が可能なノズルチップ131Aを使用することにより、作用液(OP)の付与から時間T1後、および時間T1+T2後までにカラーインクの付与(つまりは画像の形成)が完了する。
【0062】
<第1の印刷媒体に対する制御>
液体(作用液(OP)やカラーインク)の浸透速度が低い(あるいは浸透しない)ロール紙5(例えば、樹脂シートや表面に樹脂がコートされた印刷用紙など)は、作用液(OP)をロール紙5にある程度定着させてからカラーインクを付与することが好ましい場合が多い。そのため、制御装置110は、作用液(OP)を付与してから時間を置いてカラーインクの付与を行うように制御する。
より具体的には、作用液(OP)を付与したパス動作と異なる次のパス動作以降においてカラーインクを付与するように制御する。例えば、作用液(OP)の付与は、Y軸方向に延在し連なって並ぶ2つのノズルチップ131(ノズルチップ131Aおよびノズルチップ131B)からなる作用液ノズル列202において、カラーインクの付与と同じパス動作で異なるロール紙5の領域に吐出することが可能なノズルチップ131Bを用いる(
図5参照)。
【0063】
図7は、
図6と同様に、この方法による印刷の一例を示す説明図であり、ロール紙5の搬送方向(+Y方向)への移動と、パス動作において使用するノズル領域の関係を示している。
最初のパス動作では、まず、ノズルチップ131Bにより作用液(OP)が付与される。このとき、カラーインクの付与は行わない。
次に、ロール紙5を送り、合わせて印刷ヘッド13を復路移動させ、次のパス動作で、ロール紙5の新たな領域にノズルチップ131Bにより作用液(OP)が付与され、追って使用していないノズルチップ131AにX軸方向において隣接するカラーノズル列201のノズルチップ131C(
図5参照)から、同じパス動作の中で(時間T1後に)カラーインクが付与される。このとき、ノズルチップ131AにX軸方向において隣接していないカラーノズル列201のノズルチップ131D(
図5参照)からのカラーインクの付与は行わない。
【0064】
次にロール紙5を送り、合わせて印刷ヘッド13を復路移動させ、次のパス動作で、ロール紙5の新たな領域にノズルチップ131Bにより作用液(OP)が付与され、追って使用していないノズルチップ131AにX軸方向において隣接するカラーノズル列201のノズルチップ131Cから、同じパス動作の中で(時間T1後に)カラーインクが付与される。また同時に、ノズルチップ131AにX軸方向において隣接していないカラーノズル列201のノズルチップ131Dから、先のパス動作で画像が形成された領域にカラーインクが付与され、その領域での画像が完成する。
次にロール紙5を送り、合わせて印刷ヘッド13を復路移動させ、以下、同様の動作を繰り返す。
【0065】
このように、カラーノズル列201と同じパス動作で異なるロール紙5の領域に作用液(OP)の付与が可能なノズルチップ131Bを使用することにより、作用液(OP)の付与から少なくとも時間T1+T2経過後において、カラーインクの付与を行うようにすることができる。つまり、作用液(OP)の付与にノズルチップ131Aを使用する場合と比較して、作用液(OP)の付与から時間T2だけ長い時間経過後にカラーインクの付与を行うようにすることができる。また、作用液(OP)の付与とカラーインクの付与とを、ロール紙5の異なる領域に対して同時に行うことができるため、印刷スピードが低下することもない。
【0066】
なお、上記の説明では、「第1の印刷媒体」を浸透速度が低い(あるいは浸透しない)ロール紙5と定義し、「第2の印刷媒体」を浸透速度が比較的高い(あるいは浸透性のある)ロール紙5と定義して説明していたが、この分類は、予め充分な評価を行い、明確な定量値(例えば、液体の浸透速度など)に基づいて行うことが望ましい。なぜならば、ロール紙5の属性情報に基づいて、副走査方向(Y軸方向)におけるカラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域と作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域との相対位置の制御、つまりは、作用液(OP)の付与のタイミングとカラーインクの付与のタイミングとの時間差の制御において、相対位置や時間差は、リニアに連続する関数値などによる制御ではないからである。
すなわち、充分な評価の下に、浸透速度が、所定の値を下回るロール紙5に対しては、カラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域と作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域とが異なるパス動作で使用される領域となり、浸透速度が、所定の値と同じかそれを上回るロール紙5に対しては、カラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域と作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域とが同じパス動作で使用される領域となるように相対位置の制御を行う。
【0067】
<印刷データの生成>
次に、上記のような制御(すなわち、ロール紙5の属性情報に基づいて、副走査方向(Y軸方向)におけるカラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域と作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域との相対位置の制御、つまりは、作用液(OP)の付与のタイミングとカラーインクの付与のタイミングとの時間差の制御)を簡便に行うことができる方法の一例としての印刷データの生成について説明する。
なお、上記および下記の説明において、カラーノズル列201と同一のパス動作において同一の領域に液体を付与可能なノズルチップ131Aのノズル群は、本願発明における「Aノズル群」である。また、カラーノズル列201と同一のパス動作において異なる領域に液体を付与可能なノズルチップ131Bのノズル群は、本願発明における「Bノズル群」である。
【0068】
制御装置110は、印刷データの生成に当たり、画像データの同一領域に対して、ノズルチップ131Aのノズル群(Aノズル群)とノズルチップ131Bのノズル群(Bノズル群)のそれぞれにおいて対応するハーフトーンデータを生成し、ロール紙5の属性情報に基づいて、生成したいずれか一方のハーフトーンデータを選択して印刷データを生成する。
上述したプリンタードライバーの基本機能におけるハーフトーン処理では、吐出する液体(作用液(OP)やカラーインク)の種類毎にハーフトーン処理を行い、その結果を同じ液体を吐出するノズル列全体にラスタライズを行う方法の例で説明したが、本実施形態におけるハーフトーン処理では、同じ液体であっても、ノズル群毎に別々にハーフトーン処理を行い、その結果をノズル群毎にラスタライズする。具体的には、構成するノズルチップ131毎にハーフトーン処理を行い、その結果に対して、ノズルチップ131毎にラスタライズ処理を行い、印刷データを生成する。すなわち、構成する個々のノズルチップ131毎に画像データの全体に亘って画像を形成するような印刷データを生成する。
【0069】
図8は、構成する個々のノズルチップ131毎に画像を形成し重ねることによって画像データに対応する印刷が行われる様子を説明する概念図である。
図8に示すOP1は、ノズルチップ131Bのノズル群(Bノズル群)により、形成される作用液(OP)の層(以下、層OP1と言う)である。OP2は、ノズルチップ131Aのノズル群(Aノズル群)により、形成される作用液(OP)の層(以下、層OP2と言う)である。CG1は、層OP2を形成するパス動作と同じパス動作で同じ領域にカラーインクを付与するカラーノズル列201のノズルチップ131Cのノズル群により、形成されるカラーインクの層(以下、層CG1と言う)である。CG2は、層OP2を形成するパス動作と同じパス動作で異なる領域にカラーインクを付与するカラーノズル列201のノズルチップ131Dのノズル群により、形成されるカラーインクの層(以下、層CG2と言う)である。これらの層は、複数のパス動作によってロール紙5に順に形成されていくが、これらの層を形成するためにそれぞれの液体を付与する順番は、
図8に示す通り(すなわち、層OP1、層OP2、層CG1、層CG2の順)である。
【0070】
制御装置110は、ロール紙5の属性情報に基づき、ノズルチップ131Aのノズル群(Aノズル群)に対応するハーフトーンデータと、ノズルチップ131Bのノズル群(Bノズル群)に対応するハーフトーンデータのいずれか一方のハーフトーンデータを選択して印刷データを生成する。
例えば、作用液(OP)の浸透速度が比較的高い(あるいは浸透性のある)ロール紙5(第2の印刷媒体)に対しては、
図9に示すように、層OP2を採用し、層OP1を使わない印刷を行う。すなわち、ノズルチップ131Aのノズル群(Aノズル群)に対応するハーフトーンデータを選択し、ノズルチップ131Bのノズル群(Bノズル群)に対応するハーフトーンデータを使用しないで生成した印刷データに従って印刷を行う。
その結果、
図6を参照して説明した場合と同様に、カラーノズル列201と同一のパス動作において作用液(OP)の付与が可能なノズルチップ131Aを使用することにより、作用液(OP)の付与から時間T1後、および時間T1+T2後までにカラーインクの付与(つまりは画像の形成)が完了する。
【0071】
また、例えば、作用液(OP)の浸透速度が低い(あるいは浸透しない)ロール紙5(第1の印刷媒体)に対しては、
図10に示すように、層OP1を採用し、層OP2を使わない印刷を行う。すなわち、ノズルチップ131Bのノズル群(Bノズル群)に対応するハーフトーンデータを選択し、ノズルチップ131Aのノズル群(Aノズル群)に対応するハーフトーンデータを使用しないで生成した印刷データに従って印刷を行う。
その結果、
図7を参照して説明した場合と同様に、カラーノズル列201と同じパス動作で異なるロール紙5の領域に作用液(OP)の付与が可能なノズルチップ131Bを使用することにより、作用液(OP)の付与から少なくとも時間T1+T2経過後において、カラーインクの付与を行うことができるようになる。
【0072】
以上述べたように、本実施形態による印刷装置および印刷方法によれば、以下の効果を得ることができる。
カラーノズル列201に含まれるノズルによってインクを付与するタイミングに対する作用液ノズル列202に含まれるノズルによってインクを付与するタイミングの制御を、ロール紙5の属性情報に基づいて行うことができる。
【0073】
また、カラーノズル列201に含まれるノズルによってインクを付与するタイミングに対する作用液ノズル列202に含まれるノズルによってインクを付与するタイミングの制御を、ロール紙5にインクが浸透する浸透速度に基づいて行うことができる。その結果、インクの浸透速度の違いによる印刷品質の差異(低下)を抑制することが可能となる。
【0074】
また、浸透速度がより高いロール紙5に対して、カラーノズル列201に含まれるノズルによりインクを付与するタイミングと、作用液ノズル列202に含まれるノズルによりインクを付与するタイミングとの時間差が、より小さくなるように相対位置(副走査方向(Y軸方向)におけるカラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域と作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域との相対位置)の制御を行う。そのため、インクの浸透速度の違いによる印刷品質の差異(低下)を抑制することが可能となる。
【0075】
また、浸透速度が、所定の値を下回るロール紙5に対しては、カラーノズル列201に含まれるノズルによるインクの付与と作用液ノズル列202に含まれるノズルによるインクの付与が、異なるパス動作で行われるように、また、浸透速度が、所定の値と同じかそれを上回るロール紙5に対しては、カラーノズル列201に含まれるノズルによるインクの付与と作用液ノズル列202に含まれるノズルによるインクの付与が、同じパス動作内で行われるように制御することができる。そのため、インクの浸透速度の違いによる印刷品質の差異(低下)を抑制することが可能となる。
【0076】
また、制御装置110は、印刷データの生成に当たり、画像データの同一領域に対して、Aノズル群とBノズル群のそれぞれにおいて、インクを付与して形成するドットの形成状態を決定するハーフトーンデータを生成し、ロール紙5の属性情報に基づいて、生成したいずれか一方のハーフトーンデータを選択して印刷データを生成することにより、上述した制御(すなわち、ロール紙5の属性情報に基づいて、副走査方向(Y軸方向)におけるカラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域と作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域との相対位置の制御、つまりは、作用液(OP)の付与のタイミングとカラーインクの付与のタイミングとの時間差の制御)を簡便に行うことができる。その結果、ロール紙5の属性情報に対応させて、カラーノズル列201に含まれるノズルによりインクを付与するタイミングと、作用液ノズル列202に含まれるノズルによりインクを付与するタイミングとの時間差において、より適切な時間差の印刷方法を選択することができる。
【0077】
また、本実施形態の印刷方法によれば、カラーノズル列201に含まれるノズルによってインクを付与するタイミングに対する作用液ノズル列202に含まれるノズルによってインクを付与するタイミングの制御を、ロール紙5の属性情報に基づいて、より適切に行うことができる。
【0078】
なお、ロール紙5の属性情報には、ロール紙5にインクが浸透する浸透速度に係る情報が含まれると説明したが、ロール紙5の属性情報としては、ロール紙5の材質や構成などが特定できる情報であれば、必ずしも、浸透速度に直接係る情報が含まれなくても良い。例えば、ロール紙5の製品型番や、構成する材料名、材料の構成仕様などの情報であっても良い。但し、事前に、必要な制御仕様が導出できるように、製品型番や構成仕様毎に充分な評価を行っておくことが望まれる。
【0079】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。ここで、上述した実施形態と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略している。
【0080】
(変形例1)
実施形態1では、制御装置110が行う制御の1例として、
図9および
図10に示すように、印刷データの生成に当たり、画像データの同一領域に対して、ノズルチップ131Aのノズル群(Aノズル群)とノズルチップ131Bのノズル群(Bノズル群)のそれぞれにおいて対応するハーフトーンデータを生成し、ロール紙5の属性情報に基づいて、生成したいずれか一方のハーフトーンデータを選択して印刷データを生成すると説明した。つまり、作用液(OP)の付与において、ロール紙5の属性情報に基づいて、作用液(OP)の層として層OP1か層OP2のいずれかを選択すると説明した。しかしながら、この両方の層を選択する場合がある方法であっても良い。つまり、印刷データの生成に当たっては、ロール紙5の属性情報に基づいて、ノズルチップ131Aのノズル群(Aノズル群)とノズルチップ131Bのノズル群(Bノズル群)のそれぞれにおいて対応するハーフトーンデータの両方を印刷データに反映させる場合がある方法であっても良い。
【0081】
例えば、ロール紙5の属性情報に基づいて、浸透速度が高いロール紙5(第2の印刷媒体)に対しては、作用液(OP)の層として層OP1と層OP2の両方を選択し、カラーインクより先に付与する作用液(OP)の付与量をより多くする制御を行うことで、ロール紙5の表面に必要充分な量の作用液(OP)を残留させることが可能となる。その結果、インクの浸透速度の違いによる印刷品質の差異(低下)をより簡便に抑制することが可能となる。
【0082】
(変形例2)
図11は、変形例2に係る印刷ヘッド13aの構成の例を示す模式図である。
実施形態1において、印刷ヘッド13は、
図5に示すように、作用液ノズル列202が、カラーノズル列201に対して、1つのノズルチップ131分の長さだけ副走査方向(Y軸方向)の上流側(−Y方向)にずれた位置に設けられていると説明したが、この構成に限定するものではない。例えば、
図11に示すように、作用液ノズル列202が、カラーノズル列201に対して、1つのノズルチップ131分の長さだけ副走査方向(Y軸方向)の上流側(−Y方向)に長い構成であっても良い。つまり、作用液ノズル列202は、実施形態1の印刷ヘッド13に対して、
図11に示すように、+Y側に1つのノズルチップ131Eを付加した構成になっている。また、実施形態1の印刷ヘッド13では、作用液ノズル列202が1列であったが、本変形例では、2列の作用液ノズル列202で構成している。
【0083】
このような構成によれば、従来技術における印刷ヘッド13c(
図4参照)を用いた印刷と同様の印刷を行うことが可能である上に、上述した実施形態の制御による効果を得ることもできる。
また、作用液ノズル列202を2列設けることで、例えば、それぞれ同じ作用液(OP)を吐出する場合には、ロール紙5に付与する作用液(OP)の量をより広い幅で制御することが可能となる。例えば、制御装置110は、カラーインクより先に付与する作用液(OP)の量を倍増させることができる。その結果、浸透速度が高いロール紙5(第2の印刷媒体)であっても、充分な量の作用液(OP)を付与しておくことで、カラーインクが付与されるタイミングにおいて、ロール紙5の表面に必要充分な量の作用液(OP)を残留させることが可能となる。すなわち、本変形例に係る印刷ヘッド13aを用いた印刷システム1は、ロール紙5の属性情報に基づいて、浸透速度が高いロール紙5(第2の印刷媒体)に対しては、カラーインクより先に付与する作用液(OP)の付与量をより多くする制御を行うことができる。その結果、インクの浸透速度の違いによる印刷品質の差異(低下)をより簡便に抑制することが可能となる。
【0084】
なお、作用液(OP)の付与量をより多くするための構成は上記のように作用液ノズル列202の列数を増加させる方法に限定するものではない。例えば、作用液ノズル列202に含まれるノズルの構成を変えることにより、1ショット当たりの液滴の量を増加させる方法であっても良い。
【0085】
また、本変形例において、例えば、2つの作用液ノズル列202のそれぞれが異なる作用液(OP)を吐出する場合には、異なる作用を持つ作用液(OP)を必要に応じ、独立して付与することができる。また、ロール紙5の属性情報に基づいて、使用する作用液(OP)毎により適切な制御(副走査方向(Y軸方向)におけるカラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域とそれぞれの作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域との相対位置の制御、つまりは、それぞれの作用液(OP)の付与のタイミングとカラーインクの付与のタイミングとの時間差の制御)を行うことができる。
【0086】
(変形例3)
図12は、変形例3に係る印刷ヘッド13bの構成の例を示す模式図である。
実施形態1において、印刷ヘッド13は、
図5に示すように、作用液ノズル列202が、カラーノズル列201に対して、1つのノズルチップ131分の長さだけ副走査方向(Y軸方向)の上流側(−Y方向)にずれた位置に設けられていると説明したが、この構成に限定するものではない。例えば、
図12に示す印刷ヘッド13bのように、作用液ノズル列202の点対称逆側の位置(つまり、カラーノズル列201の−X側において、1つのノズルチップ131分の長さだけ副走査方向(Y軸方向)の下流側(+Y方向)にずれた位置)に、更にもう1つの作用液ノズル列202(ノズルチップ131Fおよびノズルチップ131Gからなるノズル列)を設ける構成であっても良い。
【0087】
この構成によれば、作用液(OP)として、ロール紙5にカラーインクを付与した後に後処理液(例えば、カラーインクをカバーするように付与するクリアインクや、カラーインクの耐擦性を向上させるための保護インク)を付与する場合などにおいて、カラーインクを付与するタイミングと作用液(OP)(後処理液)を付与するタイミングとの時間差の制御をより適切に行うことができるようになる。
【0088】
(変形例4)
実施形態1では、制御装置110が行う制御の1例として、印刷媒体に液体が浸透する浸透速度に基づいて第1ノズル群に含まれるノズルによって液体を付与するタイミングに対する第2ノズル群に含まれるノズルによって液体を付与するタイミングの制御を行うと説明した。しかしながら、印刷媒体の媒体名称に応じてタイミングの制御を行っても良い。つまり、ロール紙5の属性情報として印刷媒体の媒体名称を含み、該媒体名称に応じて、第1ノズル群に含まれるノズルの使用領域と第2ノズル群に含まれるノズルの使用領域とが異なるパス動作で使用される第1モードおよび第1ノズル群に含まれるノズルの使用領域と第2ノズル群に含まれるノズルの使用領域とが同じパス動作で使用される第2モードの内のいずれか一方にて制御を行っても良い。
【0089】
この構成によれば、印刷媒体の媒体名称を選択することで、適切なノズルの使用領域の相対位置の制御を行うことができるようになる。
【0090】
なお、上述した実施形態や変形例では、副走査方向(Y軸方向)におけるカラーノズル列201に含まれるノズルの使用領域と作用液ノズル列202に含まれるノズルの使用領域との相対位置の制御を、ノズルチップ131を領域の単位として制御する例を説明したが、これに限定するものではない。
例えば、ノズルチップ131が有するノズル群を連続して並ぶ複数の小ノズル群に分割して、その小ノズル群毎に使用する/しないの選択をする制御であっても良い。