(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1]第1の実施の形態
(1−1)画像形成装置の構成
まず、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置1は、所謂タンデム方式のカラープリンターであって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)各色のトナー像を形成する画像形成ステーション110Y、110M、110C及び110Kを備えている。画像形成ステーション110Y、110M、110C及び110Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kを有している。感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの周囲には外周面に沿って順に帯電装置102Y、102M、102C及び102K、光書き込み装置100Y、100M、100C及び100K、現像装置103Y、103M、103C及び103K、1次転写ローラー104Y、104M、104C及び104K及びクリーニング装置105Y、105M、105C及び105Kが配設されている。
【0019】
帯電装置102Y、102M、102C及び102Kは感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの外周面を一様に帯電させる。この帯電処理の際に、帯電装置102Y、102M、102C及び102Kは高圧高周波数の帯電バイアス電圧を印加して放電を行うため、高周波ノイズ(以下、「ACノイズ」という。)が発生する。
光書き込み装置100Y、100M、100C及び100Kは、いわゆるOLED−PH(Organic Light Emitting Diode - Print Head)であって、感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの外周面を露光して静電潜像を形成する。
【0020】
現像装置103Y、103M、103C及び103KはYMCK各色のトナーを供給して静電潜像を現像し、YMCK各色のトナー像を形成する。この現像処理の際に、トナーを感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの外周面上に静電吸着させるために、現像装置は高圧高周波数の現像バイアス電圧を用いるため、ACノイズが発生する。
【0021】
1次転写ローラー104Y、104M、104C及び104Kは感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kが担持するトナー像を中間転写ベルト106へ静電転写する(1次転写)。クリーニング装置105Y、105M、105C及び105Kは、1次転写後に感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの外周面上に残留する電荷を除電すると共に残留トナーを除去する。
【0022】
中間転写ベルト106は、無端状のベルトであって、2次転写ローラー対107及び従動ローラー108、109に張架されており、矢印B方向に回転走行する。この回転走行に合わせて1次転写することによって、YMCK各色のトナー像が互いに重ね合わされカラートナー像が形成される。中間転写ベルト106はカラートナー像を担持した状態で回転走行することによって、カラートナー像を2次転写ローラー対107の2次転写ニップまで搬送する。
【0023】
2次転写ローラー対107を構成する2つのローラーは互いに圧接されることによって2次転写ニップを形成する。これらのローラー間には2次転写電圧が印加されている。中間転写ベルト106によるカラートナー像の搬送にタイミングを合わせて給紙トレイ120から記録シートSが供給されると、2次転写ニップにおいてカラートナー像が記録シートSに静電転写される(2次転写)。
【0024】
記録シートSは、カラートナー像を担持した状態で定着装置130まで搬送され、カラートナー像を熱定着された後、排紙トレイ140上へ排出される。
画像形成装置1は、更に本体側制御部150を備えている。本体側制御部150は、PC(Personal Computer)等の外部装置から印刷ジョブを受け付けると、画像形成装置1の動作を制御して画像形成を実行させる。
(1−2)光書き込み装置100の構成
次に、光書き込み装置100の構成について説明する。
【0025】
光書き込み装置100は、
図2に示すように、OLEDパネル220、レンズホルダー200、レンズアレイ210及び基準ホルダー230を備えている。
OLEDパネル220はガラス基板222を有している。ガラス基板222は、レンズアレイ210に対向する主面にTFT回路(図示省略)が形成されている。TFT回路上では、複数(本実施の形態においては、15,000個)のOLED221が千鳥配置されている。
【0026】
レンズアレイ210は、2列以上で千鳥配列された複数のロッドレンズ211を樹脂212にて固着した長尺の光学部材である。レンズアレイ210は、長尺方向が主走査方向になるように配設される。レンズアレイ210は、OLED221の出射光を感光体ドラム110の外周面上に集光する。レンズアレイ210としては、例えば、SLA(Selfoc lens array。Selfocは日本板硝子株式会社の登録商標。)を用いることができる。
【0027】
レンズホルダー200は、主走査方向に長尺の樹脂製部材であって、光軸方向に貫通するスリット201を有する。スリット201もまた主走査方向に長尺になっている。レンズホルダー200は、スリット201内にレンズアレイ210を挿入した状態で、副走査方向におけるレンズアレイ210の側壁面213と、スリット201の内壁面202とを接着固定することによって、レンズアレイ210を保持する。
【0028】
基準ホルダー230は、SUS(Stainless Steel)等の鋼材からなる板金部材である。基準ホルダー230の支持面には、レンズホルダー200とOLEDパネル220とが固定されており、これによってOLED221、ロッドレンズ211及び感光体ドラム110の位置関係が規定される。
なお、
図2においては、光書き込み装置100を本体側制御部150等、画像形成装置1が備える他の装置との接続するためのケーブル等の図示が省略されている。
(1−3)OLEDパネル220
次に、OLEDパネル220の構成について説明する。
【0029】
図3に示すように、本実施の形態に係るOLEDパネル220は、制御部301と150個の発光ブロック310とを備えている。制御部301は、いわゆる集積回路(IC: Integrated Circuit)であって、発光ブロック310と同数の150個のDAC(Digital to Analogue Converter)302を内蔵している。各発光ブロック301とDAC302とは1対1に対応する。各発光ブロック310には、100個のOLED221が割り当てられている。
【0030】
制御部301は、本体側制御部150から画像データを受け付けると、1本の主走査線の露光を行う期間である主走査期間ごとに各DAC302に画像データを配下のOLED221の個数ずつ分配する。DAC302は、割り当てられた画像データをDA変換することによって制御電圧Vdacを生成し、生成した制御電圧Vdacを順次、制御配線320を経由して発光ブロック310に入力する。
【0031】
図4に示すように、発光ブロック310は、100個のOLED221、OLED221毎に設けられた駆動部401及びシフトレジスター420を備えている。DAC302が出力した制御電圧Vdacは、制御配線320を経由して発光ブロック310に至り、更に制御配線320から引き出された引き込み配線430を経由して、シフトレジスター420が選択した駆動部401に入力される。駆動部401は制御電圧Vdacに応じた駆動電流IdをOLED221に供給する。
【0032】
駆動部401は、アナログスイッチ411、キャパシター412及び駆動用トランジスター413を備えている。
アナログスイッチ411は、シフトレジスター420が水平同期信号Hsyncに同期して出力するサンプルホールド信号SHに応じて、引き込み配線430とキャパシター412の一方の端子との電気的な接続をオンオフする。キャパシター412の他方の端子は基準電源414に接続されている。このため、キャパシター412は、アナログスイッチ411がオンした状態では基準電源414が供給する基準電圧Vddと制御電圧Vdacとの電圧差が印加され、アナログスイッチ411がオフした状態では当該電圧差を保持する。
【0033】
キャパシター412の2つの端子は、駆動用トランジスター413のソース端子とゲート端子とにそれぞれ接続されている。このため、キャパシター412の保持電圧がゲート−ソース電圧Vgsとして駆動用トランジスター413に印加されると、当該保持電圧に応じたドレイン電流がOLED221の駆動電流IdとしてOLED221に供給される。
【0034】
なお、上記のようにシフトレジスター420は水平同期信号Hsyncに同期してサンプルホールド信号SHを出力するので、OLED221もまた水平同期信号Hsyncに同期して発光することになる。
また、上記においては、駆動用トランジスター413がPチャンネルトランジスターである場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、Pチャンネルトランジスターに代えてNチャンネルトランジスターを用いてもよい。
(1−4)OLED221の配置
次に、OLED221の配置について説明する。
【0035】
OLEDパネル220が備える複数のOLED221は、A列、B列、C列およびD列の4つのOLED列の何れかに属している。
図5に示すように、副走査方向においてA列、B列、C列及びD列の順に並ぶように、千鳥配置されている。OLED221の主走査方向における間隔pは、本実施の形態においては21.2μm(1200dpi)である。
【0036】
OLED列の副走査方向における間隔(以下、「列間隔」という。)Lは、画像形成装置1のシステム速度Vに10走査期間を乗じた長さになっている。すなわち、
【0038】
ここで、Hは1走査期間の長さ(時間)である。また、システム速度Vは、感光体ドラム101の外周面の周速度である。言い換えると、何れかのOLED列のOLED221に露光された水平走査線(以下、単に「走査線」という。)は、10走査期間かかって次のOLED列のOLED221の露光位置に到達する。
図6に例示するように、まずA列のOLED221が1本目の走査線上のA列に対応する露光位置を露光し、その10走査期間後に、B列のOLED221が同じ走査線上のB列に対応する露光位置を露光する。同様に、20走査期間後にはC列のOLED221が露光し、30走査期間後にはD列のOLED221が露光する。2本目以降の走査線についても同様にA列、B列、C列及びD列のOLED221が露光する。
【0039】
なお、上記10走査期間後には、A列のOLED221は11本目の走査線を露光する。また、上記20走査期間後には、A列のOLED221は21本目の走査線を露光し、B列のOLED221は11本目の走査線を露光する。更に、上記20走査期間後には、A列のOLED221は31本目の走査線を露光し、B列のOLED221は21本目の走査線を露光し、C列のOLED221は11本目の走査線を露光する。
【0040】
また、
図5に示すように、A列のOLED22が1本の走査線を露光する時点とB列のOLED221が同じ走査線を露光する時点とでACノイズの位相が逆位相になるように、列間隔Lとシステム速度Vとが定められている。すなわち、
【0042】
ここで、FはACノイズ周波数である。
このようにすれば、同じ走査線を露光する時点におけるACノイズの位相が、A列とB列、B列とC列、C列とD列及びD列とA列の各組合せにおいては互いに逆位相になる。すなわち、ひとつの走査線上で互いに隣り合う露光点どうしでACノイズの位相が逆位相になる。
【0043】
また、ACノイズの位相は、制御電圧Vdacに重畳するノイズ成分(ノイズ電圧)の位相に一致し、ノイズ電圧が高いと駆動電流が多くなってOLED221の発光量が増大し、ノイズ電圧が低いと駆動電流が少なくなってOLED221の発光量が減少する。このため、同じ走査線上で互いに隣り合う露光点どうしでACノイズの位相が逆位相になると、隣り合う露光点どうしでOLED221の発光量の増減が逆になる。
【0044】
従って、走査線単位では露光点ごとのノイズ電圧の増減を平均化すると、平均値が0になる。一方、隣り合うOLED列どうしでACノイズの位相が逆位相から外れるほどノイズ電圧の平均値が0から外れてゆく。ACノイズの位相が同位相になるとノイズ電圧の平均値が最も大きくなって筋状ノイズが最も目立ち易くなる(
図7(a))。この意味において、本実施の形態によれば筋状のノイズが解消される(
図7(b))。
(1−5)本体側制御部150の構成
画像形成装置1のシステム速度は必ずしも一定しない。例えば、画像形成に供する記録シートSが普通紙であるか厚紙であるかによってトナー像の定着に要する時間が異なるため、厚紙を用いる場合には普通紙を用いる場合よりもシステム速度が遅くなるように、本体側制御部150が制御を実行する。
【0045】
本体側制御部150は、
図8に示すように、CPU(Central Processing Unit)801、ROM(Read Only Memory)802及びRAM(Random Access Memory)803等を備えている。画像形成装置1に電源が投入されると、CPU801はROM802からブートプログラムを読み出して起動し、その後、RAM803を作業用記憶領域として、HDD(Hard Disk Drive)から読み出したOS(Operating System)や制御プログラムを実行する。
【0046】
また、CPU801は、NIC(Network Interface Card)805を用いてLAN(Local Area Network)等の通信網にアクセスし、PC(Personal Computer)等の外部の装置から印刷ジョブを受け付ける。印刷ジョブを実行する際には、CPU801は光書き込み装置100や帯電装置102、現像装置103等を制御する。これによって、帯電装置102の帯電電圧の周波数や、現像装置103の現像電圧の周波数が制御される。
【0047】
更に、CPU801は記録シートSを搬送したり、中間転写ベルト106を回転走行させたり、或いは感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kを回転駆動したりするための駆動モーター810を制御することによって、システム速度Vを制御する。
(1−6)列間隔Lの設定
上記(1−4)では、列間隔Lが式(5)に従う場合について説明したが、一般的には、列間隔Lが次式(6)を満たせば、隣り合うOLED列どうしでノイズ電圧を逆位相にすることができる。
【0049】
ただし、Dは奇数である。D/2は、走査線が1つのOLED列で露光されてから次のOLED列で露光されるまでの期間のACノイズの波数(wave number)を表している。このため、DはACノイズの波数の2倍になる。以下においては、Dを「倍波数」というものとする。
従って、システム速度Vが変動しても上式(6)が満たされるように、本体制御部150がACノイズの周波数Fを調整すれば、筋状ノイズを解消することができる。
図9は、システム速度V、ACノイズの周波数F及び倍波数Dの組み合わせ毎に、列間隔Lを示す表である。
図9に示すように、システム速度Vの取り得る値が100mm/秒、200mm/秒、300mm/秒及び400mm/秒である場合には、列間隔Lを0.78mmにすれば、倍波数Dが39、19、13及び9になる。従って、システム速度Vが上記の何れの値をとっても倍波数Dが奇数になり、隣り合うOLED列どうしでACノイズが互いに逆位相になるので、筋状ノイズを解消することができる。
【0050】
なお、ACノイズの周波数Fは、例えば、画像形成装置1のシステム速度V毎に帯電装置102の帯電バイアス電圧や現像装置103の現像バイアス電圧の周波数を予め記憶しておき、実行すべき印刷ジョブに応じたシステム速度Vに対応する周波数の帯電バイアス電圧や現像バイアス電圧を用いることによって制御してもよい。
[2]第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0051】
上式(6)において倍波数Dが奇数になるように列間隔L、システム速度V及びACノイズの周波数Fを設定すると、列間隔Lが走査線間間隔の整数倍にならない場合がある。本実施の形態に係る画像形成装置1は、このような場合を想定したものであって、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1と概ね同様の構成を備えている一方、列間隔Lと走査線間隔との関係並びにOLED221の発光タイミングの制御動作において相違している。以下、主に相違点に着目して説明する。なお、本明細書においては、実施の形態どうしで共通する部材等については同じ符号が付与されている。
【0052】
本実施の形態に係る光書き込み装置100は、上記第1の実施の形態に係る光書き込み装置100と同様にOLED列が4列である一方、上記第1の実施の形態では列間隔Lが走査線間隔の10倍であるのに対して、本実施の形態では列間隔Lが走査線間隔の2.2倍であり、整数倍にはなっていない。すなわち、
【0054】
このため、本実施の形態においては、OLED列ごとにタイミングが異なる水平同期信号Hsync_A、Hsync_B、Hsync_C及びHsync_Dを用いる。
図10に示すように、制御部301はシフトレジスター420に水平同期信号Hsync_A、Hsync_B、Hsync_C及びHsync_Dを供給する。シフトレジスター420は、A列のOLED221を駆動する駆動部へのサンプルホールド信号SH_A1、SH_A2、SH_A3等についてはA列用の水平同期信号Hsync_Aに同期して出力する。
【0055】
同様に、B列のOLED221を駆動する駆動部へのサンプルホールド信号SH_B1等はB列用の水平同期信号Hsync_Bに同期して出力され、C列のOLED221を駆動する駆動部へのサンプルホールド信号SH_C1等はC列用の水平同期信号Hsync_Cに同期して出力される。D列のOLED221を駆動する駆動部へのサンプルホールド信号SH_D1、SH_D2等はD列用の水平同期信号Hsync_Dに同期して出力される。
【0056】
図11に示すように、水平同期信号Hsync_A、Hsync_B、Hsync_C及びHsync_Dは、何れも周期が主走査期間に一致している一方、位相が0.2ライン分(主走査期間の20%)ずつずれている。具体的には、水平同期信号Hsync_Bは水平同期信号Hsync_Aよりも0.2ライン分遅延しており、水平同期信号Hsync_Cは水平同期信号Hsync_Bよりも0.2ライン分遅延している。同様に、水平同期信号Hsync_Dは水平同期信号Hsync_Cよりも0.2ライン分遅延している。
【0057】
このため、A列のOLED221が水平同期信号Hsync_Aに同期して露光した走査線が2.2ライン分進んでB列のOLED221の露光位置まで来ると、水平同期信号Hsync_Bは水平同期信号Hsync_Aよりも0.2ライン分遅延しているので、B列のOLED221は水平同期信号Hsync_Bに同期することによって、ちょうど当該走査線を露光することができる。水平同期信号Hsync_C、Hsync_Dもまた0.2ライン分ずつ位相が遅延しているので、同様にC列及びD列のOLED221もまた当該走査線を露光することができる。
【0058】
以上のようにすれば、走査線上で取り合う露光点どうしに対して逆位相のACノイズが作用するので、走査線単位でノイズ電圧の平均が0になるという意味で、筋状ノイズを解消することができる。
一般的に、主走査線の副走査方向における間隔Lsが発光素子列の間隔Lの非整数倍になっている場合、前記複数の発光素子列のうち副走査方向に隣り合う発光素子列どうしでは、副走査方向における上流側の発光素子列の走査開始タイミングよりも、下流側の発光素子列の走査開始タイミングを、
【0060】
だけ遅延させれば、筋状ノイズを解消することができる。なお、Hは主走査期間の長さである。
なお、列間隔Lが走査線間隔の整数倍になっている場合には、上述のように位相を遅延させる必要はない。例えば、列間隔Lが走査線間隔の2倍になっている場合には、
図12に示すように、位相を遅延させなくても各OLED列のOLED221によって同一の走査線を露光することができる。そして、列間隔L、倍波数D、システム速度V及びACノイズの周波数Fが式(6)を満たすように設定されていれば、筋状ノイズを解消することができる。
[3]第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る画像形成装置1は上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1と概ね同様の構成を備えている一方、上記第1の実施の形態においては感光体ドラム101の外周面を露光する際に単露光するのに対して、本実施の形態においては多重露光を行う点において相違している。以下、主に相違点に着目して説明する。
【0061】
図13に示すように、本実施の形態に係るOLEDパネル220においては、主走査方向にOLED221を配列した4つのOLED列のうち、A列とB列、C列とD列がそれぞれ対になって多重露光を行う。副走査方向に隣り合うA列のOLED221とC列のOLED221との間隔pは、例えば、21.2μm(1200dpi)である。
本実施の形態においては、列間隔Lは2ラインである。なお、多重露光を行う場合においても、列間隔Lが走査線間隔の整数倍である場合には、上記第1の実施の形態のようにOLED列どうしで共通の水平同期信号Hsyncを用いることができる。また、列間隔Lが走査線間隔の整数倍でない場合には、上記第2の実施の形態のようにOLED列どうしで共通の水平同期信号Hsyncの位相をずらせばよい。
【0062】
このようにすれば、A列とB列との組み合わせで多重露光する露光点については、A列のOLED221とB列のOLED221とでACノイズが逆位相になるので、ACノイズに起因する光量変動を相殺することができる。同様に、C列とD列との組み合わせで多重露光する露光点についても、C列のOLED221とD列のOLED221とでACノイズが逆位相になるので、ACノイズに起因する光量変動を相殺することができる。
【0063】
従って、ACノイズに起因する筋状ノイズを解消することができるので、良好な画像を形成することができる。
なお、B列とC列との間隔はL以外であってもよい。
また、本明細書においては、本実施の形態におけるOLED221もまた千鳥状に配列されているというものとする。
[4]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(4−1)上記第1の実施の形態においては、ACノイズの周波数Fを変更することができる場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、ACノイズの周波数Fが固定されている場合には次のようにしてもよい。
【0064】
倍波数Dが奇数である場合に式(6)を用いて算出される列間隔Lを理想的な列間隔Lidealとすると、この理想的な列間隔Lidealに対して、ACノイズの1波長の±10%に相当する範囲(以下、「許容範囲」という。)内に、実際の列間隔Lが入っていれば、筋状ノイズを視認不能にすることができる。すなわち、ACノイズの周波数Fが固定されている場合においては、
【0066】
となるようにシステム速度Vを設定するのが望ましい。
また、ACノイズの周波数Fとシステム速度Vとが共に固定されている場合にも、上式(9)を満たすように、実際の列間隔Lを設定すれば筋状ノイズを視認不能にすることができる。
また、上記第2の実施の形態においても、列間隔Lが上式(9)を満たせば、倍波数Dは非整数であってもよい。
(4−2)上記第1の実施の形態においては、OLED列が4列である場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて他の列数としてもよい。ただし、ACノイズによる影響を相殺する必要上、OLED列は複数列であるのが望ましい。
【0067】
また、上記第1の実施の形態におけるA列とD列のように、副走査方向における両端の列が露光する露光点が走査線上で隣り合うことから、副走査方向における両端の列どうしではACノイズが逆位相になっていれば、更に好適である。このためには、OLED列の列数が偶数であるのが望ましい。
(4−3)上記第1の実施の形態においては、列間隔Lが走査線間隔のちょうど10倍になっている場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、10倍以外の整数倍になっていてもよい。
(4−4)上記実施の形態においては、ACノイズが単一周波数成分からなる交流ノイズである場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、複数の周波数成分からなるACノイズに対しては次のようにしてもよい。
【0068】
例えば、複数の周波数成分のうち最も振幅の大きなACノイズの周波数Fについて上式(6)を満たすように、列間隔L、システム速度V及び倍波数Dを設定すれば、筋状ノイズを抑制して、効果的に良好な画像を得ることができる。この場合において、例えば、帯電装置102と現像装置103とのうちACノイズの振幅が大きい方の装置が発生させているACノイズの周波数Fについて上式(6)を満たすように、列間隔L、システム速度V及び倍波数Dを設定してもよい。
(4−5)上記実施の形態においては、ひとつの走査線上で互いに隣り合う露光点どうしでACノイズの位相が逆位相になるように列間隔L、システム速度V及びACノイズの周波数Fを調整する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0069】
例えば、A列とB列ではACノイズが同位相になり、B列とC列とではACノイズが逆位相になり、更にC列とD列とではACノイズが同位相になるようにしてもよい。このようにすれば、走査線上で隣り合う2つ露光点を一組として、走査線上で隣り合う組どうしでACノイズの位相が逆位相になるので、ACノイズによる濃度むらをある程度視認し難くすることができる。同様に3つ以上を一組としてACノイズが互いに逆位相になるようにしてもよい。
(4−6)上記第3の実施の形態においては、A列とB列との組と、C列とD列との組とが、それぞれ多重露光を行う場合であって、かつOLED列の組どうしが千鳥配列されている場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、OLED列の組どうしが千鳥配列されていない場合であっても、ひとつの組を構成するOLED列の列間隔Lが式(6)を満たしてれば、ACノイズによる光量変動を相殺することができるので、筋状ノイズの発生を抑制することができる。
【0070】
なお、OLED列の組を構成するOLED列の数が2つに限定されないのは言うまでもなく、3つ以上であってもACノイズに起因する光量変動を相殺することができるように列間隔L、システム速度V及びACノイズの周波数Fが設定されていれば、ACノイズによる画質劣化を抑制することができる。
なお、感光体ドラム101の外周面を露光すると述べる場合における、「露光」の語は「単露光」と「多重露光」との両方を含む上位概念である。
(4−7)上記実施の形態においては、画像形成装置がタンデム型のカラープリンターである場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えてタンデム型以外のカラープリンターやモノクロプリンターであってもよい。また、スキャナーを備えた複写装置や、更にファクシミリ通信機能を備えたファクシミリ装置といった単機能機、或いはこれらの機能を兼ね備えた複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。