(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属よりなる加熱対象物の被照射面において、前記加熱対象物における赤外線の照射による昇温速度が相対的に小さい部分に、赤外線吸収処理として赤外線吸収剤を含有する塗料を塗布した塗布膜を形成し、かつ、前記加熱対象物の被照射面における、前記加熱対象物における赤外線の照射による昇温速度が相対的に小さい部分とは異なる、前記加熱対象物における赤外線の照射による昇温速度が相対的に大きい部分に、赤外線反射処理を施した後に、加熱ランプからの赤外線を前記加熱対象物に向かう方向に均等に照射することにより、当該加熱対象物を加熱処理する加熱処理方法であって、
前記塗料は、樹脂を含有しない溶剤に前記赤外線吸収剤が分散されてなる水性の塗料であることを特徴とする加熱処理方法。
前記赤外線吸収処理が、前記加熱対象物における相対的に厚みが大きい部分に係る被照射面に対して行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明の加熱処理方法は、加熱対象物(以下、「ワーク」ともいう。)に加熱ランプによる面状光源から赤外線を照射することにより、当該ワークを加熱処理(本加熱処理)する方法である。
そして、この本加熱処理に先行して、ワークの被照射面の一部(以下、「補償領域」とする。)に赤外線吸収処理および/または赤外線反射処理を行う。
本発明において、ワークの被照射面とは、加熱ランプからの赤外線が照射される面をいう。具体的には、例えば加熱ランプがワークの上面に対向して設けられた状態において赤外線が放射される場合には、ワークの上面および側周面をいう。
【0018】
赤外線吸収処理は、具体的には、例えば、ワークの被照射面の補償領域に赤外線吸収剤を含有する赤外線吸収膜を形成すること、あるいは、ワークそのものを本加熱処理温度よりも低い温度で予め加熱すること、または、薬品を塗布する酸化処理によって被照射面の色状態を黒化させることによって、赤外線の吸収率を補償領域以外の未処理領域よりも高くすることなどによって行うことができる。
【0019】
赤外線吸収剤としては、赤外線吸収率が60%以上である材質のものを用いることが好ましく、具体的には、金属単体や、金属酸化物、金属窒化物、金属ホウ化物および金属炭化物などの金属化合物を用いることができる。
赤外線吸収膜としては、赤外線吸収剤を含有する塗料を塗布した塗布膜や、赤外線吸収剤のメッキによる膜または蒸着膜、赤外線吸収剤によるフィルムやテープなどが挙げられる。
赤外線吸収剤を含有する塗料としては、例えば赤外線吸収剤をナノ粒子状にして溶媒に混合したものを用いることができる。具体的には、赤外線吸収剤を分散した例えばシリコーン樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料などを用いることができる。また、樹脂を含有しない溶剤に赤外線吸収剤が分散されてなる水性の塗料も用いることができる。また、本加熱処理温度の高さによっては、これらの溶液や溶液を含む半乾燥状態や粒子間をつなぐバインダーを赤外線吸収剤として用いてもよい。
これらの塗料のうち、ワークの材質や本加熱処理温度に応じて、適宜選定することができる。
【0020】
ワークそのものを本加熱処理温度よりも低い温度に予め加熱する予備加熱は、例えば大気中で行われ、ワークの材質によっても異なるが、例えばワークが鋼板である場合、約400℃に加熱することによって行うことができる。
予備加熱による赤外線吸収処理は、例えばワークが差厚鋼板である場合に好適に行うことができる。具体的には、例えば面積が大きい鋼板(大面積鋼板)上に面積が小さい鋼板(小面積鋼板)を積層させたワーク(差厚鋼板)において、スポット溶接を行う前に厚みが重なり合って昇温され難い小面積鋼板のみについて予備加熱を行うことにより、小面積鋼板のみに赤外線吸収処理を行うことができる。あるいは、スポット溶接後に、加熱手段における小面積鋼板に対応する加熱ランプのみを点灯することにより、小面積鋼板のみに赤外線吸収処理を行うことができる。
【0021】
予備加熱による赤外線吸収処理を行うことにより、赤外線吸収剤を含有する赤外線吸収膜を形成する必要がない。また、当該赤外線吸収膜の材料とワークの材料との間の反応性を考慮する必要がなく、さらに、本加熱処理後に赤外線吸収膜の材料がワーク上に残留する場合にはこれを除去する必要がないことなどの利点を得ることができる。
【0022】
赤外線反射処理は、具体的には、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属ホウ化物、金属炭化物などの金属化合物によって赤外線反射率の高い赤外線反射膜を形成することや、メッキ処理を施すこと、または、表面を例えば研磨などによって表面粗さを変化させて鏡面化することなどによって行うことができる。
赤外線反射膜は、例えば赤外線反射率が70%以上である膜であることが好ましく、具体的には、例えばアルミメッキや金メッキなどのメッキによる膜であることが好ましい。
【0023】
ワークの被照射面の補償領域における赤外線吸収処理および/または赤外線反射処理は、本加熱処理の開始、すなわち赤外線の照射の開始から例えば1分間後に、ワーク全体が本加熱処理温度(例えば1000℃±50℃)に到達するよう、施されることが好ましい。
【0024】
ワークの被照射面における赤外線吸収処理および/または赤外線反射処理は、例えば当該ワークの厚みや輪郭に応じて行われる。具体的には、赤外線吸収処理は、相対的に赤外線の照射による昇温速度が小さい領域、例えば相対的に厚みが大きい部分に係る被照射面に対して行われる。また、赤外線反射処理は、相対的に赤外線の照射による昇温速度が大きい領域、例えば相対的に厚みが小さい部分に係る被照射面に対して行われる。
本発明において、「赤外線の照射による昇温速度」とは、加熱ランプによる面状光源からワークに向かう方向に均等な強度分布で放射された赤外線がワークに照射されたときの、ワークの温度上昇に係る昇温速度をいう。
具体的に説明すると、
図1に示されるように、例えば矩形の平板状のワークW1においては、ワークW1の当該ワークW1が伸びる面方向の中央部領域15は、それ以外の端部領域17に比べて赤外線の照射による昇温速度が小さい。これは、ワークW1の端部領域17においては、ワークW1の上面に加えて側周面にも赤外線が照射されるためである。従って、当該中央部領域15に係る被照射面に赤外線吸収処理を施して光吸収処理領域(
図1において網線を付して示す。)Ab1を形成する。
また、
図2に示されるように、例えば1枚の鋼板であって、厚みが大きい部分25と厚みが小さい部分27とを有する差厚鋼板であるワークW2においては、相対的に厚みが大きい部分25は厚みが小さい部分27に比べて、ワークW2の上面に係る単位面積当たりの体積の熱容量が大きいため、赤外線の照射による昇温速度が小さい。従って、当該厚みが大きい部分25に係る被照射面に赤外線吸収処理を施して光吸収処理領域(
図2において網線を付して示す。)Ab2を形成する。
【0025】
また、1つのワークにおいて、その厚みに応じて赤外線吸収処理および赤外線反射処理の両方が行われてもよい。
具体的には、互いに形状が異なる下層ワーク10および上層ワーク20が積層された差厚鋼板であるワークW3においては、2枚の積層部分30は単層部分40に比べて赤外線の照射による昇温速度が小さい。従って、
図3(a)に示されるように、当該積層部分30に係る被照射面、すなわち上層ワーク20の加熱ランプに対向する表面(
図3(a)において上面)に赤外線吸収処理を施して光吸収処理領域(
図3(a)において網線を付して示す。)Ab3を形成する。
一方、単層部分40においては積層部分30に比べて赤外線の照射による昇温速度が大きい。従って、
図3(a)に示されるように、当該単層部分40に係る被照射面、すなわち下層ワーク10の加熱ランプに対向する表面(
図3(a)において上面)に赤外線反射処理を施して光反射処理領域(
図3(a)において斜線を付して示す。)Re1を形成する。
【0026】
また、ワークW3においては、その輪郭に応じて赤外線吸収処理および赤外線反射処理が行われてもよい。具体的には、ワークW3の積層部分30の当該ワークW3が伸びる面方向の中央部領域は端部領域に比べて赤外線の照射による昇温速度が小さい。従って、
図3(b)に示されるように、当該中央部領域に係る被照射面、すなわち上層ワーク20の加熱ランプに対向する表面(
図3(b)において上面)における中央領域に赤外線吸収処理を施して光吸収処理領域(
図3(b)2おいて網線を付して示す。)Ab4を形成する。
また、輪郭が長方形の短辺から連続して伸びる三角形状の突出部41を有する全体が五角形のワークW3においては、当該突出部41は、赤外線の照射による昇温速度が大きい。これは、側周面(肉厚部分)にも加熱ランプからの赤外線が照射されるので、ワークW3の突出部41においては表面(上面)からの加熱に対して側周面からの加熱の割合が大きくなるためである。従って、
図3(b)に示されるように、単層部分40に係る被照射面であって、かつ、突出部41に係る被照射面、すなわち突出部41の加熱ランプに対向する表面(
図3(b)において上面)に赤外線反射処理を施して光反射処理領域(
図3(b)において斜線を付して示す。)Re2を形成する。また、下層ワーク10のワークW3が伸びる面方向の端部領域は中央部領域に比べて赤外線の照射による昇温速度が大きい。従って、
図3(b)に示されるように、下層ワーク10の側周面に赤外線反射処理を施して光反射処理領域(
図3(b)において斜線を付して示す。)Re3を形成する。
【0027】
また、ワークの被照射面の補償領域における赤外線吸収処理および/または赤外線反射処理は、ワークの表面の反射率に応じて行われてもよい。
例えばワークの表面の光沢性が高い場合には、ワークの被照射面の全面に赤外線吸収処理を施して光吸収処理領域を形成することによって赤外線の照射による昇温速度を大きくすることができる。
また、互いに形状が異なる下層ワークおよび上層ワークが積層された差厚鋼板であって、例えば上層ワークの光沢性が下層ワークよりも高い場合などにおいては、当該上層ワークの被照射面に赤外線吸収処理を施して光吸収処理領域を形成することもできる。
【0028】
〔ワーク〕
本発明の加熱処理方法において本加熱処理されるワークは、略平板状の金属よりなるものであって、例えば鋼板とされる。
本発明において「鋼板」とは鉄を主成分とする板材を指す。例えば、炭素含有量が2質量%以下の鋼の板等が対象として含まれる。
ワークの詳細な形状については限定されず、厚みが均一な平板状の鋼板であっても差厚鋼板であってもよく、また、輪郭が長方形や正方形のものであっても輪郭が特殊な形状のものであってもよい。
具体的には、長方形の輪郭のワークWa(
図4(a))、平行四辺形の輪郭を有して鋭角の角部42を有するワークWb(
図4(b))、平行四辺形の輪郭における一角が円弧状に切り欠かれた、輪郭に曲線を有するワークWcもの(
図4(c))、辺の長さが互いに異なる輪郭のワークWd,We(
図4(d)や
図4(e))、穴45を有するワークWf(
図4(f))などや、これらの異なる2種を積層させた、厚みの異なる部分を有する差厚鋼板などが挙げられる。
差厚鋼板としては、例えば
図2に示されるような厚みが大きい部分25と厚みが小さい部分27とを有する1枚の鋼板からなるワークW2や、
図3に示されるように、互いに形状が異なる下層ワーク10および上層ワーク20が積層された差厚鋼板であるワークW3が挙げられる。
【0029】
〔熱処理装置〕
本発明の加熱処理方法を行う加熱手段としては、例えば、処理室を有し、この処理室内において支持部上に支持されるワークの被照射面と対向するよう設けられた面状光源である光照射部を備える熱処理装置を用いることができる。
この熱処理装置は、光照射部からワークに向かって赤外線を一定方向に均等に放射することにより、ワークを被照射面から加熱して本加熱処理するものである。
【0030】
〔光照射部〕
光照射部は、例えばワークが伸びる面方向に沿って縦横に並設された複数の点光源型の加熱ランプ(以下、「点状ランプ」ともいう。)よりなるものとすることができる。
点状ランプの各々は、隣接する点状ランプの距離が全て等間隔となるよう設置されていることが好ましい。
点状ランプとしては、例えばシングルエンド型のフィラメントランプを用いることができる。
シングルエンド型のフィラメントランプは、例えば球欠体状のバルブを備え、当該バルブの割平面が封止部によって封止され、バルブ内に、その両端部が各々内部リードを介してソケット内に設けられた2つの電極に接続されたフィラメントが収容されたものである。
【0031】
光照射部は、例えば複数の棒状の加熱ランプ(以下、「棒状ランプ」ともいう。)が、各々のランプ中心軸がワークの伸びる面と平行となるように一平面内に位置された状態で、互いに離間して並設されているものであってもよい。
棒状ランプの各々は、隣接する棒状ランプの距離が全て等間隔となるよう設置されていることが好ましい。
棒状ランプとしては、例えばダブルエンド型のフィラメントランプを用いることができる。
ダブルエンド型のフィラメントランプは、例えば両端部が封止部によって封止された直管状のバルブを備え、当該バルブ内にフィラメントが同軸方向に伸びた状態で収容され、当該フィラメントの両端がそれぞれ封止部を介して2つの電極に接続されたものである。
【0032】
本発明の加熱処理方法においては、まず、ワークの厚みや輪郭、当該ワークの表面の反射率などに応じて、ワークの被照射面の一部に対して、上述のように赤外線吸収処理および/または赤外線反射処理を施す。これにより、ワークの全体が、所定の時間内に本加熱処理の目的とする温度範囲内に昇温されるものとされる。その後、ワークの被照射面の全面に光照射部からワークに向かう一定方向に均等な強度分布で放射された赤外線が照射され、所定の時間内に本加熱処理の目的とする温度範囲まで昇温され、当該本加熱処理の目的とする温度範囲内の本加熱処理温度に維持されて本加熱処理が行われる。
本加熱処理温度は、例えば1000℃±50℃とされる。
なお、赤外線吸収処理において形成される、赤外線吸収剤を含有する塗料を塗布した塗布膜は、塗料の種類によっても異なるが、本加熱処理温度で加熱することによって加熱分解させて消失させることもできる。
【0033】
以上のような加熱処理方法は、ワークの被照射面の一部に赤外線吸収処理および/または赤外線反射処理を施した後に、赤外線をワークに向かう方向に均等に放射する熱処理装置によって本加熱処理するものである。従って、ワークにおける赤外線の照射による昇温速度が相対的に小さい部分に係る被照射面に赤外線吸収処理を施すことによって、および/または、ワークにおける赤外線の照射による昇温速度が相対的に大きい部分に係る被照射面に赤外線反射処理を施すことによって、各部分における赤外線の吸収量がそれぞれ制御されて所定の時間内に本加熱処理の目的とする温度範囲まで昇温される。その結果、ワークについての赤外線の照射による昇温速度の分布を、当該ワークの厚みや輪郭、当該ワークの表面の反射率などによらずに略均等にすることができる。換言すると、赤外線の照射による昇温速度の分布の不均一を是正することができる。従って、全体を均質に所望の温度に加熱することができる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
【0035】
以下、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
<実験例1>
図5に示すように、縦100mm×横200mm×厚み2mmの矩形の鋼板(大面積鋼板(1))の一面(上面)上に、縦50mm×横50mm×厚み2mmの矩形の鋼板(小面積鋼板(2))を、一角が一致するよう積層させた差厚鋼板(3)を用意した。
この差厚鋼板(3)の小面積鋼板(2)の、大面積鋼板(1)と接触された面と反対の面(上面)の全面に、シリコーン樹脂を含有する塗料「耐熱耐候マーカー 黒」(オキツモ社製)を塗布して塗布膜を形成した。これを加熱対象物〔A1〕とする。
一方、比較用として上記の塗料を塗布していない差厚鋼板(3)を用意し、これそのものを加熱対象物〔B〕とする。
【0037】
これらの加熱対象物〔A1〕,〔B〕を、点光源型のフィラメントランプ(定格電力7000W、外径13mm)が、ランプ間配列ピッチ18mmで加熱対象物が伸びる面方向に沿って縦横に並設された熱処理装置を用いて本加熱処理を行った。
そして、各加熱対象物〔A1〕,〔B〕の被照射面における、小面積鋼板(2)の上面における隣接する2辺からそれぞれ10mm離間した位置、小面積鋼板(2)が積層されていない大面積鋼板(1)の上面における隣接する2辺からそれぞれ10mm離間した位置のそれぞれの時間に対する温度を熱電対(4,5)によってそれぞれ測定した。結果を
図6に示す。
図6において、加熱対象物〔A1〕の小面積鋼板(2)の表面についての結果を太い実線(A1−2)で示し、加熱対象物〔A1〕の大面積鋼板(1)の表面についての結果を太い破線(A1−1)で示す。また、加熱対象物〔B〕の小面積鋼板(2)の表面についての結果を細い実線(B−2)で示し、加熱対象物〔B〕の大面積鋼板(1)の表面についての結果を細い破線(B−1)で示す。
また、本加熱処理中の温度変化について、表1に示す。
【0038】
<実験例2>
縦50mm×横50mm×厚み2mmの矩形の鋼板(小面積鋼板(2))を、点光源型のフィラメントランプ(定格電力7000W、外径13mm)が、ランプ間配列ピッチ18mmで加熱対象物が伸びる面方向に沿って縦横に並設された熱処理装置を用いて、600℃まで予備加熱した。その後、縦100mm×横200mm×厚み2mmの矩形の鋼板(大面積鋼板(1))の一面(上面)上に、一角が一致するよう積層させた。これを加熱対象物〔A2〕とする。
【0039】
この加熱対象物〔A2〕を、上記の熱処理装置を用いて本加熱処理を行った。
そして、加熱対象物〔A2〕の被照射面における、小面積鋼板(2)の上面における隣接する2辺からそれぞれ10mm離間した位置、小面積鋼板(2)が積層されていない大面積鋼板(1)の上面における隣接する2辺からそれぞれ10mm離間した位置のそれぞれの時間に対する温度を熱電対(4,5)によってそれぞれ測定した。本加熱処理中の温度変化について0.5秒間刻みで測定し、小面積鋼板が950℃以上の温度域に達した時点の「小面積鋼板の温度」および「大面積鋼板の温度」の温度を表1に示す。
【0041】
図6のグラフから明らかなように、赤外線吸収処理を行った加熱対象物〔A1〕においては、小面積鋼板(2)の温度が、加熱対象物〔B〕における小面積鋼板(2)と比較して急激に上昇することが確認された。また、表1から明らかなように、この加熱対象物〔A1〕においては、小面積鋼板(2)の温度が950℃前後に達した時点の大面積鋼板(3)の温度との差(温度差183℃)は、赤外線吸収処理を行わなかった加熱対象物〔B〕(温度差224℃)よりも小さくなることが確認された。
さらに、加熱対象物〔A1〕,〔A2〕においては、950℃前後に達するまでの加熱時間も、比較用の加熱対象物〔B〕に比べて短縮されることが確認された。
予備加熱による赤外線吸収処理を行った加熱対象物〔A2〕についても、同様の傾向が確認された。