特許第6972655号(P6972655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972655
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】吸収式ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 27/02 20060101AFI20211111BHJP
   F25B 15/00 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   F25B27/02 K
   F25B15/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-100769(P2017-100769)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2018-194277(P2018-194277A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年4月7日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成28年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「エネルギー使用合理化技術開発など(未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】坪内 修
【審査官】 飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−304375(JP,A)
【文献】 特開平06−101932(JP,A)
【文献】 特開平05−299107(JP,A)
【文献】 特開2012−202265(JP,A)
【文献】 特開2008−051421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00−49/04
C02F 1/66
F01N 3/00− 3/38,9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒および吸収液を含んだ混合液から前記冷媒を分離する気液分離部を含む再生器と、
前記気液分離部において前記混合液から分離された前記冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器において凝縮された前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記気液分離部において前記混合液から分離された前記吸収液に、前記蒸発器により蒸発された前記冷媒を吸収させる吸収器と、
エンジンから排出された排気ガスと前記吸収器から供給される前記混合液とを熱交換することに起因して前記排気ガスから生成される凝縮水を、浄化および冷却する凝縮水浄化冷却器とを備え
前記凝縮水浄化冷却器は、前記凝縮水のうちの一部を気化させることにより前記凝縮水を冷却するように構成されている、吸収式ヒートポンプ装置。
【請求項2】
前記凝縮水浄化冷却器は、供給される前記凝縮水を空気と熱交換可能に保持するとともに、供給される前記凝縮水のうちの一部を気化可能に保持する保持部材を含む、請求項に記載の吸収式ヒートポンプ装置。
【請求項3】
前記保持部材には、前記凝縮水に含まれる酸性成分を除去して浄化する中和剤が配置されている、請求項に記載の吸収式ヒートポンプ装置。
【請求項4】
前記凝縮水浄化冷却器は、前記保持部材に供給される前記凝縮水を一定量貯留させた後、前記保持部材に前記凝縮水を保持させる凝縮水供給部をさらに含む、請求項またはに記載の吸収式ヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収式ヒートポンプ装置に関し、特に、排気ガスと吸収液および冷媒を含んだ混合液とが熱交換を行う吸収式ヒートポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収液および希釈液(冷媒)を含んだ混液(混合液)と排ガス(排気ガス)とが熱交換を行うように構成される複合型吸収式ヒートポンプ装置(吸収式ヒートポンプ装置)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1の複合型吸収式ヒートポンプ装置は、再生部および分離部(気液分離部)を含む再生器と、分離部から供給された水蒸気(冷媒)をクーラントにより冷却および凝縮して液相水とする凝縮器と、液相水を温めて水蒸気とする蒸発器と、高濃度の吸収液に水蒸気を吸収させる吸収器とを備えている。また、上記特許文献1の複合型吸収式ヒートポンプ装置は、吸収器において高濃度の吸収液に水蒸気を吸収させて生成される混液と排ガスとを熱交換させる排熱回収器をさらに備えている。
【0004】
排熱回収器では、浄化部を有するフィルタ部を用いて、混液と排ガスとの熱交換により生成された凝縮水を中和し、中和した凝縮水をラジエータを含む冷却部に吹き付けている。これにより、冷却部では、ラジエータ内部を流れているクーラント(冷却水)が、吹き付けられた凝縮水の気化により冷却されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−245902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された複合型吸収式ヒートポンプ装置では、フィルタ部において浄化した凝縮水をそのままラジエータに吹き付けることによりラジエータ内部のクーラント(冷却水)を冷却するものであるため、凝縮水による冷却性能が十分でないという問題点がある。このため、凝縮水による冷却性能を向上させることが可能な吸収式ヒートポンプ装置が望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、凝縮水による冷却性能を向上させることが可能な吸収式ヒートポンプ装置および凝縮水浄化冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明のの局面における吸収式ヒートポンプ装置は、冷媒および吸収液を含んだ混合液から冷媒を分離する気液分離部を含む再生器と、気液分離部において混合液から分離された冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮器において凝縮された冷媒を蒸発させる蒸発器と、気液分離部において混合液から分離された吸収液に、蒸発器により蒸発された冷媒を吸収させる吸収器と、エンジンから排出された排気ガスと吸収器から供給される混合液とを熱交換することに起因して排気ガスから生成される凝縮水を、浄化および冷却する凝縮水浄化冷却器とを備え、凝縮水浄化冷却器は、凝縮水のうちの一部を気化させることにより凝縮水を冷却するように構成されている。
【0009】
この発明のの局面による吸収式ヒートポンプ装置では、上記のように、凝縮水浄化冷却器により、排気ガスと混合液との熱交換により生成された凝縮水を浄化するだけでなく冷却することによって、浄化した凝縮水を冷却しない場合よりも、凝縮水の温度を低くすることができる。これにより、凝縮水浄化冷却器を備えた吸収式ヒートポンプ装置では、凝縮水による冷却性能を向上させることができる。さらに、凝縮水を浄化および冷却することによって、凝縮水自体を凝縮器および吸収器を冷却する冷却水(クーラント)として用いることができる。これにより、凝縮器および吸収器を冷却する冷却水の冷却手段として凝縮水を用いる場合と比べて、効率よく凝縮器および吸収器を冷却することができる。
また、凝縮水のうちの一部を気化させるために凝縮水内において吸熱反応が生じるので、吸熱反応の際に必要な熱量の分だけ凝縮水を冷却(気化冷却)させることができる。これにより、凝縮水自身の冷却(気化冷却による自己冷却)により、凝縮水の温度を低くすることができるので、凝縮水浄化冷却器の構成を簡略化することができる。
【0012】
上記一の局面による吸収式ヒートポンプ装置において、好ましくは、凝縮水浄化冷却器は、供給される凝縮水を空気と熱交換可能に保持するとともに、供給される凝縮水のうちの一部を気化可能に保持する保持部材を含む。
【0013】
このように構成すれば、保持部材を用いて、凝縮水と空気との熱交換による冷却(顕熱冷却)、および、気化冷却の両方を凝縮水に対して行うことができるので、凝縮水の温度をより低くすることができる。
【0014】
上記保持部材を含む吸収式ヒートポンプ装置において、好ましくは、保持部材には、凝縮水に含まれる酸性成分を除去して浄化する中和剤が配置されている。
【0015】
このように構成すれば、凝縮水の冷却および浄化を保持部材のみにより行うことができるので、凝縮水浄化冷却器の構成を簡略化することができる。
【0016】
上記保持部材を含む吸収式ヒートポンプ装置において、好ましくは、凝縮水浄化冷却器は、保持部材に供給される凝縮水を一定量貯留させた後、保持部材に凝縮水を保持させる凝縮水供給部をさらに含む。
【0017】
このように構成すれば、凝縮水供給部には凝縮水が一定量貯留されているので、保持部材に安定的に凝縮水を保持させることができる。
【0020】
なお、本出願では、上記の局面による吸収式ヒートポンプ装置において、以下の構成も考えられる。
【0021】
(付記項1)
すなわち、上記の局面による吸収式ヒートポンプ装置において、好ましくは、凝縮水冷却器に供給する凝縮水を貯留するタンクと、タンクに貯留された凝縮水の液面位置または液量を計測する凝縮水計測部と、排気ガスと混合液とを熱交換する熱交換部を有するとともに、排気ガスの熱交換に起因して凝縮水が生成される排熱回収器とをさらに備え、凝縮水計測部により計測された液面位置または液量が、閾値以下になったことに基づいて排熱回収器からタンクに凝縮水を供給するように構成されている。
【0022】
(付記項2)
上記の局面における吸収式ヒートポンプ装置において、好ましくは、吸収器は、凝縮水浄化冷却器により浄化および冷却された浄化凝縮水と吸収液とを熱交換させる熱交換器を含む。
【0023】
(付記項3)
上記保持部材を含む吸収式ヒートポンプ装置において、好ましくは、凝縮水浄化冷却器は、冷却かつ浄化された浄化凝縮水を貯留する浄化凝縮水貯留部を含み、浄化凝縮水貯留部では、貯留された浄化凝縮水に浸かる位置に、保持部材の一部が配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による吸収式ヒートポンプ装置の模式的な全体構成図である。
図2】本発明の一実施形態による吸収式ヒートポンプ装置の凝縮水浄化冷却器を示した斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による吸収式ヒートポンプ装置における、凝縮水浄化冷却器の凝縮水供給部を示した縦断面図である。
図4図4の100−100線に沿った断面図である。
図5】本発明の一実施形態による吸収式ヒートポンプ装置における、凝縮水浄化冷却器の浄化凝縮水排出部を示した縦断面図である。
図6図5の110−110線に沿った断面図である。
図7】複数の保持部材の隙間を通る空気の流れを示した横断面図である。
図8】複数の保持部材から気化する凝縮水を示した縦断面図である。
図9】保持部材の内部の一部を拡大して示した縦断面図である。
図10】本発明の第1変形例による吸収式ヒートポンプ装置の凝縮水浄化冷却器を示した斜視図である。
図11】本発明の第2変形例による吸収式ヒートポンプ装置の模式的な全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による吸収式ヒートポンプ装置1の構成について説明する。吸収式ヒートポンプ装置1では、冷媒として水が用いられるとともに、吸収液として臭化リチウム(LiBr)水溶液が用いられる。また、吸収式ヒートポンプ装置1は、エンジン(原動機の一例)を備えた乗用車、バスおよびトラックなどの車輌に搭載され、車内の空調システムに適用されるように構成されている。具体的には、吸収式ヒートポンプ装置1は、図1に示すように、加熱部2aおよび気液分離部2bを含む再生器2と、凝縮器3と、蒸発器4と、吸収器5とを備えている。
【0027】
加熱部2aは、プレート式熱交換器であり、エンジンの排気ガスの熱を用いて混合液を加熱する役割を有している。ここで、吸収液は、通常、LiBr濃液が冷媒(水)により希釈された状態で加熱部2aを流通する。気液分離部2bは、加熱部2aにより加熱された冷媒および吸収液を含んだ混合液から冷媒蒸気(高温水蒸気)を分離する機能を有している。
【0028】
ここで、加熱部2aでは、排気ガスと混合液との熱交換が行われる。この際に、排気ガスが混合液により冷却されることにより、排気ガス中に含まれる水分が凝縮して液体の水(凝縮水DW(W))が生成される。凝縮水DWは、排気ガス中の酸性成分(硫酸など)が溶け込んでいるため酸性を有している。
【0029】
また、凝縮器3は、冷房運転時に、気液分離部2bで分離された冷媒蒸気を凝縮(液化)させる役割を有している。また、蒸発器4は、冷房運転時に、凝縮器3において凝縮された冷媒を低温低圧の条件下で蒸発(気化)させる役割を有している。また、吸収器5は、気液分離部2bにおいて混合液から分離された濃液状態の吸収液に蒸発器4で蒸発し気化した冷媒(低温水蒸気)を吸収させる役割を有している。
【0030】
ここで、蒸発器4は、容器内部に配置された蒸発器用熱交換器4aと、容器内部の天井部近傍に取り付けられた噴射器4bとを含んでいる。また、蒸発器4の外部には、冷媒貯留部4cと噴射器4bとを接続する冷媒移送管路4dにポンプ4eが設けられている。これにより、冷媒貯留部4cの冷媒(水)がポンプ4eにより汲み上げられて噴射器4bから下方の蒸発器用熱交換器4aに向けて霧状に噴射されるように構成されている。
【0031】
また、吸収器5は、容器内部の天井部近傍に取り付けられた噴射器5aを含んでいる。また、吸収器5の外部には、吸収液貯留部5dと噴射器5aとを接続する吸収液移送管路5bにポンプ5cが設けられている。これにより、吸収液貯留部5dの吸収液がポンプ5cにより汲み上げられて噴射器5aから下方の吸収器用熱交換器5eに向けて霧状に噴射されるように構成されている。
【0032】
図1に示すように、吸収式ヒートポンプ装置1は、冷却水回路部6と、凝縮水Wを浄化および冷却する凝縮水浄化冷却器7とを備えている。冷却水回路部6は、冷房運転時にのみ駆動されるように構成されている。すなわち、冷却水回路部6は、冷房運転時の凝縮器3における冷媒蒸気(高温水蒸気)の冷却(液化)と、吸収器5における冷媒(低温水蒸気)の吸収液(LiBr濃液)への吸収時に発生する吸収熱の冷却(除熱)とを行う機能を有している。
【0033】
具体的には、冷却水回路部6は、冷却水としての浄化凝縮水CWまたは浄化前の凝縮水Wが流通する冷却水循環回路部61と、冷却水循環回路部61内に凝縮水Wを矢印方向に循環させるための送水ポンプ62とを含んでいる。さらに、冷却水回路部6は、送水ポンプ62よりも下流の凝縮水浄化冷却器7により浄化・冷却された浄化凝縮水CW(W)を凝縮水浄化冷却器7の上流に還流させる還流路63を含んでいる。これにより、吸収式ヒートポンプ装置1では、凝縮水浄化冷却において一度浄化および冷却された浄化凝縮水CWを再度浄化および冷却することが可能となる。
【0034】
冷却水回路部6は、吸収器5内部に配置され、浄化凝縮水CWと吸収熱が発生した吸収液との熱交換により吸収液を冷却(除熱)するための吸収器用熱交換器5e(熱交換部の一例)を含んでいる。冷却水回路部6は、凝縮器3内部に配置され、浄化凝縮水CWと冷媒蒸気との熱交換により冷媒蒸気を冷却(液化)するための凝縮器用熱交換器3aを含んでいる。
【0035】
吸収式ヒートポンプ装置1は、熱交換で温められた浄化凝縮水CWと凝縮水DWとが混合された凝縮水MW(W)を冷却する凝縮水浄化冷却器7を備えている。凝縮水浄化冷却器7は、冷却水循環回路部61に配置されている。凝縮水浄化冷却器7では、吸収器用熱交換器5eおよび凝縮器用熱交換器3aの内部を流通する浄化凝縮水CWと凝縮水DWとを混合した凝縮水MWが、走行風またはフィン7a(送風機の一例)により送風された空気(外気)によって冷却される。この場合、凝縮水浄化冷却器7に戻る直前の混合された凝縮水MWの温度は50℃前後であり、凝縮水浄化冷却器7を出た直後の浄化凝縮水CWの温度は35℃前後である。
【0036】
<排熱回収器>
吸収式ヒートポンプ装置1は、図1に示すように、冷却水回路部6とは別の凝縮水供給回路部8と、凝縮水供給回路部8に配置される排熱回収器20とをさらに備えている。具体的には、排熱回収器20は、冷却水回路部6と凝縮水供給回路部8との合流位置に配置され、凝縮水浄化冷却器7に供給する混合された凝縮水MWを貯留するタンク21と、タンク21に貯留された混合された凝縮水MWの液量を計測する液量計測部22(凝縮水計測部の一例)とを含んでいる。また、凝縮水供給回路部8には、排熱回収器20のポンプ23および開閉弁24が配置されている。
【0037】
これにより、排熱回収器20は、図1に示すように、液量計測部22を用いてタンク21の中の混合された凝縮水MWの液量を所定量以上に保持し、安定して凝縮水浄化冷却器7に混合された凝縮水MWを供給可能となっている。この結果、冷却水回路部6内において流通する浄化凝縮水CWが減少したとしても、凝縮水Wを適宜補充することが可能である。
【0038】
また、排熱回収器20は、タンク21に加熱部2aからの凝縮水DWを供給するためのポンプ23と、加熱部2aとタンク21との間の凝縮水DWの流れを開閉するための開閉弁24とを含んでいる。排熱回収器20は、凝縮水浄化冷却器7からの混合された凝縮水MWがタンク21に逆流しないようにするための逆止弁25を含んでいる。逆止弁25は、冷却水循環回路部61に配置されている。
【0039】
<凝縮水浄化冷却器>
凝縮水浄化冷却器7(凝縮水浄化冷却装置の一例)は、エンジンから排出された排気ガスと吸収器5から供給される混合液(冷却液の一例)とを熱交換することにより生成される酸性の凝縮水DWを、浄化および冷却するように構成されている。これにより、吸収式ヒートポンプ装置1では、凝縮水浄化冷却器7を用いて、加熱部2aにおいて生成された凝縮水DWと浄化凝縮水CWとが混合された酸性の凝縮水MWを浄化・冷却した浄化凝縮水CWが、凝縮水浄化冷却器7よりも下流の冷却水回路部6に供給される。
【0040】
吸収式ヒートポンプ装置1の凝縮水浄化冷却器7は、凝縮水供給回路部8から供給された凝縮水DWと冷却水回路部6を循環する浄化凝縮水CWとが混合された酸性の凝縮水MWに対して、浄化および冷却を行うように構成されている。ここで、本実施形態の凝縮水浄化冷却器7では、周囲を流れる空気による顕熱冷却および気化冷却を用いて、浄化凝縮水CWと凝縮水DWとを混合した凝縮水MWを冷却している。これにより、浄化凝縮水CWと凝縮水DWとを混合した凝縮水MWは、顕熱冷却のみを用いる場合よりも、より低温まで冷却されることが可能となっている。以下では、凝縮水浄化冷却器7について、詳細に説明する。
【0041】
図2に示すように、凝縮水浄化冷却器7は、凝縮水供給部7cと、複数(3個)の保持部材7bと、浄化凝縮水排出部7d(浄化凝縮水貯留部の一例)とを有している。また、凝縮水浄化冷却器7は、保持部材7bに風を送るフィン7a(図1参照)を有している。ここで、複数の保持部材7bが並ぶ方向をX方向とし、保持部材7b同士の間を流れる空気の流れ方向をY方向とする。また、Z方向は、凝縮水浄化冷却器7が車輌に搭載された状態で、上下方向に対応する。
【0042】
図3に示すように、凝縮水供給部7cは、凝縮水DWと浄化凝縮水CWとが混合された凝縮水MWを一定量以上貯留させた後、保持部材7bに混合された凝縮水MWを供給するように構成されている。具体的には、凝縮水MWを供給する凝縮水流入部72と、混合された凝縮水MWを貯留する貯留部73とを有している。
【0043】
凝縮水流入部72は、貯留部73において、保持部材7bが取り付けられている下側(Z1側)の第1壁部73aとは反対側(上側(Z2)側)の第2壁部73bに設けられている。凝縮水流入部72は、第2壁部73bにおいて、保持部材7bが並ぶ方向(X方向)の他方側(X2側)に配置されている。貯留部73は、内部空間73cと、保持部材7bの一部が取り付けられる供給側取付部73dとを有している。供給側取付部73dは、図3および図4に示すように、内部空間73c側に枠状に突出する突出部73eと、枠状の突出部73eに囲まれた挿入孔73fとを有している。
【0044】
貯留部73では、突出部73eが設けられていることにより、内部空間73cに突出部73eのZ方向の高さまで混合された凝縮水MWを貯留可能となっている。また、貯留部73では、混合された凝縮水MWが突出部73eのZ方向の高さを越えて貯留されると、保持部材7bに混合された凝縮水MWが染み込むことによって保持部材7bに供給可能となっている。供給側取付部73dは、第2壁部73bに複数(3個)形成されており、全て同様の構成を有している。ここで、保持部材7bに混合された凝縮水MWを吹き付ける態様であると、走行風またはフィン7aの風により混合された酸性の凝縮水MWが保持部材7bの周辺に飛び散るが、保持部材7bに染み込ませる態様であると混合された酸性の凝縮水MWが飛び散ることを抑制可能となる。
【0045】
図5に示すように、浄化凝縮水排出部7dは、保持部材7bから排出される浄化凝縮水CWを一定量以上貯留させながら、冷却水回路部6に浄化凝縮水CWを排出するように構成されている。具体的には、混合された浄化凝縮水CWを貯留する貯留部74と、貯留部74から浄化凝縮水CWを送水ポンプ62に流出させる流出部75とを有している。
【0046】
流出部75は、貯留部74において、保持部材7bが取り付けられている上側(Z2側)の第3壁部74aとは反対側(下側(Z1側))の第4壁部74bに設けられている。流出部75は、第4壁部74bにおいて、保持部材7bが並ぶ方向(X方向)の一方側(X1側)に配置されている。
【0047】
貯留部74は、内部空間74cと、保持部材7bの一部が取り付けられる排出側取付部74dとを有している。貯留部74は、少なくとも、挿入孔74fに挿入された保持部材7bに、内部空間74cに貯留されている浄化凝縮水CWが浸かる位置まで、浄化凝縮水CWを貯留している。排出側取付部74dは、図5および図6に示すように、内部空間74c側に枠状に突出する突出部74eと、枠状の突出部74eに囲まれた挿入孔74fとを有している。排出側取付部74dは、第3壁部74aに複数(3個)形成されており、全て同様の構成を有している。
【0048】
保持部材7bでは、図7および図8に示すように、凝縮水供給部7cから浄化凝縮水排出部7dに向かって、内部に保持した混合された凝縮水MWを移動させる。さらに、保持部材7bは、混合された凝縮水MWの冷却のため、凝縮水供給部7cから供給される混合された凝縮水MWを空気と熱交換可能に保持し、かつ、凝縮水供給部7cから供給される混合された凝縮水MWのうちの一部を気化可能に保持している。具体的には、保持部材7bは、多孔質のセラミックから構成されている。このように、保持部材7bの表面積は大きくされている。これにより、保持部材7bは、保持部材7bの多孔質間または表面を混合された凝縮水MWが移動するとともに、表面において混合された凝縮水MWの一部が気化するように構成されている。
【0049】
凝縮水浄化冷却器7では、図2に示すように、多孔質であるセラミック製の保持部材7bは、板状に形成されている。また、保持部材7bは、凝縮水供給部7cから浄化凝縮水排出部7dに向かう方向(Z方向)に直交する方向(X方向)に沿って複数配置されている。また、複数の保持部材7bは、それぞれにおいて通気を確保するため、互いに隙間Sを空けて配置されている。
【0050】
これにより、図7に示すように、複数の保持部材7bのそれぞれでは、通気が確保されているため、複数の保持部材7bの並ぶ方向(X方向)の両側面において、混合された凝縮水MWと空気とが熱交換(顕熱冷却)が行われている。具体的には、車両走行時では、走行風により複数の保持部材7bの並ぶ方向(X方向)の両側面において顕熱冷却が行われている。また、車両停止時では、フィン7aにより複数の保持部材7bの並ぶ方向(X方向)の両側面において顕熱冷却が行われている。
【0051】
さらに、図8に示すように、複数の保持部材7bのそれぞれでは、混合された凝縮水MWが周りの熱を奪って気化する気化冷却が行われている。ここで、複数の保持部材7bのそれぞれでは、通気がよいので、複数の保持部材7bの並ぶ方向(X方向)の両側面において、混合された凝縮水MWによる気化冷却が促進されている。また、複数の保持部材7bのそれぞれにおける、複数の保持部材7bの並ぶ方向(X方向)に直交する方向(Y方向)の両側面においても同様である。このように、凝縮水浄化冷却器7では、保持部材7bにおいて、顕熱冷却および気化冷却により、混合された凝縮水MWを冷却することが可能となっている。
【0052】
保持部材7bでは、図9に示すように、混合された凝縮水MWに含まれる酸性成分を除去して浄化する中和剤11として、炭酸カルシウムが内部に配置されている。ここで、セラミック製の保持部材7bは、製造時に炭酸カルシウムが練り込まれて成形されている。このように、保持部材7bが中和剤11として炭酸カルシウムを含むことにより、凝縮水浄化冷却器7では、凝縮水供給部7cから浄化凝縮水排出部7dに向かって移動する混合された凝縮水MWを浄化し浄化凝縮水CWを生成可能となっている。
【0053】
凝縮水浄化冷却器7では、保持部材7bの上端部は、凝縮水供給部7cの枠状の突出部73eに囲まれた挿入孔73fに抜き差し可能に取り付けられ、保持部材7bの下端部は、浄化凝縮水排出部7dの枠状の突出部74eに囲まれた挿入孔74fに抜き差し可能に取り付けられている。これにより、保持部材7bは、交換可能となっている。
【0054】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0055】
本実施形態では、吸収式ヒートポンプ装置1は、エンジンから排出された排気ガスと吸収器5から供給される混合液とを熱交換することに起因して生成される凝縮水DWを、浄化および冷却する凝縮水浄化冷却器7を備えている。これにより、排気ガスと混合液との熱交換により生成された凝縮水DWを浄化するだけでなく、冷却することができる。この結果、凝縮水DWを冷却しない場合よりも生成される凝縮水DWの温度を低くすることができるので、凝縮水DWによる冷却性能を向上することができる。
【0056】
また、本実施形態では、凝縮水浄化冷却器7は、混合された凝縮水MWのうちの一部を気化冷却させるように構成されている。これにより、混合された凝縮水MWのうちの一部が気化するために混合された凝縮水MW内において吸熱反応が生じるので、吸熱反応の際に必要な熱量の分だけ混合された凝縮水MWを冷却(気化冷却)することができる。この結果、凝縮水MW自身により冷却(気化冷却による自己冷却)することにより、混合された凝縮水MWの温度を低くすることができるので、凝縮水浄化冷却器7の構成を簡略化することができる。
【0057】
また、本実施形態では、凝縮水浄化冷却器7は、供給される混合された凝縮水MWを空気と熱交換可能に保持するとともに、供給される混合された凝縮水MWのうちの一部を気化可能に保持する保持部材7bを含む。これにより、保持部材7bを用いて、混合された凝縮水MWと空気との熱交換による顕熱冷却、および、気化冷却の両方を混合された凝縮水MWに対して行うことができるので、凝縮水DWの温度をより低くすることができる。
【0058】
また、本実施形態では、保持部材7bには、混合された凝縮水MWに含まれる酸性成分を除去して浄化する中和剤11が配置されている。これにより、混合された凝縮水MWの冷却および浄化を保持部材7bのみにより行うことができるので、凝縮水浄化冷却器7の構成を簡略化することができる。
【0059】
また、本実施形態では、凝縮水浄化冷却器7は、保持部材7bに供給される混合された凝縮水MWを一定量貯留させた後、保持部材7bに混合された凝縮水MWを保持させる凝縮水供給部7cをさらに含む。これにより、凝縮水供給部7cには混合された凝縮水MWが一定量貯留されているので、保持部材7bに安定的に混合された凝縮水MWを保持させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、保持部材7bのみを用いて、混合された凝縮水MWの顕熱冷却および気化冷却を行うことができるとともに、混合された凝縮水MWの浄化を行うことができるので、混合された凝縮水MWの冷却性能を向上させるとともに、凝縮水浄化冷却器7の構成を簡略化することができる。
【0061】
また、本実施形態では、凝縮水浄化冷却器7に供給する混合された凝縮水MWを貯留するタンク21と、タンク21に貯留された混合された凝縮水MWの液量を計測する液量計測部22とを有する排熱回収器20をさらに備えている。これにより、排熱回収器20において、タンク21内の混合された凝縮水MWの液量が閾値以下になると、凝縮水DWがタンク21に補充されるので、安定的に凝縮水浄化冷却器7に混合された凝縮水MWを供給することができる。この結果、走行風およびフィン7aの風により保持部材7bにおいて気化することによる混合された凝縮水Wの減少を、混合された凝縮水MWを安定的に補充することにより供給し続けることができる。
【0062】
また、本実施形態では、吸収器5は、凝縮水浄化冷却器7により浄化および冷却された浄化凝縮水CWと吸収液とを熱交換させる吸収器用熱交換器5eを含む。これにより、凝縮水浄化冷却器7において浄化・冷却された浄化凝縮水CWにより、低温水蒸気を吸収することにより吸収熱が発生した吸収液を冷却することができる。
【0063】
また、本実施形態では、凝縮水浄化冷却器7において、浄化凝縮水排出部7dでは、貯留された浄化凝縮水CWに浸かる位置に、保持部材7bの一部が配置されている。これにより、貯留部74に貯留された浄化凝縮水CWに保持部材7bの一部が浸かるので、浄化凝縮水CWをさらに浄化冷却することができる。
【0064】
<変形例>
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0065】
たとえば、上記実施形態では、凝縮水浄化冷却器7が、エンジンを備えた乗用車、バスおよびトラックなどの車輌に搭載される吸収式ヒートポンプ装置1に適用されているが、本発明はこれに限られない。本発明では、凝縮水浄化冷却器は、空調装置のガスヒートポンプ装置に適用されてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、保持部材7bは、多孔質となっているセラミック製となっているが、本発明は、これに限られない。たとえば、保持部材は、凝縮水を上方から下方へと流通させることが可能であり、かつ、空気との接触面積が大きく通気性が確保可能な材質であればよい。具体的には、保持部材は、多孔体(発泡樹脂)、繊維、不織布、樹脂膜、金属(グラスウール)などにより形成されてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、保持部材7bは、板状となっているが、本発明は、これに限られない。本発明では、保持部材207bは、図10に示す第1変形例の凝縮水浄化冷却器207のように、不織布を蛇腹状に織り込んで形成されてもよい。この場合、保持部材の形状は蛇腹状であるので、空気との接触面積が大きく通気性が確保されている。また、不織布に染み込んだ凝縮水が下方へと移動可能となっている。さらに、不織布に中和剤を定着させることにより、凝縮水の浄化が可能となる。
【0068】
また、上記実施形態では、保持部材7bは、凝縮水供給部7cから浄化凝縮水排出部7dに向かう方向(Z方向)に直交する方向(X方向)に沿って複数配置されているが、本発明は、これに限られない。本発明では、保持部材は、凝縮水供給部から浄化凝縮水排出部に向かう方向(Z方向)に沿って複数配置されていてもよい。つまり、保持部材を上下方向(Z方向)に沿って積層させてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、保持部材7bに中和剤11が練り込まれているが、本発明はこれに限られない。本発明では、中和剤は、成形された保持部材に接着してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、中和剤11は炭酸カルシウムとなっているが、本発明はこれに限られない。本発明では、中和剤は、酸性の凝縮水を中和可能なアルカリ性の物質(水酸化マグネシウムまたは苛性ソーダ)などであればよい。
【0071】
また、上記実施形態では、凝縮水浄化冷却器7は、フィン7aを有しているが、本発明はこれに限られない。本発明では、凝縮水浄化冷却器は、フィンを含んでいなくともよい。
【0072】
また、上記実施形態では、凝縮水浄化冷却器7は、保持部材7bに凝縮水DWを染み込ませているが、本発明はこれに限られない。本発明では、保持部材に凝縮水を吹き付ける態様であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、タンク21は、冷却水循環回路部61および凝縮水供給回路部8に配置され、混合された凝縮水MWが貯留されているが、本発明はこれに限られない。図11に示すように、タンク321は凝縮水供給回路部308のみに配置され、凝縮水DWが貯留されてもよい。具体的には、第2変形例の吸収式ヒートポンプ装置301は、冷却水循環回路部361とは別に、加熱部302aと凝縮水浄化冷却器307とを接続する凝縮水供給回路部308をさらに備えている。吸収式ヒートポンプ装置301では、凝縮水浄化冷却器307を用いて加熱部302aにおいて生成された凝縮水DWを浄化・冷却した浄化凝縮水CWが、冷却水循環回路部361を循環している。吸収式ヒートポンプ装置301の凝縮水浄化冷却器307は、凝縮水供給回路部308から供給された凝縮水DWの浄化と、冷却水循環回路部361を循環する浄化凝縮水CWおよび凝縮水供給回路部308から供給された凝縮水DWの冷却とを行うように構成されている。
【符号の説明】
【0074】
1、201、301 吸収式ヒートポンプ装置
2 再生器
2b 気液分離部
3 凝縮器
4 蒸発器
5 吸収器
5e 吸収器用熱交換器(熱交換部)
7、207、307 凝縮水浄化冷却器(凝縮水浄化冷却装置)
7b、207b 保持部材
7c 凝縮水供給部
7d 浄化凝縮水排出部
20 排熱回収器
21、321 タンク
22 液量計測部
CW、W 浄化冷却水
DW、MW、W 凝縮水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11