特許第6972657号(P6972657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972657
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】光処理装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 61/16 20060101AFI20211111BHJP
   H01J 65/00 20060101ALI20211111BHJP
   H01J 9/395 20060101ALI20211111BHJP
   C01B 13/10 20060101ALI20211111BHJP
   A61L 9/015 20060101ALI20211111BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20211111BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20211111BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H01J61/16 N
   H01J65/00 D
   H01J9/395 C
   H01J65/00 B
   C01B13/10 Z
   A61L9/015
   A61L9/00 C
   A61L9/18
   A61L9/20
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-102937(P2017-102937)
(22)【出願日】2017年5月24日
(65)【公開番号】特開2018-198175(P2018-198175A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2020年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 篤史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 一浩
(72)【発明者】
【氏名】藤次 英樹
【審査官】 関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−220687(JP,A)
【文献】 特開2017−068944(JP,A)
【文献】 特開平06−312130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L9/00−9/01
9/015−9/04
9/12−9/22
C01B13/00−13/36
H01J9/24−9/52
61/00−61/28
61/50−65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
酸素を含む被処理ガスを前記筐体内に導入する吸気口と、
前記筐体内に配置され、Xeを含む放電用ガスが封入された、石英ガラスからなる管体を含み、主たる発光波長が172nmの第一光を射出するエキシマランプと、
前記筐体内に導入された前記被処理ガスに対して、前記エキシマランプから射出された前記第一光が照射されることで生成された、オゾンを含む処理済ガスを放出する排気口と、
前記筐体内の前記吸気口側又は前記排気口側に配置されたファンを含み、
前記エキシマランプは、前記筐体内において、当該エキシマランプの前記管体の長手方向に関して前記吸気口と前記排気口との間に挟まれる位置に配置されており、
前記管体内には、1ppm以上の酸素が含有されていることを特徴とする光処理装置。
【請求項2】
前記エキシマランプは、前記第一光に加えて、500nm以上550nm以下の波長範囲の少なくとも一部分に強度を示す第二光を射出することを特徴とする請求項1に記載の光処理装置。
【請求項3】
前記エキシマランプから射出された前記第二光が入射可能な位置に配置されており、前記第二光によって励起可能な材料を含む光触媒体を備えたことを特徴とする請求項2に記載の光処理装置。
【請求項4】
前記筐体は、少なくとも一部分に、前記エキシマランプから射出された前記第二光を透過する領域を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の光処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光処理装置の製造方法であって、
前記管体内に、前記放電用ガスと、1ppm以上の酸素ガスを封入する工程を有することを特徴とする光処理装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光処理装置に関し、特にエキシマランプを含む装置に関する。また、本発明は、この光処理装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光を用いた脱臭・殺菌する技術が近年開発されている。例えば、下記特許文献1には、エキシマランプの構成が開示されている。このエキシマランプは、紫外線を透過するシリカガラスよりなる管体(放電容器)と、この管体の外壁に設けられた電極を備える。管体内には、放電用ガスとしてのキセノン(Xe)ガスが封入されている。このエキシマランプによれば、波長200nm以下、より詳細には波長172nmの真空紫外光が照射される。
【0003】
よって、例えば、この真空紫外光を、空気に照射させてオゾンを含むガスを生成することで、このオゾンを含むガスを用いた脱臭・殺菌の効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−335350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者らの鋭意研究によれば、このようなエキシマランプを発光させ続けると、所定の時間が経過した後に、管体が破損するという現象が確認された。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑み、従来よりも寿命特性に優れた光処理装置、及びこの製造方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光処理装置は、
筐体と、
酸素を含む被処理ガスを前記筐体内に導入する吸気口と、
前記筐体内に配置され、Xeを含む放電用ガスが充填された、石英ガラスからなる管体を含み、主たる発光波長が172nmの第一光を射出するエキシマランプと、
前記筐体内に導入された前記被処理ガスに対して、前記エキシマランプから射出された前記第一光が照射されることで生成された、オゾンを含む処理済ガスを放出する排気口と、を含み、
前記管体内には、1ppm以上の酸素が含有されていることを特徴とする。
【0008】
上述したように、従来のエキシマランプを発光させ続けると、時間の経過と共に波長172nmの光の照度が低下するという現象が確認された。本発明者らは、この原因につき以下のように考察している。波長172nmの光が、エキシマランプの管体を構成する石英ガラスに照射されたことで、石英ガラスを構成するSiO2の一部の結合が切られ、当該箇所に欠陥が形成される。エキシマランプの発光状態が継続されると、管体を構成する石英ガラス内に生成される欠陥の量が増大し、やがて管体が破損したものと考えられる。
【0009】
これに対し、上記の構成によれば、管体内に1ppm以上の酸素が含有されているため、波長172nmの光(第一光)の一部がこの酸素によって吸収される。この結果、管体を構成する石英ガラスに照射される第一光の強度が低下し、石英ガラスを構成するSiO2内における欠陥の生成速度が遅くなる。これにより、従来の構成と比較して、管体が破損するまでに要する時間を長くすることができるため、寿命が向上する。
【0010】
なお、従来のエキシマランプにおいては、管体には放電用ガス以外の不純物を極力排除するように設計されており、酸素の含有濃度は高々100ppb以下である。
【0011】
なお、管体の寿命を向上しつつも、第一光の強度を十分維持するためには、管体に含有される酸素の濃度は、1ppm以上であって、0.25%(2500ppm)以下とするのが好ましく、0.2%(2000ppm)以下とするのがより好ましく、0.1%(1000ppm)以下とするのが更により好ましい。酸素の濃度を0.25%(2500ppm)より高くすると、酸素を全く含まない状態と比較して、被処理ガスに対して照射される第一光の強度が50%程度にまで低下してしまい、オゾンの生成速度が著しく低下してしまうためである。なお、初期時において発光するまでに要する時間を短縮化するという観点からは、酸素濃度を1000ppm以下とするのが好ましい。
【0012】
なお、本明細書では、管体に含有される酸素の濃度の単位として%やppmを用いているが、これは「管体内の全圧に占める、酸素の分圧の割合」を表すものである。例えば、「管体に含有される酸素の濃度が1ppm以上」とは、「管体に含有される全気体の圧力(管体内の全圧)に占める、酸素の分圧の割合が1ppm以上(0.0001%)以上」であることを示す。 以下、酸素の濃度に関して、特に断りがない限りは、上記の通り「管体に含有される全気体の圧力に占める、酸素の分圧の割合」を示すものとして扱う。
【0013】
前記エキシマランプは、前記第一光に加えて、500nm以上550nm以下の波長範囲の少なくとも一部分に強度を示す第二光を射出するものとしても構わない。
【0014】
上述したように、管体には酸素が含まれている。この酸素は、放電用ガスとして封入されているXeの一部と反応して、XeOを生成する場合がある。このXeOが生成されると、500nm以上550nm以下の波長範囲の少なくとも一部に強度を示す光(第二光)が生成される。
【0015】
なお、この第二光は、第一光よりも長波長側に位置しており、石英ガラスの分子結合を切るほどのエネルギーを有していない。また、石英ガラス内に欠陥が生成されていた場合であっても、この第二光は、当該欠陥において全く又はほとんど吸収されない。更に、この第二光は、管体に含まれる酸素によっても全く又はほとんど吸収されない。このため、エキシマランプから射出される第二光の強度は、第一光に比べて、時間の経過と共に低下することがないか、又は、低下する速度は極めて遅い。
【0016】
前記光処理装置は、前記エキシマランプから射出された前記第二光が入射可能な位置に配置されており、前記第二光によって励起可能な材料を含む光触媒体を備えるものとしても構わない。
【0017】
上記構成によれば、エキシマランプから射出された第二光によって励起可能な材料からなる光触媒体を備えているため、光触媒体に第二光が照射されることで光触媒作用が発揮される。これにより、高い脱臭・殺菌能力を担保しながらも、寿命特性に優れた光処理装置が実現される。
【0018】
このような第二光によって励起可能な光触媒体の材料としては、例えば塩化鉄(FeCl3)等の金属塩からなる増感剤を担持させた二酸化チタン(TiO2)を利用することができる。
【0019】
前記筐体は、少なくとも一部分に、前記エキシマランプから射出された前記第二光を透過する領域を備えるものとしても構わない。
【0020】
上記構成によれば、光処理装置を稼働中に、第二光が筐体の前記領域を通じて装置外に取り出される。第二光は、500nm以上550nm以下の波長範囲の少なくとも一部分に強度を示し、この波長域は、可視光の領域、より詳細には緑色の領域に属する。このため、関係者は、緑色の発光を確認することで、光処理装置が駆動状態であることを認識できる。オゾンを含むガスは、人体に有毒であるため、この緑色の発光が、光処理装置が設置されている空間とは隔離された別の空間から確認されることで、処理中に、対象空間内に関係者が入室しないように注意喚起する効果が得られる。
【0021】
本発明は、上記構成を有する光処理装置の製造方法であって、
前記管体内に、前記放電用ガスと、1ppm以上の酸素ガスを封入する工程を有することを特徴とする。
【0022】
上述したように、従来のエキシマランプは、目的とする光(ここでは「第一光」に対応する。)の強度を最大限高める観点から、管体内には放電用ガス以外のガスを極力排除して製造されていた。しかし、上記の方法は、従来の製造方法とは異なり、意図的に酸素ガスを封入することで、管体の寿命特性を向上させている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来と比較して、寿命特性に優れた光処理装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の光処理装置の第一実施形態の構成を模式的に示す図面である。
図2】Xeエキシマ光のスペクトルを模式的に示す図面である。
図3】管体に含ませる酸素の濃度を変化させたときの光処理装置の寿命時間を比較した表である。
図4】管体内に封入する酸素の濃度と、第一光の強度との関係を示すグラフである。
図5】本発明の光処理装置の第二実施形態の構成を模式的に示す図面である。
図6】管体から発せられる光のスペクトルを、管体内に酸素が1ppm以上存在している場合と、酸素が導入されていない場合とで比較した図面である。
図7】管体内に封入される酸素の濃度と、第二光の強度との関係を示すグラフである。
図8】本発明の光処理装置の第二実施形態の構成を模式的に示す図面である。
図9】第二実施形態の光処理装置を用いて処理をする方法の一実施例を説明するための模式的な図面である。
図10】本発明の光処理装置の別実施形態の構成を模式的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第一実施形態>
本発明の光処理装置の第一実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは必ずしも一致していない。第二実施形態以後においても同様である。
【0026】
[構成]
図1は、本実施形態に係る光処理装置の構成を模式的に示す図面である。図1に示すように、本実施形態に係る光処理装置1は、オゾン発生装置10を備える。
【0027】
オゾン発生装置10は、発光管2を備えている。発光管2は、石英ガラスからなる管体21を備える。オゾン発生装置10は、管体21の外部に配置される外部電極3と、管体21の内部に配置される内部電極4とを備える。
【0028】
オゾン発生装置10は、管体21及び各電極(3,4)を収容する筐体5を備える。オゾン発生装置10は、吸気口6と排気口8とを備える。吸気口6は、少なくとも酸素を含む被処理ガスG1を筐体5の内部に導入する。被処理ガスG1に対して発光管2から射出された光が照射されることで、オゾンを含む処理済ガスG2が生成される。排気口8は、この処理済ガスG2を筐体5の外部に放出する。本実施形態では、吸気口6にはファン61が設けられている。例えば、ファン61の回転数が制御されることで、吸気口6から吸気される被処理ガスG1の流量が調整可能に構成されている。本実施形態において、被処理ガスG1は、例えば空気である。
【0029】
オゾン発生装置10は、外部電極3と内部電極4との間に電圧(例えば、交流の高電圧)を印加するための電源7を備える。
【0030】
発光管2は、両端に、管体21の内部を気密にする第一封止部22及び第二封止部23を備える。管体21には、放電用ガスと微量の酸素が封入されている。この放電用ガスは、キセノン(Xe)を含んで構成されている。放電用ガスのより詳細な一例としては、XeとNeを所定の比率(例えば3:7)で混在させたガスで構成される。管体21に含有される酸素の量は、1ppm以上であり、より詳細には1ppm以上2500ppm以下である。酸素の量は、好ましくは、10ppm以上2000ppm以下であり、より好ましくは、100ppm以上1000ppm以下である。
【0031】
発光管2は、第一封止部22に埋設される金属箔24と、第一封止部22に一部が埋設される外部リード25とを備える。金属箔24は、内部電極4及び外部リード25に連結されている。これによって、内部電極4、金属箔24、及び外部リード25は、相互に電気的に接続されている。
【0032】
本実施形態において、外部電極3は筒状に形成されており、管体21は外部電極3の内部に挿入されている。外部電極3は、管体21の内部から放射された光を、通過又は透過させる光路部31を備えている。本実施形態においては、光路部31は貫通孔で構成されている。
【0033】
例えば、外部電極3は、板状の部材に複数の貫通孔を有するように形成されていてもよく、複数の棒状の部材を格子状や網目状に配置して形成されていてもよく、棒状の部材を螺旋状に配置して形成されていてもよい。光路部31は、透光性を有する部材で構成されていてもよい。
【0034】
本実施形態において、内部電極4は、棒状に形成され、管体21の内部に配置されている。内部電極4の端部が、それぞれ発光管2の封止部(22,23)に埋設されているため、内部電極4は発光管2に固定されている。
【0035】
このような光処理装置1は、内部電極4が設けられた管体21を準備し、Xeを含む放電用ガスと共に、1ppm以上の酸素濃度となるように管体21内に酸素ガスを封入することで製造することができる。上記ガスを封入した後は、管体21の外側に外部電極3が配置され、管体21が筐体5内に取り付けられる。
【0036】
[作用]
以下、光処理装置1の作用を説明する。
【0037】
電源7によって、外部電極3と内部電極4との間に電圧が印加される。上述したように、管体21は石英ガラスで構成されており、これは誘電体である。誘電体からなる管体21内には放電プラズマが発生し、このプラズマにより、管体21内に封入された放電用ガスが励起される。具体的には、Xe原子が励起され、エキシマ励起分子Xe2*が生成される。この励起分子Xe2*が基底状態に戻るときにエキシマ発光L1を発生する。図2に、Xeエキシマ光のスペクトルを模式的に示す。図2に示すように、Xeエキシマ光は、172nmにピークを有するスペクトルを示す。本実施形態では、Xeエキシマ光が「第一光」に対応する。
【0038】
吸気口6から被処理ガスG1が筐体5の内部に導入されると、この被処理ガスG1に対し、管体21の内部から放射され且つ光路部31を通過した第一光L1が照射される。主たる発光波長が172nmである第一光L1は、被処理ガスG1に含まれる酸素分子の結合を切り、オゾンを生成する。すなわち、被処理ガスG1は、オゾンを含む処理済ガスG2に変換される。この処理済ガスG2は、排気口8から排気される。これにより、オゾンを含む処理済ガスG2が排出された空間内が、オゾンによって脱臭・殺菌される。
【0039】
図1に示す光処理装置1において、管体21内に含有させる酸素の濃度を異ならせて、連続して光処理装置1を稼働させ、管体21が破損するまでに要した時間を測定した。図3は、この結果を比較した表である。図3に示すように、比較例1〜2は酸素濃度が0.1ppm以下であり、実施例1〜10は酸素濃度が1ppm以上である。図3によれば、各実施例は、比較例と比べて、管体21が破損するのにかかる時間が伸び、寿命特性が向上していることが分かる。また、図3の各実施例を比べると、管体21内に含有させた酸素の濃度を高めるほど、寿命が伸びていることが分かる。図3の結果によれば、管体21に含有させる酸素の濃度を1ppmとした場合であっても、酸素を全く含ませない場合と比較して寿命が向上することが確認される。
【0040】
図4は、管体21内に封入する酸素の濃度と、第一光の強度との関係を示すグラフである。図4によれば、管体21内に封入する酸素の濃度を高めるほど、第一光L1の強度が低下する傾向にあることが分かる。図3及び図4に鑑みれば、第一光L1の強度の低下をできるだけ抑制しながら、寿命特性を向上するためには、管体21内に封入する酸素の濃度は、1ppm以上であって、0.25%(2500ppm)以下とするのが好ましく、0.2%(2000ppm)以下とするのがより好ましく、0.1%(1000ppm)以下とするのが更により好ましいことが確認される。
【0041】
管体21に酸素を封入したことで、第一光L1の強度が少し低下し、これに伴って、管体21を構成する石英ガラス内における欠陥の生成速度が遅くなる。これにより、管体21に酸素を全く含まない従来の構成よりも、寿命が向上したものと推察される。
【0042】
<第二実施形態>
本発明の光処理装置の第二実施形態につき、図面を参照して説明する。以下の各実施形態において、第一実施形態と共通する箇所は、同一の符号を付して説明を適宜割愛する。
【0043】
図5は、本発明の光処理装置の第二実施形態の構成を模式的に示す図面である。図5に示す光処理装置1は、オゾン発生装置10を含む。オゾン発生装置10は、発光管2を含む。本実施形態において、発光管2は、172nmにピークを有する第一光L1に加えて、500nm以上550nm以下の波長範囲に高い強度を示す第二光L2を発する構成である。また、図5に示すオゾン発生装置10において、筐体5は、この第二光L2を通過又は透過可能に構成されている。例えば、筐体5は、第二光L2に対して透過性を有する材料で構成されていても構わないし、第二光L2を透過する窓部を有していても構わない。
【0044】
本実施形態においても、発光管2の管体21には、Xeを含む放電用ガスと微量の酸素が封入されている。このとき、管体21内に封入されているガスの一部が結合してXeOを生成し、管体21内に存在することがある。XeOが放電すると、500nm以上550nm以下の波長範囲の少なくとも一部に強度を示す光(緑色帯の光)、すなわち上記第二光L2が生成される。
【0045】
図6は、管体21から発せられる光のスペクトルを、管体21内に酸素が1ppm以上存在している場合と、酸素を導入していない場合とで比較した図面である。図6によれば、管体21内に1ppm以上の酸素を含有させた場合には、管体21内に酸素が存在しない場合と比較して、500nm以上550nm以下の波長範囲の光の強度が上昇していることが確認される。
【0046】
図7は、管体21内に封入する酸素の濃度と、第二光L2の強度との関係を示すグラフである。図7によれば、管体21内に封入する酸素の濃度を高めるほど、第二光L2の強度が上昇する傾向にあることが分かる。
【0047】
上述したように、本実施形態において、筐体5は、第二光L2を外部に透過することができるように構成されている。ここで、第二光L2は、可視域の波長を含む光である。よって、本実施形態の構成とすることで、オゾン発生装置10の稼働中において、外部より第二光L2を視認できる。
【0048】
オゾンは一般的に人体に有害であるため、オゾン発生装置10が稼働している間、脱臭・殺菌の対象空間である、オゾンを含む処理済ガスG2が排出される空間と同一空間内に人間が存在していることは好ましくない。しかし、オゾン発生装置10の稼働が停止したと思い込み、又は、そもそもオゾン発生装置10が稼働していることを知らずに、前記対象空間に人間が入室してしまう可能性は否定できない。本実施形態の構成によれば、例えば対象空間の外側から緑色光が確認されることで、オゾン発生装置10が稼働中であることの認識が可能であるため、誤ってオゾン発生装置10の稼働中に対象空間内に人間が入室するリスクを未然に抑制する効果が得られる。
【0049】
<第三実施形態>
本発明の光処理装置の第二実施形態につき、図面を参照して説明する。以下の各実施形態において、第一実施形態と共通する箇所は、同一の符号を付して説明を適宜割愛する。
【0050】
図8は、本発明の光処理装置の第三実施形態の構成を模式的に示す図面である。図8に示す光処理装置1は、オゾン発生装置10と、光触媒体20とを備える。第二実施形態と同様、発光管2は、172nmにピークを有する第一光L1に加えて、500nm以上550nm以下の波長範囲に高い強度を示す第二光L2を発する構成である。また、第二実施形態と同様、筐体5は、この第二光L2を通過又は透過可能に構成されている。
【0051】
光触媒体20は、500nm以上550nm以下の波長範囲の少なくとも一部分に強度を示す光が入射されると、励起され、光触媒作用を示す材料で構成される。光触媒体20は、例えば、塩化鉄(FeCl3)等の金属塩からなる増感剤を担持させた二酸化チタン(TiO2)を含む材料で構成される。光触媒体20は、発光管2から放射される第二光L2が入射可能な位置に配置されている。
【0052】
本実施形態によれば、オゾン発生装置10の稼働中に発生する第二光L2が、光触媒体20に入射され、光触媒体20の構成材料が励起することで光触媒作用が実現される。すなわち、光触媒体20による光触媒作用によって、周囲に対する脱臭・殺菌処理が実現される。従って、オゾンを含む処理済ガスG2による脱臭・殺菌処理効果を、光触媒作用によって補強・補完することができる。
【0053】
図9は、本実施形態の光処理装置1を用いて処理をする方法の一実施例を説明するための模式的な図面である。図9において、オゾン発生装置10は、第一空間71内に設置されており、光触媒体20は第二空間72内に設置されている。第一空間71と第二空間72とは隣接しており、境界部73によって相互に遮蔽されている。ただし、境界部73の少なくとも一部には、光透過窓74が設けられている。光透過窓74は、第二光L2を透過可能な材料で構成されている。
【0054】
このような構成によれば、対象空間のうち、第一空間71に対しては、オゾン発生装置10から放出されるオゾンを含む処理済ガスG2によって、脱臭・殺菌処理が実現される。また、対象空間のうち、第二空間72に対しては、オゾン発生装置10に含まれる発光管2から放射される第二光L2が光触媒体20に照射されることで、光触媒体20による光触媒作用によって、脱臭・殺菌処理が実現される。
【0055】
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
【0056】
〈1〉 上述した実施形態では、オゾン発生装置10において、発光管2が一重構造の管体21を備えた構成であるものとして説明したが、これはあくまで一例である。例えば、図10に示すように、発光管2は、誘電体である外管26a及び誘電体である内管26bを有する二重構造である二重管体26を備えた構成であっても構わない。図10は、別実施形態におけるオゾン発生装置10の構造を模式的に示す図面である。
【0057】
図10に示されるオゾン発生装置10においては、発光管2は、誘電体である外管26a及び誘電体である内管26bを有する二重管体26と、外管26a及び内管26b間を気密にするための環状の封止端部27とを備えている。そして、外管26a及び内管26b間には、上述した放電用ガス及び微量の酸素が封入されている。
【0058】
内部電極4は、筒状に形成されている。そして、内部電極4は、二重管体26(内管26b)の内部に配置されているため、外部電極3との間に二重管体26(外管26a及び内管26b)を配置している。なお、内部電極4は、二重管体26(内管26b)と接するようにして、発光管2に固定されている。この構成の場合、内管26bの内側にも被処理ガスG1が流通し、発光管2から放射される第一光L1が照射されて、オゾンを含む処理済ガスG2が生成されるものとしても構わない。
【0059】
〈2〉 上記実施形態に係るオゾン発生装置10においては、吸気口6はファン61を備える構成とした。しかし、例えば、ファン61は、排気口8側に設けられていても構わないし、吸気口6及び排気口8の両者に設けられていても構わない。
【0060】
〈3〉 第三実施形態のオゾン発生装置10内において、筐体5の内側面側に光触媒体20が設置されるものとしても構わない。これにより、被処理ガスG1に対して光触媒作用が施されるため、純度の高いオゾンを含む処理済ガスG2が生成される。このとき、光触媒体20をオゾン発生装置10の外側には配置しない構成とすることもできる。この場合、筐体5は第二光L2を透過しないように構成されていても構わない。
【符号の説明】
【0061】
1 : 光処理装置
3 : 外部電極
4 : 内部電極
5 : 筐体
6 : 吸気口
7 : 電源
8 : 排気口
10 : オゾン発生装置
20 : 光触媒体
21 : 管体
22 : 第一封止部
23 : 第二封止部
24 : 金属箔
25 : 外部リード
26 : 二重管体
26a : 外管
26b : 内管
27 : 封止端部
31 : 光路部
61 : ファン
71 : 第一空間
72 : 第二空間
73 : 境界部
74 : 光透過窓
G1 : 被処理ガス
G2 : 処理済ガス
L1 : 第一光
L2 : 第二光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10