特許第6972661号(P6972661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972661
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】気密パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/06 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   C03C27/06 101A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-105563(P2017-105563)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-199600(P2018-199600A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 浩士
【審査官】 大塚 晴彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−252827(JP,A)
【文献】 特開2001−168222(JP,A)
【文献】 特開2001−320256(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/086072(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0340647(US,A1)
【文献】 特開2009−055193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/06
B23K 26/00 −26/70
H05B 33/00 −33/28
H01L 23/00 −23/10
H01L 33/48 −33/64
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器をガラス蓋で封止した気密パッケージを製造する方法であって、
前記ガラス蓋を密着させるための透明基板を用意する工程と、
前記容器と前記ガラス蓋の間に封着材料を配置した状態で、付勢部材によって前記容器を付勢して前記ガラス蓋を前記透明基板に密着させる工程と、
前記ガラス蓋を前記透明基板に密着させた状態で、前記透明基板側から前記封着材料にレーザー光を照射して、前記封着材料で前記容器と前記ガラス蓋を接合する工程とを備え
前記容器の底部の略中央部を付勢することにより、前記容器の前記底部を傾斜可能な状態で付勢して前記ガラス蓋を前記透明基板に密着させる、気密パッケージの製造方法。
【請求項2】
複数の前記気密パッケージを製造する方法であって、
複数の前記容器のそれぞれに対して設けられた複数の前記付勢部材によって前記容器のそれぞれを独立して付勢し、複数の前記ガラス蓋を前記透明基板に密着させる、請求項1に記載の気密パッケージの製造方法。
【請求項3】
前記容器の前記底部と前記付勢部材との間に受け部材を設け、前記受け部材を前記付勢部材で付勢することにより前記容器を付勢する、請求項1または2に記載の気密パッケージの製造方法。
【請求項4】
前記容器の前記底部と接する前記受け部材の第1の面が、前記底部と密着するように形成されている、請求項に記載の気密パッケージの製造方法。
【請求項5】
前記受け部材の前記付勢部材側の第2の面に凹部が形成されており、前記凹部に前記付勢部材を接触させて付勢することにより、前記底部が傾斜可能な状態で前記受け部材及び前記容器を付勢して前記ガラス蓋を前記透明基板に密着させる、請求項またはに記載の気密パッケージの製造方法。
【請求項6】
前記付勢部材が、棒状部と、前記棒状部に接続されたバネ部材とを有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の気密パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED等の素子を搭載して封止するため等に、気密パッケージが用いられている。このような気密パッケージは、素子等を配置することができる容器と、容器を封止するためのカバー部材が接合されることにより構成されている。気密パッケージに素子等を封止することにより、素子等に水分等が接触することを抑制し、信頼性を高めることが検討されている。
【0003】
下記の特許文献1には、ガラスセラミックスからなる容器と、ガラス蓋が、封着材料を介して接合されてなる気密パッケージが開示されている。特許文献1では、上記封着材料として、低融点ガラスからなるガラスフリットが用いられている。また、特許文献1では、上記封着材料を焼成して、軟化させることにより、ガラスセラミックスからなる容器とガラス蓋が接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−236202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
耐熱性の低い素子が搭載される場合、特許文献1のようにガラスフリットを焼成して軟化させると、焼成の際の加熱により素子特性が熱劣化するおそれがある。これを解消する方法として、ガラスフリットにレーザー光を照射し、局所的に加熱することでガラスフリットを軟化する方法が考えられる。
【0006】
しかしながら、容器の形状には実際にはばらつきがあるため、レーザー光の照射の際、封着材料にガラス蓋及び容器を確実に密着させた状態とすることは困難であった。そのため、パッケージの気密性を十分に高められないことがあった。
【0007】
本発明の目的は、封着材料にガラス蓋及び容器を確実に密着させた状態で、レーザー光の照射によりガラス蓋及び容器を接合することができ、気密性を高めることができる、気密パッケージの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の気密パッケージの製造方法は、容器をガラス蓋で封止した気密パッケージを製造する方法であって、ガラス蓋を密着させるための透明基板を用意する工程と、容器とガラス蓋の間に封着材料を配置した状態で、付勢部材によって容器を付勢してガラス蓋を透明基板に密着させる工程と、ガラス蓋を透明基板に密着させた状態で、透明基板側から封着材料にレーザー光を照射して、封着材料で容器とガラス蓋を接合する工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、複数の気密パッケージを製造する方法であって、複数の容器のそれぞれに対して設けられた複数の付勢部材によって容器のそれぞれを独立して付勢し、複数のガラス蓋を透明基板に密着させてもよい。
【0010】
本発明においては、容器の底部の略中央部を付勢することにより、容器の底部を傾斜可能な状態で付勢してガラス蓋を透明基板に密着させることが好ましい。
【0011】
本発明においては、容器の底部と付勢部材との間に受け部材を設け、受け部材を付勢部材で付勢することにより容器を付勢してもよい。容器の底部と接する受け部材の第1の面が、底部と密着するように形成されていることが好ましい。受け部材の付勢部材側の第2の面に凹部が形成されており、凹部に付勢部材を接触させて付勢することにより、底部が傾斜可能な状態で受け部材及び容器を付勢してガラス蓋を透明基板に密着させることが好ましい。
【0012】
本発明においては、付勢部材が、棒状部と、棒状部に接続されたバネ部材とを有していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、封着材料にガラス蓋及び容器を確実に密着させた状態で、レーザー光の照射によりガラス蓋及び容器を接合することができ、気密性を高めることができる、気密パッケージの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態の気密パッケージの模式的正面断面図である。
図2】(a)及び(b)は、第1の実施形態の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的平面断面図である。
図4】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。
図5】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。
図6】(a)及び(b)は、第1の実施形態の変形例の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。
図7】(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。
図8】(a)及び(b)は、比較例の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
【0016】
(気密パッケージ)
図1は、本発明の一実施形態の気密パッケージの模式的正面断面図である。図1に示すように、気密パッケージ1は、容器3及び容器3を封止しているガラス蓋5とを備える。容器3は、底部3a及び底部3a上に配置された枠状の側壁部3bを有する。
【0017】
容器3は、例えば、セラミック、ガラスセラミック等から構成される。セラミックとしては、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ジルコニア、ムライト等が挙げられる。ガラスセラミックとしては、LTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics)等が挙げられる。LTCCの具体的な例としては、酸化チタンや酸化ニオブ等の無機粉末とガラス粉末との焼結体等が挙げられる。底部3a及び側壁部3bは一体で形成されていてもよい。あるいは、容器3は、別体の底部3aと側壁部3bとで形成されていてもよい。
【0018】
ガラス蓋5の材料には、種々のガラスを用いることができる。ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス等が挙げられる。
【0019】
気密パッケージ1は、容器3の側壁部3bとガラス蓋5との間に配置された封着材料層4を備える。容器3とガラス蓋5とは、封着材料層4により接合されている。
【0020】
封着材料層4は、低融点ガラス粉末を含む封着材料からなる。低融点ガラス粉末は、より低温で封着材料を軟化させることができ、素子の熱劣化をより一層抑制することができる。低融点ガラス粉末としては、例えば、Bi系ガラス粉末や、SnO−P系ガラス粉末、V−TeO系ガラス粉末等を用いることができる。後述するように、レーザー光の照射により封着材料を軟化させる際に、レーザー光の吸収を向上させるために、ガラス中にCuO、Cr、Fe、MnO等から選ばれる少なくとも1種の顔料が含まれていてもよい。また、封着材料は、上記の低融点ガラス粉末の他に、低膨張耐火性フィラーや、レーザー光吸収材等が含まれていてもよい。低膨張耐火性フィラーとしては、例えば、コーディエライト、ウイレマイト、アルミナ、リン酸ジルコニウム系化合物、ジルコン、ジルコニア、酸化スズ、石英ガラス、β−石英固溶体、β−ユークリプタイト、スポジュメンが挙げられる。また、レーザー光吸収材としては、例えば、Fe、Mn、Cu等から選ばれる少なくとも1種の金属または該金属を含む酸化物等の化合物が挙げられる。本実施形態の容器3とガラス蓋5とは、後述するように、レーザー光の照射により封着材料を軟化させて封着材料層4を形成している。
【0021】
(製造方法)
(第1の実施形態)
図2(a)及び(b)は、第1の実施形態の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。図3は、第1の実施形態の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的平面断面図である。図4(a)及び(b)は、第1の実施形態の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。なお、図4(a)においては、容器3A〜3Cを略図的に示している。図4(b)においては、後述するプランジャ12を略図的に示している。
【0022】
図2(a)に示すように、複数のガラス蓋5を用意する。一方で、図4(a)に示す複数の容器3A〜3Cも用意する。複数の容器3A〜3Cは、理想的には全て同じ形状であることが望ましい。しかしながら、実際には、製造ばらつき等により、容器の厚みが異なる場合や底部が傾いた状態となる場合がある。本実施形態では、容器3Aの底部は傾いており、容器3Bの厚みは容器3Cの厚みより厚い。なお、本明細書において容器の厚みとは、側壁部が延びる方向に沿う容器の最大寸法をいう。
【0023】
次に、図2(a)に示すように、各ガラス蓋5上に封着材料4Aを配置する。封着材料4Aは、ガラス蓋5の、容器に接合される部分に配置する。本実施形態の封着材料4Aは、レーザー光吸収材を含有するガラスフリットである。封着材料4Aの配置は、例えば、封着材料4Aと適宜の有機バインダとを混合したペーストを印刷することにより行うことができる。次に、400℃以上、600℃以下の温度で焼成を行う。なお、封着材料4Aは、容器の側壁部上に配置してもよい。
【0024】
次に、図2(b)に示すように、透明基板7を有する第1の治具6を用意する。第1の治具6は、ガラス蓋5の位置決めをするための第1の治具側壁部8aを有する。図3に示すように、第1の治具側壁部8aは、平面視において格子状の形状を有する。第1の治具側壁部8aの上記格子状の形状は、各ガラス蓋5の平面形状に対応した形状である。第1の治具側壁部8aは、複数のガラス蓋5を透明基板7上に配置した際に、各ガラス蓋5を囲むように設けられている。これにより、複数のガラス蓋5の位置決めをすることができる。
【0025】
図2(b)に戻り、第1の治具6は、各容器の位置決めをするための第2の治具側壁部8bを有する。第2の治具側壁部8bは、第1の治具側壁部8aと同様に、平面視において格子状の形状を有する。さらに、第1の治具6は、後述する第2の治具を固定するための治具固定部6aを有する。治具固定部6aは、平面視において、透明基板7を囲むように設けられている。なお、第1の治具6は透明基板7を有していればよく、第1の治具6の構成は特に限定されない。
【0026】
次に、図2(b)及び図3に示すように、第1の治具側壁部8aに囲まれるように、各ガラス蓋5を透明基板7上に配置する。次に、図4(a)に示すように、各ガラス蓋5の上に、封着材料4Aを介在させて容器3A〜3Cを載せる。
【0027】
一方で、図4(b)に示すように、第2の治具9を用意する。第2の治具9は、治具底部9aと、治具底部9aを貫通するように配置されている複数の付勢部材と、治具底部9a上に設けられている第3の治具側壁部9bとを有する。本実施形態においては、上記付勢部材はプランジャ12である。
【0028】
プランジャ12は、本体13と、本体13から突出している棒状部14と、本体13内収容されており、かつ棒状部14に接続されたバネ部材とを有する。棒状部14の先端の形状は、特に限定されないが、本実施形態では略半球状である。各プランジャ12は、図4(a)に示す、第1の治具6において容器3A〜3Cが配置された位置に対応する位置に配置されている。なお、第2の治具9は、容器3A〜3Cをガラス蓋5側に付勢し、ガラス蓋5を透明基板7側に付勢するための治具の一例であり、第2の治具9の構成は特に限定されない。
【0029】
図5(a)及び(b)は、第1の実施形態の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。なお、図5(a)及び(b)においては、容器3A〜3C及びプランジャ12を略図的に示している。
【0030】
次に、図5(a)に示すように、第1の治具6の治具固定部6a上に第3の治具側壁部9bが接するように、かつ各プランジャ12の棒状部14が容器3A〜3Cの底部にそれぞれ接するように、第2の治具9を配置する。各棒状部14が接触する容器3A〜3Cの底部における位置は特に限定されないが、本実施形態においては、底部の略中央部に接触する。次に、第1の治具6と第2の治具9とを固定する。本実施形態では、螺子により第1の治具6と第2の治具9とを固定するが、上記固定の方法はこれに限定されない。
【0031】
ここで、図4(b)に示した工程において、各プランジャ12の棒状部14における本体13から突出している部分の長さは、第1の治具6と第2の治具9とが固定されたときの各本体13と容器3A〜3Cとの距離よりも長い。これにより、図5(a)に示すように第1の治具6と第2の治具9とが固定されたとき、各プランジャ12の棒状部14は、容器3A〜3Cの底部により、本体13内に押し込まれている。このとき、各プランジャ12のバネ部材が収縮しており、バネ部材の復元力により、各プランジャ12は容器3A〜3Cを各ガラス蓋5側に付勢し、各ガラス蓋5を透明基板7側に付勢する。このように、容器3A〜3Cのそれぞれに対して設けられた各プランジャ12によって容器3A〜3Cのそれぞれを独立して付勢し、各ガラス蓋5を透明基板7に密着させる。
【0032】
本実施形態では、容器3A〜3Cの厚みや底部の形状に応じて各プランジャ12のバネ部材が収縮し、各プランジャ12が容器3A〜3Cを付勢する。それによって、容器3A〜3Cの厚みが異なる場合や底部が傾いている場合においても、各ガラス蓋5を透明基板7に確実に密着させることができる。
【0033】
このとき、各ガラス蓋5が透明基板7に密着した状態において、各プランジャ12によって容器3A〜3Cが各ガラス蓋5側に付勢されている。よって、封着材料4Aに、ガラス蓋5及び容器3A〜3Cをより確実に密着させることができる。
【0034】
次に、図5(b)に示すように、各ガラス蓋5を透明基板7に密着させた状態で、透明基板7側から封着材料4Aにレーザー光Lを照射する。これにより、封着材料4Aを軟化させ、各ガラス蓋5と容器3A〜3Cとを接合する。このとき、図1に示した封着材料層4が形成され、複数の気密パッケージを得ることができる。
【0035】
本実施形態においては、封着材料4Aに容器3A〜3C及び各ガラス蓋5をより確実に密着させて、容器3A〜3C及び各ガラス蓋5をレーザー光Lの照射により接合することができる。よって、各気密パッケージの気密性を効果的に高めることができ、信頼性を効果的に高めることができる。加えて、複数の気密パッケージを同時に得ることができ、生産性を高めることができる。
【0036】
以下において、本実施形態と比較例とを比較することにより、本実施形態の効果をより詳細に説明する。
【0037】
図8(a)及び(b)は、比較例の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。比較例においては、図8(a)に示すように、第2の治具109を用意する。第2の治具109は、本実施形態の第2の治具と同様に、治具底部9a及び第3の治具側壁部9bを有するが、付勢部材を有しない。比較例の第2の治具109においては、治具底部9a上にステージ109cが設けられている。ステージ109c上には、本実施形態における第1の治具と同様の第1の治具側壁部8a及び第2の治具側壁部8bが設けられている。
【0038】
次に、ステージ109c上に、側壁部上に封着材料4Aを配置した容器3A〜3Cを載置する。次に、容器3A〜3C上に、封着材料4Aを介在させてそれぞれガラス蓋5を載せる。
【0039】
一方で、図8(b)に示す、透明基板7を有する第1の治具106を用意する。第1の治具106は、第1の治具側壁部8a及び第2の治具側壁部8bを有しない点以外においては、本実施形態の第1の治具と同様に構成されている。次に、図8(b)に示すように、透明基板7により各ガラス蓋5を押圧した状態で、封着材料4Aにレーザー光Lを照射することにより、容器3A〜3Cと各ガラス蓋5とを接合する。
【0040】
比較例においては、図8(b)に示すように、容器3Bより容器3Cの厚みが薄いため、容器3C上のガラス蓋5と透明基板7とを密着させることは困難である。容器3Aの底部は傾いているため、ステージ109c上に底部側から配置された状態においては、容器3A上のガラス蓋5は傾いた状態となる。そのため、容器3A上のガラス蓋5と透明基板7とを十分に密着させることは困難である。よって、封着材料4Aに各ガラス蓋5及び容器3A,3Cを確実に密着させることは困難であり、気密パッケージの気密性を十分に高くできないことがある。
【0041】
これに対して、本実施形態においては、図5(a)に示すように、容器3A〜3Cと各ガラス蓋5の間に封着材料4Aを配置した状態で、各プランジャ12によって容器3A〜3Cを付勢して、各ガラス蓋5を透明基板7に密着させる工程を有する。それによって、図5(b)に示すように、封着材料4Aに各ガラス蓋5及び容器3A〜3Cを確実に密着させた状態で、レーザー光Lの照射により各ガラス蓋5及び容器3A〜3Cを接合することができる。よって、気密性が高い気密パッケージを得ることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、容器3A〜3Cの底部の略中央部を付勢することにより、容器3A〜3Cの底部を傾斜可能な状態で付勢する。よって、ガラス蓋5を透明基板7により一層確実に密着させることができ、封着材料4Aに各ガラス蓋5及び容器3A〜3Cをより一層確実に密着させることができる。
【0043】
図5(a)及び(b)においては、容器3Aを1つのプランジャ12により付勢する例を示したが、容器3Aを複数のプランジャ12により付勢してもよい。この場合には、容器3Aの底部に加えられる力の、面内方向における均一性を高めることができる。容器3B及び容器3Cを複数のプランジャ12により付勢した場合においても同様である。それによって、封着材料4Aに容器3A〜3C及び各ガラス蓋5を、より一層確実に密着させることができる。
【0044】
プランジャ12の棒状部14の先端は、本実施形態のように、略半球等の曲面形状であることが好ましい。それによって、容器3Aのように底部が傾斜している場合においても、底部に棒状部14を好適に接触させることができ、より確実に付勢することができる。よって、封着材料4Aにガラス蓋5及び容器3Aをより確実に密着させることができる。
【0045】
第2の治具9においては、付勢部材はバネ部材を有するプランジャ12であるが、付勢部材はこれに限定されない。付勢部材は、例えば、空圧式のプランジャであってもよく、あるいはバネ部材等であってもよい。
【0046】
なお、本実施形態の製造方法は複数の気密パッケージを製造する方法であるが、本発明は、1つの気密パッケージを製造する方法としても適用することができる。この場合、本実施形態と同様に、容器3Aの底部が傾いている場合等においても、封着材料4Aにガラス蓋5及び容器3Aを確実に密着させた状態で、レーザー光Lの照射によりガラス蓋5及び容器3Aを接合することができる。よって、気密性が高い気密パッケージを得ることができる。
【0047】
本実施形態においては、透明基板7上にガラス蓋5を配置する工程を有するため、ガラス蓋5を透明基板7により一層確実に密着させることができる。よって、封着部材4Aにガラス蓋5及び容器3A〜3Cをより確実に密着させた状態で、レーザー光Lの照射によりガラス蓋5及び容器3A〜3Cを接合することができる。なお、透明基板7上にガラス蓋5を配置する工程を必ずしも有しなくともよい。
【0048】
図6(a)及び(b)は、第1の実施形態の変形例の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。
【0049】
本変形例においては、図6(a)に示す、複数のプランジャ12を有する第2の治具39を用意する。第2の治具39は、治具底部9a上に、第1の実施形態における第2の治具側壁部8bが支持部材9c,9dを介して設けられている点以外においては、第1の実施形態の第2の治具と同様に構成されている。一方で、側壁部上に封着部材4Aが配置された容器3A〜3Cを用意する。
【0050】
次に、図6(a)に示すように、第2の治具側壁部8b及び各プランジャ12の棒状部14に支持されるように、容器3A〜3Cを配置する。次に、容器3A〜3C上に、封着材料4Aを介在させてそれぞれガラス蓋5を載せる。このとき、容器3A〜3C及び各ガラス蓋5の重量により、各プランジャ12のバネ部材は収縮している。
【0051】
なお、本変形例においては、容器3A〜3C上のガラス蓋5のうち、容器3B上のガラス蓋5が治具底部9aから最も離れている。容器3Aの底部は傾いているため、容器3A及び容器3A上の蓋部5は傾いて配置されている。
【0052】
一方で、図6(b)に示す、透明基板7を有する第1の治具36を用意する。第1の治具36は、図5(b)に示した第1の治具側壁部8a及び第2の治具側壁部8bを有しない点以外においては、第1の実施形態の第1の治具と同様に構成されている。次に、図6(b)に示すように、透明基板7により各ガラス蓋5を押圧する。このとき、透明基板7は、最初に容器3B上のガラス蓋5を押圧する。これにより、プランジャ12のバネ部材は収縮し、透明基板7及び上記ガラス蓋5は、プランジャ12側に移動する。この移動により、透明基板7は容器3A上のガラス蓋5及び容器3C上のガラス蓋5にも接触し、透明基板7は容器3A〜3C上の各ガラス蓋5を押圧する。
【0053】
透明基板7が各ガラス蓋5を押圧する力により各プランジャ12のバネ部材が収縮しており、バネ部材の復元力により、容器3A〜3Cを各ガラス蓋5側に付勢し、各ガラス蓋5を透明基板7側に付勢する。これにより、各ガラス蓋5を透明基板7に密着させる。なお、容器3A上のガラス蓋5は透明基板7に対して傾いて配置されていたが、上記付勢により、ガラス蓋5が透明基板7に密着するように、容器3A及び容器3A上のガラス蓋5が回転する。これにより、容器3A上のガラス蓋5も透明基板7に密着する。
【0054】
次に、各ガラス蓋5を透明基板7に密着させた状態で、封着材料4Aにレーザー光Lを照射することにより、容器3A〜3Cと各ガラス蓋5とを接合する。
【0055】
本変形例においても、封着材料4Aに各ガラス蓋5及び容器3A〜3Cを確実に密着させた状態で、レーザー光Lの照射により各ガラス蓋5及び容器3A〜3Cを接合することができる。もっとも、第1の実施形態のように、透明基板7上にガラス蓋5を配置する工程を有する場合には、各ガラス蓋5を透明基板7により一層容易に密着させることができ、封着材料4Aに各ガラス蓋5及び容器3A〜3Cをより一層容易に密着させることができる。
【0056】
(第2の実施形態)
図7(a)及び(b)は、第2の実施形態の気密パッケージの製造方法を説明するための模式的正面断面図である。本実施形態の製造方法においては、図4(b)に示す工程までは、第1の実施形態と同様の工程を行う。
【0057】
次に、図7(a)に示すように、容器3A〜3Cの底部に、各受け部材25をそれぞれ配置する。各受け部材25は、容器3A〜3C側に位置する第1の面25aと、第1の面25aに対向する第2の面25bとを有する。各第1の面25aは、容器3A〜3Cの底部にそれぞれ密着するように設けられている。
【0058】
各受け部材25の第2の面25bには、凹部25cがそれぞれ設けられている。各凹部25cは、容器3A〜3Cを付勢する際に、各プランジャ12の棒状部14が接触する位置にそれぞれ設けられている。凹部25cの形状は、特に限定されないが、本実施形態では、棒状部14の先端の形状に対応した形状である。より具体的には、凹部25cの形状は略半球状である。
【0059】
次に、図7(b)に示すように、第1の治具6の治具固定部6a上に第3の治具側壁部9bが接するように、かつ各プランジャ12の棒状部14が各受け部材25の凹部25cにそれぞれ接触するように、第2の治具9を配置する。次に、第1の治具6と第2の治具9とを固定する。これにより、各受け部材25の凹部25cに各プランジャ12を接触させて付勢することによって、底部が傾斜可能な状態で各受け部材25及び容器3A〜3Cを付勢してガラス蓋5を透明基板7に密着させる。
【0060】
本実施形態では、容器3A〜3Cの底部と各プランジャ12との間に各受け部材25を設け、各受け部材25を付勢することにより容器3A〜3Cを付勢しているため、容器3A〜3Cの底部に加えられる力を分散させることができる。なお、各受け部材25の第1の面25aが容器3A〜3Cの底部に密着しているため、底部に加えられる力を効果的に分散させることができる。よって、容器3A〜3Cが破損し難い。
【0061】
受け部材25の凹部25cの形状が、プランジャ12の棒状部14の先端の形状に対応した形状であるため、棒状部14と受け部材25との接触面積を大きくすることができる。それによって、容器3A〜3Cを付勢するに際し、より一層確実に底部が傾斜可能な状態とすることができる。さらに、容器3A〜3Cの底部に加えられる力をより一層分散させることができる。なお、受け部材25には、凹部25cは設けられていなくともよい。この場合においても、各プランジャ12により容器3A〜3Cの底部に加えられる力を分散させることができる。
【0062】
次に、各ガラス蓋5を透明基板7に密着させた状態で、透明基板7側からレーザー光Lを照射する。
【0063】
本実施形態においても、封着材料4Aに各ガラス蓋5及び容器3A〜3Cを確実に密着させた状態で、レーザー光Lの照射により各ガラス蓋5及び容器3A〜3Cを接合することができる。よって、気密性が高い気密パッケージを得ることができる。
【符号の説明】
【0064】
1…気密パッケージ
3,3A〜3C…容器
3a…底部
3b…側壁部
4…封着材料層
4A…封着材料
5…ガラス蓋
6…第1の治具
6a…治具固定部
7…透明基板
8a,8b…第1,第2の治具側壁部
9…第2の治具
9a…治具底部
9b…第3の治具側壁部
9c,9d…支持部材
12…プランジャ
13…本体
14…棒状部
25…受け部材
25a,25b…第1,第2の面
25c…凹部
36…第1の治具
39…第2の治具
106…第1の治具
109…第2の治具
109c…ステージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8